大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(80) 石森章太郎 55 「八百八町表裏 化粧師」

石森章太郎作品、「八百八町表裏 化粧師」(小学館刊)。
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『化粧師』は、『けわいし』と読みます。
ビッグコミックで1983年から翌年まで連載された作品で、単行本はビッグコミックス版で全3巻なのですが、今回は1990年に正と続の全2巻で発行されたスーパービジュアルコミックス版を画像に使いました。正の方の帯は付けたままにしましたが、見ての通り『TVアニメ化!』の文字があります。そうですこの年にTBSの「ギミア・ぶれいく」内のコーナーでアニメ化されており、その時に再発されたのがこの本。
石森章太郎(石ノ森章太郎)先生は実は多くの『江戸モノ』も描いていた方ですが、代表作である「サイボーグ009」のようなアクション物に比べるとどうしても地味でアニメ向きでないと思えてしまいますが、そこにある面白さをちゃんと分かって評価した製作者がいたのですね。

後の2002年、つまり残念ながら石森先生が没してからですが、「化粧師 KEWAISHI」として実写映画化までされました。主人公の小三馬を演じたのは椎名桔平…舞台の時代設定が変えられている上に、小三馬に映画オリジナルの"秘密"が付け加えられていました。
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石森章太郎作品の「八百八町表裏 化粧師」は、江戸時代後期が舞台。丁寧に描写されている当時の光景・風俗に、江戸時代萌えの方々は喜ぶのではないでしょうか。
主人公が式亭小三馬で、実在した戯作家である式亭三馬の息子という設定。父であるその三馬は他に浮世絵師で薬屋という顔も持っていたので、その三馬が経営していた薬屋"式亭正舗"を継いで旦那をしている小三馬。流行を作る"弘め屋"としても発想力が凄くて、式亭正舗の新商品を出す度に江戸の話題になって儲けており、本作は『ビジネス漫画』としても読まれています。

そして小三馬のもう一つの顔…それがタイトルの通り化粧師。
父の後を追って戯文も書いてみたけれど、とても越えられないと分かって別の道である化粧師になったのですが、戯文で江戸を綺麗に華やかに描いた父に対抗して、化粧で江戸の女達を美しく飾ろうと決意したと。
困っている人の相談を聞いて様々な難題を化粧で解決するのが主な流れで、1話完結の連作形式で話は進みます。

式亭正舗で働く仲間は番頭の両助、女中のおトラ、宣伝絵の春永センセイ、仙台伊達藩から来た戯作家志望の小柳定九郎、母もいるし、そしてヒロインの花火。
江戸時代が舞台の作品というのに、総合的流行(トータル・ファッション)、髪形(ヘアースタイル)、着物(ウェアー)、宣伝文(キャッチフレーズ)、営業(セールス)、算盤(マネープランニング)…等々、現代風にカタカナ英語でルビを振ってあるのも特徴でしょうか。化粧師はメイクアップアーティストか。

時代的に吉原遊廓の話も何度か出てきて色っぽい所ですが、川岸のボロ小屋で売春して暮らしている貧相な母とその子供の話では、小三馬が力を貸して売れっ子娼婦に仕立て上げていました。これが時代背景とか考えずに売春=悪として、娼婦を辞めさせるようなヌルい話にしないのがさすがです。
現代なんてこの時代よりはるかに国民を縛る法律が多いし、風営法なんて近年でも目に見えてどんどん改悪されていますよね。ロリータ関連はあまりにもひどく、その手の写真集とかが麻薬ばりに厳しい取締りを受けるようになってきたし、実際の売春も18歳未満だと知らずにしちゃっても売った方ではなく買った方が厳しく罰せられるという、世界でも…いや歴史的に見ても珍しい法がまかり通っています。いずれにせよ変態さんはなりたくてなったんじゃないのだし、どこでもガス抜きさせずにきつく締める方だけ強化して大丈夫なんですかね、平成時代。

さて「八百八町表裏 化粧師」は、この手の江戸風俗を描いた作品としては珍しく敵役のラスボスといったキャラが存在していて、それが老中の水野忠成。よく江戸後期の悪徳政治家として描かれる、実在の人物です。
小三馬の才能を認めているからこそ、それでも無理な難題を押し付けて失敗させて自分の手駒にしようと目論むのですが、その度に小三馬が上をいくアイデアで回避して…しかし、最終話「末世化粧」に至ってついに忠成は小三馬を殺す事にする!
本気でお上に狙われた小三馬は生き死にの戦いを強いられますが、その結果はいかに!?

タイトルがよく似た作品で三原ミツカズ先生の「死化粧師」が有名ですが、あれは遺体を処理するエンバーミングの方。小説だと私の大好きなレイ・ブラッドベリ、あの「死人使い」(訳者違いで「死体を愛する男」「死びと使い」等のタイトルも有り)も同様ですね。
本作と同じ『化粧マンガ』としては、板垣恵介先生の「メイキャッパー」とか荒木飛呂彦先生の「ゴージャス☆アイリン」の方が多少なりとも近いでしょうか。楳図かずお先生の「とりつかれた主役」(短編集「恐怖」に収録)も忘れてはなりません。小説だとロバート・R・マキャモンの「メイキャップ」(短編集「ブルーワールド」に収録)を思い出すか…
こうしてたまに姿を見ていた化粧モノですが、でもやはりマニアックなジャンルなのか、近年は後追い作品が全然出てきていませんかね。今後に期待したいと思います。


"化粧"とは…
…外見を装うことによって
心をも美しくすることだと思っております…!
…美しいモノを見ることによって 自分の心も周囲の心も洗われます。
明るくなります。美しくなります…!
…人の心を そうすることで 江戸の町そのものを化粧したい
そう思っているんです!!



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  1. 2015/04/05(日) 23:00:28|
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トキワ荘(79) 石森章太郎 54 島本和彦 3 「仮面ライダーZO」

今夜の仮面ライダーは石森プロ出身者ではないものの、誰よりも石森章太郎(石ノ森章太郎)リスペクトの念を表明している漫画家・島本和彦先生の手による、「仮面ライダーZO」(徳間書店刊)。
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石森プロ出身者だとどうしても、石森章太郎作品をちょっと下手にした感じの作風になってしまうのですが、この島本版は自身の個性をしっかり出しています。後に描かれる、同じく石森原作の「スカルマン」は既に紹介していますね。
「仮面ライダーZO」の初出は1993年の月刊少年キャプテンで、単行本には『ZO』の全3話に加えて1989年に描かれていた島本版「仮面ライダーBlack」も収録しています。これは『Black』の外伝で「PART X イミテーション・7」という位置付けの短編ですが、かなりの傑作でした。
ああ、そういえば石森先生自身で描いた異常に暗い『Black』をまだ紹介していなかった…

今回の仮面ライダーZO…読み方は『ゾー』ではなく『ゼットオー』です。
順番的には前回紹介した8人目の「仮面ライダー」(スカイライダー)から仮面ライダースーパー1、仮面ライダーZX(ゼクロス)、仮面ライダーBLACKときて、続編の仮面ライダーBLACK RX(同じ南光太郎が主人公ですがカウントは追加して)、Vシネマの仮面ライダーシンの次にあたるから、14人目の仮面ライダーか。もちろん『BLACK RX』をカウントしなければ13人目。

1993年公開の劇場映画版ライダーで、雨宮慶太監督作品でした。私は同監督の特撮映画「ゼイラム」「ゼイラム2」などを大好きな人なのでもちろん『ZO』も観てますが、シリアスながら子供向けに分かりやすいストーリー、子供向けには贅沢すぎるクリーチャーデザインの凄さで魅せる傑作でした。今までのような連続ドラマ版と違って一本で完結かつ尺も短いので次々といつもまでも襲ってくる敵組織は用意されず敵はネオ生命体の一体と、そこから生み出された分身が二体のみですけどね、意外とスケールの小ささは感じない作りになっています。
一人の少年を狙う最新モデルと、少年を守るために戦う旧式モデル…話はこのちょっと前に大流行したアメリカ映画「ターミネーター2」の影響も感じますが。

そして島本漫画版。ストーリーの大筋は映画版に合わせてありますが、主人公の性格がまるで違う印象です。
麻生勝望月博士の助手を務める研究者でしたが、博士が狂気にかられて麻生を実験台にして改造人間にしてしまう…それが4年間の昏睡状態から目覚めて仮面ライダーZOとなるのですが、後に博士は人間を母体としないより完成されたネオ生命体・ドラスを産み出しており、このドラスがさらなに完全体にさせるために望月博士と一人息子の宏を誘拐して手術を迫る。

仮面ライダーZOとドラスはJR新宿駅東口前の広場で会った初対面時から派手な立ち回りをしますが、アルタの巨大スクリーンにドラスを叩き込みました。
戦闘にバイクを利用して一度はドラスを撃退できたZOですが、実験もまだ未完成だった時に造った試作品の改造人間だけにドラスとは能力に圧倒的な差があり、道場の師範代であるナオミの特訓を受ける事に…
この女性は映画版の玲子と同じ人物と言ってもいいと思いますが、何故か漫画版ではナオミと名を変えているのですね。
しかもZO、特訓も仮面ライダーに変身した姿で受けるのです。だから仮面ライダーが道着を着て滝に打たれたりする、珍しい姿を見る事が出来ます。
映画版で目立っていた音楽の要素が残念ながら漫画版では表現出来ないわけですが、その分は島本節というか修行して強くなる熱血モノ、格闘技漫画的な要素を入れて面白くしているのです。

ナオミによって精神面も鍛えられ、『ライダーパンチ』を得た仮面ライダーZO対ドラスの最終決戦に突入します。
ドラスがZOを取り込ために身体で喰う様は、「ジョジョの奇妙な冒険」の第2部で出てきた柱の男・サンタナを彷彿とさせますね。
ある事から映画版では見られなかったドラスの完全体とも対決しますが、それすらもZOは撃退!その時の攻撃が『ライダッパー!アアッ』『ライダァキィャアーッ』で、大ゴマにて出す〆の必殺技…ZOが大口を開けて叫んでいるシーンを見る事が出来ました!
確かに『ココ』で紹介した最初の「仮面ライダー」でも、能力解説のページで口は『クラッシャー(くさりもかみきれる。)』とか書いてましたが、ライダーが口を開けるシーンすら無かったじゃないですか。それが島本版はもう、派手すぎる熱血ヒーローでした。

この島本和彦著の「仮面ライダーZO」は数年前、2011年に一迅社より『完全版』も発売されました。
描き下ろし表紙イラストの他、追加されているのは連載時のカラー原稿、新作のおまけマンガでした。
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どうせ生きていて やることももうねえんだ!!
最後の仕事だけはきっちりケリをつけるぜ!!



  1. 2015/03/31(火) 23:58:13|
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トキワ荘(78) 石森章太郎 53 石川森彦 1 「仮面ライダー」

石森章太郎原作・石川森彦絵による作品、「仮面ライダー」(秋田書店刊)。
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本作は石森章太郎(石ノ森章太郎)原作作品を多く手がけている弟子で、特に「仮面ライダー」は初代からずっと幼年向けに描き直している石川森彦版ですが、これは『仮面ライダーシリーズ』第6作目で、8人目のライダーが主人公。
え?では何でタイトルが1作目みたいに仮面ライダーなんだって!?そこは私も子供の時に悩ましかったポイントですが、まぎらわしい事に6作目は本当に正式タイトルが1作目と同じ『仮面ライダー』になったんですよ。
子供達の間でも識別する目的で『新仮面ライダー』とか言われていたように記憶しますが、でもはほとんど『スカイライダー』という名称で落ち着いていたと思います。

『ココ』で紹介した前回の初代仮面ライダーと今回のスカイライダーまでの間に戦っていたライダーを、素晴らしい主題歌のジャケと共に追ってみると…
2作目が1973年スタートの「仮面ライダーV3」。初代作品で仮面ライダー1号・2号が登場していたので、仮面ライダーV3が3人目のライダーであり、 4人目のライダーとなるライダーマンも本作で登場します。
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3作目が1974年スタートの「仮面ライダーX」 。5人目が武器を持つライダー、仮面ライダーXですね。
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4作目も1974年スタートで、「仮面ライダーアマゾン」 。6人目が野獣のライダー、仮面ライダーアマゾン(アマゾンライダー)ですね。
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5作目は1975年スタートの「仮面ライダーストロンガー」。仮面ライダー達は昆虫(一部、小動物か)がモチーフとなっているのはご存知の通りですが、7人目にしてついに昆虫の王様・カブトムシのライダー、改造電気人間の仮面ライダーストロンガーです。これで仮面ライダーシリーズは終了の予定だったんですよね。
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それぞれ、どのライダーも主題化が良いんです。イントロが流れれば、ライダーが活躍する姿が浮かんで胸キュン。それがいつからか、特撮テレビドラマもアニメもほとんどが内容と関係無い上にクソみたいなJ-POPの曲とタイアップという時代になってしまいました。
これらも漫画版は存在するのですが、今回のは4年後の1979年、シリーズ復活作で前述の通り第6作目となった8人目のライダー、スカイライダーの物語になるのです。
ちなみに、幼年だった当時は全然分かってなかったけど、私は全て再放送でしか見れてない世代。この次の1980年、第7作目になった「仮面ライダースーパー1」だと私も満3歳にはなっているからリアルタイムだったのかな!?

おじさん…男達って、子供の頃に好きだった物をいい歳の大人になってからもう一度買い集める傾向が強いじゃないですか。子供の頃の商品その物でも、そういう世代を狙った復刻物とか大人向けの高額新商品でも。世に言うオタク要素が強い人は皆そうなんだと思いますが、私はそこまで自分史を遡ってなくて、ほとんど中学生以降の趣向で蒐集しています。
だから小学生までの私が夢中になって集めた物だと流行り通りに、例えばキン消し、ネクロスの要塞、ビックリマンシール(その他シール…ドキドキ学園 、レスラー軍団抗争シール=ガムラツイスト&ラーメンばあ、あっぱれ大将軍、ハリマ王の伝説etc)などになりますが、それはもう捨てた過去。
『仮面ライダー』や『ウルトラマン』のシリーズなども大好きだったけど観直しておらず、幼少期の印象のまま頭に残っています。ライダーの漫画やその他の書籍は石森コレクターとして外せないので蒐集しましたけどね。
ブルース・リーも存在はそりゃ幼少の頃から知ってましたが再発見したのは中学生で、本や音楽や映画その他の趣向も全て10代半ばから20代半ばで好きになった物、それを現在も追い求め集め続けているだけです。年頃になると女の子に興味を持ったり可愛さも分かるようになってきて、石ノ森章太郎原作の特撮テレビドラマも仮面ライダーより「有言実行三姉妹シュシュトリアン」までの『東映不思議コメディーシリーズ』が好きになったりして…

そうだ、スカイライダーも前回と同じくケイブンシャの大百科(勁文社刊)を載せておきましょう。
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そしてケイブンシャの大百科では、私が一番胸を熱くして繰り返し熟読していたのは圧倒的に「全怪獣怪人大百科」です!
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毎年度ごとに出ていて、黎明期の「月光仮面」から最新作までヒーロー物が網羅されているのみならず、出てくる怪獣などの敵キャラ一体一体の写真と解説も載ってて、見た事ない古い番組のも想像して楽しんでいました。本のタイトルもこれだし、当時から敵キャラに愛を感じていた視聴者もいたのでしょうね。だいたい怪獣怪人の方がヒーローより絶対強そうなデザインしているのに、毎度負けてばかりなのは考えてみたら納得いきませんね。
あと古い特撮番組の主題歌がてんこ盛りに収録されたカセットテープも持っていたので、大百科で見れる登場キャラとその歌とを併せて…そうだスーパー戦隊シリーズだと再放送でほとんど見た事がありましたが、「忍者キャプター」とか「超神ビビューン」とか、一度も見た事が無いのに歌もキャラも話も幼少期からよく知ってる気になっています。動く所を見たら、ずっと頭で出来上がっている想像と全然違うんだろうな。
「超人バロム1」「電人ザボーガー」「人造人間キカイダー」…あたり、いくつか例外的に大人になってから全話見直した作品もありますが。

で、何でしたっけ。脱線してばかりいますが、石森章太郎原作・石川森彦絵の漫画版「仮面ライダー」ですか。この漫画連載は1979年から翌年の冒険王で、単行本は全2巻。
主人公は筑波洋で、空飛ぶスカイライダーになるのを暗示して"城北大学"のハンググライダー部員。三年前に両親と妹を亡くして独り身の男が、偶然にも志度博士が悪の秘密結社・ネオショッカーに襲われている所に遭遇して救います。そしてその事から、仲間の部員達を皆殺しにされた上にガメレオジンに殺されかけ、志度博士の改造手術を受けて仮面ライダーとして復活。
今回は空を飛べるライダーとしてネオ・ショッカーの刺客相手に大暴れするのです。漫画版だと仮面ライダー1号も最後は飛べるようになっていたので、そんなに驚かれるほど凄い能力なのかと疑問に思ってしまいますけどね…

ちなみに悪の軍団がよく目論んでいる『世界征服』って何のために、そしてそれを成し遂げてどうしようとしているのか気になりますよね。ネオショッカーの場合は、幹部であるゼネラルモンスターの口から、
『このさき世界は人間がふえ 食物も不足し うえ死にする…そこですぐれた われわれネオ・ショッカーが生き残り世界を征服するのだ!』
と語られている場面がありましたが…これはあくまで理由であって、だからどうするのか。人口爆発による食糧問題で危機感を持っているのはいいのですが、世界を征服して後にリーダーとして諸問題を解決してくれるんですかね。それじゃぁただの良い人達ですが、正義とか悪とかって結果が決める物でもありますからね。立場を変えて見ればネオショッカーがそういう理念を持って日々精進しているのに、それを仮面ライダーが邪魔するために計画が進まないのかもしれません。

物語は志度博士と助手のみどり、仮面ライダーやネオショッカーを探るルポライターの飛田今太といった協力者、敵対するネオショッカーの刺客と戦いながら進みます。
ネオショッカーは風船で細菌を運ぶ、つまり風船爆弾なんて細菌兵器も開発していますが、その開発者が筑波洋の親友だった小原であり、ハエジゴクジンとなっていた彼を悲しみの『スカイキック』で葬る…
強敵だったヤモリジンには志度博士も殺されましたが、こいつを倒すとその正体はゼネラルモンスターだった!で、代わりの幹部として魔神提督が着任して仮面ライダーを狙う!

敵も強くなってきて、もはやスカイライダーの力ではネオショッカーにかなわなくなった頃、先輩のライダー7人が日本上陸してスカイライダーを特訓し、筑波洋は『強化スカイライダー』として生まれ変わるのです。
ちなみにスカイライダーのために世界各地で活躍していた彼らを集めたのは東南アジアから来たストロンガーで、1号ライダーはアメリカ、2号ライダーはインド、V3ライダーはエジプト、ライダーマンはギリシャ、Xライダーはスペイン、アマゾンライダーはブラジルにいたそうです。
8人揃った姿は圧巻であり、テレビ版でもありましたが、こうした仮面ライダー達勢揃いの回は特にワクワクして見ていたものでした。

この漫画版は全10話、オオバクロンを倒すまでで終わってしまうのでネオショッカー壊滅までいかないし、当然ラスボスである大首領の正体なども分からず仕舞いなのが残念でした。
でもこの仮面ライダーシリーズに関してはあくまで特撮テレビドラマ版がメイン、あとはそちらでお楽しみくださいってスタンスなんでしょうね。
漫画の最後を飾ったオオバクロンを倒すシーン、見開きページでかっこよく描かれるスカイライダーの『必殺空中イナズマ落とし』で〆となりましたが、どんな技かと言えば敵を抱えてジャンプして逆さ落とし、手と足の位置は…ああこれを言えば一発だ。キン肉ドライバーと全く同じ技。
ゆでたまご先生、もしやここからキン肉マンの必殺技としてパクっているのか?いやいや、ゆでたまご先生は梶原一騎ファンなので、私は前にも書いた通りこの石川森彦版「仮面ライダー」以前の作品(1977年)である「青春山脈」(かざま鋭二・画)で出てきた『ブラックローザ・スペシャル』から、という線が濃厚だと思っています。
同じ梶原一騎原作作品で後の1981年にスタートした「タイガーマスク二世」(宮田淳一・画)でも『タイガー・フィニッシュ・雪崩地獄』というそっくりな技は出てきましたけどね。


最後にこれ、また別作品ですが今回紹介した石川森彦版「仮面ライダー」と同年の1979年に発表された「仮面ライダー・スペシャル」(講談社刊)も紹介しましょう。単行本のタイトルはこうですが、正式名称は「絵コンテ漫画 仮面ライダー」
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講談社のKCレーベルからは単行本化されなかった「仮面ライダー」が、1997年になってまさかのコミックプラス(P-KC)から登場したわけですが、初出は月刊少年マガジン
この内容が凄くて、映画マニアであった石森先生が映画の『絵コンテを萬画化した』という実験的な作品であり、風谷光二という男が仮面ライダーになる完全オリジナルストーリーも素晴らしい。絵もしっかり力が入ってるし、これがここまで単行本化されていなかったのは勿体無い!
眉村博士が発掘した古代科学の力『重力制御装置』をモノにしようと望むのがキーなのですが、眉村博士は愛国者であり、祖国日本が武力を持たない弱みで大国の無法に泣き寝入りしている事が許せずに行動する、現実の社会と並行したメッセージ色の強い物語なのです。


いいえ逆に今は感謝する気持ちです
前のぼくにはなかった すばらしい力を与えてくださった



  1. 2015/03/26(木) 23:00:03|
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トキワ荘(77) 石森章太郎 52 「仮面ライダー」

石森章太郎作品、「仮面ライダー」(朝日ソノラマ刊)。
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石森章太郎(石ノ森章太郎)作品はここまで随分と紹介してきたものですが、この作品がまだでした…老若男女、日本中でその存在を知らないなんて人はどこを探してもまず居ない!仮面ライダーですよ!
もちろん1971年からテレビ放映された東映制作の特撮番組、藤岡弘が初代ライダーを演じて大ヒットし、その後もシリーズ化して放映が続いているあのテレビ番組の方が有名なんですけどね。
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↑の本は懐かしい、ケイブンシャの大百科(勁文社刊)のシリーズ。

もちろん主題歌も、メチャクチャ良かったですね。
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で、その特撮番組「仮面ライダー」の放映開始ちょっと前に石森章太郎先生が漫画版を描いているのです。ちなみにテレビ版はその漫画を原作にしたわけではなく、同じ企画からながら枝分かれして別個に作られた物です。その企画からして石森先生が関わっているし、キャラクターのデザインなんかそのままですよね。
漫画版の初出は1971年の週刊ぼくらマガジン(講談社刊)で、同誌はすぐに廃刊となったので週刊少年マガジンに移して続き、単行本はサンコミックスだと全4巻。

前に「ココ」で書いた通り超傑作「スカルマン」を原型として生まれた「仮面ライダー」
元々はもっとスカルマンに近い『仮面ライダースカルマン』というのを考案したそうですが、その骸骨顔のヒーローはグロテスクゆえテレビ局からダメ出しを受け、スカルマンの顔にも似ている昆虫のバッタから現在よく知られる仮面ライダーが誕生したのですね。

私が子供の頃は特撮番組の再放送を頻繁にやっていたので「仮面ライダー」も初代から観ているのですが、現在の若者はもしかしたら仮面ライダーの物語を知らない人もいますかね?
世界征服を目論むショッカーという秘密結社、極度な選民思想を持つ彼らは世界中のあらゆる所に組織を持っていて『その国の選ばれた者のみを組織に加える』のだそうですが、それがターゲットを拉致して勝手に改造手術を加えて改造人間(サイボーグ)にして仲間にする、というやり方なんですね。そんな栄光あるショッカーに選ばれた日本人・本郷猛が主人公。
城北大学生物学研究室一番の秀才学生であり、強靭な肉体を持っている上に本郷財団の御曹司というスペックが、ショッカーに目を付けられたのですね。バッタの能力を組み込んだ体の改造手術は済んで、あとは脳改造だけという所でショッカーに連れて来られていた恩師の緑川博士に救われ、オートバイ・サイクロン号で逃亡してからはショッカーの刺客と狙われながら戦いの日々を送る…というものです。

設定はまぁ、これよりずっと前に描いている「サイボーグ009」に酷似しているので当時としても目新しくはなかったのだと思います。
ショッカー=ブラックゴースト、島村ジョー=本郷猛、ギルモア博士=緑川博士でそのまま同じですが、緑川博士はギルモア博士と違って早々に殺されてしまいます。仲間のサイボーグ戦士などもほぼいないし、仮面ライダーはより孤独な戦いを続けていますね。
あと本郷猛(仮面ライダー)は怒りに燃えると全身に改造手術の傷跡が浮かび上がるので、特に顔のそれを隠すためにサイクロンのシートから取り出した仮面ライダーのマスクをかぶるのです。明らかにこのアイデアは、石森先生が大好きな海外SF小説、アルフレッド・ベスターの「虎よ、虎よ!」(Tiger! Tiger!)から影響を受けた設定。ちなみに同作では奥歯の加速装置、つまり「サイボーグ009」の元ネタも出てきます。

この漫画版は全6話からなり、それぞれの巻に
『怪奇くも男』『空とぶ吸血魔人』『よみがえるコブラ男』『13人の仮面ライダー』『海魔の里』『仮面の世界(マスカーワールド)』
と、サブタイトルが付いています。
仮面ライダーが敵対するショッカー怪人達も同類、つまり無理矢理改造人間にされた哀れな犠牲者達…悲しい事もありますが倒すしかない。
石森章太郎先生のダイナミックな絵が、見せ場では見開きページを多用してヒーロー物のカッコ良さを表現しています。

中盤では新聞記者を名乗って本郷猛に会いに来た…一文字隼人の登場。
本郷の命を狙って近づいてきたショッカーの戦闘員(コンバットマン)であり、本郷と違い既に頭脳改造手術を受けてしまっているので、ショッカーが醜い争いに明け暮れる世界中の人々に心の平和を与える新世界を建設しようとする組織だと信じきっています。
この一文字、そして同じ能力を持つライダー達にも同時に襲われて本郷はついに撃ち殺されてしまいました!あれ、主人公が死んだ…でも大丈夫。一文字が頭を撃たれた時に頭脳を支配する呪いから解けたようで、本郷猛の意思を継いで大自然の使者 仮面ライダーになる事を決意しました!

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よってストーリーもテレビ版と離れていった後半部分は、仮面ライダー2号となった一文字隼人に主人公が交代されます。
また肉体は死んだ本郷猛も、本郷家が先祖代々蓄えてきた莫大な全財産を注ぎ込んで作った地下研究所に脳だけの姿となって生きており、一文字とテレパシーでつながっているのです。もう一人ぼっちじゃなくなった仮面ライダーは、二人でショッカーと戦う事になる。
いや、ライダーは二人でも協力者としては本郷家に仕える執事の立花藤兵衛とか緑川博士の娘・ルリ子、漫画では最終話になってようやく登場ですがFBI日本支部の滝二郎(テレビ版では滝和也)らがいますけどね。

そして子供向けのテレビ番組では描けなかったと思われる所が多いのは、漫画版の魅力でもあります。
石森先生は単純な勧善懲悪だけの話を描く人じゃないですからね…怪人にされた者の苦悩、公害問題や、広島の原爆で被爆した両親から生まれたため白血病の身となった少年等、重い内容もあります。しかも白血病の浩二くんを治すために乗り込んだショッカー基地の技術陣から医者を一人さらってこようとしていたのに、最後忘れてきて(!)浩二くんは死んでしまう仰天ラストが待っていますからね。

仰天ラストといえば、あなたの周りには『ショッカーの正体は日本政府だった』とか言ってたり書いてる人がいませんか?…それ、ウソですから。
確かにショッカーの10月計画(オクトーバープロジェクト)を阻止するため基地に乗り込んだ仮面ライダーに対して、ビッグマシンが恨むなら自分が選んだ日本政府を恨めとか言ってるシーンもありましたが、それは悪人が言う事。ちゃんと読解力があれば、それは違うと分かります!

物語の方は、ビッグマシン相手に仮面ライダー2号が絶対絶命のピンチに陥りますが、機械の身体になった仮面ライダー1号、つまり本郷猛も飛行能力を得た上でかけつけてきて救出。基地を破壊し、計画を潰した所で終了しました。
ショッカーとも決着をつけてないのですが…続きはまだ大人気放映中だったテレビ版に丸投げした、という事でよいのでしょうか。このまま漫画も続けていたら、石森作品の持つ暗さがどんどん出てきて子供がますます離れていったかもしれませんしね。
石森先生の手による本郷猛らの物語はこれで終わりましたが、その後も他のライダーを描いたり、また他の漫画家が引き継いで描いたりはしています。

このサンコミ版の最終巻である4巻の後ろ半分には、石森プロ製作によるテレビマガジン版が収録されています。こちらは児童向け雑誌で連載されていただけに、オリジナル版にあった風刺的な部分は排除したストレートなヒーロー物。ここでは『石森プロ』としかクレジットがありませんが、すがやみつる先生の手による作品、しかもデビュー作ですね。
『オーロラ怪人カメストーンの巻』は、東京湾の空の上に突然現れたオーロラを見た人々が『目をやられて つぎつぎとめくらになって』いくという、現在では絶対に描かれないヤバい話。実際にライダーもねっせんオーロラで『めくら』にされますが、敵の甲羅の回転音から位置をつかんで勝利しました。

「仮面ライダー」は石森章太郎先生のオリジナル版だけでもけっこうな回数の単行本化がされていますが、他に私が買ったのはサンワイドコミックスの全2巻、
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それから2005年のコンビニ本、角川マンガ(角川書店版)でした。こちらも同じく全2巻ですが、上巻の巻末に石ノ森章太郎先生自身による文章(愛蔵版出版時に書かれた物の再録)や、次男で石森プロ社長の小野寺章氏と出渕裕氏のインタビューが収録されています。
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一応これも書いておくと1990年代以降に出た単行本は全てそうだと思いますが、
『さっさと精神病院へかえって・・・・クスリでものんでねな』→『さっさとうちへかえって・・・・クスリでものんで寝な』
『モトキチの若造めらが!!』→『モトぐるいの若造めらが!!』
等のセリフ改変がありました。


イエース!仮面ライダーだ!!
大自然の使者 正義の味方・・・・仮面ライダーだ!!
そして・・・・きさまたち ゆがんだ文明の悪魔「ショッカー」の・・・・
破壊者(デストロイヤー)だ!!



  1. 2015/03/22(日) 23:02:20|
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トキワ荘(76) つのだじろう 17 大槻純 1 「新学園七不思議」

今夜はつのだじろう作品、「新学園七不思議」(秋田書店刊)です。
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初出誌は今は無き学園ミステリーで、前回紹介した「学園七不思議」のリメイク作的な続編かな。
もうこの時期のつのだじろう先生は極力自分で絵を描かず、全然絵柄の違うアシスタントに描かせたキャラを多く登場させる作風を漫☆画太郎先生よりはるか前に確立させている事は以前にも書いた通りですが、今回はついに自身は『作・構成』という立場になって『作画』は完全に他人に任せてしまいました。
その作画を担当したのは、大槻純先生!
大槻ケンヂと戸川純という、1980年代からのサブカルチャーシーンを牽引した二人の名前を掛け合わせた名前を持つこの方は、つのだ先生に『才能豊かな新進女流漫画家』と紹介されています。いわゆる典型的な少女漫画の絵ながら怖がらせる所ではちゃんとグロい絵なんかも描いて頑張っているのですが、この作品以降は名前を見る事がありませんでした…

今作の主人公は女子高生の一条みずき。つまり前作の『青嵐学園編』主人公と同じ名前であり、霊のアドバイザー的なサブキャラの名が月影先輩なのも同じですが、しかし学園は"私立黄泉学園"という事で『黄泉学園編』と同じ。
さらに「霊劇画 恋人は守護霊さま」からスター・システムで登場の霊能者・南郷涙子もほぼ全編に渡って登場し、霊障を解決してくれます!
これはTVアニメ「ハイスクールミステリー 学園七不思議」と同じ設定でもあり、アニメ化した時にもう一度漫画版もと描かれた作品なのですね。

何というか例によって(霊によって)、霊障が起こりまくる黄泉学園で主人公が心霊現象に首を突っ込み、体験し続けるストーリー。
3話目「水子地蔵」など、男も女も恐らくは一度でもセックスの経験を持つ者ならゾーッとせざるをえない怖い展開だし、6話目の「色つきの夢」では怖いある記憶を夢に見るみずきが『いやだ!気味悪い…「恐怖新聞」みたい…!』なんて原作者が手前味噌ネタを使ってみたりしながらも話は進み、怪談だとか七不思議の起源から勉強したり、誰もが嫌いなゴキブリネタで嫌悪感満載の話を描いたり、バラエティ豊な展開です。最終話になる11話目が「テレパシー」で、超能力ネタだし。

いくら殺されかけるなどの酷い目に遭っても霊や危ない物に近づき続ける主人公・一条みずき。
もう、ここまでくると呆れるより尊敬出来る脳天気さで、つのだキャラらしからぬ明るさを持っているのも良い。
10話目の「水晶の不思議」では、水晶球の力を知って卒業後は働いて大きいのを買う決意をしますが、その後に水晶の力で達成するべく決意する目標は、
『貴ノ花みたいなかっこいい恋人みつけて……結婚しちゃうんだから!!』
だというのが可愛いですね。でも貴ノ花じゃなくて貴乃花だよ!


霊魂をなめてかかる!
それは実に恐ろしいことなのです
やがてはかならず 一生にかかわる大きな不幸を
まねきよせてしまう可能性が高いのです



  1. 2014/08/28(木) 23:00:48|
  2. トキワ荘
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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