大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

梶原一騎(41) 石井いさみ 2 「ケンカの聖書(バイブル)」 2

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今夜は梶原一騎原作、石井いさみ作画の「ケンカの聖書(バイブル)」紹介、第二回目です。

キラーキラーのダブル殺し屋である主人公・吉良旭が、いよいよ全米プロレス界の星・プリンス=スターと正式に戦えるようになった所からでした。

前回まで匂わせていた吉良の背負う暗い影…それは何だったのか。

運命の対戦の夜、吉良本人の口から、セコンドを勤める甲賀正清に話されます。
とことん悪魔に徹しなくてはとてもプリンス=スターには勝ち目が無いため、自分が悪魔に魂を売った理由を語る事で自分に念をおすため、自分の中の悪魔を完全に狂わせるためにですが、珍しく饒舌に語ります。

『神なんか絶対に存在しない』と、口癖のように毎度話していた吉良の過去とは…

1945年8月6日に生まれ故郷の広島にいたという吉良は、父と妊婦の母と共に、小船で沖に出ていたそうです。
潜りが得意だった少年時代の吉良は、悪魔のB29が来襲してきた時にエメラルドの海へ飛び込み、青い世界を深く深く潜っていたのです。

海底にキラッと光る真珠を見つけてそれを目指してグングン潜っていたのですが、その時海上ではピカドン、つまり原爆が投下されていて、浮上した吉良を待っていたのは両親と腹の中の弟だか妹も合わせて三つの干からびたミイラのような死体でした!

それでこの世に神など存在しない証拠を掴んだ吉良は、成長して漠然と復讐を考えながら渡米したのですが、ついに見つけた真の復讐の対象がプリンス=スターであり、やつこそずばりアメリカそのものなんだとか。
それをたまたま立ち聞きした女子プロレス太平洋岸チャンピオンのダイアナ=ローザは呆然とし、また恐れもするのですが…何故アメリカ人のローザが日本人二人の会話を理解できるのか!ってそれは驚く所が違います。漫画の世界では全世界共通の言語があるのです。

のちにローザが語った所によれば、吉良の命を救った青い海底に美しく光る一粒の真珠こそが
『生きよ! 生きて生きがいのある人生をあゆめ……』
そういう神のご意思だったと考えられると言うのですが、こういう所に原作の梶原節とも言える文学性が出てくるわけですね。
さらにのち、吉良が
『フン……しゃらくせえ!! 復讐のために!! 復讐のために!!
オレを生きのこらせて復讐させるだけにだけ あの真珠は光っていたんだ!!』

そう回想するのですが、はたして。

とにかく吉良旭VSプリンス=スターは始まりました。
実力差は歴然に見えた二人ですが、一本目は吉良が華麗な技に翻弄されながらも天才的な反則技でプリンス=スターを痛めつける事に成功し、当然反則負けになるのですあ、そのダメージが元で二本目は何と吉良の圧勝。
日本の悪魔がプロレス界の英雄を押さえつけるという図を、全米に見せ付けました。

しかし決着の三本目、かつて人を殺してもいるプリンス=スターの必殺技"スカル・ブレーク"により吉良は敗北!!

…しかし吉良は誰も破れなかったこの技を、脳天叩きつけられながらもプリンス=スターの股間の急所を感電させ、自分のダメージを半減させてもいたという結末。

勝負はつきましたが、互角のダメージを受けた事でプライドを傷つけられたプリンス=スターは日本に渡り、悪魔の顔で日本のレスラーを吉良並みの反則技で痛めつけて、もうプロレスに未練が無くなった吉良をおびき寄せました。

二度と帰らぬつもりだった日本に、今や吉良に惚れ込んだ甲賀までが帰ってきて、日本で2度めの対決が行われました。
吉良によって勝手にアメリカ合衆国代表、そしてピカドンに見立てられ、両親のカタキとなったプリンス=スターは紳士の姿を捨てて凶器も使った反則ラッシュで攻めてきますが、これはレフリー無しのデスマッチ。

あまりにもやられっぱなしの吉良でしたが、曰く
『オレは今夜……これから、かならずスターを殺す!!
殺すとなればちょっとや……そっとの憎しみだけじゃいけねえ……
それなりの憎しみが……殺意が……
こうしていためつけられることで…オレの体内に充電されるのを………まっているのさ!!
なんせオレだけじゃねえ……
原爆で死んだオレの両親!おふくろお腹の中にいた弟か妹の四人ぶんの憎しみ殺意が充電されるまでには、
ちっとは時間もかかろうさ ウフフフッフッフッ!!』

なんて不敵に笑う彼は、やはり口先だけではありませんでした。

わざとコーナーポストの所で"スカル・ブレーク"をかけさせた吉良!
実は彼は試合前から日本刀をリング下にかくし、つないだ紐をポストにからめておいてあったのです。
日本刀を使って本気で殺しに行く、プロレス史上空前の大反則で攻めると…あれれ??
プリンス=スターは急にビビッて逃げ回り、あっさり負けを認めてしました。

ここで日本プロレスの帝王・力王山が止めに入り、吉良も
『……もう…強かない みじめったらしくおびえるスターの姿は、もうオレが彼に見た典型的アメリカ人じゃねえ………
降伏しちまってる敵を、なおもしつこく戦争犯罪人の名のもとに、死刑にしたのは、
戦後の東京裁判でのアメ公のやりくちだったっけ………な……』

とつぶやくと、復讐の公開処刑は中止されました。

ここで出てきた力王山という男ですが、大相撲の元大関にしてまだプロレスのプの字も知られていなかった時代の日本に一大プロレス王国を作ったほどの男!
…ってまぁ、誰が見ても原作者の梶原一騎先生とも旧知の仲だった、あの力道山がモデルですね。
この吉良旭VSプリンス=スター戦の話を聞いて巡業に行ってたブラジルから帰国したのですが、ファンの子供達やマスコミの前ではニコニコしてサービスいいのに、弟子達だけの部屋に入るとその顔が少しずつ恐く変わっていく「大魔神」みたいなシーンもあります。

力王山は、吉良の悪魔の"ケンカの聖書"思想に対して、
おまえはケンカの聖書とやらたいそうな口をきいておるそうな。
フフフ……かわいいが、はたして、それは聖書というほどのしろものかな。
せいぜいラクガキ帳か、カンニング用のアンチョコのたぐいとちがうかな!?』

なんてぬかして馬鹿にし、何と吉良も力王山が目の前に立った時に、生まれて初めての恐怖を感じてしまいます。
『や…やつのはケンカ度胸なんてうすぺらなものじゃねえ……ケンカの魔王だ…大魔王だ!!
ケンカの聖書は……オレの手でなく、やつの手に……あった!!』

とまで言って戦慄してますからね。

しかし力王山を恐いと思ってしまって、それで引っ込む吉良ではありません。
自分自身も力王山も許せなくなった吉良の決意はこうです。
『日本プロレス界を、その支配者たる力王山を、この手でたたきつぶしたる!!
バイブルを ケンカの聖書をとりもどすために!!』

分かった事は、吉良にとっての最強にして最後の敵は、プリンス=スターなどではなく力王山だったという事。

そして記者達にルンペン道場などと呼ばれた倉庫のリングで、"アジアプロレス協会"として新プロレス団体を旗揚げするのです。
アメリカから女子プロレスのローザも呼び寄せましたが、これからどうやって力王山の"日本プロレス協会"に挑んでいくのでしょうか。
(当時は他にプロレス団体は"日本プロレス協会"唯一つだけでした)

続きの次回で、この「ケンカの聖書(バイブル)」紹介も終わります。

  1. 2007/11/28(水) 23:59:48|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(40) 石井いさみ 1 「ケンカの聖書(バイブル)」 1

ふと気づいてみたら何と私、最後に梶原一騎原作漫画を紹介してから…
とっくに1年以上が過ぎてるんですよ!!うっそでしょー!!

自分のブログで梶原一騎作品を順に片っ端から紹介できれば、これは幸せだと当初は思ってたはずなのに…
漫画界全体を見てみたら、ノータッチでは済まない重要な漫画家が他にもたくさんいる事に焦って、あの方もこの方もと浅く広く紹介始めたからですね。

加えて生活のための仕事と日々の雑務に追われてる中で、古本屋を巡ったり呑みに行ったりしているのだから、パソコンに向かってられる時間などほとんど無い日々ですしね。

でもこれからはせめて一、二ヶ月に一作くらいは梶原一騎作品を紹介していきます。多分。

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さて、梶原一騎作品紹介の再開記念になる今回は、「ケンカの聖書(バイブル)」でいきますよ。

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これは週刊少年サンデー誌上にて1971年の1号〜53号と、ちょうど一年ほどかけて連載された作品で、一般への知名度はもう一つですが、やはり傑作です。

単行本がちょっと変で、若木書房双葉社の二社から上梓されているのですが(私は両方持ってますよ!)、それぞれで原作者のクレジット名が違ってます。若木書房の方は高森朝雄名義。双葉社の方は梶原一騎名義となっているのです。

前に「あしたのジョー」の所でも説明しましたが、高森朝雄とは梶原一騎先生の本名から一字変えただけの別名です。
ちなみに連載時は高森朝雄名義でした。単行本を再発する時により通りのいい名前に直したという所でしょうか。
どちらを使ってるからどうとかは、まぁそれほど気にしなくてもいいでしょう。
どちらの版も全5巻で、ブログの画像には梶原一騎名義の双葉社版を使いました。

昔は単行本の中に折り込みチラシでその出版社の在庫とか新刊の宣伝が入ってたじゃないですか。
この双葉社版であるパワァコミックス(POWER-COMICS)のはこれ↓
POWER-COMICS.jpg

『グーなフィーリングでヤングに人気』って、いいでしょう。
もちろん中を開くと今では絶版のレア漫画がいっぱい販売されていて、ヨダレが出ちゃいます。

さて、この「ケンカの聖書」で作画を担当したのは石井いさみ先生。
この石井先生も軽く紹介しますが、1941年生まれで東京都出身。
高校在学時の1957年に「たけうま兄弟」でデビューしたほどの早熟漫画家であり、近年でもたまに名前を見かけるベテランですね。

元アシスタントにあの「タッチ」「H2」等のあだち充先生がいますが、そんな事より凄いのは、石井先生のお兄さんが梶原一騎先生の実弟である真樹日佐夫先生の同級生であるという事実!
石井先生も真樹先生の後輩であります。
つまりこの「ケンカの聖書」は、梶原先生が弟の同級生の弟と組んだコンビです!

石井いさみ先生は、ちゃんと真樹日佐夫原作でも「のら犬の丘」「すてごろ専科」という傑作をモノにはしてますよ。
他にはサッカー漫画の「くたばれ!!涙くん」とか、単行本が50巻まで行ったバイク漫画「750ライダー」が有名でしょうか。
私個人的には石井先生の単独作品では「四角い青空」が一番好きですが。

聖教新聞に「劇画 人間革命」などという作品を描いてたのは驚きましたが、これはもちろん池田大作作品のノベライズですし…
やっぱり創価学会員なんですかね。

そんな風に二人の作者と深い関わりがある真樹日佐夫先生は、「ケンカの聖書(バイブル) 一般市民のための護身術実践ハンドブック」のタイトルで護身術入門マニュアル本を上梓していますが、それはこの作品とは関係ないでしょう。

ちなみに梶原一騎先生と石井いさみ先生が組んだ「ケンカの聖書(バイブル)」以外の作品は、「たいよう先生」「鬼とおれたち」「野獣の弟」「モーレツ!巨人」と、けっこうありますね。


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それではお待たせしました。「ケンカの聖書」を読んでいきましょう。

舞台はアメリカ合衆国のカリフォルニア州ロスアンゼルス市。
ここで道場を開いている、空手家の甲賀正清を狂言回しに、この作品は幕を開けます。

このロスの日本人街、リトル・トーキョーの路上で
『一撃必殺!! 東洋神秘の空手術!! 十段 甲賀正清』
などという大げさな張り紙をしてビール瓶の手刀切り、レンガの正拳砕きを見せて客、つまり道場生を呼び込んでいるのが甲賀ですが、彼は…空手家としては弱く、情けないキャラです。

このビール瓶切り等のパフォーマンスの後に語られるナレーションで、『この大道芸人もどきがわたしである。空手術とは吹きも吹いたりじつは四段にすぎぬが、アメリカは「謙譲の美徳」など一セントの価値もない国だ。』と語り、現在は深酒でむしばまれた肉体であり、これらのパフォーマンスも物に細工してあると最初から語っています。

そこで一流レスラーのシードラゴン・バビロンにからまれ、絶体絶命の時に…
そこで登場した男が本編の主人公。
頭脳プレイ…というか汚いやり口でこいつを血祭りにして、
『ウフフ…空手も柔道もプロレスもボクシングもモンキー・ビジネスよ。ほんとうの男の勝負は……ケンカ ケンカだけってこった!!』
などと言い残して去って行きました。

それを追った甲賀は、実は地回りのボスでもあるバビロンをあんな目に合わせたこの男を道場にかくまうかわりに空手をやらせようと目論みます。
そこでも男は、
『ケッ!!さっきもいったろうが…空手、プロレスのたぐいはあまっちょろいルールに守られたサル芝居!!ルール無用の…命のやりとり! けんかだけが男の勝負なんだぜ!!』
と、カッコよく言い放つのです。

この主人公のように、ニヒルで暗いキャラこそが梶原作品では似合いますね。

甲賀は本音では吉良を用心棒に置きたいと話し、男は受けました。
名を尋ね、握手を求める甲賀の手を叩き落しながら
『キラー……キラーといやあ殺し屋だがよ、ただの殺し屋じゃねえ………その名もダブル殺し屋の……キラー・キラー、吉良…旭!!』
と、初めて名乗りました。
そう、本編の主人公の名前は吉良旭
キラ アキラでキラー・キラーと、シャレですね。

甲賀の空手道場で、吉良が本当に凄いケンカのセンスを持った素材であり、我流でケンカをみがくために鍛え抜いていた事も分かります。
そこへ空手を自分のレスリングにプラスしたいと習いに来たのが、女子プロレス太平洋岸チャンピオンのダイアナ=ローザ

この出会いから、女子プロレスを『エロとグロとハレンチが売り物。鼻の下の長い野郎への見せ物!』と考える吉良と、真面目に命をかけて戦うローザとの複雑な関係が始まるのです。
初対面が『はじめまして。よろしく。』なんてなるわけもなく、男と女でありながらもやはり戦いです。
ローザの理にかなった攻撃を受け続けた吉良でしたが、彼の中の悪魔が目覚めると目突きとタックルでふっとばしました。
でもやはり身をもって本物の技を受けたからか気になるらしく、一歩でも外に出たらバビロン一派が張っている網にかかるというのに、女子プロレスの試合を見にでかけてしまいました。

急いで後を追った甲賀ですが、もう吉良は見つかってると見るや会場を逃げ出そうとするし、バビロンに会ってしまうと口八丁でごまかして逃げようとします。いいですよこの男、甲賀正清。とても少年漫画の主要キャラとは思えない最低ぶりで。

やはりバビロン一派に囲まれた吉良でしたが、拳銃すら持つ数人を相手にケンカ技でその場を逃げ切り、さらなる追跡を…何とローザに助けられました。
そして助けるかわりの取り引きとして、ローザは吉良のルール無用のケンカ殺法を仕込んで欲しいと申し出るのです。

受けた吉良は、早速講義に入りますが…これがまた良いです。

『悪魔のケンカ聖書(バイブル)

その第一章!!
人を見たら敵と思え!!
そして、こいつはアゴがとがっているからアゴが弱いというように、つねにケンカの料理法だけから、人を観察せよ!!

その第二章!!
先手必勝!!
そのためにはつねに、敵がこっちを憎む倍こっちが憎めば、おのずと敵より先に手が出る!!

その第三章!!
殺意にこりかたまれ!!
いったんおっぱじめたらさいご、相手が親でも殺す。ひたすら殺すことのみ思いこめ!!

その第四章!!
きたねえのが花………きたねえのが花だ!!
やりくちがきたなけりゃきたねえほど、ケンカの中に咲く花は赤く美しい!!

その第五章!!』

・・・と、ここで近くにひそんで話を聞いていたらしい、元正統派レスラーだったローザの父親が止めに入りますが、吉良とローザはヨットまで泳いで邪魔の入らない所で実技のコーチに移りました。

個人的には、この「あしたのジョー」丹下段平が提唱した『あしたのために』を思い出させながらもはるかに黒い『悪魔のケンカ聖書(バイブル)』を全部講義してもらいたかったのですが。

その後甲賀は、悪魔のケンカセンスを持つ吉良をレスラーに仕立て、自分はマネージャーとして彼を操る一攫千金計画を企みます。

もちろん吉良は
『このキラー・キラー吉良旭のケンカはな、ゼニとってみせるなんてもんじゃねえ。大むこうウケをねらって、さもしくサービス半分やりあうなんてゲスだ。うまくいえねえが、オレのケンカは…………もっと神聖なものよ!!』
と、こう哲学を語って鼻にもかけなかったのですが…

吉良の"悪魔の弟子"となったはずのローザが、実は吉良のケンカテクニックを利用しただけでやはり正統派プロレスを続けるという裏切りを見た吉良は、ローラの制裁のために会場まで乗り込み、助けに入った正義役のタッグチームを血祭りに上げてしまいました。

やはり悪魔的な反則技で、レスラー二人を公衆の面前でKOしてしまったわけで、それに目を付けた大物プロモーターのジャコブが吉良を『正真正銘のヒル(悪役)だ』と認めてスカウトしてきました。

いつものようにプロレスなんか『男ストリッパーのたまり場』とまで言う吉良に、ジャコブは
『プロレス八百長説はよーくいわれることだ。だがな、プロレスをアマチュアじみた真剣勝負と信じとるやつもバカだが………八百長ときめつけるやつは、もっと…バカよ!プロレスの白いマット…草も木もない四角いジャングルには………どんな真剣勝負もおよばぬ、すさまじい本物の地獄がある!!』
と返し、そして大物中の大物であるライトヘビー級チャンピオン、プリンス=スターを呼び寄せて砂漠で対決させました。

その決闘は未決着となりましたが吉良をその気にさせる効果は十分でした。
そして吉良のデビュー後三試合を全部勝ったら超一流のプリンス=スターと戦える事となり、もちろん次々とケンカ殺法で勝利するのですが…

そのやり口は凄くて、一人目はケンカの秘儀・ブラックジョー、つまりあごの関節を外して地獄の苦しみを味あわすという、正にケンカの天才の技を使って倒すし、二人目は開始ゴング前に致命傷を与えるという、カウント5秒以内なら反則フリーパスのプロレス・ルールの盲点を付いた戦法。

そして三人目はセコンドにシードラゴン・バビロンが付き、こいつぐるみの酷い反則で絶体絶命の吉良でしたが…やはり彼が一枚上手だったのです。
『ケンカの聖書 大逆転の章』を披露して勝ち、誰からも本物の悪魔と認められた吉良はいよいよプリンス=スターとの正式な試合が決定しました。

既にこのロスの日本人街でチビ達が吉良の親衛隊みたいになってましたが、吉良に輪をかけたようなひねくれ者の仁吉(二巻の画像参照。このチビです。)というガキまで吉良の弟分になり、後はプリンス=スターとの決戦を待つばかりですね。

そこでアメ公の、いかにもあの時代のヒッピー達までも吉良に共鳴する場面は傑作です。
彼らは『彼の徹底した反逆精神、アンチ体制の挑戦姿勢こそ、我われヒッピーの精神に共通するものであーる!!悪魔の子の心の傷はきっと、オレたちと同じ傷だ!』なんてほざいてましたが、吉良はそれを一蹴。

『傷だと……反逆だの挑戦だのは、てめえたちのママゴトだろうから自由だがよ…こんどは、心の傷とおいでなすった。フフフ……ワッハハハハハハハ!!てめえらの安っぽいヒッカキ傷と このオレの傷口を、軽がるしくいっしょくたにしやがると、たたっ殺すぞー!!』

ときたもんです。明らかに何か凄いものを背負ってる事を匂わせる吉良と、正に明星のようなヒーローであるプリンス=スターとの戦いが楽しみな所で、次回に続きます。

  1. 2007/11/19(月) 23:55:41|
  2. 梶原一騎
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ザ・グレート・カブキの店 「かぶき」


こんばんは、BRUCEです。

久々の更新になりますが、久々にパソコンに向かってるというにの今回も名作漫画紹介ではありません。

先週の土曜、つまり11月10日に東京飯田橋の"かぶき"という、元プロレスラーのザ・グレート・カブキ様が経営する店に行った話です。

誰でも知ってると思いますが、ザ・グレート・カブキ様は"東洋の神秘"の異名を持つペイントレスラーの元祖。歌舞伎のクマドリペイントをして戦い、緑色の毒霧を吹いていた、あのレスラーです。
コスチュームが多彩で、忍者や能面、鎧、連獅子姿などで登場し、アメリカでも大成功した数少ない日本人レスラーでもあります。

私の幼少時代はゴールデンタイムにプロレス放送をしていたし、スターがたくさんいて凄い人気でしたので、たまに買ってもらってた「テレビマガジン」とか、そういった幼児向け雑誌でカラーグラビアに良く出ていたし、やはりカブキは見た目のインパクトが絶大でした。
しかもヌンチャクを振り回しますからね、そりゃ私が好きなのは当たり前です。

それはいいけど、何でこの漫画ブログでザ・グレート・カブキ様の話が?と思われてるでしょうか。
待ってください!
ザ・グレート・カブキ様は、我等が梶原一騎先生原作の「プロレス スーパースター列伝」や、みのもけんじ先生の「プロレス・スターウォーズ」といった、実在のレスラーを登場させたプロレス漫画でも出てた方ですよ。
どちらも実録のはずなのにありえない荒唐無稽なストーリー展開をしていた作品ですが…

「プロレス スーパースター列伝」の中で「東洋の神秘! カブキ」というタイトルが付き、カブキ様を主人公にしたエピソードによると…
カブキ様は家族が全員死んで孤島に流され、島にいた老人に空手を習うものの、誤って師匠を蹴り殺してしまったり…してたのでしたね。
後でご本人に聞いたら、その話を描かれるにあたって『取材は受けてない』と、おっしゃってましたが(やっぱり!)。

さらにさらに、韓国遠征時にはタイガーマスクもやっていたのですよ。
タイガーマスク。つまり梶原先生の創作キャラじゃないですか。


------
とにかく、お店の方の"かぶき"です。
かなりの人気店らしいので予約して、しかも気合の表れで開店よりかなり早く着き、集まった友人達と外で待ってました。
その時から店内で料理しているカブキを見れて、既に期待で胸が震えてましたね。
で、店内に入り・・・人数多かったので目の前でカブキが料理しているカウンター席ではなく、奥のテーブル席へ。

ところでここは、店名も"串焼き ちゃんこ かぶき"として営業していたのに、いつの間にか串焼きは止めちゃってただの"かぶき"になったようです。
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店内に飾ってある写真や絵はこんな感じ。
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料理も次々と頼みましたよ。
この店ではスターであるザ・グレート・カブキ様に会えるという特典があるわけですが、彼の料理の腕前も並外れている事が分かりました。
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サラダの名前が"忍者サラダ"と"神秘サラダ"だったのは覚えてますが、他は何だったかなー。
写真で登場している「北斗の拳」キャラ達や「あしたのジョー」ハリマオフィギアは、たまたま持ってた私物ですので普通は付いてません。

鍋は三種類全部頼んだのですが、"赤い毒霧"と命名されていたのは豚キムチ味。
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"ベビーフェイス"はニンニクみそ味。
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"連獅子"は牛カレー味。
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具が無くなった鍋におじやとかうどんも追加してぶち込んで、喰らいまくりました。本当に美味いから、全員の箸が止まりません。
もちろん呑んだメンバーがいいから、話の内容も濃く時間はすぐに過ぎます。

そしてラストオーダーの時間になると…
この方です。ザ・グレート・カブキ様が私の目の前に来てくれました!!
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乾杯。

我々の中に誕生日数日前の人が二人いて、店員さんにそれを告げてたのでカブキ本人がお祝いに来てくれたと。
それにしても顔出し的な挨拶だけでなく、それからずーっとうちの席で貴重なお話を聞かせてくれたのです。

我がメンバー達はまぁオタク集団であるわけで、例えばこのスウェーデンのBLACK METAL BANDであるDARK FUNERALのトレーナーを着た友人は、音楽マニアなだけでなく自身も格闘技ファンにして格闘家!
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柔術やレスリング、ウェートトレーニングで作り上げた肉体は、現在も88キロあるというカブキ様と比べてもひけを取らない体格でした。

子供の時からプロレス会場に観に行ってたそうで、スタン・ハンセンにブルロープで殴られたり、ブルーザー・ブロディにチェーンで背中を叩かれたり、ザ・シークに追い掛け回されたり…といった友人のエピソードを聞いたカブキ様は、全てに『シークは本物のキチ○ガイだからね』とかいった感じで言葉をかえしてくれてました。

今回も梶原一騎T-シャツで来てくれた友人。
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彼も格闘技ファンですので、ハル園田は本当はカブキ様がいくはずだった新婚旅行兼ねた旅行で死んだんだとか、グレート小鹿が嫌われてたとか、大仁田は弱いとか、誰々が全然練習しないとか・・・他にもいろいろ現場にいた人ならではの話を聞いて喜んでました。

ちなみに私は、こんなプロレス技T-シャツ出して行ったものの、
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実はプロレスだとか最近の格闘シーンにもほとんど興味が無いため、固有名詞聞いてもほとんど分からない。黙って聞き役に徹してました。

梶原一騎先生がアントニオ猪木を監禁した時の話にでもなれば人を押しのけてでもしゃべりまくってたと思いますが。
それにエリック兄弟とか、ブロディリック・フレアーあたりのカブキ様が対決した大物は知ってますよ。梶原一騎漫画に良く出てたから。

隣りを見れば、おっとこちらの友人はアニメだかゲームT-シャツだ。
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そしてカブキ様が少し後ろを向いた時に気付いたのですが…オリジナルT-シャツのバックプリントが秀逸です!
ヌンチャクとサイでKABUKIのKの字を作ってるのです。デザインもカブキ様自身でしたのだとか。
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カブキ様は、当時の貴重な話の中で猪木とか馬場の話になると、それぞれの真似して喋るサービスまでしてくれました。
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毒霧の代わりに煙を吐く姿も決まってます。

楽しい時間は過ぎるのが早いもので、この"かぶき"には開店から閉店までお邪魔しちゃいました。グワシ!
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最後にツーショット写真も撮らせてくれました。
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嬉しい・・・


------
最後まで見送ってもらってから、そのまま飯田橋駅近くの"天狗"で呑み、最後は帰り方面が一緒の友人と二人だけになって阿佐ヶ谷での呑み直し。
"Jumb Jumb"から、朝までやってる"暖流"へと・・・・・

気付いたら朝で、一人。

酒をこぼしたのか服がビショビショだし。

そして・・・まずはこの写真を見てもらいたいのですが、
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このようにお店で頂いてた、カブキ様のサインを紛失しちゃってます!!

ひどいよ・・・いやね、私は今まで酔ってどれだけの物を失くしたか分からないダメな奴ですけどね。
アクセサリーなんか数え切れないし、靴や携帯、そして何故かお気に入りのベルトまで失くした経験もあります。
一番失くしてるのは記憶なのです。
それにしても今回はショックがでかい。
"かぶき"には近いうちにまた行こうと思ってたのに、これじゃ申し訳ないし、あわせる顔ないしで、もう行けませんって。

もう本当に私、いろいろやり直したい。
そう、いちレスラーだった高千穂がカブキとして生まれ変わった時のように。

『BRUCEはセーヌ川に身を投げて死んだのさ』



  1. 2007/11/12(月) 23:55:14|
  2. 古本 番外編
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プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
二代目BRUCE LEE、あだ名は大悟です。


詳しくはこのURLをごらんください。↓
http://mangabruce.blog107.
fc2.com/blog-entry-370.html


名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っているブログです。

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