大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

週刊少年ジャンプ(46) 巻来功士 5 「ゴッドサイダー」 4

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


今回で「ゴッドサイダー」の紹介は終わります。
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魔神パズスと共に姿を消したゴッドサイダーたち。
一応は霊気たち(十天闘神)以外にも仲間はいるはずなのですが、多分パズス教団のゴッドサイダー狩りで全滅してしまったんでしょう。
その後の世界はサタン以下デビルサイダーが支配する暗黒の世の中で、人々は自暴自棄になって暴れたり悪魔に魂を売ったりしています。
まあ文字通り神も仏もない世の中になってしまったのだから、無理もないことでしょう。

唯一生き残ったゴッドサイダーが、マリガンとジェミニーの息子・トミー。巻来功士作品には珍しいガキキャラです。
こういうガキキャラといい、彼が探す「五大元素短剣」(ファイブアトミックソード)という当時流行ったファミコンRPGを思わせるアイテム集めの要素といい、少年読者へのサービスを意識していた節を感じます。

このトミーはまだ弱いのですが、肉体を失った霊気たちがオーラとなって守っています。
その霊気が満を持して復活するのは、日本。デビルサイダーが支配する「北斗の拳」のような世界になっていますが、人々が神に頼らず自ら悪魔と闘おうとする時……突如、雲の上に浮かび上がった巨大な天使の影と共に降臨!
復活した霊気はもはや最強モードになっており、言動もケンシロウのようなハードなキャラに。
阿太羅やマリガンらが苦戦する関東地区総督ボトクをも、圧倒的な強さで倒してしまいます。

「勇気あるこの子らのため…
 人間のため…
 ボトクきさまを無(ゼロ)に帰す!!」


以後バハムート男爵戦、再登場のラスネール伯爵戦を通じて定着していく、「ゴッドサイダー」初の熱い決め台詞がここに登場!
「メタルK」でも主人公の慶子ちゃんが決め台詞を使っていましたが、時代劇やヒーロー活劇でお馴染みの、日本人の琴線に触れる「パターンの美学」ですね。

霊気、阿太羅、法粛、マリガンは五大元素短剣の一つ「命」(みこと)を手に入れるために、今は魔界となった富士山へ。
その霊気に、子供たちは大切にしている思い思いの宝物(チャチな人形・神社のお守り袋・「トラコンクエスト」と書かれたファミコンソフト)を手渡します。

「ああ 必ず奴らを根だやしにしてやる
 おまえたちの心に誓って!!」


と、決意のガッツポーズを大ゴマで決める霊気。
ファミコンソフトを握りしめながら。

魔界富士で「命」を守る魔界の副王ルキフグスと対決する霊気たちですが……いざ決戦という時に、別行動をしていた流璃子らが他の三本のソードと共に登場。

え、もう五本のうち四本も揃っちゃうの!?

この時点でジャンプの厳しい生存競争の下、「ゴッドサイダー」をハラハラしながら追いかけてきた読者の脳裏には、「打ち切り」の四文字が浮かんだものと思われます。
しかし連載はここからまだ続いたので、どうやらそれは杞憂だったようです……単に、巻来先生が描くのめんどくさくなったのかな?

このルキフグス戦では、このところ影の薄かったマリガンが突然ハッスル。
久しぶりに必殺技「ジーザス・クラッシュ・ショルダー」(しかしこの名前、キリスト教圏の外人が見たら大爆笑するのでしょうね)なども見せるのですが……もちろん、この突然の大活躍は死亡フラグですね。
死刑執行の前日、死刑囚に振るまわれるという天丼とかウナ重みたいなものです。
家族を守り、天に召されるマリガン。結果的に味方で唯一の死亡退場キャラとなりました。

マリガンを失い、激闘の末ルキフグスを倒した霊気たちですが、その前に残りの一本「覇王」の持ち主が浮上します。
それはなんと、サタンの義弟アスタロト大公爵。そしてここで登場する物語全体のキーポイントとなるキャラが、その双子の弟・サルガタナスです。
このサルガタナス、身体の半分が異次元宇宙に繋がっている(ちんこの部分も)という想像を絶したトンデモキャラで、ここで「超高次元の魔神」という今まで登場しなかった新たな存在が明らかにされます。

そう、それこそがこの物語の真の悪役
ゴッドサイダーとデビルサイダーはその真の敵によって作られ、争いを演じさせられていただけだったのです。
その敵の正体とは……なんと、万物を崩壊へと導く大宇宙の意志そのもの!
つまり、あらゆる物質・生命は誕生の時点から死(崩壊)に向かっているというエントロピー増大の法則の権化、ということですね。8マンやウルフガイシリーズでお馴染みの、平井和正のSF小説「幻魔大戦」で描かれる幻魔という存在と似ています。
ただし一人称が「ワシ」だったり、「このチンピラどもが!!」などと下品なセリフを吐いたりと、大宇宙の意志にしてはやたら人間くさいのですが……まあそこは、どこまで行っても巻来功士テイストなのでしょう。

そんな、今までの展開を全部ぶっちぎってハードSFのような展開に突入していく「ゴッドサイダー」ですが……。

「そうだ…
 オレはみんなの愛情によってすくわれた…
 タツ坊…レンコン…行仁様…そして流璃子…」


なんとここにきてタツ坊とレンコン

ずっと一緒だった阿太羅とか死んだマリガンとか、死闘を潜り抜けてきた仲間たちを差し置いて、初期にちょこっと出てきただけのザコガキの名前を挙げる霊気。アルツハイマーで昔のことしか思い出せないお爺さんみたいだよ!
最後にきて超重要キャラに昇格してしまうタツ坊とレンコン……。
ある意味、「ゴッドサイダー」最大級のサプライズと言えましょう。

そしてついに迎えた最終回。地球の文明は滅亡するも、霊気たちの最後の奮闘で人類はかろうじて生き残ります。
創世記の時代に戻った人類は、伝説の神々として霊気たちの存在を語り継いでいく……と、美しくも壮大なラストで「ゴッドサイダー」は完結します。

この作品のヒットで男を上げた巻来先生は、意気揚々と次回作「ザ・グリーンアイズ」の連載を始めますが、見事に打ち切られ少年ジャンプからは姿を消しました。
しかし青年誌のスーパージャンプに活動の場を移してからは、「ミキストリ〜太陽の死神〜」「迷宮魔術団」「ヘルバスター」など、コンスタントにSFテイストとエログロ・スプラッター・バイオレンスな持ち味を生かした作品を描かれています。
「ゴッドサイダー」の続編に関しても、戦国時代が舞台の外伝「鬼哭忍伝霊牙」や、コミックバンチで最近完結した「ゴッドサイダーセカンド」が存在します。

漫画史の中で、その評価や立ち位置が微妙な感のある巻来先生。個人的には、そのテイストはもっと語られてもいいと思います。
お付き合いありがとうございました。ではまた、次の作品紹介でお会いしましょう。


ふたりのこの力があるかぎり…
この力が満ち満ちた世界であるかぎり…
けっして何びとであろうと
この世界はこわせはしない…

この力…
愛の力があるかぎり…



奈落ハジメ(ならく・−) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/09/23(火) 23:23:23|
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週刊少年ジャンプ(45) 巻来功士 4 「ゴッドサイダー」 3

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


巻来功士「ゴッドサイダー」の紹介も既に3回目。思いの外に長くなってしまいました。
実際、連載期間も一年半と決して短くはなかったのですが(しかもあの80年代後半のジャンプ最激戦区で)。
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さて新たな敵「パズス教団」の登場。古代バビロニアを滅ぼしたパズスなる魔神を復活させる目的の集団で、その為の生贄としてゴッドサイダーたちの命を狙います。
マリガン、ジェミニー、阿太羅、法粛、そして行仁和尚(霊気の育ての親でゴッドサイダーの元締的なお爺さん)までが次々と……(実は生きてたというのはまあお約束なのですが)早々から絶対絶命の状況に追い込まれる、霊気と流璃子。緊張感ある展開です。
ところで東京に潜伏中、二人が寝起きしていたのが誰もいない廃工場跡なのですが……「夜はどう過ごしてたんだろう?」という、少年漫画には少し下世話な想像を膨らませていた読者は少なくないと思われます。

だって巻来先生の漫画だもの。

今度の敵は女教祖・大影神蘇聴とその弟・烏慶。そしてその手下の「奇肱国の四騎士」。今までの西洋黒魔術的ムードとは一変して、オリエンタルなデザインの敵キャラたちです。
この蘇聴の腹に宿り、転生しようとするパズスの復活を阻止すべく霊気が手を組むのは……この間まで敵だったデビルサイダーたちです。
霊気と魔王サタンは父子なので、この辺り「実家を出て自活を始めたものの、行き詰まって仕方なく親の会社で働く息子」というような切ないムードがあります。
この時初登場するのが、これも名悪役の一人ラスネール伯爵。ベルゼバブ同様の貴族キャラなのですが、こんな顔をしています。
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アメリカの人気SF大河ドラマ「スタートレック」のミスター・スポックそのまんまですね。SF好き、映画好きの巻来先生らしいオマージュ……というかそのまんますぎ。
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戦いは従来の神と悪魔に加えパズス陣営の三つ巴となりますが、デビルサイダーの精鋭「魔王親衛隊三魔尉」は烏慶の必殺技「骰卦文呪殺」(サイコロを投げつけ、裂・潰・滅など出目通りに相手が死ぬ技)で瞬殺され、ラスネールもあえなく退場。
結局パズスは復活し、霊気たちゴッドサイダーたちとの死闘へと突入します。

このパズスですが、「ドラゴンボール」のフリーザのような段階成長タイプの敵で、赤ん坊→少年→青年→完全体という風に段々と強力に。
性格もかつてなくゲス卑怯な奴で、超強いくせに仲間の命を盾に取ったりと、えげつない攻撃で霊気を追い詰めていきます。
その間、恋人同士だった四騎士の彊良とキョウ(号に鳥と書く漢字)がゴッドサイダーの血に目覚めて仲間になったり、ジェミニーのお腹の中にマリガンとの子供が誕生したり。

このパズス戦はベルゼバブ戦を超える盛り上がり方で、巻来先生も完全にこうしたバトル漫画のノリに開眼した感があります。当時ジャンプでやっていたバトル漫画の中でも、はっきり言って「聖闘士星矢」や「魁!!男塾」あたりよりも断然面白かったですね。
特に、仲間ともども絶対絶命のピンチに「ワシの闇の力を受け取れば仲間たちを救えるのだぞ」と父親サタンの誘惑に負けそうな所、「私はどうなってもいい、あなたは光の道に生きて!」と諌める流璃子の涙を見てそれを断ち切る場面。
その時……床に落ちた流璃子の涙に反射した太陽を浴びて、信じる光のパワーで蘇る霊気! 
お約束ですが超燃えます。

この間、なぜかサイコロ使いの烏慶は全く出てきませんが……東京の地下に隠されたデビルサイダーの魔法陣に忽然と姿を現します。
その正体はなんと、サタンの義弟アスタロト大公爵と判明。五千年前サタンが完全に倒せなかったパズスの弱点を探る為、パズスの懐に潜入していたのです(ちなみに蘇聴の正体はサタンの妻リリス)。
ゴッドサイダーがパズスと闘っている間、デビルサイダーはこの地底でサタンを復活させようと暗躍。そして見事成就する、魔王サタンの完全復活!
物語は、巨大化したサタンとパズスとの一騎討ちに展開。完全に怪獣映画のノリに突入していきます。

この魔王サタンは、かなり格好良いキャラクター。悪役ながらも重厚な帝王の風格を持ち、息子である霊気とは敵対しながらも常に父親らしい包容力ある姿勢を崩しません。
コミックス最終巻には主要キャラが読者に向けてお別れの挨拶をするおまけページが載っているのですが、他のキャラは色々長く挨拶してるのに、サタンは「さらばだ。」の一言のみ……渋いです。
ミルトンの小説「失楽園」に登場するサタンも神に反逆する孤高のダークヒーローといった趣がありますが、「ゴッドサイダー」のサタンもそれに負けず劣らず。
始めから終わりまでずっとフルチンですが。

巨大すぎる魔神二人の激突に、東京はおろか日本が壊滅する危機。それを防ぐ為に霊気は奮戦します。そして、最終的にパズスを倒すに至るわけですが……道連れにかつて古代バビロニア文明を滅ぼした最終呪文を発動。それを防ぐ為に、霊気は流璃子と共に鬼哭一族に伝わる奥儀を使います。
しかし、それは自らの命を捨てるに等しい行為……ここで、霊気と流璃子のキスシーンが!
これだけお色気描写満載の漫画なのに、主人公とヒロインのラブシーンがここ位しかないのが何とも。
もしかして、巻来先生って実は純情?

最終的に、霊気たちゴッドサイダーはパズスの最後っ屁から人間を守る為に消滅。残ったサタンとデビルサイダーの一人勝ちという形に……。
悪魔の帝国を築くと宣言し、神々が消えた黄昏の空に、巨大な翼を広げて飛び立っていくサタン。

なんと主人公が死んじゃった!

単行本2巻分に渡って怒涛の展開を見せてきたパズス編ですが、衝撃のクライマックスで結末を迎えます。この回はかなり反響が大きかったらしく、ジャンプコミックス4巻の巻末には読者(しかも女の子!)からのファンレターが載せられています。

「88年19号の『ゴッドサイダー』、すっ〜〜〜ごく感動しちゃいました! 私、何回も何回も読んじゃいました。でも、そのたびに、涙がポロポロと涙がこぼれ落ちてきて、もー大変でした。
(中略)女の子でもジャンプを読んでる子、すっごくいるんです! その中でも、この話を読んで泣いた子、私だけじゃないと思いますよ…」(大阪府・中学1年生12歳・南ルリ子)


巻来先生! 憎いねこの女殺し!
ところでこのルリ子ちゃん(!)、20年後の今はどうしているんでしょう。もしかしたら旦那さんと夜な夜な「ヒィイイイー!!」(前回参照)なゴッドサイダープレイを……していたら凄いですね。

物語はいよいよ佳境、悪魔帝国編へ。
長々とお送りしてきた「ゴッドサイダー」の紹介記事も、次回をもって終わらせていただきたいと思います。

生き残った人びとは
ひたすら神に祈りつづけた…
これから訪れる魔の時代を
忘れようと
するかのように
ただ一心に
消えうせた神がみに…
神がみの黄昏に…



奈落ハジメ(ならく・−) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/09/19(金) 23:23:23|
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週刊少年ジャンプ(44) 巻来功士 3 「ゴッドサイダー」 2

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


引き続き「ゴッドサイダー」を紹介していきます。
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東京を壊滅に追いやった悪魔神父フォラスとの一戦を通じ、霊気は身体の半分に流れる神のパワーに覚醒。これ以降霊気のトレードマーク的な必殺技になる新間「神魔血破弾」を開眼。

こうした強敵との死闘を通じて成長するというのは少年漫画の王道で、以後も霊気は何度もこのパターンを繰り返すことによって強くなっていきます。
カルト作家的なイメージもある巻来先生ですが、実はこうした王道をしっかり踏まえたドラマを大事にする本格派でもあるのです。

そして舞台はアメリカ大陸に。ファンの間でも人気の高い名悪役・蠅の帝王(フライマスター)ベルゼバブとの戦いに突入していきます。
ちょうど運命の連載10回目(ジャンプで人気のない漫画が打ち切られる回数)を迎えた辺りで、掲載順列もジワジワ巻末に落ちてきていたのですが……このベルゼバブ編から一気にお話が面白くなっていき、読者人気も復活。中カラーを獲得したりもしていました。やったぜ巻来先生!
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ところでこのベルゼバブ。霊気の父親である魔王サタンに次ぐ魔界の実力者で、両性具有。おっぱいがあって男にも女にも見える、いわゆるアンドロギュヌスという奴ですね。
つまり永井豪「デビルマン」における飛鳥涼=サタンと同じようなキャラなのですが、そのデザインセンスは大きくかけ離れています。
飛鳥涼=サタンが終末の世界に降臨する天使なら、週末の歌舞伎町あたりに降臨するニューハーフといった感じでしょうか。
サリーちゃんのパパそっくりの髪型で、マドンナ(歌手)のような悪趣味な網タイツのボンデージファッションに身を包み、とどめは「ホッホッホ」というオカマ笑い。とにかく下世話です。
闘い方もどこか変態的で、乳首がチューブからひり出したネリカラシみたいにニュ〜と伸びて溶解液をピュッピュと出したりします。
また口から蠅特有の溶解液を吐く「強酸溶唾」(フライシット)という技もあるのですが、これなんか擬音が「ゲ〜〜ッ」だったりして、どう見てもゲロ

なんというか、巻来功士ワールドのエキスを濃縮還元して丸一日煮詰めたような濃すぎるキャラは、完全にゴッドサイダーたちを圧倒してしまいます。

ところでヒロインの流璃子はどうなっているのかというと……仲間のハルペスを見殺しにして霊気と闘わなかった罰として、ベルゼバブにずっとお仕置きされています
それもかなりSMチックなエロい責めで、この一連のシーンで性に目覚めさせられた少年読者も数多いかと思います。
元から水着同然の鎧が、熱い砂みたいなものを振りかけられて溶け落ち、おっぱいが露出。熱さのあまり「お許しをー!」「ヒィイイイー!!」なんて悲鳴を上げて悶絶するヒロイン流璃子。
「ドラゴンボール」がやってる横で「ヒィイイイー!!」。
何やってるんですか巻来先生……。

この囚われの流璃子を救出する為に、霊気たちはベルゼバブのいる迷路帝都(ラビリントス)に突入していきますが、ここで新たなゴッドサイダーが登場。
後々まで活躍する、クラッシュ・マリガンというプロレスラーのリングネームみたいな名前の白人で、「シット」「ハッハー」が口癖といった分かりやすすぎるアメリカ人キャラをしています。

物語にも勢いが付き、登場する敵キャラもバラエティ豊かになっていきます。中でも「悪魔画廊」の主人で霊気たちを絵の中に引きずり込む(大林宣彦のホラー映画「ハウス」でそんなのがありましたね)影喰らい(シャドウイーター)ウッド・ワードなどは、あわやという所まで霊気たちを追いこみます。
しかしスパゲティにされて食べられる寸前(笑)、フォラスの時とは逆に悪魔のパワーに目覚めて復活する霊気。ここで神の霊気と悪魔の霊気が対決するという、哲学的な次元の闘いが演じられますが……そこはしっかり巻来テイスト。「堕亜愚残輪」(ダアクカッター)などのエクストリームな必殺技が飛び交います。
ちなみにこの「堕亜愚残輪」ですが、単行本化される前のジャンプ誌上では「堕靡泥残輪」(ダビデカッター)という名前になっておりました。
佐藤まさあき先生のお叱りがあったかどうかは定かではありません。

そしてベルベバブとの直接対決。これがまた二転三転する手に汗握る熱い展開で、とにかく面白い。
絵にも気合が入り、作者がノッてきている感が凄く伝わってきます。
そして間一髪で父親サタンの復活を阻止、苦闘の末どうにかベルゼバブを倒す(同時期にやっていた「ジョジョの奇妙な冒険」第一部のディオ並みのしぶとさを見せます)霊気。

救出した流璃子と感動の対面を果たし、めでたくカップル誕生となります。
この間に仲間になったのは、マリガンが命がけで救った人造人間(ホムンクルス)の大女ジェミニーと、阿太羅の盟友である法粛
法粛は、坊主なのに皮ジャンに金髪を逆立てたパンキッシュなルックスのクールガイ。ベルゼバブ戦で右腕を切断されてしまいますが、後に義手を装着してパワーアップしたり、脇役の割に終盤まで存在感を見せたキャラでした。

こうして、最後まで盛り上がったベルゼバブ編も大団円を迎え、物語は新展開に移ります。
舞台は再び日本に戻りますが、毒ガステロで荒廃した東京では、「パズス教団」という、それこそオウムチックな新興宗教集団が勢力を築いておりました。
このパズス教団こそ、霊気たちゴッドサイダーの新たな敵となるのですが、紹介しているとまた長くなりそうなので割愛……と言いたい所ではあるものの。
このパズス編もまた巻来ワールド全開の傑作なので、はしょるには忍びなく次回でお送りする予定です。


黒魔術大全 その14
堕亜愚残輪とは キリストを裏切り
殺したユダの子孫から生まれた
悪魔の側の人間が 使った武器で
日本の島原の乱では 三万人のキリスト
教徒の首を はねたといわれている
この刃は 人の血を吸うほど切れ味が
よくなり 一億人の血を吸うと
切れないものがなくなるといわれている



奈落ハジメ(ならく・−) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/09/16(火) 20:01:09|
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週刊少年ジャンプ(43) 巻来功士 2 「ゴッドサイダー」 1

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


読者の皆様、はじめまして。
今回からゲスト参戦することになりました、奈落なるしがない漫画読みです。誰?というツッコミは極力なしの方向でお願いします。

さて……その記念すべき一発目ですが、私は悩みに悩みました。
そう、初回とは言わば名刺代わり……ここで誰のどんな作品を紹介するかで、私という人間に一種のレッテルが貼られてしまうのは間違いないでしょう。
梶原一騎描く男の世界という大海。永井豪作品の強烈すぎるセンセーション。望月三紀也が構築する芸術的アクション描写などなど……後世に語り継ぐべき価値ある作品や作家は幾らでも漫画界に存在します。

そんな中で飛びだした、「いきなり巻来功士とかはバカっぽいよね?」という一言。
なぜだかの記憶はアルコールで死滅した脳細胞と共に失われてしまいましたが、とにかく「あえてそれで」という運びとなりました。

巻来功士に関しては既にこのブログでも取り上げられていますが、改めてどんな漫画家かと説明するならば……。
いわゆるB級テイストを愛好する、荒木飛呂彦氏にも通じるその作家性が大きな魅力な人なのですが……なのですが。
荒木先生の作品に漂うハイソかつオシャレでエレガントな香りは、巻来先生の作品には殆どありません。
理由を挙げるなら「とても下品だから」ということになるんでしょう。例えるなら「チャーリーとチョコレート工場」と「悪魔の毒々モンスター」の違いみたいなもんです。
巻来先生とその作品が、比較的メジャーであるにも関わらず現在まで余り語られていない感があるのは、ひとえにその下品さであり洗練されていないバカっぽさに理由があるように思えます。

ですが、それだけで黙殺してしまうには余りに勿体ありません。巻来作品には、語るべきワンダーや熱さが沢山詰まっているのです。
というわけで……お送りするのは、現在までの氏の最大のヒット作「ゴッドサイダー」
gods1[1]

「ゴッドサイダー」が週刊少年ジャンプで連載開始されたのは、1987年。前作「メタルK」が連載第2回目で巻末落ちという前人未到のコケ方をした巻来先生は、捲土重来を期していたと思われます。

神と悪魔の対立が織りなす、壮大かつ分かりやすい世界設定。そして、給湯ポットみたいな顔のロボット(機械戦士ギルファー)、ドロドロに身体が溶ける女サイボーグ(メタルK)と、今までは個性的すぎた主人公像を一新した二枚目顔の男性ヒーロー……と、一般読者ウケを狙っていたのは想像に難くありません。

物語の基礎となる、「神の側の人間」(ゴッドサイダー)「悪魔の側の人間」(デビルサイダー)の闘争。
それは今まで歴史の水面下で行われてきたのですが、20世紀末、突如世界各地でデビルサイダーの活動が活発化してきます。
それはハルマゲドン到来……つまり彼らの首領である魔王サタンの復活の予兆でした。そして、物語の舞台である日本は高野山鬼哭寺(このネーミングセンスが巻来テイスト)で育てられた、鬼哭霊気という青年が登場します。

この霊気、最初は出っ歯で白痴という危ないキャラクターデザインなのですが、主人公です。神と悪魔の間に生まれた子であり、それゆえにハルマゲドンの鍵を握る存在としてデビルサイダーに狙われます。
連載第一回と二回目では、最初の敵ドゥーインとの闘いと霊気の覚醒が描かれます。
敵の攻撃を受け、眠れる血に目覚める霊気。なんと出っ歯がポロッと取れると凛々しい二枚目顔に!
更に鎧武者を思わせる強そうな姿に変身し、ドゥーインを圧倒的強さで倒してしまいます。

この時、我らがヒーロー霊気が使う記念すべき必殺技第一号が「怨霊散弾」
どんな技かというと、文字通り怨霊のパワーを全身に吸収し、刀のひと振りと共に相手に叩きつけるという攻撃です。
「ドボワッ」という汚らしい音と共に飛んでいった無数のドクロ(目玉付き)が、相手の全身の肉を食いちぎるスプラッターな描写が見開きで……ヒーロー番組からホラー番組へいきなりチャンネルを回されたかのような、ショッキングすぎる必殺技でした。
ここへ来て過剰なまでに作家性を発揮してしまうのが、やっぱり巻来先生といった所でしょうか。

さて最初の敵を退けた霊気ですが、「俺には神も悪魔も関係ない」と、後に仲間になるチベットのゴッドサイダー阿太羅の協力要請をあえなく拒否。見事なツンデレぶりを披露します。
しかし仲の良い子供のタツ坊とレンコン(このネーミングセンスが巻来テイスト)が第二の刺客・炎魔獣ハルペスに食べられてしまい……その怒りのまま必殺技「怨霊魔鬼雨」(このネーミングセンスが以下略)でハルペスを倒し、ハルマゲドンとは関係なしにデビルサイダーへ宣戦布告。熱血ヒーローだぜ霊気!
技はあんまりヒーローっぽくないけど。

ここでハルペスと同時に登場するのが、アメリカからやってきた悪魔神父フォラス、そして初の女性キャラである水魔ブロケルという色っぺー姉ちゃんです。
このブロケル、実は霊気と同じ鬼哭一族の生き残りである幼なじみ・鬼哭流璃子がその正体なのですが、霊気と違い明確にデビルサイダー側として参戦。
つまり霊気の敵に回っているわけですが、その理由は人間への復讐心。鬼哭一族が「鬼や天狗として人々に迫害され続けた」からということで、この辺りは被差別部落問題や平地民による山岳民族差別を表わしたものと深読みできるのかもしれませんが……巻来先生に限って、そんな鬱陶しい意図は100%ないでしょう。

この後、物語はフォラスによる毒ガステロによる東京壊滅(オウムを先取りしていた?)などへと展開していくのですが……案の定長くなってしまいましたので、次の機会へ譲りたいと思います。

黒魔術大全 その3
怨霊散弾とは 相手から
すいとった瘴気エネルギーを
体内の神の側の人間の
エネルギーと合体させ 数十倍の
パワーにして 相手にぶつけ
滅殺する これは神と悪魔の
間の子である霊気にしか
出来ない技である



奈落ハジメ(ならく・−) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。

  1. 2008/09/12(金) 16:07:18|
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週刊少年ジャンプ(42) ガチョン太朗 1 「大相撲刑事」

今夜もこのブログ初登場にして、昨夜の「飛ぶ教室」と同じく週刊少年ジャンプの打ち切り漫画として有名な、ガチョン太朗先生の「大相撲刑事」(集英社刊)を紹介しましょう。
GATYON-ozumou-deka.jpg
単行本は全1巻で、1992年という花田兄弟による大相撲ブームの頃に連載された作品。

私はこの頃もう大人になりかけてて、ジャンプは軽く立ち読みするくらいになってきてたと思うのですが…
この作品にはビックリしました。
漫☆画太郎先生が突如出てきた時にも似た感覚で、絵がキレイな商業向け漫画ばかりのジャンプにあって、あまりに特殊でした。
下手、そして汚く雑な絵柄で、スクリーントーンはほとんど使わない手描きだから見にくいのに、勢いだけはあります。

両国県警の捜査課に赴任してきたFBI(なのに英語がしゃべれない)の大関幕太郎刑事が主人公で、そのまま相撲取りの姿をしてます。
彼が全てを強引に相撲的な流儀で解決するギャグ漫画で、ストーリーは無いに等しいワンパターン。

成敗した犯人に、
『明日までにレポート100枚書いてこい!!タイトルは「木工用ボンドと登校きょひについて」だ!!!!』
などと命令して、『それを書けば罪が軽くなるんスか?』と聞く犯人に大関が『ならん!!!!』と答えるのがお決まりパターンです。
(他にレポートのテーマとして「エレキギターとはな毛きり」「アイドルと北方領土」「少女コミックを描く」といった物がありました)

他のキャラクターもアホすぎで・・・
弟子になった新米刑事の今井一(今井の海)、捜査課長の星野王子、呼び出し→弓とりと修行させられる関東集英会のヤクザで"メンチの政"こと桜井(政の海)、等がいます。
ちなみに男の中の男漫画であるこの「大相撲刑事」、女性キャラが最初に何コマか出るスチュワーデスだけでした。

…まぁ作品読んでもわけがわからないのを、文章で説明した所でしょうがないですね。
とにかく読んでもらいたい。そして貴方は言うでしょう、『なんじゃこりゃー!』と。

もちろんすぐに打ち切りになったのは最初に書いた通りですが、ガチョン太朗先生…一体、今どこに行ってしまったのでしょうか。他の作品も読みたいです。
GATYON-ozumou-deka2.jpg
↑これは単行本に載ってる作者写真。

その下にある作者の言葉の方は、
『この本は、これから犯罪をおかしたいという人とヤクザになりたいという人を止めるために作られた本です。しかも、これから力士になりたいという人にも、ちょっとは役にたつ事が、描いてあるんじゃないかと思ってます。
(役に立たなかったらごめんなさい)
まー、犯罪をしたい人、ヤクザになりたい人はこの本を読んで、もう一度考えなおして下さい。』
などと、全くそんな目的ないだろうし役立つわけがない内容なのにこう書く、そのふざけたセンスもグーでした。


土俵は 力士の職場だぁ!! たわけがぁ!!

  1. 2008/08/19(火) 23:23:15|
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プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
二代目BRUCE LEE、あだ名は大悟です。


詳しくはこのURLをごらんください。↓
http://mangabruce.blog107.
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名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っているブログです。

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