大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(192) 山口貴由 14 苺野しずく 1 「開花のススメ」

山口貴由原案・苺野しずく漫画の「開花のススメ」(秋田書店刊)。
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うーん、これは…とまどいながらですが、山口貴由作品ですので紹介しましょう。
「開花のススメ」、これはあの名作「覚悟のススメ」のスピンオフなので山口貴由先生は原案としてのクレジット。漫画を描いているのは苺野しずく先生…すみません、この本が出るまで全然知りませんでしたが、調べると他にも著作はいくつもある方です。
初出連載はチャンピオンREDの増刊誌・チャンピオンRED いちごで、2011年から2013年まで続いて単行本は全3巻。

主人公は黒須京馬の妹で14歳の少女・黒須巴恵。といっても、けっこうコアなファンじゃないと覚えてないでしょうが、「覚悟のススメ VOLTEX」で出てきた覚醒式強化外骨格 雷電をまとう男ですね。そんなレアキャラの、さらに妹ですからね。しかも京馬は「覚悟のススメ」では素顔すら出てこなかったのに、「エクゾスカル 零」でエクゾスカル戦士の1人として登場してきましたよね。あれはここからの逆輸入みたいな扱いだったのでしょうか。
それぞれの作品が完全につながっているわけではなく、あくまでスターシステムなだけだと思うので、京馬は本作「開花のススメ」ではあっさり死んでしまいますけどね。そして残された覚醒式強化外骨格・雷電に乗り移って妹に装着させて共に戦う流れとなります。

舞台設定は20XX年の新東京で、ここでは『防疫オーロラ』内は平和保障されていますが、その外となる保証区域外地区は治安の悪いスラム街。黒須巴恵は"国民防衛女学校"に通うドジっ子な女子でしたが、ある理由から帝国軍などと戦う日々を強いられる事になるのでした。
姫カットの火華カンナ、サイボーグの天羽クピドという仲間も出来て、ラスボスの巴御前に挑む!

ちなみに、単行本の1巻はコミックとらのあなで買ったらこのようなポストカードが特典で付いてきました。
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とりあえず絵がアキバ周辺であふれているような美少女モノっぽい上に、画力が低いですね。同人誌ですかこれは。それでいて、読者サービスなんでしょうが1話目から無駄にヌードになって乳を見せまくる主人公…いや、そこは確かに嬉しいですけどね!!
この画力で何故、面倒な強化外骨格や戦闘シーンがメインの漫画を描こうと思ったのか?それはもう、山口貴由先生へのリスペクトしかないのでしょうね。でもそれで良い。覚悟以外の山口作品も含めたオマージュネタがたまに出てくるのが嬉しいし、読んでいれば絵の未熟さはまぁ慣れるという形で目を瞑れるし、山口先生ご本人が1巻の帯に『この者、零式防衛術正統後継者と認めるべし!』とコメントしているじゃないですか。それならば、我々は従うしかありません。
しかも全然知らなかった苺野しずく先生ですが、単行本の著者近影を見ると1巻カバーがこうで、
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2巻カバー、
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3巻カバー。キャバ嬢系の綺麗な方なので、オッケーです。↑で書いた批判的と取れる部分は全て忘れてください。腕や胸にタトゥーみたいなのが見えますが、写真によって変わったり消えたりしているので本物じゃなくて描いたものだと思われます。
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そんなわけで下手くそな絵本家の「覚悟のススメ」にも匹敵する素晴らしい画力で描かれ、覚悟を意識してるんだろうけどなってないセリフ廻し素晴らしい言語センスの本作も、残念ながら最終巻の3巻に突入。
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画力もちぃとは向上してきて、ラストの強敵・巴御前とのバトルでは兄の京馬が成仏させられて消えた上に雷電も取られた巴恵が、どう戦うのか!?それが、「シグルイ」の『星流れ』でした~。いや、ホントなんですって!もちろんそれだけじゃないですけどね。
とにかく『運命開花』し、しっかりと気持ち良い形で完結させてくれました。苺野しずく先生にはいつかまた、山口貴由作品のスピンオフをまた描いて欲しい、今は本当にそう思います。


秘…です しかし…
いつだって傍に居る 正義の味方…だゾ☆



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  1. 2018/01/18(木) 23:00:58|
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劇画(191) 山口貴由 13 「エクゾスカル 零」

どうやら我々は地獄に堕ちたらしい
これは地獄を旅する 少年と鎧の物語



山口貴由先生の「エクゾスカル 零」(秋田書店刊)。
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チャンピオンREDで2010年から2015年にかけて連載された作品。つまりあの日本中で話題になった「シグルイ」と発表舞台も同じ次回作でありながら、そのわりにはひっそりと連載してそのうち終わってしまった感のある本作ですが、これが私は大好きでした。
これだけ山口貴由作品を長年読んできた身としても3本の指には入る傑作だと目しているのですが、「覚悟のススメ」のスピンオフみたいな立ち位置の作品でもあったので覚悟を読んでない読者には強化外骨格(「聖闘士星矢」の聖衣-クロスみたいなもの)もとっつきにくくてよく分からないだろうし、そもそも話が暗いとかで受けにくかったのかな。
「シグルイ」も経てこれだけ画力が上がり繊細な絵になった山口先生が、同時にシリアス色が強くなったままに描いた「覚悟のススメ」と思えば、もう古くからのファンは垂涎の作品ですよ。単行本は全8巻。何故か第4巻だけ、帯が付きませんでした。
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舞台がはるかな未来の世界で、人類が絶滅を迎える直前に冷凍睡眠から目覚めた人達を描くストーリー。完全に人類は終わったというかその1歩手前の状況まで行ったディストピアで、例えば「北斗の拳」など数多の世紀末モノなんかも一気に生ぬるくなるような絶望的すぎる未来、人類の終焉の姿が描かれています。
主人公は葉隠覚悟。あの名作と同じ名前のキャラですが、ちょっと違う部分もあるのでこの世界は「覚悟のススメ」と連続した世界というわけではなくパラレルワールド、というか普通にスターシステムを使っているのだと思います。本来居た時代では平和を取り戻したために冷凍睡眠に入って、未来で目覚めた彼の目線で物語は進みます。

三篇で構成されていて、最初の『地獄篇』では目覚めた葉隠覚悟が強化外骨格と呼ばれる鎧…というか戦略兵器の"零"とバイク型の機械化軍用犬・月狼(モーントヴォルフ)と共に荒廃した世界、地獄に落ちた人類が変貌した怪物の姿などを目の当たりにします。
覚悟の強化外骨格やその発展系みたいな鎧がタイトルのエクゾスカルと呼ばれていて、その着装者がエクゾスカル戦士であり、覚悟を含めて七人存在し…他のエクゾスカル戦士達も徐々に登場して戦ったり仲間になったりして話が進むのです。

強化外骨格 エクゾスカル零を纏う葉隠覚悟の他に、
九十九猛(装甲電獅子 エクゾスカル霹)
初夜六花(潜陸砕氷外殻 エクゾスカル雪)
動地憐(神造歩兵 エクゾスカル震電)
黒須京馬(靭機猟兵 エクゾスカル雷電)
御菩薩木紡(武葬憲兵 エクゾスカル霧)
そして、エクゾスカル戦士は不在でヴァールハイト精神城奥部に安置されている装甲軍鬼 エクゾスカル霞。

過去回想の劇中劇なども出てこの世界の構成も分かってくるのですが、それぞれが自分の生きていた時代には正義の味方として活躍した者達。
とにかくこんな世界でも明るくて男臭い本作でのちょいエロ担当とも言えるヒロインが初夜六花。ラスボス的な扱いなのが動地憐。この動地憐を描くサイドストーリーも良かった。
エクゾスカル戦士の他にも鎧をまとうキャラはいるし、とんでもなさすぎる怪人とか次々と出てきますが、細かい説明とかは省略しましょう。でも、この方が出てくる事は伝えなくてはなりません。「覚悟のススメ」ファンならば絶対に気になっていた…そう、現人鬼(あらひとおに)の散(はらら)さまが、後半の5巻にようやく出てきます!彼こそがエクゾスカル霞をまとう者で、つまりエクゾスカル戦士の1人でした。扱いはなんかゲスト出演みたいな感じでしたが。
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ストーリーの肝はヴァールハイト精神城に住む動地憐の『メデューサ計画』で、これがどんな計画で主人公がそれに乗るのか反対するのか、その辺りが『地獄篇』で描かれるのですね。
もちろん見せ場である戦闘シーンは山口貴由先生の最新テクニックが駆使されたもので、迫力はとんでもなく凄い!最初のバトルからあまりにもエキサイティングで、その後も魅せてくれるものだから葉隠覚悟VS動地憐の決戦が肩透かしされないかとの思いも正直ありましたが、やはり心配無用でハラハラしながら覚悟の零式防衛術を存分に楽しめました。
エクゾスカル戦士は基本的に誰も悪者じゃなく、ただ考えの違いから殺し合いせざるを得なかったのですが…そこら辺のオチの付け方まで完璧です。
ちなみに、この世界から地上の人間たちを一掃した直接の原因はエネルギー施設の事故なんだそうです。これは原発問題を絡めての事だったのでしょうか。

本作が三篇で構成されている事は既に書きましたが、最初の『地獄篇』だけで全8巻のうち7巻の半分まで使っています。
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で、次が『煉獄篇』で、主人公も前述のエクゾスカル戦士のうち唯一『地獄篇』で出てこなかった御菩薩木紡という少年に交代。紡でツムグと読む名前の彼は覚悟のようにクソ真面目なカタブツキャラではないので少しは明るい話になるかとおもいきや、やはり悲しい展開になりますが…
ツムグは魔導刑吏 舞六剣という巨大ロボ、いや巨大甲冑を従えていて、その頭部が分離して強化外骨格・エクゾスカル霧となる仕組み。この舞六剣(ブロッケン)のモデルはもしかして「ザ・ムーン」ですかね!?

遅ればせながら葉隠覚悟も『煉獄篇』に登場すると、ツムグと関わった人間とある衝撃的な展開を迎ます。それから覚悟は"正義を行う者"から"正義失格者"となったツムグと争い、和解し、ある謎も解けて素晴らしいエンディングを迎えるのです。
最後に三篇構成の最後となる『天国篇』。これはエピローグとしての機能をしていて、7名のエクゾスカル戦士達それぞれの戦いをチラッと描きます。この暗いヒーロー物語を、せめて最後は希望をもって締めくくってくれました。

内容のレベルの高さのわりに話題にならなかったのは残念ですが、これは「シグルイ」「衛府の七忍」(現在チャンピオンREDで連載中!)のつなぎの作品みたいな扱いをするのはあまりにも惜しい、ハッキリ言って名作です!


だが わかるだろう 正義失格者よ 天敵の存在しない生物は
この地球(ほし)の生命の"環(リング)"から 逸脱したことを意味する
もはや人類は 死の淵を転がり落ちるしかないのだ



  1. 2018/01/11(木) 23:00:18|
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劇画(190) 山口貴由 12 「炎のうさぎ戦士」

山口貴由先生の「炎のうさぎ戦士」(リイド社刊)。
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収録作品は『愛のうさぎ戦士』が1話と続編 『炎のうさぎ戦士』が3話で、共に1992年のコミック ジャックポットで掲載されたものになり、単行本がSPコミックスで全1巻。
山口貴由作品でも本作だけがずっと入手困難な幻の作品になっていて、早めに入手していた私は自慢のタネに使えたものですが…内容を読めば作者が復刻したがらなかったのも分かるような気もします。得意のグロ描写も無くて吹っ切れてない中途半端な作風なので…と長らく思っていましたが、2013年に突如同じSPコミックスから『山口貴由初期作品集』が全2巻で刊行され、ついに復刻版で誰でも読めるようになりました。
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この初期作品集で収録されているのは、このブログでも既に紹介している「サイバー桃太郎」「平成武装正義団」「悪鬼御用ガラン」、それに本作「炎のうさぎ戦士」と、幻の作品となっていた「変化御用はらら」の単行本初収録でした!

これがまた2冊とも、コンビニ販売用に表紙をリニューアルして再発されて。
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さてさて話を「炎のうさぎ戦士」に戻しますが、背表紙によると本作は『アクションラブコメディー』漫画らしいです。
主人公の天野うさぎは私立純真高校に通う男子高校生。同年に連載開始した武内直子先生の「美少女戦士セーラームーン」における主人公・月野うさぎと名前が酷似していますが、関係ないかな…
表紙の絵を見れば分かるようにウサ耳の付いた覆面を被ってプロレス同好会で真似事をしています。うさぎ自身は体も小さくて弱い男なのでブック有のプロレスですが、その可愛いキャラから女学生達の人気を集めているのでした。
しかし、ヒロインで大好きな先輩の葉隠恵の進言もあり自分より強いヤツに立ち向かって真剣勝負で戦うようになる…そんな話。おっと、ここで注目すべきはヒロインの名前ですね。そう、あの代表作「覚悟のススメ」で出てくる葉隠一族という事でしょうか。しかも本作は1992年の作品なのでこちらが先で、後にこのキャラをプロトタイプにして「覚悟のススメ」で再登場するわけです。
葉隠一族で最初に登場させたのは女性だった…恵は『ケイ』と読んで、風貌は覚悟ではなくその兄にして現人鬼・葉隠散(はらら)様に似ています。残念ながら表紙に出ていないものの、裏表紙でその姿を見れるので載せておきましょう。
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(山口先生もスターシステムを使う方なので、他作品で見れるキャラも居る事に気付きましたか)

この強いヒロインを追う天野うさぎは学校の便所で恵の写真を見ながら手淫して射精したりしていますが、少年漫画みたいな作品の主人公がこれって…
山口貴由ファンならばそのうさぎより、どうしても葉隠姓を持つ恵の方に注目してしまいますが、彼女のセリフで
『あたしの父親ってのがいわゆる××××でさー。あたしを何度も殺そうとしたのよ。金づちでしょ。彫刻刀でしょ。万力でしょ いろいろやられたよ。コメカミのキズはその時の思い出さ。』
と語るシーンがあったのですが、その父親ってのは覚悟か散か、いや時間軸を正確にしているとすれば彼らはこれより未来に生まれる設定なのだから無いけど、第二次世界大戦時に捕虜を人体実験で虐殺した葉隠四郎かその子(つまり朧の父か)ならばあり得るかも…
他に主要キャラで銭形先生というのもいて、ひどい教師のようでいて実は彼の教育理念が理にかなっていたりもするのですが、それより実は恵に惚れている1人。彼女をちゃんとした職につかせてやりたいけど『こんな親父がいたんじゃ』と嘆くシーンもありました。恵の親父、一体誰でどんな奴なんだ~!?

本作は山口作品としてはグロ描写が少ないけど、後半けっこうエロ描写はあります。もちろんバスト83のヒロイン・葉隠恵の体を高校在学中から何度も見せてもらえるわけですが、卒業後の職業もストリッパーですからね。そこで股を御開帳して客を楽しませているのです。
学年が下なのでまだ学生の天野うさぎは、ある戦いで目と肩を痛めてしまってもうハードなバトルが出来ない体になっています。うさぎ戦士としては活躍できなくなった彼ですが、もう次の夢を追っています。それは漫画家になる事でした…これは漫画家をテーマにして山口先生自身の体験も盛り込んだ『漫画家漫画』に移行するのか?いや、そこで終わってしまいました。


あのね うさぎ。
弱いヤツってのは 負けたヤツじゃないの………
弱いヤツってのは 戦わないヤツのことなのよ。



  1. 2018/01/07(日) 23:59:31|
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劇画(189) 土屋ガロン 4 和泉晴紀 4 「ワルキューレ」

今夜は土屋ガロン作、 和泉晴紀画の作品「ワルキューレ」 (エンターブレイン刊)です。
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初出は月刊コミックビームの2014年3月号から2015年3月号で、単行本は全1巻。
作の土屋ガロン先生とは…いくつかのペンネームを使い分けている方ですが、あの狩撫麻礼先生の別名ですね。
画の方は久住昌之先生とのコンビ・泉昌之で作画を担当している漫画家の泉晴紀先生で、ここでは和泉晴紀と1文字増やしたペンネームで描いています。
つまり、前に紹介しているダークマスター&泉晴紀名義の短編集「オトナの漫画」と全く同じコンビです。

2016年も最後の日になりましたので今年に出た単行本で何か良いの無いかなと探したのですが、今年も色々と買った中でも完結した作品に絞るとこれというのが見つからない!
(いや、作元健司原作・津覇圭一漫画の「終末の天気」とか思いついた作品はあるんですけどね)
で、昨年の刊行ですがこの「ワルキューレ」を選んだ次第です。この物語展開にセリフ回し...全く衰えない狩撫麻礼節に微笑ましくなりながら引き込まれ、ラストのメチャクチャさに唖然としたので...
ひばり書房とかが描き下ろしで単行本を量産していた時代はとうに去り、近年の読者はクソ真面目になって物語の統合性がないと許さない所があるじゃないですか。そんな中でこれが商業誌に連載されて単行本化も許されたという事を喜ぶ意味でも、お薦めしたい。

当初の主人公はヒロシ。平凡な、いやバイトを3日でクビになったりしているし非モテ系、かなりダメな部類の青年です。
それが突然チンピラ風の二人組に公園で声をかけられるのですが...ああ、その時に彼らを遠巻きに見ながらヒソヒソと話しているママさん連中に対してチンピラの一言、『チッ 産みたがりの女どもが』ってのがいいですな。
ともかく彼らに声をかけられたヒロシですが、内容は超一流スタッフを集めて製作される大作映画での主演俳優としてのスカウトでした!その日から毎日、何もしてないのに日給10万円が報酬として振り込まれるようになり…と、狐につままれたような話でワクワクする取っ掛かり。

何故彼が、そして何故映画か!?といった背景の話は徐々に分かってきますが、中学時代にヒロシの同級生だった整形美人のSM女王・レイが、睾丸に五寸釘を打ってあげた見返りにマネーと権力を持て余した『アドレナリン・ジャンキー』の超フィクサーである須崎戊生(ボス)を動かしていたのです。
他に精神分析医の免許を剥奪されて現在はVIP専門の"アングラ医院"でボスのカウンセリングをしている女医・倉木多恵
家が貧乏で小学生の時から売春させられていたレイに映画…いや世界、人間を教えた恩人として黒幕的な存在になった老人・桧垣俊輔
こういった人物が交錯し、狩撫麻礼哲学が繰り広げられていくのです。

映画はボスの『無意識』を作者として製作され、「ホドロフスキーのDUNE」(Jodorowsky's Dune)みたいにその意にかなう最強の戦士(スタッフ)を集めていき…
完成したのが「黙示 あるいは不死鳥」。これはカンヌ映画祭特別招待作品となりますが、それがどんな話で上映後には何が起きるのか!?
あとタイトルの『ワルキューレ』は、やはりワーグナーの「ニーベルングの指環」で有名なあの楽曲ですが、それがどのように飛び出すのか、それも見所です。

はい、2016年最後の投稿でした。今年は他にやるべき事があって忙しくてブログの更新は少なくなりましたが、また来年はこちらにも熱を傾けて更新していこうかと考えていますので、よろしくお願いいたします。それでは、よいお年を!


マルクスもニーチェもフロイトも予言できなかった世界………
歴史のある時点から《資本主義》が人間の《病理》を追い越してしまったのだわ



  1. 2016/12/31(土) 23:00:25|
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劇画(188) H・P・ラブクラフト 3 宮崎陽介 1 「邪神伝説 クトゥルフの呼び声」

H・P・ラブクラフトのコミカライズ作品続きで、今夜は宮崎陽介先生の「邪神伝説 クトゥルフの呼び声」(PHP研究所刊)。
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本作は帯に『恐怖神話の原点小説が ついに漫画化!!』とあります。
あの水木しげる先生が貸本漫画時代から「地底の足音」はラヴクラフト小説にしてクトゥルフ神話作品の一つである「ダンウィッチの怪」を漫画化しているし(他にも水木しげる作品にはラヴクラフトの小説をベースにした物語が散見されます)、映画にアニメにゲームに音楽と飽きるほど元ネタとして使われているクトゥルフ神話に対して、この本が出た2009年に何を今さら言うのかといった感じでしたが、これはこの出版社では初めての事というほどの意味で良いでしょうか。

で、この出版社というのが松下幸之助が創設したことで知られるPHP研究所。何故か近年クトゥルフ神話の本とかラブクラフト物をたくさん出してましたね。
この後も宮崎陽介先生は「戦慄のクトゥルフ神話 狂気の山脈」「クトゥルフの血族 ダンウィッチの怪」「クトゥルフ神話の宇宙怪物 闇にささやく者」…等々と描いていきますし、他の漫画家も含めるとPHP研究所のクトゥルフ神話シリーズは乱発気味になり、私が見ただけでも10冊くらい出てたかな。まぁ、それだけ売れているのでしょう。ラブクラフト物がそのように巷に溢れているのはファンとして嬉しくもあります。もうちょっと質が高ければ文句ないのですが…

そう、表紙だけ見て購入したこの本ですが、あまりにも漫画ページが下手、お粗末すぎる。画力だけでなく漫画に関する全ての力量が未熟すぎるのに、よりによって傑作小説であり漫画にするには難易度の高い「クトゥルフの呼び声」に挑戦しちゃっているのですね。
元々が異形の者が登場する小説でラヴクラフトもまさか漫画になる事など想定していないし、読者は各自が想像している物もあるのだから絵で視覚化されてしまうとギャップがあるのはしょうがないのですが、これではあまりにも…名作が泣いていますよ。いや、まだ経験と技量の浅い作者を攻める気もないのですが、この仕事をオファーしたのは誰だ!
でも宮崎陽介先生はまだクトゥルフ神話を描き続けていて画力もマシになってきているし、今後も長きに渡ってラヴクラフト漫画家として活躍していける人を長い目で見て採用したのかもしれません。

ただし本作にも良い所はあって、ひどい漫画の合間に活字ページでラブクラフトの解説ぺージがたくさんある事。
前書きから巻中、後書きと長々文章を書いているのはクトゥルフ神話研究家の森瀬繚氏で、ラヴクラフトの代名詞とも言える生誕地・アメリカのプロヴィデンスまで訪ねて取材を行っているそうだし、とにかく分かり易いラヴクラフト入門と言えます。ラヴクラフトが生きてた当時の状況から、彼が何故オリジナルの神々を創造し始めたのかのルーツ、クトゥルフ神話とは何か、どのような作品を書いて世界に(もちろん我らが日本を含む)どう影響を与えたのかまで詳しく解説してくれています。
宣伝文は『ついに漫画化』でしたが、本作は活字ページがかなり多く、しかもそちらで何とか価値が保たれたという…そんな本でした。


ふんぐるい むぐるうなふ くとぅるう るるいえ うがふなぐる ふたぐん!


  1. 2015/12/24(木) 23:00:29|
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プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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