大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ホラー漫画(112) 室井まさね 1 「屍囚獄」

今夜は室井まさね先生の「屍囚獄」(竹書房刊)。
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元々はバンブーコミックスより全5巻で出ていた作品ですが、昨年「劇場版 屍囚獄 起ノ篇」「劇場版 屍囚獄 結ノ篇」という2部作の形で実写映画化しており、そのDVD販売に合わせて分厚いコンビニ版で上下巻の全2巻にて再発売したので、そのタイミングで入手しました。こういうB級マンガは、カバー無しの安っぽいコンビニ本の方が似合うかもしれないからと…
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舞台はM県T山地にある、人口わずか43人で合掌造りの家が残る廃村寸前の僻地・八坂村。
ここへ民俗学の現地調査のため東京から訪れたのが、比良坂大学の葦原教授というおじさんと、あとは女性で助手の香坂と女子大生6人。簡単に言うとここはキチガイ村で、彼らよそ者達が次々と毒牙にかかっていく様を描いた猟奇殺人マンガです。

過去にここへ迷い込んだりして捕まった女は、手足を切られて自殺も出来ないようにされた上で村人達全員が自由にレイプ出来る共用オマンコ器みたいな扱いになっているという、酷過ぎる話。
女子大生達は美琴、さより、比奈、このは、沙霧、美耶…それぞれ個性も名前もあるのですが、すぐに殺されていくので真面目に覚えなくてもいい、というわけでそれぞれの紹介は割愛します。生き残る者を予測出来ないようにするためか、誰が主人公なのかも分かりにくい設定なので、誰が助かるか、どんな順番で殺されていくか予測しながら読むのも良いと思います。
ただし意外にも、最初の被害者は斧で頭を割られて顔面が2つに割れた村人側で、どうやら彼女たちを守るために動いている者もいるが!?

派手で血まみれスプラッターな殺し方が重要な見せ場となるグロ作品ですが、日本神話の猿田彦神を祀る村の因習や、宇受売(ウズメ)の謎も絡ませてミステリー色も出しています。一応は横溝正史モノの影響も入っているのです。
村人側も極悪人な天野村長の息子2人(おとなしい貴彦と頭の足りない大男・伊助)、それに宇受売神社の宮司・鹿屋野は良い者のようですが、でも本当に味方だと信じていいのか…うずめという少女、そして謎の侵入者も絡んで猟奇の縄は絡んでいきます。

本作のように次々に殺されていく人達を見て楽しむ、それは俗悪ではありますがアメリカでは低予算のB級ホラー映画ではず~っと作られ続けているし、それが一定数のファンがいる証明にもなっています。
B級ホラーだとタイトルを挙げてもイマイチ伝わらないかもしれませんが、例えばヒット作「ファイナル・デスティネーション」(Final Destination)のシリーズなんかもそうだし、「ソウ」(SAW)シリーズだって後半はほとんど謎解きより殺され方を楽しむようになってましたよね。日本の「呪怨」シリーズだってそうでしょう。私もね…意味なんかいいから、首がすっ飛んだり頭が真っ二つに割れて血がドバーッとなるのが好きなんだ!
ラストの展開などもここでは触れずにおきますが、猟奇ホラーのエンターテイメント性を大いに見せてくれた室井まさね先生。全然知らない作者でしたが、個性が薄いものの絵は上手いし、今後に期待したい漫画家の1人になっています。


…生き地獄や…
村中の男の相手させられて…
何人も子供 うまされて…
…終いにゃ その子らの相手まで…!
誰が誰の子ォやらわからん…
私ぁ…孫ォ生んどるんかも知らん……!!



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  1. 2018/05/30(水) 23:00:26|
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ホラー漫画(111) 谷間夢路 3 「怪奇堂本舗」

谷間夢路先生の「怪奇堂本舗」(ぶんか社刊)です。
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とにかくいつも美少女達が恐ろしい目に遭いまくる受難を描く作風で、自身もこんなに可愛い谷間夢路先生…って、いや本当は作者がおっさんなのは知っていますが、こうして著者近影に美少女を使うのが大好きで、いつも喜んでいました。
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本作は初出が1996年から翌年までの月刊ホラーM(ミステリー)で単行本は1997年に上梓されていますが、そのあたりは少女向けホラーコミック誌が数多くあって盛り上がっていたホラー漫画好きには夢のような時代でした。
同誌を発行していたぶんか社からは谷間夢路先生も本作の前に「恐怖目の怪」「ゆーれい学校恐怖日記」等、単行本を次々と出していて、もちろん出れば買っていた若き日の私…懐かしいです。

で、「怪奇堂本舗」は書画骨董を扱う"珍満堂"の娘・一色ミロクという女学生が店番をあいながら骨董品が持つ因縁と対峙する話を描いたオムニバス物。
え、店の屋号は本書タイトルの"怪奇堂"じゃないの!?と思われるでしょうが、そうなのです。単行本化の際に珍満堂では『ちんまん』という響きが卑猥でまずいと思ったのでしょうか。
この店の店主はおじいちゃんですが、 孫を溺愛していてこのような店を半分まかせていて…と、ああこれって藤子不二雄Ⓐ先生の「ブラック商会変奇郎」が元ネタっぽいじゃないですか。実際に単行本の中ほどにある開設ページでもそこからの影響を明言しています。あとはTV番組「開運!なんでも鑑定団」で骨董鑑定ブームが巻き起こっていた事も影響したようですね。

1番最初の話で描かれた百面鬼の呪いで、いきなり異常過ぎる人面瘡の持ち主を見ても、ちょっと引いてるくらいのリアクションしかしない強い精神の持ち主がミロクちゃん。同級生が親の看病疲れで死にそうだと心配した時は早死にするアイテムを与えたり、綺麗事でない思想を持っています。
色々と緻密な絵で描かれたグロシーンなんかも交えながら人助けしたり、しなかったり…骨董の知識は深いミロクちゃんも好きな男子は意外と普通で女子生徒達皆の憧れであるサッカー部のスーパースター・立浪クン。ふふふ、彼も死にますけどね。


怨念のある品物を手にしたら 自分自身で解決せねばな
どんな骨董品にも魂があるんじゃ
あのノコギリも名刀と同じように ノコギリの精霊が買った人に何かを訴えておるんじゃよ



  1. 2018/05/25(金) 23:00:20|
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ホラー漫画(110) 永久保貴一 1 「永久保貴一の極めて怖い話」

今夜は永久保貴一先生の「永久保貴一の極めて怖い話」(ぶんか社刊)。
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永久保貴一先生といえば1960年生まれ神奈川出身の漫画家ですが、自分で絵を描かない漫画原作者としても多数の作品を発表しています。
代表作は何といってもあの長い長い『カルラ舞う!』シリーズですが、あれはオカルト要素が強いながらもアクション物として読まれているのではないでしょうか。しかし、その他の永久保作品は恐怖漫画が多く、オリジナルに加えて稲川淳二原作などでも描いています。

今回紹介するのが「永久保貴一の極めて怖い話」のタイトルでまとめられた実話系恐怖漫画集で…これは特に、あまりにも怖すぎるとしてその筋で有名な作品。
初出はヤングアニマルにて「F/E/A/R」のタイトルで2000年から翌年までの間で不定期に掲載されたものと、1999年のヤングアニマル及び2002年のヤングアニマル嵐で掲載された短編。これらを同じ実話路線だからか同一シリーズとして、出版元の白泉社より「F/E/A/R 恐怖という名のコミック」「永久保貴一の極めて怖い話 F/E/A/R」という形でジェッツコミックス全2巻(全1巻が2冊なのか?)にて2001年・2002年に単行本化もしていたのですが、当時の私は永久保作品を追っていなかったため、ずっと後にぶんか社が2008年にホラーMコミック文庫(↑の画像)で再発した時に知りました。
2012年には集英社からも、永久保作品を多く上梓しているホーム社漫画文庫版で復刊されています。
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文庫版は全1巻で、ジェッツコミックスと同じ全5話+おまけページに、やはり実話系恐怖漫で単行本未収録作品を1編追加しています。
ほとんどの話で長久保先生自身や編集者などが実名で登場人物として出てきて、ノンフィクションとしてリアリティを増す手法が取られており…もちろん絵柄もリアル路線。

第1話『おいらん淵絶叫』は、酒飲みの長久保先生が酔った状態で編集者と打合せしてしまったので決まった企画の顛末を描きます。
山梨県にある有名な心霊スポット・おいらん淵でキャンプをして体験マンガを描こうなんてバカな話を実行し、とんでもない恐怖体験をした様を教えてくれるのですが、霊の描き方は本当に力入ってますねぁ。いやぁ怖い!
でも怖いのはこの時限りじゃなく、何とその霊は日常生活に戻ってもずーっと同行した新人編集者の門野に付きまとうのでした。長久保先生も因果関係が定かではないものの不幸が度重なるし、最後は我々読者にもね、
『なお私のマンガは 読んだ方に霊の障りが多く出るそうです なにかありましたら 御一報下さい』
なんて言って不安を煽る締め方するんですよ。
これは日野日出志先生が「地獄の子守唄」で、『きみは このまんがを見てから 3日後 かならず死ぬ!』とやった、あの伝説の恐怖再来か…気分悪いです。しかしこれが、ホラー漫画としては最大の効果を生んでいると。

第2話『取り憑く団地』は、岐阜県加茂郡富加町にある幽霊騒動で有名な町営住宅の取材。
あまりにも怪異は引き続き起こる団地を調べてみると、神様の通り道を遮る場所に建っている事が分かり…今度は普通の霊障より強烈な神様の祟りが、やはり永久保先生の周りにもとばっちりが来る!
前回のおいらん淵で大変な目に遭った門野に代わる担当編集者・藤原がおかしな事になって、それが同じヤングアニマル編集部にいる門野にも飛び火する!この人はもう、酷い目に遭う役のキャラという事で良いでしょう。
後に小野不由美の小説「残穢」(ざんえ)、これは映画化もして「残穢 住んではいけない部屋」のタイトルで公開されましたが、あれに通じるネタですね。
で、ラストのコマでまたしても作者が読者の身を案じる言葉を投げて不安にさせて終わるのでした。

第3話『家 CS ホラーTV』は、これだけ永久保先生自身が出てくる事のない作品。かつて母子の無理心中の現場となった幽霊屋敷を取材したTV番組の制作スタッフですが、やはり怖いにもほどがある目に遭うし、虐待されて殺されたと思われた子供が出るこの屋敷の謎にもどんでん返しがあって傑作です。

第4話『別荘』は、ちょっと趣向を変えて読者投稿の手紙を紹介していくオムニバス形式で短い話を紹介していくのですが…これも同様に怖い!内容については、もう書きたくありません!

第5話『日本猟奇殺人事件簿』は、これだけ特に時代が古くて昭和七年にA県H市で川淵倉吉が起こした猟奇殺人事件を長久保先生らが追う。もちろん実話ですが、こういう事件を知ると人間の精神が持つ深い闇を目の当たりにして落ち込むしかなくなります…

あぁ、怖かった…ようやく、怖すぎたこの実録シリーズが終わり、単行本未収録だった作品『プラットホーム』が霊感が強い永久保先生の幼い子供を通じて知る、不思議な話です。
おまけページは、『極東恐怖レポート』。上記の作品がノンフィクションである事を証拠付けるような怪異を教えてくれて、ようやくこの本を閉じる事が出来るのでした。


幽霊の霊障は たかがしれてるのが 多いんですが…
神様は怒らすと怖いんですよ…
祓えないし



  1. 2018/04/16(月) 23:00:10|
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ホラー漫画(109) 三原一晃 2 「人形マヤの館」

三原一晃作品より、「人形マヤの館」(廣済堂刊)。
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七つの顔を持つ紳士こと、三原一晃先生は「ココ」「恐怖バラ屋敷」だけ紹介していた漫画家ですね。
今回は金髪で青い目と青い服のフランス人形のマヤにまつわる恐怖譚。この人形を買ってもらったある社長宅の娘・美佐たちと、彼らが住んでる屋敷にかつて住んでて20年前に愛妻の娘・エリカを事故で亡くしたおばさんとの間で人形を通して起こる因縁!
1987年の出版なので、アメリカ映画「チャイルド・プレイ」…つまり人形殺人鬼としては世界一有名なチャッキーの登場以前に描かれていはいるのですが、まぁ意思を持って害を成す人形なんて会談モノでよくあるか。

三原一晃先生は絵に際立った個性も無いし、普通には上手いのでB級マンガとしての楽しみも少なく、あまり語られる機会もないままに漫画界から消えてしまった…


あ あの人形よッ あの人形は
生きてるのよッ



  1. 2018/04/13(金) 23:00:10|
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ホラー漫画(108) 鬼城寺健 5 「スリラー館に生首が!」

鬼城寺健作品で続けますが、今夜は「スリラー館に生首が!」(立風書房刊)です。
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やはり立風のレモンコミックスで、今度は遊園地とかでよくあるスリラー館(お化け屋敷)を題材にしています。
今回は表紙に鬼城寺健先生が描く少女達が出ていますが、ヘンリー・ダーガーが描いたヴィヴィアン・ガールズなんかに似てなくもないですね。

舞台は高根町、道浄寺わきの公園にやってきたお化け屋敷に行ったハルミとユカの姉妹や友達のひとみらが恐怖体験をする…1回目の訪問ではパパも連れて行くのですが、このパパが極度の怖がりでお化けを見ては恐がって逃げて、次のお化けが登場するとまた逃げて、次のお化けが…と繰り返してお化け達と屋敷の全体像を紹介してくれました。
この手法は確実に好美のぼる先生の名作「妖怪屋敷」の影響を受けている展開。

そんなこんなで長々と続いたお化け屋敷の紹介が終わりますが、裏表紙で目立っているこのモンスターの名前は公害ミイラ…ひどい。
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さらに、ここではある変異が起こります。
お化けの人形に意思が生まれてひとりでに動き、しかも人を襲うようになるのです。バイトの人がお岩さんに襲われて首チョンパしたり、お客も斧で頭を割られたり鉄パイプで串刺しにされたり…あるアベックなんて全身グチャグチャにされて食われたりと残忍に殺されて行きますが、ハルミとユカらの少女達は助かるのか!?そして、そもそも何故こんな事が起こるのか!?
田舎町のお化け屋敷から四次元の世界に迷い込むSF的な展開で、第二次世界大戦における連合国の無差別空爆で殺された摩耶ちゃん、宗教や霊の事を学んで幽体離脱出来るようになったお化け屋敷のおばちゃんとの最終決戦!(わけわからんでしょう)
この予測不可能なジェットコースター展開で読ませるエンターテイメント恐怖漫画を、貴方も読んでみませんか!


この四次元世界からみれば 現世は地獄にもひとしいところ!
誰も現世に生まれかわろうなどと 望んでいやしない!



  1. 2018/04/10(火) 23:00:10|
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プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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