
以前、"BRUCE氏にピッタリの曲だから"との事でだったか、友人に薦められて、
かまやつひろし「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」を聴いた事があります。
元々は、『
かまやつのソロってフォークソングでしょ?』なんてイメージから、気が進まなかったのですが。
ここで補足すると、私は"一部の"フォーク歌手の作品は聴きますが、そのジャンルの中で、明らかに異端・邪道とも思える歌手の作品ばかりなのですね。
三上寛、
友川かずき、
あがた森魚、この辺りは本当に好きで好きで…だけど、
吉田○郎みたいな、いかにも『フォークといえば』という時に名前が出てくる人には全く興味がありませんので、普通に"フォーク好き"だとは言えないでしょう。
ともかく、
かまやつひろし「ゴロワーズを吸ったことがあるかい 」です。
すぐに私に聴かせたかったのであろう歌詞の部分が分かりました。
♪ 君はたとえそれがすごく小さな事でも
何かにこったり狂ったりした事があるかい
たとえばそれがミックジャガーでもアンティックの時計でも
どこかの安いバーボンウイスキーでも
そうさ何かにこらなくてはダメだ
狂ったようにこればこるほど
君は一人の人間として幸せな道を歩いているだろう ♪と、ここですね。
曲もいいし、確かに私も同感で、沁みるな〜。
どうでしょう、みなさんはこの歌詞のように、『何かにこったり狂ったりした事があるかい』?
これが好き。これを集める。
そう決めたら、とことんこり、突っ走るのが
コレクターの道ですよね。
私の周りにも何人かいますよ、一芸に秀でているコレクターは。
それも誰も見向きもしないような物をとことん追求する人の姿は、もはや神々しく思える事すらあります。
私に関して言わせてもらえば、このブログによって漫画コレクターだと言う事は既にバレてますよね。
梶原一騎先生の作品だとか、好きな作家の物だと駄作も含めて全て買ってるわけです。
他にも好きな小説、音楽、映画等でも同じようなもので、生活費が苦しい時は具無しのパスタに塩かけて食べるとかして食費を抑えても、既に所持してるアイテムのジャケ違いまで買っちゃうあたりは『やはりコレクターなんだな』と、この悲しき習性に苦しめられてますが・・・
特に、これによって人生の指針を得たかのごとく集めているのが、
BRUCE LEEに関する物です。
持ってない物を見かけると、いくらでも買います。
単行本、雑誌、LP、EP、CD、LD、DVD・・・
ジャケ違い、類似品、各国版・・・
雑誌等は例えばアクション映画全般の特集や香港特集なんかだとしても、少しでも
LEEの顔が表紙に出てれば買いますしね。
偉大な、あまりにも偉大すぎる
BRUCE LEEは、死して既に30数年を経た現在でも大人気のスターですし、全世界的に見ても一番有名な東洋人でしょう。
つまり物集めするにも絶対に終わりなど無い、厳しい道となります。
レアな
LEEグッズを持ってる方は、『こんなのは持ってるか?』と聞いてきてくださいね。
おっとここで、たまに質問もされる、私の名前が何故BRUCEなのかという答えも出ましたね。
今回の画像は、部屋に
LEEコレクションを並べて撮った私の写真ですが、この時から多分もう7,8年は経っているので、量も質も、もっともっと増大してますよ。
先に挙げた
「ゴロワーズを吸ったことがあるかい」の歌詞において、
『狂ったようにこればこるほど
君は一人の人間として幸せな道を歩いているだろう』とあるのですが、それが本当なのかはまだ自覚できてません。
むしろ自己満足のみしか得られない事のために、苦しめられる事すらありますが、その答えは将来出るのでしょう。
もちろん物集めに限らず、狂ったようにこる(肩が、とか言わないでね)習性のある人は、自分はどうなのか、良かったら教えてくださいね。
- 2006/07/31(月) 19:44:41|
- 古本 番外編
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いよいよ
車田正美先生の番になりました。
車田先生は1953年12月生まれの東京都月島出身です。
車田漫画は、話がどれも荒唐無稽で設定に無理がありすぎたり、しかもワンパターンだったりもしますが、やはり少年時代に大好きだった漫画家ですので特別な思い入れがあります。
派手ででかい描き文字効果音や、すぐ宇宙とか出てくる大袈裟な背景。
これらは、どの作品でも見られるこれらの特徴は、もう
車田様式美と言っていいでしょう。
伝説の聖剣を手にした、学生なのに忍者やらの間の戦いを描いた
「風魔の小次郎」。
最初は
「あしたのジョー」のパクリ漫画だったのに、エスカレートしてぶっ飛びまくりのボクシング漫画になった
「リングにかけろ」。
聖闘士(セイント)達が聖衣(クロス)を着て小宇宙(コスモ)を燃やしながら戦う
「聖闘士星矢」なんかが有名な作品ですね。
それらもいつかやりたいですが、まず今回は
「男坂」でいきます。
実は
「男坂」か
「雷鳴のザジ」か迷ったのですが、やはり私、BRUCEといえば"男"。
この単語は付いてまわりますからね。
それに
「男坂」は、小学校低学年の時に何度も何度も読んだ作品ですし。
掲載誌は
週刊少年ジャンプで、単行本はオリジナルのJC版が全3巻(
集英社刊)。
この1巻カバーに
車田先生は次のようにコメントを残しています。
漫画屋にとって「オレはこいつをかきたいために、漫画屋になったんだ!!」という作品がある。
デビュー以来十年有余、オレも今やっと、ガキの頃からかきたかった作品を手がけている。
その喜びでいっぱいだ。
燃えろオレの右腕よ!そしてすべての試練をのりこえて、はばたけオレの『男坂』!!そう、
「ガキの頃からかきたかった作品」というのですが、内容を読むと意味が分かります。
大人なら思いつかない、いや思いついても決して描かない、ガキの思いつきそのままを作品にしちゃってますから(笑)
例えば近所の山に"喧嘩鬼"がいたり、全世界の番長連合みたいなJWC(ジュニア・ワールド・コネクション)なんてのがあったり・・・素晴らしいでしょう!
もちろん単純明快なストーリーを見せてくれます。
----------------
主人公・
菊川仁義は千葉の九十九里に生まれてから13年間、喧嘩に負けた事が無く、中学に入学するやその日のうちに番長になります。
しかし、たまたま九十九里の海を見ていた、西日本を力で制圧している"武島軍団"の首領・
武島将によって初の敗北をきっする。
仁義は『命ある限り負けは認めない』って言ってたのに、次の回で負けを認めてる…
この日本のドンとなる為に生まれてきた武島は、最強のライバル(になるはずだった)で、カッコいいです。
今の日本の大人たちは全てにおいてアメリカの顔色ばかりうかがってますが、彼が日本を支配したらそうはさせないつもりなのです!
しかも幼い頃から"勝者の教育"として、あらゆる帝王学・格闘術・戦略学、それらを骨のずいまで見につけていると言う。
こいつに勝つため、そして国外の脅威から日本を守るため、
『この地上でただひとり生き残っていた最後の硬派』である菊川仁義が喧嘩修行をして、日本にまだ残っているはずの硬派(他にもいるのか!)達を集めて対抗する、それがこの漫画の大筋でしょう。
しかし・・・話はエスカレートして(しすぎて)いきます。
近所の鬼山に住む
喧嘩鬼の特訓を受けて、人間ばなれした強さを得た仁義は、まず仲間を得ます。
『軟派みてえなマネした野郎は即刻破門』という闘吉連合のボス・
黒田闘吉(好きな歌手は
小泉今日子)や、
何の脈絡もなく仁義の配下になった上州赤城のウルフ軍団のボス・
赤城のウルフ、
人の心を見ぬく力を持ち、カリスマ性の高い昭和百虎隊の総長・
梓らん丸・・・
敵として登場するキャラもそうですが、どいつも個性豊かでいいですよ。
やはり
車田漫画は分かりやすい!
小さい頃には分からなかっでしょうが、大人になった現在読み返すと
車田先生の反米精神もよく分かって面白いです。
おバカなアクション漫画でなら、ポチ日本がいくらアメリカをやっつけても文句は言われないのです!
JWCから、『日本を守ってやるから金を毎年二億五千万円よこせ、嫌なら日本を潰す』と言ってシカゴの殺し屋が攻め込んできた時・・・って全くこれは現在のアメリカー日本の関係と同じですが(笑)、現実と違うのは、ここで仁義は
『自分の国ぐらい 自分で守らあーッ』とぶん殴って追い返す所ですね。カッコいい!!
しっかし随所で
本宮ひろ志先生の
「男一匹ガキ大将」(の最初の方)と同じようなセリフ、同じような設定が出まくりますよ。
他の漫画でも
車田先生は
「男一匹ガキ大将」のパクリをやってましたが…
この漫画に付いて語るのは、そろそろ終わりです。
大作になるはずだったのでしょう、スケールはでかいし伏線もはりまくってるのに、北海道や奥羽を手中におさめている強力なボス・
神威剣とやっと会えるという所で・・・出た!
ジャンプ得意の
打ち切りを喰らってます。
最後のページでは、
『オレはようやく登りはじめたばかりだからな
このはてしなく遠い男坂をよ…』と見開きで仁義が文字通り坂(男坂)を昇ってる後姿が描かれ、左下にでっかく
未完の文字。
車田正美先生の、打ち切りに対する怒りの反発でしょうか。この偉そうな未完の文字は。
あとがき代わりの3巻カバーの作者の言葉で、
『すぐにでも続編をかきたいと思っている。この『男坂』が自分にとって、最後までかきつくしたい作品であることは、いつまでも変わらないのだから…』とあります。
ホント、いつかやってくれませんかね〜。もう20年以上が過ぎましたが。
真剣に男達の戦いを楽しんで、空想してた少年時代とは楽しみ方が変わり、今では"笑い"が入ってしまう
車田漫画ですが、やっぱり今読んでも面白いです、名作です。
最後は劇中の名言で締めくくりましょう。今夜はこれでサヨウナラ!
『拳で語るのも仕方ねえだろう
いや なん万べん 語ってもかたりつくえねえことが
拳一発でわかりあえる時もあるんだ!』
- 2006/07/30(日) 10:52:48|
- 週刊少年ジャンプ
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さーて
小池一夫原作の作品紹介です。
いい物がいっぱいあるので、どれから始めようか悩みますよ〜。
もちろん名作じゃなくてはなりませんが、あまり長くない作品で、テーマは"感動"にしようか・・・。
・・・
「兎が走る」を紹介しましょう。
作画は
小池原作には珍しい、
弘兼憲史先生。
1947年山口県生まれの
弘兼先生は、一般的には原作者以上に有名でしょうね。
もちろん、
「島耕作」シリーズや
「人間交差点」「ハロー張りネズミ」「黄昏流星群」等の作者です。
嫁さんが、アシスタントをしてた漫画家・
柴門ふみだという事でも知られてますか。
一時期彼女の描く漫画は続々とドラマ化されてましたね。
私はこれっぽっちも興味ありませんでしたが。
元々は
手塚治虫先生ののファンになって漫画家を志したというのに、
弘兼先生の描く漫画は主人公からして冴えない中年だったりして、夢より現実を描いてますよね。
サラリーマンの経歴がある事も作品に生きているのでしょうし、自身が中年なのだから、中年の気持ちがよく分かるのも尤もな話です。
それで"人生に疲れた中高年のセックス"と言う、それまで漫画の題材にはなり得なかったテーマに取り組んだのは画期的だったかもしれません。
しかし・・・そんな物は見たくなかった(笑)
---------
さて、
「兎が走る」です。
全3巻(
スタジオシップ刊)と、無駄に長すぎないので感動も持続させてます。
弘兼先生の初期にあたる時期に描かれたこの作品。
現在の作品群と絵はほとんど変わってないのですが、こちらの方が若干迫力があります。
そしてこの時から、やはり上手い。
後年描く、私が一番好きな
「ハロー張りネズミ」とも共通する部分もあって、嬉しい作品でもありますよ。
あらすじは・・・
主人公・
磯卯一朗こと通称
ウサギというエリート刑事は、新宿のキャバレーで出会った美しい女・
遠野生子とその日に寝ますが、そこへヒモの男が飛び込んできて、そいつを生子がウサギの拳銃を使って撃ち殺す。
実は売春婦だった生子が、刑事であるウサギを利用したのですが・・・
何とこの二人にこの後、愛が生まれます!
先輩刑事のアンコさんが、ウサギが生子と結婚する前に
『妊娠中絶 結婚歴 売春。そして人を撃った。愛せるか、ウサギ。』と詰め寄る場面があるのですが、こう改めて言われるときっついですよね(笑)
裁判の後、刑務所に入れられた生子と、結局刑事を辞めて待つウサギ。
作品では、特に待つ方のウサギを描いてるのですが、もう試練の嵐なのですよ。
次々それを乗り越え、いろんな人との出会いで学び成長していく、そんな物語です。
シンプルな上に地味ではあるかもしれないこの作品ですが、現実の大人の世界を描いたらトップレベルの
弘兼先生を使い、原作の
小池節が炸裂しまくるのですから、これは凄いですよ。
抜群に上手い心理描写でいちいち人の心の奥を考えさせられ、感動させてくれます。
大金持ちで政治界でも大物だった爺さんが、暗い過去を持ち、今や低所得の作業員であるウサギに対して、
『すばらしい人生じゃよ、キミは生きておる。
自分の手で人生をつかみ、これからもつかもうといている。
悩み苦しみ 人間であることの 弱さを痛感し それに耐えて…………
うらやましい、ほんとうにうらやましい。』と、泣きながらこう言う話
「上級職」や、他にも印象深いエピソード満載ですよ。
ついに再会する二人まで追って、貴方も感動してください。
これぞ大人の漫画ですよね。
『そりゃ〜ないだろ』と突っ込みたくなるありえない所は、もはや弘兼漫画には無くてはならない物なので、そんな所も楽しんでくださいね。
- 2006/07/29(土) 17:11:14|
- 劇画
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"漫画原作者"と言えば
梶原一騎先生で、彼がいかに偉大かは、その片鱗くらいでしかありませんが、とにかく既に語りましたね。
しかしもう一人、漫画(劇画)原作の巨頭が存在します。
それが東の横綱・
小池一夫(雄)先生であります。
1936年5月生まれの
小池先生は、秋田県が生んだ、まさに偉大な原作者。
梶原先生が少年漫画で次々と傑作を生み出していたのに対し、
小池先生は青年向け漫画を専門に書いておりました。
それで逆に第一人者である
梶原先生も刺激され、青年向け漫画を書き出した事実もあります。
私自身の事ですが、
梶原作品はほぼ読んで(しかも買い揃えて)しまったのに、
小池先生ではまだ読んでない作品もいっぱいあります。
まぁこれは、いつか読む楽しみがあるので嬉しい事です。
梶原先生のように作品にプレミアは付いてないので、本気になればすぐに揃えられますしね。
「拳神 海渡勇次郎伝」「修羅雪姫」「少年の町ZF(ゼフ)」あたりは特に思い出深く、傑作度も高いから何度も読み返してるのですが、他に代表作は・・・
「子連れ狼」「クライングフリーマン」「傷追い人」「I・飢男(アイウエオボーイ)」「BROTHERS」「ムサシ」「ザ・テロル」「牙走り」「青春の尻尾」「オークションハウス」等々。
いや〜、面白い作品ばかりじゃないですか。
元々は
「ゴルゴ13」の初期時代にも原作で関わっていたと言いますし。
小池漫画を一番熱心に読んでたのは学生時代だったのですが、彼の作品によって青年漫画の魅力を学びました。
(エロシーンも大抵あるので興奮してました…)
もちろんサブカル漫画や、芸術のような漫画も大好きな私ですが、
小池原作作品のように、
とことんエンターテイメントを追求した作品の方が気分に合う時もあります。
他には小説家、脚本家、作詞家等の仕事もしてるし、ペンネームも他にも持っています。
実は私が初めて
小池作品に触れた瞬間というのは幼年期にまでさかのぼり、彼が作詞した
「電子戦隊デンジマン」「大戦隊ゴーグルファイブ」「科学戦隊ダイナマン」といった特撮戦隊物の主題歌でだったりしますよ。
これらの歌詞は今でも覚えてますね〜。
多彩な作品を書くバックボーンでしょうか、やはり趣味の幅も広くて深いようです。
さらにさらに、後進の育成にも力を入れていたのですが、1977年に
小池一夫劇画村塾というのを開設し、
高橋留美子先生、
原哲夫先生、
板垣恵介先生らの漫画家を育ててるというのも凄いですね〜。
最後に作品の特徴の話をしましょう。
ジャンルは多岐に渡るのですが、どれを読んでも
『これは小池一夫が原作だ!』と分かる特徴があるのです。
それは、まずセリフの「ん」が全部カタカナの「ン」に統一されている事。
「あ
ンた」「そうな
ンだ」「そ
ンなバカな」といった具合に。
そして、人称代名詞(「おれ」「おまえ」とか)等には、必ず傍点を打ってます。
他にも特徴はいくつかあるのですが、それは自分で読んだ時に探してみてくださいね。
叶精作先生や
池上遼一先生のように何度も組んでる常連作家から、変り種では
楳図かずお先生や
永井豪先生、
上村一夫先生、
弘兼憲史先生まで、様々な作家とコンビを組んで作品を発表してる、この
小池一夫先生。
以後少しずつ作品を紹介していきますので、お楽しみに!
- 2006/07/28(金) 23:09:31|
- 劇画
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10巻ではまず、
力石の死後数ヶ月ぶりとなる、
ジョーの復帰第一戦目が行われます。
相手は殿谷浩介。まぁこんな奴の名前は覚えなくていいですが。
数ヶ月ぶりの復帰というのに、1ラウンドでKO勝ちを決めましたよ!
決めは強烈なボディブローだったものの、顔面も打ちました。
なので段平と西の、ジョーが顔面を打てないボクサーになったのではないかと言う心配は、一応消えたかに見えました。
しかしその試合を"なまぬるい"と評した
白木葉子は、女だてらに白木ジムの会長に就任し、ある計画を進める。
ボクサー達は、顔面をヒットされてダウンする時は天国にも昇るような気持ちになりますが、ボディの時は地獄の苦しみなんですね。
復帰後のジョーは、ボディーを執拗に攻める戦法ばかりになりましたので、"地獄からの使者"と恐れられます。
そして5連続KO勝利の後、日本バンタム級チャンピオンの
タイガー尾崎との対決が決まる。
ジョーに思いを寄せ、影ながら尽くす
紀子との約束なんか覚えてもいない、そんなシーンが挿入されてますが、ジョーが女なんかとヘラヘラ遊ぶわけがないのです!
タイガー尾崎と対決前に、パートナー不足のジョーに相手を貸すという名目で研究した敵方は、ジョーの欠点を知り絶対負けないと言うのですが・・・
本当でした。
やっぱり力石のテンプルを強打して殺したという事実から、無意識の本能で顔面には"強打"ができなかったのです!
相手はそれが分かればボディだけ守ればいいわけで、そんな楽な勝負はない。
タイガー尾崎戦は段平のタオル投入で負けです。力石以来、プロで二度目の負け。
そしてすぐさまバンタム級一位・
原島龍との勝負ですが…段平はいいます。
『人間には絶望的なピンチよりも もっとたちのわるいピンチがある・・・・
そいつはなまじ にせものの希望のあるチャンスってやつだ・・・・』そして試合中にリング下で
西とケンカを始めちゃったりしてて…ドロップキックを決めてる段平の姿はカワイイのですが、とにかくジョーはセコンドも駄目です。
頭に血が上り、ジョーはついに全力で相手の顔面へパンチを打った!
しかし…その後、リング上で思いっ切り嘔吐してしまう・・・。
屈みこんで大量の吐瀉物を撒き散らすジョーが、見開きページで、背景を真っ黒に塗りつぶされて描かれるのです。
アニメ版ではここ、キラキラ輝く物を吐いてましたが、この漫画では本当にけっこう汚そう。
もちろんこの勝負も負け。
ジョーはもはやかませ犬になったと知りつつも、"リングで力石の亡霊と心中する気"で、すごい形相になってサンドバックを叩き続ける・・・
長い苦しみは、まだまだ続きます。
- 2006/07/26(水) 22:57:21|
- 梶原一騎
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ジョーとは宿命のライバルである、
力石徹が死んだ。
死顔を見たら、満足して燃えつきて死んだ事も分かるのですが・・・
当然、残された人々と読者は凄いショック。
特に非人道的な減量に協力さえした
白木葉子は自分をせめますが、彼女は実は力石に合わせて食事も水もとらなかったのだそうで、そんな何にもならない事をするような、熱い気持ちを持ち合わせていたのですねぇ。
後日催された力石の葬式にはジョーは顔を見せず、ドヤ街の子供達と遊んでるので、それを見かけた記者さん達は、
『矢吹って男の腹の中は 草もコケもはえない荒野なのさ
初のKO負けをくらったが しかし相手は死んだ・・・・
むしろ満足なんじゃないかな ああいうタイプの男にとっては・・・・』なんて言ってますが、まぁそれはいつの時代もマスコミ連中ってのは人の心を理解しないものです。
負けるなジョー!
世の中の全ての人間が、
みなしごジョー
危険なジョー
無法者ジョー
野生のジョー
けんか屋ジョー等と言って避け、
段平でさえも自分の夢をかなえるための拳闘人形と見ていた…
しかし力石徹だけが"ほんとうの友達"だったと、少なくともこの時点ではそう思う。
そして流れるままに暴力おでん屋とケンカになり・・・
え!?
なんと、プロボクサーであるジョーの方がボコボコにされました!!
そして第一部が終了。
ここで初めてこの作品が二部構成だったと分かるわけですが。
ともかくこの続きから
「第二部 四角いジャングル編」に突入します。
同時に、これからしばらく、この
「あしたのジョー」の暗く辛い時代になるのです。
大人になってから読み直せばこの部分こそが文学的でいいとは言えるものの、あまり感情移入して読むと心が痛くなってきますよ。
作画担当の
ちばてつや先生にしてからが、このジョーの暗い時期を描いていてやりきれなくなり、3ヵ月近く連載を中断したという事実もあるのです。
たまに
「あしたのジョー」は力石が死ぬまでで終わって良かった、だとか勘違いした声が聞こえてきますが、冗談じゃない。
まだまだ面白いです。むしろ後半の方がいいかもしれない。
とにかく第二部も続けて読んでみましょう。
力石の死から駄目になったジョーに、マンモス西は復活してもらいたいがために苦言を申すのですが…
ジョーの方は西をバカにし、
『西の口からそういうセリフがとびだすとは思いもよらなかったよ
減量に耐えきれず かくれて
うどんを食うようなやつの口からよ!』
『おまえにおれの気持ちがわかってたまるか かくれて
うどんを食うような男・・・・』
などと、ジョーも駄目な時だからこそでしょうが、過ぎた事をネチネチ言ってます。
さらに、泣きながら殴りかかってきた西をぶっ飛ばす時に、
『調子に・・・・のるんじゃねえ この・・・・
うどん野郎〜っ』
ですからね、これは悪いけど笑ってしまって…はい。
その後、こじきのような姿でふらつき、目が死んでるジョー。
それをマスコミ屋さん達が見つけ、"バロン"という、ジャズで踊るお店に案内します。
すると、お嬢様のはずの葉子が踊っているではないですか!
力石の死の影響で未だ落ちている二人は、うるさいはずの店内で何故か普通に話してます。
ここでジョーは最後に、
『ゆめ はかなくも やぶれたりだ!
てめえなんざ死んじまえ〜』などと言うのですが、これは少なくとも今までは葉子に"ゆめ"を持っていたと、その気持ちが初めて明かされたわけですよ。
それから数日後にジョーは、チンピラ同士の喧嘩に出くわします。
片方が連れていた凄腕の用心棒は・・・ジョーにアゴを割られて引退した、
ウルフ金串でした。
元は世界も期待されたボクサーのウルフは、当然相手方のチンピラを一方的に殴り倒し、"純喫茶ゼブラ"で悠々と休んでいます。
ジョーもこっそり尾行していたのですが・・・
ウルフの言うことは、『ジョーとはもう一度やればKOできた』だとか、『そうすりゃ今頃は間違いなく世界タイトルを狙えてた』だとか、とにかく過去の栄光を大げさに語る事しか知らないクズの物言いです。
それからその場に、さっきやられた相手方の方も用心棒を連れて現れます。
その男、
ゴロマキ権藤はウルフのアゴを蹴り、勝った上に執拗にウルフを叩きのめす。
そいつを今度はジョーが切れて、殴りまくる。
おでん屋にまでやられたジョーでしたが、まだまだいけるのでしょうか。
警察署へ迎えに来た西を見て力石と間違え、大声でわめいてる姿はまだ常人だとは思えませんが…
それでも再びリングへ戻る決意を固め、西とスパーをして健在ぶりを記者達にもアピールしましたよ!
良かった〜。
しかし、西が心配な事を言います。
ジョーは力石を殺したおそれから、顔面を打てないボディー専門のボクサーになっている、と。
段平が
『それがほんとうなら やろうは か○わだ!』と吼えてこの9巻が終了。
(
「あしたのジョー」は
梶原先生の力入ったセリフが断然いいわけで、私もなるべく原文通りに書き写して太字にもしてますが、過去の名作に対して、近年のくだらない風習で「日本語」を○でいやらしく隠さなくちゃならないのは悔しいなぁ・・)
------------------------------
見ての通り、相変わらず長いブログになってしまってます。
ストーリー紹介をしようと思ったら省略するのが勿体無い場面が多すぎるのですよ、この名作は。
知り尽くしてる作品だから、凄い勢いで書いてるのですけど、それでも毎日毎日仕事後に、帰宅してからまたパソコンに向かうのは…疲れてきました。
それでも、真っ白に燃え尽きるまでやるしかないのですね。
- 2006/07/25(火) 20:21:36|
- 梶原一騎
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力石の一戦を観戦した後に
ジョーと
段平は、力石はきっとカウンターのできないアッパーカットを多用してくると読み、スウェイ・バックの練習を開始します。
段平と、前巻でうどんを鼻から垂らした(笑)
マンモス西の二人で同時に打ちまくり、次の段階では縦の動きであるアッパーに目が慣れた所で、いきなりのストレートを受ける。
そこでカウンターを取ろうという作戦ではありますが、成功する以前にパンチを受けまくってボロボロになってるジョーです。
それでは力石の方を見てみましょう。
ちょうど新聞記者が取材に行ってます。
鬼気迫る練習を見た後でインタビューを録ろうと、減量による飢えと乾きから耐えるために外からカギのかけられた、地下の物置に行きます。
そこの小窓から覗いた力石は・・・まるで
日野日出志漫画に出るキャラのように、ギョロ目が落ち窪んで不気味です。
そのすさまじさを見た記者は、力石、葉子、医師もすでに気が狂ってるんじゃないかと疑うほどです。
『この近代設備をほこる白木ジムが気ち○い病院に見えてきたよ』とまで言われてます。
それではもう一度ジョーの方に戻って練習を見てみると・・・
これまた、『気ちがいだ』とか、『もう取材はやめだ・・・・また吐き気がしてきたよ』と言われる凄まじさ。
『これは人間同士の試合じゃない
狂人同士が命をかけた死闘だよ』が、試合の始まる前からの結論ですから、何とも凄い。
ある晩ーとうとう力石があばれだした・・・!!力石は乾ききった体に耐えきれず地下室の扉を、どこから持ってきたのか巨大な丸太のような物で叩き壊し、珍しく情けな〜い姿で水を求めてます。
ああ・・・しかし、水道の蛇口全てに針金がまかれ水は飲めない。
シャワー室までもです!
それは
葉子のやった事でしたが、それは力石が耐えかねて水を欲しがった時を想定し、かわききった体に冷たい水は体を壊すからと、そう言って葉子はコップ一杯のさゆ(白湯)を力石に手渡しました。
いつも冷たく見える葉子には珍しい、涙を見せながら。
力石は・・・
そのどれだけ欲しいか分からないであろう、さゆを捨ててこう言います。
『もうすこしで・・・・くじけるところでした
でも もうだいじょうぶ・・・・
きざないいかただが・・・・おじょうさんの その涙を見て決意がさらにかたまりました』と。
さらに、やせさらばえたカサカサの体でりっぱにジョーと打ち合うことを誓い、眠りに行くわけですが・・・
ここで、あまりにも有名な余談を挟みます。
既に私も
「あしたのジョー」3回目の所でも少し書いたのですが、力石徹の減量エピソードは、文だけを渡す
梶原先生と、そこから想像して描く
ちば先生との設定確認の行き違いによって生まれたものです。
まず初対面シーンで、力石をジョーより頭一つ分大きな体格に描いてしまった。
週刊少年マガジンの誌面を見てそれを知った
梶原先生は、後に話の辻褄を合わせるために苦肉の策として力石に過度の減量を強いたのですが…それがこの名作の中でも屈指の有名シーンになるのですから面白いですね。
さてジョーの方も試合前日にとうとう、少なくとも練習では、アッパーから急変してのストレートにカウンターを取れるようになり、試合はもちろん後楽園ホールを満員にして始まります。
『それにしても・・・・
力石といい 矢吹といい 少年院帰りは
い・・・・いえ パリパリの新進どころは人気がありますねえ』というアナウンサーはどうかと思いますが(汗)、この因縁の対決は5回目になるのでしょうか。
ついに邪魔も入らず、はれがましい舞台で戦えるようになったものです。
やはり得意の"両手ぶらり戦法"のジョーに対して、力石も予想通りアッパーカット攻撃の連打で攻めます。
ジョーはスウェー・バックで外し、すきを見てストレートで反撃してますが、すぐにこの"おそるべきカミソリアッパーカットをかわしながらの反撃からでは、ダメージを与えられない事に気付く。
そう、この力石のアッパーカットずくめの戦法には、クロス・カウンター封じだけではなく、腰の入ったパンチを全て抑える事にあったのです。
『ああこんな・・・・こんないやな気持ちでゴングをきくのは・・・・
生まれてはじめてだ・・・・!!』なんて、またジョーの『生まれてはじめて』発言ですが、しかしプロになって何戦目かで、ゴングなんて生まれて何回聞いたと言うのか・・・
もはや手を無くしたかのようなジョーが一方的に攻められる試合になり、ただ倒されても懸命に立ち続けるだけだったのですが…第6ラウンドに偶然当たった大振りのフックが力石のテンプルにヒットし、初めてのダウン。
ついでにロープに後頭部を強く打ち付けて脳しんとうを起こしました!
それでも執念で立ち上がった力石は、ジョー得意の"両手ぶらり戦法"に出ました。
ジョーもこれに対抗してもう一度両手ぶらり。
お互いが、先に手を出した方が負けると意識して動けません。
そして最終8ラウンド。
やはり気が短く、しかもこのままゴングがなれば判定で負けるジョーの方が打って出ました。
左ストレートから、力石の右を払いのけ、次なる右のダブル・クロス!!
しかし読まれてました。力石はジョーのパンチを外し、必殺のカミソリ・アッパー喰らわす。
倒れてくたばったジョーを見下ろす、幽鬼のような力石・・・
『おわった・・・・なにもかも・・・・・・・・』そうつぶやく力石の…勝利です。
試合終了後、握手を求めるジョーでしたが、力石が出した手はその手と合わさる事無く、そのまま体ごと崩れ落ちました。
それから控室の、敗者であるジョー達の元へマスコミ連中が押しかけて言う事には・・・
『力石が死んだ・・・・!!』原因は、あの第6ラウンドに打ったジョーのテンプルへのフック、およびダウンした際にロープで後頭部を強打した事による脳内出血。
形相が変わり、吼える、吼えまくるジョー!!
うおおおお わあああ
うわあああああああ ああああああ
- 2006/07/24(月) 22:51:59|
- 梶原一騎
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前回、字数削減の宣言をしたこの
名作漫画ブルース「あしたのジョー」編。
今夜は7巻です。
この巻にも重要な場面が多いから、それほど短くは出来ないなぁ…
---------------------------------------------
ジョーとの対決が決まった
ウルフ金串陣営は、報道陣をシャットアウトして秘密の特訓に入ります。
心配した
太郎達、ドヤ街のガキ連5人がこっそり忍び込んで練習を見ようとしますが、逆にとっ捕まって練習台にされ、女の子の
サチまでがボロボロになるまでやられました!
怒りに燃えるジョー側陣営(と言ってもこっちは三人だけど)も、マスコミ立ち入り禁止で猛特訓。
そしていよいよ後楽園ホール満員の試合当日。
傷だらけになって現れたジョーは格段に技術が進歩していて、普通の試合運びでもウルフと打ち合いの大激戦になりますが…
三ラウンド目。ノーガードの"両手ぶらり戦法"を出します。
そしてウルフは嫌というほど練習してきた、"クロス・カウンターやぶり"を炸裂させ、ジョーは深刻なダメージを受けたダウン。
タネを明かすと…ウルフの左ストレートにジョーの右をクロスさせるのがクロス・カウンターですが、ここでジョーがクロスした右を、左で払いのけて右ストレートを打っていたのです。
ジョーは渾身の力でクロスを打ち込んでいるから、ウルフの右ストレートはダブル・クロス・カウンターとなり、強力な必殺技となっていた。
なのに立ち上がったジョーは、また同じようにカウンターを繰り返し、同じようにやぶられ、打ち込まれる。
ダウンの連続でボロボロになったジョーでしたが…
やりました!
ウルフの右ストレートによるダブル・クロス・カウンターに対して、さらにジョー左を合わせたトリプル・クロス・カウンターがウルフの顎へ炸裂しましたよ!
実は今までダウンさせられながら、ウルフが右を打つタイミングを計っていたのだそうで。
ここで解説者が、
『普通のクロス・カウンターでさえ四倍
ダブル・クロスとなれば八倍
トリプルとなっては十二倍もの破壊力があると言えるでしょう』
と仰ってますが・・・
このダメージの数値に関してはいくらなんでもおかしいですよね!?
当然何の根拠もないでしょうが、まぁ不思議と漫画を読んでる時は違和感がわかないのは、
ちば漫画のリアルさ故でしょうか。
あともう一つ。
細かい事ですが、この勝負が付いたラウンドが始まる時のアナウンサー、そしてKO後のレフリーのセリフでも
『矢吹丈・・・三回KO勝ち』とあるのですが、このラウンドは四ラウンド目のはずですよ。
もう、マニアはちゃんと分かるんだから〜。
出版社に修正の要請をした方が良かったでしょうか。
もしかしたら今まで誰も気付いてなかったのかな?
試合後、
力石は
『本物だった 本物だった・・・・ 本物だった・・・・!』そう言って感激し、ジョーに駆け寄って
『つぎは・・・・いよいよ俺の番だ!』と、握手して戦う約束。
(今までジョーの才能を疑っていたのでしょうか…)
ウルフは顎を砕かれて再起不能になりましたが、これからの"力石編"みたいな部分が、この
「あしたのジョー」全編においても恐らくは最も人気が高いでしょうね。
まずジョーとの戦いの前に、フェザー級である力石がジョーと同じバンタム級まで落とすという、過酷すぎる戦いから始まるのです。
力石が住み込んでいる豪邸な白木邸からは出てジムにこもっての生活を始め、白木家に反対されても、
『近代設備で日本一をほこる白木ジムからの誘いをけり
こじきの住むような橋の下のオンボロジムで 旗をあげてのしあがってきた男と戦うのですよ
これくらいのことが 苦になるようでは 負けたも同然です!』と聞く耳を持ちません。
これと対照的なのが、ジョーと一緒に練習する
マンモス西。
彼はこっそり夜中に抜け出し、うどんを食う事を繰り返していた・・・
ジョーに見つかり、殴られて
『ぶざまだな みじめだな・・・・ ええ おい!
おまえはもう みそっかすになりさがったんだ・・・・
おれや力石の生きる世界からな』
そう言われて
『わいはあかん・・・・ だめな男や・・・・』と、顔を上げるコマ!!!
これこそが後で出る力石の減量エピソードより有名かもしれない、"鼻うどん"であります!
そう、西の鼻からうどんがピローンと出ているのです!!
一応シリアスなシーンではあるのですが…西は泣いていても、我々読者は泣けない、というより笑う事必至でしょう。
それから無理矢理バンタム級に体重を落とし、痩せ細った力石の試合。
相手はフィリピン人のパンチョ・レオで、この程度の相手にも無理な減量がたたって大苦戦しますが、何とか勝利。
何だか恐ろしい迫力がある力石とジョーが見合って、7巻終了。
- 2006/07/23(日) 21:24:19|
- 梶原一騎
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リングの上から見下ろす
力石と、見上げる
ジョー。
・・・ここから始まる第6巻です。
試合は、力石があっさり54秒でKO勝ちして新人王になりました。
一方ジョーはいつの間にか、試合前に足をひっかけた
ウルフ金串の控室に、サインをせがみに行ってます。
そのサインを『ミミズがはったような字』と言い、肝心のパンチもたいした事はない、『品も各もないパンチ』だと言ってのけ…つまりケンカを売ってるのですね。
もう完全に切れたウルフが、ジョーに殴りかかった所を・・・
グワシャーッあのクロス・カウンターで一撃の下に相打ちを決めました。
集まってきたマスコミ連中に、『この男、矢吹丈はバンタム級の選手であり、そこの大高会長(ウルフのジムの会長)らに反対されて、所属ジムの
丹下段平会長がライセンスも持てていない』と、そう
白木幹之介や力石が説明したため、ジョーがウルフの強敵になるから段平にライセンスを交付しないのだ、とマスコミに怪しまれた。
こうなっては今度は大高会長が強引にライセンス交付を主張し、日本ボクシングコミッショナーは丹下拳闘クラブを承認!!
少年院流の見事なやり方で、あしたへ橋をかけたジョーでした。
早速ジョーと
マンモス西の二人は、プロテストを受けに行きます。
ジョーは筆記が0点でしたが、その間違え方で西に
『つくづく徹底して闘争的』と言われる。
生まれつきの闘争本能がまちがえさせた、と。
さらに重要なスパーリングでは、国体の高校ボクシングで準優勝したテクニシャン・稲垣正平を相手に最初は苦戦するが、反撃開始したらボコボコにやりすぎ…リング下にまで追いかけて殴りまくったので、当然不合格。
それが逆にマスコミからさらなる注目を浴びるし、
『ちんまりと合格するような男ならさして恐怖もかんじない・・・・
テストなどというわくからはみだしてしまう 八方やぶれなところに戦慄をかんじるんです
テスト不合格・・・・さすがは矢吹してやったりってところですね』とは力石の言。
ちなみに、西はその『ちんまりと合格』しちゃってますが。
テストも二回目になると筆記は免除されるし、当然ジョーも合格。
『いままで世の中をわたってきて・・・・な なにをやっても不合格の烙印をおされつづけてきた
それが・・・・け 拳闘だけがおれを合格させてうれたんだ
そ・・・・そいつがうれしかったんだ』なんて、ちょっとどもりがちに喜ぶジョー。
どこの町に行っても厄介者だったジョーでしたが、ドヤ街の住民たちは喜び、沸き返ってますよ!
そんなある日、林食料品店で働くジョーが
、「山羊にひかれて」を歌ってます!
ヤーギに ひかれて〜 いきてえな〜か♪と歌うこの
カルメン・マキの歌(
愛川欽也や他のカヴァーもあります)は、アニメ
「あしたのジョー」の、あの熱い主題歌と同じ
寺山修司作詞の作品ですよ!
寺山はボクシングを描いた唯一の長編小説
「ああ荒野」で、随所に
「あしたのジョー」と共通する部分が見受けられましたし、もちろん実際に力石の葬式をやって話題になったのも彼。
私が思春期に一番多く読んだ漫画は
梶原一騎の作品でしたが、一番多く読んだ活字本は、あるいは
寺山修司だったかもしれません。
だから共通項は"ボクシング好き"なだけで、作品の世界ではほとんど接点の無さそうなこの二人が、
「あしたのジョー」を介して関わってるという事が何とも嬉しい。
さておき、ついにジョーとマンモス西の両名が、同じ日にデビューします。
もちろん付いてるのは、段平がセコンド兼会長でひとりっきり。
まずは西がTKO負けで、血まみれになって控室に戻ってきますが、ジョーはデビュー戦の相手・村瀬武夫を1ラウンドのうちに得意のクロス・カウンターで倒しました。
最初に猛ラッシュしてきた村瀬に対して、ジョーは
『このやろ・・・・あいてて ファイティング原田ばりのかっこいいマネしやがって・・・・』なんてつぶやいてますが、それはお前だろ!と突っ込みたくなります。
同じバンタム級でもあるジョーのボクシングスタイルは、
ファイティング原田をモデルにして作られたと言われますからね。
その後も"両手ぶらり戦法"で相手に撃ってこさせ、クロス・カウンターで撃退するという戦法で連戦連勝のジョーでしたが、それを『おそるるにたらず』とぬかすウルフとの、八回戦進出をかけた対決が決まり、第6巻終了。
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さて、自己満足ながら毎日毎日このように話の紹介やらをやってきましたが、『ネットでこんな長文読む人いないよ』と友人に言われました。
逆に言えば、こんなに親切丁寧に紹介してくれるってのは他に無いぞ!とも思うのですが、まぁ何の反響も無いし(笑)、実際に私の仕事後に古本屋を巡る時間が足りなくもなるので、次回からはもっと短くまとめ、流していきます。
もちろん内容濃いし、語りたい事はいっぱい出てくるからどの程度できるか分かりませんが。
では、また次回。
- 2006/07/22(土) 11:28:11|
- 梶原一騎
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「あしたのジョー」5巻は、
力石の少年院退院から始まります。
出所間際というのに
ジョーをからかう力石。ジョーはまたキレて
『あのやろう・・・・・ぶっ殺してやるっ』
などと叫んで向かっていき、教官達に取り押さえられて手錠をはめられる。
・・・とにかくこの少年院で出会ったライバル・力石徹とはお別れです。
梶原一騎は、その数々の作品において、暖かい家族や親友なんかよりも、強き敵や苦しい経験こそが己を成長させてくれる、と説いております。
もちろんこの漫画においては力石がそれであり、憎いこいつに出会わなければ、また特等少年院に入らなければ、ジョーはボクシングを真面目にやる事もなかったのでしょう。
人生は汚点と思える事や、悲惨な体験もあってこそのものなんですよね。
うん、だから私(BRUCE)もまだ大丈夫。
力石が去った後も、ジョーにはまだ刑期が何ヶ月も残っています。
それから
西も
青山も出所しましたが、ジョーは脱走未遂を始め、何度も騒ぎを起こしているので延長されているのです。
その間は
段平が来てボクシングの訓練を続けますが、そんなある日、院内のTVで放映していたボクシング中継に、再デビューした力石が出てきます。
白木葉子の祖父・
幹之介が、力石のために近代的な設備を誇る
白木ボクシングジムを設立し、そこからのデビューですから、何と彼は恵まれているのでしょうか。
やはり力石は二年近いブランクがあってもニラウンドKO勝ちでこの試合を飾り、大物ぶりを見せつけました。
焦るジョーも院内にいてはどうにもなりませんが、その後ついにジョーも刑期を終えて退院。
段平に引き渡されたジョーは、またドヤ街に帰ってきました。
最低1年1ヶ月の刑で特等少年院に入り、さらに刑期を延長されたジョーでしたので、随分久しぶりですよ。
大きくなった太郎やサチ達と再開し、しかも
"泪橋"の下にあるオンボロ小屋が…
丹下拳闘クラブとなってます。
名前が書いてある札を見ると、[会長 丹下段平]に続いてもちろん[矢吹丈]、そして[マンモス西]という名前が見えます。
これはもちろん、あの少年院での親友・西寛一で、彼も少年院でボクシングにはまり、出所後も段平の元で続けていたのですね。いきなりリングネームまで付けて。
"泪橋"は、ひとよんで"なみだ橋"。
段平が言うには
『人生にやぶれ生活につかれはてて このドヤ街に流れてきた人間たちが
なみだでわたる 悲しい橋だからよ』と演歌みたいな事を言い、さらに
『三年ほどまえのわしもそうだった おめえもそのひとりだったはずだ・・・・
だが こんどはわしとおまえとで この橋を逆にわたり あしたの栄光をめざして第一歩をふみだしたいと思う』そう力説してます。
それから有名な
『ふたりで苦しみ ふたりで歯をくいしばって このなみだ橋を逆にわたっていこう』のセリフにつながるのです。
(マンモス西ははじめから期待されてないって事で・・・)
とにかくその夜は、ドヤ街の連中が大人も子供もジョーを慕って集まり、退院祝いと、丹下拳闘クラブの発会式をしてくれて…
寝床ではこっそりボロぶとんをかみしめて、生まれて初めて、人間の愛によってなみだを流すジョーでした。
翌日は、西が出所後に勤めている乾物屋・林食料品店へジョーも連れていかれて、人生初のまともな労働をやります。
ここの娘・
紀子との出会いも重要です。
何しろこの
「あしたのジョー」においては、全編通じてジョーとまともに関わる若い娘は(サチは若すぎだし)、白木葉子と林紀子、この二人しか出てこないですからね。
しかも、紀子の顔が葉子にそっくりなためにジョーもビックリするのですが…
こういうネタにしたのは、キャラの顔の描き分けが苦手な
ちばてつやのごまかしでしょうか。
二人の顔が似てる必要は全く感じませんし。
ちなみにこの紀子は、ドヤ街の子供達と同じく
梶原原作には無い、
ちばの創作キャラだと言います。
梶原が男の世界やボクシングそのものを描くのが得意であるのはもちろんですが、
ちばはジョーにこういった創作キャラとも交流させ、人間味を与えようとしていたのでしょう。
さてさて、これからジョーがプロを目指すため、まず段平が
日本ボクシング協会へ、丹下拳闘クラブのコミッショナー認定を願いに出かけます。
・・・が、段平は過去にボクシング界で馬鹿な真似を何度もしており、他のジムの会長達曰く、
『自分の選手かわいさに 試合中にうちの選手をなぐりたおした』
『のべつ酒にひたり飲んだくれて・・・・きみのいるリングサイドは いつもかきのくさったような においがたちこめていた』
『ロープをゆすり選手をののしり やじをとばす客と大声でわめきあって・・・・
レフリーがきみの選手に不利な判定をくだしたりすると 飲んだいきおいでリングにかけのぼり
観衆の面前でレフリーをなぐりとばした』・・・うーん。
こういった罪は消えておらず、さらに
『きみは拳闘界がようやくわすれかけたガンなのだ!狂人なのだ!』だそうで、段平の丹下拳闘クラブはコミッションに承認されなかった。
それどころか悔しい段平は、近くの酒屋の店先で安酒をあおり、とってかえして事務局で大あばれ、・・警察に拘置される。
こうなってしまっては、ジョーは完全にボクサーとしての道を閉ざされました。
ボクシングで夢見た"あした"が閉ざされ、き○がいのように笑うジョーでしたが、ここで異常に歪んだ顔のジョーが描かれるコマがあります。
これは
ちばには珍しく、前衛的な表現を使ってジョーの心理を表現してますね。
だが、捨てる神あれば拾う神あり。
白木ボクシングジムが、ジョーと西を引き取りたいと申し出てきました。
さらに段平もトレーナーとして雇うと。
力石に加えて、そのジョーと西との三人で白木ジムの若き三羽ガラスにしたいと言う幹之介ですが・・・。
おいおい、力石とジョーはともかく、マンモス西は三羽ガラスになるほど強かったか?
まぁいいでしょう。
せっかくのいい話でしたが、結局ジョーは少年院以来で力石を見て、こいつと試合をしたいために、この話は断ってしまうのですから。
しかも白木ジムの中で、ジョーと段平はののしりあい、素手で殴り合い、醜態をさらしまくって去って行く。
それを見ていた葉子には
『どろぬまもいいとこね・・・・あの三人!
身から出たさびとはいえ・・・・ どうにもやりきれなくなってくるわ
あんなみじめな人間をみていると』なんて言われてます。ひどい…。
もう、なみだ橋を逆にわたって栄光を手にする事はできないのか?
いや、まだ打つ手があると、ボクシング新人王決定戦の試合会場に行くジョー。
ふらりと選手控室のあたりに忍び込み、トイレに行くボクサーに足をひっかけて転ばせる。
たまたま転ばされた選手は
ウルフ金串。
彼は、日本ボクシング協会の一件で段平を締め出した張本人・アジア拳の大高会長が育てたホープでした。この後バンタム級の新人王に選ばれるのですが…。
さておき、力石の試合が始まるのを、リングサイドに立って見るジョー。
ここで、この巻は終わりです。
- 2006/07/21(金) 12:59:57|
- 梶原一騎
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段平にコーチを受けてるモヤシっ子・
青山に何と血だるまにされた沼田がタンカで運ばれる所から始まる、この単行本4巻。
この本の2ページ目は、11コマも使って
ジョーと青山が見合い、気の弱い青山が目をそらすだけのページなのですが・・・
ここで良く見ると、いや良く見なくても、明らかに
二人が同じ髪型だと分かります。
よくパロディにもされる個性的なジョー・ヘアですが、何で他のキャラにもこの髪型を使ったのですかね。
この青山が段平の特訓で凄い力を付けていたとすると、焦ってばかりいるジョーが、勝ち進んで
力石と戦えるのかさえ不安になってきました。
そして日曜日。寮対抗トーナメントの開幕です。
青山は、まず体のごつくケンカ慣れしてる的場との対決。
これで青山がどんな力を付けているのか、ついに目の当たりにするのですが・・・
それは
コンニャク戦法でした。
どんな攻撃もコンニャクのように体をよじり、ひょいひょいとかわしてしまいます。
空振りパンチの連続でほとほとバテた相手を、小刻みなパンチで血祭りに上げる青山。
リング下でジョーと共に見ていた
西曰く、
『相手がつかれきっているところへ打ちこめば とてつもない殺人パンチとおなじ効果を生む・・・・
防御ちゅうやつも徹底するとおそろしいもんやで・・・・』だそうです。
もちろん力石は相手を軽く16秒で失神までさせて勝ち進んでます。
一方、ジョーは調子に乗って重たい12オンスのグローブをはめ、ヘッドギアもしないで戦うから、雑魚の松木を相手に大苦戦しますよ。
このハンデだけではなく、練習したジャブもストレートも忘れてケンカ心理でみっともなく戦う。
それでも、こっそり
泣きながら打ちまくり、その連打で松木をリング下に叩き落して辛勝。
段平は一体どういうつもりなのか!?
まだ孤立しているジョーを無視して青山だけを徹底して鍛え続けます。
次の日曜日、いよいよジョーが青山と戦う日です。
ことボクシングの指導に関しては信頼してた段平に裏切られ、
『拳キチよ・・・おれは生まれてこのかた
いまほどの残酷な気持ちになったことはないぜ』そう思うジョーです。
またここでも"生まれてこのかた"なんて言い方が出ました。
それでも前回と同じく、またも一番でかいグローブに、ヘッドギア&マウスピース無しで戦い、無謀なプライドを誇示するジョー。
それを"虚勢"だと言う
白木葉子でしたが、隣におります大物の爺・
幹之介は、相手が強い事を知って強がるなら、それはジョーの"悲壮な決意"だと言います。
さすが大物。つまりジョーは、死んでも勝たなきゃならないところまで自分を追いこめるのが目的だと看破するのですね。
試合が始まってみたら、青山はいつものように最初は防御に徹する真似をせず、ヒット・アンドアウェイという高等技術を使いつつジョーを打つ。
地獄の責め苦のように打たれてボロボロになった後で、やっとジョーの思いあがったけんかごしの態度が消えました。
何とあのジョーが防御で身を固め、青山の真似してフットワークまで使い始めました!
レフリーを勤める段平もビックリする程の、ジョーの素質が開花したらもう青山ごときは問題ではなく、勝ちました。
この段になってやっと明かされた段平の真意とは!?
実は気が弱いために防御を教えやすい青山をダシに使い、ジョーに
「あしたのために=その5」・・・フットワーク
「あしたのために=その6」・・・スウェーバック等の防御技術
「あしたのために=その7」・・・孤独との戦いこれを教えるためだったのです。
(
「あしたのために=その4」は、既にジョーが独自でやっていた
スナップ鍛えです)
腕力自慢で相手を追いまわすことはあっても逃げはしない、そんなジョーにのっけから防御を教えても軽蔑して覚えようとしない事が予測できたために、段平はこんな回りくどいやり方をしたわけだった・・・
やっとそれが分かってすっかり照れ、嬉しくなってサンドバックを叩くジョーに、すぐさま力石が決闘を申し込みます。
これは、力石は三日後の出所が決まったために、一週間後の試合が駄目になったから。
プロの世界でも負けたことがなく、出所後は華々しく再デビューする事も決まっている力石は、以前の引き分けが許せず、勝って少年院を去りたかったのですね。
青山との激しい一戦の直後の不利を持つジョーは、グローブの中の拳に石ころを握りこんで戦うという卑怯な手を使ってまで戦いますが、ここは集まってきた段平によって水入りとなり、決着はお互いプロのリングでつける事となりました。
そのまま気合の入った段平は少年院を出る前に
"あしたのための15"までをジョーにたたっこむと言ってますよ!!
ヒェー、15まであったのですか。
もうばらしちゃうと、そんな物はこの後、作中には全く出てこないのですけどね(笑)
---------------------------------------------
何度読んでもグッと引き込まれる漫画です。
いくら褒めたところで、まだ足りないのですが、まだまだこれからも面白くなりますよ!
それではまた次回。
- 2006/07/20(木) 23:54:02|
- 梶原一騎
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「あしたのジョー」3巻では、
白木葉子らの芝居が終わって、芝居の手伝いの名目で入れてもらったドヤ街の子供達や、この特等少年院の収容生らが会場からゾロゾロ出てくる所から始まります。
そんな彼らの眼前に現れるのは、完全に気を失っている
ジョー。
傍らに立つ"拳キチ"こと
段平を見て、皆は段平がジョーを懲らしめるために鉄拳制裁をしたとしか考えないのですが、段平は言います。
『こいつあジョーのため・・・・わしのため・・・・
いってみりゃあ「あしたのために=その3」・・・・だぜ
ただ たんにつぎの日曜日の試合のため・・・・
なんてケチなもんじゃねえ
あ・・・・あしたのために・・・・
あ・・・・あしたの・・・・うっ・・・・』ここで血を吐いて倒れる段平。
葉子は彼の言う「あした」という言葉に何か感じたようで、
『血にまみれ あせやどろにまみれ きずだらけになって・・・・
しかも他人には気ち○がいあつかいをされる きょうという日があってこそ・・・・あしたは・・・・』そうつぶやき、
力石もこれはボクシングのコーチをしたのだと勘付きます。
意識が戻ったジョーは早速
あしたのために=その3を体得すべく、まず親友の
西、そしてジョーを憎む収容生達を何と数十人、生きのいい練習台としてぶっ倒すのです。
ちなみにここの、あしたのために=その3を体得するために親友の西をぶっ倒すシーンですが、その前にジョーは西のアゴを往復ビンタして怒らせます。何故かアゴを・・・。
しかもその時の西の声が、『あう あう・・・・』です。
私の友人の一人はこのシーンが大好きで、事あるごとにそれを言ってきてきます。『西可愛い』と。
さて、さすがに何かあると見破った力石は、家畜小屋の暴れ牛相手に素手で特訓し、タフな猛牛三頭をKOしちゃってます。
・・・こんな奴に勝てるのか、ジョー!!
そして、いよいよ二人の試合当日。
上品ぶった葉子は力石にはぴったりした寸法のボクシング用具を揃えているのに、ジョーにはブカブカの物を渡します。
怒ったジョーはそれを葉子と力石に叩きつけ、囚人用のズボンにグローブを付けただけの姿ですが、ともかく試合開始。
はっきり言って経験が全く違う二人は、ボクシングルールの中では実力差が歴然。
あの前回の予告の一分でやられたかに見えました。
段平はここで、
『た・・・・立て・・・・!
・・・・立つんだジョー!』と、あの有名なセリフを念じてますよ。
やはり立ち上がり、また立ち上がり続けたジョー。
いつしかお岩さんのように酷い顔になり、気分悪くなって逃げ出そうとする葉子を、ジョーはリング上から制止します。
もう満足に目も見えないジョーが、ここで一発!
ついにとどめのパンチを打ちに来た力石を、わずか一発だけのパンチで相打ち、両者KOの引き分けに持っていくのです。
それが
あしたのために(その3)。
相打ちの必殺パンチである
クロス・カウンター!
これは劇中でジョーが最後まで得意とするパンチであります。
今時の読者は、実際のクロス・カウンターが相手のパンチをスリッピングでかわしながら打つ高等技術だと知っているでしょうが、この
「あしたのジョー」でのクロス・カウンターは、相手のパンチを食らい、しかしそれ以上の打撃を与えるという事になってます。
これは、ジョーに自分が無傷で相手だけ倒すような器用な技をやらせたくなかった
梶原一騎が、肉を斬らせて骨を断つを表現するためにこのような形にしたのではないでしょうか。
ジョーVS力石。三度目の対決は引き分け。
しかし段平は泣きながら、わしとジョーが勝ったと言います。
素人がプロの大型新人と引き分けたのだからと。
『流れ流れてドヤ街までしずみ
さんざん人にさげすまれて生きてきたが・・・・
い・・・・生きとってよかったと・・・・しみじみ思っとるぞ・・・・
なあ わしのジョーよ・・・・う・・・・うううう・・・・う』そしてジョーを抱きかかえる段平。感動の場面です。
この試合に感動し、触発された収容生達も、我先にとリングに上がりたがり、ここ東光特等少年院でボクシングブームが目覚める兆しですね。
その後のジョーは、もちろん自らもっと強くなりたいと願い、それには手首の強さが必要だと、農作業で鍬を下ろすときも草むしりをする時も、ボクシングに結びつけた訓練をしています。
作業中に近くへ来た葉子は泥をかけられ、ジョーを"すさんでいる"と指摘しますが・・・
『おれはどこかのおじょうさんとちがって ひまも金も自由すらも持たねえ男だからな!
ゆとりはねえ この少年院というわくの中で せいいっぱい生きているのさ
だれにもふみつぶされねえようにな なめられねえようにな ほこりをきずつけられないようにな!』そうつぶやくジョー。それを葉子は"ちっぽけな人間!"とバッサリ・・・
ここは作者がどう描きたかったのか分かりませんが、やっぱり上品で金持ちの葉子なんかより、すさんでいても野良犬のようなジョーを応援したいってのが少年読者の心理だったはず。
また次の日曜日にも、今度は寮対抗でボクシング大会が催される事が決定し、長い少年院暮らしでボクシングに対する精神もにぶっていたという力石は、気を引き締め直して練習している。
さぁジョーは・・・何故か頼りの段平が、収容生のなかで一番のモヤシっ子・
青山を付きっきりでコーチし、ジョーにかまおうとしません。
話しかけても冷たいし・・・あの感動の前試合の涙から、一体何がどうしたというのでしょうか!?
イライラと毎日を過ごすジョー。
段平に指導を受けてみるみる上達した青山は、代表選手になりたいと同じ部屋の男と戦い何と相手を血まみれにして勝っちゃってます!
…3巻はここまで。
- 2006/07/19(水) 18:25:40|
- 梶原一騎
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今夜も
「あしたのジョー」の時間です。
今日は第2巻にいきますよ。それでは、どんどん行きましょう。
---------------------------------------------
まず2巻は、1巻から数日後の、東京家庭裁判所における
ジョーの判決シーンから始まります。
段平とドヤ街の子供達も傍聴人として来ているのですが、ここで初登場の
白木葉子も傍聴人として来ています。
彼女こそ、この男くさい漫画にあってはヒロインでしょう。一応。
彼女は、ジョーが新聞を使ってやった寄付金詐欺の被害者で、白木財閥の令嬢でした。
ジョーに下った判決は、最低一年一ヵ月の東光特等少年院送致。
同時に、鑑別所で一緒でジョーと戦った西も、同場所へ護送されます。
最も極悪な少年達が集められる特等少年院と言う事で、
西なんかビビっちゃってますし、それにジョーも
『おれは・・・・おれは生まれてこのかたなにひとつとして人なみにあたえられたものはなかった
おもちゃも本も・・・・新しい服も あったかいふとんも・・・・
いや やさしい親の愛すらあたえられずに育ってきたんだ
だが・・・・自由だけはこのおれの腕力でもぎとって生きてきた
その・・・・そのたったひとつの自由すらうばわれてしまったら おれにはなにがのこるっていうんだい』
てなわけで、二人は脱走を企みます。
さっそく入れられた第六寮の部屋で激しくリンチを受けた二人でしたが、ジョーは最初から反抗しまくりで、夜のうちに先輩達の数人をやっつけて便所に放り込んだりしてますね。
脱走を企みながら農作業をやり、家畜小屋で他の収容生に命を狙われてるジョー・・・
そんなジョーの元へ、自転車で段平からの葉書を運んできた男がいます。
この郵便物配り係の男こそ、
力石徹!!
梶原一騎先生からの原作を貰った
ちばてつや先生は当初、彼の事を重要人物だと思わず、ボクシングではジョーと同じ階級にするはずだったのに一回り大きく描いてしまった事は有名ですが・・・ひどい顔してるな〜。
「クッキングパパ」みたいなアゴした間抜け顔で、ジョーにも大物らしくない意地悪をしてます(笑)
彼はデビュー以来十三KO勝ちで驀進していた元プロボクサーでしたが、試合中に観客のきたないやじにカッとなり、その客をたたきのめしてひん死の重傷を負わしたためにこの特等少年院に収容されていたのです。
ともかく豚小屋での作業中に、ジョーは西の協力を得て豚の背に乗り、その勢い良く走る豚の大群と共に脱走を試みまして、
『この脱走が成功したあかつきには おめえのだいすきな 大阪うどんを山ほど さしいれしてやるからなっ』
と叫ぶジョーでしたが、この
"西=うどん好き"という設定は、後に生きてきますよ(笑)
そしてもう少しで脱走という所で、その走る豚の大群を力石が分け入ってくるのですが・・・
その
すすす すすと入ってくるコマは笑えるので、じっくり見てもらいたい。
それから暴走する豚達を次々と殴って大人しくさせ、片っ端から倒しちゃってジョーの脱走を阻止しました。
実際の豚は人間のパンチ程度ではビクともしないほど頑丈なんだそうですが、それだけ力石の素手のパンチは人間離れして強烈だという事ですね。
『おらあ へその緒をきって以来 これほどだれかをにくいと思ったことはないぜ』と涙まで浮かべるジョーは、もちろん怒り心頭で力石に向かっていくのですが、相手は元プロボクサー。
しかし・・・当たります。
あの練習した
あしたのために(その一)はプロの、しかも大物ボクサーにも当たります!
結局ジャブしかできないジョーは完膚無きまでに叩きのめされるのですが。
『こんな・・・こんな強烈なパンチを食らったのは 生まれてはじめてだ』と少年漫画の主人公たる者が、失禁までさせられながら思うジョーですが…彼はちと
"生まれて初めて"って言うのが多すぎですね(笑)。後からも何度も出てきます。
とにかく段平がいくら言っても聞かなかったジョーが、力石との出会いによって本気でボクシングを憶えたいと願い、独房で黙々と練習します。もちろん力石に借りを返すために。
通信教育葉書の二枚目は・・・
あしたのために(その2)
=右ストレート=
左ジャブで敵の体制をくずし
突破口を見いだせば
すかさず右ストレートを打つべし。
これ、拳闘における基本なり。
右ストレートは 右拳に全体重を乗せ
まっすぐに目標をぶちぬくように打つべし。
このさい、打ったコースと同じ線上を
同じスピードで ひきもどすこと。
一発でKOをうむ必殺パンチなり。そしてまだ練習不足ですが、"ひみつの練習場"(独房)から引き出され、慰安のために来ている劇を見させられます。
そして見せられた劇団は、あの白木葉子が率いていて、その古典劇「ノートルダムのせむし男」の中、みにくいせむし男・カシモドの役で何と段平が使われていました。
それも元ボクサーで丈夫だから、思いっきりムチ打てるという理由で、その打たれシーンのみ使われたのです。
それをやった白木葉子の"神経がむしょうに気にくわねえっ"というジョーは劇途中で馬鹿にして退場。
実は葉子に憧れる力石は、怒ってジョーを場外まで追ってきて、早くもこの宿命のライバル二度目の対決です。
今度は、葉子の静止する声に気を取られた力石が、ジョーに滅多打ちにされますよ。
卑怯者呼ばわれされたジョーでしたが、曰く
『男どうしが挑戦したあと ちょっと声をかけられたくらいで 気をゆるめるなんざぶったるんでる証拠なんだ!
ぶったるんでるやつをなぐってなにがひきょうものだ!』と葉子につかみかかりますが、これには一理あるでしょう。
実際ここで力石は女に助けられてるし。
しかしすぐに回復した力石は黙ってません。
退院後、彼は白木葉子の大物祖父・幹之助の協力でボクシングへ界カムバックする約束がありましたが、それでも!お嬢様の命令に背いても!ジョーをぶちのめさずにはいられない力石です。
一触即発の所で水を差したのは段平。
けんかなら"教官先生がたも黙って見過ごせないが、正式のグローブをつけてやれば立派なスポーツだ"と、拳闘でけりをつける事を薦めます。
もちろん今の状態ではジョーが力石にいちころでやられるのが分かってる段平の親心なのでありますが・・・
力石もその条件をのみ、かっこよく一本指を立てて宣言しますよ!
『第一ラウンド・・・じゃねえ 一分間よ!
この脳タ○ンをねむらせる ばかりじゃねえ か○わにするまでの所要時間だ!』と。かっこいいですね〜。
(こんな名シーンの名セリフを、男らしくない○なんか使って伏字にしてる私をお許しください。
このブログでは放送禁止用語は使っちゃいかんと再三注意を受けてまして・・・。)
一方、段平がコーチに付いたジョーの方は、百の理屈よりも体で覚えさせると、打倒力石の秘法パンチを授けられるのですが・・・
その正体は分からぬまま、
ぎゃああああ・・・ああ・・・・あ・・・・あ・・・・・という叫び声だけを残して第二巻が終了。
続きはまた次回。
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このペースで毎巻ずつ続けていくのか、今日は
「あしたのジョー」のTシャツを着込んで通勤の電車で読みふけっていたBRUCEよ!?
しかし面白い!
何て面白い漫画なんだ
「あしたのジョー」 !!
とにかく今夜は、おやすみなさい。
- 2006/07/18(火) 23:57:05|
- 梶原一騎
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東京・・・
東洋の大都会といわれるマンモス都市東京
そのはなやかな東京のかたすみに
ある・・・・・・ほんのかたすみに
ふきすさぶ こがらしのためにできた
道ばたのほこりっぽいふきだまりのような
あるいは川の流れがよどんで岸のくぼみに群れあつまる色あせた流木やごみくずのような
そんな街があるのをみなさんはごぞんじだろうか?
この物語は そんな街の一角からはじまる・・・・
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こんばんは。BRUCEです。
一体何度目になるのか数え切れませんが、今日からまた
原作・高森朝雄(梶原一騎) 漫画・ちばてつやの二人が生んだ大傑作
「あしたのジョー」(
講談社刊)を読み直してみようと思います。
オープニングにあるような、"泊り百二十円"とかって看板が見える、そんなドヤ街に一人の少年がやってくる所から始まるこの物語。
少年は公園に入り、地面に寝そべってる親父をふんずけました。
あきらかにアル中のその男は、片目が潰れているために海賊眼帯をしています。
海賊眼帯と聞けば
「キャプテンハーロック」みたいなカッコいい奴を想像するでしょうけど・・・
その親父は出っ歯で猫背の醜い奴で、拳キチ(もちろん"拳闘キチ○イ"の意)と呼ばれる元ボクサー・
丹下段平。
ケンカになり、ドヤの連中が集まってきますが、スキを見つけた少年の方が蹴り一発で段平を倒す。
その動きから天性のボクシングセンスを見出した丹下が、少年を一流のボクサーに仕立てるために『いっちょうおれと組まねえか』と持ちかける。
いや、センスを見出したなんて言えば聞こえはいいけど、ドヤの連中が笑いながら、
『また拳キチがはじまったぞ』とか、
『やっこさん わかい男ならだれでもボクサーになれると思ってやがる』なんて言ってる所を見ると、本当に特別な才能を見出したのかどうかも怪しいものですね。
少年は
『よっぱらい相手に話をするのはだいっきらいなんだ
ましてやでっかい屋敷だの 一旗あげるだのってゆめみたいな話きいてると へその奥がかゆくなってくるぜ』と一蹴。
さらに
太郎をリーダーとしたドヤ街のガキ共に襲われるも返り討ちにするし、泥棒した少女・
サチを引っ張ってきた鬼姫会のチンピラもぶちのめす。
そして『むむむっ 何者だ きさま!』の問いかけに、殴りつけながら
『ジョー・・・ 矢吹丈だ』と初めて名乗る、その少年こそが主人公・
ジョーでした。
(後のジョーの姿を知ってる人は、まだあの"ジョー髪(ヘア)"も短く、かわいい顔をしてる事に驚くでしょう。)
ますますジョーの力に惚れ込んだ段平は、あきらめずにつきまとい、ボクシングをやるよう説得。
仕返しにきた鬼姫会のチンピラ集団をも、ジョーは一人で倒しまくるのですが、チンピラ達が刃物を抜いた時点で、段平がジョーを殴り倒し、その体に覆いかぶさってジョーを守る・・・
それから鑑別所に入れられ、段平の話を聞かされます。
彼自身は日本タイトル戦の直前で片目を失明して引退したのですが、選手を育てる道を選んでからも徹底してついてなかったのだそうで。
借金を重ねて選手を育てても、選手はタレント気どりでカッコいい方へと去っていくような腑抜けばかりで、
『餓えきったわかい野獣でなければ四角いジャングル・・・つまりリングで成功することはできないっ
勝たなけりゃ・・・相手をたおさなけりゃ あすのめしにありつけん
そこまでおいつめられなければ四角いジャングルの弱肉強食にはたえられんのだ!』と、一席ぶってます。
それから段平は負け犬にふさわしいと言う、ドヤ街にやってきたんですね。
それからジョーは、段平の元でボクシングを習い始めるのですが・・・
そんな一筋縄で行く奴ではありません。
血を売って焼酎を呑むような生活だった段平が、ジョーにボクシングを教えるために徹夜で働いたりしてるというのに、ジョーはそれを定収入を得るためのたんなる手段などと言い、練習してるふりだけだったのです。
一度ケンカしたドヤ街のガキ共を子分にして、遊んで暮らしてますよ。
しかしもう一つ、犯罪行為も平気でしながらも、
"ゆめの大計画"があると言います。
廃墟になったビルに子分達を引き込んで語るその"ゆめ"とは…
でっかい遊園地を作るだとか、総合病院、養老院、保育園、アパート、大マーケット、工場をぶったてるだとか正に"ゆめ"のような事です。
この話は後々にも全く出てこないし、どれだけ本気だったのか分かりませんが、そのために新聞まで使った詐欺行為をやり、ついに捕まりました。
その時に数多くの罪状が読み上げられるのですが、特筆すべきは、ここで
矢吹丈 十五さいと、年齢が明かされてる事でしょうか。
この後はストーリーが進行しても、はっきりした歳は出なくなりますから。
ジョーは捨て子であり、孤児院に預けられても脱走しては次の町にと、移り住んでいたようですね。
警察署で暴れまくって脱走したジョーは、子分達と共に例の廃墟ビルに立てこもりますが、怒った段平によってぶちのめされ、再び法の手へ引き渡されました。
それから面会も差し入れもできないジョーの元へ、段平の執念は一枚の葉書をジョーに送ります。
段平の名を見てその葉書をすぐさま粉々に破ったジョーでしたが、独房生活による死にそうなくらいの退屈さから、パズルのように破いた葉書を組み合わせます。
そしてついに解読できた葉書の内容は…こうです。
あしたのために(その一)
=ジャブ=
攻撃の突破口をひらくため
あるいは敵の出足を
とめるため
左パンチを
こきざみに打つこと
このさい ひじを
左わきの下から
はなさぬ心がまえで
やや内角をねらい
えぐりこむように打つべし
せいかくなジャブ三発につづく
右パンチは その威力を
三倍に増すものなり・・・でした。
つまり手の届かぬ所にいるジョーに、段平はボクシング技術の通信教育をしようと企んだわけです。
すぐにまた蹴散らかしたジョーでしたが、ものは試しでやってみると、生まれながらに殺人パンチを持つジョーでさえ初めて聞く、風を切る音が聞こえた!それから反復練習を繰り返す。
『おれは生まれてこのかた学校ってものに全然かよったことがなかった
だから人にものをおしえてもらって
いままでできなかったことができるようになるなんて経験ははじめてさ』と言ってるのですが…そう、小学校もろくに出てないジョーが字を読めるのは不思議です。
漢字も入ったその葉書で、しかも一読しただけなのにちゃんと理解してる所を見ると、ジョーのIQはどれだけいいのでしょうね。
それからジョーの性格や心理を、連想ゲームみたいのものから心理学の先生に診てもらいます。
赤→血
両親→植木等
愛→いねむり
親切→拳キチ いや・・・めっかちとでもいっておこうかなんて答えて、結果は
『矢吹丈・・・この少年の性格は残忍で非情で利己的で・・・・
まるでかわききったさばくだ!
草一本生えてないっ』との診断です!!
独房から雑居房に移動させられ、まずは
梶原漫画の定番、
ネジリンボウと
パラシュート部隊というリンチをくらいますが、その房の全員をやっつけます。
そこのボス・
西寛一は可哀想な事に、段平にならったジャブの実験台として、
打つべし!
打つべし!
打つべし!
打つべし!
打つべし!
打つべし!・・・との気合と共に、殴られまくりですよ。
この西は最後まで登場する重要キャラなのですが…
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はい、ここまでで全20巻に及ぶ
「あしたのジョー」の1巻がやっと終了です。
その1巻の画像を見てください。
葉っぱをくわえてる人物。これがジョーではありませんよ。
まだ登場してもいないのに主人公のジョーより大きく載ってる、
力石徹です。
しかし、いくら超重要な名作漫画とはいえ、丁寧にやりすぎました。
こんなに細かく書いてては時間がかかりすぎますね。
まぁそこらへんも考えながら進めていきます。次回をお楽しみに!
- 2006/07/17(月) 18:39:35|
- 梶原一騎
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私のこのブログの名前を言ってみてください。
そう、
名作漫画ブルースです。
ご一緒に〜、
名作漫画ブルース!!
はい。今日言いたいのはですね、"名作漫画"と冠したブログを書き、しかも私は
梶原一騎マニアだということもカミングアウトしている以上、
「あしたのジョー」これは避けては通れない。
でも、これほど漫画史上最大の大傑作としての評価をされ続け、金字塔扱いの作品になりますと、今更私が紹介する意味があるのかとも思います。
もう何十年にも渡って、凄い人達に読まれ、研究され尽くしてるし。
それでも今回やろうと思ったきっかけは、周りの若い世代と話してる時にありました。
みんな意外にも、かなりの漫画好きじゃないとこれを読んでないのですよ。
『名前はもちろん知ってるし、名作だと聞いている』
とは言うのですが、それなら何故読まないか!いかんよそれは!
もちろん私が生まれた時には既に連載終了してるわけで、私だって後追いで単行本を探した口なのですし、今や完全復刻版やら、文庫、愛蔵版、各種がそこら中に置いてあって、興味を持てば明日にも読める作品なのですから。
だから読みましょう!
もし貴方がまだ20歳だとしたら、これを読めば30歳や40歳年上の人とも漫画の話ができるかも!!
いくら大人に名作だって言われてても、例えば純文学作品が面白いと思えないのは分かります。
活字に慣れてない世代に、いくら
太宰が
三島が
ヘミングウェイが
ドストエフスキーがって言っても、確かにきついでしょう。
でも
「あしたのジョー」は、文学や詩なんて分からない貴方にだって(別にバカにしてないですよ)、掛け値無しに面白い・・・はず。
私なんて考えるだけでワクワクします。
文学と違って、むしろ勉強のできない人達にこそ熱狂的に読まれるあたりも、漫画の良さ、
梶原一騎の良さですよね。
そんなわけで、今回から「あしたのジョー」です。このブログでは、未読の方や10数年前とかに読んだきり、というような方へ向けて丁寧に紹介していく予定です。
この偉大な作品は、
週刊少年マガジン(
講談社刊)にて、1968年1月1日号から1973年5月13日号にかけて連載されました。
おっと、この作品の原作者名には
高森朝雄と表記されてますが、もちろんこの人は
梶原一騎その人。
同時期に同誌で
「巨人の星」を連載していたため(当時のマガジンはこの伝説の二作の続きを一気に読めた!)、ペンネームを変えて始めたのですね。
それが功を奏しました。
連載中頃まで一般読者には、
梶原一騎=
高森朝雄というのは知らされず、スポ根漫画だという先入観を持たれなかったために真面目に評価されたと言えるでしょう。
ちなみに梶原の本名は
高森朝樹。
高森朝雄というは、ここから一字変えただけですね。
他に特筆すべきは、
梶原先生はボクシングこそが
"終生愛し続けた唯一無二のスポーツ"であり、それ以外にも空手、柔道、プロレス等は好んで題材に使われていましたが、それは作家的関心で書いていたのです。
作画担当は
ちばてつや先生。
1939年生まれの
ちば先生は、1956年に貸本漫画界にデビューしてます。
その時の作品名がまた素敵で、
「復讐のせむし男」です。
今回紹介する
「あしたのジョー」を描いた事で、もちろん私の中では神扱い。
なのに、他の漫画はスポーツ物が多いからか、どうも普通以上には興味を持てず、それほど読んでません。
ただ、
「餓鬼」(
講談社刊)は大好きでした。
この作品の主人公は、善良な少年だったのに金を巡って殺されかけ、記憶喪失の乞食に身を落とす…ジョー以上に暗く荒んだ世界が描かれていましたよ!
他には
「ちかいの魔球」「紫電改のタカ」「ハリスの旋風」「おれは鉄兵」「のたり松太郎」「あした天気になあれ」等と、有名作も多い大御所です。
その
梶原先生と
ちば先生、二人の天才が共に生涯で一番乗りのいい時期に描かれたこの奇跡の作品は、5年強に渡って連載され、途中で絵柄も変わってますね。
後半になると内容も悲哀を持ち、
ちば先生には珍しい劇画タッチが見られます。
体も成長している設定なので、同じバンタム級に残るために、背が高くなると同時にほっそりしていき、あの特徴的な前髪も長くなりますよ。
あと
「あしたのジョー」その作品と共に、かなっっっらず!!
そう、必ず語られるのがこれ↓です。
1970年3月に登場人物の力石徹が死んだ時、
寺山修司によって実際に葬儀が行われた事。
同年同月の"よど号ハイジャック事件"で、ハイジャック犯が「われわれは明日のジョーである」と声明を残した事。
(これは原文のままですが、あしたが漢字になってますよ!?)
ましてや私は、
梶原だとかジョーだとかって名前が出てる本はほとんど買ってるのですから、もうこのエピソードについては何百回読んだり聞いたりした事か!
それだけ社会現象になり、影響を与えてたという事でしょうか。
梶原先生の原作という物は、セリフの一文字も変えずに漫画にしなくてはならなかったと、以前書いた記憶があります。
しかし、この
「あしたのジョー」だけが唯一の例外で、
梶原先生公認で
ちば先生のアイデアもどんどん取り入れられました。
当時の担当編集者が、殴られるのも覚悟の上で(当時の
梶原担当は何度も殴られて当たり前だった)、梶原先生にその相談をした所、
『手塚治虫とちばてつやは別格だ、いいでしょう』と快諾されたらしいですよ。
何故
手塚と
ちば?どういう基準の二人なんだ!?
との疑問はわきますが、とにかく
梶原先生もそれだけ
ちばてつや先生を評価してたと。
しかし、いくら許可が下りたからといって、
ちば先生は連載第一回目から
梶原先生の原作を、何と丸々ボツにし、キャラも導入もオリジナルな物で作ってしまった!
その後も二回目、三回目…まだ
梶原原作が使われない!!
梶原先生は激怒し、連載を止めるとまで言い出す騒ぎになったものの、
ちば先生自身は
梶原原作を他の誰より大事にしてて、それを効果的に盛り上げるための布石を打っているのだとか何とか言って説得し、梶原先生も納得させしました。
編集者らも交えて大の大人達が、しかもこの天才二人が、何度も何度も多忙な時間の合間を縫っては会って練り上げたこの作品を、読んでいきましょう。
今回は前置きとしての説明で終わりましたが、次回からは、ストーリー紹介を中心に進めて行きますね。
- 2006/07/13(木) 21:47:27|
- 梶原一騎
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森由岐子・・・
知ってる方は、この名前を見ただけで失笑したかもしれませんね。
森先生は、かなり昔からホラ−漫画を専門に描いていたし、描くスピードが速いらしいので作品数も多いのですが・・・とにかく下手くそです。
画力も、漫画の構成も。、もちろんストーリーだってひどすぎる。
ではいい所無しなのかと言えば、それが全く逆で、いい所だらけ。
訳分からなくなってきましたか?
それでも画力等を重要視しない少女漫画読者を獲得していたのでしょう。
昔はひばり書房や立風書房等の、"黒い背表紙"のホラー漫画を扱う本屋では一番多く作品を置いてたし、それなりに売れてたように思います。
だからこそ現在、古本屋で購入するのも難易度は低いですし。
『少女漫画読者を獲得していた』と書きましたが、花をしょってる絵がいくつもあったり、女性のスタイルが10頭身以上あったり、まぁ昔の少女漫画要素が多くて、狙いは少女漫画のホラー版だったのかと、容易に想像できるわけです。
私は妹がいるので、小さい頃から読んでました。
当時は
日野日出志先生とかは怖くてとても読めなかったものですが、
森由岐子先生は安心して読めましたね〜、ホラ−漫画なのに怖くないから(笑)
子供心にも、違和感があったくらいですよ。『漫画って本当にこんなのでいいの?』と。
それが10年20年と寝かせた現在読むと、名作に化けている事に驚かされます!
名作・・・もちろん別の意味で。
注意して読むと、もう随所に突っ込み所満載で、笑いが絶えないのです。
つまり作者の思惑と違う所で楽しんでるわけですが、ひどい漫画もここまでくると芸術なんですね。
昔真面目に描かれた漫画を現在笑うという、こういう読まれ方は近年様々な所でされてるし、全く目新しくなくなりましたが、私のブログでもこれからは次々と
馬鹿漫画、
駄目漫画、
クソ漫画も"名作指定"して行こうかと思います。
昔から
森由岐子先生の作品で、
ひばり書房マニアの間で有名な作品がありました。
「魔怪わらべの唄」です。
おっと、
ひばり書房は再発時にタイトルを変えて、また新作として出版し、読者をだまして売る(笑)事で有名なのですが、これは再発時に
「魔怪わらべ 恐怖の家」になってます。
これは
唐沢俊一と、その嫁さん・
ソルボンヌK子とが、うるさい突っ込みつきで
「森由岐子の世界」として他の作品と共に復刻したので、一般的にも知られてますね。
いや、偉そうに「ますね」って言われても、結局はこんなの買うのも極一部のマニアですか(笑)
これは冒頭、宗教(真光の会)の訪問勧誘員の女が、訪問勧誘の最中に急な尿意がもよおし、その平凡な家(鈴木家)に無理矢理上がり込んでトイレを探すが・・・その家にはトイレがなく、恐怖に震えた末に野ションする(笑)
それからの展開もとんでもなすぎて完璧なのですが、それは本を探して読んでもらうとしましょう。
私も今回、どれか一冊紹介するとしますよ。
まぁ迷うまでもなく・・・というよりどれでもいいので、手元にあったこれ、
「幽霊学校の少女A」(
立風書房刊)にします。
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まず冒頭、由香という少女が学校でのいじめを苦に自殺するのですが、姉のミチが由香の日記から、いじめの事実を知ります。
その日記によると・・・
『Aの仲間数人から髪の毛を一本一本抜かれるリンチを受ける』
『今日もAに呼び出される。地面に座らされ 大きな石をのせられる
足から血が出てくる……Aとその仲間は泣いている私を笑いながら見ている……』
等の可哀想な体験をしてます。
ミチはいじめた奴、日記のAという人物を探し始めるのですが、自分の日記にAというイニシャルだけしか手がかりを残さない所が、推理モノっぽいですね。
しかも容疑者のイニシャルが誰も都合よくAなんですよ。
菅沼亜麗という、つっぱりグループのリーダーが当面の一番怪しい人物だったのですが、この不良娘の髪型が、いくらなんでもひどすぎ…。
そんなわけで一応探偵モノになってるのですが、それは森先生の作品。ひどくて、良いです。
初めに死んだ由香。そして実は犯人では無くて殺された亜麗も、幽霊になって出てきます。
普通ならこういうのは「実はこんなトリックで…」って話になりますよね?
それがこの漫画では、何もオチが・・・無い。
結局最初に最初のミチが調べた容疑者が全員犯人ではなく、今まで登場もしてなかったのに、死んだ亜麗の母親がAだったと、推理物の定石を破ってます。
これにも出来すぎな理由が付いてるのですが、気持ち悪い顔でニタっと笑って嫌がらせをしてたこの犯人も、後半でページ数が足りなくなったのか、あっさり、そして安っぽく改心します。
それから泣きながら息子と抱き合うページでは、バックがキラキラしたお花!!
そんで自らトラックに飛び込んで、犯人が死んだので事件も収束。
ハッピーエンド・・・
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ああやっぱりこんな風にストーリーだけ書いても面白さやバカさが伝わらないですね。
電話の音が「RRRR(ルルルル)…」ってなってるだとか、読めば読むほど突っ込み所だらけなのですが、多すぎていちいち書いてられません。
それにしても、これだけの作品数を描いていても全く上手くならず、しかもやたらとファンも多い女王・森由岐子先生は、現在レディースコミックを描いてると聞きました。
私はまだそっちは未読でして、機会があれば是非読んでみたいですね。
でも、まだ彼女の作品を読んでないという方は、まずは昔のホラー漫画から読みましょうね。
私の大のお勧めです(笑)
- 2006/07/11(火) 00:42:26|
- ホラー漫画
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「おとこ道」特集の最後である今回使う画像は、唯一連載時の最終回が読める、
道出版からの復刻版です。
1巻の帯より、
「"おとこ道"は"巨人の星"や"あしたのジョー"ほどマスコミ的には有名にならなかったが、もっとも梶原一騎らしい作品のひとつである」
そんな風に評してくれる編集者や友人知己が、かなり多い。という、
梶原一騎先生本人の書いた文が読めます。
そう、一巻のテンションをもう少し保てれば、まさに
「あしたのジョー」等とも並ぶだけの傑作になってたのかもしれない。
矢口高雄先生も、何も
「釣りキチ三平」まで待たずとも、このデビュー作にしてブレイクしていたのかもしれない。
だがしかし!
半年以上にも渡った抗議団とのやりとりや、結局出版社が謝罪した事で非を認める結果になり、作品のモチベーション、質にもトーンダウンを招いた。
それに文芸作品を意識し、"一人の男の成長を描く"といったテーマの作品は、
少年サンデーでやる少年漫画としては地味な印象だったのかもしれませんね。
残念ながらヒットには至らず、連載は終了しました。
ただし、マニアの間では今でも名を残してますし、これからも輝き続けるのでしょう。
さて、前回書いたあらすじの続き。
富士男が東京に行き、"香車の常"の命を狙う所でしたね。
-----------------------------------------------
一度無謀にもナイフで刺しに行った富士男は失敗し、次に警官の拳銃を奪います。
そして両親が揃ってるくせに、"平凡な生活を脱出したい"とかのチンケな理由で家出してるヤサグレ集団にからまれ、そいつらををぶちのめしますが、その時のセリフがこうです。
『わかるか、おまえら……
両親の顔も知らねえ子の気もちが!?
じいちゃんがいたと思ったら、それも赤の他人だった気もちが!?
ホレた……心底ホレた初恋の人が、ウウッ……親を殺したカタキの娘だと、しらされた気持ちが!?』そしてこいつらを舎弟にし、手を借りて堂々"香車の常"邸へ乗り込むのです。
しかし、待ち構えてた津川桂子、江波慎太郎の両教師によって阻止され、最後の復讐まで取り上げられる・・・
警察の手から逃げ、それも男の一分をかけて拳銃を盗まれた可哀想な警官に返すためだったというのに、その警官自身の騙まし討ちでボコボコにされ、牢屋の中で富士男は・・・
『も……もう、おれは信じねえ………
人間なんて…信じねえ!!』と、人間不信になってしまうのでした。
これを江波が連れてきたキリスト教の牧師・佐倉による話に救われるのですが、この後はグダグダと説教くさい漫画が続くので、もう紹介しなくていいかな。
私自身が眠いし…でも、もうちょっと。
おっ!!
でも鑑別所で富士男がくらってるのは、
「あしたのジョー」や他の
梶原漫画でおなじみ、
ネジリンボーと
パラシュート部隊のリンチではないですか!
ここでも出てきてましたね〜。
この後、富士男は佐倉牧師のひらいている"あすなろう塾"で引き取られ、剣道や農作業、勉強の毎日で精神訓練。
この塾に一人、
『剣道をヘンに神聖視などせんし、根性、名誉だのはムシズが走る!!』
『あすなろうとは、おれにいわせれば わるあがきや むだぼねおりの同義語!!』
などと言っちゃう冬川という男がいるのですが、まさに今までと逆の立場で、富士男が彼を説得したり助けたりしてます。
さらに面会に来た津川先生とマユミには、大人の態度で接してますし。
常識人として成長したという事なのでしょうが、これではキャラとしてつまらなくなってますね。
せっかくあの源造のおとこ、そしてヤクザの英才教育も受けてるのに…。
父の仇で、大悪党にのし上がった"香車の常"は組を解散して法の裁きに身をゆだねたって結論もあるのですが、そんなバカなって感じですよね。
ニヒルな冬川は富士男のおかげで初めて笑い、富士男自身もマユミを愛してる事に気付き、佐倉牧師と共に朝日を見る。
----------------------終わり----------------------
どうでしょうか。
こんなハッピーエンドなら
梶原原作である必要があるのでしょうか!?
打ち切り同然で連載を止めたからでしょうけど、後半はあまりにひどい。
念願の完全版出版によってを最後まで読んで、逆に読まなきゃ良かったと思う私の気持ちが分かりましたか?
それでもなお・・・・前半の面白さによってこの作品が名作指定である事、いろんな意味で問題作であった事には変わりがないですね。
最初の回で言ったように、個人的に大好きな作品であるし。
今回画像を上げた完全版の2巻に、
超傑作の梶原一騎伝である、
「夕やけを見ていた男」の著者・
斉藤貴男氏による巻末解説があります。
それによると、江波慎太郎先生のモデルは梶原の実父・高森龍夫であるという。
そして
『少年時代の数年間を教護院(感化院)で過ごした梶原が、その父親から受けたかったのであろう彼なりの理想の教育のあり方が、「おとこ道」には描かれていたのだった』とあります。
毘沙門源造ではなく、江波慎太郎こそが理想の父親像だった事で、世間一般の
梶原一騎像すらも変わってくるのではないでしょうか。
- 2006/07/10(月) 21:56:46|
- 梶原一騎
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梶原一騎原作&
矢口高雄作画による
「おとこ道」の続きです。
前回は富士男が、小学生ながらにストを起こして山にこもった所まででしたね。
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ストライキを起こした相馬富士男でしたが、マユミ以外の全員がズラかろうとします。
教師・江波慎太郎は説得しつつも、
「リルケ詩集」なんか読んだりしながら、落ち着いて見守る姿勢。
富士男も学びつつあった……
お祭りは永久ではない。つまり、カッとした激情の作用でヒロイック(英雄的)にふるまえる時間は、ごくみじかい、と。
翌日、警官達を引き連れてやってきた村会議員であるマユミの父らを、老ヤクザ・毘沙門源蔵は牽制する。
しかしマユミの父は、親心を利用して同情をひき、汚い手で富士男を騙まし討ちします。
オトナの裏切りにあって野獣の怒りを持った富士男は、逆にマユミの父を人質に取り、ついに江波センコーも富士男を破滅させないため、土下座しようとなるのですが・・・
その時!今まで味方をしてくれてた源蔵が止めに入ります。
『人質をとってワビをいれさせるのはきたねえっ、男のやるこっちゃねえ!!
ホリョは弱者よっ、弱きを利用して強きとケンカしちゃなんねえ。
弱きをたすけ強きをくじくと、こういけい!!』それに対し、きたねえまねをしたのは相手が先とわめく富士男に、
『相手がきたねえからこっちもきたなくいく……
こいつばかりは男が口にしちゃいけねえセリフよ、ゆるせねえぇ!!』と殴りつけ、ストは終結。
その後、イライラとしながら日常を過ごす富士男に、源蔵、江波につぐ、"第三の宿命的めぐりあい"があります。
中学生にケンカを売ってぶちのめした後、女教師・津川佳子なのですが、その場で富士男を投げ飛ばすという、合気道の使い手でした。
こうなったらやられた中学生達が黙ってなかったのですが、それを諭す津川のセリフが、
『男の子はね、こうして弱い立場になった相手を、えたりとばかりやっつけるものではないわ。
日露戦争の水師営の会見で、降伏してきた敵の将軍ステッセルにいたわりの握手を求めた、乃木大将の武士道をみならいなさい。
太平洋戦争のように、戦勝国が敗戦国の責任者を絞首刑にしたりするようになってから、世界中の男がダラクしたのよ。』です。なるほど〜、
梶原先生らしい名言を、何と女性に語らせてますね。
それから津川に初恋してしまった富士男ですが、何とこの津川は、富士男の父・相馬銀次郎殺しを命じた張本人である、"香車の常"の娘だった・・・
ちょっと出来すぎてますが、まだその事実を知らない富士男でした。
もちろん源造は、"香車の常"が銀次郎の仇だと知っています。
しかしその事実を富士男に語る事はせず、ある策を弄するのです。
女とのホレたハレたは、男を弱くホネヌキにする以外の何物でもない!!そんな思想を持つ源造は、富士男に対する"おとこ教育"のために、初恋の相手・津川に向かってドレイのようにつかえさせる事を要求します。
秘密を守る事と引き換えに。
それが、女ごとき取るに足らないとくだらん色恋ざたに免疫となり、ひたすら男の世界、男の道に命を燃やしきれる男に成長させるためなのです。
それを一人よがりな狂人の思想と非難しながらも、条件をのむしかなくて従う津川。
しかしその秘密も、嫉妬したマユミがばらしてしまい、自殺を思った富士男は死ぬ前にやる事があると、単身東京に乗り込み、"香車の常"の命を狙う・・・
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ここらへんから、かっこよく男の道を説いてた源造もおかしくなってきてますし、話作りもいかにも荒さが感じられます。
とんでもない悪童だった主人公・相馬富士男も普通の奴に成り下がってきてます。
とにかく、この漫画は次回で終わりますので、もう一回だけお付き合いください。
- 2006/07/08(土) 17:14:42|
- 梶原一騎
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『男の生きる道という劇画作家としての私にとって唯一無二のテーマを、なるべくオーバー・アクションを排し、地道に追究してみたつもりだ。』そのように原作の
梶原一騎先生自身が語るこの
「おとこ道」、作画は
矢口高雄先生。
痛快で面白い事は間違いない。さらに男気に酔い、その美学を学べます。
それではいよいよ読んでみましょう。
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まず冒頭。
現代の(と言ってもこの時1970年ですが)若者達が、勝手な自己主張する様をナレーション付きで描き、続いて旧軍隊の修羅場では無理だったと語る。
続いて
野坂昭如、
青島幸男、
アンドレ・マルローといった人の言葉を載せ、ドキュメンタリー風なリアリズムを演出するのは、梶原先生得意の手法ですね。
その使われた言葉は、
『いかなる英雄も、ちょくせつ肉体にくわえられる苦痛には勝てない』だったりするのですが・・・。
例外はなかったか?として、ここにある男が登場します。
彼の名は
相馬銀次郎。
大東亜戦争の最中、新兵として入隊した銀次郎は、あまりに酷い古参兵のリンチを受ける、見知らぬインテリさんのために身代わりを買って出ます。
それからというもの、古参兵全員から受ける執拗な嫌がらせ、リンチ。
耐え続けた銀次郎も、ついにヒステリー女なみの上官をぶっ飛ばして、キ○タマがあるかチェックした。
その事件が軍法会議で懲役十年となり、監獄でも拷問を受け続ける・・・
しかし銀次郎は、他の百人が百人とも発狂してきたその拷問に耐え、そして終戦を迎える。
鬼畜米英によって焼き尽くされた大地の上で、しかも生き残った人間は陵辱される現状を目の当たりにする銀次郎。
国敗れて山河あり!!
国敗れて民族の魂あり!!旧日本軍から地獄の弾圧を受けた銀次郎が、今度はその旧日本軍を打ち負かした米軍、そして日本の敗戦によってわが世の春とばかりに猛威をふるいはじめた不良外人(アジア人)を敵として定めます。
その不良外人の汚い手で言いがかりによって生き恥をかかされそうになったある女は、舌を噛み切って自ら死のうとするのですが、それを銀次郎が
『ブタどもをよせつけぬ誇りを知る女だ』
として、助けます。
そんな事をしては今度は自分の命が危ない所でしたが、そこに博徒一家の親分・
毘沙門源造が割って入り、不良外人達を撃退しました。
この源造が銀次郎に惚れて親分と崇め、相馬組の結成ですよ。
スローガンは
『男たるもの 肉体の死をおそれるなかれ 魂の死をこそ おそれよ』で、相馬銀次郎その人を表現したような、痺れる言葉ですね。
それから相馬組は、アメリカの尻馬に乗って戦勝国きどりの悪質な不良外人達を相手どり、まさに命をかけて戦います。
数で劣る相馬組だったが、特攻くずれ達の助太刀もあり、ついには奴らを完全追放!
そして銀次郎は、あの時舌をかんで死を選ぼうとした、誇り高き女・
雪枝と結婚。
昭和23年5月5日、二人の間に男の子が生まれるのですが、その同じ日に、以前破門になった元子分・
香車の常が差し向けた殺し屋の手により銀次郎が殺され、産褥で衰弱しきった身体に受けたショックが元で、雪枝も死にます(泣)。
その隣で、血しぶきを浴びながらも無心にほほえむ生命こそが、この
「おとこ道」の主人公。
それから相馬組は解散し、生まれたばかりの男の子は毘紗門源造と共に、彼の故郷である山梨県は裏富士のふもとの寒村で育てられるのです。
そこから見える富士山にあやかり、
富士男という名を付けられて。
-------
ここまででプロローグが終わり、いよいよ相馬富士男を描く
"悪童編"が開始します。
いきなり小学生になっている富士男は、暴力を振るったガキ共の親達が文句を言いに乗り込んできた所、カマで腹を切ろうとします。
そこで源造いわく、
『命なんぞ 生き死になんぞ 魂の恥にくらべりゃノミをひねりつぶすほどにも思わん男の血がその子には流れとるて』ですよ。カッコいいですな〜。
そしてこの源造の、徹底したヤクザ養成教育が面白い!
例えば、ケンカで負けて帰ったと富士男は、『だってよ……相手は中学生で八人も……』と言い訳しますが、
『だってしかしは男の世界にゃねえ!!』と鍬でぶん殴り、縛り付けて逆さにして木に吊るすとかいった具合ですから(笑)
そんな悪童に成長した富士男の学校に、新任教師・
江波慎太郎がやってきます。
梶原原作が決してヤクザを美化しているわけでは無いと分かる事に、この江波が徹底的にヤクザの勇気の無さなんかを上手く言いあてるのですね。
源造は『そいつはインテリじゃな』と敵視し、富士男にも
『あのおためごかしのインテリめにさからうこった富士男!! やつにまるめこまれたがさいご おめえのキン○マはとろけて男でなくなっちまうと思え!!』
などと命ずるわけです。
そして江波に反発する富士男は、クラスの男全員と、彼を慕うマユミを引き連れて授業中に堂々とクラスを出て、さらに村はずれの山寺にこもります。
そして『江波のセンコーに土下座してあやまらせるか クビにするか ふたつにひとつー こいつが条件!!』と要求をする。つまりストライキですね。
やはり出てきた源造は、あとは男のケンカは口先ではなく、意地と度胸と命でしろと、後押しする。
富士男は近づいたら寺と雑木林に火をつけると脅し、
『男がいったん やるといったらな……』
のセリフ。
---------------------------
ウオオーッッ!!
ここで最初の単行本である
秋田書店版の1巻は終わりなのです。
前回言ったとおり、、その後すぐに絶版。2巻以降は発行すらされなかった。
しかし激レアだったこの1巻を昔にゲットしていた私は、物凄く熱い名作だと評価しながらも、この続きを何年も読めず、ついに
道出版より完全版が復刻されるという話を聞いた時は予約して発売日に走ったのですが・・・
思い出の作品は自分の想像の中で留めておいた方がいい。
そんな事もあると学びました(笑)
そんなわけで、ついに読めたこの続きについては、また次回。
今回の画像は、↑で言った激レア秋田書店版と近年の道出版版の、その間に発行された
サンケイコミックス版。
これは'73年に出版され、一応全2巻で出たのですが、やはり未完でした。
- 2006/07/06(木) 22:02:48|
- 梶原一騎
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またやってきました、今回も
梶原一騎原作漫画で、いよいよ不幸な傑作
「おとこ道」です。
今まで梶原漫画の紹介は
「男の星座」→
「男の条件」ときたので、
"男"つながりですよ!
こんどは
"おとこ"と、平仮名表記ですが。
そして、私がこのブログのトップ画像に使い、
第一回目でも手に持ってるのが、この本です。
今回も使ったこの画像が、一番最初、1971年に単行本化された、
秋田書店刊行の物です。
レア本自慢もあって写真に使いましたが、内容でも
私が好きな梶原作品ランキングなんか作ったら、絶対上位に入ります。
作画担当は
矢口高雄先生。
1939年秋田生まれの
矢口は、農家に生まれ、秋田で銀行員をしていた所で心機一転、30歳にして上京して漫画家になり、後に
「釣りキチ三平」で大ヒットを飛ばしましたね。
その
矢口のメジャー誌デビュー作がこれ、
「おとこ道」です。
その前に
ガロで投稿作品を載せたりはしていたのですが、このデビュー話を貰った時には、
すでに漫画界では横暴な人物として有名になりつつあった梶原先生と組むのは不安があり、世話になってた
ガロの
長井勝一氏に相談の手紙を送っています。
そしてその時の
長井氏の説得が、
『梶原一騎さんがどんなに悪名高いか知らないが、いいかい矢口君、悪名も無名に勝るんだ。田舎に妻子を残して単身勝負に来ている君が、その存在を世の中にアピールするには、これ以上のチャンスはないじゃないか』です。
男は男を知る。さっき資料を漁ってこの
長井氏の説得を探したのですが、書き写しながら泣けてきました。
本名
高橋高雄である
矢口高雄先生がこのペンネームも梶原に貰い、そして初めて使用したのです。
ペンネームの由来は、"矢口の渡"に住んでいたから。
うん、さすがに
矢口先生はデビュー作にして、この時から上手い!
この後の作品でこの二人が組む事はついに無かったのですが、晩年の、ますます汚名で埋もれた
梶原先生にも、
矢口先生は敬意を持ち続けたのだそうです。
失脚後にハワイで一人でぼんやりしてる
梶原先生を見かけた
矢口先生は駆け寄って挨拶をした事があるそうなのですが、それが凄く嬉しかったと
梶原先生は後に語っていたようです。
夜は取り巻きを引き連れても、そこまで孤独だった梶原先生の心境も含めて、泣かせるなぁ。
そんな二人が描いた
「おとこ道」は、
梶原版
「次郎物語」(
下村湖人著による児童文学の超傑作)として、文学を意識しながらも
梶原節満載の、かなり気合の入った力作だったわけであります。
今回は作品を読む前に、私が聞き及んだ
「おとこ道」の背景から語ってみましょう。
何故ならこれは、訳あって打ち切られたいわく付きの作品であり、嫌な話ですけどそこに触れない事には進められないのです。
昭和45年(
梶原漫画は西暦ではなく、昭和表記と決まっているのです)に
少年サンデーで連載を始めたこの作品。
まず壮大な物語(と、なる予定だった)の導入部として、主人公の父親時代から始まります。
この父親がまさに
"おとこ"であり、何度読んでもしびれるのですが、それはさておき、作品の舞台が戦後の闇市であるため、闇市で無法の限りを尽くす隣国の人々の姿が描かれています。
これにすぐさま「在日外国人の人権を守る会」と「日本朝鮮研究所」が激しく抗議を行いました。
現在でも全く状況は変わっていないのですが、大日本帝国軍が大陸で何をしたとか、加害者としての方面だとある事無い事全て事実とされ(証拠が求められる事すら少ない)ますよね。反論も許されませんし。
しかし戦後、かっては被害者であった他国の人達が、日本の敗戦で手のひら返して暴れまくり、実際に『強盗や強姦を繰り返した』だとか『軍事物資や配給物資を強奪し、不法占拠した土地で開いた闇市で高値で売って暴利を貪った』という証言があっても、それは作り物の漫画ですら全く描いてはいけないのだそうです。
あのお国柄の怖さは、恐らくは未来永劫に自分達に危害を加えたとされる相手国の子孫を犯罪者扱いし、糾弾する姿勢を見てれば分かります。
まぁ敗戦ってそういう事だと今は納得するとして、少なくともここではどうでもいい事だったのですが、ただ
梶原先生の歴史的名作漫画の誕生を邪魔された事には怒りを覚えますね。
とにかく面白くて興奮モノだった作品の質が、その抗議の後は目に見えてトーンダウンしましたから。
その抗議団体は当時、何と
梶原先生の自宅まで押しかけました。
しかしそんな事をするくせに、いやするからか、全てが浅い。
在日朝鮮人である著名人・
力道山や
大山倍達を敬愛し、親交も深かった(後者とは義兄弟)、そんな
梶原先生が差別の意図を持ってたわけはないし、自宅に飾ってあった極真空手の名誉初段の免状を見て、
大山との親交を知ってから、ようやく差別ではなかったと納得して帰ったそうです。
・・・そんな事も知らずに、もちろんその後の物語の流れがどうなるかもどうでもよく、字面だけ見て圧力をかけてきてたわけですよね。
はぁ、どうせ
梶原先生が
大山を有名人にしたと言う事実も知らなかったのでしょうね。
問題はもう一つ。
暴れる隣国の人々の姿もそうですが、表記の問題もありました。
少年サンデー掲載時は、上記の無法者達を『第三国人』となっていて、それがヤバかった。
そもそも『第三国人』という呼称は、米軍占領下の日本で
在日朝鮮人達が自らこれまでの日本国籍を捨て、敗戦国の人間ではない、『第三国人』であると称した、という説が有力だと聞いた事がありますが、事の真偽はともかくとして、まぁ差別されたと泣く人がいるのなら、引いてもいいでしょう。
そんな死語をわざわざ使った著者や編集者に配慮が欠けていたのは事実ですし。
結局出版社が謝罪する事になり、その後出版された
「おとこ道」の単行本ではその表現が若干修正されて『K国人』となりました(笑)
やっぱり再度の抗議を受けて絶版。
それによって
梶原一騎原作漫画の中でも有名なレア漫画となってしまった。
しかも作画が
矢口高雄先生では、欲しがるファンは多いですからね。
時は経ち、平成13年に、未発表原稿を含む完全復刻版が
道出版より上梓されました。
レアなオリジナル版を持っていた私にとって復刻は悲しい事でしたが、完全版という事でしたので、これもすぐさま買いに走りました。
ここでは例の箇所の表記は『不良外人』。
三度目の正直で、今度は絶版にならなかったようですね。
セリフの変えられた部分だけ印刷が若干薄いのは、せめてもの反抗でしょうか?
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今夜はこんな説明ばかりで終わってしまいましたが、次回からはこの素晴らしい
漫画の中身を楽しみましょう。
- 2006/07/03(月) 22:53:13|
- 梶原一騎
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はいこんばんは。
手塚治虫先生の作品
「人間ども集まれ!」の続きです。
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その後、次々と量産される無性人間達。
今はゲリラ女・リラを妻とし、軍医の黒主は実験の貴重なサンプルとして太平を扱い、その手下のようにリーチ大尉は浮気相手を演じてます。
卵子提供者はそれぞれ違うのですが、全員同じ顔で生まれてますよ。
男親の遺伝因子の力が強いので、母親の方の因子はほとんど消えてしまうからとの事だけど、それにしても太平に全く似てませんね。
それでも我が子だと思ってる太平に対して、黒主らはその子たちが単なる「商品」だとわりきらせるべく働きかける。
その子ども達は、主人に絶対服従な上にいくらでも働くし、先天的に団体行動を取る性質がりまして、ちょうど働きバチが女王ために働くように、主人に服従する事で満足するのです。
さらに深層意識によってその行動は統制を受けるので、統一行動する性質もある。
おっと忘れてた。
記者の
木座神明という人物がいます。
こいつは黒主と組んでいろいろ悪企みをするのですが、"太平天国"という、無性人間を量産するための独立国を作る計画を作った時に、太平とリラは未来を連れて逃げ出します。
そして、明が雇った殺し屋によってリラが殺され、未来は仇を取るように太平に命令されてから逃げ、太平は"太平天国"に連行されて、親子は離れ離れになってしまいます。
今回のヒトラーを思わせる画像を見れば、、太平はその自分の名を冠した天国で独裁者になってるかと思うかもしれませんが、まさに名ばかりの総統に就任し、自由も無く精子を提供し続けるだけですよ。
その後、巷に無性人間は全く珍しくなくなったのですが、彼らは法律上人間とは見なされず、つまり人間が殺しても罪にはならないので、いいように使われ、殺され、最後には無性人間4万人による戦争ショー、あたかも陸軍大演習のような物を見世物にと、日本政府公認で開催し、金儲けを企む黒主と明。
ここに、主人に絶対服従のはずの無性人間達の、もっと奥に潜む感情を見抜いてなかった明達のミスがありました。
ついに無性人間達は、自分たちを奴隷化する有性人間達に反乱を起こすのです!
無性人間第一号の未来をリーダーに、無性人間の特性を生かした見事な統一行動でクーデター成功。
それだけではなく、これを火つけとして彼らのひどい憎しみが世界中で爆発。
全ての無性人間達が反乱を起こしました。
それから各地で無性人間の革命政府が誕生。
今度は普通の人間が奴隷になる番です。
無性人間には珍しい見世物としてセックスをさせられたりと、結局力を持つと暴君になるのはどっちも同じ…
さらには世界中の人間に去勢手術をさせます。
それに逆らって逃げ続けた、太平を含める人間達に向かって上空を飛ぶヘリから呼びかける言葉が、
『
人間ども集まれ! 人間ども集まれ! この草原へにげこんだ人間どもに告ぐ!
すみやかに去勢手術をうけよ! 手術はこわいものではない! 拒否する者はただちに射殺される!』
と、呼びかける。
クライマックスでようやくタイトルが叫ばれたわけです。
黒主らは処刑されますが、太平だけは未来や他の子供達に助けられて生き残り、去勢もまぬがれました。
それから助けてくれた未来に向かって言う、ラストのセリフが
『おまえたちはセックスを嫉妬してるんだ。自分たちに味わえないものをひがんでンだ』
で、ショックを受けた未来が一人、浜辺で立ち、この漫画は終わる。
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いやー、絶望的なラストですね。
何しろ太平は、残りの人生を女性がいなくなった世界で生きて行かなくてはならないのですから。
しかし!!
ここに
「人間ども集まれ!」の不思議があります。
本当はこの続きが連載時にはあって、単行本化の際に結末部分がカットされいるのです。
結末部分をカットするなんて…
いや、カットされただけじゃなくて大幅に書き換えられ、正反対と言っていいラストになっているのです!
その理由については、
手塚先生本人が、
『このようなつきはなすような結末にしたのは、
カレル・チャペックの
「山椒魚戦争」のラストに感銘をうけた影響があると思っています。』
と語っているのですが、世界一忙しい漫画家だった
手塚先生が単行本化の際に頻繁に原稿を描き直す事も繰り返していたのですから、完璧主義の精神に頭が下がります。
雑誌版でのラストにも触れておくと、有性人間が無性人間にも性器を付けて有性にする手術を施し、元無性人間にもセックスの喜びに目覚めさせて、両種族が和解するラストがあるのですよ。
個人的には結局全員有性人間になるってのは納得いかないから、単行本版でカットしたのは正しいと思えるのですが。
面白いストーリーで隠しながら、人間のする戦争や権力構造、それに別人種に対する残酷さなどを描いてるあたり、まさに今回は絵まで影響を受けた
"大人向け漫画"の風刺部分ですね。
さらに男女の違い、全く同じ部分、性の区別の意味の無さ…そんな私には難しすぎる事も、いやこっちをこそメインで訴えたかったのかもしれません。
最後に紹介したいのが、
実業之日本社から
「人間ども集まれ!」の
"完全版"として1999年に出版されたでかい本。
こちらには2つの結末部分が同時収録されています。
比較読みしたい方には、今回私が紹介したオリジナル版よりも、こちらが良いでしょう。
私は基本的に復刻は買わない主義なのでこちらでは持ってませんが、でも有名作家や評論家達による徹底解説も収録されているので、そこは読んでみたいかな。
- 2006/07/02(日) 23:36:34|
- 手塚治虫
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今回は
手塚治虫先生が初めて大人向けに描いた長編マンガ
「人間ども集まれ!」(
実業之日本社刊、ホリデー新書)です。
大人向け漫画・・・現在ではもちろん多種多様な物が溢れてて、こんな区切りは必要ないのですが、この時はまだまだ漫画が大人の読む物ではなかった時代です。
それでも新聞に載るような風刺漫画、4コマ漫画は一部人気もあって、それらは"大人向け漫画"と呼ばれてました。
その代表格作家は
「フクチャン」の
横山隆一や、
「銃後のハナ子さん」の
杉浦幸雄らでしょうか?
手塚先生の描く子供漫画や、それに対抗して現れた劇画へまで、強い敵対心を持っていたと言われる、手塚以前の大家達ですが、最近著作がどこにも置いてないように感じますね。
ちなみに現在皆が思い浮かべる"漫画"と言うものの定義は、おそらく
手塚先生登場以降に作られた物なのですが、あえて今言ったような"大人向け漫画"に挑戦したのがこれ、
「人間ども集まれ!」です。
この作品は1967から
週刊漫画サンデーに掲載されまして、オリジナルの単行本は全2巻。どちらも
実業之日本社刊行です。
後の作品でも
手塚先生が大人漫画を描く時は、やはりあの丸い絵のタッチを捨てているものの、この時は大傑作
「きりひと讃歌」「アドルフに告ぐ」等とも違う、
手塚先生としては非常に珍しい絵柄です。
それが他の"大人向け漫画"家からの影響でしょう。
「ギャートルズ」の
園山俊二なんかは有名ですかね、あの辺りのシンプルで細い描線を思い出してもらえば大丈夫ですよ。
「人間ども集まれ!」もそのままの線ですので。
掲載誌の
週刊漫画サンデー自体、当時はそういったユーモア・ナンセンスものの専門誌でした。
単行本のカバーに宣伝で載ってる、ホリデー新書の他の単行本リストを見ると、
サトウサンペイ、
富永一朗、
小島功、
園山俊二・・・と、そっちの作家ばかり。
まだ実験段階だったので仕方ないのですが、この画線は少し読みにくく、数ページ物ならいいけど長編にはちょっと向かないですね。
だからこそ
手塚先生もこの作品以降はまた線が太くなったのだと思います。その分、
手塚先生のこの絵は逆に貴重と言えるでしょうか。
それでは、あらすじの紹介に行きましょう。
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主人公の名は
天下太平。さえない男です。
兵役を拒否し、戦場から脱走兵として逃げている所から始まり、その時に元軍医の
大伴黒主と知り合う。
が、結局二人とも軍に捕まります。
軍部には、この後もずっと続くであろう戦争に備えてクローン人間を大量に作って兵隊を量産しようという計画があって、そこで戦犯者の太平は精子を何度も吸い取られるのですが…
ボインの
リーチ大尉とその過程を相手してもらって、いいですね(笑)
そして太平の精子を調べたら何と!!
彼の精子は尻尾が二つある、全世界でも始めての奇形精子だったのです。
こんな例は、人間だけじゃなく動物にだって過去にない!
軍の科学者がこの発見を探求する決意をしてるそばから、がゲリラに基地が襲われ、軍医・黒主、大尉・リーチ、捕虜だったゲリラ女・
リラと逃げ出し、そのうち終戦。
その後試験管で誕生した、太平の奇形精子で受胎した子供は…
男女どちらでもない、夢の
"第三の性"の持ち主でした。
ただし全くモノが違うという意味での"第三の性"ではなく、男にも女にもなれるが、しかしどちらでもないという形です。
結局幼少時から教育して、男役と女役に分けられますが、男装・女装すればすぐに入れ替われるのが便利ですね。
だからそのうち"第三"などと言わずに"無性"としか言われなくなります。
"無性人間"。
この呼び名ならしっくりきます。
黒主と知り合った頃に、アリには"働きアリ"がいて、そいつらは中性だって話をしていたのです。オスとメスはセックスをしてるだけだと。
その話を聞いた太平は羨ましがってたのですね。
それが本当に人間の世界で誕生し、その無性人間第一号として生まれた未来だけが、息子(?)として太平の家で育ちます。
この未来、当然まだ無性人間が認知されていない時代に育ったわけですから、差別やいじめも受けています。
『僕を男にしてー!女でもいいよ!!どっちかはっきりさせてよ!』と、悲痛な叫びを上げる未来は、まだ子供だったのですね。
後半は無性人間としての自我を確立して、のちに量産された無性人間達のリーダーとして活躍するのですから。
今夜はここまで。
- 2006/07/01(土) 13:26:49|
- 手塚治虫
-
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