大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(52) 「ウメカニズム―楳図かずお大解剖」、その他

ちょっとここで、楳図かずお先生の単行本以外の特集本なども紹介していきましょう。

となるとまずは、「ウメカニズム―楳図かずお大解剖」(小学館刊)が出てきますよね。
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今でこそこの手の楳図かずお本も定期的に出ていますが、こちらは最終作「14歳 FOURTEEN」の連載終了直前だった1995年に出ています。私もまだ10代で多くの楳図本を未読のままだった時に出ているので、大いに参考になったものです。
本を開くとある写真に続き、貴重な楳図かずお描き下ろしオールカラー漫画『自伝・かずおちゃん』が始まり、『楳図漫画大解剖』や『楳図かずおの歴史 全作品年譜』、さらに『「わたしは楳図」ロングインタビュー』で初心者でも楳図作品とご本人の歴史について大体把握出来るし、目玉は中沢新一氏との対談『宇宙の根源と未来』でしょうか。
作品論を書いてる著者達が豪華で、荒俣宏、竹熊健太郎、大槻ケンヂ、岡崎京子、椹木野衣ですからね。
それからもちろん、『恐怖200パーセント劇場』その他のたくさん使われているイラスト!これ一発で楳図かずお作品の魅力は分かりますよね。見開きページも多く、カラーもモノクロも素晴らしく興奮しますね!
仕事場や長野の別荘等、写真の数々も興味深い。230ページの写真にて楳図の左後ろで踊っている人は、実はデビュー前で若かりし頃の久住昌之先生。
最後に傑作「映像(かげ)」のポストカードが付いています。

そもそもこの時は作家生活40周年記念で、『ウメカニズム 前人未踏の楳図かずお展』が全国の主要都市を回る形で開催されており、そに合わせる形で出版されたのですが、イベントはその時限りのものであり終わってしまえば記憶の中にしか残らないし行けなかったファンにとっては幻。しかし、この本はずっと自宅に残るのです。
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楳図かずお特集本とは違いますが、1981年に角川文庫で出ている「先生をからかう本」(角川書店刊)は、楳図かずお・編という事になっているので…「恐怖への招待」の仲間的な著作だと考えてもいいのでしょうか。
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こちらも養老孟司氏との共著という形で微妙な位置の本で、一冊ずっと脳についての対談をしているのが1996年の「やさしい『唯脳論』」(メディアファクトリー刊)。楳図先生の挿絵も使われています。もちろん、この本のためのオリジナル絵!
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これは飯島愛が対談した大勢の中の一人ですが、楳図先生も登場しているので購入した2006年の「お友だちになりたい! ~43人のクリエイターと の対談集~」(日経BP社刊)。
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さいとう・たかを先生、蛭子能収先生、辛酸なめ子先生、美内すずえ先生…等々、漫画家だけで11人も選ばれているし、セレクトが良い!
そして肝心の楳図先生との対談ページですけどね、恋愛に全然興味が無いし実際にしてこなかった先生に対し、
『でも人間の本能として、エッチをしたくないですか?』
なんて訊いちゃってるんですよ。これは飯島愛じゃなきゃ言えなかった事ですね…

同、2006年の「プロ論。3」(徳間書店刊)なんてのも楳図先生が登場しているので購入していますが、各界のプロ達に仕事についての話を聞くシリーズ。
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ただしこの本は50人も出てくるので、1人6ページしかないんですよね。ここでも、辛酸なめ子先生も出ています。

続いてA5サイズのムック本などを見ていくと、2002年の「別冊宝島 楳図かずお大研究」(宝島社刊)は、この年なんと「漂流教室」「ロング・ラブレター ~漂流教室~」のタイトルでテレビドラマ化されているので(常盤貴子や窪塚洋介らが出演)、今一度その原作者に焦点を当てた感じでしょうか。ドラマの話なんかほとんど出ず、執筆人は楳図かずお作品に対する愛を書きまくるわけですが…
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やはり本人が登場してインタビュアー・二階堂黎人で『楳図かずおロングインタビュー』が決行されていますし、『楳図かずおヒストリー』の中で「漂流教室」単行本ではカットされた関谷の初登場シーンが見れたり、『代表作を徹底的に読む』の執筆陣は大原まり子、ひかわ玲子、小谷真理、その他のコラムなどで柴田よしき、児嶋都、すがやみつる、久住昌之…等々。
現代マンガ図書館長の内記稔夫氏インタビューでは、ある会社で漫画家の通信教育をやっていて、それの同期でデビュー前の楳図かずお少年がいたという話を知ったり。楳図先生が通信教育で漫画を勉強…!

2004年の「文藝別冊 KAWADE夢ムック 総特集 楳図かずお」(河出書房新社刊)は、冒頭が最新作で楳図かずお先生ご本人が写真で登場するオールカラーのフォトコミック『みやこ高校新聞部番外編 ウメズの秘密』なのが嬉しい。
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それに続いて『スペシャルロング対談 僕は楳図かずおという船に乗って漂ってるだけ 楳図かずお×宇川直宏』になるのですが、これは本当になが~い上に難解!楳図作品はあれだけの深さと普遍的価値を持っているので、インテリ読者は深読みして突っ込んでみたくなるのは分かりますけどね…
そういう人が大好きなユングの集合的無意識がどうとか出してみる位は良いのですが、他の諸々、読んでて笑っちゃうくらい意味不明な言葉が出てくるので、宇川直宏さんて人はそこらへんの居酒屋とかでもこんな語り口でしゃべっているのかな、とか心配しちゃってますます内容が頭に入らない。
ただ、単に消費されるだけの現在の商業誌を批判するくだりで楳図先生が『だから、もう単純にやりたくないっていう気持ちしかない』と仰っているのですね。まだこの時代、今からちょうど10年前ですか、漫画作品の執筆を今か今かと待ちわびていた当時の私が悲しい気持ちになったのを思い出しました。

『マルチプレックス・ウメズ』としてエッセイ執筆は、竹熊健太郎、みなもと太郎、二階堂黎人、中野晴行、工藤キキ…etc. これがどれもレベル高い文章だし、作詞家としてとか俳優としての楳図先生を紹介していたり。
名作短篇「絶食」を楳図かずお版と江口寿史先生のリメイク版とで上下段に並べて、それをした漫画家である江口先生ならではの貴重な談話と共に掲載。
高校生記者シリーズの「その目が憎い!」は初出雑誌での連載時と単行本収録時とで上下段に並べているのですが、そこで判明する事実に愕然とします!
貸本時代の単行本未収録作品「歯」、これはある朝目覚めると立派な牙が生えていた男がついにはカニバリズムに走り…という怪奇劇画ですが、菊地秀行のコラムと共に収録。
オールカラーでここでしか見れない中学時代の貴重な肉筆同人誌『漫画展覧会』でその才能に驚くし、お決まりの作品紹介もレビューが良く、『楳図かずおの貸本時代』特集は相当勉強になりました。

同じく2004年の「ユリイカ 特集・楳図かずお」(青土社刊)。今度は詩の雑誌…というイメージが強いものの結局はインテリ向けの批評、思想雑誌…よって上記の宇川直宏氏に輪をかけて難しい文章が並びます。
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やはりメイン記事はご本人が登場する対談で、『世界が終ったとき、子どもがはじまる』と題されて岡崎乾二郎氏との物になります。
1958年の作品「お百度少女」が収録されているのが貴重で、あとは高橋明彦氏による『楳図かずお作品目録稿・年譜稿』が凄い。これはそんじょそこらのリストと違います。

で、その他の方々が寄稿された楳図作品に関する評論文は…インテリの文章ですよね。ユリイカなので分かりにくい文章でも自分と同種の読者を想定しているため大丈夫なのだと思いますが、こういう本の執筆者達は漫画読む時にも眉間に皺を寄せて意味の深読みばかりしているんだろうな。楽しめるかどうかこそが重要で、感想も基本的に『おもしろ~い、キャッキャッ』くらいしか言えない私とは見てるポイントが違うのでしょう。それだけ楳図作品には哲学者や学者などにも興味を持たせる物であるわけだし、うん読んでたらこれはこれで必要だとは思いましたが。
今回久々に本を開いてみたのですが、発売当時に買って全部読んだはずの本なのにまるで内容を覚えてなかったです。パラパラ読んでて気になったのは、中野晴行氏が楳図先生に語ってもらう『語り下ろし怪談』の企画を実現させたという話。録音が済んだ事を書いているのですが、未だに商品化されていませんよね。

「このマンガを読め!2007」(フリースタイル刊)は、その年のベストテンなどを選出する漫画ガイド本。
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この手の本では「このマンガがすごい!」(宝島社刊)と双璧を成す本ですが、2007年か…ええ、両誌共に1位は若杉公徳先生の「デトロイト・メタル・シティ」でした。あの時は凄いブームだったからね。
でも、ちょうどこの時点でデビュー50周年だったので記念だったとはいえ、もう10年以上漫画を描いていなかった楳図かずお先生を表紙にし、インタビューしている『このマンガを読め!』は素晴らしい!裏表紙も丸々、「超!まことちゃん」などの楳図作品宣伝。
記事はその後古泉智浩先生、山松ゆうきち先生と記事が続く流れ、この手の本としてはマニア泣かせな所に感服しましたよ。

次からはサイズがB5判以上の大判に移りますが、まず2001年の「サンデー毎日」(毎日新聞社刊)です。
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たまたま本屋でピーターパンに扮した楳図かずお先生が表紙になっているのを発見して購入したわけですが、表紙の他に本文での登場は1ページのみ。しかも雑誌が雑誌だけに政治の話をしたのでしょうが、『小泉首相なら「こいつは何かやりそう」って思える』とでかい見出しで書かれた文章。
期待しているという意味でその言葉が紹介されているのですが、答えが出た現在になってみれば小泉純一郎は靖国参拝を続けた事で保守系の政治家を騙して支持させて魔の『構造改革』を行い、また米国のポチであり大量殺戮にも加担し…等々という事になりましたよね。漫画で世界の先を予見し続けた楳図先生も、小泉に関しては見破れなかったか。

またサイズがでかくなって、「プリンツ21 2001冬号」(プリンツ21刊)は特集『楳図かずお 脳の中の宇宙』です。
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表紙を見ての通り草間彌生さまとの縞々×水玉対談が実現しているのですが、やはりオシャレなアート系雑誌なので他の記事ページもカッコいいし、このサイズで楳図かずお先生の写真・絵を見れるのも貴重でしょう。
『楳図かずおの聖地巡礼』という事で都内の幅広いゆかりの地から長野の別荘まで紹介されているし、『楳図かずおの課外活動』では漫画家以外の活動についてで、音源リストや先生が出演や原作を手がけた映像作品リストも役に立ちます。
当然寄稿している人々も良いのですが、大槻ケンヂさまはここではインディーズ時代にソノシートを出す話になって、楳図先生にジャケットを描いてもらえないかと手紙を送った、なんて秘話も出していました。

2002年の「テレビブロス(TV Bros.)」(東京ニュース通信社刊)で、「まことちゃん」が表紙の号。たまたま九州にいる時に購入したのでしょうね、『九州版』です。
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まことちゃんが表紙、というのまで出していったら連載当時の少年サンデーやその他たくさんありますが、このテレビブロスは「漂流教室」のテレビドラマ化記念。たくさんの写真と楳図絵を使われながらのインタビューと他に映像化された楳図作品の紹介で、薄い雑誌の中6ページを割いています。今回は自作が映像化されたから特集されているのに、今までの映像化で気に入っている物は無い、と言い放っているのがさすがです。
しかしテレビブロスで楳図かずお特集というのは他にも持ってたはずなのに、出てこない…"後楽園ゆうえんち"で『楳図かずおのお化け屋敷』が実現した時のとか確実に覚えているから、どこかにあると思うのですが!

2006年の「フィギュア王 Vol.101」(ワールドフォトプレス刊)。
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当時のフィギュア王といえば金子デメリン先生が「Welcome!楳図王国」を連載していた時であり、この号は『楳図かずお 祝!!デビュー満50周年特別企画』という事で17ページの大特集がされています。
ちょうど映画化された「猫目小僧」「神の左手悪魔の右手」の紹介がありますが、原作者としての辛口コメントが面白い。
もちろんフィギュア専門雑誌としての切り口で、楳図作品のレア物グッズなどを紹介しています。

今や楳図かずお関連のフィギュアは多数存在するし、私もそれなりに持ってはいますが…凄い数になるので、そちらの紹介はやめておきましょう。
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2007年の無料求人情報誌「maido!DOMO!」は、当時「ココ」で紹介していましたね。
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2009年の「楳図かずおの今からでも描ける! 4コマ漫画入門」(NHK出版刊)は、その名の通り楳図先生による漫画教室。
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NHK教育テレビで放送されていた「NHK趣味悠々」という教養番組で松本明子とシャ乱Qのまことが生徒役として出演し、楳図ハウスにも招かれて4コマ漫画を習ったのですが…それの書籍版。
これで初期の4コマ漫画が読めたり、自作を語る文章や楳図先生の写真などもたくさんあって嬉しい。4コマではありますが、もう長編を描かなくなった楳図先生の新作漫画「まこと虫の吉祥寺日記 おばけ横丁の巻」も収録されています。
かなり怖~い楳図ホラー絵も挿入されているので、普通に子供が漫画の勉強しようと思って買っちゃうと、インパクトが強すぎるかもしれません。

同じく2009年、これはさまぁ〜ず表紙なのでここに載せるのは微妙ですが…楳図先生が何と吉田戦車先生と対談した「クイック・ジャパン(QuickJapan) vol.85」(太田出版刊)。ちゃんと楳図先生のカラー写真などもあります!
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さらに売れっ子写真家・蜷川実花氏の写真には今まであまり興味がなかったのですが、この写真集はさすがに買うでしょう…楳図ハウスを撮りまくってた、その名も「UMEZZ HOUSE」(小学館刊)。
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「プリンツ21 2010春号」は、上記の2001年に続いて再び楳図かずお特集号!今度は漫画家デビュー55周年記念でした。
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やはりこの雑誌はカッコいい!80ページ超の楳図かずお特集を、ほとんどフルカラーな上に雑誌サイズが大きいのでもう、たまりません。
表紙を開くと厚紙で『プリンツ21オリジナルグワシハンド』があり、続く巻頭グラビアが『楳図かずお原画作品集1955~1995』で、正に「森の兄妹」から「14歳」までの代表作をカラー原画で掲載しているのですが、これが美しい!例えば楳図作品を知らない誰かがこの本を開いたとして、一発でそのセンスの凄さに度肝を抜かれるでしょうね。

それから『楳図かずお×マイケル・ジャクソンの天国対談』に、『楳図史上もっともデッカイ総合芸術作品 UMEZZ HOUSE』、『楳図かずおの好きなもの』は意外と知らなかった楳図先生の好きな映画や音楽や人物、食べ物までリストアップされています。
漫画を卒業してミュージシャンとして活躍している現在の『KAZZ'S BAND LIFE』、『神の一日』では楳図先生を一日付け回しての密着レポート。あれ、吉祥寺に建てられた赤白のUMEZZ HOUSE(まことちゃんハウス)は完成してから出た本ですが、まだ以前に住まれていた高尾の自宅(こちらの外壁は真黄色)に帰ってます…UMEZZ HOUSEはまだ住居というより仕事場として使っているのかな?
お決まりの略年譜や刊行書籍リストその他、まだまだ盛り沢山の内容ですが、いらないのは写真いっぱいの6ページも使った『カリスマ振付け師★KAZZのダンス講座』くらいでしょうか。いや、失礼…元気に動く楳図先生を見れるだけで嬉しいし、いつかは振り付けも覚える機会があるかもしれません。


楳図かずお特集本はこんな所にしておいて、あとは映像や音楽関係等。
2009年に作られた楳図かずお先生のドキュメンタリー映画「グワシ!楳図かずおです」(伊藤弘二監督)は観ましたか?
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そして映画といえば、今年の秋に公開される予定の楳図かずお監督デビュー作「マザー」が気になりますね。

それから、「漂流教室」元ネタとしての要素もあるウィリアム・ゴールディング原作の「蝿の王」(LORD OF THE FLIES)。
その映画化といえば1990年のハリー・フック監督版が有名ですが、実はあれ以前にも1963年のイギリスで作られており、それがカルト映画として一部で知られていただけのピーター・ブルック監督版。これも昨年めでたく日本初DVD化されまして、オリジナルジャケット画を担当したのが、楳図かずお先生でした!!特別仕様ジャケットでアートカードも封入されています。
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他にも出演映画や原作映画などがけっこうな数あるわけですが、次は音楽関係。
楳図かずお作詞の歌謡曲では、郷ひろみのシングル「寒い夜明け」(B面の「南の果実」も)が有名でしょうか。この歌詞を近田春夫氏は天才だと絶賛し、自身の楽曲でも「エレクトリック・ラブ・ストーリー」「ああ、レディハリケーン」等で楳図先生に作詞依頼しています。
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「へび少女」「猫目小僧」などサントラが出ている物もあるし、楳図かずおデビュー50周年を記念映画「楳図かずお 恐怖劇場」のサウンドトラックはルルティア(RURUTIA)製作ですが、何と楳図先生が初めて音楽監修を務めています。
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クラシック音楽で怖い曲ばかりを集めたオムニバスCD「恐怖音楽」では、曲より怖いジャケットが楳図絵。
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さらにジャケットを担当した作品ですぐに思いつくのは、GO-BANG'Sの森若香織ソロデビューアルバム「LOVE OR DIE」でしょうか。「おろち」イラストが使われたこの作品、もちろん私も買いました。
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ソロデビューシングルの方、「Happy Fine Day」は同ジャケットのおろちを森若香織さまがコスプレしていましたし!
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その「おろち」から派生したのが、作中出てくるあの流しの親子を再現した昭和歌謡ユニット"楳図かずおと夫婦烏"ですが、その楳図先生書き下ろし楽曲「新宿烏」をセルフカバーしてCD化もされました。カップリングは近田春夫に提供した名曲「ああ、レディハリケーン」のセルフカヴァー。
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他にご本人が直接歌っている物では「ココ」で紹介した「闇のアルバム」が代表作ですが、他にローリー寺西を作詞・作曲に迎え、UMEZZ名義で出したシングル「木村の兄さん」とか、
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同曲も収録した近年のベスト・アルバム「グワシ!!まことちゃん楳図かずおワールド」に、「まことちゃん音頭」など…
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映像も音源もまだまだあるのですが、今夜はここまで。それらは楳図かずお先生の活動を追う上でとても重要ではありますが…
今回メインで紹介したかったのは、何といっても特集本の方です!
私も『一番好きな漫画家は』みたいな聞かれ方をされると困りながらも、『楳図かずお先生です』と答えるウメカニスト。あれだけ有名なので一般的な知名度の点からも答えやすいですしね。
当然少年時代からずっと好きで追ってきているのですが、こういうを読むと自分なんか問題にならないレベルの高いマニアがたくさんいる事を再確認して嬉しくなります。
深読みしたがりのコアな楳図ファンである執筆者を集めてくる編集者もやはり相当に強い楳図かずお先生への愛を持っていて、他の漫画家の特集本よりも優れた本が出来上がっているのですね。ファンもやたらと濃い人が多い、それも楳図かずおワールドの魅力の一つ。
「14歳」で、『年齢180歳でなお現役の日本人漫画家』として楳図かずお先生本人がアメリカ大統領の会話の中に登場していますが、それはきっと楳図かずお先生の本当の姿!世界一長寿の記録なんかも更新しつつこれからも色々な活動をしていって欲しいと思います。

最後はこれ…宝物ですが、創刊10周年記念で現在にしたら凄まじすぎる大物漫画家達、大集合写真が表紙の週刊少年マガジン(講談社刊)。楳図かずお先生も最上段の左から二番目で笑顔を見せてくれている、1969年14号でお別れです。
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サバラはまた会うための愛言葉!!
グワシ!!はできなくても サバラはできる!!



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  1. 2014/04/19(土) 23:59:08|
  2. 楳図かずお
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楳図かずお(51) 「14歳 FOURTEEN」 2

前回の「ココ」に続いて、楳図かずお作品の集大成にして最終作である「14歳 FOURTEEN」(小学館刊)。
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「漂流教室」の続編であり、時系列では翔らが飛ばされる人類が(ほぼ)滅びた未来世界の前を描いている事を前回も書きましたが、実はそうだとすると疑問もわいてきます。前に「漂流教室」を紹介した時にも書いたように、あの作中で金環日食が起こっている事から舞台となった時期を推測出来たじゃないですか。すると現在を生きる我々には記憶に新しい2012年5月ですよね。連載開始は1972年だから、40年後の設定か。私もあの時はこれが翔が見た日食かと感慨深く見守ったものですが…ええ、それならまだ地下で人肉を喰って1人で生き延びてた人の事や、富士大レジャーランドで人類が生息している未来世界の描写が大して無かった事も納得出来るくらいの近未来だ。
しかし、ならば「14歳」の舞台は2120年前後である事が明記されているのだから「漂流教室」の滅んだ世界よりずっと後じゃないか、と気付くわけです。漂流したのは実は2012年じゃなくて、もっとずっと先の日食の時だったのかとかな…まぁ、あくまでこの2作品は同じ登場人物の1人もいるわけじゃない別作品です。そこまで統合性を求めなくていいのでしょうか。年代どうこうじゃなく、「漂流教室」で描かれなかった人類の滅びを描いたのが「14歳」である、という意味で続編とされているだけかな。貴方は、どう思いますか?

とにかく楳図作品の集大成たる「14歳」を、前回は単行本全20巻のうち半分の10巻部分まで追ってみました。
地下都市が大規模に発展してゴミは地下の海底プレートで処理しており、食用鶏肉がバイオテクノロジーで培養されている未来世界…そこで生まれたチキン・ジョージは、動物の怨念が終結した動物代表として高度な頭脳を使って人類に対する復讐を行おうとしますが、愛してしまった人間女性のバーバラを人質にされて最高位(グランド・マスター)、ローズの元で不老不死の研究を進めています。
一方、自然を克服して人工が勝った世界はやはり『不自然』であり、植物は全て枯れて地球自体の滅亡も目前に迫りました。世界中の首脳によるざんげ合戦となった地球会議が終わって、アメリカ合衆国大統領(アーサー)の息子アメリカ・ヤング、日本国総理大臣の息子岬タロウら『選ばれた子供』たちを脱出させて宇宙に送る計画が進んでいる所から…
まだまだ怒涛の勢いで物語は進みます。

基本的にキャラ立ちより物語性を重視する楳図かずお作品において、絶対的な主人公という存在はほとんど現れません。キャラクターの名前を作品タイトルにした「おろち」「猫目小僧」ですら、あくまで狂言回しだけの役割ですから、それは誰もが納得する所でしょう。
この「14歳」ではチキン・ジョージという強烈なキャラが物語を引っ張るのですが、後半から選ばれた子供達へとシフトし、中でもアメリカ・ヤングが中心、つまり主人公と呼んでいいでしょう。ただし彼は緑色の髪の毛を持つという事以外はそんなに個性が強くなく、普通に綺麗で勇敢な子供といった感じです。
そしてそのアメリカ君、何と11巻の途中にしてヘリコプター事故で死んでしまいます!緑色の髪の毛だけを残して…

そこで登場するのが、物語冒頭で登場して14歳にして子供を産んだ戸川洋子の子・きよら。彼がアメリカ・ヤングと細胞の数がたった一つ多いだけの遺伝子配列を持っていた事から、自ら望んで遺伝操作を行ってもらいアメリカと融合、転生します。世界一不幸な生い立ちから世界一幸運な子になったわけですが、でも意識は完全に元のアメリカ君の物。きよらも完全に消えたわけではないのですが…

滅亡する事が分かった人類の政府も、生き残る努力はしています。人類破滅の危機を宇宙に向かってSOSを呼びかけるのです!これがさらなる最悪の自体を巻き起こすのですけどね。それが、
第六章/大破滅 第一節・UFO大飛来
です。
巨大な十字架のUFO船団が陣形を組んで飛来してきますが、ついに着陸した異性人達の姿は!?そして彼らは敵か味方か!?

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それは顔のアップだけ、↑で載せた13巻の表紙を見てもらいましょう。ヤバイですよねその人間の女性器を思わせる口…こんなやつが正義の味方のはずはありません。
凄い数の宇宙人たちが、地球人を片っ端から強姦しまくります!ザ・レイプ!男も女も、大人も子供も、次々と凄い方法で否応無くやられていくのですが、ここの凄まじい描写は「14歳」を伝説化する原因となった見せ場の一つ。異常なほどのテンションで突き進みます。
選ばれた子供達が、いかにして我が身を宇宙人たちから守ったかも見所ですが、宇宙人たちもまた人類のように危機を迎えていたそうで、地球人を犯しまくったあげくにその遺伝子は自分達に役立たなかったからと去っていきます。さらに去り際、地球の『霊エネルギー』をズボッと奪って行って終わりなのですが、残された地球はバランスが狂ってあらゆる大震災が襲い、地下に捨てていたゴミが(核廃棄物まで)降り注ぐ。

第七章/大脱出
になだれこむと、生き残った人類も暴徒化して自らメチャクチャにしていき、アメリカは白人以外の人種は全て切り捨てる秘密文書を得たり…利己的な人間の本章があらわになったまま、破滅へ向かっていきました。
あそこまで進めていた選ばれた子供達の地球脱出計画も大幅に狂いましたが、かつてチキン・ジョージが動物脱出用に作っていた"チラノサウルス号"に乗り込めたまだ3歳の幸運な子供達は、アンドロメダに向かって飛び立ちました。しかし、ある乱入者たちによってチラノサウルス号内はいきなり戦場と化すし、そいつらのリーダーであるのばらは少女の姿をしながら悪玉ローズのコピー。
彼女の魔力で『食料として』積み込んでいた人口人間(もの)達が子供達に牙をむくようになって『殺人かくれんぼ』の開始という大変な事態に見舞われます。そう、まるで「漂流教室」における大人達のように。人口人間の怪力で子供の頭が握りつぶされ、子供の両目玉が飛び出す描写などはさすが恐怖漫画の第一人者!

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さらに別口で宇宙船を乗っ取られたチキン・ジョージの怨念が襲ってくるなど、滅亡を目前に控えた地球を脱出した子供達にも試練が降りかかり続けますね。
もちろん、のばらは女の子達に自分の性器を舐めさせたりして欲望の限りを尽くしているのですが、単純にのばらをラスボスにするわけでもなく人口人間にはむかわれたり…大宇宙空間という壮大な舞台に進みながらも結局は宇宙船の室内劇ですが、これはこれでサスペンスフルな展開です。

そうこうしているうちに
第八章/人類最後の日
第九章/人類滅亡後の旅
と進み、地球では人が死ぬと本性を現す変身してバケモノ化して本当の地獄が現れていましたが、それがさらに進むと…この壮大な物語のラストを飾る、
最終章/ムシへ。

人類はほぼ絶滅した地球では進化したゴキブリによるドラマが繰り広げられ、一方のチラノサウルス号はあれから10年が経って選ばれた子供達も『子供』でなくなる、そして人間の寿命となった14歳というタイムリミットを迎えています。
その間に根本的な解決策を見つけられなかった子供達は14歳に近い者から順に冬眠し、残った者が研究し…最後の最後まで望みを持ち続けるのです。
そんな中で見た宇宙の果て、さらに宇宙に飛び出すと…
嗚呼!スケールの大きすぎる作品がどう集約するか、もう驚くしかないラストへと読者は引っ張られるばかり。連載終盤は特に急展開で分かりにくい部分もあるのですが、編集に終わりを急かされていたそうですね。

色々な意味でここではその内容を書かずにいようと思いますが、最後にチキン・ジョージの事も少し分かり、現在ではスピリチュアル系の所で定番になっているアセンション(次元上昇)も描いているのですね。人類が次の次元、ステップに進む事が出来るのか。
さらについ先日と言えましょうか…2012年に突如、楳図かずお作品の復刊シリーズとして刊行を続けていた『UMEZZ PERFECTION!』版の「14歳」で、まさかの!筆を置いた楳図かずお先生による!フルカラー18ページの描き下ろしが追加されたのですね。分厚い本の全4巻として。
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連載終了から数えて…17年ですか。これを蛇足と思うかついにやってくれた真の結末と思うかは貴方次第。

ええ、やはり「14歳」を集まるなら表紙がカッコいいオリジナル版の全20巻をずっと薦めてきた私ですが、
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UMEZZ PERFECTION!シリーズで内容も変えて復刊した以上は新たなエンディングを見るために、そちらも読んでこそのファンでありましょう。とにかくこれが偉大なる楳図かずお先生が最後に描いた長編漫画「14歳」


ぼくは信じる!!
人間はやさしくて美しく、賢い生き物だっ!!
そして、本当の神になるため宇宙へ出て行ったんだ!



  1. 2014/04/11(金) 23:59:18|
  2. 楳図かずお
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楳図かずお(50) 「14歳 FOURTEEN」 1

わたしの名前は、チキン・ジョージ。
誰にも望まれずに、生まれてきました。



楳図かずお先生の「14歳 FOURTEEN」(小学館刊)。
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楳図かずお先生はこれを最後に長編漫画を描いていないので一応最新作ですが、連載は1990年から1995年のビッグコミックスピリッツ…終了時で見てももうすぐ20年。漫画界に偉大すぎる業績を残しながらも、もはやそんなに長い期間描いてないのです。
単行本は全20巻と、全楳図作品の中でも「まことちゃん」に次ぐ巻数であり、つまり長編ストーリー物では一番の長さとなる終末SF漫画です。

あの「漂流教室」の続編だとも公言されている作品ですが、作中の時間軸的には翔らが飛ばされる未来の世界の前で、いかに人類が滅びたかを描いています。
この『最後の作品』はキャリアの集大成だけに、それ以前の作品で見られたネタがいくつも見られます。子供と寿命という事で流れは短篇「Rojin」から来てるし、終末モノというテーマの点では「地球最後の日」「笑い仮面」を思い出す。チキン・ジョージという存在の元ネタは貸本期の傑作「ばけもの」で描かれた動物の憎悪心が具現化した怪物かもしれないし、さらにこのキャラの心理は「洗礼」だとか、この場面は「闇のアルバム」だ、このキャラは「わたしは真悟」…と、他にもまだまだ熱心な読者なら嬉しい気付きがありますね。さらには「14歳」から遡る事30数年前…あの単独デビュー作「別世界」で出てきたガイコツ岩まで登場しますよ!

壮大なスケールの話を、荒唐無稽さもかまわず勢いにまかせて突っ走って描いている感じが素晴らしいですが、すぐに違和感を覚えるのはその絵。あれ、絵柄が違うと。意識して歪めて描いている部分はもちろんあるのですが、ちょっと下手なカットも多くて…私はずっと週刊誌の連載だから間に合わず、適当に描いたりアシスタント任せにしている部分があるのかと思っていたのですが、今や真相は判明しています。
この頃、少年時代からずっと漫画を描いてきた楳図先生がついに重度の腱鞘炎を患らってしまい、不自由な手で頑張って描かれていたのだそうです。これはこれで味のある絵だ、そう思って読みましょう。

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さて「14歳」のストーリーを紹介していきましょう。
まず舞台は、今より何だか汚らしい世界になっている近未来の22世紀。女子中学生のヨッコこと戸川洋子は14歳にして歌手とセックスして子を身ごもっていたので、親友に連れられて占い師の元へ悩み相談に訪れます。その占い師は突如口からエクトプラズムを吐き出しました。エクトプラズムが『14歳で終わる。』と言葉を発して泣き出すと、ヨッコらは叫びながら逃げて行く…インパクトの強いオープニングは、後で活きてくる事になります。

それから東京名物で『東京ピラミッド』と呼ばれる"チキンカンパニー"、バイオチキン製造技術を開発した鶏肉製造工場ですが、ここから鳥の頭の怪人チキン・ジョージが生まれました。長編なので生まれる過程もじっくり描いていますが、異様すぎる風貌の彼が人間とは比べ物にならないほど高度な頭脳を持ち、自らを動物の怨念が終結して生まれた動物代表と認識します。全ての動物を救い、多くの動物を絶滅させた人類に対して復讐する事を誓うのです。

『うろたえろ うろたえろ、思い上がった人間どもめ!
 だが、こんなものはほんの手始めだ!
 いずれ、心の底から震え上がる恐怖を味わわせてやる!
 お前らが、今までに一度も経験したことのない恐怖を………!
 ハハハ!ハハハ!』


それから地球上で産まれる赤ちゃんが全部、全身緑色になるという異変が起こります。チキン・ジョージの存在が動物の呪いなら、この緑病は植物の呪い。この後すぐ、地上の植物がいっせいに枯れ始める事になります。
初めて産まれた緑病の赤ちゃんは冒頭に出てきた日本の14歳の少女、ヨッコの息子。学校の体育館でおぞましく産まれた世界一不幸な生い立ちの彼は、きよらと名付けられました。
この母子はチキン・ジョージと邂逅して命を救われ、きよらと同年に産まれた子は14歳で終わる、そしてこの子の代で人類自体も滅ぶ事を知らされます。
チキン・ジョージは世界中の学問を学びましたが、さらなる知識を得るため秘密基地であらゆる実験を繰り返しており、ヨッコに神様だと思われるのもあながち間違いではない存在になっています。彼の技術にかかると、手持ちのトランクからチラノザウルスが出てきて大暴れといった奇想天外な展開も有得る話になりますね。

しかしチキン・ジョージは『人間の恐ろしい秘密』を知ってトサカが真っ白になったり、まぁ世界の核心を全部知ったのだと思いますが、それらを言おうとして引っ込めたり、物語全体がそうですが引っ張りすぎなんですよね。
それが長編を続ける秘訣かもしれませんが、いつも内容がギッシリ濃かった楳図かずお作品らしからぬ感じで1回1回の内容が薄い…

また物語は宇宙規模にまで発展するスケールの大きさなので、世界の首脳が登場します。この時代もやはり人間の代表はアメリカ合衆国大統領のアーサー・ヤングで、正義漢の素晴らしい政治家。初めて産まれたその息子はアメリカ・ヤング。きよらと同い年で、やはり緑病ですが彼は髪の毛だけ。
我らが日本国の岬一郎総理大臣(まさかの初期作品、少年探偵・岬一郎シリーズから!)の子はタロウ、フランスのジュウル大統領もカトリーヌという同じ年齢の子供がおり、現実世界と違って元首同士が本当の親友みたいな感じです。

加えて悪役の権力者としては、世界の経済を自由に操る最高位(グランド・マスター)のローズが登場。不老不死を追い求め、チキン・ジョージから何と九千兆ドルでその知識を買い取りました。売ったチキン・ジョージの方は、あと14年で滅ぶ人類と決別して動物を連れて地球脱出すべく"チラノサウルス号"というロケットの建設開始。

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チキン・ジョージと動物達の地球脱出まであと一歩と迫った所で、急展開。
あの天才科学者を止めるのは、魅力的な人間の女でした…つまり、ローズの手先である美女・バーバラの魅力に心を奪われ、地球を離れる事が出来なくなりました!
しかし動物達を裏切れずに薬品を飲んで天才すぎる頭脳を自ら退化させ、人間の欲望に協力出来なくしてからバーバラとの愛に生きる道へ進むのです。

ここまで、
第一章/チキン・ジョージ
第二章/緑の髪の少年
第三章/不老不死の血

と進んできたのですが、第四章/地球重態で突如チベットが舞台になります。最初の2話だけですが、ある一家が『落ちてくる空』から逃げるシュールな話で、これが楳図ホラーとして評価したい素晴らしい出来栄えでした。「14歳」中で世界に異変が起こっている事を伝える重要なエピソードではあるのですが、単独作品だったらもっと人々の目に触れたのかな。

『病理学的に言うならば、地球は死にかけている!!まさに地球は重態ですぞ!!
そして、この私の説が正しければ、いまに、さらに恐ろしいことが起きる!つまり!!
地球の人類に対する復讐が始まるでしょう!!』


そして私は「14歳」の目玉の一つと思っているのですが、地球滅亡を前に各国の首脳がアイスランドに集まった文字通り最後の地球会議。この時点で地球はあと三年で終わる事が発表されると、それぞれ首脳達は全員が川のような涙を流し、ざんげを始めるのです!
やはり歴史上自然破壊や先住の動物や人類に対する蹂躙を繰り返し、広島と長崎に対しての原爆投下までを正義の名のもとに行ってきた忌まわしきアメリカ合衆国、そのヤング大統領は地球を死に追い詰めたのはアメリカだと思うと告白し、すると続いてヨーロッパや日本、あの韓国までが続いて長々とざんげするのです。その内容もけっこう核心をついているのですが、地球と人類の最後を前にしてようやく…

チキン・ジョージは捕らえられてローズの元で不老不死の研究をさせられていますが、今作の主人公は彼の周辺から、こんな時代に生まれた子供達へとシフトしていきます。
第五章/子ども選び
に入ると、不老不死研究の成果で『もの』と呼ばれる人口人間が誕生していて、殺人プロレスが人気興行となっているのですが、リング上で相手レスラーを犯し、心臓をえぐり出し…と、おぞましい物がウケている時代。
章のタイトルになっている『子ども選び』というのは、もう人間が住めなくなる地球から限定数だけの選ばれた子供を脱出させて宇宙に送る計画。頭が良くて健康で、運が強いという三つの条件を持つ子供達を!

なかなか物語の核心を見せずに不気味なキャラ達だけで展開していた序盤から、中盤に移るとようやくそれらの伏線を回収し始め、つながってきました…
ここから終わりまで、怒涛の勢いで流れていきます。
物語の100年ちょい前、21世紀の現実を生きる我々読者には環境破壊の愚かさなどを訴えながら魅せる超エンターテイメント、続きはまだ次回。


考えてみれば、間違いなく人類は確かに14歳だ!!どう考えてもそれ以上ではない!!
つまり、自分達の母体である地球を、自分の手で壊してしまう、いまだ未熟な存在なのだ!!
だから、人類はやっと14歳だということだっ!!
14歳という言葉は そのまま人類という意味だ!!



  1. 2014/04/07(月) 23:00:56|
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楳図かずお(49) 「恐怖への招待」

楳図かずお先生の「恐怖への招待」(河出書房新社刊)。画像右は河出文庫版です。
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膨大な数に及ぶ楳図かずお作品において、貴重な貴重な活字本です。
まだ現在のように楳図かずお特集のムック本などがまるで出版されていなかった時代、これで初めて楳図先生の考えや人物像を理解出来たものでした。
とはいえ自ら文章を書いたのではなく、インタビューにより構成したもにではありますが。

語りだし冒頭から『自分とはなんだろう』みたいな話から始まって、恐怖という感覚だとか地球だとか科学だとか、天才ならではの視点で鋭い分析をしています。
楳図かずお先生をテレビに出る時のおちゃらけている姿でしか知らない人は、その奥が深くて哲学的な頭の中を覗いてビックリするでしょう。しかもインテリな学者みたいに難解な事をそのまま話すのではなく、凡人である我々読者にも分かり易く経験則を基にして語っているのが印象的です。

もちろん楳図かずお先生の生い立ちや、漫画家になった経緯とその後の経歴、1988年時点での現状までが本人の口から細かく語られているので、私のように作品だけでなく楳図先生本人をもミーハーに追いかけたいファンにとっては情報の宝庫!
一番古い記憶(高野山の山奥に住んでた頃)の事だとか、子供のマンガを描いているから誤解されるけど実は子供は好きじゃないとか、両親についてまで…
おっと絵柄・デザインについてはダリとギーガーが好きだと告白しつつ、『どちらもスペインの人だ』なんて情報として間違っている部分もあります。私もH・R・ギーガーは好きで画集を何冊も買っていましたが、彼はスイス人です。これが文庫版の加筆・修正時にも直ってないのは不思議ですが、これも勘違い部分としてあえて残したのかな。

「猫目小僧」「おろち」「イアラ」といった名作の創作ノートが見れるのも嬉しい!
さらにさらに、中学時代に学校でつけていた授業のノートも公開されていますが、当時のイラストいっぱいで貴重です。

もう一つ貴重なのは、「Rojin」という1985年の短編漫画が読める事。これが絵も内容も完璧で、楳図かずお作品の持つおぞましさと文学性まで含んだ超名作なんですよ。
当時は単行本未収録作品だったこの作品も現在では他の短編集で読めるようになりましたが、創作段階でのノートまで見れるのはこの本でだけ。
1988年の新書版は、さらに冒頭4ページがオールカラーになっています。

ついでに新書版と文庫版を少し比べておきますか。
新書の方が当然大きくて良いのですが、さらにこちらにはたくさん挿入されていたイラストの数々が文庫ではことごとく削られているので、当然ながら新書版がお薦め。楳図かずお先生ご本人も写る仕事場での写真が、文庫では無くなっているのが特にいただけない!
まぁそもそも文庫はサイズを小さく、安くした普及版としての役割が重要なので仕方ないか。ただ文庫版には加筆・修正部分があるし、8年後の1996年時点での新たな言葉『あとがきにかえて』が収録されているので…結局は私のように両方買うのが良いでしょう。楳図かずおファンのマストアイテム、「恐怖への招待」でした!


少年や少女を恐怖にさらせばたしかに物語はもりあがる。
しかし、それ以上に、僕は子供自体に人類の本質を見ているのだ。



  1. 2014/03/31(月) 23:03:31|
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楳図かずお(48) 「神の左手悪魔の右手」

楳図かずお先生の「神の左手悪魔の右手」(小学館刊)。
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ビッグコミックスピリッツにて、前回紹介した「わたしは真悟」に続く形で1986年から1989年まで連載された作品で、単行本は全6巻。
真悟はSF要素の高い作品でしたが、今度は一番得意なホラー。それも今までに類を見ないほど純然と恐怖を追及した内容になっています。ただしサイコ・サスペンスとかって言葉が出てくる前から心理的な恐怖漫画を量産してきた楳図かずお先生が、グロさを前面に出したスプラッター度の高い作品を手がけた所は特筆しておきましょう。やるとなれば徹底的に…どぎつい描写のオンパレードで!

今回は"八天王市立八天王小学校"に通う1年生の山の辺想が主人公。この年齢なので、夢と現実の区別が曖昧な部分があったり、周囲の人々に言う事を信じてもらえないのがポイント。想は悪夢ばかり見て苦しんでいるのですが、これはもう書いちゃうと夢の中で癒しの『神の左手』と攻撃の『悪魔の右手』を駆使して事件を解決すると、それが現実にも反映されて…と、幻想的かつヒーロー物の要素もあるのです。

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今作は連作長編の形で、全6巻の中にHORROR/1~HORROR/5まで、5つのエピソードが収録されています。

まずは『HORROR/1 錆びたハサミ』。当然1巻の最初から始まるのですが、表紙をめくるといきなり、少女の両目をハサミがぶっ刺している見開きページ!それも顔の中(内側)から突き破って飛び出てくる図なのですが、気合い充分すぎますね。青年誌に連載しているから良いものの、これ子供が見ちゃったら冒頭だけでページを閉じ、トラウマだけ残して本を遠ざける事になりますよね。
最初の凄いインパクトそのままに、ほぼ毎回過度とも言える残酷絵、グロ絵が出てきます。もちろん楳図かずお先生の絵ですからね、グロくても美しい。
拾った錆びたハサミと都市伝説を絡めて進むこのエピソードは、想の姉で高校生のが酷い目に遭いまくるのですが、口から教室の床を埋め尽くすほどの臭い泥を吐き出すシーンが圧巻!その後、人間の骸骨も次々と吐き出し、さらには体内からおっぱいを突き破って新聞が、腹から三輪車が飛び出して…と続くのですが、これらはある空間と泉の体がつながってしまった事で怒る怪現象でした。
「神の左手悪魔の右手」は生々しいショック描写に重点を置いているのは確かであるものの、やはりストーリー構成の上手さはこのエピソードだけ読めば充分に分かると思います。

『HORROR/2 消えた消しゴム』は、子供たちがイタズラで担任の女教師を殺してしまう事から始まるのですが、それに関わった児童が1人1人順に消されていき、最後に想が…という話。子供の無邪気さと残酷さも描きつつ、ある種のモンスター物でもありました。
最後に夢の中で変身したあいつ(後で名前はヌーメラウーメラだと分かる)になった時、敵に
『あなたは想!!』
『想なのね!?』
『そうでしょう!?』
と言われる、まぁ細かいシャレというかギャグが入れられています。

『HORROR/3 女王蜘蛛の舌』は、避暑地に遊びに行った山の辺姉弟が蜘蛛女と出会い、対決する話。蜘蛛嫌いの人は多いと思いますが、そういう人にこそ読んでもらいたい…生理的嫌悪感の強い作品。この1編で蜘蛛を一体何万匹描いたのですか!

『HORROR/4 黒い絵本』では、想は今までと違って会った事のない遠い所に住む親子の夢を見て、その子供…足の悪いももちゃんという少女を助けに向かうのです。
父親の正体は恐ろしい殺人鬼なのですが、これまた血!血!また血!という残酷ファンタジー。

ラストは5,6巻を全て使った長編『HORROR/5 影亡者』
泉の同級生・みよ子に憑いた恐ろしい守護霊(背後霊)、影亡者が他人の守護霊を惨殺しておとしめていく。地味な少女だったみよ子は、影亡者に守られて強運の持ち主になったためスターになりますが、はじかれた本来の守護霊が…そんな話。
想はみよ子を追って病院に行った時から急に覚醒している状態でも霊が見えるようになるのですが、影亡者が暴れ回ったため血まみれの霊達ばかり。というか、霊が死にかけている、とか霊のバラバラ死体とかって斬新ですね。これで見ると例も人間と同じような構造をしているらしく、脳みそとか内臓をぶちまけ、血まみれになっています。
想にしか見えない、みよ子にベッタリと憑いている影亡者のデザインは、「進撃の巨人」似。というよりどちらも、筋肉むき出しの人体模型がモデルなのか。
みよ子に危害を加えようとしたスケバンも守護霊が殺されると、自分も階段から落ちて顔面が消火器に突き刺さり、中の溶液が噴射!耳や口から吹き出す…ってゴア描写ここに極めり。霊能者の香月先生の頭がグシャっと潰れた時の描写もヤバいし、ホントよくやりますよ。
みよ子自身の人格も変わっているので影亡者だけじゃなく自らの手も汚していますが、芸能界でライバルの少女の何と女性器に硫酸らしき液体をぶっ掛ける!
間違いなく今作で最大の強敵である影亡者に対して、想は自身の存続の危機にもさらされますが、ヌーメラウーメラとなって解決する事はできるのか!?

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ん?最後の悪い背後霊が他者の背後霊を食って運を奪う話、他でも読んだって!?
そう、「妄想の花園 単行本未収録作品集」で『ホラーの妄想』の巻に収録された1987年の短編「背猛霊」も同アイデアの、いわば兄弟作品。凄いアイデアだけに楳図先生もお気に入りだったのか、ほぼ同時期に2回ネタにしているのです。
ちなみにその「妄想の花園」には、小学館文庫ビッグコミックススペシャル 楳図パーフェクションといった後の単行本にも収録されていない「神の左手悪魔の右手」の番外編「おふだ」がありました。しっかりスプラッター物ですが、想は出てこないし何故同じシリーズなのか分からないくらいの4ページ漫画です。

そんな「神の左手悪魔の右手」…ビジュアルはもちろん、過剰でおぞましいゴアなアイデアを楽しめる作品でありますが、実はストーリーも奥が深い。
というのも主人公のキャラと展開から、どこまでが妄想・虚構だったのか分からない部分が多いのです。考えてみればあの時もこの時も、いやそもそもアレは?となるのですが、答えは読者自身が判断するしかないのですね。
この作品を連載終了した理由が、担当の編集者が育ったアシスタントを勝手に引き抜いたからだというから、惜しい話です。

ちなみに「神の左手悪魔の右手」は、2006年に実写映画化されています。
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この原作なら、きっとマリオ・バーヴァやルチオ・フルチといったイタリアのホラー映画監督が生きていれば撮りたがったでしょう。そして全盛期そのままに撮り上げたら、とんでもない傑作になっていたと思うのですが、製作したのはやはり日本。
しかも映画「ビー・バップ・ハイスクール」のシリーズで知られる那須博之監督作品となる予定でしたが、何と監督が急死して金子修介監督が引き継いで完成させる事となりました。楳図かずお先生も自ら出演しているのが嬉しいポイントではありましたが、楳図作品実写化の常。やはりイマイチでした…


わたしはヌーメラウーメラ!!
この世のもとなり!! もとはうたえり!!
神の左手!! 悪魔の右手!!!
あの世の者!!消えよ!!



  1. 2014/03/28(金) 23:00:16|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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