大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

永井豪 (11) 「真・デビルマン」

こんばんは。
2007年も今日で最後の大晦日です。

今年最後になる今夜の大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)は、昨年に続いて「デビルマン」

昨年末に細かく紹介してしまった「デビルマン」ですが、あそこまでの名作になるとそこからいろんな物が派生するわけで、そんな中から今回紹介するのは…「真・デビルマン」(朝日ソノラマ刊)。
「真デビルマン」というのは、永井豪先生の実兄にしてブレーンでもある永井泰宇先生の小説で、1981~1982年の間に刊行された全4巻です。
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テレビアニメ版の「デビルマン」でも設定をほとんど手がけている永井泰宇先生の手による小説ですので、ただのノベライズではないですよ。
何しろタイトルが「真・デビルマン」であり、こちらこそ"真"の「デビルマン」であるという凄い自信が表れてますよね。

若干の設定変更や漫画版では描かれなかった部分も多々あり、「デビルマン」ファンなら是非こっちも読んでもらいたい所です。
表紙と挿絵は、もちろん永井豪先生!
そしてこの永井泰宇先生は他にも高円寺博という名義も使ってまして…そうです、永井豪作品「まぼろしパンティ」「青春一番」等の原作者にして、石川賢先生の「心霊探偵オカルト団」「無頼・ザ・キッド」「怪傑シャッフル」等でも原作を担当している凄い方。
他に小説作品としては「39」「夜逃げ屋本舗」あたりが代表作ですが、さらにやはり永井豪作品「凄ノ王伝説」「手天童子」「バイオレンスジャック」等も小説化しています。

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さてさて「真・デビルマン」紹介なのですが、小説のため漫画に比べて情報量が多いから、まぁ漫画と違う所なんかを中心に浅くでも紹介してみましょう。

本編に入る前に"死んでいて生きているもの"という序章がありまして、いろんな予感を起こさせ、とにかく壮大なスケールを思わせます。

そして本編が始まると漫画と同じように、主人公の不動明牧村美樹の"友達以上恋人未満"な二人が登場してきます。
美樹の弟、タレちゃんこと牧村太朗も…って、あれ?タレちゃんって原作では名前が健作じゃなかったっけ!?変わってる!!

さらに原作では出てこなかった明の両親が物語冒頭に出てきて、しかも飛鳥了の父とデーモン研究をしている仲間の学者。
名前も付いてて、不動礼次郎須弥子の夫婦です。うわー、明の両親の名前が初めて分かった。

父の礼次郎はデーモンに体を乗っ取られ、ヒマラヤで母の須弥子を殺そうとする描写以降は共に行方不明になります。
これは後に明がデーモンと戦う動機にもつながるやり方で、上手いですね~。

明と美樹は共に最初のデーモンと出会い、それから原作通りにチンピラにからまれる二人のもとに了が登場。
しかも原作では後に仲間になって共に戦うチンピラ達が、ここではデーモンの手先!!
で、やはり飛鳥教授の"恐怖の遺産"を受けて明は人間を捨て、デビルマンとなるのです。

その後何と、デーモン世界の描写もあります。
あまりにも貴重な、人間(明)に逆に乗っ取られる前の勇者アモンの話も入れて原作を膨らませてます!
アモンは妖鳥シレーヌの妹である妖姫イフェメラを奪い合って十足のスカルパと戦うのです。
美しかったシレーヌが醜くなった理由やアモンへの怨みもからめて、ますます面白くなってきました。
それから絶対外せない、カイムによる『シレーヌ、血まみれでも、きみは、美しい……』のセリフ。
この小説版ではシレーヌとカイムの過去も分かります。

魔獣ジンメンの設定も若干違って、彼は知能も感情も持ち合わせない、デーモンの中でも最も汚らわしく卑しい魔物となってます。
しかも原作ではデビルマンがサッちゃんの顔をえぐる衝撃シーンがあったわけですが、あの役が母の須弥子になってる!!

さらに読み進めて…スケバンの小川紀代、通称キーヨという偶然デビルマンになった少女が出てきますが、これは原作のミーコですね。
こういう風に同じ役割なのにキャラの名前を変えるのは、何か意味があるのでしょうか。

おおっ、悪魔王の登場ですが…ゼノンではなく、悪魔王ルシフェルとディーテとして双頭の悪魔になってます。
その上に、実は飛鳥了の正体であるサタンが存在するのは同じなのですが、
『漆黒と黄金色の顔を持つ双頭一身の悪魔王ルシフェルとディーテ……残りは真紅の顔を持つ悪魔神サターン』
『聖書のマタイ福音書だ。悪霊どものかしらベルゼブル、そう呼ばれ、これもルシフェル、サターンの別名と呼ばれる』
というように、ゴチャゴチャと語られてその存在を考えたり。

ちょっと面白い事に人間達の飛行隊の描写が、
『その四機には、レーダー追尾(ホーミング)方式の速度マッハ4、弾頭重量二十七キロ、総重量二百キロ、全長三・七メートル、射程十三キロから二十キロに及ぶ四発の空対空ミサイルAAMスパローⅢ、及び、赤外線ホーミング方式の速度マッハ5、総重量六十キロ、全長二メートル、射程約五キロのやはり四発の空対空ミサイルAAMファルコンという、必中のミサイル発射許可が下りていた』
といった感じで、永井泰宇先生の軍事オタぶりが笑えます。

小説オリジナルキャラに明の両親の研究助手だった山野という男がいて、彼は右手がトマホークになるだけというしょぼいデビルマンとして、牧村家の最期に立ち会って美樹達を守るために戦ってますね。デビルマンのくせに人間の暴徒によって殺され、やはり美樹達も無残な姿になるのですが…
原作の木刀政達がちんけなデーモンの手先で終わったので、その代わりの役割をしたわけです。

おっ、あの犬の顔を持つデビルマン仲間の名前は泉まさみっていうのか~。

そして原作では飛ばされた(それが凄かったのですが)、あのデーモン軍団VSデビルマン軍団の最終戦争(アーマゲドン)も描写されますよ。

美樹が殺された後のデビルマン明は、デーモンを上回る冷酷無残な鬼、デーモンを殺すためのマシーンと化して人間を誘拐して強引にデーモンと合体させ、成功した場合はデビルマン軍団にして使ったのです。当然失敗して死ぬ人間の方が多かったでしょうに。

『明とデビルマンたちも人類の自壊作用に、積極的に手を貸したといっていい。』
というほどで、ついには人間が死に絶えた二十年後の世界で…
デビルマン軍団が次々とやられていき、飛鳥了こと悪魔神サターンによるデビルマン不動明への愛の告白、そしてサターンは悪魔王ルシフェルとディーテと合体して、ついには原作のあのラスト、了と明が渚に二人のシーンにつながると。

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どうしても原作漫画との比較にばかり目が行ってしまうので漫画を知らない状態で読みたかったのはありますが、小説としても名作なのでした。

後の1999年に、「デビルマン THE NOVEL」(角川書店刊)としてジャケ違いの電撃文庫で再発されていて、その時に加筆もされているので、これから読む方はこちらを買った方がいいのかもしれません。
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もちろん同じ永井泰宇先生によるノベライズで、その間に 「新ビデオ小説 デビルマン 誕生編」(講談社刊)という全一巻の別バージョンが存在するのですが、これはイラストを永井豪先生ではなく、アニメ畑のキャラクターデザイナーである小松原一男氏が描いている珍本でした。


それでは、2007年はこれでお別れ。
来年もよろしくお願い致します。
よいお年を!


ねむったんだね・・・・明
永劫のやすらぎのねむりに・・・


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  1. 2007/12/31(月) 18:02:32|
  2. 永井豪
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劇画(33) 小池一夫 3 ケン・月影 1 「びっきの小鉄」

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久々に小池一夫原作作品を紹介します。

今回は短くて紹介しやすい所で、「びっきの小鉄」(少年画報社刊)。全1巻です。

これは小池原作には珍しく、ケン・月影先生が作画を務めています。
ケン・月影先生…長崎県佐世保市出身の官能劇画の巨匠であり、時代物エロ漫画の第一人者ですね。
"女体専門絵師"などとも呼ばれてますが、中でも熟女をイヤラシく描くのを得意としていて、若干マニア好みながら人気が高いですね。

画像の少年画報社版が発売された1972年時点では、原作者名義は小池一夫ではなく小池一雄となってます。

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舞台は多分江戸時代の時代劇で、貧乏馬借のせがれ・小鉄が太く短く生きるやくざになりたくて十七歳で国を飛び出し、ごぜ(女の盲目で三味線を弾いて世渡りする者)のお仙と出会い、やくざ世界の全てを仕込まれて大物になっていく話。

この二人の出会いは、どこへ行っても門前払いでやさぐれていた小鉄が寝転がっていると、歩いてきたお仙が盲目であるために寝てた小鉄の顔にしっこしてしまい、ジャーッとかかるというもの!

目覚めたら目の前に女の美尻を見せられ、小鉄はやっちゃうわけですが、その太く長い心張り棒でお仙はすっかり参ってしまい、小鉄をいっぱしの男にしていくのですね。

イキでいなせなやくざの衣装を追いはぎで奪い、向こう疵(喧嘩疵)も付けてまず見てくれを良くします。
旅館でやりまくった後は旅人の仁義(あいつき)作法を一通り教え込まれるのですが、それが長々とページ数使って読者にも教えてくれるので、任侠の作法を勉強したい方にもこの本はお薦めなのです。

任侠の勉強だけする分には村上和彦先生の「任侠・盃事のすべてー現代ヤクザ道入門」「日本極道史」等にはそりゃかないませんが、エンターテイメントとしてはやはり「びっきの小鉄」が優れていますからね。

お仙はまだ目開きの小娘だった時に、手ごめにした男が名の知れたやくざだったとかでそんなに詳しいのです。
賭場の作法や細かいルールなんかも、私はこれで初めて知りましたから。

馬借のせがれとして育った小鉄はすさまじいまでの糞力があって足腰も強靭で、剣法も技もないやくざの世界ではそれが強者。
その力とお仙の策で一つの縄張りを奪うと役人を抱きこみ、小鉄一家の襲名披露、仕組まれた火消しでかたぎ衆からの人望を集めて十手捕縄も預かり、次々と縄張りを拡大していく…

『まさに外道の智恵にめぐまれ 将星にみちびかれた男であった
びっきの小鉄!
侠客にあらずして 狂客とでもいうべきであろうか!』

てなわけで、敵対する親分連中も先手必勝の悪の理論でぶっ潰し、お仙の内助の功で最後に黒幕だった大親分すらもやっつけて…完。
まだ続けられたでしょうに、どういう事情でか1巻で終わったのが残念です。

とにかくこの「びっきの小鉄」は、やくざの世界をリアルに細かく描いてるので、そんな異世界の勉強にな、便利な作品でした。まぁそんな知識はかたぎの我々には何の役にも立たないでしょうが。

ちなみにタイトルに付く"びっき"とは蛙の事。
びっきはお天道さまの照る所には出てこずに、陽陰の雨土砂の中に這いつくばって生きる渡世、という意味があります。


小鉄はついに日光道一の大親分にのしあがっていくのである
まさに数奇将星の運を持つ男であった
後年 会津の小鉄という大親分が渡世に君臨しているが
その男が"びっきの小鉄"であったかどうかー


  1. 2007/12/30(日) 18:39:33|
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旅行・紀行・街(11) 東京都杉並区阿佐ヶ谷 1

今回の旅は杉並区阿佐ヶ谷
ここは現在私が住んでいる土地ですが、それでも旅。

日本で生まれ育った私も、在日観光外国人のような目で街を観て行きたいと心がけておりますので。
私が好きな作家の一人であり、日本を愛した外国人のラフカディオ・ハーン(小泉八雲)のように。

まずこの街を愛した偉人としては、ガロ好きの私には外せない初代編集長の長井勝一氏、永島慎二先生、安部慎一先生。
長井氏が亡くなられた直後に追悼特集をした雑誌がありまして、それに載ってた長井氏ゆかりの店なんかを私も訪ねたものでした。もちろん永島慎二先生ゆかりの店も同様。
さらに古くは、井伏鱒二三好達治などの文豪による"阿佐ヶ谷会"というのも存在しておりました。 そのせいか、今でも文化的な香りがするような気がしたり、そこらへんが逆に気取ってると感じたりもする街・阿佐ヶ谷。

私の歌手におけるビッグ1である友川かずき氏のデビュー曲「上京の状況」
♪ひとまず阿佐ヶ谷へ♪
♪ひとまず阿佐ヶ谷へ♪

と、上京してまず阿佐ヶ谷を目指す歌でした。

そんな阿佐ヶ谷の紹介に行きましょう。
いや紹介の意識はほとんど無く、個人的な記録というか、日記みたいな感じで残しておきたくてアップします。
阿佐ヶ谷自体面白い所はたくさんありますが、加えて東京内で私が好きな所に行くにもちょうどいい位置、そしてちょうどいい人口密度。以前住んでた、すぐ隣の高円寺よりも気に入っているかな。

まず 阿佐ヶ谷の中心を通るのは、ケヤキ並木が美しい中杉通り。私はここを歩いてるとパリを思い出すのです。
どこを歩いてもすぐに商店街に入る街ではありますが、パール商店街ダイヤ街ゴールド街…豪華な名前を冠した商店街が多いですね。
しかし私が駅に向かう時に通るのはSHIN SHIN KAIと、よく分からない名前の商店街です。
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この道を駅方面から歩くと、爆笑問題等の多くのタレントが在籍する有名な芸能プロダクション"タイタン"があって、
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その先のPUNKな千円カット屋さん"ジプシーウェイ"(Gypsy Way)にはたまにお世話になってます。あのラフィン・ノーズのメンバーもお客ですよ。
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有名な和菓子の"うさぎや"がありますが、漢(おとこ)である私に甘味など必要無いので、この店とは一生縁が無いでしょう。
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さらに進むと、名前がエッチな"マンチ"(Kitchen Cafe MUNCH)というレストランだとか、
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他にも着物屋さんだとか、もっと行くと山岳書の品揃えでは日本有数な"穂高書房"という古本屋もあります。
その斜め前にあり、うちから一番近い居酒屋でもあるのが"だいこん屋"
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このSHIN SHIN KAIと平行してある砂利道からは、凄い土地と林を持つケヤキ屋敷が見えます。航空写真で見ると物凄く嫌味な(笑)、とにかく大富豪の邸宅のようです。
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あの寺山修司さまが亡くなった病院である"河北総合病院"もこの近く。
そういえば天井桟敷が1975年に行った寺山ファンにとって伝説の市街劇『ノック』の舞台もこの阿佐ヶ谷でしたね。

ちょっと歩くと個性的な映画館"ラピュタ阿佐ヶ谷"。東京だからこそやっていける所ですよね、私のような過去の名作好きにはたまらないラインナップで上映してます。
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阿佐ヶ谷でも一番にぎやかな商店街は駅の南口を出てすぐの、アーケードがあるパール商店街。
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(この画像はハロウィン時の入口デコレーション)

商店街入口すぐの店は、さすがに家賃が高いのか入れ替わりが激しいのですが、現在はラーメン屋の"味丸"になっています。
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昔何度か行った北海道を思い出す、黄色い麺の美味いラーメンでして、味噌味と醤油味を食べました。
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さらにすぐ出てくるのが500円ラーメンの"せい家"で、確実に東京で一番多くの回数、足を運んでます。週三回のペースでずっと通い続けた時期もありました。
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(おっ、映画「フリークス」のTシャツを着てますね)

チェ-ン店ですが、もちろん私が行くのは近所の阿佐ヶ谷店が多くて、パール商店街へ入ってすぐだから、疲れた仕事帰りにも癒してもらえるのです。
生ビールと餃子は各280円なので、それを先に頼んでからラーメンにするのが平日の贅沢。 実際500円のラーメンでこれは、東京レベルじゃないぞ!グーよグー!!
この太麺に醤油豚骨スープ、柔らかいチャーシュー、海苔もほうれん草も合いますね~。さらにテーブルに載せてあって自由に入れられる、生姜・おろしニンニク・豆板醤の三点セットが嬉しい。味を変えながら食べるのです。麺の固さ、油の多さ、味の濃さまで選択できるしね。
いつも店にいるお兄さんだと私が毎回頼む選択も覚えてくれてて、『いつものでいいですか』と言ってくれますよ。お好みでトッピングの追加注文もどうぞ。
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(この画像は500円のノーマル。たまに海苔が5枚入ってます)

遠い離島から娘を連れて来て、東京で一泊だけした妹と姪を連れて歩いていると…
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「高円寺純情商店街」で直木賞も受賞している作家のねじめ正一先生が営む民芸店「ねじめ民芸店」もあります。
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"吉沢商店"では「はじめ人間ギャートルズ」の『あの肉』が売ってます。
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今年出来たミートパスタ専門店の"ミート屋"。ここも美味い!!
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店内は一方通行です。
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これを破ると、『死ぬまで有効』なはずの"なめ猫"の免許証を没収されます。なめられたら無効…

最初にサラダを食べて、
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次はこのパスタを混ぜて食べる。
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阿佐ヶ谷でパスタと言えば、同じパール商店街に入るとすぐにあった"鎌倉パスタ"も大事ですね。
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1階が、これまた頻繁に利用している"サンマルクカフェ"であり、ここでは何といってもクロワッサンに板チョコを包んだチョコクロが有名ですが、チョコなんか食べるわけがない漢にはこれ、フランクロールがお薦めですよ。本当に激ウマ!
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鎌倉パスタとサンマルクとは同じ会社の経営のようで、パスタと一緒にサンマルクの美味い焼きたてパンが食べられると言う嬉しさ。和風パスタなのでフォークではなく、箸でいただきます。
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この時は姪っ子(1歳)が来てたのですが、こんな小さい子サイズの椅子もあります。
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この子は早くも楳図かずおファンになる素質が十分で、「おろち」ポーズが得意!
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(他にはパスタだとパール商店街ではないけど"南欧食堂Del Sol"がンマイです。高円寺にもあるし、実はパスタならそこに一番行ってるかも。)

パール商店街の中心(私の中で)は、当然ブックオフ
近所なので頻繁に通ってますが、ここでどれだけ絶版のレア本を掘り出した事か。
あまり古くて汚い本を出す店舗ではないのですが、それでも通う数の勝利ですね(そう、ブックオフチェーンでも店舗によって出す本に対する傾向、考えが違うんです)。
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次は、またSHIN SHIN KAIとほぼ平行している小さな商店街、一番街へ行きましょう。
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ここもマニアックなバーとか飲食店が多いのですが、まだほとんど行けてません。
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わりと最近、"大勝軒"もできました。すぐ近所なので嬉しいですね。
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既に10回近く行ったかな。写真は上から中華そば、辛中華そば、つけめん。
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店員さんの制服であるTシャツと、置いてるティッシュボックスの色を合わせるなんて演出もいいのですが、BGMは最低なんですよね…(痛い歌詞のJ-popを聴かされます)。
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近くに"ホープ軒"もあるのでたまに行くし、
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隣りの"スナック こねこ"は看板が可愛い。けど私、スナックは入りません。
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"マクドナルド"(mcdonalds)で(モデルは高円寺の"アニマル洋子"店員さん二人)。
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楽しいフリーマーケット"ゆうやけ市"が定期的に開催される松山通り商店街に向かう途中には、チェーン店ながら好きな店"ひもの屋"があり、
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有名ラーメン屋の"航海屋"もあります。
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松山通り商店街で行く店には"升要"(MASUYO)がありまして、ここはわりとレアな各国のビールが取り揃えてあるのでわくわくします。
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この前いっぱい買ったので空き瓶並べたら、こんなになりました。
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居酒屋では断然イイのが"川名"。安くて美味くて気分良く酔えるため、頻繁に行ってます。
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店中に張ってある駄洒落が、つまらなすぎて早く酔います。
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近くの"海南記"は中華料理屋ですが、焼餃子が188円に始まるツマミ各種が安いので、飲み屋としてたまに利用してます。
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思いつく順でどんどん行きましょう。
阿佐ヶ谷住宅。森高夕次原作、あきやまひでき画の漫画「おさなづま」の舞台は多分ここ。
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オシャレ雑誌の撮影とかでも良く使われているボロ…いや、レトロなテラスハウス群です。こんなのもマニア多いので観光客も良く来ているようですよ。

次はスターロード。いい飲み屋が一番充実しているイメージがあります。

二本の道に分かれてますが、奥の方に行くとすぐに"よるのひるね"がありまして、ここはわりといい本を取り揃えてる喫茶店兼バー…かな。
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隣りは"ヴィレッジヴァンガード ダイナー"(VILLAGE VANGUARD DINER)。
もちろんあの"遊べる本屋"を提唱し、けっこうマニアックな品揃えで本や雑貨を置くヴィレッジヴァンガードの兄弟店。
私はここで昼間にコーヒーを飲みながら読書などしていたのですが、 外国のビールをけっこう取り揃えているので一度だけ夜にBarとして使うべく妹と姪を連れて行ってみました。
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そしたらここで頼んだギネスが味スカスカの糞ビール!
さすがに店員に言ったら、『ガス圧は合ってますし、これがうちで出してるギネスです』なんてぬかす始末。
ギネスは注ぎ方があるし、古くなるとすぐに悪くなるデリケートなビールだというのに、何も分かっていないようです。
若いお洒落店員みたいなのがいる店では絶対ギネスは飲まないぞ!
それならばとギネスを残して、チェコ産の瓶ビールとか飲みましたが…すぐ帰れば良かったな。
いや、値段もけっこうするけど食べ物は美味しいし、Barとしてじゃなくて喫茶店とか食事の店として昼間に使うならいい店です。
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その目の前にある居酒屋"ラジオ屋"。
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ここは漫画家達に愛される店のようで、店中が漫画家のサインだらけ。水木しげる先生、永島慎二先生、東陽片岡先生といった、私のようなガロファンが大喜びする人達からエロ漫画家までたくさん。
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のれんの色が、最近変わりました。
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そして"JAMB JAMB"は、貧乏漫画「どくだみ荘」で知られる漫画家、福谷たかし先生の未亡人・マリちゃんが経営しているお店。
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定期的にライヴもやっていて、この小さい空間であがた森魚氏を観れた時は嬉しかったです。その後はあがた森魚氏と一緒に鍋を囲んで酒呑んだりもして!!

普通に呑みに行っても、クリーチャーデザインで有名な韮澤靖先生が常連でして、その韮澤先生の友達である…何とマリリン・マンソン(MARILYN MANSON)を日本のオフ日にこのJumb Jumbに連れてきて、しかしたまたまその日は休みだったとかの勿体無いと同時に驚愕な話を聞いたわけです。
しかしこの阿佐ヶ谷スターロードを、マリリン・マンソンが歩いたなんて…凄い。
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他にも漫画家で宮西計三先生(ザ・スターリンの「TRASH」や「スターリニズム」のジャケ画を描いた事の方が知られてますか)だとか、「ウイングマン」の桂正和先生なんかも見かけた事があります。
桂正和先生のようなジャンプのイメージが強い漫画家さんが阿佐ヶ谷にいるのは少し不思議です。
"少年漫画のエッチ描写限界点"の基準になったとも言われる「電影少女」にはそうとう興奮させられたもんですよ。まだ小学生でしたからね…

次も良く行くお店で、"木菟"(みみずく)。
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ここも長井勝一氏、、永島慎二先生、松田優作氏等が生前よく呑みに来ていたお店でして、ママの人柄も店の雰囲気も大好きなのです。

"暖流"も朝8時まで経営してて便利な上にいい店だし、
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スターロードだけで "大八"
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"あるぽらん"
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モツ焼き、レバ刺、煮込み等では安さ、味の共にトップの"四文屋"もあるし・・・
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他にもまだまだいい店があるのだから大変です。

ちょっと先に行くと、高円寺から移転してきた居酒屋"最後の2$"もあり、
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(ここは高円寺時代に良く行きましたが、当時はお好み焼屋でした)

"名曲喫茶ヴィオロン"と同じ建物内(隣りと二階)にあるのが、タイ料理屋の"ピッキーヌ"。ここは超有名にしてメチャ美味い名店ですね。
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駅南口正面の、"CAFE アコヒーダー"とか"さくら水産"とかある通りは何て言うんでしたっけね。
あそこもやはり飲み屋が多いですよね。ここらは私がお薦め店を教えてもらいたい。
さらに"いちょう小路"に入っても有名焼肉屋"友ちゃん"とかあるのでした。
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そうだ、その先の安い焼肉や牛スジが美味い"寄り本舗"は好きです。
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たまに近所の公園で遊戯してます。
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もちろん…死亡遊戯。
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・・・・阿佐ヶ谷あたりのいろいろ集まった素敵すぎる街で全体を紹介するのは、一人では不可能。
全然足りませんが、とりあえず私個人が最近行ってる店と定番の店をアップしただけなのでこんなもんにしておきます。また行く場所が増えたら記録用に随時アップしていきます。

飲み屋とラーメン屋ばかりの呆れるブログはこのくらいにして、阿佐ヶ谷には有名な大きい祭りが二つあります。
一つは"阿佐谷ジャズストリート"という、阿佐ヶ谷の街全体をステージにして10月に行なわれるもので、有名なプロのジャズプレイヤーから、アマチュア、地元の子供達バンドまで入り乱れて駅前広場、神社の境内、学校、レストラン…とにかくそこら中で演奏しまくる一大イベント。そういえば阿佐谷はジャズ喫茶も多いし、かなりジャズ人気が高い街のようですね。

もう一つが"阿佐谷七夕まつり"で、こちらは仙台・平塚と並んで日本三大七夕祭りの一つなんだそうで、東京の夏の風物詩。七夕なのに毎年8月に開催されます。
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阿佐谷パール商店街を提灯や吹流し等の飾り付けでいっぱいにし、商店ごとにビールやつまみなんかを販売するものです。
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それぞれのお店ごとで張りぼてを作って観客の頭上には吊るして競い合うイベントもあります。
その張りぼてもアニメのキャラクターだとか、その時の話題の物だったりいろいろなのですが、この細くて長い商店街の奥までずーっと張りぼてだらけなのは圧巻。
それを私は今年、漫画のキャラクターだけに絞って写真を撮って参りました。

とはいっても、漫画のキャラクターなんてそんなにいるわけがなく、その時の世相を反映した話題の人気キャラクターみたいなのばかりなのですが…
しかし、何と今年は「ゲゲゲの鬼太郎」がまたアニメ化されていたために、鬼太郎キャラがいっぱいいました。今回のアニメは、ますますキャラがポップになってましたねぇ。
もはや水木しげる先生、そして「墓場鬼太郎」の要素ゼロです。

まずは鬼太郎目玉おやじ
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また鬼太郎ですが、こちらは…?一緒にいるのはまさかオバQではないですよね?
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私の大好きなネコ娘
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ねずみ男
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こちらは大作(だけど簡単そう)な、一反もめん
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目玉おやじのソロ。
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こちらの鬼太郎は目のクマが病的でいいですね。
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砂かけばばあ子泣きじじい
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次に皆大好きな、鳥山明先生の「ドラゴンボール」
筋斗雲に乗る孫悟空クリリンですね。
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平井和正原作、池上遼一作画の「スパイダーマン」。いや、東映の八手三郎版かな?
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「シュレック」のこれは、かなり出来が良かった。
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これは今年流行りましたね、「レミーのおいしいレストラン」
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他のような張りぼてじゃないけど、藤子不二雄先生の「ドラえもん」もいた!
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ねじめ正一先生の民芸店「ねじめ民芸店」は、つっぱり桃太郎でした。
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…まぁこんな年末のタイミングに今更七夕祭の画像というのもどうかと思いますが、時間なくてそのまま放置していた画像をアップできてスッキリしました。

ちなみに昼間はこんな感じで↓
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物凄い数の観光客が訪れてこの細長い商店街がずーっと人で埋め尽くされるのですが、私がわざわざ嫌いな人ごみの中に入っていくわけがない。
これらの写真は前日の夜、やっと全部吊るして準備が終わった時に撮ってきましたよ。

この時期は阿佐ヶ谷駅も
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スターロードも、こんな感じで飾り付けて盛り上げ、賑やかになってました。
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はい、おしまい。

最後に、昨夜撮った現在の阿佐ヶ谷南口ロータリー。クリスマス用のイルミネーションです。
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おやすみなさい。
  1. 2007/12/27(木) 02:44:30|
  2. 旅行・紀行・街
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羽生生純先生のサイン色紙公開

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もうコレ↑を見てもらえばいいだけなんですが、先日大好きな羽生生純先生からサインを頂いてきました。

うちのスキャナーでは少し入りきらずに切れてしまいましたので、改めて写真を撮って。
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宛名には本名のBRUCEでは恥ずかしい気がして、あだなの大悟の方で書いてもらいました。


さて、これについて説明しましょう。
私は今年2007年の外呑み初めは1月2日で、羽生生純先生のお宅を訪問したとは年始のここで報告しましたが、その時連れてってくれた私の呑み友達・TAKUちゃんが先生との古くからの知り合いなのです。

それで先日の12月22日に行われたTAKUちゃん宅のホームパーティーに羽生生純先生も来てくれて、そのため久々に会えて話もでき、こんな素敵なサインも頂いたってわけです。


私は'60s前後の漫画を中心に集めてるので、現在連載中の連載漫画は"立ち読み漫画"以外それほど追ってないのですが、羽生生純先生というのは本当に数少ないリスペクト現役漫画家。
今回も作品の話・質問等は恐れ多くてほとんど出来なかったのですが、目の前で一緒に酒呑みながら話せるなんて信じられないくらい嬉しい時間でした。


用意しておいた色紙とペンを渡すと、『何を描きますか?』と聞かれて…
ヤバイ、当たり前の質問なのに何も考えてなかった!!

普通すぎるでしょうが、代表作にして大人計画松尾スズキ監督で映画化もした「恋の門」の主人公、青木門をお願いしました。
恋人の証恋乃もいるのは羽生生純先生によるサービスですね。
門と恋乃が同化しているようにも見えるデザインも秀逸じゃないですか。


そして優しい私は、実は色紙をもう一枚用意しておきまして、それを一緒にお邪魔した友人・一ツ本松氏用にあげたわけです。
彼は私より以前からの羽生生純ファンですのでね。
そして・・・・
「ワガランナァー」一人旅を描いて貰ってます!!
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くぅー、いいなー。


二人のを並べて。
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図々しいようですがもう一つ、持ってた単行本の「サブリーズ」にも、編集長の明日毛毎を描いてもらいました!
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TAKUちゃん宅にはさすがに大量のサイン本があるとかですが、この「ワガランナァー」はご家族が貰った物だとか。1998年というから、約10年前のサイン!!
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そしてそして・・・・
本日12月25日は、羽生生純先生の誕生日です!!
漫画界の救世主だけに、あのイエス・キリストと同日生まれなわけです。
おめでとうございます!そして、ありがとうございました!!



  1. 2007/12/25(火) 02:12:14|
  2. 古本 番外編
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旅行・紀行・街 (10) 群馬県沼田市 1 渋川市 1

週末はいろんな土地を訪れている私ですが、ここでアップしてる暇が無くて写真ばかりどんどんたまってます。まぁ全部をアップする必要もないのですが…
とりあえず今回は、12月初頭に行った群馬県沼田市の紹介をしましょう。

この地で我がLEE家の実兄・ラオウがついに新築の一軒家を建て、男二人に続いて女の子も生まれたというので訪ねてみたのです。
一流企業への就職からマイカー、結婚、子育て、マイホーム…と、計画通り順調な人生を歩む二つ上の兄と私は、ほとんど全てが逆ではないですか。

今回は朝早めに東京を出て、電車で群馬方面へ向かいました。
長時間電車に乗る時に楽しみなのは駅弁ですが、私も漫画ブログの書き手ですので、ネタと取材のために鉄道漫画「鉄子の旅」の作者・菊池直恵プロデュースの弁当を新宿駅にて買いました。
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日本縦断弁当~まるごと北海道編~
というやつで、北海道名物の食材にこだわって作られているのですが、オマケの漫画も付いてますよ。
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この焼印かまぼこはたまにしか入ってなくて、出たらラッキーなんだとか。
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電車で兄が前日に泊まっていたという新前橋まで行き、ここから車に乗せてもらって沼田市を目指しましたよ。ここ前橋市も古本屋が豊富にあったので、新潟県に住んでた時はよく来たものです。今回もブックオフだけ寄りました。

少しだけ寄り道したのは渋川市
前橋市と沼田市の中継地点として必ず通るのですが、ここを走っていると"日本シャンソン館"なんて看板が見えて、それはこの写真を見てもらいたいのですが↓
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一応フランスのトリコロールカラーを使っていながら、あまりお洒落でない企業とかの看板みたいで全然エレガンスじゃない!!
フランス好きで、もちろんシャンソン好きな私なのでちょっと行ってみましたが…
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入場料千円。うーん…却下。
エディット・ピアフとか、いろんなシャンソン歌手の記念品、資料とかグッズがあるなら楽しそうですが、シャンソン歌手の芦野宏氏が館長なんだとかで、シャンソンのイベントをする所だったみたいですね。
ただ外からちょっと見えた庭園はいい感じだったので、今度時間がたっぷりある時には寄ってみよう。

ちなみにこの渋川市は、これまた漫画ブログを手がける以上触れなくてはならない事がありまして、あるファンにとっての聖地でもあります。何と、しげの秀一先生の「頭文字D」作中に登場する"S市"のモデルなのです!

モツ煮日本一とまで言われる有名な"もつ煮の永井食堂"へ連れてってもらい、昼飯に。
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看板の左の方を見たらあからさまな青黄赤色の三色ラインが入り、つまりは熱心な○○学会員が経営しているお店ですが、本当に安い、うまい、早い…グーなモツ煮定食。
運ちゃん達を中心に相手するこの店ですので、私のような上流家庭育ちには量が多すぎる。半ライスで頼んでもけっこうな量です。
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美味さに感動した後は、おみやげに"もつっ子"を購入して・・・・
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これで渋川市とはおサバラ。

ちなみに群馬県といえば何と言ってもこんにゃく。
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こんにゃく芋を荷台一杯に積んでるトラックも多く見受けられました。

で、ようやく到着した目的地の沼田市。
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ここはつげ義春先生が書いた1977年の随筆集「颯爽旅日誌」で最後に登場する土地なのですが、
『城下町の面影はあまり残っていない。駅前の喫茶店に入る。旅に出てコーヒーを飲むのは気分が出る』
という事でした。

歴史的には軍事的な重要地として上杉謙信武田信玄北条氏らで領有をめぐって戦った土地であり、近年も木材の集積地、そして豊富な市場町として発達した土地らしいのですが…
現在は地方都市の例にもれず商店街は寂れてますね。

沼田市名物の一つに天狗の面があり、あのみうらじゅん先生が天狗ブームの時にインターネットで友達に検索してもらい(みうら先生はアナログ人間ゆえ)、ネット通販初体験でその天狗面を買ったという逸話があります。

初めて兄の新築&可愛いベイビーも見せてもらった後、見たいとリクエストした"吹割の滝"に連れてってもらいました。
行くまでの道のりもいい感じでしたが…
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"天狗茶屋"なんてのもありましたが、残念ながら閉店していました。
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もう終わりかけでしたが紅葉も見れました。
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つり橋を渡って降り、どんどん歩いて行くと、
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見えてきました!
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うーん、凄い。
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天然記念物に指定され、龍宮に通じているという伝説もあるこの滝、高さ7m、幅30m。
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しかし滝っていいですよね。ずーっと見てられます。
あ、"東洋のナイヤガラ"なんて呼ばれてるのですね。私はカナダで本物の"ナイヤガラの滝"を先に見てるので、迫力の格段な違いは明らかですが…
冬は氷結してライトアップされるそうなので、またいつか冬にも来なきゃ。
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それと面白いのは1.5kmに渡って続く奇岩です。これなんて般若でしょう。
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ここを去ってまた道路の方に向かうとみやげ物屋とかがあります。
"まちこ茶屋"のキノコ看板がいいですね。
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この土産物屋のおっちゃんは喉自慢のチャンピオンになり、大好きな石原裕次郎とデュエットした事もあるそうです。
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その先には"珍満亭"というお店が!!いいのかこの名前・・・・"ちんまん"って。
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沼田市街の方へ帰ると、"街なか天狗プラザ"という、小屋一つ使ってどでかい天狗を展示している所があります。
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あとはこの日、帰って兄達と鍋をつつきながら夜中まで酒を呑んで終わり。
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一夜明けて、次はお待ちかねの"迦葉山弥勒寺"です。
ここは曹洞宗の寺院なのですが、ここは天狗の寺。"日本三大天狗"の一つですよ。
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興奮で駆け足になりながら参拝してきましたが、本当に天狗、天狗、天狗!!
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カッコいい千手観音もいました。
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立ち入り禁止の研修道場には、沼田まつりの際に御輿として出御する"諸願成就大天狗"が安置されているのだとか。
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この沼田まつりというのがまた面白くて、日本一大きな大天狗を女性だけで担ぐという"とんまつり"なわけですよ。

最後にこの天狗を拝んでサヨウナラ。
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次は"玉原ダム"を見てきました。
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山道のドライブが懐かしい感じです。
これはかなり前の写真ですが、やはり群馬で野猿の集団に遭遇した事もあります。
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おみやげ屋の"みのや"にて天狗面を購入。
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やはりこの地は、どこのおみやげ屋でも天狗面を売ってましたね。

早速ゲットした天狗面をかぶって撮影。バックはリンゴ園です。
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次のおみやげ屋"なめこセンター"は、キノコがいっぱい。
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そして…こんな飴も売ってるんですよ。
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キノコとチンコでかけてるのでしょうか?そしてこんなもんをみやげとしてあげて、ギャグで舐めてくれる女性が存在するでしょうか。

嗚呼、天狗さま…
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中華料理屋の"飛龍"で辛味噌ラーメンを食べ、
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やはり天狗面で撮影も。
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これでサヨナラ群馬県。

もう、嬉しくてしょうがなかったのでしょうね。
東京に着いてからも近所の公園で撮影して、気分はつげ義春先生の名作「ゲンセンカン主人」ですね。同作は同じ群馬県にある、湯宿温泉がモデルだと言われています。
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あと、漫画の名作で舞台となった群馬県の土地と言えば…吾妻郡嬬恋村って所にも行ってみたい。水木しげる先生の「悪魔くん」(松下一郎版)では精神的異能児である悪魔くんが3歳にして買ってもらった広い土地が『奥軽井沢』であり、奥軽井沢といえば長野県ではなくて、群馬の嬬恋村を指すらしいのですね。そして、その土地こそが世界で一番悪魔を呼ぶのに適しているらしいのです!

はい、それではまた。
  1. 2007/12/21(金) 23:57:18|
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劇画(32) 高橋ヒロシ 3 「QP(キューピー)」 3

高橋ヒロシ先生の「QP(キューピー)」紹介の続きは、今回で終わりです。

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その後キューピーこと石田小鳥は、我妻涼を探して"壱年連合"のアジトに乗り込み、たった一人で戦います。
その異常な身体能力を発揮したキューピーのケンカっぷりがまたとんでもなく、しかもキレてるから人を三階の窓から力任せに放り投げるし、刃物出してる相手には
『喧嘩に刃物出すって事はな
人を殺す覚悟も 殺される覚悟も あるって事だろーがっ』

と言って耳を刺す。

キューピーを止める事など誰にも不可能で、全員がやられてしまいましたが、この場に我妻涼はいませんでした(その後もずっと姿をくらました)。
そして警官に捕まり、キューピーは少年院に送られて・・・
ここから出てきたのが冒頭のキューピーなんですね。

やっと時間軸が最初に戻って、現在働くガソリンスタンドで
『バカは死ななきゃ…ってゆーだろ
ところがオレの場合 人一倍頑丈にできてるからよ
バカの中でも最もタチの悪いバカだったわけだ…
ほんとどーしようもねー ガキだったんだよ』
と、語っている所へ移行。

キューピーが少年院に入ってた間の出来事を聞いたり昔の仲間に会いに行ったりもしますが、誰もが『もう我妻涼とは関わるな、違う世界に行っちまった』という風に言います。

その我妻涼の方は、ついに組に入る事なく見事ヤクザにまで自分の組織を認めさる事に成功。
しかし彼の心には、いつまでも学生時代に一緒に悪さしたキューピー達がいて…彼らにその成功を労ってもらい、また夢を語る場面を想像しますが、実際の自分は土手で一人タバコを吸い、ただ風がヒュウウウと吹くだけ。寂しそうです。


その後、キューピーの方から我妻涼に会いに行って『目を覚ませ』と説得するのですが、逆に
『目ェ覚ませだとこの野郎……
オレはおまえとの約束だけを信じて ここまで来たんだぞ!
おまえがいない間 オレがどんな地獄を見て来たと思ってんだ!!
口にピストル突っ込まれて ふくろにされて 脇腹刺されて……
それでもいずれおまえが… そー思ってここまで来たんだぞ!!
裏切ったのはおまえじゃねーか そのオレに目ー覚ませだとてめーー!!』

そう言って無抵抗のキューピーを殴りまくって、やはり闇しかないヤバイ世界から引き返す事はできない我妻涼でした。

それから我妻涼のあまりに厳しいやり方に付いていけない部下と、彼の悪の才能を恐れたヤクザが、関西からトムとジェリーという二人の刺客を呼びました。
使われてないボーリング場のある取引き予定現場で、ついにクーデター決行です!!

その情報を我妻涼の側近から聴いたキューピーは駆けつけます。
ガソリンスタンドの同僚達が『もう前に向かって歩き出すって決めたなら、ふり返るようなマネするな』と引き止めるのですが、キューピーは
『放っとくわけにはいかねーんだよ
あいつは…リョウはオレのトモダチだからな……』

と言ってまだ我妻涼を見捨てずに危険な場所へ向かうのだから、泣けますよ。

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さてクーデターの現場では、前日に的である我妻涼によって仕留められていたトムとジェリーが我妻涼側に付いていた事が分かり、この場は完全に我妻涼の勝利。
裏切り者も命を助けてやって持ち駒として使う事で一件落着・・・と思ったら、とんでもない事態になりました。

ナイフが飛んできて我妻涼の敵だったヤクザが殺されましたよ!
姿を現した奴らは、超一級の殺し屋集団であるSMOKE-S(スモークス)。
全部で七人いて、全員がジェイソンばりにホッケーのマスクを被ってますね。

続いて裏切った部下もやられて、その場にいる全員が狙われてる事が分かります。
混乱して銃を乱射する部下(味方の方)を抑えて我妻涼は、
『いいかビビるんじゃねーぞ! 我を忘れたら終わりだ!!
眼をこらせ! 耳を澄ませ! 五感を研ぎ澄ませ!!』

そう言って冷静に対処します。いや名セリフだ。この時の我妻涼には心底シビレました。

さらに
『あいつらがオレたちを狙ってるんじゃねー!
オレたちが奴らを狩るんだ! いいな!!』

と、殺し合いが始まるのですが、凄い展開になりましたね。
今まで喧嘩を描き続けてきた高橋ヒロシ先生ですが、この作品では登場人物も大人とはいえ本当の陰惨な殺し合いを描くのです。

仲間がもう一人殺される、まさにその時にキューピー見参!
またこの世界に入っていく自分に対し、心の中で少年院の院長先生や上田秀虎に問いかけます。
『今回の事も見なかった事 聞かなかった事… 一切無視すればよかったんだろうか?
そーすればオレは幸せになれたんだろうか?
ちがう…絶対にちがう』

と。

やっぱり強さではキューピーは異常です。強すぎる殺しのプロを二人ぶっ倒して、
『チンポの毛がはえるあたりからやり直せ アホ!』と決めゼリフ。
我妻涼も最後の一人を殺して、ようやく生きてボーリング場を出れたのは、キューピーの他には我妻涼とトムとジェリーだけ。

この作品も終わりに近づき、主人公であるキューピーと我妻涼との、恐らくは今生の別れシーン。我妻涼は、
『オレはひねくれて… グレて… 流されるゴミみてーにこの世界にいるんじゃねー
オレはオレの意思で 今こーしてここにいるんだ
だからおまえがなんていおうが もう戻れねーし 戻る気もねー
これがオレの生き方なんだ 今日それがはっきりわかったんだ』

そう言い、別の世界で生きていくキューピ-に『永久のサヨナラ』をします。

決して悪の道に誘惑されなくなるキューピーの成長物語でもあるこの作品ですが、このカッコよすぎる我妻涼を見ると、やはり高橋ヒロシ先生は悪の世界も否定してない事が分かりますね。
だから最後まで我妻涼はキューピーによって改心する事もなかった…
正義も悪もどっちも必要な存在であり、そしてどちらか片方が無い世界は存在しないって所でしょうか。

最終回。
キューピーの学生時代の朋友である奈良岡常吉のバンドメンバーとして、高橋ヒロシ先生の別作品「クローズ」桐島ヒロミが登場してきましたよ!!
同じく「クローズ」坂東も同バンドでリーダーをやってるようで、話にだけ出てきます。
…て事は「QP(キューピー)」「クローズ」は同一の世界って事じゃないですか!
キューピーVS坊屋春道のケンカとかもありえるわけですね??
いやリンダマンとか花木九里虎、当然「ワースト」も同一世界なんだから月島花も可能ですが、誰が一番強いんだー!なんて少年の瞳で想像してしまいます。
まぁ「クローズ」キャラをチョイ役でも出したのは、高橋ヒロシ先生によるファンサービスでしょうね。

そして我妻涼は。
元部下で彼によって左手を潰された金城による銃弾に倒れ、四発も撃たれたのに死にはせず、しかし声帯は破壊されて声を失ったそうです。
数ヵ月後、我妻涼はトムとジェリーを従えていて、あのボーリング場の事件の首謀者を撃って…


終わり。
---------


やはり途中から我妻涼を主人公にしちゃってましたね、この「QP(キューピー)」は。

全八巻分の長さで完結してしまって楽しみが一つ減り、悲しんでた当時の私でしたが、ある時届けられたのが、「キューピー外伝」がヤングキングに載ってるというニュース!
おお!またキューピーや我妻涼を見れるのか!!

まず最終巻に上田秀虎を主人公にした話が載りまして、さらに単行本にして一冊分の「キューピー外伝」が発売されました。
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こちらには二話のストーリーが載っていて、そりゃ外伝ですからキューピーも我妻涼も出番は少ないのですが、かなりいい所で出てきてくれてますよ。


一話目はキューピーが少年院に入ってる時の、仲間達の話。
中学高校とつるんでた仲間の鈴本幸三が怪我をさせられたと聞いて、脱走までしてきたキューピー。
ただ真犯人が分からずに、ただ腕自慢の強い奴をさらなる強さで倒しただけで少年院に戻りました。

そして我妻涼。こちらは真犯人を突き止めてました。
この時から、後にボーリング場で殺される市井が付いてて、鈴本を呼び捨てにした事で
『「鈴本さん」だろ 市井』
と、我妻涼から注意を受けます。

腹心の部下にもかつての友達を呼び捨てにする事を許さないあたり、カッコいいです。
感情を表に出さない死神・我妻涼は学生時代の思い出、仲間を物凄く大事にしてますからね。
大人になってからは仲間は作らず、誰も信用せず、いるのは手下だけになってしまいましたが…。

そして真犯人を完璧に脅してビビらせ、金持って見舞いに行かせて土下座で謝る命令をするのです。
『ウソだったら・・・次は殺しにくるぞ』
というからこれは恐い。


そして二話目は、「QP(キューピー)」本編完結の、その後の話ですよ!
既に我妻涼は、トムとジェリーを従えてヤクザの世界でもかなり大物になってます。
こちらは感動話仕立てですが、我妻涼を偉大なるボスとして付いて行こうとする若者・美咲元が、最後は凄くいい人になるヒコというヤクザに
『夢やぶれ… 故郷に帰ることは…
なんも恥ずかしいことじゃねーんだ…』

と言われて、待つ人がいる故郷へ帰る話。

美咲元は、我妻涼がその後若くして街の裏社会でトップに昇りつめると噂で聞き、彼はホントに死神だったのかもしれないと思う…
こちらはキューピーが全く出てこないのですが、我妻涼のその後が分かる嬉しい外伝でした。

ちなみに、6巻の巻末には高橋ヒロシ先生とTHE STREET BEATSのOKI氏による対談も収録されています。

ではおしまいに、ついに我妻涼を改心させられなかったキューピーの、それでも認める事にした最後のメッセージで終わります。


リョウ……
それが おまえの選んだ道なら もうオレは何もいわない……
自分の信じた道を つっ走ればいいさ……
どこまでも どこまでも……
オレもオレの道を オレらしく生きていくから……




  1. 2007/12/19(水) 23:56:15|
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劇画(31) 高橋ヒロシ 2 「QP(キューピー)」 2

高橋ヒロシ先生の「QP(キューピー)」紹介、第二回目です。
前回は「QP(キューピー)」自体にはほとんど触れられなかったので、今回はこれの紹介に終始したい所です。

そうそう。前回書き忘れましたが、掲載誌はヤングキング(少年画報社刊)で、1998年~2000年までの連載でした。

少年画報社で"キング"といえば、誰もがあの週刊少年キングを思い出すでしょう。
手塚治虫先生を筆頭としたトキワ荘出身の先生方、それに楳図かずお先生、松本零士先生、望月三起也先生、荘司としお先生といった大御所達が作品を発表し続けてヒット作も出していたので、私も少年キングで掲載されていた作品の単行本を数多く所持しています。

そして我らが漫画原作者、梶原一騎先生!
梶原先生は少年画報の懸賞小説でデビューしたため、全盛期である大の売れっ子時代にも、マガジンサンデーと比べて雑誌の格が低かった少年キングで作品を発表して恩義を返したのは有名な話ですね。
そして生まれたのは「柔道一直線」「赤き血のイレブン」といったヒット作でした。
ちなみにもう一人の漫画原作の巨匠・小池一夫先生も少年キングでデビューした作家です。

あとは花登筐原作、梅本さちお作画の「アパッチ野球軍」も凄い作品で・・・


って、はい!ここでストップ。
今日こそは「QP(キューピー)」についてちゃんと書くんだって!!

とにかく言いたかったのは、こんな歴史ある少年キングが人気低迷のためついに廃刊に追い込まれ、しかしその後同じ少年画報社から"キング"の文字を継承して創刊されたのがヤングキングで、しかしその内容は何らかの暴走族漫画が常時載っているヤンキー系漫画誌に変貌していたという事。

そんなヤングキングが生んだ今の所一番の名作かもしれないのが「QP(キューピー)」
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まず冒頭。あるガソリンスタンドに、顔が切り傷だらけながら大人しい男が新人として入社してきます。
彼は少年院から更正して出てきて、地元のガソリンスタンドで真っ当に働き出したのですが(夜は交通整備員のバイトも)、この男が主人公の石田小鳥こと"キューピー"で、実はかつてケンカ最強でならした数々の"伝説"を持つ男でした。

そう、不良漫画には"伝説"が付き物ですが、これはそのキューピー伝説を、かつて関わった者達、もしくは自らの回想で語られます。
もう本編の大部分が回想シーンなんですよ。
でもその過去への戻り方が絶妙でして、この作品というのが明らかに深い構想を練ってあるのが分かるわけですよ。

「クローズ」等よりも高い年齢の読者を想定しているようで、実際に社会に出た元不良のその後の生き様を描いているのが面白いですよね。「クローズ」の坊屋春道がその後どうしてるのかなんて気になっても分からない事ですから…

もちろん強い敵を倒したらまた別の強い敵が出てきて、そいつも倒すとまたもっと強い敵が出てきて…
という、「クローズ」でも使っていた少年漫画パターンは採用してません。
キューピーは既に最強すぎる設定ですしね、主題が違うのです。

さて。そのキューピーが働き始めたガソリンスタンドの同僚で漫画家を目指す山岡金四郎の後輩・トオルは両親を事故で亡くし、小学生の妹を育てていくためにも真面目に働いていたのですが、以前つるんでいた"タチの悪い連中"がスタンドまで乗り込んできて何かといやがらせをしてきます。
もちろん連中は、このスタンドにかつて地獄のキューピーと呼ばれた男がいるとは知らないわけですが、キューピーも
『問題起こしたら"窮屈な場所"に逆もどりしなくちゃーいけなくなるし…そんな事になったら約束を破る事になっちまうし…』
などと言って傍観の構えです。

トオルは殴られながらも
『何されてもオレはもう あんたらみたいにはなんねーぜ
あんたらみたいに 中身がなんもねー人間になっちまったらよ
オレを生んで育ててくれた おやじやおふくろに申しわけがたたねーからよ』

と叫びます。

こんなセリフなんかに作者である高橋ヒロシ先生の思想が見え隠れするのですが…
ただの不良を『中身がなんもねー人間』と言ってみたりするのに、でも主役級の不良キャラは誰よりもカッコいい存在として描く矛盾がありましてね。
まぁこの「QP(キューピー)」にしてからが喧嘩を卒業したキューピーと、一線を越えてワルの世界に突き進むキューピーの親友でこの後出てくる我妻涼との対比を使ってどちらもカッコよく、いろんな感情を描いた作品なのです。

おっと、そのピンチだったトオルを救ったのはやはり、たまたま仮装大会用にスタンドに置いてあったショッカー戦闘員の被り物で紛争したキューピーでした。
いやー強い強い、そのキューピーの圧倒的な力で乗り込んできた奴らを撃退したのですが、次はそのグループの上の連中が来ます。
その中の一人がキューピーの顔と強さを知っていたのでその日はそのまま帰り、次はついにグループのトップの人物が現れて…そいつこそが、我妻涼だったと。

キューピーと我妻涼、そして奈良岡常吉と鈴本幸三の四人が中学高校と行動を共にして伝説を作ってきた仲間でして、他にも主要人物はいます。
しかしこの作品の主役はキューピーと我妻涼の二人でしょう。
高橋ヒロシ先生の作品は魅力的な登場人物を増やしすぎて派閥もいくつもいくつも作り、混乱させたり主役が何話も活躍しなかったりする事が良くあるのですが、「QP(キューピー)」は巻数も多くないからか上手くこの二人の人生に絞って対比して描いてます。

キューピーは暴力を振るって暴れまわってたバカな自分を反省し、少年院の院長に手紙を書きながら職場の仲間とも打ち解け始めているのですが、一方の我妻涼はギャングみたいな組織を作ってそこのボスとして街の覇権を狙っているのですね。
作者はこの我妻涼を道を誤った人間として描きながらも、悪のスーパースターとしてメチャクチャカッコよく描いてまして、私の周りでは確実に我妻涼人気の方が高い。

キューピーに会いに来た我妻涼は、かつて一緒に暴れまわってた時、
『この街にオレ達の帝国をつくる! 暴力でこの街を支配する!!』
などと語ってた会話からそのまま成長しちゃってるんですよね。
それで最強のキューピーも少年院から出てきたら一緒に行動してくれるものだと思い込んでたのですが、キューピーはもうそっちの世界で生きていく気は無い。
『目ェ覚ませよ!!』と言う我妻涼を殴ってぶっ飛ばし、
『目ェ覚まさなきゃいけねーのは おまえなんだよ涼……』と言い放つ。

まぁ我妻涼からしたら、キューピーが帰ってくるまでに街の奴らを支配するための基盤を作って待っていたのに、そのキューピーは更正していたというのでは裏切られたと思うのでしょうし、可哀想な奴なんです。
大好きなキューピーを組長にして自分は若頭にという考えだったようですし…
かつて小学五年で同じクラスになった二人なのですが、実はいじめられっこだった我妻涼は、キューピーによって必殺の牛乳ビンを渡されて見事にいじめっこ達を叩きのめして生まれ変わり、それから最強コンビが誕生したと言うのです。
我妻涼にとってキューピーは、いつまでも最強の力を持つ絶対の存在だったのでしょうね。

キューピーの本当の姿を思い出させるために、我妻涼は子分達に襲わせるのですが、手を出さずに殴られるキューピー。
そこで彼を慕う職場のトオルが現れ、やられそうになった時についに動き、一人で八人を、それも圧倒的な力でぶちのめすのでした。
そこで影に潜んでいた我妻涼が姿を出し、
『どーだ思い出したか? これが本当の石田小鳥だぜ!
いやこんなもんじゃねーよな… おまえが本気になったら誰もかなわねー
おまえの中には暴力の血があふれてんだ
そーだろう小鳥! オレと一緒にこっちの世界でのし上がろうぜ!!
邪魔するヤローはかたっぱしからぶっちめるんだ!!
金も女も欲しいものは全部手に入れるんだ!!
オレとおまえならできる! こっちに来い小鳥!!』

そう演説をぶって仲間に引き入れようと説得するのですが、キューピーは完全に無視して我妻涼の横を通り過ぎる。

我妻涼はさらに後ろから追い討ちで
『あんなとこでペコペコ頭下げて割にあわねー給料もらって何しようってんだ!?
そんなもんクソじゃねーのかよ!?ちがうのか!? おまえは一体どうしようってんだ!?』

と迫りますが、キューピーは振り向いて(見開きページ!)、
『オレは…オレのしあわせを手に入れるために帰って来たんだ・・・
あのスタンドは その大事な第一歩だ!!』

そう言って去るんです。
我妻涼が言う事も分かるだけに、胸を打たれるシーンです。


・・・それからしばらく回想シーンが続きます、中学一年時代からいかにキューピー達が暴力でその勢力を拡大していったか、どこで我妻涼の歯車が狂っていったかが丹念に描かれてますよ。
高校時代に入り、アブなさではキューピー以上の「死神」として町中に名が広まっている我妻涼は、既にケンカにおける人数の重要さを勉強しているので、キューピーにも内緒で"壱年連合"なる組織を作って自分達の帝国で近隣の高校や族、チームを支配しようとするのです。
もちろん総大将にキューピーを立てて…って、過去に遡っても我妻涼は現代編と全く同じ計画ですが。

逆にキューピーの方は、上田秀虎という人物との出会いによって暴力大魔王から少しずつ脱皮しようとしていたのです。
『どーせやるなら意味のある喧嘩しろ!
くだらねー クソみてーな喧嘩してると そのうちクソみてーな人間になっちまうぜ!!』
なんて言われて考える所もあったのでしょうが、このキューピーVS上田秀虎もケンカをします。
大雨の中で掛け声だけ、あとは無音の演出によるケンカには30ページ以上使われ、何とかキューピーの勝利でしたが…
次の再会時にはあのキューピーが上田秀虎に頭を下げ、慕っていくのですね。

しかし"壱年連合"がその上田秀虎を集団で襲って大怪我をさせる。
その頭が我妻涼だと知ったキューピーは怒り狂うのですが…

という所で、今夜はここまで。

  1. 2007/12/13(木) 23:53:02|
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劇画(30) 高橋ヒロシ 1 「QP(キューピー)」 1

今回から紹介する高橋ヒロシ先生は、1965年生まれの福島県出身。

代表作は言わずとしれた不良漫画の「クローズ」ですね。今年になって今更映画化され、現在まだ公開中でしょうか。
「クローズ外伝」「続クローズ外伝」「その後のクローズ」と、しつこく続き、さらに現在も「WORST(ワースト)」と名を変えて彼らの物語は続いています。

(私も『好きな漫画は?』と聞かれると「ワースト」と答えたりするのですが、私の趣向がこんなだから昔の漫画を知ってる人は絶対に小室孝太郎先生の同名作品だろうと勘違いするんですよね。このブログでも以前紹介してるし…)

いつもこのブログを読んでる方は、何で私がこの手の"不良漫画"の話をするのか!と驚くでしょう。
いえいえ、さすがにでかい声で言いたくないし、立ち読み漫画的な扱いながらも小学生の時からずっと不良漫画(ヤンキー漫画、ケンカ漫画、番長漫画…)は読み続けているのですよ。
現実世界の不良とかヤンキーとか言われる人々に対しては、ダサい(生き方も、ファッションも)のでバカにする対象としてしか考えていないし、もちろん私自身もああいう分かりやすい不良だった時期はない。
小心者だからというのもあるのかな。いやいや、でも彼らに対する憧れの気持ちも微塵も無いな…
ただ、彼らの中だけで通用する風習や儀礼みないなものが、未開の蛮族を眺める感覚で面白くて好きなんでしょうかね。

はっきり言って不良漫画は、ほとんど工夫の無い似たような内容、下手な絵でも簡単に人気が出るだけに、質の低い作品が多いですよね。
それでもさすがに違う有名所も多くありまして、きうちかずひろ先生の「ビーバップハイスクール」吉田聡先生の「湘南爆走族」所十三先生の「名門多古西応援団」森田まさのり先生の「ろくでなしBLUES」西森博之先生の「今日から俺は!」東條仁先生の「CUFFS〜傷だらけの地図〜」加瀬あつし先生の「カメレオン」・・・
適当に思い出した順で挙げてみましたが、まだまだいっぱいありますね。ここら辺は全話読んでるし、たまに読み返してます。
しかし部屋に置いといて客が来た時に見られたら恥ずかしいから、やはり立ち読み専門漫画という位置付けですが。

「夕やけ番長」「男組」「男大空」「男一匹ガキ大将」等に代表されるの硬派な作品は、今のヤンキー系なイメージとはまるで違うし、学生ではありえないでかい戦いが主題になってたりしますが、他の不良漫画の先達ではあるのでしょうか。
「ガクエン退屈男」あたりまで入れちゃうと幅が広がりすぎますね。


・・・ジャンルがどうとかで脱線するのはここまでにしておいてと。

とにかく、私は高橋ヒロシ先生の大ファンなんですよ!
分かりやすい特徴を挙げると、高橋ヒロシ先生が描く不良達は、全員がオシャレ!!
ファッションセンスなんて関係なかった不良漫画にそれを持ち込み、それが他の不良漫画家と一線を画してる部分でもありますね。
「クローズ」初期はそうでもなかったのですが、近年はもうスタイリストが付いてるんじゃないかってくらいです。
学ランなんか着ないで、上は柄シャツとアクセサリーが基本かな。それぞれのキャラに合った服装なんです。
つまりファッションを見るのも楽しみであり、重要ポイントになりますね。

あと日本一タバコを吸う姿をカッコよく描く漫画家でしょう。吸うタイミングも絶妙です。
ほとんど男しか出てこなくて、女性の主要登場人物が全作品通して一人もいないのは、"男"のこだわりでしょうか。
彼女がいる奴を羨ましがるような描写はあるのですが、彼らの一番の関心は常に強さですからね。

さて、その大好きなその高橋ヒロシ作品から、今回紹介するのは・・・・「QP(キューピー)」(少年画報社刊)。
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単行本は全八巻で、「キューピー外伝」としてその後に一冊出ています。

「QP(キューピー)」を紹介するにあたり、この漫画ブログ内でのジャンルは"劇画"にしてあります。
絵はリアル志向というわけでもないし、もちろん俗に言う劇画、つまり辰巳ヨシヒロ先生や佐藤まさあき先生ら劇画工房の連中を思い出すというわけではないのですが、内容の方はハードボイルドで殺し屋も出てくる、往年の劇画であると言えるでしょう。
あの時代からヤンキーとか言われる奴らの誕生を経て生まれた、"現代の劇画"と言ってもいいのではないでしょうか。

この連載が始まった当時、私は実録のヤクザ映画を頻繁に観ていた時期だったので、このタイトルに期待が膨らみました。
この作中では主人公がキューピーちゃん人形のような髪型である事から付いたあだ名がキューピーだと言うのですが、そのあだ名はヤクザ界では超有名な、実在した"悪魔のキューピー"こと大西政寛から取ってるのが明らかではないですか。
大西政寛・・・・恐ろしく残忍なのに顔はベビーフェイスだった事から悪魔のキューピーと怖れられた人物で、土岡組若頭。
最後は、学生に扮して着ていた学生服姿のまま警官によって射殺されてます。
深作欣二監督の大名作「仁義なき戦い 第一部」で、梅宮辰夫が演じた若杉寛のモデルと言えば通りがいいでしょうか。

いやまぁ名前だけ頂いてますが、この「QP(キューピー)」の主人公・石田小鳥の人生とは関係ありませんね。

さて話を追ってみましょう。
・・・と思ったら、もう時間がありません。ちゃんとしたストーリー紹介はまた次回!!

  1. 2007/12/08(土) 15:14:13|
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月刊漫画ガロ(38) 内田春菊 1 「呪いのワンピース」

内田春菊先生。この方もガロ出身ではかなり有名人の部類に入りますね。
1959年生まれの長崎県出身で、その悲惨すぎる過去については自伝小説「ファザーファッカー」で読んでください。私の口からはとても言えませんので!!しかし過去のトラウマを作品に生かせる事を立証したのも、大きな功績ですね。

漫画家以外にも小説家・女優・歌手等でも活躍してますが、このブログで語るべきなのはもちろん漫画作品。
1984年の「シーラカンスぶれいん」で漫画家デビューした内田春菊先生の、代表作として「幻想の普通少女」「南くんの恋人」「私たちは繁殖している」「若奥様玉地獄」等があるかと思いますが…
内田春菊先生の描く"愛"とか"幸福"描写は正直私の好みのではないのが多く、毎月買ってたガロでも彼女の作品としりあがり寿先生の「コイソモレ先生」だけは飛ばして読んでたくらいでして。多分凄い世界を描いているのでしょうけど、理解できない受信側(私)の問題でしょうね。

小説では文学賞を受賞してるし、これはわりと好きな漫画ですが「南くんの恋人」はTVドラマ化もされて、本人もいつも厚化粧でTVや映画に出ているわけですが…一般への知名度を不動の物にしたのは東京電力のキャラクター"でんこちゃん"でしょうかね。
あと、同じく漫画家としてはガロデビューのキュートなデブ専漫画家・友沢ミミヨ先生は内田春菊先生のアシスタント出身でもありました。
現実世界の子供達に付けた名前がギリシャ文字のアルファベット順だとかで、在波(あるは)、紅多(べーた)、紅甘(がんま)、出誕(でるた)とかって…アホな事もしているのが話題になった事もありました。

内田春菊漫画は決して全般的に好きなわけじゃない事は書きましたが、それでもジャンルが好きなホラーだからか大好きなのが「呪いのワンピース 」(朝日ソノラマ刊)。
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ちなみにサイン本です。この本は本当に好きなんですよ。
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かつてテレビアニメにもなった事があるこの作品ですが、ひばり書房等から出版されてる昔のホラー漫画好きには、まず好美のぼる先生の同名作品が思い浮かぶでしょう。
まさか内田春菊先生が好美のぼる作品をリメイク!?いやいや、関係ない同名異作品です。

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どんなときにもおしゃれして 好きな男の子からきれいだって言われたい…
それは女の子の永遠の望み…
しかし…そんな望みが思いがけなく 悲しく恐ろしい結末につながってしまうことも…


主人公・祐子のそんな独白から物語は幕を開けます。

いいですねー。女性のお洒落に対する思いや、綺麗な服を持ってる人に対する羨望や嫉妬の感情とか、男にはそういう気持ち自体無くてなかなか描けないもんですからね、これは楽しみだ。
内田春菊先生はさすがに上手いですよ。

家庭科の材料を買いに行くクラスの女子連中の集まりで、クラスメートの真由美は"パリの洋服"で現れます。
『ここんとこにかいてあった メイドインフランスって』
とか言って自慢する真由美。
それも大人の男目線からしたらくだらなくて微笑ましいのですが、それを眺めてる女子の一人、おデブなその子は何気なく『LET'S SUMOU』とか書いてるトレーナー着てて…まぁギャグだろうけどいい加減さが受ける。
こういう突っ込み所はたくさんあるのですが、時間も無いので流していきます。

その真由美の誕生パーティーに呼ばれたクラスメート達。
そこには祐子が好きな土肥君も来るというのに、新しいよそいきの服は買ってもらえません。
途方に暮れている時、ママの洋服ダンスから見た事のない、それはそれはキレイなワンピースが見つかるのです。

『いったいどういう織り方になっているのでしょうか
スカートがゆれるたびに お花のまわりに光る蝶がひらひらと舞ってみえるのです
そのうえデザインのせいか 足やウエストはすっごく細く胸は豊かに見え
私までなんだか たいへんな美少女になってしまっているのです』


ですって。
それを着ている所を見たママは真っ青になっておびえ、それだけは貸せないと言います。
でも少女の美しく見られたい願望は抑えられません。

結局そのワンピースを着て誕生会に出席した祐子は、たちまち主役の真由美そっちのけで他の友達の羨望の的になり、土肥君の視線も釘付けですが…
わっ!!突如祐子は発狂し、
『ヒーヒヒヒ ヒヒヒ 殺してやるーっ!!
私だけ死んだ!! 私だけ死んだ!!』

などと叫びながら、首を不自然にガクガクさせ始めました!
(そこのコマだけ見るとギャグにしか見えないのですが…ホラー漫画です)

駆けつけたママと土肥君で暴れる祐子からワンピースをはぎとると、うそのようにおとなしくなりましたが…完全に何かに憑依された状態でしたので、記憶は無し。
ママとそのワンピースを燃やしながら聞くには、このワンピースを燃すのはこれで3度目。
焼いても破いても戻ってくるワンピースに怯え、祐子もママのようにただただ青ざめる…

完。
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これが一話目でしたが、同じワンピースを使って登場人物や設定を変えて、PART 3まで描かれています。
PART 2では何とワンピースが主人公の皮膚になってしまいます!つねると痛がるしそばで見ると血管が見えるんだとか。

内田春菊先生もあくまで女の子向けに描いたと言ってるし、さほど深みがある恐さでもないのですが、怪談話として読むといいでしょう。
それに女性作者ならではの視点がからむから面白い。この単純な絵も逆に効果を生んでいる所があるので、内田春菊先生にはもっとホラーを描いて貰いたかった…いや、これからも描いて貰いたいなぁ。
この単行本「呪いのワンピース 」には、他にもホラー漫画の「部分」「由起子ちゃんは雑草の中」「雨の日は嫌い」を併録してますし、他にもホラーな単行本としては「闇のまにまに」「仔猫のスープ」があるんですけどね。



  1. 2007/12/06(木) 23:51:54|
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旅行・紀行・街(9) 新潟県長岡市 2

こんばんは、BRUCEです。

人体の約60%が水でできている事は広く知られている事であり、1日に約2000mlくらいのの水分を補給してやる必要があるのですよね。しかし私はといえば、今まで水分なんて飲み物ではビール、日本酒、焼酎にワインと、とにかくアルコールと一緒にしか執ってこなかったのです。
ノンアルコールはかろうじてコーヒーくらいだったのですが、今更ながら最近は水の素晴らしさ、美味しさに目覚め、毎日1リットルくらい飲むようになりましてね。
ならばより良い水を吸収しておこうと思い立ったのが今回の旅のきっかけです。
BRUCE LEE様も『考えるな、水になれ』と言ってましたしね(それは関係ない)。

そんな私の行き先は新潟県栃尾市…いや、ここも合併ブームに便乗していたようで今は長岡市になってましたが、ここの"日本名水百選"にも選ばれている杜々森(とどのもり)湧水を目指したのです。

まずは高速バスで東京都から新潟県へ。
今年は紅葉が遅いようで、11月半ばというのに綺麗な山を見れました。関東平野を抜け、群馬県に入ると山ばかりの風景になりますよね。


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実家の車を借りて、目的の長岡市(旧・栃尾市)へ。
田舎道を車で走り、きれいな山と川を見ながら癒されるようになって、私もすっかり都会人みたいだな…。
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途中で"木山沢の願かけ不動尊"なんてやつが。
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『苦しみ悩むものは 私が救ってやりましょう』ですって。
おお、この悩み多き子羊をお救いください!

ようやく到着した、"杜々の森名水公園"。
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ちなみにここは初めてではなく、かつて私も新潟県に住んでた少年時代、両親に連れて来られた事があります。でも何だここ、レストラン銘森(めもりー)なんて、ひどい当て字の店も発見。
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脳味噌みたいな石がいっぱい並べてありましたよ。
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昔の記憶も思い出しながら、鳥獣保護区に指定されている静かな林で休んだりして…
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そして目的の湧水。
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ひっきりなしに訪問者が訪れ、大量に水を汲んで行きます。
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横に階段があるので登ってみると、地味な社が一つ。
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パンダがいたので
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乗ってみると、
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意外にも中はがらんどうでスカスカ、しかも損傷が激しかったです。

デブワゴンも来た事があるようで、記念写真が飾ってありました。
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こいつはここ、杜々森のキャラクターのようですね。
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ついでだから旧・栃尾市の市街にも出て、名物の油あげを買いました。
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油あげって、普通は薄っぺらく豆腐を油で揚げた、あの食品を思い出すでしょうが、ここのはちょっと違います。
かなり厚手なのでこれ自体をそのまま軽食として食べる事ができます。
納豆を挟んで焼き、つまみにするのが我が家の定番でした。今回買ったのはここ、"星長商店"で、でかい油あげ一枚140円!!
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みやげ用に数個買いましたが、その場で食べる事もできます。美味いです、ええ。
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旧・栃尾市のもう一つの名産品は手まりですので、この辺りは「悪魔の手毬歌」のあの歌を思い浮かべながら歩くのがいいでしょう。
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"高徳寺"には、源義経を追ってこの地で没した静御前の墓も存在します。

そしてそして!
ここにはほだれ祭という"とんまつり"があります!
どんなもんかと言うと、高さ2.2メートル・重さ約600kgと、日本一巨大な男根形の御神体に新婚1年未満の女性がまたがり、これを神輿として担いで地区内を練り歩くという、アホな祭りなわけです。
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3月の祭りなので今回は観れませんでしたが。

旧・栃尾市出身の有名人としては、私は何度も阿佐ヶ谷でお会いしている造型師、キャラクターデザイナー、イラストレーター、そして漫画家の韮沢靖先生がいますよ。

これで旧・栃尾市とはオサラバし、次は元から長岡市だったプチ都会の方へ。小学校時代までは、ここが私にとっての東京みたいなもんでした。
以前魚沼市紹介と一緒の時に、ここの山本五十六記念館と生家なんかを少しだけ紹介しましたが、今回は敬礼だけして通り過ごしました。もちろん偉大なる山本五十六元帥は長岡市出身なわけですが、他にも作家の関川夏央先生が長岡市出身。
上村一夫先生や谷口ジロー先生といった凄い漫画家と組んで漫画原作も手がけている、私にとって(もちろん漫画界にとっても)重要人物ですよ。あと有名な禅僧・良寛さんも長岡市出身で、しかも市内の隆泉寺という所に墓があるらしいのですが、未だに場所が発見できてません。

他には世界一でかい花火が上がる花火王国であるとか、米百表の長岡藩なんかが有名…なのかな?
ここらへんは私にはどうでもいい部類ですが。

ちょっと重要なのは、有名ラーメン店がかなりある事。
今回は"安福亭"へ行きました。
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ここはこってりスープに良く合う、二種類のネギが入れ放題。安食堂的な内装ですが、ンマーイ名店です。
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それから市内だけで三軒あるブックオフを含む古本屋を回って長岡市を去り、帰り道の小千谷ブックオフでは何と…
日野日出志先生のレア本「畸書 全身に鱗が生えてくる本」(KKロングセラーズ刊)を105円コーナーからゲット!これだから、たまには田舎が最高と思える!
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はい今回は週末の新潟県長岡市、それもほとんど旧・栃尾市をちょっとだけという短い旅の記録でした。
  1. 2007/12/04(火) 02:31:29|
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梶原一騎(33) 石井いさみ 2 「ケンカの聖書(バイブル)」 2

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今夜は梶原一騎原作、石井いさみ作画の「ケンカの聖書(バイブル)」紹介の続きです。
キラーキラーのダブル殺し屋である主人公・吉良旭が、いよいよ全米プロレス界の星・プリンス=スターと正式に戦えるようになった所からでした。

前回まで匂わせていた吉良の背負う暗い影…それは何だったのか。

運命の対戦の夜、吉良本人の口から、セコンドを勤める甲賀正清に話されます。
とことん悪魔に徹しなくてはとてもプリンス=スターには勝ち目が無いため、自分が悪魔に魂を売った理由を語る事で自分に念をおすため、自分の中の悪魔を完全に狂わせるためにですが、珍しく饒舌に語ります。

『神なんか絶対に存在しない』と、口癖のように毎度話していた吉良の過去とは…

1945年8月6日に生まれ故郷の広島にいたという吉良は、父と妊婦の母と共に、小船で沖に出ていたそうです。
潜りが得意だった少年時代の吉良は、悪魔のB29が来襲してきた時にエメラルドの海へ飛び込み、青い世界を深く深く潜っていたのです。

海底にキラッと光る真珠を見つけてそれを目指してグングン潜っていたのですが、その時海上ではピカドン、つまり原爆が投下されていて、浮上した吉良を待っていたのは両親と腹の中の弟だか妹も合わせて三つの干からびたミイラのような死体でした!

それでこの世に神など存在しない証拠を掴んだ吉良は、成長して漠然と復讐を考えながら渡米したのですが、ついに見つけた真の復讐の対象がプリンス=スターであり、やつこそずばりアメリカそのものなんだとか。
それをたまたま立ち聞きした女子プロレス太平洋岸チャンピオンのダイアナ=ローザは呆然とし、また恐れもするのですが…何故アメリカ人のローザが日本人二人の会話を理解できるのか!ってそれは驚く所が違います。漫画の世界では全世界共通の言語があるのです。

のちにローザが語った所によれば、吉良の命を救った青い海底に美しく光る一粒の真珠こそが
『生きよ! 生きて生きがいのある人生をあゆめ……』
そういう神のご意思だったと考えられると言うのですが、こういう所に原作の梶原節とも言える文学性が出てくるわけですね。
さらにのち、吉良が
『フン……しゃらくせえ!! 復讐のために!! 復讐のために!!
オレを生きのこらせて復讐させるだけにだけ あの真珠は光っていたんだ!!』

そう回想するのですが、はたして。

とにかく吉良旭VSプリンス=スターは始まりました。
実力差は歴然に見えた二人ですが、一本目は吉良が華麗な技に翻弄されながらも天才的な反則技でプリンス=スターを痛めつける事に成功し、当然反則負けになるのですあ、そのダメージが元で二本目は何と吉良の圧勝。
日本の悪魔がプロレス界の英雄を押さえつけるという図を、全米に見せ付けました。

しかし決着の三本目、かつて人を殺してもいるプリンス=スターの必殺技"スカル・ブレーク"により吉良は敗北!!

…しかし吉良は誰も破れなかったこの技を、脳天叩きつけられながらもプリンス=スターの股間の急所を感電させ、自分のダメージを半減させてもいたという結末。

勝負はつきましたが、互角のダメージを受けた事でプライドを傷つけられたプリンス=スターは日本に渡り、悪魔の顔で日本のレスラーを吉良並みの反則技で痛めつけて、もうプロレスに未練が無くなった吉良をおびき寄せました。

二度と帰らぬつもりだった日本に、今や吉良に惚れ込んだ甲賀までが帰ってきて、日本で2度めの対決が行われました。
吉良によって勝手にアメリカ合衆国代表、そしてピカドンに見立てられ、両親のカタキとなったプリンス=スターは紳士の姿を捨てて凶器も使った反則ラッシュで攻めてきますが、これはレフリー無しのデスマッチ。

あまりにもやられっぱなしの吉良でしたが、曰く
『オレは今夜……これから、かならずスターを殺す!!
殺すとなればちょっとや……そっとの憎しみだけじゃいけねえ……
それなりの憎しみが……殺意が……
こうしていためつけられることで…オレの体内に充電されるのを………まっているのさ!!
なんせオレだけじゃねえ……
原爆で死んだオレの両親!おふくろお腹の中にいた弟か妹の四人ぶんの憎しみ殺意が充電されるまでには、
ちっとは時間もかかろうさ ウフフフッフッフッ!!』

なんて不敵に笑う彼は、やはり口先だけではありませんでした。

わざとコーナーポストの所で"スカル・ブレーク"をかけさせた吉良!
実は彼は試合前から日本刀をリング下にかくし、つないだ紐をポストにからめておいてあったのです。
日本刀を使って本気で殺しに行く、プロレス史上空前の大反則で攻めると…あれれ??
プリンス=スターは急にビビッて逃げ回り、あっさり負けを認めてしました。

ここで日本プロレスの帝王・力王山が止めに入り、吉良も
『……もう…強かない みじめったらしくおびえるスターの姿は、もうオレが彼に見た典型的アメリカ人じゃねえ………
降伏しちまってる敵を、なおもしつこく戦争犯罪人の名のもとに、死刑にしたのは、
戦後の東京裁判でのアメ公のやりくちだったっけ………な……』

とつぶやくと、復讐の公開処刑は中止されました。

ここで出てきた力王山という男ですが、大相撲の元大関にしてまだプロレスのプの字も知られていなかった時代の日本に一大プロレス王国を作ったほどの男!
…ってまぁ、誰が見ても原作者の梶原一騎先生とも旧知の仲だった、あの力道山がモデルですね。
この吉良旭VSプリンス=スター戦の話を聞いて巡業に行ってたブラジルから帰国したのですが、ファンの子供達やマスコミの前ではニコニコしてサービスいいのに、弟子達だけの部屋に入るとその顔が少しずつ恐く変わっていく「大魔神」みたいなシーンもあります。

力王山は、吉良の悪魔の"ケンカの聖書"思想に対して、
おまえはケンカの聖書とやらたいそうな口をきいておるそうな。
フフフ……かわいいが、はたして、それは聖書というほどのしろものかな。
せいぜいラクガキ帳か、カンニング用のアンチョコのたぐいとちがうかな!?』

なんてぬかして馬鹿にし、何と吉良も力王山が目の前に立った時に、生まれて初めての恐怖を感じてしまいます。
『や…やつのはケンカ度胸なんてうすぺらなものじゃねえ……ケンカの魔王だ…大魔王だ!!
ケンカの聖書は……オレの手でなく、やつの手に……あった!!』

とまで言って戦慄してますからね。

しかし力王山を恐いと思ってしまって、それで引っ込む吉良ではありません。
自分自身も力王山も許せなくなった吉良の決意はこうです。
『日本プロレス界を、その支配者たる力王山を、この手でたたきつぶしたる!!
バイブルを ケンカの聖書をとりもどすために!!』

分かった事は、吉良にとっての最強にして最後の敵は、プリンス=スターなどではなく力王山だったという事。

そして記者達にルンペン道場などと呼ばれた倉庫のリングで、"アジアプロレス協会"として新プロレス団体を旗揚げするのです。
アメリカから女子プロレスのローザも呼び寄せましたが、これからどうやって力王山の"日本プロレス協会"に挑んでいくのでしょうか。
(当時は他にプロレス団体は"日本プロレス協会"唯一つだけでした)




最終巻である5巻に突入します。
キラーキラーこと吉良旭が、日本に一つしかないプロレス団体である"日本プロレス協会"とそのボス・力王山を倒すために設立した"アジアプロレス協会"

彼らがどう挑んでいくのかというと、まずアメリカからはみだし悪魔部隊を呼びます。
彼らはみせかけの反則技の後に善玉レスラーにやられる、あのプロレス的な役ができずに本気で善玉を半殺しにしてしまうために本場のプロレス界からは使ってもらえなくなった連中。
彼らも女子プロレスのスターであるダイアナ=ローザ、そして当作品のナレーションにして空手道場経営の甲賀正清も、ビジネスとして吉良の企みに参加したわけですが…

吉良は一人、
『オレのほうの目的は金じゃねえ!
目的は…血だ!! 力王山の血よ!!
あのニセ英雄をてめえの流す血の海にごう沈させるこった!!』

そう凄んでいます。

そのアジアプロレス協会の第一回目の興行は、目の前の場所で力王山達のイベントとぶつけられたりもしましたが、まずまずの客入り。

その選手控え室で吉良は、ある女性と
『運命的めぐりあいであった!!』
と言われる出会いをします。

その女性とは興行を興した会場である日大講堂の掃除婦の女性であり、病弱な弟・道夫を持つ入江実花

彼女は、ケンカの天才、キラーキラー ダブル殺し屋の吉良旭をつかまえて自分の弟と同じ弱さが見えるなどと言い放ちます。

彼女の瞳の色や言葉に翻弄されて悪魔の血を冷えさせてしまう弱さを見せた吉良でしたが、とにかく彼にしかできない秘儀、あごの関節を外すブラックジョーなどでアメリカのレスラーを倒して興行も成功。

ケンカやバカさわぎの後は独りになりたくなる吉良が"ポプラ"というスナックに入ってコーヒーを頼むと、運んできたのがまた入江実花ですよ。夜はここでバイトしてるそうで、またも偶然の出会いでした。
わけあって"明るい青春を"楽しむことが出来なかった二人。

ポプラを出た吉良は一人で落ち葉の舞い散る道を歩いていると、追ってきた実花とまた会話を交わし、何と彼女の一家も原爆の被爆者だと告白されます!
彼女らの場合は長崎の方の原爆をくらっていて、両親を失くした上に弟の道夫も原爆症なのだと…

それから力王山にケンカの聖書(バイブル)をかけた試合を申し込み、 しかしザ・シークレットという男に関する話で力王山に負けを認めた吉良は、力王山のマンションのエレベーターに細工をして、その小さな箱の中での闇討ちをかけました!

さすがに力やテクニックは上の力王山に対し、ブラックジョーをかければ自らアゴをはめるし、目潰しが成功して指を右目に突っ込めばその目は既に義眼だった…。
全てにおいて吉良より上の地獄をくぐってきた力王山の前に、ついに死を覚悟した吉良でしたが、ここで第三の男であるザ・シークレットが力王山の高等部にスパナで一撃喰らわせて妨害しました。力王山を殺人者にして彼の栄光にドロを塗らせないために。

道夫の死を挟み、吉良はアジアプロレス協会を解散して波止場で労働者として甲賀と共にまっとうに働きますが…
その後も世界プロレス界の王者として君臨した力王山の方は、モデルになった現実世界の力道山と同じく、5年後にナイトクラブでチンピラに刺されて死にました!

その事実を新聞で知った吉良は
『……オレのたどるはずの運命を、この……この男がたどった……』
そうつぶやいて感慨にふけるのですが、おおっ!どうやら嫁さんになってるらしい実花が弁当を持って到着しました。

それを笑顔で迎える吉良旭が駆け寄り…


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「ケンカの聖書(バイブル)」とは、そんな話で御座いました。

他の有名作品のように、主人公が燃え尽きる事も悲劇を迎える事もなく終わるこの作品を貴方はどう読むでしょうか。

梶原一騎先生自らは、若木書房版の単行本カバーにてこう語っています。
『私のプロレス物には、梶原一騎のほうの筆名を用いた「タイガーマスク」があるが、これは低年齢層の読者を対象としていたので、野球で「巨人の星」を、ボクシングで「あしたのジョー」を描いたように本格的なプロレスの世界をえぐりたかった。コンビを組んだ石井いさみ君はいわゆるフィーリング調の画家であったので、くそリアルな迫力にはやや欠けたうらみがないでもないが、それはそれで一種の妖しく美しいムードが出た。いうなれば予期せぬ異色作となったが、そういう意味で私の好きな作品である。』
と。

好きな作品と言いつつも少し控えめというか、厳しめの自己作品評価ですよね。
確かに『本格的なプロレスの世界をえぐりたかった』という当初の目的を考えたら、とても成功しているとは思えませんね。何しろ主人公がプロレスをバカにしているケンカ至上主義者なんだから…。
さらに一般の評価も低い(というよりほとんど知られてないか)作品ですが、私はこの「ケンカの聖書(バイブル)」も傑作だと考えてます。
他の作品でも馴染みがある石井いさみ先生の作風が好きなのもありますが、ケンカの天才でアメ公に対する怒りや憎悪をぶつけていた主人公が、弟分の仁吉や女性である実花によって心を開き・・・最後の笑顔ですよ。

『予期せぬ異色作』…確かにそうかもしれませんが、別に裏扱いしなくても十分たまに読み返したくなる力作なんです。
最後無理に連載中止させたのが分かるだけで(それは実際丸分かり)、そんなに評価を下げなくていいと思いますがね。

とにかく自身でも読んでもらってあとはそれぞれ判断してもらうしかないのでしょう。

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ちなみに第一回目の原稿は、実弟の真樹日佐夫先生と行ってたラスベガスの旅行先で書き上げたそうですよ。
それでアメリカを舞台にスタートしたのですかね。
幻だった作品ですが近年とうとう単行本化された、真樹日佐夫原作、石井いさみ作画の「すてごろ専科」に収録された作者二人の対談で初めてそんな事実が日の目を見たわけですが、梶原一騎先生と深い関わりを持っていたこの二人が、まだ「ケンカの聖書(バイブル)」について少しでも語ってくれるだけで涙も浮かんでくるってもんです。

それでは、また次の梶原一騎作品紹介をお待ち下さい。


  1. 2007/12/02(日) 23:53:35|
  2. 梶原一騎
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
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