大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(24) 石森章太郎 15 「アガルタ」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「アガルタ」(朝日ソノラマ刊)です。
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これは週刊少女コミック(小学館刊)にて1974年から「星の伝説アガルタ」のタイトルで連載された作品で、単行本発売時に「アガルタ」と改題した全1巻。

悲しい物語を背景に、UFOや超能力や伝説等の不思議を追求し、しかもラブストーリーになっている傑作です。
まず、石森章太郎先生が西武池袋線桜台駅近くの喫茶店"ラタン"で、押しかけファンで円盤キチガイの少女橘レミとUFO談義をしていると…

あ、いきなり中断しますがこのラタンという店は実在して、写真も載っています。
ここには石森章太郎先生の専用席があって、毎日のようにマンガのネームを入れていたとしてファンに知られるお店です。
そして、以前紹介した「奇人クラブ」所蔵の「吸血」と同じようにいきなり石森先生ご本人が登場していますが、かなり「吸血」と共通する部分が多い作品です。他にも先生本人が出てくる作品はいくつもありますが…
そして石森先生の自宅や仕事場の詳細な描写も、ファンにはたまりません!

…話を戻して、二人が話しているその場に、石森SFのファンだという若い男がSF漫画「アガルタ」を持ち込みしてアシスタント志望して訪ねてきました。このタイトルは後に分かる重要な意味があります。
彼の名は黒木シュンで、故郷は秋田県鹿角市…十和田湖近くの小さな村だと言います。
アシスタントに採用されたシュンは暗い影を持った男ですが、オキャンなレミとすぐに仲良くなりました。
それからレミに円盤についての講釈を受けたりしますが、レミが飼う犬のペロはシュンにひどく攻撃的。シュンが普通の人じゃないのを見抜いているようです…

シュンの村からユリユウという姉弟が追ってきて、超能力を使ってレミの周辺に嫌がらせの超常現象を起こすようになると…これ以上迷惑をかけないようにと、シュンは石森プロから姿を消しました。
納得できないレミは石森先生からシュンの履歴書を借り、故郷の秋田県那須加村へ向かうわけです。
そう、鹿角市から来たと言ってましたが、実は履歴書を見ると鹿角市には高校があっただけで、本当の出身地の名は…何と那須加村(ナスカ)村!

そこで出会ったサングラスの男(実は三つ目がある)にR・E・ディクホフが描いた「アガルタ」の話をされますが…後にシュンが語る所によると、作品タイトルにもなっている「アガルタ」というのはラマ教の預言書で、アトランチスの地価城砦の名でもあるのだとか。

村人達に追われ、レミは助けてくれたシュンと共にウロコだらけの体をしたご先祖様達が住む地下の道を逃げると、何とユリがシュン達を助けるために出てきて死に、さらに逃げる二人でしたが…
ここでシュンがずっと隠していた秘密を語り、やっと全ての謎が解けます。
それは聖書のアダムとイブの話が真実で、知恵のリンゴを食べさせた、ヘビに似た彼らこそがシュンの先祖にして遠い昔に宇宙の彼方から飛来してきた者。
早く彼らに高度な文明を持ってもらい自分達も故郷へ帰りたいとの想いからした、この行為が"銀河連邦進化管理局"に目を付けられ、この正義の旗を振りかざした破壊者(デストロイヤー)によってアトランチスは破壊され、それから云々…と、壮大な物語が語られました。

そしてユウはあっという間に消され、最後まで超能力で抵抗したシュンの
『…オレはただ…オレはただ 自由がほしかっただけだ
…東京へ出て好きな仕事のできる ほんのささやかな幸福が!!』

という訴えも虚しく、消されました。

普通の地球人なので命は助かったレミでしたが、あまりにも悲痛な失恋…
そして空いた机を見て、悲しい運命にどうにも抗えなかった、あまりに切ない人生を生きたシュンを思い出す石森章太郎先生でした。


…行きましょう! いっしょに!! …石森先生もいってたわ
やりたいことを途中でほうりだすなんて…若い者はなっとらんって!!
…シュンをそんなふうにみられたくないわ…約束したじゃないー
ステキなまんが家になるって…!!



  1. 2008/10/08(水) 23:12:52|
  2. トキワ荘
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トキワ荘(23) 石森章太郎 14 「009ノ1」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「009ノ1」(朝日ソノラマ刊)です。
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漫画アクション(双葉社刊)にて1967年から連載された作品で、単行本は全5巻。

テレビアニメ化もされた有名作品で、しかもなかなか傑作なわりには知名度が低い作品ですが、私は石森章太郎先生の特徴を現す大切な作品だと思ってますよ。

まずタイトルが「009ノ1」となると読み方から難しいかもしれませんが、これで"ゼロゼロナイン・ワン"と読みます。
最も、石ノ森章太郎と改名してダメになってからでしょうか、"ゼロゼロクノイチ"という読み方にしている単行本もあるようですが。
もちろん「サイボーグ009」と女忍者の"くの一"を混ぜて作られたタイトルに間違いないので、それでもいいですけどね。

掲載が1967年…というと青年向けマンガ雑誌の創刊が相次いだ時代であり、正にこれが石森章太郎先生初の青年向け漫画と言えるのですが、代表作にしてライフワークである「サイボーグ009」の番外編的な所もあり、そしてアダルト版です。

それまでは、あの少年漫画のお手本のような作風だった石森章太郎先生が子供向け漫画で作ってきた作風を捨ててセックス&バイオレンスに目覚める様を見たいなら、この「009ノ1」を読みましょう。

舞台は未来の設定なのですが、描かれたのがアメリカVSソ連の二大強国冷戦時代に執筆されているので、設定はそのまま…
国名をウエスト・ブロックイースト・ブロックというように単純化させています。
そのウエスト・ブロックから、主人公の秘密諜報機関員009ノ1がイースト・ブロックを相手に活躍する物語。

基本的に1話完結形式で進むのですが、これが青年誌に進出したにふさわしい実験続きで、セリフ無しのモノローグだけで話が終わるシュールな作風もあったり…石森章太郎先生はかなり楽しんでいるようにも見えます。
前半はまだまだ少年マンガ的だったのに、後半は劇画タッチに開眼してそれぞれの話の表紙絵はリアルで芸術的だし、内容自体も単なるスパイ物に収まらない主人公の心の傷なんかを繊細に描くようになりました。

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主人公の009ノ1ことミレーヌ・ホフマンは、サイボーグ化したスパイ。
1965年生まれで21歳の設定ですが、当時からしたら近未来である1986年あたりを描いていたわけですよね…その後、そんなに進化していなくてすみません!
(この設定は後の再発時にさすがに変えたのかな?)
ちなみに009ノ1の血液型はAB型。私と同じです。

これも石森漫画の特徴ではありますが、女性サイボーグは当然のようにおっぱいからビーム…ならぬ、弾丸を発射します。
この…女性には立派な乳首があるからそこから弾が出るはずだっていう発想が素晴らしいと思います。
とにかく胸にマシンガンが仕込まれているわけですが、他に足の骨に跳躍力をアップする特殊なバネを埋め込み、体のあらゆる部位に特殊道具を付けられてシークレット・ウーメンとして組織の命令を実行して行くのです。

物凄くセクシーなその体を使うのは女スパイの常でありますが、
『時間まで軽くプレイSEXの お相手をしてあげましょうか……?』
なんて言ったり、とにかく体の全てをいろんな意味で武器にしているキャラクターです。

彼女が所属するウエスト・ブロック00機関のボスがハゲ頭に陥没した眼(これ、サングラス?)の光る頭(ヘッドライト)。
彼の下す指令は絶対だと遂行していくのですが、1話完結形式だと作者がいろいろ手を変え品を変えやるから面白い。
タイムマシンで紀元前二百万年前に行ったり、恐竜を呼んでみたり、偏執狂(パラノイア)のイルカ達の世界で戦ったり、背中のコブを笑った女達に復讐するせむし、合成人間、未来から送られてきたイースト・ブロックの人間(ここで未来にいたるも争い続けていると分かる…)、火星の菌に乗っ取られた死体、それこそありとあらゆる敵と関わり、戦う009ノ1=ミレーヌ。

この「009ノ1」で一番の長編となっている「古城よりの招待」だけ特筆しておきますと、この時はウエスト・ブロックとイースト・ブロックの両方が順番に殺されていって、招待者で城主のリヴェンジによる両方への復讐が成されていくのですが…
その009ノ1側であるウエスト・ブロックの味方に、「サイボーグ009」における002、名前もジェットとそのままの奴がいて、歳こそ取っているものの、そのジェットがギロチンにかけられて首斬られるのは…ジェットファンである私には辛かった!
すぐ後に城主のリヴェンジも目的を遂げて自殺する、やりきれない話でしたしね。

あとは009ノ1=ミレーヌには同じセクションの同僚で、コードネームに009-(2〜12)を持つ姉妹達もいて、つまりミレーヌ含めて12人いるといつ設定もありました。
こういうのは、いくらでも代わりがいるようで私としては不満も残りますが、組織としては必要な事でしょう。
ちなみに全員同じ顔なのですが、これは整形してミレーヌに合わせているのでしょうか?

後半になってやっと分かってくるミレーヌの出生の秘密…
実は両親がウエストブロックとイーストブロックの戦闘に巻き込まれ死亡していたのですが、たまたまウエストブロックの兵士に拾われた為にウエストブロックで育っただけのミレーヌなのです。
その時に生き別れた弟のポールは逆側、イースト・ブロックで凄腕スパイとして活躍している事が分かり…
罪滅ぼしなのか戦略なのか、弟にも身を任せる(つまり近親相姦)シーンを経て弟は自殺、ミレーヌ自身も心の傷を負うという暗い話もありました。

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とにかく最終話「昨日の暦」でいろんな謎が解けると同時に、またさらなる謎を生んで終わる「009ノ1」という、悲しい物語。
過去を思い出し、孤児収容施設から連れてこられた孤児だと明かし…

かつては例えば母親が見ている前で息子を撃ち殺す残忍性を見せたりもしていたミレーヌでしたが、最後の指令では赤ちゃんが出来て幸せになろうとしている男女を殺す事が出来ず、その裏切り行為の原因を組織によってコンピューターで調べられ、結局はまた今後も組織に使われていくどうにもならないミレーヌを描き・・・終わり。
『……この傷み この傷だらけの身体…!!
でも…こんなものは 局の医務室に駆けこめば……
たちまちあとかたもなく消してくれる
でも 傷だらけの心やその痛みは……
誰も癒しては れないのだ 誰も!!』

というのがミレーヌがしてきた事に対する最後の所感なわけですが、そうですよね、こんなのどっちが正義もクソもない、当たり前の事に思い当たったのでしょう。
そしてこれは、石森サイボーグ戦士が必ず通る道です、頑張れミレーヌ!!

洒落て小粋な会話なんかも多くて臭いくらいで、初の青年向け漫画だからか大人のセンスを意識しすぎた感もある「009ノ1」ですが、この1話1話に簡単には言い尽くせない魅力が含んでいて、まぁ大して深い内容でもないのでしょうが、石森コレクターの私にもトップクラスの愛着を持てる作品でした。


超能力を持ったミュータントに生まれてきたのは あの子たちの罪じゃない
も もしかしたら神の思召しかもしれないのだ!
新しい時代のための新しい人類……
それなのに わたしたちは「遺伝変種絶滅法」を持っている
あの子たちは これから何処へ……!?



  1. 2008/10/07(火) 23:00:43|
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トキワ荘(22) 石森章太郎 13 「時の狩人」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「時の狩人」(朝日ソノラマ刊)です。
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先月紹介した「ワイルドキャット」と同じくプレイコミック(秋田書店刊)にて、1970年から半年弱連載されていた作品で、単行本は全1巻。
簡単に言えばタイムパトロール物のSFですが、これは普通じゃないです。

主要登場人物が生きてる時代設定は、多分2157年以降。
実際には何年か分かりませんが、説明文で引用される様々な書物のうち、一番新しい発行年のが2157年なので。
その時代では、ヘルメットみたいなかぶり物のセクサー(SEXER)という機械によって性的快楽を味わえるようになっていて、現在のセックスのような男女が裸で絡み合う、汚い肉の情交は"道徳法"で禁じられて無くなっています。

しかし彫刻家のシローは、その行為を夢見るようになり、しかもモデルになってくれたレダという美人もそんな夢を見ていたという。
そして二人は"その行為"を楽しみまくり…そう、四十八手とまではいきませんが見開きページで絡みまくって、
『ア……あ こ こんなに……こんなにも……
"夢"でない 肌を触れ合う情交(セックス)が素晴らしいものだなんて………
あ あたしは知らなかった!』
『こ これが本当なんだ!
これが真実の人間らしい生き方なんだ』

とか言って感激しています。

しかし、レダは人妻でした。
シローは、レダが夫のガイとセクサーかぶってしている現場に入り込み、ナイフを夫に突き刺してレダを連れて逃げます!
しかも夫の職業は時間局員(タイムパトロール)であるため、彼のT・T・B(タイムトラベルベルト)を盗み、100万年前の彼方に逃げ込んだのです!!

そして刃先が急所を外れていたので助かったガイは、いろんな時代を逃げまくるシローとレダを追い、二人は各時代でその時代の人に化けて逃げ続ける…というお話。
妻を取られたガイはハゲのおっさんなのですが、こちらの方が時間局員で正義、追う側の主人公!?
いくら何でも、このハゲを正義側にしなくてもいいのに!!
時をかける少女・・・ならぬ、時をかけるおっさんです。
まぁ「時の狩人」は、明らかに大人向け作品ですからね。

シローとレダの時間を超えた逃亡先は、原人のいる過去から戦国時代、江戸時代、大東亜戦争、現在、そして未来まで行き、公害で生まれたミュータント達にまぎれたりもしています。
そう、あの時代を反映して公害病ネタが多いのですが、ちょうど連載中に三島由紀夫が自決したので、この時も「三島由紀夫の死」というタイトルで一話丸々使ってます。
その回がまた実験的というか、あのハラキリに関して寄せられた総理や作家、新聞に主婦までの文章を集めて活字だらけにし、そのバックでシローとレダが逃げ、ガイが追う…シュールなモノでした。

ガイはたまたま何処かの"時"から逃げ出した奴を殺したりもしましたが、肝心のシローとレダには最終話の「第四氷河期」まで逃げられ続けました。
流れ続けた時代の最後は、恐らくは人類滅亡の時で幕を閉じる…
シローとレダも、さすがにここまではガイも追ってこないと初めてのんびり暮らせたのですが、ここへきてついに!ガイは二人を撃ち殺しました。

自分の妻を奪って逃げたシロー、そして裏切った妻のレダをついに殺したわけですが、
『……お前たちを何度見逃してやろうと思ったか…
だが……これが"時"の掟なのだ』

と涙を流し、あくまで私情ではなく仕事、掟のためだったようです。
しかしその後すぐ、ガイはこの氷河期にシローが仲良くなった老人に撃ち殺されるのです!
最終コマで崩れ、滅んでいく街の描写・・・終わり。

全体に流れる暗いムード、殺伐とした雰囲気が好きな作品でした。

…狩人(ハンター)さ 獣の……
"時"は移るが……人の精神は……
いつまでも獣のままでな……!



  1. 2008/10/06(月) 23:25:34|
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トキワ荘(21) 石森章太郎 12 「ワイルドキャット」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「ワイルドキャット」(朝日ソノラマ刊)です。
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プレイコミック(秋田書店刊)にて、1968年の創刊号から1年ちょっとの間連載されていた作品で、単行本は全3巻。

超能力を扱った作品で、石森章太郎先生で超能力漫画といえば、「イナズマン」「ミュータント サブ」「怪人同盟」…それに平井和正原作ですが「幻魔大戦」なんかも有名ですね。


この「ワイルドキャット」は青年向け漫画で、主人公はネネという美人。しかもグラマーな上に頻繁にヌードになってくれます。
初登場シーンからしてオールヌードで嬉しい、そんな彼女がワイルドキャット。
強力な超能力者で、お婆ちゃん、山猫のピコと共に山奥に住んでいました。

そんな彼女を K・K・P(ククル・クク・パロマ)という世界平和を願うスパイ組織の伴代三助というさえないメガネ男が連れ出し、エスパー戦士として働いてもらうのです。
他に主な登場人物としては、ネネのピンチに必ず現れて助けてくれる、同じK・K・Pのエンゼルジョーという色男ががいて、一話完結方式の連作で進みます。

K・K・Pなんて組織が出てきたら、当然敵対する悪の組織もいるわけで…それがK・H(コンドル・ホーク)団
世界征服を企む奴らは、既に世界中から超能力者達を集めてエスパー戦隊を作っているのだそうです。

テレキネシス、タイムトラベル、テレパシー、変身に憑依に催眠術…様々な超能力を楽しみながらテンポよく進みますし、アンドロイドやサイボーグといったSFの定番ももれなく登場します。

元コンドル・ホーク団だったのにネネに負けて仲間になったザンバという土人は何度か出ていたのですが、すぐに出なくなり…
途中から路線変更してノリが軽くなり、ギャグ漫画色が増しました。
K・K・P対K・H団とは関係無い話も増えますし、K・H団の敵が全然怖くない、むしろ情けない奴ばかりになるし。

もちろんお色気を意識するのは忘れていません。
ヒッテン・ブロ−なるK・H団の幹部がネネを捕まえた時は、"SEXマシン"なる変な機械を使うのですが、これは女の子を悦ばせてオルガスムスの絶頂で死ぬ死ぬとなる素晴らしい機械で、笑えました。

お腹の中にいる胎児の超能力者、白痴の超能力者、誰もデートに誘ってくれないからカップルを超能力で焼き殺すようになったブス、スターの荒無土郎(あらんどろん!)、人を操る妖刀…こんなユニークな敵を倒しながら進み、ついに迎えた最終回。

ここで伴代三助とネネが憧れるエンゼルジョーは同一人物で、バカにしていた伴代三助も変身能力を持つエスパーだと判明したのでした。
二人は結ばれメデタシメデタシで終わるのですが、K・H団はどうなったのでしょうか…一話だけで出てきた目の壁絵が実はボスだと分かったのですが。

ストーリー重視のアクションSF漫画ではなくなったので、恋が上手くいけばどうでも良かったのでしょうかね。

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ところでこの最終巻である3巻には、「ワイルドキャット」の終了後さらに6編の別作品が収録されていて、それが…
「Sπ〈エスパイ〉」「宇宙大地震」「マゾー国のサドー王」「わが友インベーダー」「変身」「強引愚マイうえーっ」
といった短編で、これがどれも園山俊二系というか、あの手の"大人向け漫画"を意識したナンセンス漫画ですので、好きな方は是非読んでみてください。


……人間の肉体は精神の"入れ物"に過ぎない
そして"中"にはいくつもの 精神を入れられるんだ
その精神達が一致協力できる肉体が 超能力を発揮できる……!!
肉体は借り物に過ぎないんだよネネ
しかも うつろいやすい……ね!



  1. 2008/09/28(日) 23:47:55|
  2. トキワ荘
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トキワ荘(20) 石森章太郎 11 「怪奇ハンター」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「怪奇ハンター」(朝日ソノラマ刊)です。
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滝隼人という18歳の日本人少年が主人公で、彼の職業は何と怪奇ハンター。

彼には探検家だった父親が三つの遺産を残してくれたのですが、それはばくだいな財産、船長帽(キャプテン・ハット)、そして…精神(スピリット)ー心。
冒険を求める心、不思議や謎へのやむにやまれぬ挑戦心…つまり怪奇ハンターとしての心を受け継いでいるのです。
彼らが勇気を持って未知なる世界を探求していく姿を見ていると、単調な私は子供時代に置いてきた冒険心を呼び起こされます。

まずは第1話「100万年の女王」
ジャングルの奥に"100万年の女王"という永遠の生命を持っている女性が住んでいると聞き、それが本当なら人間の生命の秘密の一つが解けると思い、アマゾン川をさかのぼって進みます。

隼人は共を二人連れているのですが、まずは中国人の張々湖で、この名前の通り「サイボーグ009」の006である張々湖と全く同じキャラ。
そしてアフリカ土人の少年で…その名もチビクロサンボ
石森章太郎先生のステレオタイプな人種描写は、いつ見ても素晴らしい。

それから同じく100万年の女王を目指し、しかしその目的は女王の財宝であるドクター・ダルタンの一行と合流し、女王の神殿を目指すのですが…
途中で大蛇に襲われ、恐竜も出てくるし、土人達の王位争奪戦に立会い、そしてついに白いゴリラのような生き物達に崇められている女王と対面しました。

彼女の永遠の命の秘密は、300年ごとに新しい生命に乗り移るというもので、この度はダルタンの娘のアンヌがその体を取られてしまう、というオチ。
隼人らがここへ来たのも、全ては女王にそうするよう仕組まれた事でありました…
それを知って命も助けてもらい、すごすごと帰る怪奇ハンター隼人。第1話からいきなり大冒険ではありますが、隼人の活躍としてはもう一つですね。


そして第2話「電子頭脳の怪奇」
茨城県西海村で、でかくて頭もいい"ネズミ人間"が暴れまわる事件が起こります。
警察の要請を受けてその事件を追うのは、やはり怪奇ハンターの隼人、そして助手に張々湖。

こいつを造り出したのは電子頭脳開発研究所の職員である、小瀬という気の小さい男だと見抜き、問い詰めると…
『…だ だれもおれを相手にしてくれないからだ!ヒ…ヒ…
ず ずいぶん昔のことだけど ある女にデートをもうしこんだことがある……
そしたらその女………こういいやがった!
ネ ネズミさん!こせこせしたネズミさん あんたみたいな人 大きらい!
だ だから…だからぼくはやったんだ!
ぼ ぼくをばかにしている連中をあっといわせてやることがしたかったんだ!』

何て泣き、思えば悲しい奴でした。

ネズミ人間の方も無事に退治して終わり。
「怪奇ハンター」は、続きを匂わせるような所もあったのですが、現実としてこのたった二話だけで終わっているのです。うーん残念。


続いて収録されているのは、別の話で「秘境3千キロ」
長さは「怪奇ハンター」と同じくらいで、内容も似た感じの冒険漫画です。

今度の主人公も日本人の少年探検家で、名はタケル
"世界探検家クラブ"(イギリスのロンドンに本部がある)の会員で、雇われればどんな危険な場所の探検にも参加するのだそうです。

今度の仲間にも006のような中国人がいるのですが、名は張々湖ではなく陳々
そしてマクマザアンという、アフリカ奥地の土人種族で酋長だった勇者。

アメリカの大金持ちのJ・ハプトン氏率いる探検隊に雇われて南アフリカはアマゾン流域、大森林地帯を探検しています。
その目的は、ジャングルの奥深くに入り込んで行方不明になっているハプトン氏の息子を探し出す事。

世界最大の川であるアマゾン川、そしてそこの大ジャングル地帯には未だに人類未踏の場所がたくさんあり…等の説明も長々とあるのですが、確かに不思議や冒険に溢れている地なのでしょうね。
映画「アナコンダ」とか好きな人は、特に読んでもらいたい雰囲気があります。

タケル達はワニや大蛇やイボトカゲ、土人達と戦う苦難の道のりの末、ハプトン氏の息子を見つけました。
彼は土人が恐れるひどい匂いの花を自分のマントに塗りつけて、人喰い木のある部落で神になっていました。
では何故彼はそんな匂いに平気だったかと言えば、生まれつき鼻が悪くて匂いを感じないから、だそうで。

結局彼も死んでしまい、また新しい冒険を目指すタケル達ですが…
飛行機の中で過去の回想に行ったかと思えばまた現在になり、エリック・サムソンという謎の怪しい人物にスカウトされたのを断り、新たなトラブルの臭いがしてきた所で、これも唐突に終わり。
また打ち切りでしょうか!?
そんな無念さが残る冒険漫画二編を収録した「怪奇ハンター」でしたが、あとは読者自身が失われた探検へのロマンを求めて行動せよという事でしょう。


大昔のにんげんは わからないことがたくさんあった
だが それと同時にわからないことの中にはいっていって……
わかろうとする気持…… 冒険の精神をもっていた
それが にんげんの社会を進化させる 大きな活動力となったんだ
タケル!いつまでも冒険する心をわすれるなよ



  1. 2008/09/27(土) 23:04:20|
  2. トキワ荘
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Author:BRUCE
二代目BRUCE LEE、あだ名は大悟です。


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