今夜は
いばら美喜先生。
昔の恐怖、怪奇漫画好きにはとてつもなく高い評価をされている大御所でありながら、現行の週刊誌とかだけチェックしている方々には全く知られていない…
つまり一般とマニアで知名度が著しく違ってるわけですが、まぁ何が言いたいかというと、一部の好事家からは絶大な人気を持っている方だという事です。
その
いばら美喜先生は1929年生まれの茨城県出身で、戦後美大進学のために上京しながらも金銭的な問題で中退し、上野で街頭似顔絵を描いて稼ぎながらもホームレス生活をしていたそうです。
その後、貸本漫画ブームに乗って
「菊之助格子」で漫画家デビューを果たし、また貸本漫画界の衰退によって一時姿を消し…そうそう、
いばら美喜先生は放浪癖がある事でも知られる方ですので、姿をくらましているため定期的に作品を描いてない時期があります。
私が子供の頃は、まだ描き下ろし単行本でホラー漫画を発表していたはずなのですが、最終作がいつのどれなのかも分かりません。
分かっているのは、もう漫画界には戻ってこない事…
亡くなったとの噂を聞いた事がありますが確かじゃないし、まだ生きていて作品も描いてたとしても、もはや今の漫画界ではこんな凄まじい作品の発表場所は無いでしょうから。
一時期
唐沢俊一先生が
「カルトホラー漫画秘宝館」(
文芸春秋刊)等の出版で貸本漫画作品の復刻作業を頑張って進めていまして、
いばら美喜作品もいくつかは簡単に読めるようになりました。
ちなみに、
水木しげる先生の
「コミック昭和史」(
講談社刊)にて、
いばら美喜先生がモデルと思われる
「イバラ道」という漫画家が登場します。
その時の会話が
『あっ「イバラ道」さん まだ生きてたんですか』
『ほんとおたがいに…… マンガで生きているのは奇跡みたいなことです』
『ホント』 ですから、
水木しげる先生の有名な貧乏話と同様に苦労された事でしょう。しかも
水木先生のようにその後の成功を得ることも出来なかったのだから…涙。
いばら美喜先生の有名作としては、
「悪魔の招待状」「死神が来る!」「恐怖の修学旅行」あたりが挙げられると思うのですが、短編で完成度、魅力共にヤバすぎる作品が多いですね。
切り刻まれる人体、チリになって飛んでいく人体…そして奇抜なアイデア、唐突であまりにも救われないラスト!
細かく紹介したい
いばら美喜作品はいくつもありますが、まずは…やはり貸本漫画時代の作品から選んで
「化け猫少女」(
ひばり書房刊)。

これは1980年代にもひばり書房から復刊されているので、入手もわりと容易なはずです。
東京の聖華学院一年の
志村洋二は、クラスメイトであり卓球部でも一緒の
瀬川恵子を訪ねて田舎町の笹倉へ訪ねてきました。
恵子は六ヶ月前から休学していて、聞けば脳髄が萎縮してしまうという恐ろしい病気で、健康に見えてある日突然ポックリと死んでしまう恐れがあるのだそうです。
そのため恵子の母親は、この笹倉に昔から
"お霊憑き"という祈祷があり、どんな病気でも治すという噂を信じて恵子を連れて来ていたのですが…
このお霊憑を研究している祈禱師の婆さんを訪ねます。この人は180歳で、しかもかつて3度ほど死んでいるのに、その度にお霊の力で生き返ったのだそうです。
実はその恵子に会う前に洋二は、弁当を黒猫の
お霊に盗まれ、寝転んでたら偶然見かけた母子らしき二人
がいるのですが…そこがとにかくインパクトのあるシーンでした。
『このお花 あたし大好きなのよ お母さん ホラ!こんなに』
『きれいなお花ね 広美ちゃん』という会話が聞こえてきたので洋二がそちらを見ると、何とお花を持って母の元へ走る
広美は…少女の服装の老婆なのです!!
この少女の服装をした婆さんが後で分かる事によると、祈禱師の婆さんと体が入れ替わった中学三年生の
さゆり。
あれ、最初は広美って名前でしたが…途中からさゆりになっているのは単なる間違いだと思います。とにかくこれ以降はさゆり。
いばら美喜作品で細かい事は気にしちゃ進めません。
180歳の祈禱師婆さんの祈祷というのがまず驚きなのですが、大口あけて娘に接吻…いや、アゴから鼻までくわえこんでいまして、すると婆さんは娘の若さを吸い込んで若返るってわけなのです。
しかし午前一時から二十分間だけはさゆりと婆さんの姿が戻る事を発見した父親が、その時間を狙って斧で婆さんを殺しました!
しかし息絶えた婆さんの傷口を黒猫のお霊が舐め、さゆりの母親を舐めると…次の日には婆さんの傷を負った母親が死んでいて、婆さんは生き返るのです。
つまり、黒猫のお霊はどんな怪我や病気でも、他の人に移してしまうのです。ご丁寧にも殺人に使った道具までそのまま移りますよ。
婆さんも生き返って、また婆さんの姿になったさゆりを殺してしまった父親は、気が狂ってしまいました。
この一連の騒動を見ていて祈禱師婆さんの恐ろしさを理解した洋二でしたが、それでも肝心の恵子を助けてもらうために…婆さんが閉じ込められた土蔵から出してやります。
恵子の不治の病を健康な誰かに移してもらうために。代わりに移された誰かが恵子の病気で死ぬと知りながら!
倒れた恵子を婆さんの所に連れて行くと、
『死んでもらうんだよ 死人を生きかえらせる方がかんたんで失敗が少ない』と、座布団を顔に押し付けて恵子を殺してしまう婆さん。
それから、例によって黒猫のお霊が死んだ恵子を舐め、

この病気と死を移すのは、前にゴルフ場で会っていた性格の悪い女にする事にしました。
そしてまんまと成功するのですが…ゴルフ場で父親が倒れた娘に駆け寄って名を呼ぶので判明した、恵子の代わりに死んだ女の名前が何と広美!
いばら美喜先生、完全に人名がごちゃ混ぜになっています。そして編集者も気付いてないのか…
生き返った上に健康体になって復活した恵子を確認した洋二は、この秘密を守るためにと寝ていた祈禱師婆さんを包丁で刺し殺すのですが…って、何て汚い主人公でしょうかね。
それを見ていた黒猫のお霊が、傷をせっかく生き返った恵子に移し、結局は恵子も死んで、ヤケになった洋二は再び婆さんを刺して二人とも崖から転落して死亡。
またも黒猫のお霊が、婆さんの方だけ生き返らせるべく代わりの生命を求めて走り、あわれ通りかかった恵子の母親が代わりに死んでしまうのです。
ゴルフ場で広美を殺された父親が、娘の仇である黒猫のお霊をゴルフクラブで叩き殺し、それによって神通力も消滅した婆さんは…
ここからのラストシーンが見物なのですが、若くなっていた姿からみるみる老けていき、ぞろーっと髪の毛が全部抜け、グラリと倒れるといつの間にか肉や皮も削げ落ちている頭蓋骨がポロッと取れ、ころん ころん ころん ころんと転がって…コツンと石に当たり、かぱっと真ん中から割れて、
"完"の文字。
いい味出しすぎの描き文字の効果も含めて、素晴らしく脱力するラスト3ページ…
そして主人公からサブキャラまで、無意味に全部殺しての唐突な終わりは正に
いばら美喜先生の美学!
この後の
いばら美喜作品もどんどん読んでいくと分かる共通の救われなさはやみつきになり、一般的なヒット作に見える嘘っぱちのハッピーエンドなんてぶっ飛ばしてくれると同時に、人生に意味だとか価値なんてないと悟らせてもくれる、ある種の哲学書なんであります。ハイ、終わり。
ああ お霊……お霊がいないとわたしゃ生きてゆけないんだよ
- 2008/09/25(木) 23:59:59|
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昨夜に続いて、ペンネームの胡散臭さは漫画界一とも言われる正体不明の男…
ムッシュー・田中先生で続けましょう。
今夜は
「死人の足音が近づく」(
立風書房刊)で、このタイトルの『死人』の部分は『ゾンビ』と読みます。

まずオープニングは弥生時代中期。
邪馬台国の女王
卑弥呼が、自分に逆らった狗奴国の一族を約束破って皆殺しにする所から始まります。
狗奴国の一族には代々伝わる恐ろしい呪術、すなわち死者を甦らせて禍を起こす恐怖の呪いがあるというのですが…
次は時が飛んでいきなり現代の湘南、江ノ島海岸通りです。
ここで
秘魅子とその母が車で逗子トンネル…通称
"幽霊トンネル"を通るコースに入ったために怯える場面になるのですが、ここで何と作者の
ムッシュー・田中先生が登場します!!
『余が本書の著者 ムッシュー・田中である』とか言いながら、幽霊トンネルについて取材した事とかを語るのですが、その
ムッシュー・田中先生のお顔はこれ!!

カッコいいです…
さて作中へ戻って、幽霊トンネルに差し掛かった母子が、
『タレントの和田アキ子やキャシー中島も
トンネルの中で血まみれの手首に追いかけられて
死ぬような恐ろしい目にあったんですって!』とか語っているうちに、実際に入ってしまい、出口で母親がフードかぶった女に襲われて争い、次に目覚めたら病院のベッドの上。
タネを明かしてしまえば秘魅子の母親はあの争いで殺され、襲った女が母親に成りすまして秘魅子の家、つまり『六会の山の手にある、湘南でも屈指の豪邸』に入り込みます。
秘魅子の巨乳をしっかり拝める入浴シーンの読者サービスを挟んで…
母親に成りすましていた化物は、ついに正体をあらわして秘魅子を襲い、逃げる秘魅子は父親の元へ逃げますが、父親も…次に駆け込んだ隣のお姉さんも、管理人のおじさんまでもがオカシクなっていて、秘魅子を追いかけてきます!
ついに捕まった秘魅子は、これが1700年前の血の怨念だと知らされます。
そう、彼らの正体はオープニングで卑弥呼に根絶やしにされたはずの狗奴国の一族。
『ググ…グ…… われわれは遠い過去からよみがえった死体(ゾンビ)じゃ
生きている死体じゃよ グッグッグ………』だそうで、秘魅子は卑弥呼の子孫だからと襲われたわけなのですが、それまでこの血筋は1700年も放っておかれておいて、何で今更…
その秘魅子の絶体絶命のピンチを救ったのは、今までほとんど出てなかった九州の伯母さま。
伯母さまが
"卑弥呼の勾玉"とかいうのを持ってくると、急に強気になった秘魅子が敵を倒す…
狗奴国の一族達は目から光線を発射するし、何かもうパンクすぎる漫画でわけ分からないのです。
ムッシュー・田中先生はさすがに
少年ジャンプ出身だからか、この手のB級ホラー漫画としては画力はまぁまぁだと思うんですけど、でも普通に今のジャンプ読んでる人々に読ませたら、ポカーンとされて捨てられるだけなのでしょうね。
アカデミー賞よりラズベリー賞受賞作を愛する人にも似た、もっとこの手の漫画の面白さを分かってくれる人が増えれば、また書き下ろしホラー漫画の復活もありえると希望に燃える私ですが…
いや、もう現代では真面目に描いて立風書房や
ひばり書房の、あの時代の異常な凄さを出せる天然な漫画家など誕生しっこないですね。
だからこそ、作者の頭がどうなってるのか知りたくなるような、文化遺産指定すべき作品群が立風書房やひばり書房に眠っているわけです。
いまこそおまえは われわれの呪いを一身にうけて……
生きている死体に………
つまり ゾンビになるのだ!!
- 2008/09/18(木) 23:36:28|
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今夜は、あのムッシューの話をしましょう。
おっ、元ザ・スパイダースの
かまやつひろし…つまり
ムッシュかまやつか、ですって!?
ノンノン!我々漫画好きの間でムッシューと言えば、当然
ムッシュー・田中先生ですよね!
作品によってペンネームを使い分けていて、年齢・国籍・過去などは一切が秘密に包まれている荘厳な方。
どの時でも、絵ははっきり言って
さいとう・たかを似なのですが…
例えば劇画を描く時は
田中善之助名義で、あの
少年ジャンプでも
「美女丸」等を描いてますし、エロ漫画を描く時は
プリンス田中名義だったりします。
もちろんここではホラー漫画を描く時の
ムッシュー・田中作品を紹介したいのですが、まずは
「魔女がくる館」「赤蛇少女がすむ館」等の代表作ではなく、私が初めて買ったこれ…
「恐怖!犬神の森」(
立風書房刊)にしましょう!

これは元々
「狼女ロビズオーメン」のタイトルで出ていたのですが、例の立風書房手法によってタイトルとジャケを変えて出版されたのが
「恐怖!犬神の森」。
火の国、熊本県の阿蘇火山群の山奥にある孤立した集落・犬喰村の、犬神神社と犬神信仰の迷信と怪事件を描いた描き下ろし作品です。
洋介と
霧絵の兄妹が、いとこの
燐子に呼ばれて東京から犬喰村に訪ねて行く所から始まる物語。
犬喰村では現在、"犬神様の使い"とも呼ばれる
妖怪犬が出るようになって村人が犠牲になり、凶暴な野犬も増えているといいます。
そこで絡んでくるのが40年前、現在と同じく竹の花が咲いた時の忌まわしき村の過去なのですが、何と当時の満月の夜、おそろしい数の野良犬に襲われて村人達は闘い、四十二人も死に…
それが犬神様の呪いだという事で村に逗留していた旅の乙女を人身御供として野犬に捧げていたのです。
だんだん分かってくる妖怪犬の正体というのは、何といとこの燐子。
ちゃんと前の方で高校時代にブラジル旅行へ行って
アンジェロ・冬木という大学生と出会って愛の誓いをかわすのですが、ある時にアマゾンの洞窟で吸血コウモリに襲われた話をしていて、それが複線になっているのですが…
南米にはロビズオーメンという狼人間がいて、燐子は未だに狂犬病の多いアマゾンでコウモリに襲われたときに感染してそれになったという話なのです。
最初に霧絵が目撃した時に
『鋭い牙をもった 子牛ほどもある 毛むくじゃらの怪獣』
と表現している、その妖怪犬になった燐子なのですが、それは月光を浴びた時だけなり、変身している時の記憶はありません。
やたらとページ数をかけて丹念に描かれる変身シーンは怪奇映画風で、私はかなりそそられますよ。
永井豪先生の
「キューティーハニー」そっくりに、服がビリビリ破れて変身するシーンもあり、少年読者へのサービスを分かってますし!
モンスターが暴れまわる系のホラー漫画なのに、未来の動物学者である洋介に説明させて狂犬病とかSS30Rという成分の水とか何とかでリアリティを出そうとしている努力は認めますが…
ありえないと笑ってしまうのは、私が汚れた大人になってしまったからですね。
最後は妖怪犬=燐子が野良犬を呼び寄せて(この野良犬操りも前半に伏線がありました)、村人をぶっ殺しまくった末に、最初の方で娘を殺されて頭がイカレた
源さんによって撃ち殺され…ボロボロに崩れて唐突な終わり。
最後に燐子の哀しみを彩るかのように阿蘇が噴火し、最終コマで
『影山燐子に合掌!』と言われるのですが、ここまできて初めて燐子の苗字が影山だったと分かるとは…さすがです。
あくまでB級テイストあふれて突っ込み所満載の作品を描く
ムッシュー田中先生ですので、これを面白いと思うか否かは別れると思いますが…少なくとも私は、お薦めしたいのです。
娘が殺られた!!
呪いだあ 犬神様の呪いじゃあっ!
この村はほろびてしまうんじゃあ!
ひーっひ ひ ひ ひ ひ ひ
- 2008/09/17(水) 23:11:48|
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「マクンバ」−
それはポルトガル語で
「呪い」を意味するというわけで、今夜も
いけうち誠一先生の作品で続けますが、
「マクンバ 呪い」「呪いの画像は目が三つ」(
立風書房刊)でいきますよ。

これもやはり前回の
「くらやみクラブ」と「私は心霊少女」を紹介した時と全く同じく、ジャケとタイトルが違っても本を開けば同内容という例の立風書房の
レモンコミックス手法ですね。
まぁこれも同内容と知りつつ両方持ってる私がどうかしてますが…
今回も原作に超常現象研究家の
中岡俊哉先生を迎えていて、舞台は東京都の青木中学。
ここで講堂を新しく改築する事と、それにて発生する"たたり"問題で物語の幕が開きます。
講堂の工事が始まると本当に事故が相次ぎ、同級生は呪いによって歯が黒くなって落ちなくなったり、老婆になったりしてしまい…
夢のお告げから主人公の少女・
国府田妙子に原因があると分かります。
ちなみにこの一冊、
『この物語に登場する超常現象はすべて事実である』という前提で進むからビックリします。
いや、それほどトンデモナイ話なので。
一番の鍵となるのは本のジャケにも載ってる三つ目の絵なのですが、種を明かすとこれは怨霊のこもった呪われた絵で、妙子の先祖の因縁から国府田家への恨みを込めて血で描かれた絵であり、その呪いは数百年経っても消えずに絵の周辺に奇怪な霊現象を起こして人々を苦しめ続けているのです。
この絵が最初を講堂から最初に掘り起こしたのは、学年一の美人・
西条亜希子を自分のものにと狙う醜男の
黒田幸夫。
彼は祈り続け、ついには亜希子を自分のものにしますが、そのために亜希子は猫に憑依されて狂い、崖っぷちで幸夫と揉み合って絵は遠くに転がっていき…
次に絵を拾ったのが、正当防衛とはいえ人を殺してしまった
友子。
彼女はせっかく玉の輿に乗ったのに罪の意識と異常な現象に悩まされて自殺しました。
ご丁寧にもこの死んだ体から抜けて行ったエクトプラズム(霊魂・幽体)の生態や重さの話まで説明されるのが、原作の
中岡俊哉先生らしいですね。
それから妙子は仲間のノン子、ひろし、こうじと共に有名な青森県の恐山へ行き、イタコに林崎の五智如来へ行けと命令されます。
それから妙子の祖先がやった極悪非道の仕打ち、一家五人を苦しめながら三日間もの間少しずつ焼き殺したという事実だとか、その恨みを持つ続ける子孫が信州の山奥の落穂村にいる事まで突き止めますが…
それにしても、原作者の指示でしょうが超常現象紹介に主眼を置くばかりにホラー描写には弱い
いけうち誠一先生の作品ですが、この妙子の祖先が行った人の火あぶりだけはけっこう残酷ですね。
『三日三晩 わたしらは火にあぶられたのだ!!
皮ふは焼かれ 肉は蒸され…………
血は煮えた!!』と言うすさまじい説明文と共に出てくる絵も、けっこう凄い。
かつて祖先が蛮行をしたらしい落穂村に行った妙子達は、国府田家を呪う張本人の婆ちゃんと知り合い、その孫の
ちほと友達になったために…
婆ちゃんの孫を思う悲しい気持ちと絡まって、物語は収束に向かいます。
一度はヒロインがこんなに醜くなっていいのかと心配するほどの顔になった妙子でしたが、婆ちゃんは先祖の命令よりも可愛い孫のちほを思って、我が身を犠牲にして地獄へ行きました。
そして、五百年も前に生まれた怨念が消え…終わり。
一冊使った作品のわりには主要キャラクターの個性がまるでないまま終わってしまいましたが、タイトルのわけわからなさ、他に見所、突っ込み所はいくつかあって放っておけない作品…
「マクンバ 呪い」「呪いの画像は目が三つ」でした。
目をつむり、手をあわせて神仏に祈ったことのない人はいない。人々はそうした自分さえ笑おうとするのか。
近年のオカルトブームはなんだったのか。この科学の時代にこそ、霊、怨念の世界に興味を持ち、それをのぞこうとしたのではないか。
笑うことをやめよう。
霊の世界、それは、我々自身の心の底の世界なのだから………。
- 2008/09/03(水) 23:27:00|
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今夜は初登場の
いけうち誠一先生の
「くらやみクラブ」「私は心霊少女」(
立風書房刊)です。

一気に2作品の紹介というわけではなく、この二冊は全くの同内容。
この立風書房の
レモンコミックスではありがちな、同内容作品をタイトルとジャケ違いで再発し、それをまた新刊扱いで売っていた手法です。
まず
いけうち誠一についてですが、この方は
白土三平先生の
赤目プロでアシスタントをしていた方らしいです。
独立してからはアクション漫画やオカルト漫画を得意とし、
横溝正史の
金田一耕助シリーズから
「犬神家の一族」「獄門島」「悪魔の手毬唄」という名作を次々漫画化したりもしていたのですが…
今ではすっかりゴルフの事ばかり描いたり語ったりしてる、ゴルフ漫画家になってしまいましたね。
この現状はホラー、オカルト漫画ファンには悲しい事実ですが、一般的に知られる代表作は全10巻にもなる
「ゴルフは気持ち」という認識でしょう。
そしてこの
「くらやみクラブ」で監修として名を連ねているのが
中岡俊哉先生!
何故か
「私は心霊少女」の方では原作としてクレジットされていますが、とにかくこの
中岡俊哉先生をご存知でしょうか。
超常現象研究家として一部では有名な方で、超能力、UFO、怪獣、心霊現象…こういった物を探求し続けて世界各国を回り、一説では2001年に亡くなられるまでに四百冊以上の著書を上梓したのだとか!
中岡俊哉先生が監修しているからこそ、
「くらやみクラブ」に見所がグッと増えているのが分かります。
正直
いけうち誠一先生一人では、B級エンターテイメント作品としても面白味に欠ける作品だったでしょうが…
随所に散りばめた知識や伝説が、胡散臭さも含めてかなり生きています。
「くらやみクラブ」は読者を怖がらせるよりも超常現象を紹介して興味を抱かせる事に重点を置いた内容になっていて、特に子供なら確実に、前よりも不思議な現象に意味を見出すようになるでしょう。
もちろん、
中岡俊哉先生自身は大の大人ですし、書くこと全部を信じ込んでいるわけではなく、事の真偽なんかより面白さを重視する方なんだと思います。
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それでは
「くらやみクラブ」のストーリーを追ってみましょう。
東京都の不覚中学校二年の生徒・
ひろし、同級生で学校の総番長で冠木光次こと
マジンガ、ブスの
マリ、そして転校生で美人、しかも金持ちの娘なのに深い悲しみを抱える
下条奇子(実はこの人が主人公)の四人が、第1話目『恐怖のサイキック円盤』でいきなり円盤が起こした不思議を目撃して以降
"くらやみ倶楽部"という名の、超常現象研究の倶楽部を結成します。
タイトルでは倶楽部の字がカタカナですが、本文中では漢字なのです。
『オレたちはまだ何も知らない…… 宇宙のこと そしてオレたち自身のこと……
奇妙なできごとが起こると ただふしぎがり おろおろするだけだ
しかしそれは実際に起こっているのだ!! 現実なのだ!!
この超常現象をオレたちは見つめていこう! そして考えていこう!!
おれたちをくらやみ倶楽部と名づけよう!
超常現象という まだ何もわかっていない だれもわかろうとしない世界に少しの光でもさしていこう!』当然彼らの周りでは不思議が続出するのですが、第2話目『恨みの心霊写真』では
スケバンのお定が幽霊に襲われる事件があり、早速くらやみ倶楽部の出動!
幽霊とは何か?このナゾのくらやみに光を当てるべく訪ねた先は…何と監修の
中岡俊哉先生ご本人!作品にも登場してきました!!
ここで心霊写真も使いながら長々と幽霊についての講義を受け、奇子が学校の自縛霊に取り付かれて自動書記で手紙を書かされたりしますが…最後に奇子が身をもって示した勇気によって自縛霊の怨念は解かれました。
第3話目『死を呼ぶ呪い』では、念力(サイコキネシス)による呪いが描かれます。
マジンガの父親が起こした自動車事故で妹を失った少年が逆恨みして、マジンガを殺すべく不気味な呪文とワラ人形で呪い…
それに気付いた奇子が呪いの怨念を取り除く最も強力な念力、
"脱魂術"でマジンガを助けます。
奇子に何故そんな力があったのか、何故にそんな悲しい顔をしているのか…
それは第4話目『よみがえるミイラ』でようやく明かされるのですが、奇子は実は超能力者であり、それによってずっと、私は人間なのかと苦しめられていたのです。
ここではくらやみ倶楽部の四人は
黒崎先輩に連れられて東北の山奥の村へ行き、四百年前のミイラと関わります。
タブーを笑い、罰を恐れない黒崎先輩が守られてきたミイラの棺を壊して呪いを受け、最終的には死んでしまうのですが…
ミイラの正体はインカ大帝国の神官にして太陽の神の子であり、奇子はその子孫だと分かる重要なシーンがあります。
つまり日本に流れてきた神官の神秘な能力が、現代の奇子を超能力者にした…その謎だけ伝えると、奇子の涙と共に流れる土砂の下へ、ミイラは消えてしまいました。
最後の第5話目『おれは超能力者だ』で、コックリさんなどをやって自分を超能力者だと思い込んでしまった
小野寺が、学校でその超能力者の地位を守るために『三日後にひとりの女の子が行方不明になる』なんて予言し、それを本当にするために自ら誘拐してしまうという事件を描きます。
超能力者は本当は寂しい者だと知っている奇子が事件を解決し、しかも初めて同じ本物の超能力者である
山科茂という子供をくらやみ倶楽部に入れて物語は明るく終わり。
巻末特集に『オカルト用語事典』というのもあって、それの内容がわりと充実しているのも、
中岡俊哉先生が監修しているおかげでしょう。
宇宙の世界 自然の神秘 人間の不思議
われわれはまだ何も知らない
UFO 霊 超常現象
このくらやみにとざされた世界に光をあてていこう!
- 2008/09/02(火) 23:59:59|
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