大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

ご報告

今年、2007年に入ってからの私…

このブログで報告しているような、漫画家さんに続けて会っただとか、スーフェスに行っただとかの他に、実はいろいろありました。

まずバイクに乗ってたらおまわりさん(公僕)に捕まって罰金を取られ、アパートで小火(ボヤ)起こしちゃって…
後者は本当に私のコレクションの危機でした。ススを被る程度で済みましたが、怖い事ですね~。

そして今度は、この名作漫画ブルースを書くのにも使っていたノートパソコンが壊れました!
今は友達の家に寄ってパソコン借りてこれを書いてるわけです。

暇な時に宗教の勧誘のおばちゃんが来たので、ネタになるかと相手してみたら一緒に聖書読まされたりして、しかもそれを腹の中で笑いながらだったのが良くなかったのでしょうか。
いや、呪いとかバチとかくだらないと思うのですけど、負のエネルギーに溢れた"人間"の持つ気だけは本当に恐ろしい。
どんなに人の足を引っ張っても、自分が正しいとか正義だと信じて疑わない人間ね。

嗚呼、次は何でしょう? どんな不幸が私に!?

手の骨、いや首の骨を折るのでしょうか!?
失明するとか発狂するとか…
コレクションが盗まれるのも恐ろしい。
家族が惨殺されるとか!?

な~んて、大抵の事はネタにして笑える私ですが、パソコンをどうにかするまでこのブログの更新が遅れると、そういう報告をしたかっただけでした。
紹介したい漫画やネタはまだいくらでもあって、準備もしているので、直るか買い替え次第またアップしていきます。
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  1. 2007/01/19(金) 23:20:13|
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スーフェス報告

昨日は韮澤靖先生とお会いしたと「ココ」で報告して、彼がイベントのチラシやパンフにイラストを描いているSUPER FESTIVAL 41(スーパーフェスティバル41) に少しだけ触れましたが、去る1月7日(日)に行われたそのイベントに私も行ってきました。

それは略してスーフェスと呼ばれるおもちゃオタクさん用のビックイベントであり、「古今東西のおもちゃが大集合するおもちゃの展示・即売イベント」というもので、まさにおもちゃのお祭りなんです!
パンフにもGET THE TOY !!と、あります。
1992年から開催しているようですが、最近は随分お客が減ったのだとか…
いや初めて行く私から見たら、こんな人ごみは嫌だってくらいの盛況なんですけどね。むしろカオスとしか思えない会場内だったので、最盛期はどれだけ凄かったのでしょうか。

当日は朝早くから九段下駅で降りて、会場である建物がカッコいい科学技術館へ向かいました。
AM10:30開場というのに09:00前には会場に到着したのですが、すでに長蛇の列が出来ていました。他に友達も同じくらいの時間に三人来て、ひたすら始まるのを待ったのですよ。

東京の人は行列大好きなように思えますが、私はとにかく"待つ"事が嫌いで、ラーメン屋ごときでは絶対並ばないし、この日は人生最長の待ち時間を使ってしまいましたが、そもそもおもちゃにはほとんど知識も興味も無い私が、これに行くに至った理由、発端とは!?

イベントにはいつも多彩なゲストも参加して、サイン会やトークショー等の企画があるのですが、今回は…
伊藤潤二サイン会 があったのです。
このサイン会も最新刊「潰談」の帯に載ってた宣伝で知った次第でして、おもちゃマニアの友達にも声をかけてみたら、彼も"当然"行くと知ったわけです。

さらにさらに!
他のゲストが「シベ超」こと「シベリア超特急」では素晴らしい演技(セリフ全部棒読みです!)も見せてくれている映画評論家の水野晴郎(マイク水野)監督と、初代「ウルトラマン」ハヤタ隊員役をやった黒部進氏で、共にサイン会もあるのだから、これはどう転んでも楽しくなるのが目に見えてるではないですか!!

もちろん、おもちゃの店自体も楽しみでした。私でも欲しいおもちゃはたくさんありますからね。
私などはとても近づけそうもないワンフェスと違い、自作フィギュアは無いし、コスプレの人はいないしで、オタク要素は意外と薄かったです。
客層もオタクなおじさん達だけではなく、若い男子や、さらには男のストイシズムやプライドによる行動など理解できっこないであろう(笑)ギャル達も目立ちました。

さてこの画像、「シベ超」Tシャツへサインを貰った私と水野晴郎閣下とのツーショットです。
MIKE-MIZUNOBRUCE.jpg

水野閣下と写真を撮れるというのに、何も考えずに丸尾末広Tシャツ(もちろんグロい)を着て行ってしまったのには少し後悔してます。
しかし子供の頃からテレビでおなじみだったものの生で見るのは初めての水野閣下、どう見てもヨボヨボの小さい老人で、少しビックリしました。
もちろん、それがいい味を出していたのですが。やはり男はシワの数で勝負です!
今年で76歳ですし、昨年倒れたとかってニュースも映画秘宝か何かの映画雑誌で読んだ覚えがありますが、いつまでも長生きして、愛されるクソ映画を作り続けて欲しいです…
そうそう、一緒に俳優の西田和昭(ぼんちゃん)も来ていて、二人でマイクパフォーマンスも行ってましたよ。
この二人はかつて、新宿のトークライヴハウス"ロフトプラスワン"にゲストで来て大槻ケンヂ氏と面白トークをしてたのですが、ちょうどその模様を収録している本「オーケンのほほん学校」を読んだばかりだったので、感激も20%アップ。

おっと。
何故こんなおもちゃのイベントに水野晴郎閣下がいるのか。
それは、「シベ超」フィギアの限定品をリリースしたからですね。
後で書きますが、 凄い集金システムを作っていた伊藤潤二先生のサイン会とは違い、売ってる物の値段も良心的だし、並ぶ人も少なくて、大満足です。
水野閣下とお会いして、サインも頂いた。
これはこれからまだ続く私の人生に、一つのネタとして使われ続ける事でしょう。

そして次は、このスーフェスに足を運ぶきっかけとなった伊藤潤二先生の方のサイン会。
まずAM09:00前に会場前に着いて、10:30の開場を待った事は昨夜既に書きました。待ちに待って、入場料の1000円を払ってついに会場入りした私は、さらに伊藤潤二先生関連のグッズ販売の開始を一時間以上待たされましたよ。
サインをしてもらう権利として整理券を買うのに1000円がかかるのですが(色紙付き)、その前にここでグッズを2000円以上買わないと、その整理券を買う権利も無いのだから大変です。
この会場限定で伊藤潤二先生の有名キャラクターである富江双一のフィギアを販売していて、それが小さいのに各2000円です。
まぁこういうのは両方買わなくちゃ駄目って事で、二つ買って4000円でした。

さらに午後のサイン会開始時刻を待って、それからまた一時間以上待ち!
グオー、いい加減にしてくれ~!本当に私、ただ待つのって苦痛でならないのです。
このトータル4時間を軽く越える待ち時間と、出来上がっている集金システムにも参りましたし、待ち時間は順番だからずっと同じ人が前後にいるわけですが、すぐ後にいた女性二人組があまりにもうるさかった。話の内容も聞こえてくるから聞いてると、あまりにも愚劣でつまらないし…
実際、他にも伊藤潤二先生のファンである女性が少なからず目につきましたが、やはりおもちゃには全く目もくれず、先生のサインを貰ったら即帰る様子でしたね。

とにかくそんな試練を乗り越えて、やっと伊藤潤二先生ご本人と対面出来ました!
ITO-JUNJI-SUPER-FESTIVAL-41.jpg


伊藤潤二先生がサイン会だなんてかなりレアでありますし、既に書いたようなわけで、なかなか大変な思いをしてサイン権を手に入れただけあって、感激は大きかった。
色紙には、富江か双一のどちらかを指定して描いて貰えるのですが、これが一つずつ丁寧に、墨を筆につけて絵を描いてくださるのです。

他に特典として、整理券を買うと貰える1枚の色紙の他に、一つだけ持ち込み本にもサインをしてくれるとの事。
そこでどの本を持って行くか悩んだのですが、何故なら私は伊藤潤二作品は全部持っているものの、先生の作品は現在、レアな本が一冊も無いのですよ。
この名作漫画ブルースで以前先生を紹介した時に画像に使った、ネムキ3月号別冊の「伊藤潤二WORLD」はムック本だから再発も無いので、現状でプレミアは付いてなくても出回りが少ないし、サイズは大きいから最適かとも思ったのですが、やはり後世まで残すには状態を良く保てる単行本の方がいい…
それで、最初に出たA5版のヴァージョンでは少し珍しい上、内容はかなり質が高い、平成5年初版発行の短編集「サイレンの村」にしました。

昔からのプロフ写真と全く変わらないし、実年齢よりはるかに若く見える伊藤潤二先生。
お願いして写真を撮らせてもらい(それが今回アップした物)、握手までせがんだ図々しい私ですが、一貫して伊藤先生の態度には冷たい物を感じたという事は、残念ながら一応報告しておきましょう。
握手なんてただ手を差し出してくれただけで、全く力入れてなかったし(泣)。
正直悲しかったけど、いくら私が著作を大好きだと伝えた所で痛いファンだとしか思われなかっただろうし、私も緊張していた上に、接触した時間も少ないので、まぁいいでしょう。
…いや、これではかなり感じ悪く伝わりますが、握手した手が完全に脱力してた所など、もう”ホラーな目に”合わせてもらったようで、今思えばいい思い出です。

で、これが実際に頂いたサイン色紙。
tomie.jpg

そう、私は双一かと思いきや、普通に富江を描いて貰ったのでした。でも、まだ乾ききってないのに袋に入れたため、若干墨が伸びて汚れを作ってしまいました…

とにかく、スーフェスはおもちゃのビックイベントですので、私も少しはGET THE TOY !!してきました。
私が探すフィギアは、やはり漫画系。つまりアニメやゲームのキャラではなく、いやアニメのキャラでも原作が好きな漫画の物ばかりです。
そうすると数は少ないのですが…
まずデビルマン関係と、楳図かずお物を数点、おみやげ用にナイトメアー・ビフォア・クリスマス、他には大好きなH.R.ギーガーデザインのエイリアン(Alien)物とか。
梶原一騎原作で昔のアニメの物は、完全にビンテージ扱い品しか無く、高くて買えませんでした。

実は一番探していたのは石森章太郎先生の関連品でしたが、見事に無い。
アニメ「サイボーグ009」等や、数多くの特撮物のおもちゃなんかいくらでもあるかと想像していただけに、残念でした。財布の中身は助かりましたけど。

そうそう、既に水野晴郎閣下と伊藤潤二先生のサインを頂いた事は報告しましたが、もう一人のゲストが初代「ウルトラマン」こと黒部進氏だと言うのも書きましたね。
午前午後と二回開催していたこちらのサイン会も、長蛇の列が出来上がってました。当然私はそこまで貰う事は出来ずにスルーしたのです。
何しろ特撮番組の王様である「ウルトラマン」の英雄ですから…
どう見ても若者には真似出来ない、濃いコレクション部屋を持ってるのであろうおじさん達がたくさん並んでました。
梶原一騎先生の言う剣道三倍段では無いですが、特撮三倍段という言葉がありまして、つまり特撮オタクは他のオタクに比べて三倍濃いと言われてますからね。

会場である科学技術館が九段下駅の近くでしたので、当初の目的を果たしてクタクタになった後は、一人で(既に友人三人も帰っていた)靖国神社へ行き、参拝して帰りました。

…はい、スーフェス報告終わり。
次回からは、また漫画紹介に戻ります。
  1. 2007/01/16(火) 10:33:49|
  2. 古本 番外編
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韮澤靖先生→羽生生純先生

NIRASAWABRUCE.jpg

2007年私の外呑み初めは、1月2日でした。
友人からの突然の誘いを受け、ついでにもう一人友人を誘って男三人で、私の住む阿佐ヶ谷の開いてるお店へ新年の挨拶がてら呑みに行ったのです。


まずは漫画家が集まる事で知られ、店内はやはり漫画家のサイン色紙だらけの居酒屋"ラジオ屋"へ。
今は泣き、そして同じ阿佐ヶ谷に住んでいた永島慎二先生、他に水木しげる先生、東陽片岡先生、寺田克也先生…他にもビッグな漫画家達の色紙が壁紙になっている、いいお店です。


続いて行った"JUMB JUMB"は、安く呑めるのもいいのですが、定期的にあがた森魚氏のライヴをやっているので、その時もお邪魔してるお店です。
ここでは常連の韮澤靖先生を発見しました!
「韮澤版」としてかなり素敵なデザインのデビルマンMARILYN MANSONのフィギアで知られる造型師、そしてイラストレーターですね。


我々も音楽マニアな友人達と、お店で流れるBGMに合わせて濃い話をしていたものですから、光栄にも韮澤靖先生の方から話しかけてきてくれました。
さらに、ちょうど私は友人達を"SUPER FESTIVAL 41"(スーパーフェスティバル41) というイベントに誘うために、そのイベントチラシを持ってまして、そのチラシのイラストも韮澤靖先生が描かれているものですから、その事でもお話したりして。
一緒に写真も撮らせて貰ったので、今回はその画像をアップします。
右がMARILYN MANSONのロングTシャツの上にMY BLOODY VALENTINE(マイブラ)のTシャツを着てる素敵な韮澤靖先生で、左は既にかなり酔っ払い顔の私・BRUCEです。


それから何と突然の話で、一緒に呑んでた友人の知り合いでもある漫画家・羽生生純先生のお宅訪問!
お宅は場所を少しだけ移動した高円寺でしたが、以前私が住んでたアパートのすぐ近くでしたよ。
映画化された「恋の門」や名作「青(オールー)」等でも知られ、そして私も現役漫画家ではトップクラスで好きな羽生生純先生ですから、本では分からない私生活を垣間見て、いろんな裏話も聞けたし、当然貴重な体験でした!!
羽生生純先生のお宅を去ってからも、他の友達と合流して朝まで呑んで、新年から長く楽しい一夜でしたよ。


それでは次回の"名作漫画ブルース"は、その後実際に行った"SUPER FESTIVAL 41"のレポにしましょう。

  1. 2007/01/13(土) 15:53:23|
  2. 古本 番外編
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劇画(19) 真崎守 2 「丈八しぐれ」

MASAKI-jouhachi-shigure.jpg

今夜は真崎守先生の「丈八しぐれ」を紹介します。

サンコミックス(朝日ソノラマ刊)で全一巻。 昭和四十七年初版発行です。
これは『あっしには関わりがねぇこって』のセリフがカッコイイ、「木枯し紋次郎」シリーズで知られる笹沢左保の小説「狂女が唄う信州路」が原作。

これがまさに男!そう、"男漫画"として最高なのです。

舞台は天保十年で、主人公は信州無宿の旅人・丈八
彼は、誤って農家の女房・お島の右腕を切り落としてしまった過去を持っています。
そのため二度と抜き身を手にしないと誓い、以後抜き身を手にしたら自分の右腕を切り落とすと証文を入れて、その剣の腕を封印しているために"抜かずの丈八"と呼ばれています。

冒頭で花嵐の弁という若者にからまれ、そいつを抜きもせずに軽く一蹴した事で慕われて付きまとわれるのですが、すぐに賭場の手入れで捕まり、弁共々江戸小伝馬町の牢屋に入れられるのです。

2部構成になっているこの「丈八しぐれ」の、第1部はこの牢屋の中での話。

入れられた牢には、かつて襲われてる女を助けるために川の中に放り込んだ、三津田の仙太郎という男がいまして、こいつにが"牢屋主"の次に偉い"一番役"という地位にいるために、丈八は虐めぬかれます。
上の者が気に入らない奴は、夜中のうちに簀巻きにして殺しても、医者にワイロを渡せば"急死"として片付けられてしまう地獄世界。
そこで丈八は毎日毎日、死なない程度のリンチを受けまくるのですが、その酷いリンチ描写が痛そうで苦しそうで辛いのです。

丈八と同じ出身地だというだけで、漬け物の上水を体中にふりかけられて何日も痒さでうなされ続けた上に殺された佐助や、処刑のために牢から連れ出される奴を見て、丈八は言います。
『世間の知らないところで 一つの命が消えるだけのことだ
病気で死のうと シャバで死のうと 同じことでしかない
生きる目的のある身体でもなし
その時がきたら 仙太郎と刺し違えて死んでもいい』

と。
強いはずなのに、牢屋に入ってからずっと無抵抗でリンチを受けてる丈八も、命に執着は無くても刺し違えるくらいの気構えはあるのですね。

そんな中、"作造り"が始まります。
"作造り"とは、人減らしの事。
人数が多くなってみんなイライラしてくると騒ぎがおこる前にやる事らしいのですが、そのやり方は一緒に牢に入った渡世人・鉄砲の吉兵衛に言わせると、
『顔に濡れ雑巾をかぶせといて……
体重のある者が胸の上へ思いきり乗りかかる
殺られる奴ぁ声もでねぇ』

と、こうです。
これを一晩に三人殺して十日ほど間を置き、おそらく十二、三人やられる。怖い目をさんざん見せつけておいて、最後は仙太郎によって丈八が選ばれるはずだという読みがあったのですが…
しかし、何と反・仙太郎の気運が強かったらしく、最後に"作造り"されたのは仙太郎でした!

そして同じ賭場で捕まった、抜かずの丈八、花嵐の弁、鉄砲の吉兵衛が揃って出牢して第1部は終わり。

続いて第2部。
牢で世話になった吉兵衛の娘が嫁いだ地へ、三人揃って向かいます。
そこで娘のお京に会うのですが…友蔵という名のならず者に手篭めにされたため、彼女は狂っていました。

当然渡世人である吉兵衛は、友蔵に落とし前を付けなくてはならず、丈八もそれに助っ人として手を貸します。
そこで友蔵の身を預かる牧野の伊兵衛一家とも戦わなくてはならなくなるのですが、今まで付いてきていた弁の奴が、実は丈八が右腕を切り落としてしまったお島の弟であり、最初に賭場で捕まった時にたらしこんだのも彼だったようです!
つまり本当は丈八が殺されるのを喜んで見物したかったのですが…
狂った吉兵衛の娘を見てると義憤に駆られ、結局弁も助太刀します。

そして弁は友蔵に切りかかるのですが、その友蔵の意外な正体を見て、ビックリして逆になます斬りにされてしまいました。
吉兵衛の仇・友蔵の意外な正体とは…
何と、牢屋内の"作造り"で死んだはずの、仙太郎でした!
彼は島送りと決まっていたお仕置きから逃れるため、策を練って死んだ事にし、まんまとシャバで名を変えて暮らしていたのです。
殺された者がワイロで病死になる牢屋の世界で、生きてる者が死人として出たのですね。

弁に続いて吉兵衛まで斬られ、ついに抜かずの丈八は呼び名を返上し、長脇差で仙太郎=友蔵に斬りかかる!
その時の斬りかかりながらかける声が、
『これが……佐助のぶんだっ
これが弁のぶんだっ
これが……とっつぁんのぶんだっ
これがっ おれのぶんっ』

そう言いながら太刀を敵の身体に入れていく。
似たようなカタルシスの上げ方は、後に「北斗の拳」等でも使われたりしてますね。

そしてラスト、抜かねえと誓った刀を抜いてしまったので、それを誓った相手に右腕を斬り落として貰うために、丈八はまた旅をする…

完。


ラストの、意外な推理モノのような趣向から、皆が大好きな敵討ちが果たされる展開が素晴らしい。
今までストーリーだけを追ってみましたが、それに加えて随所に挿入される真崎守的な美しい絵もあり、大のお薦め作品です。

さらにこの単行本には、表題作「丈八しぐれ」の他に、「たそがれの唄」「垂氷-たるひ-」という、同じ"股旅もの"ながら極短い短編も収録されています。

またそのうち、真崎守先生の名作を紹介しますね。


佐助は惨殺され……彌吉は死罪となった
俺もまもなく あの仙太郎に虐殺されるだろう
それも無宿人の死が……もうひとつ加わったというだけにすぎない
世間の知らないところで ひとつの命が消えるだけのことだ
病気で死のうと シャバで死のうと 同じことでしかない



  1. 2007/01/11(木) 06:05:00|
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劇画(18) 真崎守 1

MASAKI-MORI.jpg

劇画の事を書き出した時点で最初からこの名前が浮かんでいたのに、何故か後回しになってたのが…
真崎守先生!
ようやくの出番になりました。

まず経歴から触れておくと、1941年に神奈川県で生まれ、幼少期に空襲から逃れるための疎開を経験した真崎守先生は、貸本誌の新人賞に「雨の白い平行線」「暗い静かな夜」が入選して漫画家デビューしました。
当時のペンネームは本名を平仮名にしたもりまさきだったそうですよ。
(名義は後に真崎守真崎・守真崎守となっています。)

1963年に虫プロに入社して、TVアニメ「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」等の成作に関わりながら、峠あかねという名義でまんが評論を書いていたのですが、その後1968年に漫画家として独立し、大人向け劇画を中心に数々の傑作を物にしました。
ずっと後に、またアニメの世界に戻ってしまうのですが、それからは「浮浪雲」「はだしのゲン」等を監督してます!

こんな劇画タッチの絵を描く漫画家が、リアリティを表現しにくいアニメを作るなんて不思議な感じもしますね。
もちろん私が好きなのは漫画の活動の方ですが、その漫画の作風の中にも得意の映像のような動きが取り入れられてます。
だいたいの作品が緻密な絵による斬新なコマ割りで構成されているのですが、意味は無いと思われる"絵"が挿入されてたり、そもそもコマ全部が芸術的にも見えてくるほどですよ!

漫画の代表作は、まず「はみだし野郎の伝説」
これは初期の短編を集めた形の作品集で、何度も装丁を変えて出版されているのですが、70年代フォークやジャズの世界に通じる暗さがあります。

「ジロがゆく」は何と少年漫画で、"第2回講談社出版文化賞まんが部門"を受賞するという評価も得ています。
閉鎖的な田舎の村に転校してきたジロの、友達との係わりやサヨとの恋を描いた、美しく心温まるエピソードが満載です。

「共犯幻想」も凄い。
斉藤次郎原作の作品なのですが、学生紛争が盛んだった1972年に描かれ、そのまま時代を映してます。
学校の時計台を解放区として、最後まで残った高校生四人が、それぞれのトラウマを語りだす話です。
後半は、約1ヶ月も篭城した末に四人は警察に捕まった後の話で、そこでまた刑事と対決したり、仲間達との結束や交流が描かれます。
ディープな、とてもディープな作品です。

「せくさんぶる」はセックスを中心とした話の短編集なのですが、これは近年読んで『凄い!』と唸ってしまった名作ですし、「キバの紋章」も有名ですね。
他にも、まずジャンルは多岐に渡ってSFから時代劇まであり、しかも傑作が多いので、この真崎守先生の作品も少しずつ紹介していきますね。

今回の画像は、真崎守先生が表紙画を書いた、まんが専門誌ふゅーじょんぷろだくとの1981年2月号です。
特集が吉田秋生で、他にもやまだ紫近藤ようこ杉浦日向子ガロ三人娘(かつてそう呼ばれていたのです)や、水木しげる先生、諸星大二郎先生、他にも凄い人達が多少なりともかかわっていた時期の、このまんが誌でした。

次回は、真崎守先生の作品を一つにしぼって紹介してみます。


  1. 2007/01/09(火) 01:40:07|
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月刊漫画ガロ(27) 福満しげゆき 4 「僕の小規模な失敗」 3

bokuno-syoukibona-shippai3.jpg

こんばんは。
前回の続き、そして三回目になる福満しげゆき作品「僕の小規模な失敗」紹介です。
全一巻の作品を三回に分けて紹介しましたので、最後になる今回の画像は、まだ作品が連載中だったアックス(Vol.34"福満しげゆきの小規模な特集")にしました。

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あの子へ電話しすぎて携帯電話代が12万円になってしまい、給料の良さからタイヤの積み上げをする力仕事のバイトをしている主人公・福満少年です。

ある日、実家に帰ってたあの子が、また東京生活を始めると言います。
その地は中野だと言うので、主人公は下見に行くのですが…
中野と言えばサブカルチャーの聖地とも言える中野ブロードウェイ、通称オタクビルがあります。
中でも元々はガロショップというような形でスタートしたお店であるタコシェで、彼は感激し、自分の作品が載ってる本も全部見つけます。
今まで身のまわりにいる人達に自分のマンガを読ませても、
『もっとドラゴンボールみたいの描いてみたら?』とか、
『もっとジョジョ(奇妙な冒険)みたいの描いたらえーやん』『え?なんかよく意味がわからない…』『え!?これで終わりなの?』『…なんか暗いな…』
なんて反応しか無かったようですから、こういう分かってる人達が評価しているお店の存在は、さぞ嬉しいものだったでしょう。
(って、東京に生まれ住んでて、しかもガロ買ってたのに何でタコシェを知らなかったのしょうか!?)

結局あの子と会うのは吉祥寺になりましたが。
おどおどして、オシャレなコーヒー屋に初めて入ってみたり、新作マンガは1分も見てもらえなかったり…可愛いですね、主人公。
後日、たまに中野に呼ばれるようになりますが、いろいろおごらされて破産寸前になり、自分の本を全部売ります(これは痛い!)。
そのうち彼女にもマンガを描かせ、もちろん下手なんだけど持ち込みさせたり。

一応あの子を彼女と言えるようにもなり、しかもアパート借りて同棲を始めますよ!
細かいコマ割りで描かれる二人の生活は面白い。
そんな中、ネクタイしてサラリーマンとしての就職を決めます。
…って、面接日以外は作業服着て勤務の、工員でした。
そこでも皆に溶け込めない主人公はクビになって、次は新聞配達。

そんな彼の元へ、彼女の母親と親戚のおばさんが連れ戻しに来ますが何とかかわします。
仕事ではやはりダメな主人公に代わり、泣いて暴れてばかりいた彼女が目を光らせて、突如仕事を始めて、二人はついに結婚。
『いろいろなことが…
あったような なかったような これまでだったけど…
落ちこんだりもしたけれど…
よくよく考えてみれば今まで これでよかったんだ…
…………いや
むしろ幸せな人生だったのではないかな…?』


終わり
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…と、思わせておいてですね、次のページで
しかし人生は続く
と、再び仕事できずにマンガの持ち込みをして、しかもボツくらってばかりいる日々です。
『これからどうなるんだろう…』
そう思って不安げな表情を見せて…

今度こそ本当に終わり。
ドキッとさせておいて下手なハッピーエンドではなく、センスのいい終わり方にしてくれて安心しました。
周りの全てや自分に対するネガティブな感情を上手く表現した前半も凄いのですが、後半はギャグ漫画のような表現も見られてますし、これは決して暗い青春漫画だと思われたくないですよ。

単行本が出た2005年の"あとがき"での時点では、福満先生は『コンビニでバイトしている』と書いてます。
プロとして漫画家生活してないのだとしても、それはそれで素敵ですね。
この名作「僕の小規模な失敗」を上梓した事で、その後状況が変わったかどうかは定かではありませんが。

その後(といってもつい最近)、何とメジャー誌であるモーニング「僕の小規模な生活」(これはタイトルが「僕の小規模な失敗」と似てますが、完全なフィクション作品です) を連載しましたし、やっともうすぐ単行本も出るらしいですが、やはり寡作です。

"漫画家が主人公の漫画"を好きな福満しげゆき先生が、
『たいしたことないヤツ版の「まんが道」もありえるのではないか?』
と思って描き始めたという「僕の小規模な失敗」ですが、インタビューでこうも語っています。
『特筆すべき人生の出来事とか、何かをなしとげたとか、不良だったとか、何にも僕にはないんです。
意外と普通というか、家も普通。そんなやつが主人公たりえるのかと、そこの挑戦というのもあります。』


…なるほど。
そういう作者の話を聞いて、あそこはやはり意図的だったのかとか、いろいろ思うわけですが、計算は成功していると言えるでしょう。
読者はこの常に苦しみ、まるで自信を持っていない主人公にこそ共感しているのでしょうから。
私個人も、この年齢で挫折の日々を味わってみると、少年漫画でよくあるように主人公が意味も無く明るくて強いというだけで、その漫画に苦手意識を持ってしまいます。

それに、巷で話題になっているベストセラー本や、話題の売れてる音楽、大ヒット映画、野球やサッカー…
それほど一般に流通してるとは思えない、この「僕の小規模な失敗」を読んでる方は、大抵はそういうものに疑問を持ってしまう少数派に属してるんだと思います。
そんな読者層には、この主人公(つまり福満しげゆき先生)が本当に『たいしたことないヤツ』だとは思えないでしょう。むしろ偉大な先達だと思うかもしれません。
私はテレビで映る世界なんかを遥かに超えた、本物のゴミ野郎やド変態なんかも実際に見てきてるので、逆に駄目人間ぶりでは『たいしたことない』と思えますけどね。

↑で今挙げたような、どのジャンルでも"話題の"人達なら、まだ一時期でも注目を集める要素があったのだからいいでしょう。
ただ、プロでもないのにクリエイターとか何とか名乗っちゃって、根拠も無いのに自分を『実力者』で、『いつか成功する』と勘違しているのはおろか、サラリーマンとか所謂普通の人をバカにしちゃう"物作りしている"と称する人達の恥ずかしさ、醜さには我慢がなりませんって。
(自らを省みて、自分にもその要素が無いとは言えませんが…)

価値観は全くもって人それぞれ違うという事は皆に認識してもらいたいし、自分も気をつけなくてはならない事ですよね。
いや、いちいちくだらない事を言うようですが、こんな当たり前の事を正視できる人って少ないのです!!

例えば古本屋になるのが人生の目標の人だとか、山にこもって刀を作るのが目標の人とかに、学歴がいいとか言ったって自慢になりません。
勉強できる、ビジネスでお金持ちになった、漫画に詳しい、音楽を作っている…そんな自慢してる人は勝手に自分の得意ジャンルで勝負してるだけで、良く言われる"成功"という物の形も人それぞれだし、どれもある人からしたら等しく価値が無い。
哲学読んでるから賢くて漫画読んでるから馬鹿だ…とかね、何故か皆そう思ってますよね。

…あれ、何だか私、脱線してるのかな。
普段はそれほど意識してない、『そんな事も考えてしまう漫画が「僕の小規模な失敗」である』。なんてまとめは無理矢理すぎるかな(笑)
すみません。こんな名作を紹介する時にも、晩酌しながら書いてる私、ええ、酔ってきてます。

そんなわけで、今夜はここまで。おやすみなさい(うわー、逃げた!)。


  1. 2007/01/07(日) 23:59:33|
  2. 月刊漫画ガロ
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月刊漫画ガロ(26) 福満しげゆき 3 「僕の小規模な失敗」 2

bokuno-syoukibona-shippai2.jpg

前回の続きになりますが、福満しげゆき作品「僕の小規模な失敗」の、とにかくストーリーをなぞっていきましょう。

駄目で駄目でイライラばかりしている主人公・福満少年は、まだ定時制高校で柔道をやっています。
大会で入賞なんかもしますが、結局は夜、
『みんながデートしてるであろう日曜日に3位がどうとか言って…はぁ~~…』
といった感じです。

成人式には出ませんでしたが、同窓会には出ました。
もちろん普通の同級生達の輪に入れるわけもありませんが、綺麗になった女子とも少しは話をしました。
その時『女の足を… こんな近くで見るのははじめてだ…』と思うシーンがあって、こういうDT(童貞)描写は私、大好きです。
若い時からずっとモテて大物になった奴はいない。頑張れ!

ハガキに描いた4コマではない、ちゃんとした作品が念願のガロに掲載されるという嬉しい事もありますが、それも載ったり載らなかったりで、やはり悶々とする日々を続けているうちに定時制高校卒業。
逃げるように学校を出た、この時21歳です。

一応推薦で大学にも入れました。
『大学に行けば さすがに僕でも彼女とかできるんだろうか…
友達もいっぱいできるかな?』

そんな期待もありましたが、結局は薄暗い地下で文庫本やマンガを読んで時間を潰す日々になりました。

たまには作品が採用されるので、学校でもまたマンガを描くようになりました。
『くっ…ものめずらしかろうよ…
大学のコイツら みんな嫌いだ…』

なんて思いながら頑張ってる姿が微笑ましいです。

ある時、ゴチャゴチャしてたくさんある自分の悩みをまとめてみました。
そしたら…"バカなので将来が不安""女にモテない"。この二つしか無い事に気付きます。
そう、まさにこの二つは目立たない若者全員が抱える悩みですね。
と言うより大げさに苦しんでも、しょせん若者の悩みなんてのは全員この二つだだという事でしょう。

ある日、ついに可愛い女子と知り合いました。
ちょっと頭が弱いというか、主人公とは波長が合わないというか…いや、ただの普通の女子なんですけど、女性に免疫の無い彼は、この子に惚れちゃいます。
しかしその子には彼氏もいて、考えると頭が痛い。
『「彼氏がいる」ということは!つまり!いつも!普段から!その彼氏と!
互いの性器を!舐めあっているという!ことか!!』

なんて考えてまた酒を呑み、頭が痛くなる…

自分が酒に酔うと、記憶も正体を無くしては叫んだりセクハラしたりする体質だともようやく気付き、その子にまた逃げられた後、階段で考えます。
『女にも世間にも全く相手にされてない僕は
マンガを描くことで自分を正当化してきたわけだけど…
そんなもん自分の勝手なルールを作りあげて 自分を守ってるだけの奴じゃないか?
皆についていけないのを…
「皆で同じ方向に行くバカ連中」と」思うことで自己防衛したり…
流行りものをバカにして 自分を高みに置いたり……
例えば…髪を染めたりピアスをしている人を「改造人間じゃん」…と心の中でバカにして
自分はオシャレもしないで…
むしろオシャレをしないのがカッコイイんだぐらいに思ってて…
オシャレしてる人達を「恋愛関係しか頭にないアホ人間グループ」と…バカにして……
……してたクセに!
バカにしてたクセに… そのクセに…
今風の髪を染めた オシャレでカワイイ 頭の悪そうな女の子が目の前に現れたら
激しくメロメロになってしまったじゃないか!!』

そして、さびしかったんだと泣く。分かる。分かるぞ少年!ここは多くの読者の共感を呼んだ事でしょう。

そんな風に考えて自分のダメな所をしっかり見つめた、その次のページでまた同じように酔って電話であの子としゃべってますが…
また記憶飛んで『あなた怖いの! もう電話してこないでっ!!』などと絶縁宣言されて、しかも友達からあの子は実家に帰ったと聞かされる…

それから精神病院で話を聞いてもらって泣きまくり、さみしくって死にそうな中、ボクシングジムに入会して練習を重ます。
あとはすることがないのでしょっちゅう本屋に行く日々でしたが、あの子から再び連絡がきました!
文通を開始するのですが、毎日毎日執拗に手紙を書く少年に、再び距離を取るあの子(笑)

これからどうなるのでしょうか。
後から描いてるとはいえ、ここまで自分を客観視出来る人であり、そしてあまりに自分と似ている(それはおたく系と呼ばれるガイならたいていそう思うのでしょうが)福満少年には、是非とも幸せになって欲しい!

次回で「僕の小規模な失敗」紹介は終わります。
この作品は全一巻ですが、私は二冊持っているので今回の画像は二冊並べて使ってみました。


  1. 2007/01/05(金) 01:12:43|
  2. 月刊漫画ガロ
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月刊漫画ガロ(25) 福満しげゆき 2 「僕の小規模な失敗」 1

bokuno-syoukibona-shippai1.jpg

こんばんは。

2007年になって一作目の漫画紹介になる今夜は、福満しげゆき先生の自伝的漫画「僕の小規模な失敗」です。

福満先生らしい作風と言うか、いつも通りモテない男の駄目な青春を描いてるのですが、これは自分の事を、恐らくはかなり忠実に再現してるからでしょう、リアルです。

ガロの編集者達が作った漫画雑誌アックスで連載されていたのですが、ガロと違ってまだ歴史が浅いアックスでも、既に後世に残る名作はいくつか誕生しています。
この「僕の小規模な失敗」もその一つで、私は今までアックスに載った漫画の中で一番好きですよ。

受験勉強を強要される時期に、教科書に唾を吐いて破り捨て(までしなくても)、漫画だ小説だ映画だ音楽だって、文化的な物ばかりを追い求めてきた、しかも決してヤンキーとかではなくてクラスの地位も低かった人々にはバイブルですね。
当然学生時代に女子と話してない人向けなのは言うまでもありませんし、まぁモテてたような人はこれを手に取らないか。
学歴や役職が立派だから人柄も立派だと思ってしまうような国民が約95%のこの国で、その約95%から見たらクズである(あった)人達に特に読んでもらいたい。

要は大槻ケンヂ氏の「グミ・チョコレート・パイン」に似たテイストなのですが、こういうのはどうしても共通する時代に青春を過ごしたかどうかで感情移入の度合いが違ってきますよね。
私の場合は正にドンピシャで同世代。
しかも柔道部だったり、ガロに出会って投稿したり、酒を覚えれば酔って正体無くしてたり…いろいろ同じ経験を思い当たります。
私も今や大人なので、少年のように『この作品は僕の事を描いてる!』とまでは思いませんが、そう思わせるのが福満先生のエンターテイナーとしての力量ですね。

それを山田花子先生のように痛く、あくまで痛く過去を省みて描くのではなく、むしろお笑いとして読める視線で描いています。

それでは福満先生の自伝的作品「僕の小規模な失敗」を読んでみましょう。

-----
まずは工業高校で職業訓練を受けてる描写から始まり、場違いでしかない環境で
『とにかくこのままじゃダメになる すべてがダメになる 大いなる予感! 何かはじめなければ…』
と、ボンヤリ考えてる少年が主人公。自伝漫画なので、当然この主人公は福満少年です。

彼は学校の同級生や教師の間を"意識の壁で遮断"し、マンガを描く決意をします。
しかし、背水の陣のつもりで授業中にも描いてたマンガも、投稿した結果全然ダメ。
学校は留年。恋愛ゲームにも全く参加できず、つまらない同級生が恋人と歩いてるのを見かける日々。

ついに学校を辞めて、同時期に中退したという友達を誘って、吉祥寺に安アパートを借ります。
そこでマンガを描きまくるはずでしたが…
『僕はそもそも何が描きたいとか そーゆうのが無い
どーゆう根拠で自分がマンガ描けると思ってたんだっけ……?
うわっ…………根拠 ないんだ……』

なんて思い当たってみたら1ページも描けないまま数か月が経ってました。

そんな感じで、ただピザ屋のバイトするだけの毎日の中、職場に置いてあったある漫画に衝撃を受けます。
その漫画家名は…蛭子能収。(来たっ!ガロの作家との出会いですね!)
衝撃を受けたものの、この時は忙しさの中で忘れていきました。

『高校の下校時間はイヤだな
同世代の楽しそうな姿を見るのは辛い…』

なんて思ってるうちに、帰宅すると同居人の同級生も彼女連れてきていて、
『それからというもの なんとなく居づらくなってしまった……ねたみで…』
となり、1コマもマンガを描くことなく実家へ帰りました。
中島らもに憧れて酒をガブガブ呑むようにもなってるし、前半はこんな駄目生活描写で終始してます。
まぁ一部の若者なら"駄目な自分"について悩んで苦しむのは普通の事ですが、暗い青春真っ只中は辛いだけだし、いつか良くなるなんて楽天的に考えられないものですよね。

次は、学生に戻りたいが為に定時制高校に入学。
もう原稿に描いて投稿はしてませんが、手帳には延々とマンガを描く日々。
この暗い生活が四年も続くと思うと『何かはじめなければ…』という思いはつのり、大人しそうな子達を集めて定時制には無かった柔道部を結成しました!意外とやる時はやります。

そしてある日!
学校の近くの本屋である漫画雑誌を読み、感銘を受けるのですね。
その執筆陣は、逆柱いみり西岡兄妹花くまゆうさく・・・・
そうです。つまりこれはガロとの出会いだったのです!!
ハガキコーナーに応募して自分の4コマ漫画が載るようになり、また原稿にも作品を描いて持ち込んだのですが…
結果はダメ。挫折と落ち込みの日々を描写して、この「僕の小規模な失敗」は続きます。

いつかはこの主人公の、当人からしたらぬるい地獄のような日々から抜け出せるのでしょうか!?
続きはまた次回です。



  1. 2007/01/03(水) 20:34:26|
  2. 月刊漫画ガロ
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プロフィール

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Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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