大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

日野日出志(13) 「赤い蛇」「血を吸う赤い蛇」

 血を吐いた夜


 血を吐いて倒れた夜に 夢を見た
 夕日に浮かぶ電信柱 忘れ去られた影一つ
 夕日が溶ける どろりと溶けて血の池地獄
 地獄の中に誰かいる・・・・・・

 褪せた刺青 父の背か
 ふるえて叫ぶは 母の声
 抱き合う骨が 祖父と祖母
 肉のかたまり 弟よ
 あの叫び声は 妻と子ら

 悲しくきしむ 骨と骨
 愛して憎む 肉と肉
 怨みつらみが 血と血と血

 ぼくはおろおろ 池のまわりをぐるぐる回る
 まわり回って もとの場所

 血を吐いて倒れた夜に 夢を見た


シンイェ・アンツー作 「血の詩集」より


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こんな巻頭歌で幕を開けるのは、名作「赤い蛇」(ひばり書房刊)。
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このシンイェ・アンツー名義での詩篇は他の作品でも使われているのですが、おそらくは日野日出志先生の自作自演というか、別名といったところでしょう。
『血の詩集』…こんな詩ばかりの詩集があったら是非欲しいですけどね。

あと「血を吸う赤い蛇」という、ひばり書房によくあるタイトル変えただけの再発版もあるので並べてみましょう。
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カバーイラストは同じですが、それを取ると本体の表紙は一応違います。
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それとこの本は他と違って表紙裏と合わせて一枚絵になっているので、載せてみましょう。「赤い蛇」
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「血を吸う赤い蛇」
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それでは「赤い蛇」、本編を読んでみましょう。
まずは自分の家を恐れる主人公の少年が登場するのですが、基本的に全編通して彼の独白。
少年は生まれ育った旧家にいいしれぬ不安と恐怖を感じていて、物心ついた時から出たいと思っていますが、その想像を絶する広さからどうしても出られなかった。

敷地内に森もある迷宮のような作りなのですが、知っているのは家族が日常使っている十数部屋だけで、他の部屋へ通じる廊下は、封印してある青銅の鏡によってかたく閉ざされています。
その鏡を見ていると祖父が現れ、あまり見ると魔に魅入られると言い、しかも鏡の向こう側には何があるか誰にも分からないのですが、言い伝えでは長い廊下が迷路のように入り組んでいて、数えきれない部屋のどれにも恐ろしい魔が棲みついているのだとか。

ところで少年はこの家以上に家族を恐れています。
家族構成は祖父、祖母、父、母、姉と少年の六人ですが、日野漫画ですからね、当然全員が異常です。

まず父は、気味の悪い虫でいっぱいの"ごちそうの部屋"と、隣りの百羽くらいの鶏を飼育している"卵の部屋"を行き来しているのですが…
鶏の首から上だけをちぎって吊るしてあって、そいつに虫をやろうとしても反応を示さないと(当たり前だ!)、それを棒で滅多打ちにしたあげく、
『こ…今後いっさい貴兄にはごちそうはやらんぞ!!
そのまま飢え死にするがいい!!』

とか言っているのです。
他にも卵を産まなくなった鶏をつぶしと呼んで鎌で首切り、肉をこま切れにして他の鶏に食わせる。

祖母は枯木で部屋の中に巣を作って暮らしていて、自分を鶏だと思い込んで『コケ~ッ! コケ~ッ!!』と鳴いては気持ち悪い虫をつるつると食べる…

次は祖父ですが、彼は頬にでかいコブが付いていて、これに美しい母が卵をたらして入念にもみほぐす…この描写も変態を感じます。
さらにコブを踏みつけてやると血膿を噴き出す。うーん禍々しい。

姉は姉で、たくさんの虫を盗んできては自分の体を這わせて恍惚に浸る…

こういった異常な一家から早く逃げ出したいのに、広い家からは出る事も出来ないでいた少年でしたが、ある日見た恐ろしい夢の中で、幽霊のようになった自分があの鏡を通り抜け、その向こうにある"あかずの間"の扉が開くと…
叫びながら目覚めて現実に引き戻されます。
姉の悲鳴を聞いて駆けつけると、毒々しい"赤い蛇"が姉を噛み、布団から出きました。

慌てた祖父が鏡の元へ走ると、あの鏡が割れていて封印が解けています!
昔から赤い蛇はあかずの間の使いと言われていたのです。
もちろんこれから恐ろしい事の幕開けとなりますよ~。

まずは姉の部屋の異様な気配に目をさますと、無数の赤い蛇が姉にからみつき、血を吸っていました。
その翌日、姉は卵の部屋に忍び込んで父の鶏の首を刎ねて血をすすっています!
それを見つけた祖父が怒って棒で叩きまくり、姉の体を縛り上げていると…姉の鎌による反撃で、祖父の足を切り落としてしまいました。
駆けつけた家族達の見たものは、首なし鶏の血を舐めながら、祖父の足を付けた鎌を持って凄い顔で笑っている姉の姿。

祖父は頬のコブが消え去り、代わりに切られた足からまたコブができています。
それをいつものように卵を塗りこんでもみほぐす母でしたが、飛び出た血膿を浴びると、顔が焼け爛れて恐ろしい化物のようになってしまいます。
さらに母の異変は続き、ものすごい早さでふくらんできた腹部を喰い破って、醜い悪魔の赤ちゃんが誕生しました!

祖母は巣の中に巨大な卵を一つ残して行方不明になっていましたが、それを父が毎日あたため続けると…その卵から、顔が祖母で体は鶏(というか毛をむしられたチキン)の生物が誕生します。うう~、気持ち悪い。

ここらへんからは、まさに地獄絵図です。

この祖母みたいな鶏を悪魔の赤ちゃんが殺して食ってしまい、怒った父が鎌で悪魔の赤ちゃんを切り刻むと、祖父が日本刀で父の首を切り落とす。
首を無くした父も、祖父の頭を鎌で叩き切ってから絶命。
そこへ現れた姉が喜んで血をすすっていると…体内から口を裂いて真赤な大蛇が出てきました。

大蛇に追われた少年は、鏡をすり抜けて初めての向こう側へ行くと…
そこは家の中のはずなのに悪夢のように黒い霧がかかった光景で、電信柱を登ると小船に乗り換え、家族やたくさんの人々が苦しんでいる血の池を流れる。

霧が晴れると次は水面に卵が無数に浮いていて、その卵からまた悪魔の赤ちゃんみたいなのが次々生まれ出て、少年の乗る船に乗り込んできます。
今まで地獄のような惨劇を、見るだけで直接手を下さずにきた少年でしたが、この赤ちゃん達に対しては次々と棒で叩き殺してます。

さらに小船が流れると、水面にふすまが立っていて、何とそれを開けるとどこかの部屋に入れました。
この悪夢感とかシュールな光景は、寺山修司の映画や演劇の世界から影響を受けているのでしょうか。
そういえばこの家、血縁、因縁テーマも寺山っぽいですものね。

ところで水面のふすま開けて入った部屋には首を吊られた人形がいっぱいあって、しかもそいつらは動いて襲ってくるし、その頭部には虫が詰まっている。
まだくるかと次に襲ってくるのは今まで出一番凄い造詣した異形の化物で、そいつに引きずられて穴に落とされる…
ここだけ見てもダリオ・アルジェント監督によるホラー映画の金字塔「フェノミナ」(PHENOMENA)に似ていまして、昔私はいい気になって『あれは「赤い蛇」の影響だ』なんてよく言ってたのですが、でも考えてみたらまさかねぇ。
でも虫地獄に奇形の赤ちゃんだらけですから、そう言いたくなる気持ちは分かるでしょう。

落とされた先は骨の山。
その中からあの赤い大蛇が出てきて、ついに捕まった少年は巻きつかれて首筋から血を吸われ、薄れ行く意識の中であかずの間の向こう側を見るのです。
『ああ…それこそは………!!』
…という所で、何と死んだはずの祖父が出てきて、その鏡を見ると魔に魅入られるぞと注意してきました。

え?あれ?そうです、家族は全員以前のように生活しているし、鏡は元通りで割れていない。
いままでの恐怖の出来事は、全て鏡の魔に魅入られて夢でも見ていたのでしょうか!?
あかずの間の向こう側も全く思い出せないとかで、読者に対しても想像まかせ。
オープニングの2ページをラストにまた持ってきて、終わりのない無限地獄を思わせて終わり。


結局の所、原因も何も分からないんですよね。もしかしたら一番罪深いのはそんな想像ばかりしている少年自身なのかもしれないし、いろんな含みが残されています。

夢オチだったのかすらもよく分からなくするこの手法も、キチ●ガイ家族ネタも、日野日出志先生が大の得意とする所であり、その集大成的な力作長編とも言える傑作。
短編を得意とし、長編だとどうしてもテンション下がる作品が目立つ日野先生ですが、奇跡的と言いたいくらい見事なテンションを持ってこれでもかと畳み掛けてくる、凄い迫力でした!


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さて、話は少し「赤い蛇」自体からは外れるのですが、ひばり書房の漫画にはこういう葉書
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が付いてて、これは"ゲームデンタク"なるものが当たる応募ハガキだったのです。
左はさがみゆき先生、右のは日野日出志先生がイラストを描いていますね。他にもいくつかバリエーションがありますよ。

ひばり書房から出てる黒い背表紙の恐ろしい漫画には、欄外に
『●ひばり書房の本に君の名前がのっていたら、その本の題名を葉書で知らせてよ。次回のゲームデンタクが当る抽選に優先参加できちゃうんだよ~ん。』
なんて書いてあるのはどうなのか…『よーん』って何ですか!

どうやら応募した人全員がひばり書房の新刊どれかに名前が載り、その中からさらにホラー漫画家の手によって抽選されたようなのです。
外れるにしても、応募すると必ずそれかの本に名前が載るシステムだったようで、まぁひばり書房の漫画家はヘタクソすぎる作品が多くて、そういうのはB級の見かたで笑うしかないのですが、歴史に残る日野先生の作品に載ったりしたら凄い事ですよね…。

このプレゼント企画は、後半になって『ゲームorテレカ』が当たるようになっています。
そう、"ホラーテレホンカード"という物も存在したわけです。
ゲームデンタクでもホラーテレホンカードでも、本当に当たった方がいたら声かけて欲しいですよ。実物は写真ですら見た事なくて悔しいですから。

せっかくなので、ひばり書房単行本のカバー内側に載ってる抽選してくれた漫画家の中から、日野日出志先生の時の写真を見せましょうか。
これは記念すべき第一回当選者発表時で、
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こちらは第27回当選者発表時ですね。
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いやー、今でこそあの武士のような風貌を表に出している日野先生ですが、子供の時は作品と作者を切り離せないから「地獄の子守唄」とかの作中で見せる、あの恐ろしい人物が描いてる狂った漫画だと思ってたわけじゃないですか。
こういう普通の人だと分かる写真を見て、安心すると同時に少しガッカリする気持ちもあったのを覚えてます。

余談ですが、今回紹介した「赤い蛇」は昨年私がフランス旅行を決行した時、「SERPENT ROUGE」のタイトルで発売されていたフランス語版も見つけたものでした。
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ぼくは物心ついた時から この家を出たいと思っていた
この家が好きになれなかったからだった……
いや…それよりもむしろ この家が恐ろしかったといったほうがいいだろう…
この家にいいしれぬ不安と恐怖を感じていたのだった



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  1. 2008/02/27(水) 23:57:43|
  2. 日野日出志
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ラジオ屋のサイン色紙

こんばんは。

今夜は、以前にも阿佐ヶ谷紹介の時に少し触れた、スターロードにある居酒屋のラジオ屋
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ここに昨夜お邪魔して、壁一面から天井まで貼ってある漫画家のサイン色紙を撮影してきましたので、ここでアップしますね。
これは重要文化財ですから。
しかもここにある全てのサイン色紙が、実際にラジオ屋を訪れた漫画家がその場で描いたものだと言うから凄い。

早速いきますが、やはり一番の大物は水木しげる先生…と思ったら、これはアシスタントの方の手による物だったそうです。
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そして阿佐ヶ谷と言えばこの方。生前良く来ていたという、ダンさんこと永島慎二先生。
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(隣りに高信太郎先生の色紙も写ってますが、これを単体で撮り忘れた…)

さらにガロが続いて、東陽片岡先生。この先生だけが二枚使っている特別扱いなのが、私には嬉しいですね。
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そして逆柱いみり先生!
この不思議な世界を描く作者が実際にはどんな人かが想像つかないのですけど、私も会いたかったなぁ。
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これはあの世界的に有名なアニメーション監督の森本晃司氏…でいいんですよね?
かつて私がパリに住んでいた時にはあちらのオタクイベントでゲストとして来ていて、私も声かけて記念撮影をさせてもらった事があります。
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クリーチャーデザイナー、イラストレーター・・・韮澤靖先生!
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貸本時代から活躍している劇画界の大御所、江波譲二先生の「トップ屋ジョー」だ!
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昔はヤングジャンプで描いてましたが、現在はモーニングにて「駅前の歩き方」を不定期連載しています、森田信吾先生。
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あんな難解な作品なのにカルトな人気を誇ってOVA化もされた、「BLAME!」弐瓶勉先生。く・・・黒い!
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私が週刊少年ジャンプにときめいていた小学低学年時代、ダントツで一番エロい漫画だった「BASTARD!! 暗黒の破壊神」萩原一至先生。
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同じくジャンプ、そしてエロい漫画といえば桂正和先生の「電影少女」なわけです。ビデオガールのあいちゃん可愛い!
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「1・2のアッホ!!」コンタロウ先生。
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現在は週刊少年チャンピオンで連載している「不安の種」は毎回楽しみにしてますよ、中山昌亮先生。
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「アキオ紀行バリ」「アキオ無宿ベトナム」・・・深谷陽先生の旅漫画で初めて私もアジアに興味を持った気がします。
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「無限の住人」沙村広明先生。
もう15年くらい連載しているのにまだまだ続きそうだし、全然話が進まなくなったりもしてますが、私は好きです!
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「酒のほそ道」ラズウェル細木先生。
私もオヤジになってきたからなのか、こういう漫画の面白さも分かるようになりました。
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4コマギャグ漫画の天才、風間やんわり先生。週刊ヤングマガジンで連載中の「食べれません」はデビュー作にして、現在も続いているわけです。
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そしてそして、やはり絵が上手すぎる寺田克也先生。
漫画作品である「西遊奇伝・大猿王」は、1巻が出てから10年経つのですが…続きは出るのでしょうか。
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以上、私が知ってるような有名所だけを撮影してきましたが、例えばエロ漫画家とかは私が全く知らないだけで、その分野ではかなり有名な方なんかもいたようです。

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ちなみにこのラジオ屋の店主はマグさんという韓国通の方なのですが、私がこの時訪れたのは昨夜でして、つまり日曜日。
日曜日だけは集英社は少年ジャンプの、あの"赤塚不二夫賞"を受賞した経験も持つナツメさんが迎えてくれますよ。
トキワ荘の話で盛り上がったりした事もあります。

店にはかつて赤塚不二夫責任編集として、赤塚先生の私財を投じてフジオ・プロダクションより創刊した貴重な雑誌「まんがNo1」が置いてあります。
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ここで板わさと一緒に写ってる韓国版「あしたのジョー」は、この薄さで9巻なのにハリマオ戦が収録されていました。すると随分内容を省いている事が予想されますね。

ビールと焼きそば。
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・・・この後何件もハシゴして朝まで呑んだ話、そして今日の仕事はどれだけ大変だったかという事に続くのですが、それはまた別の話。
  1. 2008/02/25(月) 23:57:55|
  2. 古本 番外編
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日野日出志(12) 「毒虫小僧」「怪奇!毒虫小僧」

今回の日野日出志作品は「毒虫小僧」(ひばり書房刊)です。
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画像左は「毒虫小僧」、右は「怪奇!毒虫小僧」となっていますが、前にも書いたように再販でも毎回"初版"表記して新刊として出すひばり書房の事ですので、続編でも何でもなく、カバーをめくればタイトルページ以外はそのまんま同じ作品。それを分かっていてもまた買う私。

さて「毒虫小僧」ですが、これは日野日出志先生には珍しい長編作品で、丸々一冊使っています。

勉強や運動、学校生活の全てを地獄と感じる孤独な少年、日の本三平が主人公。
彼は授業中にも芋虫をチョンチョンといじっている異常な程の虫と動物好きで、当然イジメられっこですが、昼休みに誰ともなじめずに一人で空を見たりアリを眺めたりしている描写は身につまされます…私も小学校の時そうだった。
さらに家庭でも兄と秀一と妹の花子は秀才なので、比較されて両親からもバカにされ、怒られてばかりで孤独…兄弟含む家族構成と、頭の環境まで私と同じ!

そんなんで私もこの三平に感情移入してしまうので、他の作品以上に「毒虫小僧」には思い入れもあり、この後の運命で泣いてしまうのですが、まぁ私の話はいいとして。

三平には秘密のかくれ家がありました。
工場裏空き地のゴミ捨て場にあるそれこでは、捨て犬や捨て猫、蛇、芋虫毛虫、小鳥類、金魚やフナ、ガマガエルにドブネズミ…そんなありとあらゆる動物達を飼っていて、ここが学校にも家庭にも居場所が無い三平にとって唯一の夢と空想の楽園であったわけです。

ある時、三平が部屋に戻ると激しい吐き気に襲われて嘔吐し、その吐いたゲロの中から毒々しい真っ赤な虫を発見し、そいつに刺された翌朝…
原因不明の奇病で全身が紫色にむくんでしまいました。

それからは語るも無残!
目玉は血走って飛び出んばかりになり(日野キャラはいつもそうか)、体中が腐って溶け始めて両手両足が落ち、"肉だるま"になってしまいました。
この描写もヤバいですよ…他の日野漫画でもありましたが、まさに江戸川乱歩「芋虫」ですね。

頭髪も歯も完全に抜け落ちて全身がどろどろに溶け始めると、あまりの苦痛に芋虫のような体をくねらせて部屋中をころげまわる三平、そして悪臭等の迷惑で疎ましく思う家族達。
やがて三平の体がミイラのようにコチコチに固まると、何十日も眠り続け…

目覚めたら本当の芋虫の化物になっていました。
そう、もちろん作品のアイデアはフランツ・カフカ「変身」から得ているのでしょうね。

人間の言葉も話せなくなってしまいましたが、それでも三平だと気付いてくれました。
さあ家族はどうするか。
人間だった時の体の抜け殻を持ってって葬式を挙げ、芋虫になって生きてる三平の方は毒殺しようと企むのです!!

家族に殺されかけた三平でしたが、実は生きていて土の中で目を覚まします。
しかし三平がいなくなった事で喜んでいる家族の姿を見て、彼は自ら家を去りました。
例のかくれ家で暮らす事にして土を掘り進んだ三平ですが、大好きな動物達も変わり果てた姿の彼に気付かず、襲ってくる始末。

安住の地を求めてさらに穴を掘り進める三平は、三日かかってマンホールの中を住居に定めました。
ここでは誰にも追われず、動物の腐肉やネズミや虫ケラを捕らえて喰い、あとは昼寝と水遊びの日々で毎日が充実し、人間だった頃には味わえなかった満足感を得ています。

それから汚物の中でたくましく成長していった三平は頭に巨大で真っ赤な角が生え、背中には小さな七色のトゲが七本、おしりには角よりもさらに赤い二股にわれた不吉な針が生え…
そしてそのどれもに恐ろしい毒があるのです!
この姿は三平が芋虫になるきっかけとなった、あのゲロの中の毒々しい真っ赤な虫の姿に酷使しています。

夜の街を冒険しするようになると、酔っ払い達を見たり、酒飲んで酔っ払ったり…無人の公園では何と、その芋虫の体でブランコに乗ってる!
山ではターザンみたいにツタで木から木へと渡るのですが、これもまた芋虫の体で無理があり過ぎないだろうか。

一度毒キノコを食べて動けなくなった所を人間に捕まってしまいますが、その手から逃げる時に夢中で体の角や針を使って反撃し、初めて自分は強い毒を持っていると知ります。
『するとあんなに おどおど逃げまわることは なかったんだ 僕は強いんだ………!!
ははは 何てゆかいなんだ 僕はもう弱虫小僧なんかじゃない………
毒虫なんだ 恐ろしい毒虫小僧なんだっ!! ははは……
ようし……… 僕をいじめた人間たちに この毒の針で…………!!
復讐してやる!!』

てなわけで、かつてのイジメっ子達への復讐を果たし、さらには人を殺すこと自体に快感を覚える殺人狂の怪物へと変貌していきました!!

もはや自分が何者であるのか、いやかつて自分が人間だったことすら忘れて、身も心も完全な毒虫になった三平は、いつものようにマンホールに引きずり込んだ死体を食べたりつついたりして遊んでいたら、懐かしい匂いにひかれて、あの両親と兄、妹が住む家にたどり着きました。
部屋を覗いて懐かしさと悲しさでどっと涙を流す三平でしたが、そこを父が猟銃で撃ち、二度までも親の手で殺されかけた三平。
今度は確実な致命傷だったようで、汚物の中から川へ、そして海に近づく頃には痛みもなくなり、意識も薄らいできていい気分で太平洋のはるか彼方へと消えて行き……………………

終わり。


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優しい心を持ちながらも能力には恵まれない不遇な少年が奇形になり、結局最後まで死ぬ事でしか幸せになれなかった、毒虫小僧こと日の本三平の悲しく不条理な物語でした。
日野日出志先生の作品中でも分かりやすい怖さは極力抑え、孤独や悲しさを描いた作品だという所も見逃せません。
まぁ日野先生の絵柄は絵自体が恐いので、普通の登場人物すらも慣れない人からしたら恐いだの気持ち悪いだの言われますが。


少年がこの恐るべき奇病にとりつかれたのは……
あの毒々しい真っ赤な虫に刺されたことに始まる………


  1. 2008/02/23(土) 23:55:08|
  2. 日野日出志
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日野日出志(11) 「胎児異変 わたしの赤ちゃん」

日野日出志先生の作品紹介をもっと続けましょう。

今回は「胎児異変 わたしの赤ちゃん」(ひばり書房刊)。
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やはり短編集で、質の高い七話が収録されています。

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まずは表題作の「胎児異変 わたしの赤ちゃん」

胎児が母の胎内にいる間に見ているという夢の話から始まり、それでいきなり8ページも使ってます!
分かる人はすぐ分かると思いますが、これは夢野久作「ドグラ・マグラ」ネタ。
(ここまで丁寧に「ドグラ・マグラ」の描写をしたのは、人類はいきなり人類で誕生したわけであなく、進化の過程という物があった事を読者に認識させるため)

この話を妊婦の嫁に聞かせてやる夫は怪奇作家の梅木で、彼がこれを元に書いた作品のアイデアの通りに生まれた赤ちゃんは、グロいトカゲの怪物のような生き物でした!

梅木は殺そうと相談しますが、嫁の方は
『育てます!誰が何といっても わたしはこの子を育てます!!』
と宣言し、その手の中で抱かれてキーキー泣いてる怪物赤ちゃん…

これを乳母車に乗せて街中を散歩しちゃう嫁は人々の好奇の目にさらされ、梅木はそれをどうする事もできずに苦悩するだけ。
奇形の赤ん坊が出るとデヴィッド・リンチの監督デビュー作「イレイザーヘッド」を思い出す方がいると思いますが、もちろん日野先生の方がずっと先に描いています。

怪物赤ちゃんは生肉ばかり欲しがるようになり、さらには生きた動物を食べるようになり…
ついには隣家の子供をも食べてしまいました!
一体どうなるのか。

その後、梅木家だけではなく世界中で人間の母親から、他の動物の赤ちゃんが生まれるようになりました。
ニューヨークで猿が生まれたかと思えば、ソ連でヒグマの、欧米各国でカンガルー、中国では一番多いのがパンダの赤ちゃんで…アフリカはマサイ族からはゴリラと、もうとんでもない事になってます。

人間が人間を生めなくなるショッキングな出来事から世界各国で混乱も生じますが、銀行等を襲う無法の暴徒について報道する時の新聞記事は見出しが『どうせ滅びるなら 遊ばにゃソンソン!!』って、日野先生…

そのまま世の混乱は全く収まらないのですが、これでとにかく梅木家が日陰者ではなくなり、妻に二人目の、いや二匹目の赤ん坊(今度はワニ)が生まれて終わり。
突き放した感じの諦念を感じさせる終わり方でした。
公害問題への警笛みたいな部分も見受けられ、人類の危機を描いているというのに、梅木一家だけの問題にしか読めない所が日野先生っぽくていいですね。

しかもこれは日野先生が実際に結婚して、子供が出来た時に生まれたアイデアなんだそうで、やはり妊娠中の嫁さんには怒られたそうですね。


次も問題作の、「赤い花」です。
かなり思いを込めてるのが分かる力作で、もちろん絵にも力が入っています。
美花園という花作りの家を営む醜い男は、花に対する異常な愛を持っていますが、花の作品を作る秘密はいくら金をつまれても誰にも教えようとしません。

読者だけは次の作品作りの様子を見れるわけですが、美しい女性を殺してこれを養分にして花を作っていたわけです。
しかもですね、女体をバラバラに解体して作る過程を細かく描写しているのですよ!
さらにさらに、女の全てを男の体内に入れるための人肉食描写もあります…
これが後に実際起きた凶悪事件の時なんかに、良識派から攻め立てられる元になったわけですね。

『赤い花が咲いたよ 血のしたたるような 赤い赤い花が~~♪』


「まりつき少女」は、幽霊村と呼ばれる廃村の恐ろしい伝説によって大変な目に合う少女の話。
まりの代わりに少女の頭が首から取れて飛び跳ねていき、それを追う少女の首から上には頭の代わりにまりを乗せた少女が
『返して…… ま まりを返してちょうだい………!!』
とか言って追ってきたのですが、これはともするとギャグになってしまいそうですね。


次は「真夏・幻想」で、これも「赤い花」とは違う意味で問題作。知られざる問題作ですね。
私は「胎児異変 わたしの赤ちゃん」の単行本を二冊持ってるのでたまたま気付いたのですが、これは何と、同じひばり書房版の単行本でも、後期のプレスでは密かに削除されている幻の作品なのです。

わずか6ページでしかない作品なのですが、削除された理由は明らかに原爆被害を描いているからでしょう。
被爆者同士のカップルが早産した赤ん坊は奇形児だったとセリフで出るだけなのですが、キノコ雲のような入道雲に胎児が見えます。
悲しい雰囲気に包まれた幻想話なので、幻で消えてしまうのは惜しい…あまりにも…


「元日の朝」は冒頭に日野日出志先生が登場して、「世にも奇妙な物語」タモリばりにストーリーテラーとなってくれます。

ケン一という少年が誰もいない静かな世界に入り込んで、いくら探してもどこにも人がいない…
やっと会えたのは死神と化物だけのこの世界で、人間は自分だけとなった少年の不安でスリリングな心理描写が素晴らしい。

話のオチとして、実はこの世から人間が消えたのではなく、自分自身がこの世から姿を消して恐るべき魔の世界に迷い込んだのだと説明が入って終わります。


「おかしなおかしなプロダクション」…これは日野日出志作品としてかなり異色な、何とギャグ漫画ですよ。
まず絵柄が完全にギャグ漫画用に描き分けられていまして、"血野血出死プロダクション"へ原稿を貰いに来る編集者の話。
やってくる編集者が必ず狂うを言われる、この血野プロへ来た少年チングの編集者は、あの手この手で苛め抜かれてやはり狂う。

狂わずに原稿を取ってくれば編集長の座を渡すという、編集部の方も変な奴ばかりでして、結局ギャグ漫画でもキチ○ガイだらけの世界を描いてる日野先生が微笑ましいです。
赤塚不二夫先生に影響を受けたような作風ですが、こういうのはこの後描いてない所を見ると、やはり自分には合わないと判断したのでしょう。


ラストは「水色の部屋」ですが、最初の見開きページがこえ~!!
胎児の集まる海の墓場ですよ!日野先生はこういうの丁寧に描くのが大好きですからね。もはやサイケデリックというか何というか、とにかく子供に見せちゃいけない画。

話の方は、金がなくて子供を中絶した夫婦の嫁の方が胎児の幻影に苦しめられるようになり、あの進化過程の醜い胎児が
『どうしておれを こんな冷たい闇の中に放り出したんだよう
あの絶え間なく養分の流れ込んでくる 温かくて心地よい
小さな俺の部屋へ帰りたい………帰りたいよう……』

とか言って布団にもぐりこんできたり、部屋の隅で
『寒い………寒いよう………』
なんて泣いてたりして攻め立てる物なのですから、これはヤバイですよ。

嫁は最後は完全に発狂して、胎児に埋もれてしまうラストも絶望的ですが、これは中絶反対の人がどうとかって問題じゃなく、全読者を嫌な気分にさせる力を持ってますので、あまり真面目に読まずにただエンターテイメントとしての恐怖だけを感じて欲しい。


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今夜の最後のセリフは「赤い花」より。


今までにも何人もの女が みんな喜んで花に生まれ変わって行った
ふふふ…… これからお前もその仲間入りだ

だがその前に………
お前のすべては まず俺のものになる…




  1. 2008/02/20(水) 23:59:14|
  2. 日野日出志
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旅行・紀行・街(15) 富山県朝日町 1 新潟県柏崎市 1

2008年最初になる新潟県への里帰りで、魚沼市を楽しんだ様は先日アップしましたが、今回はついでにちょこっと富山県に入ったり、あと県内では柏崎市等も観光してきました。
このブログの「旅行・紀行・街」カテゴリーは、宣伝や紹介より私自身の記録用を重視しているので、柏崎市について説明する前に自分の行動を記しておきましょう。

この日はまず、富山県朝日町の"栄食堂"まで、当地の名物たら汁を食べに行ったのですよ。
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栄食堂は両親が大好きなお店でして、昔に何度か食べに連れてってもらった事もあるし、私が自分で車を運転するようになってからは、友達連れての富山県の古本屋巡りを決行した時にも寄ったものでした。(証拠写真↓)
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今回は何年ぶりだったのだろうか、この"たら汁"と書かれた看板や旗でいっぱいの風景は変わってませんね。
このたら汁激戦区の中でも栄食堂は常に客が多い所を見ると、人気も一番なのかもしれません。

店内の様子も全然変わらないなぁ…
まずはこの中から、すぐに食べられるつまみをいくつか取り、
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ビールで乾杯し、待つこと10分くらいで…たら汁の到着!!
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このたら汁の美味さは、他ではちょっと味わった事がありません。
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私の地元の辺りではたら汁の中に野菜等をどっさり入れるのですが、ここでは具たくさんなたらの他には、ネギとごぼうのみのシンプルなもの。
美味いたら汁を味わうには、たらのだしだけで十分だと思い知らされます。

私の大好物である頭部を他のメンバーが食べたがらないので、ラッキーとばかりに私が両方食べました。
この目の周りのトロトロの美味さ!
魚の鍋をやるときに頭部を食べない人なんて、蟹を食べる時に味噌を食べない人と同じで信じられませんが…一緒に食べるメンバーとしては歓迎。
取り合いにならずとも、おのずと私が食べられるから!

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高速道路を飛ばしても片道二時間かかる富山県は新潟県境のこの町、というかこの店だけで去り、次はいよいよ柏崎市へ引き返しました。
柏崎市…ここは私の実家から最も近い日本海に面してまして、海を見たくなると一人でこの街へ来ていたものでした。もちろん、つにでにブックオフや他の古本屋にも行けましたからね。

ここは新潟県内では6番目の人口を擁するちょっとだけ大きい街でして、江戸時代末期に縮布の行商で栄えた街なんだとか。
その時に都の公家や豪商達から富と共に文化も持ち帰るようになり、雪深いこの日本海側の港町としては独特の文化が根づいたのだそうです。

昨年(2007年)の"新潟県中越沖地震"で最大震度6強を記録する大きな被害を受けたので、また名前が全国的に有名になりましたね。地面の地割れ等、その爪あとも未だそこら中に残ってました。
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この柏崎市出身の有名人には、まずはあの新潟県が誇る(新潟百姓の神!)田中角榮元総理大臣。
角榮様は元々は刈羽郡西山町出身でしたが、西山町は2005年に編入合併されましたのでね。"田中角栄記念館"も柏崎市になります。

漫画家では八神ひろき先生がいます。月刊少年マガジン(講談社刊)の「2人におまかせ」には小学生時代、興奮させられたものです。代表作である「DEAR BOYS」はバスケ漫画なので私にはキビシイくて読んでませんが…
そして新沢基栄先生!「ハイスクール!奇面組」「ボクはしたたか君」は私がジャンプ狂いの時代にリアルタイムで掲載されていて、大好きでした!
さらに脚本家の野島伸司氏、パンクイラストレーターの東京Aリス嬢が有名でしょうか。

あそこに見える建物は覚えてるぞ、"柏崎トルコ文化村"だ!!
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後で近くを通ったら、既に潰れてる…
前に行った事ありまして、けっこういい所だったのですけど…ここで誰がトルコ文化に興味あるのかとか、いろいろ余計な心配してたものでしたが、やはり潰れちゃいましたか。

その時貰ったパンフレットがまだありましたので、ここに載せて追悼しましょう。
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柏崎市には国道8号線沿いだけでコレクション館が9館もあり、なつかしの郷土玩具や、歴史的価値のある貴重品や、珍品、異文化コレクション…時間かけて回ればいろんな物に出会えます。
中でも私が行きたかったのが"空想ひみつ基地 こどもの時代館"です。
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この坂を上ると、特撮ヒーロー、ヒロイン達を中心としたビンテージコレクション約1万点を所蔵するという、空想ひみつ基地 こどもの時代館。

正面玄関と、
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側面の看板。
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大人500円の入場料を払いまして、これが入場券。
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ここの案内ビラ。
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↑ここらへんの印刷物のダサさは、狙っている集客層のため仕方ないのかもしれません。
田舎ではオタクだけを相手の商売は成り立たないんですよ。

入ってすぐの右手には、まず昔のスターのブロマイド。
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この中でも私の目が行ってしまうのは、志穂美悦子様。
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"女ドラゴン"として知られるアクション映画女優で、代表作は「女必殺拳」シリーズですね。
このシリーズのくだらなさ、バカさは他に類を見ないと言えます。最近待望のDVD化もされたので、未見の方々はこれを観て頭カラッポになって欲しい。
ちなみに、歌手の長淵剛夫人でもあります。

おっと、ここのメイン…というかほとんど全部を占める怪獣達を見なくちゃダメですね。

特撮関係の凄い方々によるサインがいっぱい(私には誰のだか分からないのですが、多分ね)の、でかいカネゴン。
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特撮の花形であるウルトラマン関係の怪獣はいーっぱいあるのですが、
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(これは連れてった親戚の子供達と↓)
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私はほとんどTVを見せてもらえなかった子供だった(小学生時代は家にTVが無かった)ので、それほど思い入れが無いんですよね…
私には特撮やアニメよりも漫画。好きな漫画キャラがいると嬉しくなります!ここにいるのもアニメ化されたおかげですが…

永井豪先生関係とか、
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石森章太郎先生関係、
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…って、まぁ石森先生は「仮面ライダー」の作家であり、他にも実写特撮番組とのメディアミックスを大成功させた漫画家No.1ですので、他にもいっぱいありますが、わけあって(理由はすぐに分かります)写真はこれだけ。

さすがに藤子不二雄先生関係も立派なのが多かった。
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そもそも私がこの空想ひみつ基地 こどもの時代館に来たのは、ここに"藤子不二雄コレクション"コーナーがあると聞いたからなのでした。

入ってすぐの受付けがある部屋は、ほとんど売り物でもあり、ここだけの限定フィギュアもけっこうあったので、好きな人は遠くからでも行く価値があるのではないでしょうか。
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ちなみに私が買ったのは…
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"なめんなよ"のカード32円を三枚だけでした。
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だってフィギュアで欲しいの無いんだもの。

こういう売り物とかは後回しでいい!奥に眠っている貴重なコレクションを見せてくれ!

そう思うでしょう。
もちろん私も喜び勇んで、この看板の奥に歩を進めたわけですよ。
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おっ、確かに古く貴重な物のオーラが漂ってるぞ!
まず入る前に見えた風景撮ってと…
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えっ!?
・・・ダメだ、ここからは撮影禁止だって(泣)
奥のいい所を撮影させないなんて、ヒドイ!カウンターにインスタントカメラだって売ってるのに!!

あーあ、楽しみにしていた藤子不二雄コレクション、他にもあれやこれやがありましたが、もはや記憶に頼って文字だけで紹介する気力はありません。
ガッカリして早足で回ってしまいましたし。まぁこういうのもいいネタです。

ずっと前に「ここ」で紹介した"怪しい少年少女博物館"に雰囲気がそっくりでしたが(いなたい所とか)、だいたいこういったコレクション館は似てしまうのですかね。
"空想ひみつ基地 こどもの時代館"の方がコレクションに一貫性があったし、値段も半額ですけどね。
全国にそれほど多いものでは無いでしょうが、こういう場所をもっといろいろ回ってみなきゃ。

おっと、カウンターの中に飾ってあるいくつかのサイン色紙の中から楳図かずお先生のも発見!!
まさか楳図先生がここに来ているのかと係員さんに尋ねたら、これは他で貰ってきたのだそうです。

最後に外に設置してあった顔はめパネルで撮影して、
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サバラだ、空想ひみつ基地 こどもの時代館。

出てすぐにいろんな店が集まってる所がありまして、海辺の街なので当然魚市場があります。
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ここで魚をしばらく見てました。並べられた魚はけっこう面白くて、しばらくは見てられますね。
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腹が減ったらこういうのつまんで、
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夕食用には蟹さんです。
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一匹二千円の蟹を三匹買って・・・蟹食を楽しみました。
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柏崎市は他にもまだまだ見るべき所もあるのですが、今回はここまで。

今現在は、ここで買ったするめをかじって酒呑みながら、東京でこれを書いてます。
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ちょうどこの時期は各地で雪祭りをやってて、"ほんやら市"とか"鳥追い"なんて単語がそこらで聞こえてきてました。
それは地元近くの祭りではあるのですが、つげ義春先生の全盛期の名作「ほんやら洞のべんさん」でも使われているので、そんな言葉を聞くだけで胸がトキメキます。
でも「ほんやら洞のべんさん」で名前が出てきた十日町市だとか小千谷市あたりで、何でもっとつげ義春作品の舞台になった事をアピールしないんだろうって思いますよね?それを地元で言ったら多分ポカーンとされますよ。つげ義春先生を誰も知らないんだって…
何もマイナーな漫画家の話をしているわけじゃなくて、いろんな所から尊敬されまくってて実際に凄い作品を多数描いてた大御所の話なんですけどね。

漫画に限らずですが、それほど田舎から出ない人達はたいていが生活に関係ない文化的な知識に弱弱な所がありましてね…学生時代なんか周りはほぼ全員が売れてる物ばかり有難がって、本気でドラマとかB'zの話ばかりしてるんだから、きつかったなー(笑)
だっさいヤンキーが威張ってる世界だし…今でもそうなのかな。
いや例外もいますし、生きる知恵に長けていたりとかいろいろあるんでしょうけど、とか、ああー、こういう事言い出す私はかなり酔ってます。
おやすみなさい!


  1. 2008/02/18(月) 23:59:38|
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旅行・紀行・街(14) 新潟県魚沼市 2

このブログでは既に紹介した通り、私は新潟県魚沼市という日本でも有数の豪雪地で生まれ育ちました。
アクションスターを目指す身としては、本当は新潟のど田舎出身である事がバレるとカッコ悪いので、普段はアメリカ合衆国カリフォルニア州サンフランシスコ生まれの香港育ち、18歳で単身渡米してシアトルに移り住んだ、と詐称しているのですけどね(もちろんBRUCE LEEのパクリ)。

東京暮らしが長くなっても、いつもこの時期になると関東在住の有難さがよく分かり、あの忌まわしき雪が降らない事に感謝するのは、完全にあの雪国の冬の厳しさが身にしみているからでしょう。
そんなわけで出来るなら避けたい豪雪時期の新潟ですが、今年は帰省してみたのです。
正月なんて何年も帰省してないけど、たまには親孝行プレイもしなきゃね。

帰る前に、過去を思い出してみました。

新潟の雪深い土地では、冬になると一階は完全に雪で埋もれるので二階の窓から出入りしなきゃならない。
しかもスキーをはかなくては、どこにも移動できない厳しい土地だった…
毎年雪に関する死者(車のスリップ死、雪下ろし中の屋根から落下死、流雪口にはまって凍死、酔っ払って道端で寝てるとその上に雪が降り注いで体が隠れるため気付かなかった除雪車に巻き込まれ死、雪を喉につまらせる死…等)も年間100人を超える。

ただしこんな土地から生まれた偉大な人物が山本五十六元帥であり、新潟県民全員が彼の「男の修行」を子供の時から叩き込まれるから、何事にも耐えられるのでしょう。
曰く、
『苦しいこともあるだろう 言い度いこともあるだろう
不満なこともあるだろう 腹の立つこともあるだろう 泣き度いこともあるだろう
これらをじっとこらえてゆくのが 男の修行である』

今でも毎週日曜日は"山本五十六記念館"に行く事を義務づけられているのは(クリスチャンの家庭さえもが教会より先に行くきまりがある)、新潟県民だけではないだろうか。

↑この回想には嘘・・・いや、雪国イメージを大事にするファンタジーが含まれています。

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そんなわけで、三連休を利用して2月9日(土)から3日間、故郷を観光してきました。
池袋から出る高速バスで出発し、途中で休憩のため行く上里パーキングエリアではンマーイ棒鯖寿司(富山県名物なのに!?)、
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あとくきわかめとかも購入。
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ちなみにこの西武バス、もう大昔から利用しているのですが…
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この西武ライオンズのキャラを見られて野球観戦に行く一団だと誤解されたらどうしようと、いつも心配していたものです。

埼玉県→群馬県と走り…そして新潟県は湯沢市に通じる長いトンネル。
川端康成小説ファンの私としては、「雪国」の冒頭の一節である『長いトンネルを抜けると雪国であつた。』の光景を楽しみにしていたのですが!
あれれ?今年はえらく雪が少ないですね~、湯沢あたりでこんなもんです。
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ちなみに同小説において、私の故郷である魚沼市の旧・小出町の雁木通りが描写されていますし、その川端康成が結婚媒酌人を務めた三島由紀夫も同じく、その小説「沈める滝」においてここをK町として登場させているのだから、嬉しい限りではないですか。
今はここも雁木が消滅して、全部アーケードになってしまいましたけどね…

さて、故郷に着くと、
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まずは雪のクッションを感じてみました。
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見てる人がいるので何食わぬ顔で起き上がり・・・・
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実家へ帰りました。
すると家の前で、隣家のオヤジさんがカジカを生きたまま冷凍しておりました。
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早速ながら酒を呑み始めました。
いいですねー、たまに帰る実家は。
黙っててもこんなにつまみがいっぱいあって、しかも慣れてて好きな味ばかりを労せずに頂けるのですから。
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"ストーブ代わりの電熱器"で餅まで焼いて、
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でも次々出されても、そんなに喰いきれませんって!!

この全国的に大人気の"安田ヨーグルト"は新潟発祥ですね。
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ここでタイみやげのT-シャツを貰ったので、早速着てみました。
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ちょうど到着日に"小出雪まつり2008スキーカーニバル"というイベントがあったので、歩いて行ってきましたよ。
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会場は魚沼市でも私が育った旧・小出町唯一のスキー場である"小出スキー場"です。
私は小学生時代、冬になるとこのスキー場を使ったスキー学校に無理矢理行かされてたため、嫌な思い出も多いです。
このBRUCEがスキーですよ…うーん。

しかし少年時代を思い浮かべるに、スキー場どころか生活全てにロクな思い出が無い、というより嫌な事ばっかりだったなぁ。
そういう体験があるからこそ、大人になって自立した今の苦労なんて物の数でもなく、『あの時代に比べれば』で耐えられるのですよね。

まぁいいや、とにかく小出雪まつり2008スキーカーニバルです。
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つまみも売ってたので、また酒呑んでと。
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HANA-BIと共にスキーヤーがたいまつをもって滑り降りてくる"たいまつ滑降"、
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雪の大地の上に竹やワラなんかを組んで炎上させる"さいの神"、
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バックに"小出"と描いた火文字も見えます。
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スルメが付いた長い棒を持って、炎の山の周りを取り囲むこの一団は、客観的に見てみると凄く異様なものがありました。
とはいえ私も大人になってから一度だけ、イギリス人やアメリカ人等の大東亜戦争の戦勝国民一団を引き連れて行った事がありまして(5,6年前かな)、その時は同じようにスルメ棒持ってたわけです。
その時の写真を探したら出てきました。
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あれ?昔は確かにやってたのですが、スキーでジャンプして火の輪をくぐる芸(?)が無くなってる。
危険を避ける現代人の風潮が、当然ここでも生きているのですね…。

この小出雪まつり2008スキーカーニバルは、次の日に行われる"国際雪合戦大会"の前夜祭的な機能もありまして、そう、翌2月10日(日)には響きの森公園雪のコロシアムで国際雪合戦大会を開催していたのですが、私はそちらには顔出せませんでした。

最後に福餅撒き…つまりこのように高い位置から係員が餅を撒いて、それを下の人々がわらわらと群がって我先にとそれを取る。
投げる人は気分いいだろうな~。
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私はこういうの取るために飛びついたりとか、恥ずかしくてダメなんですよ…それじゃ生存競争に勝ち抜けませんかね。

そんな雪とスキーの祭典を後にして、帰りに"羽根川通り"を通ってみました。
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このブログでは今まで全く紹介してませんでしたが、ここに小さな商店街があります。
私が子供の頃にあったお店も軒並み潰れちゃって寂しいものがありますが…

ちなみに私の出身は魚沼市でも旧・小出町。その中でも町内名は羽根川!
つまり地元中の地元なんですよ。
この日は祭りなので特別に、こんな雪とキャンドルのオブジェがずーっと等間隔に並んでました。
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祭り前にこの"並文米店"で魚沼コシヒカリを買って、東京でお世話になっている人に送りました。
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ここも同級生の家だし、店に入れば、いや歩いてるだけでも知ってる顔に出会う、小さい街です。

他の店も少し見て回りましょう。

まず"寿司竹"。
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ここは父親が良く行ってたので、子供の頃から連れて行かれてたお店。
今や世界的な俳優である、当地出身の渡辺謙氏はここで学生時代バイトしていました。

看板だけ撮って肝心の店は撮り忘れましたが、よくお菓子とか買物してた"セキノヤ"。
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これも店の写真をちゃんと撮り忘れたけど、"立場豆腐屋"は私が人生で一番多くお使いに行かされたお店ですね。
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店のネーミングにひねり無さすぎな"小出食堂"。
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"沼田屋"は一度も呑みに行ってないけど、私がまだ10代の配管屋でバイトしてた頃に工事で行ってた。
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"丸川屋"も良く食べにきてたな~。
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うーん、どこも懐かしい。
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おっ、見事な"しょんべんアート"を発見!UFO?
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小出病院近くにある"いなほ調剤薬局"は、やはり古谷実先生の長編第一作にしてギャグ漫画の傑作、「行け!稲中卓球部」の舞台である稲豊(いなほ)中学校から名前を取っているのでしょうか。
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昔からあったこの看板は年季入りすぎだろう。
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雪と記念撮影もしてと。
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そしてですよ、この日は羽根川通りにかまくらがありまして、
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その前では豚汁がいい匂いを放ってましたので、頂いてきました。
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さらに中にお邪魔してみると、
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中でたこ焼きとモツ焼きもやっていて、
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ビールと共に振舞われました。

しかもタダですよ!
山谷や新宿公園等の炊き出しだってボランティアの宗教団体から食わせてもらう前にお祈り唱えたりしなきゃならないららしいですからね。
とにかくこの故郷で受けた優しいもてなしに感動したと。
ごちそうさまでした!!


そうそう、私にとっては生まれた時から当たり前だった消雪パイプ。
東京で知り合う仲間達はほとんどが見た事ないというので、写真に収めておきました。
魚沼市ではどこの道路にも張り巡らされた地下水のパイプから、雪が降ってくると自動的に水が出てくるのです。
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さらには帰省した挨拶がてら、地元でなじみのお店も二軒だけ回りました。

まず"そば処 富永"。
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もう腹いっぱいなので軽めのつまみしか頼んでませんが、美味い!満腹なのが悔やまれます。
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しばらく呑んで次に移動中…
もうキャンドルが消えてしまった雪オブジェを見て、寂しい気分になりました。
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次は"つるや"です。
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お通しのウドと共に、当地の名酒"緑川"を味わい、
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この時期のつるやでは、やはりKENZO(けんちん雑炊)です。
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KENZOと緑川で幸せ顔の私、BRUCE。
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〆に(まだ食うのか)、ラーメン。
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おやすみなさい。

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次の日は魚沼市以外を楽しんだため、その報告は次に回すとして…
今回の旅最終日の三日目。

長年"えるえる"で料理人を勤めていた凄腕のヨンベさん(あだ名)がついに独立して店を開いたと聞いたので、駆けつけました。
ヨンベさんは飲み屋でよく会っていたので顔見知りになったのですが、料理はかなり幅広く作れる上にどれも本当に美味い!

その店は…"ブルシエル"。店名の由来はフランス語の"青空"でいいのでしょうか。
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店は広くてカウンター席もあり、夜はBARにもなるのですね!
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料理が来るまで珈琲飲みながら待ち、
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(三人で行ったので三種類)

キター!
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いやもう美味すぎで、相変わらず量も多いです。
今回はパスタとピザだけでしたが、大人数で行けばいろいろ食べれていいでしょう。
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魚沼市の人々はここにいつでも来れるんだから、いいなあぁ。

それからブックオフに行きがてら南魚沼市を雪道ドライブして、
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また魚沼市に戻ると旧・広神村の"神湯温泉倶楽部"へ。
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雪を見ながら露天風呂ってやつで楽しみ、疲れも取った…と言いたい所ですが、何で温泉から上がった後って逆にグッタリするのでしょうか。
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みやげ物コーナーには、TVを見ない私ですら存在を知っているほどの流行り方を見せた小島よしお『そんなの関係ねぇ』モノが!
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上の方で変なキャラが『おっぱっぴ~』 とかも言ってますが、これきっと許可無しの、つまりブート菓子ですよね…。

通り道には、山の方で交通量も少ないだろうに頑張ってる"ごんげん"というリサイクルショップがありまして、
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ここでは帰りのバス用に、久々に読みたくなった松本大洋先生の「ピンポン」全5巻とか、電車マニアの友人用に電車チョロQ、そして私が魚沼市ブログを書く時にいつも言ってる"くすりのコダマ"のかわいいキャラ・abubuちゃんグッズを発見して購入。
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もう帰りのバス時間も迫ってますが、旧・堀之内町へ行き、
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ちょうど行われていた"雪中花水祝"も覗いてきました。
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この祭りのメインは、夜の新婿に花水を浴びせ掛けて夫婦和合、子宝を祈願する神事なのですが、時間的に無理なので昼間にやってる太鼓演奏を少し聴いたのみ。
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後ろに男女の御神体も見えます。
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完全に暗くなる前に去りました。
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そういえば、やはり何年も前に同祭りに来た時、太鼓のカワイ子ちゃんに写真を撮らせて頂いたものでした。
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ん?この"吉田屋"の花雪しんこなるまんじゅう…かな?かな?パッケージが…は、はうー。かあいいー。おもちかえりー。
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さて、今回は長くなりました。
最後の最後に久しぶりに行けたのが、"大善"。
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ここの餃子とマーボーメンを食べられて、笑顔でまた東京の日常へと帰って行きました。
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またいつか帰るぜ魚沼市!
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  1. 2008/02/17(日) 23:55:02|
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日野日出志(10) 「恐怖のモンスター」「怪物の子守唄 恐怖のモンスター」

まだ続く日野日出志先生の作品紹介ですが、今回は「恐怖のモンスター」‏(ひばり書房刊)。
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画像左はもちろん「恐怖のモンスター」ですが、右の「怪物の子守唄 恐怖のモンスター」とは一体…?
実は表紙をめくれば本の内容は全く同じ。

在庫の余った本をカバーだけ変えてもう一度新刊として流通させる、ひばり書房お得意の手段です。
当時だまされた子供達とかはお気の毒ですが、私のようなコレクターからしたら収集アイテムが増えて嬉しいわけです。
十日前に紹介した「幻色の孤島」も、全く同じようなパターンがありましたね。

さて、今回の「恐怖のモンスター」は四話収録。


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まずは表題作にして少し長めの「恐怖のモンスター」です。

片目片足の天才科学者である、腐乱犬酒多飲(ふらんけんしゅたいん)博士が海から引き上げたのは、どろどろに腐った深海魚の肉塊。
それに向けて突然稲妻が落ちると、腐肉は青白い光を放ちながら動き出し、博士が長年求めていた超新細胞が誕生しました!

まぁその名前で分かる通り、博士は人造人間を作る実験をしていたわけです。
超新細胞を使ってやる実験もメチャクチャな方法ですが、十月十日後には意思を持ったモンスターの創造に成功し、しかし対面してすぐに腐乱犬酒多飲博士は疲れから死んでしまいました。

『お父さん!! 死んじゃだめだよ!! もうひと冬越せ~~っ!!』
なんて泣きながら叫ぶ異形のモンスターは、馬鹿力で博士の体をぐちゃぐちゃに潰したあげく、
『何とこれはめずらしいアメ玉だなあ…!? うまい! ピチャピチャ………』
って、それは目玉ですよ!(でもなんでアメ玉なんて知ってるんだ)

それからのモンスターは、街に出て差別されて自分の醜さにも気付き…
警察や自衛隊からの攻撃を受けますが、『まるでゴジラのような』強さで返り討ちにします。

しかし大好物の酒とワカメのみそ汁に、強力な睡眠薬を入れる罠にまんまとやられてコンクリート詰めにされ、日本海溝の深海に落とされました。
もともと深海魚から出来たモンスターには、それが幸せだったのでしょう…


・・・と思ったら、死んだと思われたモンスターが巨大化して蘇り、海で休んでいたらいきなり自衛隊の爆撃を受けます。
『何もかも思い出したぞ!! ぼくは怪物だ……!!
のろってやる このみにくい わが身をのろってやる!!
あらゆる人間どもをのろってやる…………!!
あらゆるものを 破壊してやる…!!』

と使命に目覚め、最初の目標として東京タワーを目指します。

『怪物は東京タワーをめざす……!!
これは怪物の宿命なのだ!!』

と言うのですが、それだけは勘弁して頂きたい。
あそこにはロバート・フリップキース・エマーソンイアン・アンダーソン、果てはクラウス・シュルツェなんかの蝋人形まであるんだから、プログレ好きには大事な場所なんですよ!
ジャーマン・ロック中心のCDやグッズもウケるし。
(あ、でもこの作品発表当時は無かったか)

それからモンスターはキングコングのマネをしはじめ、でも結局はまた強力な睡眠薬入りのワカメのみそ汁にやられ、今度は水爆ロケットに乗せられて宇宙の彼方で眠りにつきました…


・・・と思ったら、今度はモンスターの残した髪の毛根から、またもやモンスター復活!
次は最初に赤ん坊の姿で現れるために、狂女に拾われて成長して行き、漁村の子供達とも仲良くなりますが…
やはり成長したその姿を見て恐れ始めた人間達。
また自衛隊が出てきて新開発の溶解爆弾にやられたモンスターは溶けながら深海に帰って行き、今度こそ終わり。

これはしつこい上にホラー・コメディといった作りになっているため、個人的には少し苦手です。
私はホラー大好き、コメディもまぁいいけど、それが融合されちゃうとちょっと苦手なんですよね。
(映画で言うと「バタリアン」とかの'80s以降に製作されたエンターテイメント色の強いホラー、またはピーター・ジャクソンが作るホラーなんかもそうかな?)

もちろん「恐怖のモンスター」は大好きな日野タッチであるわけだし、好きなシーンもいくつかある…けど、本当に全然恐くはないですよ。

三部構成になっているこの作品は、わりと近年のオムニバス文庫「HOLY Ⅱ」(角川ホラー文庫刊)、
HINO-kyouhuno-monster2.gif

これに収録された時は、「愛しのモンスター」「愛しのモンスター2」「さらば愛しのモンスター」とそれぞれにタイトルを付けられています。
その上"恐怖の"が"愛しの"に変わっていた所をみると、やはりご自身でも全く恐くないと納得していたのでしょうね。


さてさて、次の作品は「ゆん手」です。
"ゆん手"とは左手の事。弓を持つ手だからですが、押し手とも言いますね。
(右手には勝手、握り手、刈り手等の呼び名が使われます)

主人公の少年・ひろしのゆん手が意識せずに勝手な動きを始めて、無意識の万引きを繰り返すようになるのです。
ある時ドロボーを咎めた小さい子を石で殴り殺してしまい、父親をカッターで切りつけ…
ラストはひろしの潜在意識の願望が欲しい物を盗んでいたのか、それとも夢オチだったのか、よく分からない終わり方でした。


「鶴が翔んだ日」は叙情的なファンタジー。
白い風景が美しくも、体の弱い少女・ユキの悲しい物語でした。


最後に「山鬼ごんごろ」
天狗や河童なんかが住む山の頂上で、山鬼のごんごろは一番の力持ちにして優しい男でした。

ある時、下界には『人間といってこの世でいちばん恐ろしい生き物がいる』との忠告も聞かずに下山してしまったごんごろは、人間で盲目の娘・おゆきに恋をします。
おゆきを襲う大蛇を倒して助けてあげてから、人間に恐れられながらも村のために献身的に働いたりして、ついに二人は結婚を誓い合いますが…

人間の策略によって結ばれないどころか殺されてしまいました。
おゆきの父は卑怯にも娘が望んでると言って角、牙、爪と順に取らせ(凄い激痛が伴います)、最後の願いがあると言ってきりを渡し、
『それで目をつぶすのじゃ そうすればおゆきと同じめくらになれる……!!』
なんて言ってごんごろ自らに目を潰させた所を、村人たちが一斉に槍を付いて殺すのですよ。

自分が絶対安全な事を分かるまで手も出さずに言葉巧みにだます、こんな卑怯な人間は許せないわけですが、せめてもの救いは目が治って帰ってきたおゆきが、
『ごんごろは今まで会った人間の誰よりもやさしかった!!
こんなひどいことをするなんて……!!
鬼はあなた達です!!
鬼は……! 鬼は…… あなた達です……!!』

と言って泣き、その後は一生ムコをとらずにごんごろの墓を守り続けたという後日談でしょうか。
明るくポップな絵で御伽噺風に作っていますが、悲しい話でした。


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今夜の最後のセリフは「恐怖のモンスター」のエンディングから。


今こそ眠れ わがいとしの怪物(モンスター)………

海でおぼれた おさな子は 海の底で何になる……
オロロン オロロン オロロン ロン
黒い体の深海魚…… 目の無い小さな……

深海魚……





  1. 2008/02/14(木) 23:53:14|
  2. 日野日出志
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日野日出志(9) 「まだらの卵」

日野日出志先生の作品紹介をさらに続けて、次は「まだらの卵」‏(ひばり書房刊)。
HINO-madaranotamago.jpg

この単行本では八つの短編を収録しています。

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まずは「うろこのない魚」です。

狂気的な暑い夏が続き、工場群や漁港の悪臭で地獄のように思える町を舞台に、起きるとどうしても思い出せない悪夢、そして幻覚に悩まされる少年・しげ男が…
その悪夢を思い出した時、その夢の通りに暑さで狂った床屋に切り刻まれて殺される話。

しげ男は登場シーンから桶を持っているのですが、その中にはウロコがなく、コブだらけの奇形魚が入っていました。
この奇形魚は直接物語には関係なく、せいぜいしげ男の幻覚に一役買うくらいで傍観しているだけの存在ですが、これをタイトルに持ってくるのがカッコいい。

この激しい猛暑描写の上手さ。それにデビュー作「つめたい汗」と全く同じく猛暑による狂気を描いてるあたり、日野先生が実際に暑い暑い部屋でボタボタ汗流しながら描いた作品…だと想像できます。

夏でも住みやすい気候の地域に住んでる方や、クーラー完備の部屋に住んでる人には分からないかもしれませんが、私はトタン屋根が焼けまくって異常な室温になるボロ屋の二階部屋(もちろんクーラーもシャワーも無し)に住んでいたため、これがあまりにリアルなんです。
毎晩暑くて寝れないし、体中の力が奪われ…しかも周りの裕福な人々の姿がすぐそこに見える事が狂気を誘発するのですよ。

この作品はストレートに恐怖を描くよりも、不気味な雰囲気を持つ世界観を出した所が傑作扱いされる所以でしょうか。
つげ義春先生がシュールな漫画を描く時の感じに似てますね。
日野先生得意の残酷描写も、何とラストのしげ男惨殺シーンは絵をほとんど省略して、最終ページは近所の住人のセリフでどうなったか語らせるのです。

『床屋が狂ったあ~~っ!!
さかな屋のしげ男がメッタ切りだあ!!
首を切り落とされたぞうっ!!
はらわたも飛び出してるぞう~~っ!!』

ですって。

「怪奇幻想ホラーマンガ傑作選」(文春文庫刊)という質の高いオムニバス本がかつて発売されていたのですが、
HINO-madaranotamago2.jpg

これは手塚治虫先生、藤子不二雄先生、諸星大二郎先生、楳図かずお先生、花輪和一先生、水木しげる先生…
いや他の先生方も全員凄すぎる、ありえないメンバーの名作で編まれていて、日野日出志先生の作品からは、この「うろこのない魚」が収録されていました。


次は「セミの森」
夏休みに別荘へ行った姉弟が、ただただ不条理にセミの大群に襲われて、化け物の仲間入りさせられる話。


「マネキンの部屋」は、マネキン作りの名人である変人の父親を持つ少年が体験する恐怖談。
この父は死んだ嫁の姿そっくりに作ったマネキンに毎夜話しかけてるし、家にいるお手伝いの老婆なんてどこかで乞食をしていたのを五年前に連れてきた人。
誤って少女のマネキンを壊してしまった事から、マネキンに襲われた少年は…おそらくは手足と首をバラバラにされたのでしょうが、行方不明になって終わり。


「地獄へのエレベーター」は、野球の試合に向かうためエレベーターに乗った少年・森本重光が…そのまま数人の恐い死神達によってジワジワ恐がらされて、最後は連れられて地獄に行く話。
実はエレベーターの墜落事故で死んだのですが、こういう死に方をする者はこんな体験しているのかもしれませんね。
やはり地獄の風景がカッコいい。


「がま」は、どでかいがまがえるを殺して解剖までした兄弟が、そのたたりで殺される話で…かえるが気持ちわりぃぃ~!


「ともだち」は幼い頃から仲良しだった少年・マコトと少女・サチコの物語。
ある程度大きくなったある日、サチコの顔におできができたと思ったら、あっという間に顔が醜く成り果てた上に死んでしまいました。
それからサチコは悪霊になってあらわれてマコトを連れて行こうとするので、やつれて寝込んでいると…
何ともいいタイミングで通りがかった霊能者の婆ちゃんが、ついに悪霊(サチコ)を追い払いましたが、あのおできがマコトにも転移していたというバッドエンド。


「狂気の宿」は、自然がいっぱいの田舎で"深山荘"という民宿を営む家族が、まさにトビー・フーパー監督の「悪魔のいけにえ」を髣髴とさせるキチ○ガイ一家で…客が来ると次々と殺していくのです。
この家族は爺、父、息子と三世代の男達で、父はニワトリの首をちぎって『キヒヒヒヒヒ………』とか言ってヨダレ垂らしてるし、息子は殺される人間を見て『ケケケケケ 血が出た血が出た…………!!』なんて喜んでますね。


ラストの表題作「まだらの卵」は、日野作品の傑作によくあるように工場地帯や動物の死体が浮いてるドブ川が舞台。
酒飲みの父、謎の病気のため二階でずっと寝たきりな上に立ち入り禁止にされてて生まれて一度も見た事の無い母、ヨダレ垂らしながら少女人形に話しかける祖父、一応まともそうな祖母…やはりキチ○ガイ率が高い家族の中の少年が主人公。

孤独な少年は部屋で小鳥や小動物をいっぱい飼ってるし、いつも犬のポチを連れています。
ある日いつものドブ川で遊んでいると、原色に色どられたまだらの卵を拾い、その綺麗で珍しい卵を持ち帰ると…
いつの間にか生まれて、その生物は姿を見せないまま逃げてしまいました。

それから一ヵ月後、ポチも家族達も体中の体液を吸いとられてミイラのようになって殺されます。
初めて見た母の顔に『こ…これがお母さんの顔か!! あわわ…!!』なんて言うけど読者には見せないし、さらに追ってくる卵からかえったあいつすらも、少年は『うわわ~~っ!! ひいいい~~っ!! ぎゃあ~~っ!!』と恐がって殺されて…最後まで読者には正体を見せてくれませんでした。

多分何の意味もなく不条理に生物全部を殺していく、このまだらの卵からかえった怪物は、また無数のまだらの卵を産み落としてそれが川に次々と流れていき、終わり。


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今夜の最後のセリフは「うろこのない魚」から引用して、おやすみなさい。


どうもこのごろ変だな
悪夢には悩まされるし 幻覚は見るし…………
もっともこの暑さと悪臭の中だ
頭が狂うのも当然かもしれない……
それとも 死神にでも……




  1. 2008/02/12(火) 23:58:37|
  2. 日野日出志
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日野日出志(8) 「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」

今回は日野日出志先生の映像作品の話をしましょう。
地獄漫画家・日野日出志先生は実写映画の監督もしていて、それは幻の作品となっている…この事実はもっと広める必要があるでしょう。

このブログで初めて日野先生をちゃんと紹介した時にもちょっと触れているので、まずはそれをコピーしますよ。

『日野先生はホラービデオの制作もしてるのはご存知ですか?
1985年に作った監督作の「ギニーピッグ2 血肉の華」は、幼女連続殺害事件の容疑者・宮勤の部屋にあったとされて、即絶版!
以降未だにソフト化されていないので、有名レア作品になってしまいました。
(しかも、実際に宮のヲタク部屋にあったのは、別監督で、しかもコメディ調の「ギニーピッグ4 悪魔の女医さん」だったそうですよ。)
それにいい大人が、『あいつは残酷な物を観てるから残酷な事をしたのだ』とか、本気で信じてしまうのはいかがなものでしょうか。』


こんな事を書いてまして、それを読んだ方から日野日出志監督の映像作品って出来はどうなのか、とか聞かれたのが今日の紹介のきっかけです。
ま、描いてた作品があれだから偏見持たれてもしょうがないかもしれませんが…
でも私はちゃんと調べもせずに、ニュースとして流してしまうマスコミの姿勢に対する批判精神は今に至るも持ち続けています。
あれはもう、根っこから腐ってるからしょうがないんですけどね。

さて上記の「ギニーピッグ2 血肉の華」というのは、2が付いているのでお分かりの通り、もちろん1作目もあるビデオシリーズ物です。
1980年代のスプラッター映画ブームの中、ついに登場した国産のスプラッター映画だったためにマニア受けしたようですね。
ちなみにギニーピッグ(Guinieapig)とは、モルモット…実験材料という意味。

それぞれ監督は違いますが全7作、さらに総集編としても3作品が製作されているのですよ。
そのうち日野監督作なのは「ギニーピッグ2 血肉の華」の次に、「ギニーピッグ 惨殺スペシャル」(これはギニーピッグシリーズの当時出ていた1~3作目から名場面を集めた番外編でした)。
続いて「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」
この「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」に関しては、後でもう少し詳しく紹介します。

ちなみにこのシリーズに関わるさらに少し前、1984年に「アギ 鬼神の怒り」というSFホラー映画でデザインを担当したのが日野先生が映像に関わった最初です。
ついでに触れると、つい近年にも「日野日出志のザ・ホラー 怪奇劇場」として日野漫画が映画化されましたが、まぁこれは映像作りの方には関わっていなくて、純粋に原作者だけですね。

この「ギニーピッグ」シリーズの特徴は、腐る死体、人体切断などの残酷描写をメインにしている事でしょうか。以下それぞれを軽く紹介しましょうか。

第1作目の「ギニーピッグ 悪魔の実験」は、本物のスナッフ映画かと思わせる効果も狙ってでしょうが、ストーリー性無し、しかも監督・出演者ともに不明な擬似ドキュメンタリー作品でした。
この時期は海外でもスナッフ映画が流行ってたんですよね。

続く「ギニーピッグ2 血肉の華」もほぼストーリー無しの残酷描写だけの擬似スナッフ作品で、せっかく"物語"を作るプロでもある漫画家の日野日出志先生の力量がも一つ生かせてなかったかもしれません(日野先生自らが漫画の方の傑作「赤い花」を元にしたと語っているのですが)。
しかし発表されたタイミングや特撮の精巧さもあって、これがシリーズ中一番の人気作。
ビデオが手に入らない場合でも「畸書 全身に鱗が生えてくる本」(KKロングセラーズ刊)という本においてかなりの場面写真を観る事ができるのですが…いや、その本自体もかなりのレア本ですけどね。

「ギニーピッグ3 戦慄! 死なない男」は、何とガロ系漫画家(原作者)の久住昌之監督です!!
あの泉昌之の原作者の方ですよ。私は以前から、彼の文筆者としての才能にも恐れ入ってたものです。

「ギニーピッグ4 ピーターの悪魔の女医さん」喰始監督で、問題の宮勤の部屋にあったソフト。もはやギャグ満載のコメディ作品になってしまいました。
キャストはシリーズ中一番豪華で、ピーター、吹越満竹中直人景山民夫小川菜摘林家こぶ平久本雅美柴田理恵…ざっと眺めても凄いですよね。

次は配給会社が変わってニューシリーズへと生まれ変わり、また日野日出志監督作品の「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」が誕生するのです。

以降は…
「ザ・ギニーピッグ2 ノートルダムのアンドロイド」は、ギニーピッグシリーズに"ザ"が付いてからの二作目という事での"2"が付いてます。これもキャストは豪華で日野利彦高樹澪田口トモロヲ等。

「LSD -ラッキースカイダイアモンド」橋本以蔵監督で、キャストは網浜直子佐野史郎等。
ギニーピッグシリーズの7作目作品として制作されたのに、発売前に宮事件が起こってお蔵入りになり、しかし後に「ギニーピッグ」の冠を外して発売された作品です。

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シリーズはこんな感じですが、話を日野日出志監督中心に戻しましょう。
しばらく間を空けてから久々にギニーピッグシリーズの監督として作った「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」です。
HINO-Guinieapig.jpg

こちらは日野漫画通りの展開ながら、「ギニーピッグ2 血肉の華」と違ってストーリー性も取り入れた傑作になりました。
1988年にビデオ発売されていて、主な出演者は斉木しげる染井真理久本雅美

主人公は画家で、奥さんに逃げられてからというもの、マンホールに潜って下水道を散策する趣味を得た人です。
どこかおかしい…いや、完全にキチ○ガイですね。

下水道で飼っていたペットのチビの死骸を、画家であるため絵に残したりしてるのですが、この下水道で人魚と遭遇しました!!
しかもこの人魚には、下水道がまだ川だった頃の昔に会った事があるというのです。

人魚の絵を描く画家。
しかし人魚は謎の奇病で身体中に醜いデキモノがでてきます。
それは日に日に悪化していくので、今までは下水道でスケッチしていましたが自宅に人魚を運び、奇病に冒されていく様を含めて一心不乱に人魚を描き続けて…

しかもですよ、人魚のデキモノから出てくる七色の膿で絵を描くんです!!
おおっ、これは「蔵六の奇病」ネタと同じではないですか。

絵が描き上がったのですが人魚は死んでしまい、画家は人魚の死体をバラバラに解体しました。
このバラバラ解体シーンがあったからこそ、宮事件で勘違いされて問題になったのでしょうね。
嗚呼蠢く虫達の描写も気持ち悪い…

同じアパートの隣人である主婦の久本雅美が不振に思い、異臭等で部屋に駆け込んで事件が発覚しました。
(ちなみに久本雅美は、水野晴郎閣下ばりに演技が下手くそです)

まぁ観てる途中でオチは丸バレなんですが、実は画家が描いていた人魚のは逃げたと思われていた奥さんで、あの醜く広がっていったデキモノもガンが転移したか死体が腐っていったかで出来たものだったのですね。

画家は精神病院に入院させられますが、しかし部屋で発見された一枚の鱗は日本魚類研究会にすらも何の鱗か断定できず、人魚自体が画家の妄想だったのか実在したのかという謎を残して…終わり。
---------------

ひゃー、単純な物語だけど傑作だ。
こういうのは映像観て貰わなきゃ分からないのは承知してますが、凄いですよ。

スプラッター描写のレベルの高さもさる事ながら、我々日野日出志先生ファンが思うのはあの映像化不可能な登場人物達をどうするか。
それをですね、ほぼ特撮少なめの演技だけでけっこう再現してるんですよ。
漫画の作者自身が監督した強みというかこだわりというか、あの独特のギョロ目を映像で観れるとは思わなかったですもん。

日野日出志先生の大ファンであるという偏見抜きで映画としての出来自体を考えても、ギニーピッグシリーズ中でこれが一番だと、私は思います。

日野先生の作品はいずれもホラーではありながらも、怪奇・恐怖モノと叙情モノを描き分けてる感がありますよね。
この映像作品「ザ・ギニーピッグ マンホールの中の人魚」はもちろん後者であって、悲しい悲しい嘆きの物語なんですよ。

あとはですね、画家の家がやたらと退廃的でカッコいいんですよ。
ほー、良く作ってるな~なんて思ったのでエンドクレジットで背景美術を担当した人の名前を見ると…

って、それ!!
友川かずき氏なんですよ!!

私が歌手としては日本中でも三指に入る尊敬の念を表明し、影響受けたり偉大すぎて自分の無能さに気付いたりさせてもらった、あの孤高の歌手じゃないですか。

ビデオのパケージを見てもどこにも名前のクレジットが無いという、恐ろしく無礼な扱いを受けてますが…
友川かずき氏がどれだけ偉大かを語るのは、日野日出志先生に対するそれと同じくらい時間がかかると思うので今回は止めておきますが、この意外すぎるコラボレート!
いや実は私は別ジャンルで活躍するこの二人が大親友である事を知っていますし、友川氏は画家でもある事を考えれば美術担当もありえる線ですね。
とにかく嬉しいカップリングが実現した事実に微笑んで、今夜は終わろうと思います。

  1. 2008/02/09(土) 03:38:56|
  2. 日野日出志
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ブル-ス・ビンボーズ

今朝目覚めると、巨大な褐色の毒虫に変わった自分を発見した…じゃなくて、 鞄の中から見なれないノートを発見しました。

昨夜は平日だってのに朝まで続く深酒をしちゃいましてね、最後の方は記憶無いから誰かの
を間違えて持ってきちゃったかと慌てて中を見たら…
ああ。昨夜の記憶が蘇ってきました!

地元の阿佐ヶ谷で男友達と二人の"漢呑み"ってやつをしてて、ハシゴして馴染みの店を回ってたのですが…
何軒目かの"JAMB JAMB"
JAMB-JAMB.jpg

ここであのブル-ス・ビンボーズのドラムス、秋山公康氏と遭遇したのでした!!

ブル-ス・ビンボーズはその名の通りブルース色が強いながらも、かなりカッコいいロックバンド。
私は新宿のライブハウスで、好きなバンドの対バンとしてたまたまブル-ス・ビンボーズが出てきたのが出会いでした。
もう5年くらい前かな…

私の名前もブルース(BRUCE)ですし、その時は今みたいにセレブにはなっておらず、高円寺の風呂無しアパートに住む物凄いビンボー(貧乏)野郎だったので、もうこのバンド名は私に対する嫌がらせかとおもいましたよ!!

しかしステージを観たらちょろいもんで、いっぺんでファンになってしまいまた。
そのうちあのいい味出しすぎ!なボーカルの伊藤耕氏が刑務所にお勤めに行ったという話しを聞き、それから代役のボーカル立てて活動はしていたようですが、私はもう何年もライブ観てません。

その伊藤耕氏も現在は服役を終えて音楽活動再開しているのですが、秋山公康氏による逸話とか聞いたり(モノマネ付き)して、楽しかった・・・

それで問題のノートです。
それでは記念にと、サインを貰うために近くのコンビニに走ったのですが、しかし色紙は置いてなくて、代わりにノートとペンを買ったのですね。

1ページ目。
書いてもらったはいいけど、間違えてる!
Blues-Binbos1.jpg


2ページ目で成功したようです。
Blues-Binbos2.jpg


さらに3ページ目にこんなメッセージを発見。
Blues-Binbos3.jpg

へったくそな字ですが、『明日仕事いけなかったら殺す!!』と書いてありますね。
平日というのに遅くまで呑んでて、しかもベロベロに酔ってる私を見かねて心配してくれたのでしょうか。
え?でも下の方の署名…かな、これ。
鈴木だか鈴本だかって書いてあるのですけど!
いや、貴方は秋山氏ですよね。

うーん…記憶無いので謎は深まるばかり。
ちなみにその心配された今日の仕事。
行けたんですけど、とても体が動かなくて午後から出勤にしてもらいました。この踊るダメ人間が!
でも行ったんだから殺されなくて済みますよね?

----------
漫画ブログを名乗っている、この大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)ですが、それは全く漫画と関係ないだろうって!?

フフフ…
その色紙を持っている私のT-シャツを見てもまだそう言いますか?

これは気付かれにくいけど、楳図かずお先生のオフィシャル商品で「わたしは真悟」グッズなのですよ!

これの自慢もしたかったという事を分かってもらえたら、今夜は終わり。
  1. 2008/02/08(金) 23:59:24|
  2. 映画、音楽、将棋、等
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日野日出志(7) 「太陽伝」

今回は日野日出志先生の著作の中でも、レア度ではトップクラスの「太陽伝」(ひばり書房刊)。
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短編漫画家とも言える日野日出志先生が挑んだ初の長編作品にして、全2巻という今まででも最長の作品なのですが、2巻かけても物語はまだ途中でした。
(それも主人公が生き返って謎の人物達と対面して…終わり!!)

しかし2003年に復刻版が登場!!
[LEGEND COMICS1]としてマガジン・ファイブから発売され、さらに単行本未収録部分も補完された完全版になっていたのです!!
HINO-taiyoden2.jpg

ちなみにひばり書房版の2巻最後のページが、復刻版の399ページに当たります。
すると巻末のインタビューや解説を除いた漫画部分だけでも120ページ以上がそれまで封印されていたのだから、勿体無い話ですね。

これで「太陽伝」完結!といえば確かにそうなのですが、当時の連載自体が打ち切りのように終わっているので、やはりスッキリはしませんでしたが…
それにこの復刻版発売で、既に高価なひばり書房版を持っていた私は涙を飲みましたよ。
古本コレクターやっている方なれば、こんな気持ちは何度も味わっているでしょうけどね。
それに、それでもオリジナルならではの魅力は色褪せないと信じてますけど。

--------
さて、この異色作「太陽伝」のストーリーも簡単に紹介していきますが、連載が週刊少年キング(少年画報社刊)だからか、王道な少年漫画をやってるんですよ(少なくとも"目指して"はいたと思います)。

やはり前半は自分の中に無い物を描こうとして無理した所が見受けられますが…後半になるとやっと日野先生節が出てきて面白くなってきますよ。でもその分構成が行き当たりばったりになってきたり。
本人も仰る通り、長編になるとテンションを維持できないんだそうで、まぁそれは日野作品をずっと読んでれば分かる部分でもありますね。


作品の舞台は何と太古の昔…原始時代です。これだけで日野作品としては異色すぎます。
ただ日本史とかは関係なくて、これも日野先生が創作した原始時代でしかないのですけどね。

この時代、太陽神を敬って狩りをして暮らしている部族がいました。
しかし彼らはいつも"猿人"と獲物の取り合いや殺し合いで争ってます。
この猿人ってのも武器は持ってるし、人間より身体能力もありそうです。

この部族の長は黒獅子という、勇者にして人格も優れた実力者。
その息子は一矢で10人の敵を倒すほどの弓の名手、ハヤテ
その妹は美しい少女(日野先生は美少女描けないので実際はそうでもない)のヒミカ

猿人に有能な若者たちが殺されている生活でしたが、ある時にまじない師でもある長老の予言により、額に十字の星を持つ太陽神の子があらわれて皆を"太陽の昇る国"へ連れてってくれると言います。

その予言の通りに現れた太陽神の子らしき少年は、『ボボ!!』『ボボ!!』と九州地方での方送禁止用語を叫び(ボボは太陽神と同じ名だとか)、しかも『ガルル~…ウウ~~』とかうなり声をあげながら蛇を生きたままかじっているキチ●ガイぶり。

生け捕りにしたそいつの額には…あれれ?十字の星はありませんでした。
しかし次の日、太陽神の像に雷が落ちると、岩に縛られていた彼の額には十字の星が浮かび上がっていた。
それで目覚めた少年は、顔付きも正常な人間になって人間の言葉を話しすようになるのですが、どうやら記憶は失われています。

それでも残った記憶で
『オレは…… オレは太陽の昇る国へ帰らなければならないのだ!!』
と叫ぶので、部族の皆は『やはり太陽神の子だった』と、彼に付いて行き移住する事になりました。

その前に猿人達との大決戦があるのですが、猿人の中に怪物が一匹して、こいつは体の大きさが他の何十倍もある上に、顔は日野日出志先生らしい奇形キャラ顔なのが嬉しいですね。
そいつを追い払った太陽神の子は、名前もボボと呼ばれるようになって部族の皆と共に行動するのですが…黒獅子の息子であるハヤテとは諍いばかり起こします。
ハヤテのケツの穴が小さいだけではあるのですが、そのハヤテの策略に騙されそうになったり、いろいろあります。

そんな中、ボボはある謎の人物『お前は太陽の昇る国へ行って大きな国を造るのだ!!』と教えられます。
その前にいろんな仲間を集めなくてはならないとかいろいろ言われて、それをそのまま受け取って素晴らしい夢を得たボボ。
まだ国という概念が無くて争いばかり繰り返していた時代の話ですから、どれだけ"建国"というのが夢いっぱいに響いた事でしょうか。

それから赤いたてがみという『筋の通った立派な男』を長とした部族との争いと共存にいたるあれこれがあって、黒獅子が殺されてしまいながらもハヤテが更正してボボの親友になり…
二人は、また出てきた謎の人物に過去の映像を見せられます。

そこで見た映像によってやっとボボも過去を思い出し、自分の父は青獅子だと言います。
そこでハヤテが、
『昔……父さんにきいたことがある
青獅子といって父さんの双子の兄弟で 若い頃にけんかをして
部族を出て行った弟があったことを…………』
と、小さいコマで説明セリフにも程があるってくらい説明してくれます。
つまりボボとハヤテはいとこだったわけですね。

謎の人物というのも、ある日空から光るものに乗って落ちてきた、遠い星の客分だったのです。
見た目は常に白土三平先生の影タッチで姿がよく分からないのですが、宇宙人という設定ですね。
(復刻版の巻末インタビューを読んで初めて違うと分かるのですが、後付けじゃないのかなぁ)

それからハヤテ達の部族と分かれて、ボボは単身で仲間探しの旅に出ます。
これからRPG的な展開が続くのですが、ボボが仲間にする奴らはどれもこれもフリーク。
繰り返し繰り返し『太陽の昇る国へ行って国を造る』という夢を語りながら仲間を増やして行くのですが、説得された奴らも
『こんな森の中でくらすのも一生なら……………夢にかけるのも一生だ!!』
とかって、他の日野漫画ではありえないポジティブ・シンキングが発揮されているんですよね…


仲間になった、特に一芸に秀でたフリークス達を見てみましょう。

デカ…頭は弱いが人間離れした怪力を持つ巨人

チビ…デカの弟で、空を見れば天変地異も寒波できるほどの眼力を持った小人

ケモノ…飢饉による人間の共食いが蔓延する世の中に生まれて、何とか食われずに生き延びて動物に囲まれて成長するうち、動物の言葉が分かり自由に操れるようになった…だというのもどうでもいいほど、鼻だけがでかすぎる顔で卑猥な印象を持ってしまう男。

ムササビ…やはり飢饉で全滅した部族から、たった一人で死肉やミミズなんかを食って生き延びてきて、ムササビにヒントを得て工夫を重ねて飛べるようになった奴。

とにかく濃い奴らばかりなのですが、ここらへんでどうしても出てきてしまう飢饉や人肉食等の暗黒面は、時代を考えてもジョージ秋山先生の「アシュラ」の影響があると思われます。

さらには一度死んだボボ達を助けてくれた"ヨガ族"というのがいて、そのメンバーはヨガホテイ地ネズミヨチョウ。皆特殊能力を持っています。

RPGのように次々素敵な仲間が増えるこの一行に襲い掛かる、巨大な一つ目のサイクロプス集団…。この戦いはページ数を費やしながら仲間の特殊能力を生かした壮絶な闘いになっていて、とにかく凄いです。

あとは鉄を使う小人の一族も仲間にして太陽の昇る国へ向かっていた所で…
『闘いはまだこれからだ
平和で豊かな国を造るため
勇者たちは前進をつづける!!』

なんてナレーションが入ってはい、物語は終了です。

実はボボの父である青獅子を殺した仇の、シャチって奴が太陽の昇る国で幅を利かせてる宿敵でどうとかもあるのですが、結局彼とは会う事もなかったわけですね。

この長編の中にいかにも日野先生だぜという見所もいっぱいあって、ファンからしたら嬉しい作品なんですけど…
うーん、これを日野先生になじみがない方々に紹介するのは辛いですかねぇ。

ちなみにあの光るもの(明らかに一般人の思うUFO)に乗ってた謎の人物というのも、実は単純に宇宙人とかではなくて『実は人類の歴史は一回だけじゃなかった』という話にして、だから謎の人物は未来だか過去の人類で…って構想があった事は復刻版が出るときのインタビューで語っていました。
それは映画「猿の惑星」の影響でしょうか。

自身でも『話を広げたのはいいけど、最後収拾つかなくなっちゃった』という作品だと語ってるけど、とはいえファンにとってこの「太陽伝」を読める事がどれだけ嬉しい事か分かってますしね、みんな「猿の惑星」の原作者であるピエール・ブールより日野日出志先生を尊敬してるわけです!!


く…国だ!!
何百 いや何千万もの人びとが集まっても
強い人も弱い人も
みんなで力をあわせて 生きていく世界だあ!!



  1. 2008/02/06(水) 23:58:02|
  2. 日野日出志
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日野日出志(6) 「幻色の孤島」「ぼくらの先生」

私が一番好きとも言えるジャンル、ホラー漫画ですが、お薦めのホラー作品は部屋に置き場がないくらいあるのに、最後に紹介してから半年以上も経ってしまいました。
なので今月はホラー漫画月間として、しばらく続けて行きましょう。

まずはこのジャンルにおける神様、日野日出志先生の作品から。
ずっと前に「蔵六の奇病」「地獄の子守唄」「恐怖!!ブタの町」「日野日出志の銅鑼衛門」と紹介していましたが…

今回は「幻色の孤島」(ひばり書房刊)。
HINO-gensyoku.jpg

どうです、既にジャケ画で傑作なのが分かるでしょう。

七つの素敵な短編が詰まった一冊ですので、一つずつ簡単にストーリー紹介してみます。
本当にこの時代の日野日出志作品って、恐いのもユーモラスなのも…どれも愛すべき傑作ばかりです。
初期作品ばかりを集めた短編集ですので、まだ恐さの面ではそれほどではないのですが。

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まずは「ぼくらの先生」
小学校でクラスの児童達に人気者な大仏先生について、まずは児童の語りで紹介され、次に大仏先生自身の独白で語られるのですが…
芥川龍之介「藪の中」(黒澤明監督映画「羅生門」の原作であるあれ)のごとくですね。

実は幼い頃から虫や動物を食べ続けていた大仏先生は、犬、リス、鳥…そういった動物を生で食べなくては生きていけない悲しい宿命を背負わされてしまったのです。
一日食べるのを止めただけでも老人のようにやつれてしまうのだから大変ですよ。
そして、ついには人間にも手を出す事にして、教え子である少女を一人、部屋に連れて帰るラスト。

日野先生にしては絵の怖さが抑えられていて、分かりやすいショックシーンは無い作品でもあるのですが、やはりカニバリズム物のヤバイ作品だったわけですね。


次は「おーいナマズくん」
弱いいじめられっ子だった鯰太郎が、自分に寄生したナマズのおかげで強くなって皆を見返す話。

腹に付いたナマズの顔、それに餌のミミズを食わせる太郎…
この図は誰もが吉沢やすみ先生の「ど根性ガエル」を思い出すでしょうが、シャツに張り付いた可愛い蛙のピョン吉と違って、自分の腹に直接付いてるでかいナマズの顔に、食わせてるのもミミズですからね、さすがは日野先生。
『うむ……ミミズは いつ食ってもうまいなあ』とかしゃべってますよ!

そのナマズが後に猫や犬、ついには人間の肉を要求するようになり、太郎はやむを得ず人殺しを…
なんて事は全くなく、本当に「ど根性ガエル」のようにほのぼのとしたまま終わってしまいました。

ところでこの学校の授業中の一コマで、先生が黒板に書いてる文字が何と…

石森章太郎ー
手塚治虫ー
日野日出志ー
楳図かずおー
水木しげるー
漫画家と作品

なんですよ。いいなー、この学校。小学校がこんな授業なら私も少しは学校が好きになれていたのだろうか。


次は「幻想メルヘン かわいい少女」で、空想ばかりしている少女が作り話の怪談で旅人をだまくらかす話。
少女は作り話でもリアルに細部まで語れるようですが、寺にある仏が阿修羅みたいな、メチャクチャいかした像なのはどうでしょう。カッコいいし、こんな寺があったら行きたいですけど。


次は表題作ですね、「幻色の孤島」
これがまた超傑作でして、ある男の手紙からスタートしますが、その手紙には驚愕の内容が書かれています。
それによると男は、気付いたら恐ろしい孤島にいて記憶も無くしていて、しかもそこは恐竜よりもありえない、えたいの知れない生物達の生存競争がある地獄のような風景。
空腹に耐えかねて腐り落ちた自分の左手までむさぼり食う過酷な環境から、仮面を付けた人間達のいる城壁の向こうの世界へ侵入し…
現在は紙飛行機に書いた手紙で助けを求めていると。
しかし…書かれてる内容は、全て四畳半の男の妄想だったというオチ。

ここで文だけで紹介したら、そのオチにズッコケそうですが、絵を観るとその妄想世界の幻色の孤島が、生き物や風景も含めて幻覚的で迫力ある光景なんですよ。
表紙イラストでカラー版が観れると思いますが、グロさと美しさが同居した本編もモノクロの効果を上手く使っていて、それはそれは素晴らしい。
ちなみに仮面を付けた人間達の言葉は『ペロペロ ナメナメ コチョ バイバイ』とかなんですけど…


次はデビュー作の「つめたい汗」です。
これが載った1967年のCOMでは本名の星野安司名義だったんですよね。
日野日出志先生曰く、これはギャグ漫画だと言うのですが…
絵はギャグタッチと言えば確かにそうであるものの、全然笑えませんって!これサイコホラーじゃないんですか?!
あまりにも酷い猛暑のせいで精神崩壊しかけた侍が、斬られて涼しくなり、最後は寒くなって死んでいく話。


次の「猟人」は、狩猟を趣味とするハンターが、逆に吹雪の山小屋で人間の頭蓋骨を集めてる爺に狩られる話。
これでちょうど100個目の頭蓋骨だそうで、しかもこの爺は人間汁を飲んでるようです。
『とくに人間汁は最高の健康法じゃよ』ですって。


最後に「人魚」で、 陣内という侍が殿の命令で人魚を捕まえてくる話。
人魚がいるという蝦夷地(北海道)に向かう途中で鬼とか"えたいのしれぬ怪物や化け物"を退治していくのですが、この化け物達が異常すぎて、こいつら連れて帰れば人魚よりずっとレアな気もしますけどね。
いや、やはり美しさでは人魚でしょうか。
で、3年以上かかってついに捕まえた人魚を殿の前で出そうとしたら、その姿が忽然と消えていて、切腹したら自分の腹から人魚が出てきた…ように、陣内には見えたのですが、周りからはただの五臓六腑にしか見えなかったと。
人魚は、そしてそうなるとあのカッコいい化け物達も陣内の妄想でしかなかったのでしょうか。

 
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さて「幻色の孤島」の単行本は、今回の画像でも使ったひばり書房のが有名だし入手も容易ですが、実は虫コミックス(MUSHI COMICS)版もあります。
HINO-gensyoku-mushi2-.jpg

こちらだとひばり書房版には収録されていない「ばか雪」「水の中の楽園」が入っている上に(抜けてる話もありますが)、カバー内に出てくる健さんの絵も大好きです・・・
HINO-gensyoku-mushi1.jpg

そして実は、「ぼくらの先生」を表題作にしただけの同内容本も同じひばり書房から刊行されてますので、ジャケ違いも集めなくちゃならないコレクター気質の方は、当然こちらも手に入れるべきでしょう。
HINO-bokuranosensei.jpg


どんどろ どんどろ どろろどんどど
どろろん どろろん どんどろどん



  1. 2008/02/04(月) 23:54:19|
  2. 日野日出志
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Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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