大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

梶原一騎(7) 原田久仁信 5 「一騎人生劇場 男の星座」 5

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みなさまこんばんは。

今宵は、まず画像を観てください。
この作品では梶一太として登場していた梶原一騎先生その人の、晩年の似顔絵です。

あれ?今までは若い梶一太とその周りを彩る大人物が表紙だったのに何で…
そう、この作品はこの9巻のエピソードを連載中に梶原先生が他界してしまい、結局完結を待たずにここで終了します。
残念な事です。

今までゆっくりと彼の生きた昭和史を語りながら複線を張り、やっと話が週刊少年マガジンからプロレス漫画の原作を依頼されるところまで来たのにですよ!!

昔 原稿を 持ちこんだ覚えのある
講談社の マンモス・ビルを
一太は訪れた編集長の 背景(バック)に見た………


というナレーションの後に見開きの絵、そして下の方に小さく

■男の星座/未完■

の文字が入ります。

希望に燃える梶一太の背後には、
「巨人の星」「あしたのジョー」「空手バカ一代」「紅の挑戦者」「愛と誠」
の主人公達が映る…

ん?「タイガーマスク」じゃなくて「紅の挑戦者」とは、渋い所を突いてますね。
とにかく、この数年後にこそ、梶一太自身が時代の中心に躍り出るっていう、このタイミングで終了とは!

序文や本文中のナレーションで語っていたような、大山倍達との確執、アントニオ猪木の裏切り、女優タレント達との赤裸々、それにもっと凄い秘密も暴露されてたのかもしれない。
それらは全て『後に語るが』という説明のまま、永久に止まっているのです…

だがしかし!
未完である事が、残念なだけという訳ではなく、ここまででも一つの作品として十分楽しめますよ!
そのおかげで昨夜紹介した、春山とジャーニーの死の踊りがクライマックスになったとも言えますしね。

しかし、当然全国のファンが黙ってませんでした。
「一騎人生劇場 男の星座」続きへの渇望から、編集部へ投書の山!
それで実弟であり、同じく漫画原作者の顔を持つ空手家・真樹日佐夫先生に続投を要請する声がかかったものの結局叶わず。
これは真樹先生自身が

『絶筆ということの持つ意味合いを大切にしたい』

として断ったのです。
かわりに一話のみ、「男の星座」では無く、兄弟の思い出として、「さらばアニキ」という短編が、同じ原田久仁信先生の画によって描かれました。

これは私が今回連夜に渡って画像を使っている、日本文芸社の"ゴラクコミックス"全9巻でのみの収録となっております。
何度か復刻されてるので復刻版で買ってしまった方もいるでしょうが、やはり古本屋を探し、オリジナルの"ゴラクコミックス"で買い直しましょうね!

唯一の自伝である今作品でしたが、意外と梶原先生にしては自分賛美が少ないまま終わったわけですが、そのあたりを考えても、成功した時代を描けなかったのが残念でしたね。

『いいぞー!梶原一騎!!』とか、どんどんやってくれなきゃ(笑)

でも、こんなシーンがありましたよ。
時間を刑務所から出所した後、つまり現在(当時)まで進めての、梶原先生の登場シーン。
そこに居合わせた一般人が、こんな事言ってました。

オッ梶原一騎じゃねえか! 凄えクルマだぜベンツの500!
モー病気はすっかり治ったんスか? ゴラクで「男の星座」を読んでますヨ!



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長くなりましたが、これにて私の 「一騎人生劇場 男の星座」紹介は終わらせていただきます。

最後にここで公表しよう!!
生涯に渡って男の世界を描き続けた梶原一騎先生は、昭和11年9月4日生まれ。
つまり…
乙女座である!!

"男の星座"という単語からは一番遠い星座ですね。
そんなの気にしないと笑い飛ばしてたのか、そんな事聞いたら殴られてたのか、今となっては定かではありませんが、小さいながらも男、いや漢を目指して日々修行中の私・BRUCEも乙女座です。
星座なんて誰が決めたのかも知りませんが、とにかく子供の時分から、今でも星座を聞かれるとちょっと恥ずかしい気持ちになりますよ。

では、またいつか一緒に梶原一騎とのゴージャスなる「最後の晩餐」を堪能しましょう!!

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  1. 2006/03/30(木) 20:06:08|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(6) 原田久仁信 4 「一騎人生劇場 男の星座」 4

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押忍!!

みなさんは、お家から星が見えますか?
私は今、星の見えにくい東京に住んでおりますが、寒いのに毎晩、少しの時間でも窓を開けて、月見酒・星見酒をしております。

でもこんな枕を使って、
『飛雄馬よ。きびしい試練をのりこえ、あの星までかけのぼれ! 』
とか言っちゃうと、同じ原作者とはいえ、別の作品になってしまいますね。

前回では、本気で命が危なかった梶一太大山倍達、そして柳川次郎に命を助けられる所まででしたよね。
(机にかじりついて絵ばっかり描いてる、他の漫画家にはこんな体験は生涯無いんだろうなぁ)

あっ、ちょうどその柳川次郎というのが、今回の画像(7巻の表紙)でけんだまを持ってる人です。後ろには大山、そして梶一太の姿も見えてますね。
この作品では原作者・梶原一騎先生の、原動力とも言えるコンプレックスが明らかにされてきたわけですが、その意味では重要なシーンが後半のここでも…
何と力道山が、柳川やら他の人達の前で、友人になったはずだった梶一太を完全に無視するのです!!
もちろん、そこでいじけるような梶一太であるはずはなく、こう省みます。

『要するにオレが…梶原一騎って男が"何者"でもないからだ』

と、ここでも大物になる決意を固める梶一太。
ここで…いやもうちょっと前から登場はしているのですが、極真空手門下随一の若き天才児・春山章が現れます。
そしてその春山と共に、この梶原一騎自伝であるはずの物語も暴走し始めるのです。

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その春山章ですが、彼に惚れてるオカマ(梶原漫画にはめずらしいですよ、主要キャラでオカマは)のジャーニーさんというのが、終わりの迫った8巻で登場します。

いつもニコニコ(体はクネクネ)してて気持ち悪い彼(?)も、かつては赤坂で高級ゲイバーを経営してた人物であったが、当時のおかま仲間だったリズに店を騙し取られ、今は池袋でオデンの屋台を引く貧乏暮らし。

ある時春山と梶一太を連れて、そのリズのお店へ行きます。
遺恨を忘れたフリして…
しかしそこで、また酒に酔った梶一太が空手のパフォーマンスなんか始めちゃったものだから、リズはジャーニーさんが威嚇に来たものと勘違いして、暴力団を差し向けて袋叩きにします。
さらに自殺にまで追い込まれるのですが…

死ぬ間際のジャーニーさんは、詰め寄った極真門下生達の中から、ここで初めて、岡惚れだった春山の手を握り、
『ジャーニーは陰気が大っ嫌い』と、明るく振舞います。

尊敬の念を抱いた梶一太の心の声は
『こ…これはこれで一種のサムライ!死の渕でまで現実を笑いのめそうとはッ』
ですが、それでも人間は弱いものです。ジャーニーさんも最後は
『リズのヤツ…呪ってやるウ~~!』のセリフを最後に息絶えました。

この後です。
ズルズルと死体をベッドから引きずり出した春山が…

あ~らえっさっさ!!

何と!!
ジャーニーさんの死体と、安木節を踊りだしたではないですかっ!!
絵の方もリキ入ってます。
丸々1ページ使って、"踊る二人"!
上方に笑顔のジャーニーさんのシルエット、下方に大泣きの春山シルエット!
(このページは是非ともここで載せたかったのですが、画像は表紙しか使ってはならんとの事ですので、本を持ってない方々にはおあずけです)

死んでまで擬音は"クネクネ"のジャーニーさん、力無く"ブランブラン"としながら、まだ死の踊りは続きます!

ホォーレエッサッサァ!!

エッサッサァ  ホイサッサァ

驚く極真門下生達と、腰を抜かす看護婦達。そして
『春山章の奇矯きわまる行為には この天才児なりの必然性があったと一太は思う(中略)
裏切られしお道下た陽気な死にざまをせめて完成させてやりたかったのか』
と、梶原先生の解釈が入りますが、
とにかく!!…これは泣きます。いや、泣くなという方が無理であろう!!

そこで余談ではありますが、かつて私・BRUCEがこれを自信満々に、部屋へ遊びに来た女子に渡して読ませた時の話をしましょう。

読書中の相手が気を散らさないように、こっちも大人しく「マス大山の正拳一撃」など読んでるふりをしながら、そっと様子を見守っりつつ『そろそろ泣くぞ』なんて思ってると…
沈黙は大音量で破られました。

なんとその女子は、大爆笑し始めたではないですか!!

な、な、間違いない!確認したら、確かに
あ~らえっさっさ!!
の名シーンでですよ!!

その女子はガムコの刑に処し(妄想の中で)、次の機会には歳も同じ男友達に読ませました。
彼が泣き出したら、『しょせん、女にはこの世界は分からないよな』なんて慰め合おうと思ってたわけですね。

しかし…無残にも彼の大爆笑によって裏切られる結果となりました。

そういえば『梶原一騎はギャグとしてしか読めない』なんてTVで発言してる有名人を見た事もありますが。

でもね、作品がまだ売れてなくて貧乏な時代に来た、編集者によるギャグ漫画の原稿依頼に対して
『オレはオレの魂までは売らんよ!』
と追い払った梶原先生の作品が…

まぁ読み方なんかは、当然それぞれの自由であるわけです。
そういう評価のされ方もいい…のか!?
このシーンの賛否は、我々の孫の世代にまで持ち越されそうです。

ストーリーに話を戻すと、この後春山は、当然リズやヤクザ達をとことん痛めつけて復讐します。
しかし実は長崎で原爆に被爆しており、余命いくばくもない事が大山の口から梶一太に伝えられ…その余命さえも全うする事なく、車で限りなく「自殺」に近い「事故死」 をして、あえなく逝ってしまいました。

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さあ、いよいよ次回でこの「一騎人生劇場 男の星座」の紹介も終わります。

今夜は…
梶一太と春山が、ぼこぼこにされたジャニーさんを見舞い、貧しいく汚いアパートで"道化者の舞台裏"を見てしまった時に相談した、大山倍達の一言を取り上げて終わりにしましょう。
そのさらなる意味は、本を買って確かめてください。感動しますよ。

『人間・・・誰にも楽屋裏はあります』

最近は酔って帰宅しても、このブログを書きながら醒めてしまうBRUCEでした。
このブログが開設されて一作品目というのに、いきなり長くなってしまって申し訳ありませんね。
もっと次々と、いろんな作家の作品を紹介していきたいのですが、梶原一騎先生が離してくれんのです。それではお休みなさい。


  1. 2006/03/28(火) 11:27:27|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(5) 原田久仁信 3 「一騎人生劇場 男の星座」 3

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みなさまこんにちは。
それでは、早速作品のストーリーの続きにまいりましょうか。

昨夜は、ボクシング小説「勝利のかげに」で、梶原一騎としてのデビューを飾った所まででしたね。

その後梶一太は、出版社による漫画家との対応の違いに悔しい思いをしながらも、
(駆け出しでも漫画家にはコーヒーとケーキ。梶一太には渋茶1杯も出ず。)
とにかくスポーツ実話読物の世界に活路を見出すのです。

それから梶一太が、そんな人生の重要事項を通り抜けて成長して行く様が描かれるのですが、例を挙げると…

まず人気ヌード・ダンサー八神カオルへ、18歳にして初恋。
(昨夜書いた、梶原さんという女性にまつわる実話はこの作品では無し。なのでこれが初恋。)

酔って楽屋へ上がりこみ、用心棒相手に暴れたりする強引な押しで、ついにカオルをものにするわけです。
半同棲生活を始めるものの、まだ小物である自分が、恋敵の東宝映画の社員にカオルを譲る形で、別れ…

おっと昭和31年にはついに、雑誌冒険王(秋田書店刊)で吉田竜夫先生を作画に迎えて、小説家志望だった梶一太が、ついに漫画原作者としてもデビューしてますよ!

そのデビュー作はプロレス絵物語「鉄腕リキヤ」
いや…"吉田竜夫先生を作画に迎えて"という言い方には語弊があるか。
何故なら!

『現在の少年雑誌では絵だの漫画だけが重要視されて 字を書く人間なんざ裏方にすぎねえってことさ』
(梶一太談)

として、原作・梶一太の名はどこにもクレジットされておらず、目次でも本誌でも全く無視されて掲載していたのだから…
それも編集者側は、事前に一太の了解を得る事はせずに、詰め寄る梶一太には詭弁を弄して言い逃れようとするのです。

後に"横暴"と批判を浴びるまでの自己主張を繰り返し、自身の原作はセリフの一文字も変えさせなかったという梶原一騎のこだわりは、この「鉄腕リキヤ」事件に起因するのだそうですよ。

そして、生涯に渡って愛憎関係を繰り広げる事になる大山倍達とも実際に出会う。
大山倍達との蜜月関係は本当に微笑ましいですね。
お互いに才能を認め合う男と男の友情!
誰しも、こうありたいものだろう。
しかしこの二人も後に決裂しますが、その読者が最も細かく知りたい部分に関しては、
『後に述べることにする』
というナレーションが入るものの、そこまでのストーリー展開を待たず絶筆となるのだ…

ご存知プロレス王力道山との交流も持ちます。
別作品「空手バカ一代」では大山倍達が主人公のためか、彼の挑戦を逃げ続ける男として描かれていた力道山でしたが、ここではその事についてこう語ります。
『やれば凄え勝負になるだろうさ。でもねッ彼にはバックがない。それだけの大興行を打つ資金的バックが。
まさか野っ原でケンカやるわけにもいくまい。
ワシは彼と違いプロ』

アメリカの徹底したビジネス精神が力道山を変えたのです。
そしてかの国で出会ったグレート東郷に言われたという言葉が名言です。

『リキよ 他人の足の裏をナメても金(マネー)をつかめ』と。

このセリフを聞いて驚く梶一太のコマは面白いですよ(笑)

それにしても、そのインタビューを当時受けていながら「空手バカ一代」ではあのように力道山を描くなんて、梶原一騎先生も罪な人よ…

この力道山に関しては、今では有名な事でしょうが、当時はタブー中のタブーだった出生の秘密が、今作品にて暴かれます。
それは、彼が実は朝鮮から横綱目指して日本にやってきた…本名・金さんだという事ですね。
こうなると、後に大山倍達の出生に関してもばらすつもりだったのか、少し気にはなるものの、まぁそれは無かったでしょうね。

さてこの後一太に暗い影が…
戦前は一流文芸誌の有名編集者だった父が胃ガンで倒れ、金銭面の理由により、せっかく合格した早稲田大学の合格発表場から背を向けて去る梶一太。
後に父は死に、文筆の仕事さえも捨てて、家を売ったお金で酒場の経営を始める梶一太。

こうして京浜蒲田「のんべえ横丁」の一角にオープンしたサントリー・バー「モンテクリスト」ですが、
(もちろん店名はアレクサンドル・デュマの文学作品名から取ってるのが、やはり梶一太です)
ここでミカジメ料を請求してくるドサヤクザ、払わずに抵抗の姿勢を見せる梶一太…

こんな事で文筆家として成功を夢見た梶一太に明日はあるのか!?
それともこのまま夢を諦めて呑んだくれる毎日を送るのか!?
立て!立つんだ梶一太!!

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文筆の仕事を捨て、酒場の経営を始めた梶一太の元へ忍び寄る、ドサヤクザの魔の手。
これに梶一太と弟の真ニ。暴れ者同士のこの兄弟は、何とヤクザ相手に本気の抗戦をおっぱじめるわけですよ!!
空手と柔道の猛者で大男とはいえ、常にヤクザに付きまとわれてる、そんな状況下で酒と女に弱い梶一太が、知らずにそのヤクザが経営するキャバレー「夢幻」に入店してしまいます。

当然ぼったくり料金を出した後に出てくる用心棒達…
そこで必死の抵抗をする梶一太は、ヤクザの姐さんを盾に取ります。
『ヤクザの情婦(スケ)ふぜいがちょいとばっかりツラの印刷がいいからって大の男をコケにしくさってェ~!』
そして、逆上の極みに達して愉快になってきた梶一太は…やっちまった!

女の足首つかんで逆さ吊りです。

ここで往年の梶原作品を読んできた読者なら、こう思ったでしょう。
『またか…』と。
そう、通の間ではガムコ(※傑作「愛と誠」の中でこれをやられた女子の名前から)と呼ばれるこの行為。
しかも必ずこれをやられた女性は、その男を慕うというオマケ付きとあっては、フェミニスト達の歯軋りが聞こえてくるようではないですか!

私などは"意外に女性にも薦めてみたい"漫画家として上位に入るのが梶原一騎先生でありますが、ここらへんのネタは受けてくれるのでしょうか…。
ちなみに現実でも、梶原先生は"銀座ママ逆さ吊り事件"を起こしてますからね!

『お尻を涼しく頭に血を集めるーーー 思い上がった"カン違い人間"を反省させるにゃ このお仕置きが一番よさそうだぜ。 アー重た!』

と嘯き、この場を逃げおおせた梶一太ですが…ヤクザ相手にこれでは、もう当然殺されるでしょう。
しかし我々は、後年まで生き続けて、あの「あしたのジョー」を書いた梶原一騎先生を知っている!!

ここでまた登場するのが大山倍達
彼が弟子を取り始めたと聞き、かつて断られた梶一太は駆けつけるのですが、
『ヤクザとのトラブルのため大山道場に迷惑がかかる。入門は出来ない。』
旨を大山に告白すると、後日あっさり相手ヤクザが逆に侘びを入れてくるのです。

『私は一介の空手家にすぎません。むしろどちらかと言えば暴力団だのヤクザを忌み嫌う人間でしょうな。』
と言う大山に、何故こんな事が出来たのか!?
それは、大山の義兄弟・柳川次郎が動いてくれたからなのですね。
"殺しの柳川"とか"京阪神殺しの軍団"の異名で、当時の日本人ならずとも、実録ヤクザ映画を観る方なら必ず知ってるこの名前は、神戸の山口組本家の切り込み隊長でした。
たった10数人で構成員200人を超える鬼頭組を壊滅させたエピソードを思い出し、震える梶一太でしたが…おかげで命拾い。
私もホッとしました。

貧しい弱者だった柳川は、戦後の動乱の最中で米兵に輪姦されてる日本女性を救うために暴力を身につけ、その後も女達がパン助に転落しないために毒を持って毒で制した…

それをそのまま受け取るのは美談に過ぎるでしょうか?

しかし少なくとも、日本中の漫画好きこの柳川には感謝していいはずですね!
だってここで彼が動かなければ、「巨人の星」「あしたのジョー」も読めず、漫画の普及もここまでされていなかった可能性すらあるわけですから。

では、明日はいよいよクライマックスに近ずき、この「一騎人生劇場 男の星座」最大の見せ場が登場します!
お楽しみに!!


  1. 2006/03/26(日) 20:34:56|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(4) 原田久仁信 2 「一騎人生劇場 男の星座」 2

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さぁさぁ、お待ちかねの、
「一騎人生劇場 男の星座」
の時間が、今日もやってきましたよ!

梶原一騎「引退」記念作品
にして初の自伝である「男の星座」の作画は、原田久仁信先生が担当しております。

誰か、この原田先生を知ってますか?
そう。あれだけ大物漫画家と組んでヒットを飛ばしてた梶原一騎先生の引退記念作品にしては、知名度の低い方ですよね。

悪名にまみれた以降、つまり晩年の作品であるために、おそらく大御所と組むなんてのはありえなかったのでしょうが…
でも、「プロレススーパースター列伝」で一度組んで小ヒットはしてるし、梶原先生自身も原田久仁信先生の似顔絵の巧さを気に入ってたんだそうです。

とにかく、いよいよのその最後の作品が、漫画ゴラク(日本文芸社刊)にて昭和60年に連載開始!

しかし本格的自伝漫画と公表しておきながら、この作品内で梶原一騎先生は、本名の高森朝樹でも別の筆名・高森朝雄でもなく、梶一太という新たな名前で登場してます。

力道山アントニオ猪木大山倍達や極真門下の空手家、さらには超大物ヤクザの※柳川次郎までが本名で登場するのに、梶一太、とはどういう事なんでしょうかね。
(※柳川次郎:実録ヤクザ映画とか観る人は絶対知ってますが、"京阪神 殺しの軍団"のボス)


さてと。
作品は前日に抜粋した、あの序文で気分を盛り上げられた後、東京蔵前国技館での力道山VS木村政彦の"プロレス巌流島の決闘"で幕を開ける。
その戦いの直後に力道山へ怒りの挑戦をするのが、まだ無名だったウシ殺しの空手家・大山倍達(ご存知、後の極真会館長)。

ちなみにこの三人は、プロレス・柔道・空手と、それぞれのジャンルで未だに史上最強と語られる、伝説の人物達ですね。
その国技館二階大衆席には、まだ高校生だった梶一太がいて…

いや~、いきなり盛り上がるな~。ドキ、ドキ。
それからどうなる!?

力道山に負けた木村政彦は、柔道界において十年不敗の王者でした。
しかも同じ熊本出身(熊本出身と、梶原は生涯自称していた)で、木村の色紙を宝物にしてた柔道部の梶一太は、とりあえず
『ヤケ酒ならぬ ヤケソバさ』
なんて呟いて、高校の授業料でラーメンを3杯すするのです。
(どうでもいいけど、持ってきたラーメンの汁に、店の親父の親指が入ってるなぁ)

それから、その"プロレス巌流島の決闘"以来目標を大山空手に移した梶一太は、弟子入りを申し込むが…
『小生自身が修行中の身』と言う大山に、『柔道なら柔道ひとすじがよろしい』というアドバイスと共に断られ、
『何もかもクソおもしろくねえから暴れたるぞっ もう!』
と、柔道部に絡んできた暴力オデン屋をやっつける。

それも梶一太の言う"あのとき"と同じように…

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"あのとき"とは何か。
ここから、さらなる過去の回想シーンに入ります。

極貧でありながらも、運動神経が発達しててクラスの人気者だった梶原一騎こと梶一太を妬んだブルジョアのクラスメイトらが、その貧乏ネタを使って陰で馬鹿にしてる場面に遭遇した時…
そのクズ二人をボコボコにして、いずれも入院させた、その時の記憶である。

『被害者両親の届出を受けた警察は中学ばなれした暴行傷害ばかりでなく
うっかり一太がポケットに押しこまれたまま忘れて帰宅したAの財布にもこだわった』

(とありますけど、これちょっと面白いですね!)

そして13歳の梶一太は、教護院に送られます。
(実は小学一年時代の退学を初めとして、17歳までに5回も退学・転校をしている梶原先生なのです)

ここで教護院ってのを調べてみました。その説明をしましょう。
教護院…その響きだけでいかにも怖いイメージですが、学校教育法ならぬ児童福祉法に基ずき設置されている施設で、
「教護院は、不良行為をなし、又はなす虞のある児童を入院させて、これを教護することを目的とする施設である」
と定義されておりまして、昭和9年までは感化院とよばれておりました。

この時、梶原一騎=梶一太が送られた教護院の名前は"東京都立誠明学園"。
入る前から
『オレの暴力傷害は侮辱された男として相手を制裁したのだからして そこいらの手癖の悪い非行少年どもと一緒にされたり ナメられてたまるか!』
などと意気込んでたものの、やはり先輩収容院のリンチは受けたようです。

しかもそのリンチの内容は、ねじりんぼうパラシュート部隊だったようです!
みなさんの中にも知ってる方が多いのではないでしょうか。
あの「あしたのジョー」や、他の漫画でも何度も使われてるネタですからね。
(実弟の同じく漫画原作者・真樹日佐夫先生も使ってる…)

余談ですが、私のような梶原マニアにはそれがネタにならないわけがない!
少年院帰りの人に会えば必ず、
「じゃあねじりんぼうパラシュート部隊やられたの?」
とか聞いてます(笑)

それでも梶一太はその力と凶暴性から、いつしかボスになります。
しかし教官たちの残忍な体罰をくらったり、読書時間には後の原点となる少年小説に読みふけったり…
さらに重要な事がありまして、ここの女子部で出会った少女と恋愛をします。
その少女の姓を梶原といい、ここから筆名を取った事はマニアの間で有名です・・・が、これはこの作品では全く触れられません。

とにかく、ここ"東京都立誠明学園"での生活が後の梶原一騎先生を支えるネタになってるんですよねぇ。

とにもかくも、同校を去った梶一太。
作品の中の時間は、このブログ前日の時点に戻り、この後に極めつけとも言える事件があります。
そこであの上昇志向の原因が分かるわけですよ。

もちろん暴力事件が原因で高校を辞めた後、ビフテキのきれっぱしを夢見て(笑)
銀座のビフテキのスエヒロに、コック見習いで入った梶一太は、タクワンとコブの佃煮ばかりしか食えずに使い走りばかりの日々。

そして…お使いの最中にロケ現場で有馬稲子、階段の真鍮を四つん這いで磨いてる時に岸恵子という、天下の大女優に出会った。
前者にはをさげすむ眼で見られ、後者からは路傍の石ころのように気付かれもしなかった…

そこで梶一太、吼える!(むろん心の中で)
『だが今に見ろ!オレだって天下の美女スターと対等で付き合える男になって見せるッ かならず!』
と。

それからビフテキのスエヒロのコック長を背負い投げでぶん投げて去り、やっと文筆の道に進む決心をするのです。
ただ、この時点では漫画原作なんていう未だ無かったジャンルでは無く、少年小説家として!

そして雑誌少年画報に、熱血感動ボクシング小説「勝利のかげに」を採用され、ついに作家として…
この名前・梶原一騎としてのデビューを飾ったのです。

この時点で「一騎人生劇場 男の星座」は、やっと1巻の終わり近く。
私は梶原一騎先生の根底にある部分を避けてはいかんと思って、若干丁寧に説明してきましたが、次からはストーリーの方をペース上げて進めて行きましょう。

おやすみなさい。


  1. 2006/03/24(金) 23:40:20|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(3) 原田久仁信 1 「一騎人生劇場 男の星座」 1

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前回、梶原一騎先生の漫画作品そのものについて集中して読んでみようと言ってしまったBRUCEです。

あー、楽しみだなー。
どれから行こうかなー。
と考えたのも束の間…
やはりここで語るなら、また読み返さなくてはいかんでしょ??
私が梶原漫画を何冊持ってると思います?
(まず数えるのは放棄します!!)

一般的に頭に浮かぶであろう有名作品がいいかとも考えました。
少年マガジンで掲載された超有名漫画をいくつか挙げると…
「巨人の星」「あしたのジョー」「空手バカ一代」「タイガーマスク」「愛と誠」
ですね。
あらっ!これだけで軽く100冊を超えるじゃないですか!!

「ボディーガード牙」「空手地獄変」「新空手地獄変」と、興奮物のエログロ空手三部作から攻めるなんてのも渋くていいですが、やはり長い。

さらに、「夕やけ番長」が! 「キックの鬼」が!  「ジャイアント台風 」が!
いやいや、「朝日の恋人」も! 「四角いジャングル」も! 「人間兇器 」も!
こらこら「虹を呼ぶ拳」だって、 「斬殺者」だって、 「プロレススーパースター列伝」だって忘れるなと…

きりがないからここらで止めますが。
それぞれの作品が自己主張を持って私に訴えかけてくるので、悩んでたのです。

そしたらピーン!と、私に語りかけてきた漫画あり。
「一騎人生劇場 男の星座」
である!

梶原一騎「引退」記念作品
と銘打って、そのまま絶筆となった本作なら、「巨人の星」「あしたのジョー」の熱狂的ファンにだって文句は言われないで済みます…よね?!
それに、これは私自身が何度も何度も定期的に読んで、そして我が身に気合を入れてるという作品なので、今更読み返さなくても大丈夫だ!

よし、では始めますか。
「一騎人生劇場 男の星座」がどういう作品かと言うと…
まぁ、つべこべ言わずに読んでもらって涙すればいい作品なんですけどね、

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でも、それで一体何人が本屋に走って「一騎人生劇場 男の星座」を買い、そして読んでくれるでしょうか!?
いや、統計を取るまでも無く分かってますよ。答えはゼロ!そうに決まってる!
…どこにでも置いてる作品ではないですしね。

なので、より多くの人に読んでもらえるように、簡単な解説を入れましょう。
繰り返し書きますが、
梶原一騎「引退」記念作品
であります。

例の裁判の判決が出た二ヵ月後(昭和60年5月)に週間漫画ゴラクにて連載開始された、引退作品にして初の自伝漫画なのです!
それはあの梶原先生です。自身の半生がネタの宝庫だって誰もが分かるでしょう。面白くならないわけがない!

しかし梶原一騎先生の過去の作品を読めば、ノンフィクションと銘打つ漫画にわざわざ自分が登場してきて、観客に
『いいぞ~、梶原一騎!!』
なんて言わせたり、自分が柔道や空手の猛者だって事をさりげなくアピールしてた人物。
よっぽど自慢話に終始するあろうと高をくくった人もいたかもしれません。

でも、この「引退」記念作品はちょっと違うんですよね。
意外にも、当時の時代背景や周りの男達を中心に描き、それを見てきた若者としての立場に、自身を置いています。
もちろん、この後梶原先生自身が時代の流れに乗って行く様を描くはずだったのでしょうが…

とにかくまずは、作品の始まる前から盛り上げるがごとき、かっこいい序文
さらば!友よ
の一部をここに抜粋しましょう。


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思えば4分の1世紀ー25年の余にわたり梶原一騎は劇画の原作を書いてきた。
そして、このたび「引退」を決意した。理由は今更もうクドクド言わぬ。おもうところあって、と日本語には奥行きの深い表現があるではないか。あえて一言だけ残すなら、あの百恵ちゃんや都はるみだって引き際を知っていた、いわんや男一匹…。
(中略)
すばらしき多くの無名の男たちも、否いろいろ世間で噂してくれた女優タレントのことだって赤裸々に描くつもりだ。友よ、愛する読者諸兄よ、梶原一騎とのゴージャスなる「最後の晩餐」に堪能せよ!
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…いかがでしょうか。

今夜は梶原一騎先生を想っての一人焼酎が過ぎましたので、続きは明日でいいですか?
次回こそ、本編の話に入っていきますので。
既に数人から、このブログは暑苦しいなどという意見も出てます。そしてこういう漫画のネタは、語れば語るほど女性が離れていくのは自覚のうえです。
この漫画だけ!この漫画の事だけ語り終えたら、梶原先生を一時中断し、もっとポップな漫画話に移りますからね、多分。

  1. 2006/03/21(火) 22:54:12|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(2)

20070617201526.jpg


前回書いたように、もう一つ私の思いで深い梶原エピソード。
私が「柔道一直線」とか集め始めた頃にですね、父親に
梶原一騎って知ってる??』
と聞いたのです。

そりゃその世代の人は皆が知ってますよね。これだけ有名作品を書いてる作家ですから。
しかし、その時の父親の答えは、鮮明には覚えてないけど『悪い奴だろ』的な事を言ってたのですよ。
私は後追いで梶原作品に触れ始めたばかりの中学生時代。あの「柔道一直線」の作者だから『そんなわけないでしょ!!』と思ったのですよ。
(この時から「空手地獄変」シリーズでも読んでたら、すぐに納得だったでしょうが。)

とにかくずっと気になってて、後年調べたらすぐに栄光の時に逮捕されて失脚していた事が分かったのです。そのため、あれだけ繊細で輝かしい世界観を持つ作品を書いていた方が巷で悪い人物像で有名になっている、と。
一度捕まったという事実があれば、すぐマスコミに操作される大衆などは、すぐに『あいつは悪人だ』と憎み、叩き始めるのは良く分かりますからね。
実際に梶原先生は漫画界のゴッドファーザーとして君臨し、力で周りを従えてたらしいです。こういう力の持ち方をした漫画家は他にいない、という意味では凄かったのですが…

逮捕の話になったので、罪状についても触れなくてはなりません。
最終的に起訴された罪状としては"赤坂のホステス暴行未遂"、"講談社の副編集長暴行傷害"、"アブドーラ・ザ・ブッチャーのゴーストライター恐喝事件"の三つです。
他にも(一部で?)有名な、"アントニオ猪木監禁事件"やら、"つのだじろう侘び状事件"は結局外されてますね。

梶原先生は編集者を殴った事など一度や二度では無いし、↑の問題の事件なんかも、むしろ編集者側が悪かったと詫びの電話を入れてるのです。
赤坂のホステスの件にいたっては、逮捕の一年二ヶ月前の話であります。
しかし…制作した映画の主演俳優・萩原健一が大麻取締法違反で逮捕され、
『入手ルートの裏に梶原がいる』
と邪推した警察によって、過去の事件を使って別件逮捕的に証言を集められたのですね。

さらにヤクザの取り巻きを連れ歩き、作品の質も落ちてる上に横暴だった梶原先生は、出版社側にしても目の上のタンコブだったのでしょう。
覚醒剤関係の疑いは、尿検査の結果やその後の調査であっさり晴れたというのに、マスコミによる梶原叩きは続きます。
それも事件とは関係無い、女性スキャンダルを使われて。
銀座クラブのママ達をはじめ、松坂慶子島田陽子池上季実子志穂美悦子…他にもたくさんの超一流女優の名前が挙がってました。

漫画だけの枠ではくくれない活動をし、しかし漫画における功績だけでも『裏・漫画の神様』である功績とは関係無く…嫌われていきます。
そもそも彼の漫画内容も反体制的なのが多いわけだし、そんな姿もありだとは思われなかったのでしょうかね。
梶原一騎先生、そして生み出したキャラクターすらも、ヒーローではなくアウトローですから!日本映画の有名俳優で言えば、決して石原裕次郎ではなく、勝新太郎というか。
(もちろん梶原先生の暴力による被害者もいるわけだから、大きな声で奨励はできませんが)

この逮捕に伴う一連のゴシップによって、集英社は「手塚賞」「赤塚賞」と並んで、優秀な新人漫画原作者に与えてた「梶原賞」を廃止。
講談社は、何と!あの「巨人の星」「あしたのジョー」まで一時絶版にしましたし(あれらは簡単に絶版にしていいような作品か?断じて違う!!)、他の出版社も連載中の作品は全て打ち切りました。

しかし!!
日本文芸社がありました。
ここの当時の編集者は、
『作品は作品だ』
と、保釈されるや「人間凶器」の連載を再開させ、その終了後は漫画ゴラクにて、引退記念作品「一騎人生劇場 男の星座」を書かせるチャンスを与えた…

男気漫画家には、男気を持って答える。その日本文芸社の姿勢に涙が出てきます。
うううっ。
では、次回あたりから一つの作品を集中して読んでみましょう。


  1. 2006/03/17(金) 03:42:47|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(1)

kajiwaraikki-den.jpg


さて、始まったばかりのこのブログ。
漫画おたく道の同士達はもちろん、これから足を踏み入れる初心者のためにも、
"シンプルな文章で分かりやすく"
を心かけていきます。

前回で軽く予告してましたが、このブログの始まりは、梶原一騎先生とさせていただきますね。
知らない人のために梶原一騎、その人物の説明や、私との出会いから始めます。
でも、梶原一騎先生を知らない人なんているのか!? いや、名前を知らないっていう人はいるかもしれません。
しかし
「あしたのジョー」「巨人の星」「空手バカ一代」「夕やけ番長」「タイガーマスク」 「愛と誠」
これらを、どれも見た事も聞いた事も無いっていう人はいないですよねー。
これらは全部、梶原一騎の原作です。
そう、原作。 絵はそれぞれ違う人が描いてます。

梶原一騎先生は、"漫画原作"というジャンルを切り開いた第一人者であり、その功績は空前にして絶後の物である!!

作品の良し悪しは時期にもよります。
何故なら同じようなネタで手抜き原作を書いてた時期もあるのですね。
そのへんの事情もまた後日、説明する事とします。

15985534-1s.jpg

さて、最初に梶原一騎先生を取り上げたのには、個人的な理由があります。
もちろん大好きな大好きな漫画原作者であるのですが、実は私が古本コレクター道に入り込むきっかけも梶原一騎先生だったので、それに敬意を表したわけですよ。

その経緯を説明すると、中学一年生の頃に梶原一騎原作の「柔道一直線」を一巻だけ貰ったのですね。
(ここで絵を担当してる永島慎二先生の漫画も後に全部集める事となるのですが、それはまた別のお話)

それがあまりにも面白くて、続きを探しました。 そしたらどこの本屋に行っても無い!
注文しようとしたら、絶版になってて入荷できないという答え。 ならば古本屋を回って探すしかないとなりました。
私は山ばかりの田舎育ちでしたので、町に古本屋なんてありませんでしたが、大きい街に出ては古本屋ばかり探し、電話帳に載ってる住所を訪ねまくったわけです。
(この時から一体何年経ったか…今でも初めての街に着くと、まず古本屋を探してます)

そのうちに、やたらと古い本の品揃えがいいお店に行きあたり…
そこで見た値段で仰天しました。
ガラスケースの中には1冊が1万円、2万円…15万円の本とかもあったのだから!!

それまでの自分はといえば、漫画好きは漫画好きでも、週刊少年ジャンプ大好き男でしたからねー。
もう、『友情・努力・勝利』の漫画群に熱くなってましたよ。
そんなどこでも手に入る漫画の単行本しか読んでなかったから、プレミア漫画って言われても、手塚治虫先生の何かがとんでもなく高いって知識くらいしか無かったのです。

そのお店のガラスケース内、高価な商品を食い入る様に見つめた私。
もう手塚先生どころか、当時は名も聞いた事無かった人達の作品がたくさん並んでました。
でも、その中に…ありました、梶原一騎作品も。

問題の「柔道一直線」はいついか全巻揃えてましたが、
『この原作者の作品で読んだ事のない物は全部読む!』
と決意してるBRUCE少年に、さらなるショックが襲います。

何と!!
「柔道賛歌」の全16巻が、2万いくらかで売られてたのです。
実はこの「柔道賛歌」(もちろん梶原一騎の原作です)、実は小学生のときに近所の人から全巻貰ってたのですよ。しかし子供の時だから、何度も何度も読んだ後ではあるのですが、大掃除の時に捨てちゃってたのです。
もっとも話の途中で終わってる16巻だったから、当時は続きの巻もあるものだと思ってましたが、最終話は単行本未収録だったので、それで全巻揃ってたのです!!
「柔道賛歌」全巻を捨てるなんて…梶原コレクターに成長した今の私からしてみたら、何たる大罪か!

私の人生は後悔ばかりですが、これはその中でも大きいですね。
思い出すと今でも胸が痛みます。もちろん損した金額の問題ではなく、なんというか、漫画を愛する私の、思想の問題ですよ。
「柔道賛歌」の単行本は、刊行していた出版社の若木書房がとっくに潰れているため、梶原作品の中でも有名レア作品です。
数年前にホーム社漫画文庫というので復刻されたけど、それはわずかに全6巻で、途中迄しか収録してない代物でしたし。
なので、これを読んでるあなたは、古本屋で全16巻の「柔道賛歌」を見かける機会があったら、迷わず買っちゃってくださいね。
もちろん、簡単に見つからないからレア作品です。まず"見かける機会"など無いでしょう。その巡り合いの難しさと、見つけた時の嬉しさから、あなたも古本道に進む事になるかもしれませんね。

『古本屋は、普通の新品本屋より安いから良いのではないよ!
 いつどこに掘り出し物があるか分からない、魅惑の空間なのだ!』

10軒の古本屋を回っても掘り出し物が一冊も出ない、そんな事もある。
くじけそうになる自分に、

"どあほう!10軒で無けりゃ50軒、100軒と回ればいいだろうが!血の汗流せ、涙を拭くな!"
そんな梶原一騎先生の声が聞こえてきます。


  1. 2006/03/12(日) 10:02:57|
  2. 梶原一騎
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プロフィール

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Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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