大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

永井豪(10) 「デビルマン」 5

devil-man5.jpg

こんばんは。
いよいよ2006年も大晦日になりましたね。
今年最後になる今夜の名作漫画ブルースは、永井豪先生の「デビルマン」最終巻である5巻を紹介して終わろうと思います。

------
前巻でふりだしに戻って考えるために自宅へと向かった飛鳥了は、もう一度父の研究を調べてデーモン攻略の方法を探そうとします。
不動明を戦いに巻き込んだのは了なのですから。

まずは、あの1巻で被った"デーモンの歴史書"である像。
あれを被ってみますが…
今回は、あの時流れ込んできたデーモンの歴史のイメージが何も伝わらないし、それどころか落下して割れてしまうと、それは石膏に夜光塗料を塗っただけのしろものであると分かりました!

飛鳥邸の外には何故かデーモン達が群がってきてますが、そんな事は関係なく父の研究や家族のアルバムを探る了。
しかし父の研究データも遺書も日記も、何も見つかりません。
アルバムを開けば了の顔が自分と似ても似つかないうえに、交通事故で死んだとの事で葬式の写真まで貼ってありました!

『おれはだれだ!
おれは飛鳥了ではないのか!
わからない・・・・
父はデーモンの研究などしていなかった!
そしておれは・・・・』


そこでデーモンの大群が飛鳥邸に侵入してきました。これは殺されるかと思いきや!
あのデビルマンですら赤子どうぜんに眠らせたサイコジェニーが前に出てきて、『おむかえにまいりました!』などと言ってます。
ここでどうやら了の中では謎が解けたようですが、はたして了の正体とは!?

舞台は明や美樹一家、手下の不良たちのいる牧村家に移りまして…
悪魔狩りの名の下に悪魔特捜隊は人間を狩り続けているようですが、彼らは今の所無事です。
完全に中世ヨーロッパの魔女狩りになぞらえて悪魔と疑わしき人間を次々と逮捕し、拷問にかけて悪魔と認めさせ、処刑した人間の名前を"本日の悪魔狩り速報"などと言ってTVに流してる恐ろしい世の中。
今日も行方不明の了の名前は出なかったと皆が安心していたら、誰あろう了が、有名な老古学者飛鳥博士のご子息という触れ込みで『悪魔に関する新事実』を発表するためにTVに出てきました!

明は喜び、
『真実を発表してくれ了!
人類を救うデビルマンの存在を世界に知らせてくれ了!』

そう期待したのですが…
了が話した事は全くでたらめで、雷沼教授の悪魔人間説に拍車をかける酷いものでした!
悪魔と人間が合体するには難しい条件がある事には触れずに、明を含む友人達は悪魔に取り付かれたと話し…ご丁寧にも証拠となるデビルマンへの変身シーンのフィルムまで流しました。
デーモンは巧妙に人間になりすますから、怪しい人間がいたら即座に殺すべきだと訴えて。

美樹達まで信じてしまって
『明くん!
明くん悪魔にとりつかれたの!
わたしの目の前にいるのは 明くんのすがたをした悪魔なの!』

とか
『娘から手をはなせっ ばけ物!
手をはなすんだ悪魔!』

などと、恐れの眼差しで見てしまいます。

牧村家には信じて欲しい明も開き直り、
『あー おれはたしかに悪魔のからだをもってるさ
了が見せたフィルムは本物だよ
美樹ちゃん きみも見たろ
あの悪鬼の形相こそ おれのほんとうの顔だよ!
だがそれでもおれは 人間不動明なんだ!
人間の心をもっている 不動明の心をもっている
人間のからだをうしなったおれだが 心はなくしていない!
人間の心は・・・・』

そう語って涙をこぼすのです。

すぐに悪魔特捜隊が向かってくる音がして、明は去る事になりました。
美樹とのお別れシーン。美樹は
『もう一度・・・・もう一度会いたい・・・・
もう会えない気がするんです!』

と悲しい直感を持って泣きます。
牧村夫妻も、悪魔をかくまったとして悪魔特捜隊に連行されました。

明はデビルマン仲間を総動員して了と再会。
『なにを考えていた・・・・
おれを いや・・・・ 全人類をうらぎった反省か!
それとも後悔か!』

そう問い詰める明に、了は平然として
『そのどっちでもないよ明
反省も後悔も必要ない
あれはとうぜんのことなんだよ明』

などと答えるのです。
これでまた世の中が変わる。人間が汚す前の美しいデーモンの星になるのだと。

もはやデーモンは手をくださずに人類の滅亡を待つつもりだと告げる了。
『新しい世界がはじまる
新しい歴史がはじまる!
おれたちデーモンの新世界が・・・・

と言うのですが、これでどんな鈍感な読者も気付くわけです。
飛鳥了はデーモンであると!
彼が明をデビルマンにしたのは、人類を守らせるためではなく、明自身を新しい世界に生き残らせたかったかららしいのです。
明は去っていく了に一言『サタン』とだけつぶやきます。

そう…彼こそがデーモン族でも王の中の王、堕天使であり悪魔王、サタンだったのです!!
かつてサタンは神と戦い、やぶれて氷の世界に閉じ込められたと言われてますが、正確には彼はデーモンではなく神。
"白くかがやく うつくしい十二まいの翼"を持っているのだそうです。

次に、牧村夫妻が連行されたと知った明はデビルマンを集められるだけ集め、悪魔特捜隊本部を襲撃します。
デーモンが姿をあらわささない今、やつら特捜隊こそが人類最大の敵なのです!

一方の牧村邸です。
こちらは、たいまつを持った気違い群集に包囲されています。
この狂気の暴徒と化した群集は、牧村家から悪魔が出たことを聞きつけただけの、顔見知りの近所の住民達である事が、また怖い。
自らの手で牧村家の人間を皆殺しにする事を"正義"だと思ってます。

ターゲットは牧村家である美樹と弟のタレちゃんなのですが、明の手下・木刀政が指示を出し、頼もしく応戦します。
『いたなー魔女め!』と襲い掛かってくる男に、美樹も火炎瓶を投げつけ、『私は魔女よ!なめるな!』と叫ぶ。
散弾銃、火炎瓶、包丁、そんな武器で侵入者を殺しまくる修羅場が展開されてます。
一瞬でも気を抜いたら殺られてしまう、狂気の空間…

初めは強気に戦う美樹でしたが、背中を斬られ、恐ろしい男を対面した時、
『ち ちがう ちがう
ま・・・・魔女じゃない 魔女じゃ・・・・

そう脅え、明に助けを求めるのです。

木刀政の姿が見えてすぐさま駆け寄った美樹でしたが、その陰から彼の体に日本刀とつるはしを刺している暴徒が二人現れました!
次に階段からタレちゃんが転げ落ちてきたので駆け寄ると、彼には首が無く、その首を持って包丁をくわえた男がニヤケ顔で二階から降りてくる…
凄まじくショッキングな描写です。
美樹の精神は崩壊したようです。

また一方の明=デビルマン。
彼は悪魔特捜隊本部、この地獄で、自分のために拷問にあって殺されている牧村夫妻を発見。
おばさんは全裸のまま天井から逆さに吊され、右腕がちぎれてますし、おじさんも全身穴だらけです!

隠れていた特捜隊本部の拷問吏達を見つけ、
『外道!きさまらこそ悪魔だ!
おれは体は悪魔になった・・・・
だが人間の心をうしなわなかった!
きさまらは人間のからだをもちながら悪魔に!
悪魔になったんだぞ!
これが! これが!
おれが身をすてて まもろうとした人間の正体か!
地獄へおちろ 人間ども!』

そう叫んで怒りの炎を吐き、焼き殺しました。

デビルマンは悩みます。
人間を守るために戦ってきたのに、今のケダモノ以下の人間には守る価値などない。
サタンと取引してデーモンとの戦いを避け、共存した方がいいのか…
しかし守るべき人、美樹を思い出しました。
『美樹!きみがいるかぎり おれは悪魔にはならん!
きみがいるかぎりおれは悪魔人間(デビルマン)だ!』

そして牧村家へ行くと…
庭で暴徒達が美樹、タレちゃん、木刀政の切り刻んだ死体を串刺しにして振り回し、狂喜乱舞しています!
そう、結局美樹も殺されて生首を振り回されるような目にまで遭ってしまったのです。

暴徒たちを焼き払い、美樹の首を抱いて…
『おれは もう なにもない・・・・
生きる希望も 幸福も・・・・
生きる意味さえも!
まもるべきなにものもない!
だが! 飛鳥了! いや大魔神サタン!
おれはきさまと戦わずにはいられない!
人間をまもるための戦いではないぞ!
地球上に最後に生き残るの者がデーモンかデビルマンか
勝負だ! サタン!』

そう叫んで涙をこぼしました。

かたや了=サタンは、悪魔王ゼノンと語っています。
そこで全ての謎解きもされるのですが、二年前に氷の世界から蘇ったサタンは、サイコジェニーの催眠能力で自らの記憶を消し、飛鳥了としての記憶をうえつけられて人間界に入ったのだそうです。
それは人間になって人間を知り、弱点を探るのを目的とした"人間作戦"でした。
ゼノンは了になったサタンの心をキャッチし、彼が恐れる事をやっていくだけでこんなに早く人間を自滅させたわけですね。

大成功だったこの作戦の唯一の誤算。それをゼノンがこう語ります。
『あなたが・・・・人間不動明を愛したこと!
勇者アモンを犠牲にしてまで 不動明をデーモンの世界で生きられることを ねがったこと!』

それに対してサタンは、
『それは・・・・ わたしが・・・・』

『両性生物だったから』

そう言って初めてサタンの体を良く見れるのですが、確かに女性のお乳が付いてますね。
それからデーモン軍団VSデビルマン軍団の戦いが繰り広げられるわけですが、何とその描写は完全にカットされ、『20年の時がながれた・・・・』という説明が入るのです。

すでに人類は完全に滅び、無限の荒野と化した中国大陸で最後の決戦が行われようとしています。
集結した軍団を見て、デビルマンもここまで凄い数が生まれていたのかと初めて分かりますね。

『最終戦争(アーマゲドン)
それは 飛鳥了と不動明の 愛と憎悪の戦いだった・・・・』


という言葉だけで、またも直接的な戦いの描写はカットされます。
熾烈をきわめた戦いは終わり、了と明が渚に二人きりで横たわってます。
そして、了が一方的に明に語りかける。
数百万年前に地球を支配していたデーモンが、その醜さや闘争心から創造主である神に忌み嫌われ、全てを消そうとしたので、それに反発したサタンはデーモンと共に神と戦ったのだと。
実はその戦いには勝利して、次なる神の戦いに備えるために自ら二百万年の眠りに入ったというのが真相でした。
眠りから覚めた時、地球は人間という新生物に汚されきっていて、怒ったサタンは人類を滅ぼす事にした…
しかしそれは、神がデーモンを滅ぼそうとした事と同じ愚かな行為だったと、初めて明に謝罪します。

サタンが語り終えて明を見ると、その下半身が引きちぎれている事が読者にも分かります。
そして眠りについた…
確かにこのシーンの最初は開いていた明の目が閉じられていますので、最初はギリギリ生きていたのでしょうね。
涙を流すサタン。

恐らくはサタン以外の生物は滅んだ地球に、水平線の彼方から神の軍団が降臨し…
「デビルマン」・・・・完
-------

駆け足で紹介してみましたが、「デビルマン」とはこんなお話でした。
未読の方にはネタバレですが、そんな事で魅力が無くなる様なチャチな作品ではないし、何度も何度も読めて感動できるので、是非読んでみてください。善とは、悪とは、誰が決めてどれが正しいのだろうか…そんな事を考えるきっかけにもなるでしょう。

ちなみに同時進行で企画されて1972年~1973年に放映されたアニメ版ですが、こちらも良い出来だったために未だに人気がありますね。
ただ、ストーリーは全く違うのです。不動明の体と意思を完全に乗っ取ったデビルマンが主人公であり、不動明としての個性は存在しません。しかも牧村美樹に一目ぼれしてしまったために、人類を守る側に回ってデーモン族と戦うのです。
飛鳥了も存在しないし、"人間に守るべき価値があるか"などと悩んだりしません。当時のアニメですから、当然子供向けで単純なヒーロー物だったのですね。

はい、「デビルマン」紹介で2006年が終わった名作漫画ブルースでしたが、2007年もまたよろしくお願い致します。
よいお年を!


ねむったんだね・・・・明
永劫のやすらぎのねむりに・・・・



スポンサーサイト
  1. 2006/12/31(日) 23:49:12|
  2. 永井豪
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

永井豪(9) 「デビルマン」 4

devil-man4.jpg

「デビルマン」4巻。

ついにデーモン軍団の総攻撃が始まりました。
醜い姿を人間の前にさらして、空を覆い尽くす悪魔の群…
人類の軍隊の力はデーモンの超能力にはほとんど通じず、それどころか軍隊や政府の内部にもかなりのデーモンが入り込んでます。

不動明ことデビルマンは、人類最後の切り札であるのだからと飛鳥了に制止させられていたため、しばらく成り行きを見守るだけでしたが、破壊と殺戮が続く地上の人類を見かねた明の人間としての心と、体に流れる悪魔の血が闘争本能に火をつけて我慢も限界に達し、ついに出て行きます。
『二百万年まえの太古の世界より よみがえりし怪物ども
この地球はもはや きさまらのものではないことを
このデビルマンが 教えてくれる!』

そうつぶやきながら変身するシーンもカッコいい!!

一方、人類滅亡を狙うデーモンはアメリカとソ連の重要人物になりかわっていて、共に百数十もの核ミサイルを発射し合い、東京にも一発撃たれてましたが、その全てのミサイルが太平洋上で消滅しました。
人類はとりあえず助かったわけですが…
デーモン達の狙いを台無しにしたこの不思議な力は一体何だったのでしょうか!?
その後、ソ連全土を謎の光が覆い、デーモン達や街も消滅していくのです。

一人でデーモン軍団に立ち向かったデビルマンは…いきなりやられてます。
周りにデーモン達の死体が転がってる所を見ると、けっこう倒したのかもしれませんが、その強い肉体もサイコジェニーの精神攻撃の前には赤子どうぜんだったようです。

それぞれがとどめを刺したくて群がったデーモン達の前に、魔将軍ザンが現れて制止しました。
『デビルマンを殺すな デビルマンをきずつけるな 上からの命令だ!』
だそうで、この魔将軍ザンも三巻で倒したジンメンらのボスなのですが、その上の魔王ゼノン、そしてさらに上のお方の意思だと言います。
つまり悪魔の神、大魔神サタンの意思だと。

そしてデビルマンはデーモンにきちんと送り届けられ、明の姿になって了の部屋で目覚めました。
了は、人類はもはや確実に滅びると語り、それでも明が生き残る事によって人間の心はのこると言います。
だから人間とデーモンの戦いを見守り、勝ってもそのあとでつかれはてているデーモンに戦いを挑み、デビルマンが勝つべきだとも説きます。
その言葉に怒った明は、他にも生まれているデビルマンを集めて軍団を作り、デーモンと戦うという考えを了に明かしました。
了はそれを聞いて、聖書にあるヨハネの黙示録の話をするのですが、これが重要です。

『神の意思によりて 氷の世界にとじこめられし 悪魔神サタン
永劫の時をへて氷の世界よりよみがえり 悪魔軍団をひきいて天空より災いをなす!
神の軍団これをむかえうつ!
地球上のすべての者が 善と悪にわかれて戦う この戦いを
最終戦争(アーマゲドン)という!』


それを聞いた明は、そこで表す神の軍団というのがデビルマン軍団にちがいあるまいと、そう信じて戦う決意を固めました。
そして二人はゼノンの上にいる、ゼノンの能力を超えるサタンについても語るのですが…
『ゼノンの能力を超える者・・・・
サタン
サタン!』

とつぶやく明の描写がいい。
2ページを縦のコマ割り4コマにして使い、真っ白い所に明の髪が伸びて黒く潰していくイメージカットなのです。

そしてTVのニュースが、ソ連全土を覆った謎の光球でソ連が消滅した事を伝えると…
何故か了が異常に恐怖し、叫んで震えてます。
謎の光を偵察に行ったアメリカ軍機も光に入ると消滅するし、一人パイロットが帰還しますが、甲板で塩の柱と化すし。
これまた聖書の"ソドムの町"を思い出させるのですが、これは何なのでしょうか?

久々に、美樹達のいる牧村家に帰った明。
子分の不良達が美樹達を助けてくれてたので安心しますが、TVのニュースで重要な事を言ってます。
日本政府は"悪魔特別捜査隊"を結成して人間社会に巣くう悪魔を一掃すると宣言したのです。
世界的な権威であるノーベル生物学賞の雷沼教授達の研究グループも、デーモンの正体は全く理解できていないのに…

明は『魔女狩りだ!十六世紀ヨーロッパの暗黒時代が またはじまる!』と危惧し、
了は『ばかめ! 人間などに悪魔と人間の見わけなどつくものか!』と言い、そうして人間同士で疑い合い、殺し合って、恐怖に混乱して自滅させるのがデーモンの狙いなのだと看破してます。
さらに
『またおれの おそれていたとおりになりやがった
おれの考えていたとおりにな
おかしい
あまりに おれの考どおりにすすみすぎる
あの日 不動明を合体させる計画をつくったときいらい
すべておれの考えたとおりの事件がおこる』

そんな妙な事に、やっと気付きました。これはどういう意味なのか!?

そして雷沼教授は、
『悪魔の正体は人間だ!
人間の強い願望が 自身の体細胞を変化させた!
現代社会生活の不満が増大した結果・・・・
そのやり場のない不満を別生物になることでみたそうとしたのだ!』

という発表をして、現代社会に不満を持つ者を殺す事を奨励します!
…って、そんなもん発表する方も、信じて人間を虐殺始める政府もどうかと思いますが、ここまで常識外れに摩訶不思議な事ばかり続いていたため人類は違ってしまっていたのでしょうね。

その結果、世界各地に戦乱の嵐が巻き起こり・・・・

戦争や内乱続きで平和な国は無くなり、明は地下の秘密基地みたいな所で仲間であるデビルマンを集めています。
あの子分になった不良たちは人間のままデビルマン軍団に協力してるし、精神を鍛えしヒンズー教の僧侶達も全員デビルマンになっていたので、彼らの強いテレパシーで世界から仲間を集めます。
悪魔として悪魔特捜隊にとらわれているデビルマンも、明が単身乗り込んで救い出しました!

一方の了。彼は全ての始まりである飛鳥邸へと向かっています。
ふりだしに戻ってもう一度最初から考えてみようとする所で4巻も終わり。
次回でいよいよ最終巻です。


なにかが・・・・
なにかがわかりそうな気がする
謎がとけそうな気がする
なにか大きな謎が!



  1. 2006/12/30(土) 00:02:09|
  2. 永井豪
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

永井豪(8) 「デビルマン」 3

devil-man3.jpg

こんばんは。
今夜は妖鳥シレーヌ達の攻撃からも何とか生き残った、デビルマンこと不動明と、飛鳥了のその後、三巻。
明の学校の同級生から、了の口から、デーモンや人類についての興味深い話が語られる所からスタートです。

デーモンが密かに侵略して来ているこの社会で、『悪魔が天敵でも 人間は全力で戦わなければならない』と、人間に化けて生活しているデーモンを狩り出す決意をする二人。
了は私立探偵を雇って、急に生活態度や性格が変わった人などを探す素行調査を依頼し、見つけたら殺す作戦を立てました。

そして、了は明抜きで一人のデーモンを追いつめるのですが、正体を表したデーモンを見て、怖がるどころか何故か『はあ~はあ~はあ~』なんて興奮してます!
しかもその後記憶をなくし、気づくとデーモンは消えていました。
何だか少しずつ、デビルマンになれなかった了も只者ではないのかと匂わせてますね。

明は学校で、しつこい不良達が連れて来たグループのリーダー・木刀政を始めとした助っ人の先輩にもからまれますが、当然簡単に撃退。
その後、この不良グループはデーモンに操られて再び襲ってくるのですが、またも撃退し、デーモンからも助けたために、以降はこの不良グループ全員を仲間(というより舎弟でしょうか)にします。
リーダーの木刀政の他には、カミソリ鉄ドス六メリケン錠チェーン万次郎と、一応名前も付いてますよ。
彼らや学校の皆を操っていたのは、百の悪魔を支配する魔将軍ザンでしたが、からかっただけで去っていきました。

次の刺客は、ザン魔団のひとり・魔獣ジンメン(人面)。
こいつは亀…というか玄武のような風貌なのですが、明を慕う小さな女の子・サッちゃんを食ってしまいます。
しかもジンメンが人間を食うと、背中の甲羅に食われた者の顔が浮かび上がり、うらみや苦しみの声を上げるのです!
食われたサッちゃんが顔だけになって明に呼びかける声を聞いて、明は
『ジンメン こんどこそおまえたちデーモンが にくいと思ったことはないぞ!』
そう言ってデビルマンに変身しますが、攻撃するごとにまだ意識を持ってる甲羅の人間が死んでしまう。

この時のジンメンの言いぐさが傑作で、
『カカカ おまえにくらべれば おれは善良なもんだ
人間どものいう 仏さまのように慈悲ぶかいよ
なんせおれは食っただけだからなー
人間の感覚じゃ 生き物を食うのはわるいことじゃない そーだろう
従順でおとなしい ウシ ブタをへいきで食ってるからなー
だが殺すのはいけないな
生き物を殺すのはいけないことだ なーっ そうだろう
だから おれは殺さずに食ったのさ!』

と、こうですよ。

デビルマンは弱い人間の心を持っているために、悪魔の超能力を持っていても使えなくなる、という考えからジンメンの作戦が功をなしたかと思いきや…
何と、デビルマンはサッちゃんの顔ごとジンメンへ攻撃を加えました!!
ドボドボと血が流れるサッちゃんの顔から開いたまま残った片方の目を閉じてやり、ジンメンの甲羅を剥がして食われた人間ごと殺します。
…このジンメンとの戦いも、かつて少年時代に「デビルマン」を呼んだ読者にトラウマを植えつけた1シーンでしょう。

------
この後さらに急展開になるのですが、その幕開けとして、美樹の弟・健作とその友達の話が入ります。
健作のあだ名は"タレちゃん"で、これはすぐにおしっこタレるからですね。
このタレちゃんと友達のススムが会話し、
『ちかごろじゃ子ども殺しは母親の趣味みたいなもんだよ』
とまでなった時代の被害者として描かれるのですが、これが一つの恐怖短編のように挿入されてて見事なのです。

さて。
人間社会を地獄にするため、デーモンは新たな動きに出ました。
理性を持った人間に合体すれば拒絶反応を起こして死ぬのは分かりきってるというのに、次々と人間目指してテレポートし、無差別に合体を開始したのです。

これはデーモンが人間の恐怖心をあおるための作戦に出たのだと、了は見破ります。
『世の中がかわる
平和日本はおしまいだ
新しい時代の幕あきだ!
恐怖と狂気と!
戦慄の時代がはじまる!』

そう叫びながら混乱の街を走り、さらに
『おどらされるぞ 日本人全部が
おどらされる 悪魔の笛に 悪魔の太鼓に!
狂気のおどりを 死のおどりを
人間の未来をこわす! 地獄のおどりだ』

とも、怖い顔をして叫んでます。

そして明に会って言うには、デーモン達は人間の弱点をつかんだとの事。
自分たちの存在や能力を見せつけて人間の持つ恐怖心をあおり、混乱や暴動巻き起こす事が目的なのです!
明は人間の精神の強さを信じて、デーモンの存在を知ったら世界の軍隊がデーモン撃滅のために動いてくれると信じますが、結果は了の推測どおり悪い方、つまりデーモンの狙い通りとなりました。
まずソ連政府が自国の領土ツリングラードに水爆ミサイルを打ち込み、はるかに多くいる人間ごとデーモンを殺すと暴挙に出てしまいました。

しかし不安な明は新聞の記事から、体が異常化しても人間として自分の意志を持ち続けている少女の事を知ります。
つまりそれはデビルマン!
デーモンの無差別合体がデビルマンも大量発生させているだろうと気付き、同志を集める決意をします。
『世界中のデビルマンをかき集め!
一大デビルマン軍団を組織する!』


その時…
世界中の人々が、上空に悪魔王ゼノンの恐ろしい姿を見ます。
そしてゼノンは『われら悪魔の星地球 地球をよごした人間どもに告ぐ!』として、全人類に対した宣戦布告を告げるのです。
五分後に第一回の攻撃を開始し、その後もひとりのこらず人間が死に絶えるまで攻撃はやまないのだとか。


戦争がはじまる 今日とつぜんに!
人類がかつて経験したことのない 異性物との戦争だ!



  1. 2006/12/29(金) 00:39:42|
  2. 永井豪
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

永井豪(7) 「デビルマン」 2

devil-man2.jpg

こんばんは。
今夜も名作「デビルマン」の時間がやってきました。
少しは私の感想を交えながらも、このまま単純にストーリー紹介をしていこうと思います。

主人公の不動明が、人間の心のまま悪魔の勇者アモンの力を手に入れて終わった一巻でしたが、二巻は人間の姿からスタート。
それも一巻と同じく居候先の娘・牧村美樹と一緒の登校シーンからなのですが、今の明は表情や物腰が全く違ってます。
性格も好戦的になったようで、やはり同じく、しかも今度はドスを持ってからんできた不良三人組を
『おれはドスよりおそろしいぜ!』
と言ってあっさりぶっ飛ばしました。

一巻で明をデビルマンにした張本人・飛鳥了はデーモンの下敷きになってましたが、入院した後は驚くほど早く治ったようです。

さて、人間をエサにするデーモンの刺客も続々と登場しますよ!
まずは空を飛んで初登場し、着地するまでに6ページも使われた、敵キャラというのにVIP待遇のデーモンが、頭から羽が生えておっぱい丸出しの鳥型戦士・妖鳥シレーヌ(死麗濡)。
彼女は部下のアグウェルとグルマーを使い、デビルマンとの戦いに勝機を得ようとするのですが、牧村家の屋根の上に立ち、
『わたしは・・・・勝てるだろうか・・・・デビルマンに・・・・』
と悩み、
『おそれるな おそれるな・・・・おそれるなシレーヌ』
などと自問自答するほど、おそれてもいます。
こんな人間らしい(?)所を持っているのも、この「デビルマン」の中でも一番人気の高いキャラになった秘訣かもしれませんね。もちろんその姿の美しさも重要でしょうけど。

明=デビルマンは美樹を守りながら、何とかアグウェルとグルマーを倒した…その直後、気を抜いた瞬間にシレーヌのツメに捕まりました!
しかもこの巨大な鉄のツメに流れる電流には、あらゆる超能力をふうじる力があり、明はデビルマンの姿に変わる事もできません。

もう負けを覚悟して
『殺してくれ ボロキレのようにズタズタにひきさくがいい!』
そう言う明に対して、
『おまえがほこり高きデーモンの戦士ならそうしよう!
だがおまえはちがう おまえは虫ケラだ
美しい地球のゴミために うごめき生きる虫ケラ 人間だ!』

などと言って、百年もの長きに渡ってみじめな肉片となりながら苦しむ、"大魔王ゼノンの百地獄の刑罰"とやらを受けさせられるそうです!これは怖い…。
そしてデーモンの人間に対する意識がよく分かるシレーヌの名セリフでした。

その時、不思議な力で明のピンチ、そして敵がシレーヌである事なども何故か知った了が登場し、猟銃で救います!
それからは、ついにデビルマンの姿に変われた明VSシレーヌの、壮絶な戦い。
両者傷だらけの凄まじい戦いは、両方が片手を吹っ飛ばされながらもハイスピードに続きます。
途中、残った片手で腹の傷とおさえるデビルマンの、有名な1ページ使ったイラストが入ります。

そしてついにシレーヌの翼をブツッと引き剥がし、八つ裂きにしてやろうと迫るデビルマン。
そこでシレーヌは恥も外聞も無くし、大魔王ゼノンに助けを求めます。
『デビルマンを打ちたおすお力をーっ
このままではシレーヌは死にきれません!』

そう叫んで呪文を唱えると雷が落ち、新たなデーモン・カイムが登場しました。
しかもこのカイム。ただデビルマンを倒してシレーヌと助けるわけではなく、彼女自身に倒させるため、命を差し出して合体させようとするのですね。
もうすぐ死ぬ自分にそこまでしてくれるカイムに、泣きながら『な・・・・なぜ・・・・』と聞くシレーヌに対して…

『シレーヌ 血まみれでも きみは うつくしい』

それだけ言って自らの首を刎ねるカイム!
ここは切なく、そして屈指の名シーンでしょう。
永井豪先生の絵にも力が入ってます!
『デビルマン! シレーヌの執念が カイムの命が!
きさまを殺す!』

そう言って強烈な一撃を加え、ついに力尽きたデビルマン。

…でしたが、何故か動けないデビルマンをそのままに、とどめを刺しには来ませんでした。
後で了に起こされた明は、そこに立ち往生で死んでいるシレーヌ(+カイム)を見つけます。
自分の勝利を確信し、満足しきった笑顔で死んでいるシレーヌを見た明も『美しい・・・・』と、そう思って二巻が終わります。


  1. 2006/12/27(水) 23:18:36|
  2. 永井豪
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

永井豪(6) 「デビルマン」 1

devil-man1.jpg

悪魔に魂を売った皆様、こんばんは。

クリスマスの本日、ついにこの漫画ブログは連載第150回目を迎えましたよ。

そんな記念すべき回に紹介するには、それにふさわしい超名作を。
それは永井豪先生の…

「デビルマン」

永井作品の中でも確実に一番有名な、この名作に触れてみましょう。
もちろん永井先生の偉大な作品群をこれだけで語る事はできませんが、これを読んでなくては話になりませんからね。

まず、この漫画史に輝く名作が生まれた背景に軽く触れておきましょう。
以前描いていた未完の傑作、「魔王ダンテ」をベースにしてテレビアニメを作ろうという計画が立ったのが発端です。アニメ版のオリジナルストーリーは辻真先が構成しましたが、その後それに合わせて永井先生が漫画を描く事も決定したんだそうですね。
つまり、普通は漫画がヒットしてアニメになるパターンがお決まりですが、この「デビルマン」は、共通の基礎設定だけはあるものの、漫画とアニメでは全く違う作品です。

漫画版は、まだ「あしたのジョー」連載中だった週刊少年マガジンでの掲載が決まり、読者の年齢層が高かった。
さらに永井先生は行き当たりばったりで作品を変化させていきますし、漫画家としても最盛期といえるその時の勢い、偶然、いろんな要素が絡み合って生まれた奇跡の傑作と言えるでしょう。
実際この作品に関してはどれだけ絶賛しても足りないわけで、連載終了から30数年が経ってもなお数々の尊敬を集め続け、いろんな人がそれを表明してますね。

他人のリメイク作もいっぱいありますが、中にはくだらない実写映画化や、それどころか永井先生自身が「デビルマン・レディー」のような、ちょっとアレな作品を描いてますが…
そんな事でオリジナル版「デビルマン」の輝きは失われないでしょう。

たまに絵が下手だという批判を目にする事がありますが、
『ふざけんなっ!この絵柄がいいんだよ!』
なんて、温和な私でさえも怒鳴りつけちゃいますよ。(心の中で…)
興が乗ると永井先生、すぐに力入れすぎて絵も歪むのですが、そういったシーンこそが魂入れてる感じもするし、カッコいいんですよね。

前置きが長くなりました。
そろそろ、1972年~1973年にかけて週刊少年マガジンで連載された「デビルマン」の、ストーリーを追ってみましょう。
そう、連載はこれだけの短い期間で、53回のみ。
単行本も全5巻(講談社刊)と読みやすいうえに、この長さ以外にはありえないと思わせるほど、まとまり方は完璧です。

-----------------------------------------
主人公の不動明が、居候してる牧村家の娘・美樹と共に通学している所から、この物語は始まります。

まず美樹の口調が『オヌシ』だの『セッシャ』だのって言ってる事で笑えるでしょう。
その二人の前に不良三人が立ちふさがって冷やかし、気弱な明は逃げようとするのですが、気の強い美樹がケンカを始めてしまいます。
美樹はビンタが強くて"平手美樹"って言われてるそうですよ(笑)

しかし男には勝てません。捕まってピンチの所へ、明の前の学校の同級生・飛鳥了が登場して、二人を助けるのです。
別に助けるために来たわけではないし、不良達なんかは眼中になくて、ただ緊急の用事で明を連れに来ただけなのですが。
了は改造した猟銃をコートの下に持ち歩き、免許も無いのにクルマを乗り回してます。
そして明を乗せた車中で、老古学者の父がガソリンをかぶり続けて死んだ話をします。
しかも黒こげになった父の死体は、体重が生きてる時の二倍あったと言う。
ちなみに了の母は白人で、モノクロの漫画だとよく分からないけどこの髪は金髪です。

身の危険を感じていると言う了は、随分山の上になる自宅に明を連れていき、デーモン、すなわち悪魔の存在について語りはじめるのです。
『電話どこ』とか『デンワー』って、しつこく精神科医を呼ぼうとしている明…(笑)
しかし"デーモンの歴史書"である像をかぶらされると、本当に太古に悪魔が栄えた時代のイメージが送り込まれてきます。

ショックを受けた明を車に乗せた了は、ひとまず下山しようとしますが…すでにデーモンは永い眠りから目覚めているのです。
車で山を下りようとしてる所を襲われ、もう一度飛鳥邸へ引き返すのですが、その時に初めて登場した本物のデーモン。
そいつが女性型で、性器の部分に顔がある変な奴なんですよ…

そして飛鳥邸の、入ったら出られない地下室(!)に連れて行かれるのですが、その時
『了 ばか! いきどまりだぞー』
『しまった ろうかをぎゃくにはしった』
『えーっ』
『というのはうそだ』
なんて言って隠し扉を開ける、つまらないギャグシーンがあるのですが…
このシーンは必要だったのでしょうか!?

さてその地下室に入る前、明は了の父が焼身自殺した理由を聞きますが、それはデーモンの存在を知って体を乗っ取られたためだったのです。
彼は悪魔の伝説から人間が悪魔と合体する方法をみつけました。それが飛鳥教授の残した"恐怖の遺産"。
唯一のデーモンと戦う方法は、自分自身がデーモンとなってデーモンの強力な能力を手に入れる事なのです!

了は続けて言う。
『デーモンと合体し デーモンの超能力を手に入れ
人間の心を持ちつづけることのできる者! それは
デーモンの意識をおさえる強い意志 善良で純粋な心を持ち!
正義を愛する若者でなければならない!
邪悪な心を持った者がデーモンと合体うれば
たちまちデーモンになりきってしまう
だからおれは 不動明 きみをえらんだ!』


明と了は硬く手を握り涙を流した後に、デーモンと合体するという理論を実践するためのセッティングをしてある、地下室の扉を開けます!
そこではすでに、ヒッピー風の若者たちが酒池肉林の世界を展開してますが…(んなアホな)。

ヒッピーのゴロツキたちがゴーゴーを踊る、これが悪魔の儀式・サバト(夜宴)だと言うのです。
デーモンが嫌うものは人間らしい心…理性であり、
『人間が理性をすて 本能のみでうごくとき デーモンと人間は合体できる!』
のだそうで、さらに了は狂ったようになり、尖ったガラスビンで無差別に殺人を始めます。
曰く、『デーモンは血をこのむ!』

当然ゴロツキたちも反撃し、明と了もボコボコに殴られ…
暴力が渦巻くこの恐怖の地下室で、ついにデーモンの侵入が始まりました!!

異空間から次々と人体にテレポートしてくるデーモン達。
デーモンと化した元ゴロツキたちが襲ってくる、この恐怖が明の理性のタガを吹き飛ばし、ついに明は了の目の前でデーモンと合体しました!
この数ページ使った合体シーンは、名作「デビルマン」の中でも秀逸で、カッコイイ。

デーモンの姿になった明は、
『悪魔の体を手に入れたぞ!
おれは! おれは! 悪魔人間(デビルマン)だ!』

と宣言し、周りのデーモン達を皆殺しにます。
明が手に入れたのは、デーモン族の中でも勇者と称えられるアモンの肉体でした!

了は嬉しそうに殺戮を繰り広げるデビルマンを見て戦慄し、明が本当にデビルマンになったのか心配します。
『おれにはやつが デーモン以上の悪魔そのものにみえる
悪魔の中の悪魔に!』

と。
殺戮が終わって悪魔達の死体と血の海となった地下室で、人間の姿に戻った明はデーモンの下敷きになった了を発見して…

一巻終了。続きはまた次回です。


  1. 2006/12/25(月) 13:13:10|
  2. 永井豪
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

SF漫画 (6) 明日賀じゅん 1 「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」

The-Nightmare-Before-Christmas.jpg

メリー・クリスマス!

なんて、この世で想像しうる最も痛くて寒い言葉で始まった、今夜の名作漫画ブルースですが…

今夜紹介する漫画は「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」(講談社刊)。
はい。お分かりの通り、すぐにクリスマスだからクリスマス漫画をという、安易でつまらない考えからなんですけどね。
クリスマスイブの前日という事で、"クリスマス前の悪夢"です。

有名タイトルなのですぐに思い出した方も多いでしょう、あのミュージカルアニメーション映画「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス(The Nightmare Before Christmas)」のコミカライズ作品です。

「シザー・ハンズ」「エド・ウッド」「スリーピー・ホロウ」等の作品で映画監督としても優れた作品を発表しているティム・バートンが、原案、原作、製作等でクレジットされ、ヘンリー・セリックが監督した作品。
それが「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」ですね。

1993年に公開されたこの作品は、音楽、ストーリー、映像のどれもがあまりにも素晴らしい出来で、ティム・バートンらしいゴシックな味付けでダーク・ファンタジーの世界を観せてくれます。
未だにそこら中でジャックサリーといった主要キャラのグッズが溢れてますよね。

漫画版「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」は、基になった映画版にかなり忠実。
すなわち、怖い事が大好きな"ハロウィン・タウン"の住人達と、カボチャの王ことジャック・スケリントンや、ジャックを想うつぎはぎ人形のサリーを描き、"クリスマス・タウン"の存在を知ってからは自分達でも『クリスマス』という行事を行おうとする…あの話です。

話は同じ(ほぼ完コピ)ですが…いかんせん画力が足りないですね。
そもそもこの漫画版の仕事を請け負った明日賀じゅん先生ですが、私はこの「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」で目にするまで知りませんでした。
なかよし出身の少女漫画家と聞いてなるほどと思いましたが、明らかに少女漫画でありがちな絵柄であるため、映画を想像して読むとガッカリするかもしれません。
いや、このサリーは数多く存在する映画のファンからしたら100%否定されるでしょう!
あくまで別物。少女漫画としての「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」だと理解した上で読んでください。
あの独特の不気味さやホラー色は期待しないで、一つの恋愛物語だと…ね。
画像を見てもらえば分かりますが、表紙だけはティム・バートン版のイラストを使ってまして、実際の漫画の絵はこれではないのです。

あと、明日賀じゅんというこの作者のペンネーム。
どこかで聞いた事があるな~と思ってたのですが…
そう、永井豪ファンの方にはお分かりでしょう、「鉄の処女(アイアンバージン)JUN」の主人公と同じ名前ではないですか!
それを思い出した私は、早速永井先生の単行本を調べたのですが…
漢字が明日じゅんではなく、明日じゅんでして、一文字違ってました。
明日賀じゅん先生が永井豪先生好きなのか、それは未だ謎のままです。

さらに余談ですが、この作品に出る幽霊犬の名前がゼロっていうのは、つのだじろう先生の名作「うしろの百太郎」へのオマージュですかね?
あれでも霊犬が出て、名前も同じですよね。
初めて映画「ナイトメアー・ビフォア・クリスマス」を観た時から気になってるんですけど!
…まぁ関係無いのでしょうね。

-------
漫画の話はここまで。
みなさんはどのようなクリスマスをお過ごしになるのでしょうか。
やはり恋人と恋愛ゲームでロマンチックな夜ですか?(ケッ!)

私は明日夜は教会の礼拝に行きます。
厳格なクリスチャンである・・・わけがない私ですが、儀式には興味があるのです。
悪魔崇拝者の方が多いのかと思われがちな私の友人の中にも、教会で勤務している者がいまして、今回頼んで連れて行ってもらうわけです。

それではまた。メリー・クリスマス!(また言っちゃった!)


  1. 2006/12/23(土) 16:40:06|
  2. SF漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

日野日出志装丁…友川かずき「詩集 吹雪の海に黒豹が」

HINO-TOMOKAWA-kurohyou.jpg

絵にインパクトがある日野日出志先生は、漫画以外でCDジャケットや本の装丁イラストの仕事もしていますね。

そんな中で特に私が気に入ってるのが、歌手・詩人・画家である友川かずき氏の作品「詩集 吹雪の海に黒豹が」のジャケ画です。
気に入ってると言っても実はこれ入手してから日が浅く、仲のいい古本屋さんが『こんなのが入ったよ』と声をかけてくれた物なのです。
自身の作品では無いためか、すぐに分かる日野キャラは使わずに、しかし日野作品でしか有り得ないこのイラスト。寒い東北の狂気まで表現された素晴らしい仕上がりです!

内容にもバッチリ見合ってるのですが、その内容である詩も天才の仕事。
まず詩を書いた友川かずき氏について簡単に説明すると、1950年生まれで秋田県出身です。

知られているのは歌手としての活動ですが、私はその孤高の創作にずっとしびれているのです。
中原中也の影響を受けて詩を書き始め、岡林信康の影響を受けて唄い始めたらしいのですが、作品は完全なオリジナリティが溢れる物です。
デビュー以来30数年が経ってますが、未だにこんな歌い方する人にもこんな詩を書く人も他で見た(聞いた)事がありません。フォロワーさえ生まれない程のその圧倒的な世界を持つ音楽は、もっと大勢の人に聞いて見て欲しい。

普段『君が好き』『いつまでも愛してる』『きっと夢はかなう』・・・
そんな耳触りのいい言葉(私には耳触り悪い言葉ですが)ばかりを、歌詞を少し変えては覚えやすいだけのメロディで同じように歌って売れてる代物とは全く別の音楽だと、一曲聴けば誰でも分かるでしょう。
かく言う私も、こんな日本語によるこの凄まじい表現を聴くと、せっかく日本人に生まれたのに普段は洋楽ばかり聴いてる(一部を除いて)毎日を、少し恥ずかしく思いますね。

アルバムでは"ハーヴェスト・レーベル"から出てる初期三作の「やっと一枚目」「肉声」「千羽鶴を口に咬えた日々」がどれも代表作ですが、次にレーベルを"ベルウッド"に移して発表した「俺の裡で鳴り止まない詩」「犬」「桜の国の散る中を」「海静か、魂は病み」・・・
どれも想うだけで胸が熱くなります。

上記のアルバムの後、5年も音楽シーンから引いていた友川かずき氏でしたが、1986年に「無残の美」で復活。
しかしそこからまた7年ほどアルバムを出さず…
その後1992年からはコンスタントにアルバムを発表するようにもなりました。全く衰えない、その才能には感激するばかりです。

大島渚監督の映画「戦場のメリークリスマス」坂本龍一氏がやってたヨノイ大尉役、あれは実は友川氏の方へ先にオファーが来ていたのですが、映画では秋田訛りを直してくれと言われた友川氏、『言葉を変えろって事は 詩を変えろって事と同じだからね、それは出来ないよ』と、断った時のエピソードを、やはり秋田訛りで語ってました。

今回画像に使ってる本が、そんな詩人の作品集「詩集 吹雪の海に黒豹が」なのです。

そして、同じく孤高の地位活躍し続けている大先輩、しかも同じ東北出身の三上寛氏とも交流が深く、ジョイントライヴ時の音源「御縁」もリリースされてます。
三上寛・・・1950年生まれで青森県出身のこの方も、友川かずき氏と肩を並べる凄い人であり、個人的な思い入れも大きいのです。
私は若く、暗い時期にいつもこの両氏の音楽を聴いて心地よく沈んでましたし、三上寛氏の方も詩集やエッセイを出版しています。若い時分に読んだ「上京入門」は、どれだけ愛読し、影響を受けた事か。イベントでやった詩の教室に行き、サインも貰った事がありますし、ライヴも何度も観ました。

「三上寛の世界」(ヤバいの内容の歌があったために即刻回収され、後に収録曲を一部変えて「三上寛のひとりごと」として再発)「ひらく夢などあるじゃなし/三上寛怨歌集」「三上寛1972コンサートライヴ零孤徒」「BANG!」「寛」「負けるときもあるだろう」・・・・
ここらへんがわりと初期の方での代表作ですが、近年でも音楽性を変えて歌手活動を続けていて、しかもパワーは衰えてません。

近年に過去の音源が次々CDで再発されたのと、未発表音源やレア音源まで発売されてます。
未聴の方には、血みどろの初期作品から聴いて欲しい。

…と、今回は日野日出志先生による装丁の仕事についてなんかを語ろうと思ったのでしたが、大好きな歌手に絡めたために、そっちの方に気持ちがいってしまって、時間も無くなってしまいました。
名作漫画ブルースは漫画ブログですが…
カテゴリーも"古本 番外編"にしたし、まぁたまにはいいでしょう。


  1. 2006/12/14(木) 23:16:57|
  2. 古本 番外編
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2

月刊漫画ガロ(24) 村野守美 1 「トランペットボーイ」「ニューヨークの神様」

MURANO-MORIMI.jpg

今回は村野守美先生を紹介しましょう。
いい作品をずっと描き続けてるわりには一般の知名度が低いようで、これではいかんのです。
少々地味な印象の作品が多いのと、大ヒット作がないのが原因かもしれませんが、作品数も多いしアニメ手法を頻繁に取り入れる事でも知られるベテランです。

1941年に満洲大連で生まれた村野先生は、戦争が終わって5歳の時に引揚げ船で日本へ戻ってきたそうで、その後は福島で育ちました。
中国にいた幼少時に下半身マヒになる大怪我をしていて、その後なんとか歩けるようにはなったのですが体に不自由は残り、上京して仕事をする歳になり、自分にできる事は漫画を描く事だけだと悟ったのだそうです。

世話になってた下宿先の叔父さんに『漫画家になりたい』なんて言ったらボコボコに殴られたそうですが、背水の陣で手塚治虫先生を真似描いたロボット漫画「弾丸ロンキー」が幸運にも雑誌少年 夏季増刊号に載り、デビュー作となりました。
それから憧れの手塚先生の元でアシスタントを始め、虫プロ東映でアニメ制作の仕事も手がけます。

私にとっては肝心なガロには1974から6、7年ほど、ほぼ毎月のペースで作品を載せていました。
この時の短編はガロのバックナンバーで読んでいるのですが、とてもGOODです。
村野作品が掲載されてた時期は雑誌ガロのかなりいい時代でもあり、確かにつげ義春先生やら他のスター漫画家と比べると、いぶし銀的な存在で目立ちはしないのですが、やはり必要な地位にいて、作品も私好みでした。

大友克洋先生が宮城県の高校在学時に上京して、この村野を訪ね絵を見せた時の話も聞いた事があります。
その絵は斬新だと評価され、悩んでたアニメの道より漫画を描くように、しかも高校出たらすぐにちゃんと描き始めるようにとアドバイスしたのだとか。

さてさて、今回お薦めするのはガロ掲載作品というわけではないのですが、これから村野守美作品を読む人を考えて、画像に載せた名作揃いの自選作品集「トランペットボーイ」「ニューヨークの神様」の全2巻(主婦の友社刊)です。
特にプレミアも付いてないので手に入れやすいですよ。

永島慎二先生の影響を感じる作品もいくつかあるのですが、童話「トランペットボーイ」(それにもっと毒を足したのは「カッコーの鳴く森」)や、シリアス物「ベンケイ」がそうですね。
斉藤隆介の童話を原作にした「花咲き山」「ソメコとオニ」なんてのもあります。

そしてその時代に主流だった劇画のような暗い内容の作品もありますが、村野先生の絵柄だと少し暖かく、優しい。
少年院で反抗を続ける少年を描いた「少年A」と、ナサニエル・ホーソーンの小説を原作にした「大きな石の顔」は特に名作です。

他にお薦め本は、私としてはやはりガロの青林堂から"青林堂 傑作シリーズ"と銘打って出版された「だめ鬼」「泥沼(どぶだめ)」「秘戯御法」「媚薬行」「龍神」になりますね。全て全1巻です。
「草笛のころ」「垣根の魔女」なども有名ですか。

今夜の作品集も本当は一つ一つを詳しく紹介したいレベルなのですが、残念ながら時間がそれを許さないので、それはまたの機会に。
それでは、この中に収録されてる作品「25MHZ(メガヘルツ)」のラストシーンより、操作がきかなくなった自衛隊ヘリがビルに突っ込む前のセリフを使わせてお別れです。そのままですが。


さ さようならあ…
み みなさん 艦長……



  1. 2006/12/12(火) 19:57:28|
  2. 月刊漫画ガロ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

手塚治虫(6) 「きりひと讃歌」

久々に手塚治虫作品を読みましょう。

今回は、とっておきの「きりひと讃歌」(大都社刊)です。
kirihito-sanka.jpg

1968年からビッグコミックにて連載されたこの名作は、ダーク手塚ワールドの代表作品にして、私の好きな手塚作品 BEST 3に名を連ねます。
絵のタッチは劇画調で、きわめてシリアス…というか暗い社会派作品ですね。

↑で画像に使った単行本は厚めの本で全二巻ですが、同じ大都社で全三巻バージョンもあります。
kirihito-sanka2.jpgkirihito-sanka3.jpg
もちろん私は両方持ってますよ。
他にレアな虫コミ版だとか、文庫、コンビニコミック等で何種類もありますが、簡単に読めますので未読の方は是非読んでみてください。

主人公である青年の医師・小山内桐人はM大学医学部で、謎の奇病"モンモウ病"(※)の研究をしているのですが、同大学の主任教授であり、師と仰ぐ竜ヶ浦医師の黒い陰謀によって犬神沢村に飛ばされ、自らが"モンモウ病"にかかってしまい…
いろいろあって、最後には主任教授の陰謀と"モンモウ病"の正体も暴く話です。

※モンモウ病とは
発症すると人間の体が犬のように変形していき、最後は呼吸困難で死ぬという病気です。
ただ死ぬのではなく、犬の様な風貌になるのがこの病気の恐ろしい所で、死ぬまでの間ずっと周囲からの差別や侮蔑に遭い、見世物にされたり…とにかく虐げられるわけです。

ストーリー開始直後に、小山内の学友である占部医師が小山内の婚約者である吉永いずみを強姦してしまいますし、「鉄腕アトム」が手塚先生の代表作だと思ってる読者にはきつい展開が予想されます。

ちなみにこの占部は、後に出てくるモンモウ病患者である南アフリカの修道女、ヘレン・フリーズをも強姦して孕ませます。
再びいずみを犯しもしますし、その後一応は改心しますが、精神を病んでトラックに突っ込んで死ぬという…酷いキャラですね~。

おっと、それより主人公の小山内桐人です。
彼は竜ヶ浦医師の陰謀で、四国は徳島県のモンモウ病が蔓延する犬神沢村へ送られ、そこででモンモウ病に感染し、これから彼の受難が描かれ続けるのです。
なるほど小山内桐人、"きりひと"という名前がキリストをもじっていたのですね。

犬神岳であてがわれたたづという女とやむを得ず夫婦になり、しかし唯一の味方になってくれた彼女も暴漢に殺されました。
その後は犬のような容貌のため化け物扱いされて殺されかけ、大富豪の万大人にさらわれて台湾まで拉致されて見世物として使われますが、人間テンプラ(どんなのかは作品を読んでね)の芸を持つ女・麗花と一緒に台北で逃げるのです。
しかし麗花は狂人じみた色情狂の異常性欲者で、かつてこびと、くも男、ゴム人間といったフリークス達を手篭めにして殺していて、小山内で12人目だと言う…

何とかその状況から抜けたら、次は高砂族の村で悪魔と思われて捕まり、台湾に足止めです。
そこでは医者としての手腕を見せたのに犬顔のせいで殺されかけますが、命からがら空港へ脱出…
と思ったら次はアラブゲリラに襲われて頓挫。
もう、邪魔や危機が次から次へと襲い来る不幸の連続なわけですが、何とか生き延びます。

たどり着いた街まで付いてきていた麗花も、ここでテンプラ芸の失敗によって黒焦げになって死にました。
それからも小山内は犬の顔で生き続けます。
砂漠の近くのある村では、医者の"犬の先生(ドッグ・ドック)"として必要とまでされますが、医者の専門書で竜ヶ浦医師の陰謀を知り、復讐のために日本へ帰りました。

まずはたづのひき合わせか、墓参りに訪れた犬神沢村近くの地で、偶然たづの仇である男に出会って墓に詫びさせました。
女性にして同じモンモウ病に苦しむヘレン・フリーズとも一度きりの邂逅。

もう一人、自分をこんな目に合わせた上に、『伝染病説』として間違った"モンモウ病"の原因を学会に発表して医師権力のトップに出ようと企む竜ヶ浦教授に会わなくてはなりません。
そこで日本医師会トップを決める会長選挙の場に乗り込み、竜ヶ浦教授の黒い陰謀をばらすのです。
さらに『風土病説』を実証までするのですが、結局竜ヶ浦教授が当選してしまいました。
しかし、自身もモンモウ病にかかるという末路でした。

ラスト小山内は、自分を頼りにし、帰りを待ちかねているあの砂漠の村へ旅立ち、元々の婚約者だったいずみも彼を追って日本を旅発ち、この「きりひと讃歌」は終わります。

-------
派手なサスペンスや暴力シーンもありますが、強力な人間ドラマであるこの「きりひと讃歌」
こんな風にお話だけなぞったのでは分からない、絵による上手い表現だとかも当然多くありますので、是非実際に作品を読んでみてくださいね。
暗い雰囲気にはつつまれてますが、ラストは一応希望がさしてますしね。

最後に余談ですが、この作品でモンモウ病にかかる原因が、発表当初はある物質に放射能が含まれていたのが原因という設定だったのに、そこは修正されたそうです。
放射能による奇形…これは実際に誰でも写真くらいでは目にしてるはずなのに、やはりタブーのようですね。


神!
そんなものいるものか
すくなくとも 犬になりさがった人間を
救える神なんか 存在するものか



  1. 2006/12/10(日) 23:59:01|
  2. 手塚治虫
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1

亀有(「こち亀」の舞台)の両津勘吉像

RYOUTUBRUCE.jpg

以前この名作漫画ブルースで紹介させて頂いた「こちら葛飾区亀有公園前派出所」ですが、「こち亀」と言えば当然亀有。
この葛飾区の北端に位置する亀有へ、私ことBRUCEも友達を誘い、先月行ってまいりました。

実は亀有には二年前くらいにも来た事があるのですが、今回はまず今年2月に建てられた、両さんの銅像を観に行ったのです。
亀有駅前、二つの出口のそれぞれに、両さんこと両津勘吉巡査長は立ってました。高さは160cmほどらしいです。
もちろん写真を撮りまして、それが今回の画像です。(右の写真に私がいます!)
同じ東京とはいえ、西側に住む私には、遠い東の亀有ですが、目的の銅像との対面は…写真撮って10秒で、はい終わり。
銅像の近くには、「こち亀」のモデルとされる派出所(今は交番と言うのか)もありますよ。

次は下町風情もまだ残る商店街を歩き回ってみました。古本屋も数件あったのですが、イマイチですねぇ。収穫は無し。
しかしこの駅周辺は映画「模倣犯」で見た風景ではあります。

以前来た時より街が栄えてましたが、"アリオ亀有"なる大きなショッピングセンターも出来てました。
映画館やスーパー、それにショップ数にも驚くのですが、フードコートの広さと活気が凄い。
様々な種類の食べ物をごちゃ混ぜに集めていて、外国を思い出しますが…ここは全然亀有のイメージじゃない!
でもここの三階にあるゲームセンターは"こち亀ゲームぱ~く"。
スタッフが警察の制服みたいなのを着ているので何か怖いですが、店内の一角に両さんの派出所を再現した所があって、原画やフィギュアを展示してます。
それに、他でも以前にも増して「こち亀」は町興しに使われまくってました。
町中「こち亀」の旗やポスターが使われてるし、"ごち亀"なんて名の飲み屋があったりもして。

その後は以前も来たBARSWEET WaTERへ。
ここは私が大好きなバンドである山猫THE DASTのメンバー二人がやってる店です。
激しい音楽をやっていても人柄は最高なお二人。
ライヴハウスではお会いして話したりもできるけど、じっくり話せませんからね。前回来た時は朝まで呑み続け、語ったものでした。
まして現在はドラマーの不調でバンドも休止中ですから、会える機会は貴重だし、嬉しい事なのでした。
それから数日前、近所(高円寺)のライヴハウスへ目当てのバンドを観ていたら、何と会場にいらしたお二人にバッタリ会いました。
他のバンドのヘルプで入ってたとの事でしたが、私はこの日は目当てのバンドBABYLONS(バビロンズ)の時間に合わせて行ってしまったので、そのプレイは観れず残念でしたが。

おっと、話が漫画からずれてしまいました。
まぁ「こち亀」ほど有名じゃなくても、漫画ゆかりの地にはこれからもどんどん行きたいと思います。
みなさんも、お薦め漫画の舞台になった地とかミュージアム等、知ってましたら教えてくださいね。
お金さえあれば地方にも、古本巡りも兼ねて伺いたいと思いますので。
  1. 2006/12/08(金) 00:06:40|
  2. 古本 番外編
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:5

SF漫画 (5) 桑田次郎 1 「怪奇大作戦」

KUWATA-JIRO.jpg

この方も凄い人です、桑田次郎先生。

1935年に大阪府で生まれた桑田先生は、何と1948年、つまり13歳にして「怪奇星団」で漫画家デビューしています!
しかも既に絵は上手いし作風も確立されていたというから、かなりの天才と言うより他ありません。

次々作品を発表しますが、原作付き作品とはいえ「月光仮面」「まぼろし探偵」「8マン」「デスハンター」「ウルトラセブン」といった、私の世代でも有名な作品を手がけてまして、「ゴッドアーム」梶原一騎先生とも組んでますよ!

このデザイン力と都会的で洒落た絵柄のヒーロー達は、いかにも頼もしい正義の味方!
その動きもアメコミ的なダイナミックさが魅力です。

私が桑田次郎先生に注目し始めたきっかけは、丸尾末広先生とガロで対談していたからです。
何とあの丸尾末広先生が、少年時代から一番憧れてたのが桑田先生だと語って対談も実現させて、貴重なコレクションの公開もしてました。

私の手元には後に復刻されたサンコミックス(朝日ソノラマ刊)の単行本がいくつかあるのですが(これらもとっくに絶版)、今回紹介したいのは「怪奇大作戦」です。

------
「怪奇大作戦」・・・・
これは円谷プロの特撮TV番組を漫画化した物で、1968年から月刊少年ブックにて掲載した作品です。
雑誌に掲載されたのは、1話読切型の話で全6話。
しかしこの単行本には、ページ数の関係との理由で1話目が収録されていないのが残念でならないのですが…。
たった6話しか描かなかったのは、TV番組の方が子供には難解すぎて人気が伸びずに打ち切りとなったからですが、そのTV番組の方もコアな特撮マニアから現在でも根強い人気を得てますね。

TVも「ウルトラセブン」に続いて放映されたのですが、その「ウルトラセブン」を漫画化して好評だった桑田次郎先生が再び頼まれた仕事のようです。
しかし桑田先生独自の脚色を加えてますし、オリジナル作品も3話あるのですよ。

複雑で怪奇的な、警察の手に負えない事件を請け負うSRI(科学捜査研究所)という組織が科学的捜査で解決していく話です。
主人公は三沢京助で、個性豊かな他のSRIのメンバー達と活躍するのです。

怪事件の犯人として出てくるのは、復讐に執念を燃やす男が使う恐ろしい肉食虫の"ピラニア虫"や、吸血鬼になった少女、両親を殺されて寝たきりになった少年の生霊、人工的に夢遊病にさせて人を操る催眠術師、高度な知能を持ち人の血を栄養にする植物。

こんな奴らを相手取って活躍するSRIのメンバー達には、少年時代を思い出してワクワクしてしまいます。
そう、子供の時はこういう怪奇要素の詰まった話が、怖いのに大好きだった…

起承転結を分かりやすくまとめた展開が、いろんな大人漫画を読んでひねくれてしまった方には若干物足りないかもしれません。
でもこういう作品を読むときは、子供向けの特撮番組でいちいち怖がり、ワクワクドキドキしていた少年少女の気持ちに戻って読んでもらいたいものです。


  1. 2006/12/06(水) 08:24:30|
  2. SF漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

週刊少年ジャンプ(12) 岸虎次郎 1 「COLORFUL」

KISHI-TORAJIRO.jpg

たまにはこんな作品も…って事で、今回は岸虎次郎先生の「COLORFUL(カラフル)」です。
1997年からYOUNG JUMP(ヤンジャン)で連載していた作品で、単行本は全7巻(集英社刊)です。
オールカラーで、フルCGですよ!

これが岸虎次郎先生のデビュー作なのですが、この人の経歴とかはほとんど知りません。
単行本3巻の帯文から、横浜出身なのかとか分かるのですが、いくつか出てるこの後の作品も買ってないし…

この「COLORFUL(カラフル)」にしても、勢いで買っちゃってただけなのですが、連載当時大笑いして読んでました。

一話完結型で4ページのショートショート作品として毎週描かれてたのですが、スケベ少年(普通にですけど)猪谷、スケベ黒人スティーブ、スケベ教師と女生徒の山本・・・
そういったおなじみキャラが登場する回も多いです。

手を変え品を変え、パンチラ、谷間チラ、パンやブラの線…そういった見えたら嬉しいモノに小躍りし、それが見えるスポット探ししたりしてます。
別にエロ漫画じゃないですよ。
熱い男達の戦う話です!
…って言ったら大げさですが、小ネタ使ったギャグセンスが抜群なので、大笑いしてサラッと読めるでしょう。

こういうネタでここまで続けて、しかの質が落ちないのは驚異でした。
ブスと美人に対する扱いの違い描写が本当にうけますし、岸虎次郎先生は、そそるポイントを熟知してるので勉強になりますよ!

全7巻の、その全ての帯にある背表紙の文を紹介しておきましょう。
1巻・・・これぞ男心!
2巻・・・さらに男心!
3巻・・・だから男心!
4巻・・・そして男心!
5巻・・・だけど男心!
6巻・・・やはり男心!
7巻・・・まさに男心!
と、こうあります。
ここまで男心を強調されるまでもなく、これは男だけに通じるギャグネタだとは思いますが、女性読者の方々、どうなんでしょうか。

普段は"読み捨て"など出来ない、濃い漫画を薦めてる私ですが、今回の「COLORFUL」は…
まぁ、一回笑って捨てるのもありでしょう(笑)
『くっだらね~』とか言いつつ、良く分かるし笑ってしまう。そんな漫画でした。


  1. 2006/12/04(月) 00:00:51|
  2. 週刊少年ジャンプ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

ホラー漫画(6) 好美のぼる 1 「妖怪屋敷」「亡霊先生」「呪いの肌着」

YOSHIMI-NOBORU.jpg

異色のホラー漫画家、好美のぼる先生を紹介しましょう。

1920年の兵庫県生まれで、苦学して日大に行ったという好美先生の、漫画家デビュー時のペンネームは原やすみでした。
漫画家になった当初は小学生向けの少女漫画を描いてたようですが、その後は貨本漫画家→B級ホラーの書き下ろし単行本漫画家と進んだパターンの方で、当然このコースを歩む漫画家の例にもれず『とにかく描け』とばかりに作品を量産していました。
1989年に漫画家を引退するまでに長いキャリアで量産し、膨大な著作を上梓しているわけですが、その全部が何かズレてる、一貫した変漫画。
ホラー漫画家引退後は得意のおり紙(可愛い!)で教室を開いたり、本も出してます。
そして、1996年に亡くなられました。

私が好美のぼる先生を注目し始めたのはちょっと遅く、中学生の時。
それで『遅く』と言えるのかは分かりませんが、ホラーを本当に怖がれる小学低学年の時に日野日出志先生、森由岐子先生、さがみゆき先生らには出会ってましたからね。

ほら、もう中学生になると、一応読者を怖がらせる目的で描かれたのであろうB級ホラーを、お笑いとして捉えてましたから。
今回紹介している好美先生との出会いのきっかけ、それは大槻ケンヂ氏(オーケン)の著作「のほほん雑記帳」の中の、お薦め本紹介ページでした。
私はこの当時オーケンを愛してましたので、とにかく関連音源や書籍は全部集めるように心がけてましたし、彼が薦める本・映画・音楽を全て追っていたわけです。

そこでオーケンが薦めてた好美のぼる作品は、「妖怪屋敷」(曙出版刊)。
これは、大学浪人生の主人公が家庭教師をするため訪ねた大屋敷を舞台に、ただただ怖がるだけの話です。ほんと~に怖がるだけ!

--------
「妖怪屋敷」・・・・

ある部屋の扉を開けると、そこには前に来た家庭教師のものと思われる死体があり、屋敷中の部屋全てを調査するのですが、どの扉を開けてもそこには妖怪がいるのです。

逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
また逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまたまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまたまたまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて、
またまたまたまたまた逃げる主人公は次の扉を開けるとそこには妖怪がいて…

これを何と全部、一妖怪ごとに見開きページを使い、50ページかけて25匹の妖怪を登場させるという、とんでもないアイデアを使った大爆笑の…おっと、大恐怖の名作なのです。
妖怪図鑑としても役立つ事は言うまでもありませんね。
前書きには『日本の妖怪たちを この一冊に全部封じ込めた』と、あります。

この「妖怪屋敷」はあまりにも有名なので、他の作品をもうニつほど紹介しましょう。
基本的に好美作品はどれも突っ込み所満載なのでどの作品でもいいのですが、「妖怪屋敷」と違って入手が容易な作品を選んで…

--------
まずはそうだ、「亡霊先生」にします。(画像左)

女子中学に赴任してきた美人教師・相沢ミツ子はすぐに皆の憧れの的となりますが、何故か主人公の少女・乙馬千代子だけがその教師に嫌われ、しだいにミツ子先生ファンのクラスメートからもいじめられ始めます。
千代子以外は放課後の特別講習を受けるのですが、こっそりあとを付けてみたら場所は墓場で、化け物に襲われる…。
その次々と襲ってくる化け物ですが、毛むくじゃらのモノは水木しげる漫画の妖怪のようですし、ウニョウニョと湧き出て体に這い上がってくる蛆虫のようなモノは日野日出志漫画を彷彿とさせます。(その両先生の10分の1の時間で描いたような下手な絵ですけど)

まぁそんな話なのですが、タネを明かしてしまうとミツ子先生は実は亡霊で(タイトルでばらしてますが)、彼女は自分が生き返るために生徒達の精気を吸っていたのです。
定番の怪談的展開ですね~。
その後、何故千代子だけが精気を吸われなかったのか分かるのですが、それはいつも持ってるお守りのおかげでした。
さらにお守りを持たせてくれてる母親から、"攻めのお守り"というのも授かり、妖怪退治漫画のごとき展開になっていくのです。

この最後の決戦に現れた千代子の顔は、小泉八雲「耳無し芳一の話」のごとく、全身にお経が書かれているのですが、まともに字が書いてあるのは最初の登場シーンだけで、次のコマから簡単な線だけでごまかしてます。
完全に好美先生、手抜きです!(そもそも作品自体が手抜きなのか…)

最後はお約束の不幸話で、ミツ子先生はこんな目にあったのだから亡霊になっても仕方ないんだとばかりに語られ、
『もう二度と先生の霊が出てくることはないでしょう』
のナレーションで終わり。

好美のぼる先生の作品は、吹き出し以外の書き文字が面白いですよ。
声も擬音も同じ扱いで、
アッ ミンナガ キエタッ キエタッ
カァサン ドウシテ
ギャッ ウワー ギョッ

といった具合に使われてます。
何故かカタカナになるのですね~。

あとは、意地悪な事を考える人に必ず浮かぶ眉間シワがいい感じですね。

--------
次は「呪いの肌着」。(画像右)

父と娘の幸せな家庭に嫁いできた継母・加代は、実は隠し子がいる上に前夫の残した莫大な借金があった。
そこで、どんな悩みもある人を呪えば解決できるという"万霊教"の力を借りるのです。
そして何故か義理の娘・三也子を呪うのですが、さらに何故か三也子の肌着(下着)に呪いをかけるのです。
その肌着を着ている呪われた三也子は、夜中に髪と目が真っ白になる変身して、通行人や動物を襲うようになって…

と、こんな感じの出だしですが、好美のぼる作品において、ストーリーだけを語る事にはほとんど意味が無いし、つまらないのでやめておきましょう。

ただ「呪いの肌着」は、いくらなんでもひどい、無理矢理すぎるハッピーエンドだけでも、お間抜けバカ漫画(いちいち言うのも何ですが、それはいい事ですよ!)の殿堂入りなのです。
それと何度か出てくる、ステレオタイプな田舎者描写が可笑しいです。

--------
絵が下手すぎなのは見てもらえば分かるのですが、漫画の魅力は絵の上手さではありません!
特にこういったB級ホラーでは、『そこがいい』って事にもなるのです。

どうも今回は好美のぼる先生の良さを伝えきれませんでしたが、今までマークしていなかった方も名前だけ覚えてから、今夜は寝て欲しいですね。
それではおやすみなさい。


  1. 2006/12/02(土) 18:52:36|
  2. ホラー漫画
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する