大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(70) 「夢魔子」

今夜の藤子不二雄作品も、藤子不二雄Ⓐ(安孫子素雄)先生側の作品で続けて…「夢魔子」(中央公論社刊)です。
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表題作の「夢魔子」は1970年の高三コース(学習研究社刊)が初出で、1話完結の連作方式で全5話が収録されています。
このずっと前にも、既にしたサンコミックス版の「黒ベエ」で3巻末に収録されていた作品ですが、この単行本は1990年にこのような形で日の目を見たわけです。
その理由は、「藤子不二雄Ⓐの夢魔子」のタイトルで3話だけながらアニメ化されたため。それも前回紹介した「笑ゥせぇるすまん」が話題をさらっていた時期に、同じTBSのギミア・ぶれいく内で放映されたのですね。

1970年代後半に生まれた私の世代だと、ちょうど小学生の頃に凄い数の藤子不二雄アニメが放映されていたし、FFランドも刊行されていたし…全盛期をちょうど良い時期に体験しているのですが、普通は児童向けだった藤子漫画離れしている中学生くらいになって「笑ゥせぇるすまん」がヒットして、藤子A先生は大人漫画も面白い事を知った人がほとんどだと思います。
しかし当時は今と違い、藤子A先生のブラック作品も熱心に古本屋を回って探すしか読む方法が無いような状況だったのですね。プレミアも今とは問題にならないくらい付いてたし…でもだからこそ、古本屋でうまくヴィンテージ・コミックを発掘する楽しみは多かったのですが、とにかく「笑ゥせぇるすまん」に続いて「夢魔子」、これが出て表題作の後にはブラック短編がいくつも収録されていて、それが若い世代にも読まれてウケたからその後は同じ中央公論社の愛蔵版(A5版)全三巻で「ブラックユーモア短編集」が出て、またそれを再編集した文庫版も出版されるのにつながったのだと思います。

そんな「夢魔子」ですが、主人公のミステリアスな美少女が夢魔子
こうしたヒロイン物には珍しく毎回髪型が変わっているのですが、変わらないチャームポイントが額のホクロ。彼女がちょっと変わった願望を持つ男の前に現われると、何かが起こる…
これはストーリーを紹介してもしょうがなくて、様々な漫画に親しんでいて多様な楽しみ方がある事を理解していない人が普通に読んだら、多分つまらないだけでしょう。それで何なんだと思われるような作品なのですが、これが雰囲気モノというか、妙な感覚を覚えるのですね。タイトルにもある通り、『夢』の世界みたいな。波長が合ってハマる人も一定数いると思います。

本作は単行本で全1巻ですが、4分の1の分量も無いため表題作の後に短編が10作収録されています。で、これが面白い!
このブログでは既に紹介した作品がほとんどですが、「夢魔子」と同じ1970年の作品は『ぶきみな5週間シリーズ 』からバラして「串のはいった鞭」「鎖のついた武器」「目のない舞姫」、それに「マカオの男」
1971年の「万年青」、1972年の「カタリ・カタリ」「不器用な理髪師」「内気な色事師」「無邪気な賭博師」、1973年の「暗闇から石」と、傑作揃いです。


かわいそうに………
春彦くんの夢をすてさせるってことは
彼に年をとらせてしまうことなのよ!



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  1. 2016/01/31(日) 23:00:22|
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藤子不二雄(69) 「笑ゥせぇるすまん」

続いての藤子不二雄作品も、藤子不二雄Ⓐ(安孫子素雄)先生側の作品で…「笑ゥせぇるすまん」(中央公論社刊)です。
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もはや説明の必要も無い国民的漫画であり、アニメ化にあわせて1989年に上梓されたセールスマン・バッグを模したデザインの単行本、この第1巻はブーム時の事でもあり物凄く売れたはずです。当時中学1年生だった私の周りでも、どれだけ多くの同級生がこの分厚い本を持ってた事か。
このFFランドと同じ中央公論社より、中公コミック・スーリで出たオリジナル単行本は全6巻。

せぇるすまん・喪黒福造が登場するシリーズは藤子A先生の代表作ともなりましたが、初登場は1968年にビッグコミック(小学館刊)にて読み切り作品として掲載された「黒イせぇるすまん」。これは少年向けギャグ漫画ばかり描いてた藤子A先生が大人向けでブラックな作品を描くきっかけになったものであり、今読んでもこれが一番ヤバい内容だと思いますが、この作品は一部の短編集などで読めるもののコミック・スーリの単行本には未収録なんですよね。
で、その翌年・1969年から1971年まで週刊漫画サンデー(実業之日本社刊)で「黒ィせぇるすまん」と改題(微妙な変化ですが、『イ』→『ィ』となっています)して連載されたのが、この第1巻に収録されている作品群。これを1989年からのアニメ化されたのに合わせて単行本化し、その際にさらに「笑ゥせぇるすまん」と改題されました。ついでにせぇるすまんの名字の読み方も『もこく』から『もぐろ』へと変えられています。
アニメ版の好評に合わせて1989年に「笑ゥせぇるすまん」のタイトルで喪黒が初登場した時と同じビッグコミック誌上に読み切り作品を、そして連載が決まると中央公論(中央公論社刊)で1990年から1995年という長期に渡り描き続けられました。それが2巻から6巻までに収録された内容で、その全てが1話完結の連作方式で進みます。
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全身黒づくめという服装と歯が凄い不気味な顔で、ターゲットと定めた人に近づいては『ココロのスキマ・・・お埋めします』と書かれた名刺を渡す男・喪黒福造。タイトル通りせぇるすまん(セールスマン)ですが、扱う商品は人間のココロ。
ターゲットが意識の奥に隠し持つ欲望を白日のもとにさらけだしては快楽に引きずり込んだりして幸福感を与え、それからどん底に落とす。相手を指さして『ドーン!!!!』とやるお決まりのアレを、知らない人はほとんど居ないでしょう。
あのドーンは初期の頃から出ていて、『サイミン術ですか合気道ですか』と問われて『まあ そんなものです』と答えています。これは一歩を踏み出させるために、もしくは約束を破って罰を与えられる時などに喰らわせるのですが、その後に不思議な現象が起こるのがオチになっています。

本作で登場するネタや道具など、藤子不二雄Ⓐ先生が描いてきた一連のブラック・ユーモア作品とかぶるネタも多いです。「ブラック商会変奇郎」の変奇堂と店主が出てきたり、「やすらぎの館」などの短編で使った設定だけ使われるとか、おなじみの『変コレクション』が出てきたりと形は様々ですが、永井豪先生でいう「バイオレンスジャック」的な、藤子Ⓐ漫画の集大成と言えなくもないかと思います。連載中に、毒は徐々に薄まっていきますが…

喪黒に『ココロのスキマ』を見破られた人達は新手のセールスかと思って財布の心配をするのが常ですが、喪黒の行動は全て無料です。ただ、趣味のイタズラでターゲットにされていた事を思い知る事になるのですが…
そもそもイタズラにいくらでも金をかける喪黒は、金持ちなのでしょうか。競馬をやれば予想が90%以上的中するから面白くなくて馬券を買わず、馬やそれに一喜一憂する人間達を見に行くだけだったりするし、いくらでも稼ぐ事は出来るのでしょう。

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最初は親切な人を装って困っている人を助けたり潜在的な欲望を叶えてあげたりする喪黒ですが、大体は約束や条件を定めます。で、ほとんどの場合はそれが破られる事となり、そのため相手が悪い、自業自得だからと罰を与える事になるのが通例。
でもこれが、ただでさえ欲望にまみれていたり隠していても強い不満を持った人間をターゲットにしているのだから…そりゃ破るだろうって話なんですよね。手を出さなければずっと平凡な生活を送っていただろうに、一度上げておいて落とすから酷さも倍増します。
1巻のあとがきで作者は、『喪黒福造は奇怪なる人物ではあっても、けっして悪いヤツではないのです。』と言い張ってますけどね。

喪黒に家があるのなら、住んでいる土地は正確には分からないながらも東京の小田急線沿線っぽい事が分かる描写だけはありますね。
よく待ち合わせ場所にも使う行きつけの店が、"BAR 魔の巣"。最終巻まできて『ゴールデン飲食街』という飲み屋街の中にある店だと分かる描写がありました。新宿のゴールデン街がモデルか!?いや、また別の回では『駅前飲食街』という名称になってたりするし特定させるつもりもないのか。
とにかく 喪黒が連絡先として使っている店で、『ココロのスキマ・・・お埋めします』の名刺の裏にはこの店の電話番号が書いてあるほどです。呼ばれた客が先に着いてヒゲもじゃマスターに話しかけると、見ざる・言わざる・聞かざるの置物を指差されて何も教えてくれないのが有名ですが、実は一度だけ普通にしゃべった事もあります。それが『夢のあと』の回で、喪黒さんはと問われて
『きょうはまだです でもまもなくおみえになるでしょうから どうぞ』
というのが唯一のセリフ。あのミステリアスなマスターですが、しゃべってしまうといたって普通!
また、初期は"スナック 魔の巣"もしくは"SNACK 魔の巣"の屋号で、別のマスターがいる描写もありました。
喪黒は他に、ターゲットをママがやってる小さな居酒屋とか小料理屋みたいな所に案内する事もありますが、そういう時もママは喪黒を常連のように扱っているから、一人でも相当呑みに行って店の人を取り込んでいるようです。

喪黒のターゲットに選ばれる男達(あ、超レアケースで女性の場合もありましたが)は、あくまで藤子A先生がその欲望を予想しやすいタイプで選ばれているからか、漫画家やイラストレーターだったり、あとサラリーマンでもゴルフとか麻雀にはまっているような奴ばっかり出てくるから、読者である私…中学1年生の頃から読んでて現在では彼らと同じおじさんになった今でも、それらの方々は遠い世界の人たちなんですよね。
しかし『マンガニア』の回は古本、それもヴィンテージ・マンガのコレクターである中念宅次(38歳)を追った話なので、同じ趣味を持つ私は感情移入し過ぎてしまいます。この人の歳にも、ちょうど今の私が追いついちゃっています。男のこういう趣味が女性には理解してもらえないとかの酒呑み話もよく分かるし、ラストのオチなんて悲し悔しい涙が出てきちゃいそう。
この回ではある漫画は古本として高い価値が付いている事を紹介し、特に高価な手塚治虫先生の漫画を集める中念氏が古本屋の目録を見て頭を悩ませたり顔なじみの店に足を運んだりする様が描かれていますが、喪黒が出してきた漫画が「足塚夢四雄/LAST UTOPIA 最後のユートピア」なる作品。これは元ネタがヴィンテージ・マンガの中でも一番有名と言える本なので分かる方も多いと思いますが、本作の作者でもある藤子不二雄先生が足塚不二雄名義で1953年に描き下ろした単行本「UTOPIA 最後の世界大戦」ですね。
ここでは『これ一作しか描かなかったので マンガ界の写楽とよばれている足塚夢四雄の幻の単行本だ!』だそうなので、その後ペンネームを変えて輝かしい成功を収める藤子先生達とは別の人として描いているのでしょうが。

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まぁ手を変え品を変えで進む短編の連作「笑ゥせぇるすまん」ですが、さすがにこれだけの話数があるとワンパターンと感じてしまうし、オチなんかすぐに読めます。ただし本作の楽しみはオチがどうなるかなんかではなくて、それは分かっているのだけど喪黒福造が出てきて、あの『ドーン!!!!』で人を地獄に突き落とすお約束を見たい、となってきます。
そうだ、何故かドーンじゃなくて両掌を相手に向けて『ウラー!』としてパワーを付けてあげる回があったのですが、あれは何だったのか。ドーンを喰らっても大して不幸にならない人もいますしね。

さらにこれだけ見てても、またアニメ化やドラマ化した作品も同様ですが、喪黒の正体は作中でほとんど明かされません。
ただしこの全6巻が完結した後も『せぇるすまんシリーズ』といった感じで定期的に喪黒は描かれており、「笑ゥせぇるすまん」連載終了の翌年である1996年に早くも漫画サンデーで「帰ッテキタせぇるすまん」を連載したのが2000年まで続いてるし、その連載終了翌年である2001年には「踊ルせぇるすまん」も描いています。で、特筆すべきはさらに後の2003年、ビッグコミックの1001号記念作品で描かれた読み切り作品ですよ。タイトルは「わが名はモグロ… 喪黒福造」として、誕生秘話を描いちゃってます!

中公コミック・スーリ各巻の背表紙は、喪黒福造の後姿。ちょっとユーモラスな感じがします。
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あとは「帰ッテキタせぇるすまん」期である1997年から翌年までカピタン(文藝春秋刊)で連載された外伝が、「喪黒福次郎の仕事」。単行本は全1巻です。
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これは今まで家族構成など一切明かされなかった喪黒福造の弟である喪黒福次郎が主人公で登場し、こちらは何と行動も兄とは逆に落ちて行く人を無償で本当に助けているという、ヒネリなく普通に善人なんですね。表紙を見て分かる通り、顔も似てないし服装も違う。
本作でもBAR 魔の巣及び見ざる・言わざる・聞かざるのマスターが登場するのですが、"MANOS"というアルファベット表記の屋号になっています。
福次郎も兄と同じように電車内でターゲットを物色したりしているし、『ドーン!!!!』ほどお決まりでもないのですが『ドダーン!』といって似たような技を使ったり…が、やはり道を踏み外しそうな人を救っちゃうので結局は何も起こらないわけで、この手の物語としては盛り上がりに欠けるかな。


ホッホッホッ
わたしはコンピューターで不幸な人の選択をしているのではありませんのです
人はだれでも不幸のタネをもっているし その尺度は客観的にははかれません
その点ではだれもが平等ということがいえます
だからわたしは無差別方式でえらんでいるわけです



  1. 2016/01/29(金) 23:59:30|
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藤子不二雄(68) 「スリーZメン」

続いての藤子不二雄作品も、藤子不二雄ランド(FFランド)から…「スリーZメン」(中央公論社刊)です。
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まんが王(秋田書店刊)で1964年から翌年まで連載された作品で、単行本は全2巻。
とにかくスーパー戦隊シリーズとか言われる戦隊モノの草分けだった作品として、藤子ファンや特撮ファンなどの一部で有名ですね。確かに東映制作のスーパー戦隊シリーズなんて「秘密戦隊ゴレンジャー」からカウントしても10年も後の1975年でしかなく、それよりは前の「仮面ライダー」シリーズだって1971年に開始されているのだから、確かにこの時代から戦隊モノの骨組みを作っていたのは確かであり驚愕すべき事かもしれません。

日本海のX地点に突如巨大ロボットを現れて海上自衛隊の戦艦を撃沈すると、今度はそのロボットを迎撃すべく現れ、人型のまま空を飛び爆弾を投下する...彼らがスリーZメン!
ビジュアルは本の表紙を見てもらえば分かる通りで、主人公は真ん中の早撃ちガンマンでヘルメットの角にはレイ・ガンを仕込んだゼン。向かって左の白い奴が投げメスを使う独眼のゼブラ、右の赤鼻で太っちょがマジック・バッドを使うザンバという3人戦隊です。
彼らはロボットでもなく人間でもない、人間の体の一部に機械を使って改造し身体機能を強化した種族『マシン・マン』だ!
…って、それはサイボーグって事ですよね。ここで本作の発表年をもう一度見てみると、我々日本人が一般的にサイボーグという語を知るきっかけになった石森章太郎漫画「サイボーグ009」と全く同年の1964年なんですよ。よって当時はまだこういった機械人間の名称が定着しておらず、サイボーグとせずにマシン・マンとして広めようとか、トキワ荘仲間の仲良し同士ながら争う余地があったのかもしれませんね。
ただ連載中に状況も変わってきたのか、「スリーZメン」の中でもサイボーグのハチというキャラが登場してくるし…ずっと後に石森章太郎先生側も原作と担当した特撮ヒーロー物で「星雲仮面マシンマン」というのを登場させましたが、これはさすがにこの話とは関係ないか。
ちなみに本作には体が飛行機ながら人間の頭脳を持つという事で同じマシン・マンの仲間・ゼウスがいますが、この設定は「サイボーグ009」でいうと洋館の体に人間の脳を持つ0012を思い出しますね。

そもそもスリーZメンの3人(ゼン、ゼブラ、ザンバ)は、ある事故で死にかけていたのを禅田博士が手術してマシン・マンとして再生させて誕生しました。Zメンの『Z』も、禅田博士の頭文字から取ったもの。
禅田博士…かつて人口心臓や人口肺の研究で世界中で有名だったにも関わらず行方不明になっていた人物ですが、18年前にマブゼ博士から人造人間の無敵軍隊を作る事を強要されて妻と子も殺され、しかし彼の手から逃れて太平洋上のZ島(その正体は怪物戦艦でした)にある基地で独自の研究を続けていたのです。
悪のロボット軍隊で世界征服を企むマブゼ博士に対抗して、正義のマシン・マン部隊を作って戦うために!

…と、分かりやすい正義対悪の対立が描かれるのですが、悪の側の科学者・マブゼ博士はネーミングがフリッツ・ラング監督による1932年の映画「怪人マブゼ博士」からそのまま取ってますね。
映画好きの藤子先生らしい事ですが、私もフリッツ・ラング作品は大好きだったのに、あのサスペンス映画の名作「M」の続編でもある怪人マブゼ博士が私の若き日の日本ではどうしても観れない状態だった事を思い出します。ずーっと後にDVD化もされて、今ではあっさり観れるようになりましたけどね。
ちなみにその「怪人マブゼ博士」は、4時間半もある長尺なサイレント映画「ドクトル・マブゼ」の続編でもあり、フリッツ・ラングの遺作も自らリメイクした1960年版の「怪人マブゼ博士」でした。

さて「スリーZメン」におけるマブゼ博士が、ロボットの王となるために作った奴がキング・ギャロ。こいつがほとんど不死身で、恐ろしい部下のロボットを従えて何度もスリーZメンの前に立ちふさがる最強の敵。他にもシャドウ、ファントム・Qといった敵ロボット達が登場するし、全ての話に見所あり!
スーパー戦隊シリーズの元祖という貴重さだけでなく、現在でも充分に楽しめる作品だとは思うのですが、前述の通り同年に連載開始されて近い設定が登場する「サイボーグ009」と比べると、内容が子供向けで単純過ぎるのが後世に残るかどうかの明暗を分けたかな…逆に言うと009の方が、この時代にあそこまでのテーマを少年向け娯楽作品の中で描ききった凄い作品だったという事でもありますが。
FFランド版のオマケ、本作の『巻末新作まんが』は「ウルトラB」の連載でした。


動物にはなんかこう戦いたい本能がある
ズールはその本能が ものすごく強かったのだ…………
ズールはただ破壊するためだけの目的であばれた
人間は 必ず正しい目的がなくては ぜったいに戦ってはならないのに!



  1. 2016/01/22(金) 23:59:32|
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藤子不二雄(67) 久米みのる 2 「きえる快速車」

藤子不二雄先生には珍しい原作者付き作品で、藤子不二雄ランド(FFランド)から「きえる快速車」(中央公論社刊)です。
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原作者は久米みのる先生。本作は藤子不二雄Ⓐ作品ですが、これ以前には藤子・F・不二雄先生の方と組んで「名犬タップタップ」のシリーズや「ロケット五郎」等々の作品で組んだ実績がある方で、このブログでは前に貝塚ひろし先生と組んだ迷作「ロボット長島」を紹介済みですね。

「きえる快速車」は1963年に週刊少年マガジン(講談社刊)で連載していた作品で、単行本は全2巻。藤子先生がマガジンで描いた記念すべき初作品でもあります。
主人公は北海道釧路市の阿寒湖近くに住む坂口零太郎という少年。父は戦時中に名機として名を馳せた日本海軍戦闘機・ゼロ戦を設計した堀越技師の第一助手だった人で、そのゼロ戦の長所を活かして10年かけて完成させたスーパーカー、超高速車のエンゼル号のドライバーになってカーレースに挑むのが主な話。

連載開始したのがF1グランプリに日本の本田技研が出場する事を宣言した翌年だったようですが、本作でも本田モーターの社長で馬力王と呼ばれた本田宗一郎、名前もホンダの創業者で偉大な実業家でもあったあの方と全く同じ人物が登場します。
彼が零太郎のレーサーとしての才能を見抜いて上京させ…といっても秩父だから埼玉県か、ここにある"ホンダ・レーサー学校"へ入れて成長させるし、またエンゼル号をタイトル通りの『きえる快速車』に改造するのです。消える仕組みがちゃんと図解で出てたりするのは、夢のスーパーマシン好きにはたまらないのではないでしょうか。

ホンダ・レーサー学校でスピードの死刑台などの試練に耐え抜いて成長した零太郎は、ジェット・モンスターというマシンを操る外国人のビルと鈴鹿サーキットを利用したヤミ勝負で対決!このビルが宿命のライバルといった感じで、後にまた登場します。
あと超音波メスを搭載した『スピードの悪魔』というマシンが出てきた話では、本作のヒロインで本田宗一郎の令嬢・富士子がさらわれて、エンゼル号に乗った零太郎らが伊豆の大島にある悪魔の隠れ家まで助けに行くという少年漫画の王道な展開になりました。

ラストを飾るのは、アメリカのインディアナポリスで行なわれる世界最大のレースに日本を代表して出場する話。
世界最強を目指すマシンが続々と登場しますが、これがどれもモンスターみたいなやつで、空飛ぶのこぎりざめ号とか…ヤバいデザインや技術を持つ車も出てきて、スーパーカー好きにはたまらないのではないでしょうか。ついでにカルト映画好きなら、すぐにあのロジャー・コーマン製作による「デス・レース2000年」を思い出す感じか。もちろん本作は、あの10年以上前に描かれた作品である事が誇らしい。
ある妨害にあってエンゼル号はインディアナポリスの地で破壊されてしまうのですが、遠い外国に住みながら日本を愛する老人が博物館から引き取って持ってたゼロ戦。何とこれを部品に使わせてもらって当地で組み立て、無事にレースへ出場できた零太郎。快速車30台で800キロメートルを走るこのレースで優勝して世界最速の男になる事が出来るのか!?


そしてこれはFFランド版。という事は『巻末新作まんが』があり、本作では「ウルトラB」の連載がされています。
そして「きえる快速車」では全2巻にはちょっとページ数が少なかったのでしょう。貴重な読み切り短編作品で1957年の「第十番惑星」「火星ダイヤ」、1966年の「トランク・キッド」が収録されています。 内容はさすがに古さが目立ちますが、マニアックに藤子不二雄Ⓐ作品を語る上では抑えておきたい作品の数々。

「第十番惑星」は表紙をめくると、いきなり太平洋上のある島が爆発します。これが某国の新型爆弾実験の結果なのですが、この島のネーミングが"クルシミマス島"というので爆笑モノ。内容はいたって真面目なSFで、宇宙まで飛び出すスケールの大きさと、反核や平和を訴えるメッセージ色も強い作品ですが。

「火星ダイヤ」は地球の火星探索隊がこの地で危機に遭う冒険譚ですが、ここで出てくる火星人が…まさかのタコ型!物語上は一応恐ろしい怪物として出ているのですが、可笑しくて可愛くてとしか見れませんし、それってウェルズの「宇宙戦争」の時代から定着した古臭い火星人のイメージですからね。ブラッドベリの超傑作「火星年代記」が邦訳されたのは1956年だったみたいなので、本作発表の前年ではあるけどまだ藤子先生は読んでなかった可能性もあるし、大真面目に描いているのかな。主人公の星夫くんは、そのタコ型火星人に追っかけられて柔道の投げ技を駆使し、『講道館はしご段のぼくを知らないか』とか言ってるのですが、そりゃ火星人が知ってるわけないだろー!しかも受け身を取られて『やっ柔道を知っているな』とか言ってます。

「トランク・キッド」は謎のトランクを持つ少年探偵、トランク・キッドが暗黒街の悪者と戦う活躍を描いた作品ですが、そのトランクの中身を一切明かさない所が渋い。高度な知能を持った生命体なのか、超ハイテク機器の類だったのか…
この本の中では描かれた時代が一番新しく、オバQやハットリくんの連載とかぶる時期の作品なので、皆がよく知るおなじみの絵柄で読めるのも嬉しい作品でした。


なにをいってるんだ
きみもぼくも 同じレーサーじゃないか



  1. 2016/01/20(水) 23:59:00|
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藤子不二雄(66) 「異色SF短篇」

藤子不二雄作品から短編集、それも藤子不二雄ランド(FFランド)からもう一つ…今回は「異色SF短篇」(中央公論社刊)です。
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先日紹介した「少年SF短編」と併せて読んでもらいたい藤子・F・不二雄側の短編集で、こちらは全3巻。
藤子不二雄ランドの第1期(といっても第2期は存在しない…)の刊行も終わりが見えていた1990年の刊行で、収録内容は当時としても特にレア作品が入っていないのが残念。とはいえあくまで子供向けのシリーズだと思えば、それまでの短編集をほとんど読んでるようなマニアがいたとは考えられないし、作品のレベルは当然高いので喜ばれたと思いますよ。

第1巻は、「タイムカメラ」「ミニチュア製造カメラ」「値ぶみカメラ」「同録スチール」「夢カメラ」「コラージュ・カメラ」「懐古の客」「四海鏡」「丑の刻禍冥羅」の9編。
はい、お分かりですね…全て狂言回しとして未来から来たカメラのセールスマン・ヨドバ氏が出るシリーズで、前に紹介したゴールデン・コミックスの「藤子不二雄異色短編集」ではバラバラに収録されていたのが、この度ちゃんと発表された時系列ごとにまとめて収録された、という所。
ご存知藤子不二雄人気絶頂期の1980年代に「藤子不二雄の夢カメラ」のタイトルで実写テレビドラマ化もしていますが、これに出演した女優が中山美穂、荻野目洋子、小泉今日子、南野陽子、富田靖子、三田寛子…と、これがまた1980年代を代表するアイドル達なんですよね。え、でもそんなカワイ子ちゃんが出るような話だったっけ?と原作ファンは思うでしょうが、それはVHSとLDの形でソフト化している作品を実際に見てもらうしかありませんね。

第2巻は、「パラレル同窓会」「あのバカは荒野をめざす」「劇画オバQ」「権敷無妾付き」「分岐点」「やすらぎの館」「ノスタル爺」と…それもこれもビッグコミック系列の雑誌で発表した大人向け短篇シリーズ。もちろんメチャクチャ面白いのですが、先日既に紹介した作品ばかりですね。

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第3巻は、「一千年後の再会」「箱舟はいっぱい」「老雄大いに語る」「イヤなイヤなイヤな奴」「カンビュセスの籤」「幸運児」「ミノタウロスの皿」「旅人還る」
SF誌に掲載された作品がいくつもあるし、より硬派であり『すこしふしぎ』じゃなくて『サイエンス・フィクション』の方のSFらしい作品を中心に編んでいます。

以上、本編は全3巻で24話が収録されているのですが、これはFFランド。前回も書いたように各巻に付いたカラーセル画、作品解説、読者のひろば等の後にお待ちかね、新作連載漫画です。
…と、そうでした、FFランドは基本的には確かに『新作まんが』が連載されていたのですが、たまに『名作まんが』としてレアな過去作品を巻末に収録する事もあったのですよ。新作が間に合わなかったとかの事情じゃないかと推測は出来ますが、実はこれも嬉しい。
今回は1巻と3巻に「ベラボー」が収録されていましたが、これは1968年から翌年までまんが王で連載していた作品。その後も2011年に『藤子・F・不二雄大全集』でまとめられるまで一切単行本化しなかったのだから、貴重な収録。間の2巻は新作で、今となっては名作扱いの「チンプイ」、というラインナップでした。

人間の持つ『懐かしい』という感覚に私は好きだしけっこうこだわりを持っていて、世代で限られるのだとは思いますが私にとって藤子不二雄作品はその感覚が強烈に呼び起こされる漫画家。
そうえいばインターネットが普及して無料動画が出回った時、私は真っ先にこのFFランドのテレビCMを検索して懐かしさに悶絶した事がありました。同世代の誰かに言っても誰も覚えてなくて、あれらのCMがやっぱり私の妄想じゃなくて実在した事も嬉しかった。
懐かしさにこだわるあまり当時持っていた、または手に入らなかった物をいい大人になってから血眼になって探して大金かけて入手しようとする方々は常に一定数いますよね。私もその要素があるしそういう人達も大好きですが、でもそれをやるコレクターってまず男性しかいないのは、どうしたわけでしょうね。


ぼくは行きたいのです
地球を離れたいのです
何百光年でも 何千光年でも
永久に帰りたくないのです!!



  1. 2015/10/25(日) 23:00:39|
  2. 藤子不二雄
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プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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