BRUCE LEE、そして漫画を愛するみなさん、こんばんは。
いきなりですが、私ことBRUCEが次に旅すべき地のお薦めを募集します。
5月からしばらくの間、時間的に余裕が出来るはずなので、その間にいろいろ行きたいのです。
海外も可ですが、心配はお金がもつかどうか…
このブログの
旅行・紀行・街で使うネタとしては漫画に関係ある土地がいいのかな。
ある漫画家関連の施設、記念碑があるとか。
漫画の舞台になったとかだと、けっこうその土地の人にしか知られてない所が多いでしょうから、ここで教えて欲しいわけです。
名作漫画ならともかく、ガロ系漫画で使われたとかだと多分地元の人すらもほとんど知らないでしょう。
もちろん個人的には漫画関連の物がある土地以外にも行きたい。
ただ景色が凄く綺麗なだけでも知らない土地なら行ってみたいし、もちろん小説関連、映画関連、音楽関連、偉人だとか事件関連でも、要は何でもいいわけです。
いや何でもいいとは言っても、野球選手がどうとかサッカー関連の聖地だとか、そんなのを薦められても困りますが。
世の中にはまだ見ぬいろんなものがあるはずで、これから出会うのが楽しみです。
それでは、よろしくお願い致します。
- 2008/03/28(金) 04:46:27|
- 古本 番外編
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ここの所ずっと
日野日出志先生の作品を紹介している、この
大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)ですが、ホームグラウンドとも言える
ひばり書房からの本は前回までで終わりにして、今回からは
立風書房の" レモンコミックス"、そしてそれ以外へと進んで行きましょう。
まず今回紹介する
日野作品は、
「恐怖!四次元の町」(立風書房刊)。

これは
日野日出志先生がまともな少年漫画、それもサバイバル物に挑んだ意欲作にして、結果的に異色作となりました。
掲載誌時は何と…
少年マガジン(
講談社刊)。
連載当時のタイトルは
「サブの町」でしたが、立風書房から単行本化されるにあたって改題された結果が
「恐怖!四次元の町」です。
--------
本を開くといきなり、1ページ目から気味の悪い虫の大群に襲われてる少年が出てきますが、このオープニングは凄いです。
その少年は幽霊屋敷のように荒れ果てた家を逃げ回り、両親を探しますが…父親がこんなになってて↓

そのまま溶けて霧になってしまいました。母も同じように霧になり、かと思うと霧で何も見えない外を両親(顔溶けてます)を含む集団がグレゴリアン衣装で行進し、去って行きました。
この支離滅裂さは…やっぱり夢オチ。
やっと目覚めた、夢を見ていた少年は
沢木健太こと
ケン坊。
しかし、現実世界でも本当に家には両親もいないし、外は深い霧の世界で夢の通り。
ちゃんと兄の
沢木武こと
サブというガキ大将は部屋にいるのですが、これは一体どうなっているのでしょうか。
兄弟で霧の世界へ出てみると、やはり不穏な様子の町(
日の本町)には人影がありませんが、サブの同級生が数人見つかります。
まずはとなりのおねえちゃん
花田秀子こと
ピンキー、サブの子分である
大山力也というデカブツ、そしてクラス委員長であり秀才、スキンヘッドに黒縁メガネチビの
坊念万作。
TVも電話も通じないし、どうやらこの五人以外町中の人間が全員消えたらしいという事になって、物知りの坊念がマリー・セレステ号の事件とかを教えてくれるのですが、これについての解説は"四次元研究家"の
佐藤有文先生がしているのだから凄い。
それから五人は人間が消えて野犬がのさばっている不安な町を探索します。
それでも食料品屋やスーパーがいっぱいあるからと安心していたら町中が火事になり、もう絶望的…
そこでまた生き残り発見!!
ピンキーの家の向かいの女の子、チャコちゃんでした。
『ア〜ン パパとママがいないんでちゅ〜〜っ』なんて可愛く泣いてるチャコちゃんですが、この子はずっと『ちゅ〜』言葉を使ってて、最高ですね。
これで揃ったこの六人が、
「恐怖!四次元の町」の主要な仲間達になります。
リーダーシップを取るサブに対して出てくる仲間達の不満で仲間割れ、飢餓、

(↑サブ)
そしてケン坊がはぐれてしまい…
ケン坊は一人でさまよい、でもチビ犬と出会って友達になりますが、何とでかい犬に襲われてあっさりチビ犬は喰われてしまいました!

(↑ケン坊)
とにかく一人で何かから逃げ、走って走って走りぬいた末にたどり着いた地下鉄。
何と電車が走ってきて、両親の姿も認めたというのに、"ひのもとちょう"駅には止まらずに去って行きました。どこか夢の中のような光景です。
ケン坊がネズミの集団に襲われていると、ついにサブ達が助けにきてくれました。
それから皆でこの謎の地下鉄に乗るのです。
秀才の坊念が『この地下鉄には町じゅうから人間がきえた秘密がかくされているような気がします』って言うから、これは核心に迫っているのでしょうか!?
ついに発進して…到着したのが同じひのもとちょう駅だという事実から、彼らは全員ゆがんだ次元の裂け目に落ち込んでいるのだと、坊念は判断します。
それから野犬の集団に襲われている人を助けてみたら、それは同級生の山田くん。
すぐに死ぬ彼の、死ぬ間際の言葉から衝撃の事実を知ります!
何と日の本町ではサブ達六人が行方不明になったと騒がれているとの事で、つまり町の人達が消えたのではなく、サブ達こそが四次元の世界に迷い込んでしまったのだと…
山田くんまでもがいきなり四次元の世界に来てしまったわけですが、彼だけメッセンジャーの役割だけですぐ殺されたのは可哀想ですね。
日野日出志ファンならもうお分かりでしょうが、これは
「胎児異変 わたしの赤ちゃん」収録の短編
「元日の朝」と全く同じ展開だったのですね。
ただし
「元日の朝」のケン一と違って、
「恐怖!四次元の町」では一緒に四次元の世界に来た仲間達がいるのが心強い。
とにかくサブ達は、次元の穴さえ見つければ元の世界に戻れると、逆に希望を持ち始めました。
次元の穴はすぐには見つからないものの、サブがトラックの運転も覚えて遠くの町まで来ると、缶詰等の食料を集めます。
服装もお揃いにして、"日の本町公園"の中にある子供の塔の下を砦にする事に決めました。
お風呂のシーンでは、けっこうボインなピンキーを男四人が覗くのですが、ばれて水をかけられる(既に巨乳はしっかり拝んでますが)というお約束シーンがあって…
坊念の頭脳が役立って、この後の生活計画も出来てきますが、そこへ侵略者の登場です。
銃も持った男達六人(うちアゴしゃくれ五人)との攻防戦があり、その無法者達にやられて屈辱を受けるサブ達。ピンキーは危うく貞操を奪われそうにもなりますが…
そこでサブ達の逆襲が始まり、ピンキーと砦を奪還。
逆の立場になりますが、敵と違って情けを見せ、追い出すだけにとどめました。
しかし追い出された男達はすぐに野犬の群れに襲われて傷だらけで戻ってきて、結局は全員で強力しあってやっと野犬を撃退しました。
そして和解した傷だらけの侵略者達の話を聞くに、彼らの町ではもっと酷い地獄の光景が繰り広げられていて、暴徒に襲われて幼い妹が殺され、亡骸もそのままに逃げてきていたのだそうです。
サブ達だけが四次元の世界に迷い込んじゃったものの、元の世界ではそのままの世界があるはずという坊念の確信と、これはどう結びつければいいのでしょうか?
とにかく彼らと手を組み、そのうちに…ページの都合が来たようで、あっさりと
"次元の穴"が見つかりました。
そのワープ機みたいなのに次々入っていってついに家族の元に帰り、
『苦しい事やつらいことがあっても みんなで力をあわせれば なんとかなる』
とかのメッセージを残してこの
「恐怖!四次元の町」も終了しました。
--------
あまりにも健全な展開に、元々のおどろおどろしい
日野日出志作品が好きな方からは抵抗を覚えるかもしれません。
では一般のマガジン読者に向けてはどうかと言っても、どうしてもかくせない
日野日出志色が一般受けを拒んでしまうでしょう。
そんなわけで
日野先生としては
「太陽伝」に続く長期連載となった
「恐怖!四次元の町」ですが…
いや、私がハッキリ言うのは忍びないのですが、
日野先生本人曰く『失敗作』なわけですよ。
確かにこれを描くにあたって影響受けたと思われる
楳図かずお先生の
「漂流教室」だとか、
小池一夫原作、
平野仁作画の
「少年の町ZF」といった超傑作とは比べようもない完成度なんですけど…
いや、でもこういう話を描くならもっと上手い"普通の"漫画家がいっぱいいるわけですし、
日野日出志先生が
「恐怖!四次元の町」を描いた事によっていろいろ学んだであろう事は想像できますので、やはり漫画史において
「恐怖!四次元の町」(サブの町)自体も重要な作品だと、私は思っているわけです。
みんな!! 弱音をはくのはよそうぜ!!
みんなで力をあわせて行きぬこうって約束したじゃないか・・・・!!
このくらいのことで まけてたまるか!!
どんなことがあったって生きてやる!!
生きて生きて生きぬいてやるんだ〜〜っ!!
- 2008/03/26(水) 23:59:59|
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今夜の
日野日出志作品は、
「怪談雪女 ゆうれいのまんが」(
ひばり書房刊)。

これまで紹介してきた
日野日出志作品と同じくひばり書房からの出版ですが、
"ファミリィブックス"と名づけてキャッチーさをアピールしてまして、サイズも大きくA5版で、背表紙が黒ではなく白!
話もオリジナルではなく
小泉八雲が伝えた怪談を中心に6編を収録しています。
子供向けに作ったような意図が見えるからこそ一つ注意しておきたいのですが、ファミリィブックスという名前にだまされ、そしてこういった民話みたいな怪談なら子供でも大丈夫と判断して我が子に買い与えるのは早計、考え直した方がいいと思います。
亡者の絵とかは、小さい子なら恐くて泣いちゃうでしょう。
表題作、そして超有名怪談の
「雪女」は青を使った2色カラーでしばらく進み、しかも
日野日出志先生の絵の"美しさ"の部分を全面に出している作品ですので子供にも大丈夫でしょうけど…
進んで読んでいくと、次の
「ろくろ首」は扉絵だけで恐すぎますからね。
夜になると胴体を離れて首が飛んでいくろくろ首一家の、闇夜に浮かぶその首!
そいつらは不気味に『ひひひ』と笑いながら、長い舌で虫を捕らえ、コリコリと食べています。
そいつらを退治する坊さんの
回竜ですが、棒で顔を殴打してやっつけますからね。
当然目玉は飛び出し、鮮血は飛び散り…
さぁ次は
「片目のゆうれい滝」。
醜い旅芸人の女に正しい道を教えてあげなかっただけで、呪われて家が滅びる若者も可哀想。
「霧の中の亡者」は、この中では一番
日野日出志色が出ているのではないでしょうか。
とにかく不条理にも亡者に追われる
平太郎が逃げるのですが、この亡者達のビジュアルが恐いですって!!この話は、いつも捕まえてる鳥にも怨念があるとでも言いたいのでしょうか。
あ、次の
「食人鬼」もまさに
日野作品でしたね。
食人鬼が死体を頭からむさぼり喰い…最後に足を『ガリガリ ボリボリ』とかじる描写は、やはり子供にはきついでしょう。
最後に可愛い話で
「雪太郎」ですが、やっときました、私の故郷である越後、つまり新潟県の民話。
日本有数の豪雪地帯、新潟県では長い冬をいろり囲んで過ごしていたために優れた語り手がたくさん生まれ、民話の宝庫となったとよく聞いたものでした。
でもこの
「雪太郎」って、子供のいない長者老夫婦の家に可愛い雪太郎という子供が現れ、冬の間は老夫婦に可愛がられるのですが雪が消えると姿を消す。
また次の年も、そのまた次の年も来るけど、老夫婦がついに死んでしまうと雪太郎も二度と姿を現さなかったという…これだけの話なんですよね。

同じひばり書房のファミリィブックスから、今回の
「怪談雪女 ゆうれいのまんが」と対になるような
「羅生門の妖怪 おばけのまんが」という本も出ているのですが、やはり
日野日出志先生の絵では子供をターゲットにするのは難しいと見たか、二度と
日野先生にファミリィブックス出版の声がかかる事はなかったいうことじゃ・・・・・
- 2008/03/24(月) 23:59:59|
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次なる
日野日出志作品は、
「怪奇!死肉の男」(
ひばり書房刊)です。

この作品を描いた時にはもう80年代も半ばを過ぎてまして、初期ほど絵の迫力が無くなっていますが…
↑のジャケ画、腐って蛆がわいた男とその
「ねじ式」(
つげ義春作品)ポーズはなかなかいいでしょう。
ああ………わたしの体が滅びてゆく!
肉が腐り落ち 骨がぼろぼろに崩れ
魂が霧のように四散してゆく……
ああ………わたしの体が滅びてゆく!こういう独白から始まるこの
「怪奇!死肉の男」。
ある男が異形の海辺を歩いてさまよっています。
ようやく町に出ると、彼を見かけた人達が逃げていき…そこで窓ガラスに映った自分の姿に気付くと、何と顔の肉が腐って崩れ落ちていて、片目は落ちてそこから蛆虫がわいているのです。
前からただよっていた、吐き気をもよおす悪臭も自分自身の物でした…
オチじゃなくて、出だしがいきなり
ラヴクラフトの
「アウトサイダー」のような話なのが嬉しいですね。
男は何もしてませんが住人の通報を受けた警察に捕まり、
『ばなぜ!なぜわだじが げいざづにづかまるのだっ!! ばなじでぐれえ〜〜っ!!』なんて言ってますが…濁点付けられるひらがなに全部付いてるのは、舌が腐乱して分かりにくいからですね。
それから北浜大学の隔離病棟に入れられました。
そこで調べられたところ、心臓は止まってるし脳波も全く発しておらず、しかも全身の肉は長い間水につかって腐乱が進んだと思われる状態で、つまり完ぺきなる水死体であると言うのです。
医学的には死体でも、確かに動いて思考している彼は一体誰なのか、それは自分でも
『ぜんぜい!おじえでぐだざい!! わだじはいっだい どうなっでいるのでじょうが!?
わだじはいっだいだれなんだ!? どうじでごんなごどに………!?』なんて言ってるくらいで、まるで分かってないのです。
防腐剤を全身に注射され、消臭液をスプレーで振りかけられて、さらには電流流されたりといろんな実験をされている男でしたが、腐乱した胃壁が破れて出てきたペンダントに、身元の手がかりが隠されていました。
それは後で分かる事ですが…
とにかく男は開発された人工皮膚をまとって見た目はマシになりますが、腐乱しながら自分が何なのか悩む彼は事故とはいえ助手を殺してまで病院を抜け出し、警官に撃たれて海へ落ちました。
しかし元々死体である男は銃弾でも死なず、図書館で新聞を調べてついに思い出しましたよ!
男の正体は海洋冒険家の
新海洋介さん。
ヨットでたった一人漂流した新海は、両親と妻と子供に会いたいと強く願い、ペンダントを飲み込んで海に沈んでいったのです。
その時の『死にたくない』の一念が奇跡を起こしたのですが、まぁ自然のままに死んだ方が良い事もあるって事です。
家の庭に侵入して最後に家族の姿を見て、大泣きして去り…

人工皮膚を脱ぎ捨てて母なる海に帰って、沈んでいきました。
(↑の絵で、ボロボロと蛆虫を落としながら歩いている事が分かります)
またか、ってくらい他の
日野日出志作品でもこういうラストが多いのですが、この
「怪奇!死肉の男」の場合はちょっと面白くて、その後サイケデリックトランスなイメージ画が続くのです!
深海の生物から過去の進化の過程、そして宇宙…腐った新海の体が宇宙で砕け散り、また何かを生んでいく。
『ああ…… わたしは終わったのではない……!
わたしは今 始まるのだ…………!!』終わり。
- 2008/03/21(金) 00:00:00|
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地を這う虫のごとく…
地を這う虫のごとく
生きているものたちよ
地を這う虫のごとく
捨てられしものたちよ
地を這う虫のごとく
踏み潰されしものたちよ
地を這う虫のごとく
悲しみに耐えているものたちよ
地を這う虫のごとく
息を殺しているものたちよ
やさしい闇の中に帰ろう
音も無く無限の闇の中に
いつか帰って行こう
シンイェ・アンツー作 「闇の詩集」より
--------
今回の
日野日出志作品はこれ↓
「恐怖・地獄少女」(
廣済堂刊)、そして
「呪われた赤ん坊が…」(
ひばり書房刊)。
タイトル違うけどいつも通り…カバーめくれば全くの同内容で、これの場合はひばり書房の方が後でタイトルを変えて再発したのです。
一冊丸々使って醜い少女の悲哀を描かれた傑作でして、そういえばつい数年前に
「地獄少女」というミステリーホラーテレビアニメが人気を博していると聞き、私がTVから遠ざかっている間にいつの間にか
日野作品がアニメ化されていたのかと嬉しく思い、しかも
「地獄少女」を選ぶとはいい趣味の人がいるな〜、なんて思って見てみたら…
こういう↓

似ても似つかない絵柄の、全く関係ない作品でした。これはこれで傑作だったようですけどね。
それでは元祖である、
日野日出志先生の方の
「恐怖・地獄少女」がどんな話か見てみましょう。
雷鳴の夜に、ある双子で女の赤ちゃんが生まれます。
その片方は普通の子でしたが、もう一人は…化け物。まるで悪魔の赤ちゃんでした。
父親が不安を感じ、そして恐がる様が丁寧に描写されています。
この赤ちゃんは生まれた時から目も開いてるし、歯も、いや牙が生えていて『キーキー』と泣いています。
父親は、この世のありとあらゆる物が捨てられ"この世の墓場"と呼ばれる広大なゴミ捨て場に、ビニール袋に入れた赤ちゃんを捨てて、去って行きました。
当然赤ちゃんは死に、次第に腐っていきます…

ここでは夜になると毎晩、まるで怨念のこもった人魂のように不気味な鬼火が現れ、広大な墓場一面を埋め尽くすと、地の底からうめき声が聞こえ始めるのです。
地鳴りのような恨み唄の大合唱の中、鬼火が一箇所に集まって大きな火のかたまりになると…
そこから鋭い電光のような光が走り、死んだ赤ちゃんの体をつらぬき、不思議な事に死肉のかたまりとなった赤ちゃんが動き始めました!
さらに鬼火のかたまりが赤ちゃんをすっぽり包むと、どろどろに腐っていた赤ちゃんの体が元通りになり、まるで母の胎内のような光に包まれたまま、安らかに眠り始めたのでした。

それからの赤ちゃんは、腐った動物の死肉から体液を吸ったり、土から虫やミミズなんかを喰って必死で生きのびていきます。
そして7年が経ち…赤ちゃん、いや地獄少女は墓場の女王に成長しています。
自分の匂いで他の動物が逃げていく事を上手く使った狩りの方法で、生きたままの犬等、ほとんどの動物を捕まえる事ができるようになったのですね。
ある夜、遠くに見える街の灯を目指して進み、初めての人間を見ます。
中でもキレイな服を着て両親に手を引かれる幸せな少女から何かを感じ、ゴミ捨て場に帰るとボロ服を見つけて着て見ます(今までは全裸でした)。
そして割れた鏡に自分を映して、髪の毛までくしで整えて『キキ……キキキ〜〜………!!』と喜ぶのです。
しかし地獄少女は醜い姿ですからね、本人は喜んでいるけど、悲しいシーンです。
その夜初めて、地獄少女に命を与えた鬼火が語りかけてきました(杖を持った老婆みたいなのが鬼火の中に見えます)。
『いまこそあの人間どもに対する復讐のときがきたのじゃ』とか何とかって長々と語られ、そいつの命ずるままに町へ出た地獄少女は…
堂々と人間の前に姿を現しましたが、肉の腐った凄い匂いを発しているし、歩けばその後を蛆虫がポトポトと落ちています。
飼い犬が人に連れられて散歩していたので、地獄少女はいつも通り食料を見つけたと食いついたら飼い主に邪魔されたため、地獄少女は左手を噛みちぎって逃げました。
そして初めて食べる人間の肉は、今まで食べたどんな新鮮な生肉よりもずっと美味しかったようです。
それからは人間も食料、それも極上な食料として認識したようで…
勉強している少年(山口武くん)の部屋に入ってあっという間にガツガツと喰い荒らしました。
その後も次々と人間を襲って空腹を満たし、ついに10人を喰った頃、テレビで地獄少女の似顔絵を見た父親だけが自分の娘だと勘付きます。
何かが地獄少女をある方向に向かわせていますが、その方向には自分の両親と双子のかたわれが住む家があったのです。
忍び込んで眠っている双子の妹を見ると、鬼火のあの声がまた聞こえてきました。
『どうだ! きれいな顔をしているだろう! おまえとくらべてみるがいい…!
おまえはすてられたというのに そいつは幸せにぬくぬくと 育てられているのだ!
おまえもそいつのように 人間として幸せに暮らしたいとは思わぬか?
美しい顔になって 両親にかわいがられて生きたいとは思わぬか?』なんてあおると、さらにその方法は双子の妹の全身の血を吸うことだと言います。
そうすると地獄少女と妹の姿が入れ替わると…
しかし地獄少女は、無心に眠る血肉を分けた存在に生まれて初めての人間らしい感情を目覚めさせられてしまい、血を吸うことなど出来ずにその場で体を震わせて号泣します。
長い間自分が求めていたものを、ついに見つけたのです。
とはいえ醜い地獄少女が両親、そして目覚めた妹にも受け入れられるはずはなく、その後警官の銃弾に倒れました。
鬼火の声には『ばかなやつ』と言われますが、妹を自分と同じ姿にするよりこれで良かったのでしょう。かわいそうで仕方がありませんが…
撃たれた地獄少女は消えていき、最後はあの"この世の墓場"に戻ってきました。
そして鬼火に囲まれた地べたを這いずり、住居に定めていた穴倉へ帰ると、懐かしい闇の中で眠るように息絶えていき…
おわり。
鬼火と、その中にいる存在は何だったのでしょうか。
この世の墓場が生んだ怨念が地獄少女を生き返らせ、彼女を使って人間に復讐を果たすつもりだったようですが…
何年もかけて狙った思惑は失敗したのに、最後に地獄少女をあの闇の中に返してあげて安堵の気持ちを与えて終わらせる優しい心遣いには感謝したい。
妹……! これが自分と血を分けた双子の妹!!
この妹の血を吸えば……自分も人間として幸せになれる………!!
この妹の… 血を吸えば…!!
血を吸えば…!! 血を吸えば…!! 血を…!!
- 2008/03/19(水) 23:59:59|
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地獄よ・・・・・・
地獄よ ぼくの傍に来い
地獄よ ぼくの傍に来て ぼくを包んでおくれ
おまえのその血の匂いが ぼくは死ぬほど好きさ
ああ血の匂い ぼくはおまえに包まれていると
むせ返るような懐かしさと 安らぎを覚えるのさ
さあ今夜もいっしょに 安酒でも飲もうよ
夜が明けるまでの 束の間の暗黒の中でさ
地獄よ 早くぼくの傍に来い
ああ地獄よ ぼくの故郷
ああ地獄よ ぼくの父
ああ地獄よ ぼくの母
ああ地獄よ ぼくの命
ああ地獄よ ・・・・・・
シンイェ・アンツー作 「地獄詩集」より
--------
今回は
日野日出志先生の名作群の中でも、最高傑作の呼び声高い
「ある地獄絵師の告白 地獄変」(
ひばり書房刊)です。

その巻頭を飾るのが、
シンイェ・アンツーの
「地獄詩集」よりの作品。
このシンイェ・アンツーについては
「赤い蛇」紹介の時に少し触れましたが、おそらくは
日野先生の自作自演。
「赤い蛇」の時は
「血の詩集」という作品からとなっていましたね。
「ある地獄絵師の告白 地獄変」はいろんな出版社から出されていますが、この
青林堂版↓

は、カラーイラスト満載でサイズもでかく、もちろん
ガロの青林堂というだけでも嬉しい本。
私はこれが再発された当時に新刊で買っていまして、確か15歳くらいだった当時のBRUCEは痺れちゃったわけです。
子供の頃からこの世で一番恐ろしい漫画を描く人だと思ってた
日野日出志先生ですが、その歳で再会したためにハマってしまい、全著作を集めるべく動き始めたのでした。
あとがきも追加されていますので、貴方も是非、青林堂版も持っておきましょう。青林堂からは、さらに後年にも別ジャケで復刻されています。
最初に書いたように最高傑作と呼ばれる
「ある地獄絵師の告白 地獄変」ですが、やはり超名作短編である
「地獄の子守唄」との類似点が多いのです。
いや、あれをさらに完成形として膨らませ、
日野先生の特徴たるエキスを一冊分まるまるぶち込んだ感じですね。
"自伝的作品"をアピールしていますが、でもこれが自伝って…
青林堂版のあとがきではそれを裏付ける内容を
日野先生自身が書かれていまして、若かった私はまんまと信じましたが。
-----------
それでは「地獄変」のストーリーを追ってみます。
これは血の匂いと その美に魅入られて地獄に落ちた
ある無名絵師の狂気と戦慄に満ちた 恐るべき告白の物語である…………
という言葉から始まるように、"地獄絵"ばかり描いてる絵師の恐ろしい生い立ちからその後までを告白していく形式で進みます。
もちろんこの地獄絵師は
日野日出志先生本人。
この世で一番美しいものは血の色だという絵師は、自らの体を切りきざみ、塩酸を飲んで血ヘドを吐いて大量の血を容器に貯め、それを使って絵を描いているのです。
現在はライフワークともいえる大作を描き始めたところで、それはこの世の終わりを描いた終末地獄変。
その前にまずは、今までどんな地獄絵を描いてきたのかを語ってくれるのですが、それがギロチン刑場、底無しの地獄川、首無し死体の火葬場、死刑囚の墓場…
と、グロテスクながらも美しい、それぞれについての解説をしてくれて、次は肉親を紹介してくれます。
まずは子供達。
狂子と
狂太という姉弟なのですが、姉の狂子は父の血を受け継いで地獄川で腐った猫の首や子犬の死体などを拾ってきては部屋に閉じこもって写生し、その絵を褒める父親(
日野先生)。
いや、こんな事くらいでキチ●ガイを感じていてはこの先持ちませんよ。
そうそう、狂子は
『奇妙な漫画家の本をたくさん集めていて何回も何回も読み直している』のですが、その本のタイトルが…
右から
「恐怖のモンスター」、
「地獄小僧」、
「恐怖列車」、
「まだらの卵」、
「毒虫小僧」、
「わたしの赤ちゃん」、
「幻色の孤島」、
「蔵六の奇病」、
「地獄の子守唄」と、全て
日野日出志作品。
私も既にこのブログで紹介した作品ばかりですね。
弟の狂太は外でばかり遊ぶ活発な性格で、豚の処理場へ忍び込んでは目玉をしこたま盗み、アメ玉かわりにしゃぶったりしていて、やはり
日野先生に可愛がられてペロペロ舐められているのですが、カラスの卵を大量に取ってきた時はヒナを美味しそうに食べてました。
そしてこの二人を生んだ美人の妻は表通りで
"地獄宿"という居酒屋をやっていて、ここの客は墓場から来た首無し死体ばかり。
その客たる首無し死体達は、自分の肉体の一部をおかみに切ってもらい、それを串焼き、からあげ、刺身等にしてもらってつまみにするのです!
しかも食べようとしたら首が無いから当然口が無い。
そこで妻は
『あれあれ それはかわいそう』と、胸と首の間あたりの部分に包丁で切れ目を入れて口を作ってくれるのです。
それも横一文字とか十文字とかで鮮やかに…悪夢の風景です。
小学生時代にこの
「ある地獄絵師の告白 地獄変」と出会った私の親友は、このシ−ンこそがトラウマで今に至るも恐くて読めないと言います。
次は
日野先生の祖父、利根の大蛇丸と異名を取る博徒です。大蛇丸の刺青を背中に背負ってるんです。
彼は賭場のいざこざに巻き込まれ、なます切りにされて殺されるのですが、その腹からはサイコロがドバッと飛び出し、それを自分で喰らって雪の中で息絶える最後。
その妻、つまり
日野先生の祖母は近所の変質者に殺されるのですが、その死に方は正に
「犬神家の一族」における
青沼静馬。
パカッと大股開きで、沼…ではなく肥溜めに埋められて死んでいました。
その息子、つまり
日野先生の父は祖母と同じように背中に刺青を背負ってますが、その図柄は紅蝙蝠。
両親が死んで奉公に出された少年時代の悲劇から、父と同じく博徒へ流れるも一念発起足を洗って一旗あげるつもりで満州に渡り…赤紙で召集されて戦争そして敗戦。
『引きあげる時は そりゃあこの世の生き地獄……!!
その地獄ん中で女房がすっかり狂っちまった…………!!
ふん…!!
因果はめぐる阿修羅の渦だ!!
地獄よ……この世は地獄よ…!!』なんてつぶやいて酒を飲み、少年時代の
日野先生に暴力を振るう。
最後は地獄川にゴミと共に浮くのですが、その時背中の紅蝙蝠が飛び立つのを、確かに見た
日野少年でした。
次はたった一人の弟。
非行少年時代から、祖父、父と同じように刺青を背負う事になる弟ですが、彼は元々は凄く良い子で、父親の虐待や近所の不良からの暴力から兄(
日野先生)をかばって自分が犠牲になったりしていて、しかしそんな時も
日野先生は何も出来ずに自分は黙って見ていたのです。
そんな頼りない兄、動物の死体を持ち込んで部屋で絵ばかりかいて遊んでいた兄に対して、いつも
『兄ちゃんさあ 今にきっと絵描きになれるぜ がんばれよ』と言ってくれてた弟は、後に頭を割られて植物人間になります。
弟をまるで救えずに自閉してただ地獄絵を描いていた兄は自分を責めて頭をかきむしる、そのシーンが今見ると涙無しには読めないのです。
その弟は背中に彫った昇り龍の刺青だけを残してただの肉の塊となり、今も毎晩うめき苦しんでいます…
次は
日野先生の母。
『ぼ……ぼくの母は……狂人だ……!!』てなわけで、いつも実の子である
日野先生に対して『地獄の鬼の子じゃな』とか言って拷問を続けます。

↑こういう絵を見るとSMになぞらえたり、しかも実の母であるから近親相姦的な欲望だとか読む人もいると思いますが、そういうのは嫌な大人です。
単純に、親(大人、絶対者)の暴力はとてつもなく恐ろしいんです。誰も助けてなんてくれない事は私(BRUCE)も身をもって知ってますし。
今は老婆になった母は、
『ここは地獄かえ……!? 地獄じゃ地獄じゃあ〜〜っ!!』とわめいてキチ●ガイぶりに輪をかけてますね。
と、ここまでノスタルジックな悲しみを持ちながら語ってきた本人、よいよ
日野日出志先生自身の話になります。
日野先生は昭和20年の広島を襲ったあのピカドン、地獄の大魔王によって発生した閃光が朝鮮半島を渡ってはるか満州の地に現れ、母を襲ってその母の胎内に宿ったのだそうです。
(
日野先生は本当に幻の満州国生まれだったりするから、全て本当なのかと昔の私は思ったわけです)
母の胎内で血みどろの地獄を見て育った
日野先生は、母乳より死体から流れる血を舐めたがるような赤子でして、それがついに日本に引き上げて、犬等の動物を吊るして生きたまま解体するような少年に成長し(腸を顔に付けて舐めて恍惚に浸ってますね)…
それから
日野先生は本当の父でもある地獄の大魔王の力を持った事を告白します。
恐ろしい顔で大魔王に願いをかけると、本当に自分をいじめた奴らを殺す事ができるようになったのですね。
その様を喜び勇んで地獄絵に描く毎日。自分の力が海外にまでも及ぶことがわかると、次の狙いは…
『この地上すべての核兵器!! そのボタンを押させる事だ!!』として本当の、そして未だかつて誰も見た事がない本物の大地獄絵を実現させたいと願うのですね。
『それこそが このぼくの全身全霊をかたむけた
一世一代のライフワークとなるのだ〜〜〜っ!!』と叫びつつ、それを愛しい家族達にだけは見せたくなくて、自らの手で斧を使って殺していきます。
そして殺される、今まで紹介してきた家族が…
それぞれからくり人形だったり、はりぼて、指人形になっているのですが。
全ては絵師・
日野先生の妄想だけだったという事でしょうか!?
弟なんて豚の死体だし。
こんな狂おしい日に興奮して外に飛び出せば美しい雪景色。
立ちはだかるヘイを初めて投げ斧でぶっ壊せば、血の海とその向こうに人間の口。
海には亡者がうめき、過去の家族達の風景も浮かび上がる。
日野先生は地獄がやってくると言います。
『その日はいつか!! それはもうすでに決めてある!!
今日かもしれない!! 明日かもしれないし!! あるいは………次の瞬間かもしれない!!
それは確実にやってくる!! そしてみんな死ぬ!!
だが…のくは死なない!!
ぼくは地獄の悪鬼だ!!
あの巨大な地獄の大魔王こそ ぼくの本当の父だ!!
だからぼくは死なない!!
だが………
きみは死ぬ!!
あなたも死ぬ! おまえも死ぬ!! きさまも死ぬ!!
貴兄も死ぬ!! 貴女も死ぬ!! てめえも死ぬ!!
そっちも死ぬ!! あっちも死ぬ!!
みんな……!!死ねえ〜〜っ!!』と、斧を読者に向けて投げつけてきて…完。
--------------
こりゃ恐いですって。
「地獄の子守唄」の『君は3日後に死ぬ!』ネタの焼き直しではあるのですが、改良されて完成度が増しているだけに…ますます不安をあおられます。
おどろおどろしいながらも美しさを意識した絵が素晴らしすぎて、名場面も随所に散りばめられている所は特筆すべきでしょう。
私は10代後半くらいの頃、この
「ある地獄絵師の告白 地獄変」を愛するあまりに、若気の至りでカバーしてたんですよ。
当時の絵がこれ一枚だけ残ってました↓

そして
「赤い蛇」と同じく、この
「ある地獄絵師の告白 地獄変」もフランス語版を入手しています。フランス版のタイトルは「PANORAMA DE L'ENFER」。
.jpg)
さらにこちらは英語版で、タイトルは
「PANORAMA OF HELL」。


ジャケ、ヤバイですよね…
しかも海外版なのにサイン本です!

それでは、これを本当にフィクションなんだと信じた私の少年時代を微笑ましく省みつつ、今夜はお別れです。
- 2008/03/16(日) 23:54:21|
- ホラー漫画
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今回は
東京都青梅市へ行ってきました。
目的は、敬愛する
赤塚不二夫先生についてのいろいろを展示した
"青梅赤塚不二夫会館"を訪れる事。
しかし青梅市って、東京都内というのに、なんたる遠さか!少し長めの電車旅になります。
…で、青梅駅に着きましたよ。まずいきなり駅がいい!



しかも電車が来る度に鳴る音が、
「ひみつのアッコちゃん」のメロディじゃないですか!
例えば
手塚治虫先生のアトム生誕の地である高田馬場では
「鉄腕アトム」のメロディを使ってますが…ん?
そもそも青梅と
赤塚不二夫先生って何の関係があるんだっけ。
赤塚先生は満州生まれで新潟県出身だし…
ホームにある立ち食い蕎麦屋がこれ、
"ばそ出ひ想梅青"です。


レトロな店の側面には、映画
「裸の大将」(違う!)の看板。

ここでは天ぷら蕎麦を喰いました。

私は立ち食い蕎麦屋好きで、駅や街で見つけるとすぐに入るし、気に入って通ってる店もあるから週に三回は立ち食い蕎麦を食しているのですが、ここのはレベル高いですよ〜。
室合待も昔ながらの物を再現してますね。出てきたオヤジすらもイイ。

さて、ホームから降りて行きますか。
青梅駅の通路はこんななので、これから行く街に期待できるし、

もちろん、
赤塚不二夫関連の展示もあって興奮もの。



青梅駅を出て、駅前の駅前の目立つ所にある銅像へ走りましたが…こりゃつまらない像!ガッカリ系。

--------
さて街へ出ましょう。
赤塚不二夫先生の絵を使った看板やポスターがたくさんあるだけで、そりゃ来て良かったと実感しますよ。
もちろん、こんなに街のそこかしこで
赤塚絵を見れる街は、今の所日本でここしかないでしょう。






ベシガエルが頻繁に使われてるのは何か嬉しいですが、
赤塚先生が創作したキャラクター達はもっと多彩なんだから、バリエーションも増やして欲しいのココロよ!
そして映画好きにも嬉しい街。



青梅市には最後の映画看板絵師・
久保板観氏が在住しているため、町中に彼の手による名画の映画看板を飾っているのです。






姓は丹下、名は左膳!カッコいいな〜。


マリリン・モンロー ノーリターン
返らぬあの日の薔薇の花♪

そしてそして!
私の愛する
フェデリコ・フェリーニ(Federico Fellini)監督作品の中でも、一番好きなのはシュールな作品ではなくて、この
「道」(La Strada)なのですね。

ここまで見ていれば既にお分かりの通り、青梅市は町おこしとして"昭和レトロ"を強調していまして、
『商店街がまるごと博物館』がうたい文句なのだそうです。
実際に商店や民家まで看板を掲げさせて協力しているのは凄いですね。
散歩して、電話ボックスから電話してみて…




と、街にいるのも良かったのですが、わざわざここまで来た一番の目的は最初に書いた通り"青梅赤塚不二夫会館"を訪れる事でした。
入館料は大人400円なのですが、同じ通りにある
"昭和レトロ商品博物館"と
"昭和幻燈館"も行ける3館共通割引券で700円。

さらに、そこらへんで配ってるこの↓パンフがあると650円になります。

ああ、いよいよ入れるので胸が高鳴ります…




中に入ると、まずはいきなり物販コーナー。オリジナルみやげや、漫画全集も揃えてあります。


このバカボンのパパをくぐると、
赤塚不二夫先生の作品がいっぱい!!


赤塚ファンならずっとわくわくしながら見れるようになっているのですが、漫画作品以上に、
赤塚不二夫先生自身の素敵な人となりに注目した展示品が多くて、そのキャラや交友関係の深さを知る事もできます。
これは
トキワ荘のジオラマ。

この"漫画家梁山泊"たるトキワ荘での有名なエピソードなんかも再現されていて、これは洗面台を風呂にしているシーン。

この後世に残る漫画家達の集団で描きながらも、ついには一人だけ成功する事なく労務者になっていった
森安なおや氏までいた!

「トキワ荘の仲間たち」展としては、その名の通り"新漫画党"を中心としたそれぞれの仲間たちが
赤塚先生に向けて贈った絵と文字のメッセージ。

この人達が何か描いたら、それはそのまま貴重な財産となるわけですが…
藤子不二雄(
藤子不二雄Aの方-安孫子素雄)先生。
つのだじろう先生。
石森章太郎先生。

おおっ、これは珍しい。
鈴木伸一先生。
水野英子先生。

他にも貴重な資料や写真なんかが数多くありましたが、次は二階に上りましょう。
赤塚不二夫先生がトキワ荘時代に、机がないから板を釘で打ちつけて代用(机足は雑誌)していた自作机なんかが再現されていて、

その反対の広間には…あまりにも貴重な、
赤塚先生の名作の原画なんかが展示してあるのです!カラー原稿も多数ありました。
あの作品、この作品、こんな歴史的な物を観れるのはここだけ。嬉しい!
一つ一つに熱い想いを語りたい所ではありますが、しかし撮影禁止だったので写真もないし、このブログではここまでにしましょう。
これだけで満足して涙すら浮かべている私でしたが、3館共通割引券を買った事だし、残りの2館も楽しみますか。
"青梅赤塚不二夫会館"のすぐ隣りにあるのが、次の"昭和レトロ商品博物館"。

ここは喫茶店もやっていて、その名は…
"茶房 となりのレトロ"。

レットロー レートーロー♪
って、スタジオジブリのあのアニメの歌を替え歌してしまいますね。
肝心の昭和レトロ商品博物館ですが、ここは昭和の時代に消費されてきた菓子、飲料、文具等の商品パッケージを集めて一堂に展示している所。
ほう、面白い試みですね。
力道山を街頭TVで観てた人達の時代の"懐かしい"がいくら貴重でも、それは私くらいの世代には響かないわけで…
でもここにはつい最近まであったと思えるのに、今はひっそりと姿を消している物なんかも置いてるから、ここで見るまで存在を忘れていたのも多くてですね…何か胸キュンですよ。
『あったあった、懐かしい〜』って思いながら、でも小学校時代とかの厭な想い出もついでに呼び起こされたり。





メーカーすら貴重な資料、財産になるという考えが無いから、消費された商品を全部なんて保存していないそうですよ。
それは消費者達で守らなくてはなりませんね。今日帰ってからは全てのパッケージ、缶なんかを大事に取っておこう、と思いました。
…まぁここを出たら忘れましたけど。


ん?このホーロー看板は
大村崑のサイン入り!?

2階もあるようですね。しかも"雪おんなの部屋"ですか…

私も
小泉八雲の
「怪談」愛読者ですけどね。
「雪おんな」の舞台が青梅らしいという事でここの2階を丸々使って作っちゃったようですが…ふーん、としかいいようがない作りかな。


さぁ次で3館目になります、"昭和幻燈館"。



さっきの"昭和レトロ商品博物館"の別館で、小さいスペースに
久保板観氏の映画看板や
山本高樹氏のジオラマを展示している所です。

そして館名の元になったのは、もちろん
久世光彦氏による同名の著作ですね。
僕らの怪人二十面相、明智小五郎や少年探偵団なんかに捕まるな〜!


バックの
「禁じられた遊び」看板で、映画を思い出して涙を呼びます。
これはあまりにも敬愛する才能二人が組んだ作品であるため私もポスター持ってますが、
寺山修司映画を
花輪和一先生がイラスト描いた…
「田園に死す」!
-----------
ミュージアム巡りはここまでです。
あとは電車で二駅移動すれば、私の中で大事な小説
「宮本武蔵」を書いた
吉川英治先生の記念館(吉川英治記念館)もあるそうなので、次の機会があれば行きたい所です。
こんなタイミングですが、一応触れておくと青梅市の著名な出身者には
篠原ともえ、
ストロング小林がいます。
少し奥の道に入るとオカルト研究家の
山口敏太郎氏の店を発見!!
その名も
"山口敏太郎の妖怪本舗"ですが、残念ながらお休みでした。

そのまま山の方へ入って行き、しばらく登ると…
"青梅鉄道公園"があります。


入場料100円かかりますが、汽車ポッポや新幹線もあって中にも入れる車両がありますよ!
いや、私は鉄道マニアでも何でもないので、見ても乗っても全然嬉しくないのですが。




蒸気機関車の代名詞的存在である
"デゴイチ"くらいは知ってますよ。あ、それも昔
浅田次郎の
「鉄道員(ぽっぽや)」を読んだからで、形は知らなかったのですけど。



私は小学生か…
次は
「シベリア超特急」ばりに、超特急の(全く動かない)汽車に飛び乗る。

建物内には模型の奴が走ってたり(お金を入れるとどの線か選んで動かせる)、いろんな電車資料があるけど、もちろん素通り。


二階に上って
「ドラえもん」とジャンケンしてる方が私のキャラですね。

汽車、電車、もちろん自動車やバイクもそうですが乗り物全般に対して、私は昔から便利だから使うという以外に何の感情も無かったのです。
いや、どうせならこっち方面のオタクの人達のように楽しめればいいのでしょうけど、分からない…誰か教えてください。



買っておいたパンと生ハム、キュウリでサンドイッチを作って食べてから青梅鉄道公園を去りました。


あとは青梅市には、どういうわけなのか猫モノも多いですね。



はいそんなわけで、なかなか楽しめた青梅市でした。

"昭和レトロ"な街作りを目指していながら、いろいろ欲張って詰め込みすぎて、良く見るとテーマはバラバラすぎです。
赤塚不二夫先生、映画看板、雪おんな、鉄道、猫…
いいじゃないですか、私は微笑ましくて好きですよ。
今度は何年後になるか分かりませんが、やはり青梅赤塚不二夫会館は格別ですので、ここのためにだけでもまた来たいですね。
お祭りの時期にでも来ようかな。
その時まで、青梅市よサバラ!
- 2008/03/14(金) 23:57:31|
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今回の旅は、
東京都中野区…かなり近場です。
中野区といえば
"中野ブロードウェイ"があるわけで、ここはこんなに私が楽しめるショッピングセンターが他にあるわけないと確信している場所であり、毎週必ず行き続けてるわけですが、ここを紹介するとなると労力も半端じゃなくなるし、お店の人にバレて行き辛くなるのが嫌なので、紹介しません。
入口の写真だけ載せておきましょう。
正面と、

裏口。

ではどこへ行ったかというと、中野駅からはけっこう歩かなくてはならない
哲学堂公園です。私(BRUCE)は哲学者ですからね。
中野通りを北へずーっと歩くと…着きました、ここが"哲学堂公園"。

野鳥写真を撮ってる暇な人達もいます。のどかで、自然がいっぱいで、広く…都会生活の疲れを忘れさせてくれますね。

ここは
井上圓了博士が明治時代に土地を購入して作った公園なのですが、最初から"精神修養の場"として開設したそうです。
井上圓了博士は東洋大学の創立者でもあるのですが、東洋大学といえばあの
根本敬先生を輩出した大学でもあります。
昭和50年に中野区立公園となり、古建築物の修復や整備を重ねています。お花もいっぱい咲いてますよ。
哲学堂公園運動場や哲学堂公園弓道場等の施設まであって、かなり広大な敷地ですが入園は無料なのが嬉しいです。
わーい、狸さんだ。

公園なのに哲学だとか精神修養だとかって面倒くさそうな事を言ってますが、頭カラッポな私でも、まぁ普通に都会にあるでかい公園、テーマパークとして便利に使えます。
それでも頑張って哲学に浸りながら歩こうかと目論見ましたが、二日酔いの頭ではやはりきつく、特効薬である"迎え酒"用に買っておいたチューハイを呑みました。
ここに着くまでに何度も嘔吐しながら歩いてきましたので、早く迎え酒する必要があったのです。


公園内の建造物にはどれも名前が付いていまして、哲理門、六賢臺、三學亭、常識門、髑髏庵、無盡藏、宇宙館、絶對城、鬼神窟…
どうです?これが哲学的なのかはよく分かりませんが、カッコいいネーミングセンスじゃないですか。
京極夏彦の小説にでも出てきそうな。
こんな小難しい名前の付いた建物や門それぞれに説明も付いているのです。
まだまだ二日酔いが治らず頭痛くて説明は読んでないのですが。
どんどん歩き…


この哲学者三人の前で、持って行った哲学書を読んでみました。

梶原一騎先生の
「劇画一代」ですが…
日向ぼっこしている猫ちゃん達を触り。

広場("時空岡"というそうです)に塔があるのですが、ここには皆さんご存知の"東洋的六賢人"こと、
聖徳太子、
菅原道真、
荘子、
朱子、
迦毘羅仙、
李小龍が祀られているそうです(あ、最後の一人間違えた)。

ここは"四聖堂"。こちらには哲学の四聖こと、
釈迦、
孔子、
カント、
ソクラテスが祀られています。
ちなみに手前の石パネルの人物が
井上圓了博士。

おっさん達の憩いの場になっている微笑ましい風景。

将棋やってる人が羨ましくて、声かけそうになっちゃいました。
私もやりたいな。最近
つのだじろう先生の
「5五の龍」を読み直したから、強くなったはずだし、ちゃんと
中原誠永世十段のサイン入り将棋盤も持っているのですが…やる相手がいないんです。
そして、ここは名前がいいですよ…"宇宙館"。

これは説明文を読んでみましょう。いわく、
『哲学とは宇宙の真理を研究する学問であって、その講和または講習を開かんがために設けられた講義室である』
ですって。
この宇宙館、屋根の上にはこんなのが!
この付近にある"幽霊梅"。
井上博士が駒込に住んでた時に、幽霊が出たと騒がれた所に生えていた梅の木を、ここに持ってきたのだそうですが…
(跡)と書いてました。この木はレプリカでしょうか。

オリジナル梅の木像も入口にありましたよ。
他も足早に見て回ったあとは、


最後に水の流れる広場。


せっかく公園に来たので体を鍛えたくなり、指立てふせを頑張ってしまいました。


--------
哲学堂公園を出ると、このあたりは同じく中野区ですが
新井薬師ですね。
この周辺は田舎の商店街のようで、初めて来た時から何か懐かしさを感じたものです。
公園出てすぐの"テクノ電子"って、素敵な店名です。帰ったらAphex Twinでも大音量で聴こうかな。

中野駅に向かって商店街を歩いていたら、古本屋発見!
まず外のワゴンコーナーから物色すると、
高森真土(
真樹日佐夫先生の別名…というか本名)の
「カラテ」を発見。

100円か、よし、持ってる本だけど買おうと中に入ろうとしたら…鍵がかかってる!
電気は付いてるし、何も張り紙ないのに…オヤジ、飯にでも行ったか!
やる気ないな〜、結局買えなかったです。中も物色したかった…
大正時代からやってるとかのこちらの古本屋は以前にも行った事がありましたが、店主の態度がダメだったので行きたくない。
嬉しいお店もありまして、この"ぎふ屋"。


駄菓子屋の店内をレトロな漫画やフィギュアで飾り付けて、いい雰囲気を出していました。



何と、店内で'70sあたりの漫画を読ませてくれる駄菓子屋なのです。

漫画好きなら誰でも名前は知ってる名作ばかりでしたが、こういうのは実際に読んだ事ある若者が少ないですからね、是非ここで読んできてください。
上の方の飾りつけは、こう。萌え萌え〜。




何故かクリムゾンの1stまであるのだから、ビックリしました。
バカなステッカー群も。
はい、今回はここまで。
またただの近場への散歩を、無理矢理"旅"と名付けましたが…
『旅は人を賢人にはしないが、ものを思ふにはうってつけの時間だ』
という言葉の通り、そろそろ私もダラダラできて時間に余裕のある旅がしたくなりました。
つげ義春先生の
「貧困旅行記」のように、無目的に…流れるように…
東京で一人暮らししながら、今月の家賃だとか仕事の心配ばかりしてる私には、あの世界が凄く遠いものになってしまった。
- 2008/03/09(日) 23:59:15|
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まだまだ続く
日野日出志作品紹介ですが、今回は
「地獄から来た 恐怖列車」(
ひばり書房刊)です。

今これをアップしようとして気付いたのですが、
「恐怖列車」の単行本が見当たらない!
例によってタイトル違いで再発された
「地獄から来た恐怖列車」の方はあるのに、おかしいなぁ。
二冊並べたかったのですが…というわけで画像も後者しかアップできませんので、私のブログタイトルも
「地獄から来た恐怖列車」で進めさせて頂きます。
この本には三作が収録されていまして、まずは表題作の
「地獄から来た恐怖列車」。
主人公の少年、
秀一は同級生の
ユキちゃん、
ブーちゃんと共に田舎のおじいちゃんちへ遊びに行き、その帰りの東京行き列車で事が起こります。
秀一はトンネルってきらいだと言うのですが、その理由として
『トンネルをぬけたとたん 異次元の世界に行ってしまうような…………
そ……そんな感じがするんだ
トンネルの中には 工事で死んだ人達の霊魂がさまよっているという話だよ…………』なんて言っていたら、事故が起きたらしく一度停電し、また復旧するのですが…
どうやらここで本当に異次元の世界に入ってしまったらしく、近くにいた
黒いコートの男の人がいなくなっていて、代わりにカラスの羽が落ちています。
列車内の乗客はみんな目が怪しく光り、ヨダレをたらしていますよ。
三人は震えながらも何とか東京に着きました。
二人と別れて帰路へついた秀一は、家の中からあの列車で消えた黒いコートの男が出てくるのを目撃し、またカラスの羽が落ちている。
『その時 ぼくの頭の中を ごうごうとものすごい音をたてて 恐怖が走りぬけたのです』と言って、文字通り頭の中を列車が走る描写↓

この後も秀一が恐怖を感じると、同じように頭の中を列車が走ります!
とにかく久しぶりに会えた両親の顔に安心しますが、母親の首元には前はなかったほくろが、父親の首元にはキズがあって…夜中に庭へ死体を埋めている。
(この死体が何だったのかは最後までわかりません…)
両親もあの列車の乗客みたにいなヨダレをたらし顔に豹変し、誰かに言ったら殺すと、わが子である秀一を脅しました。
次の日学校でユキちゃん、ブーちゃんと話をすると、二人とも同じ体験をしていて…
今度はグランドで遊んでたはずの学校の生徒達が、"列車の乗客と同じ顔"になって三人に迫ってきました!
放課後に先生に相談してみると、刑事の兄に保護願いを出すからと席を外します。
しかし全然帰ってこないし、トイレに行ったブーちゃんまでが…いや、帰ってきました。
と思ったら後ろに包丁を刺された状態で、すぐに絶命!
続いて現れたのは"列車の乗客と同じ顔"状態になった先生と、秀一の両親。
捕まったら間違いなく殺されるので、必死で逃げる秀一とユキちゃん。
ビルを、道路を、遊園地を、とにかく逃げて逃げて逃げまくるのですが、途中でユキちゃんも殺されました。
捕まりそうになっても何とか切り抜け、とにかく逃げるのですが、実の両親が
『おのれ秀一! なぶり殺しにしてやる!! はははは…………!!』なんて言ってヨダレたらしながら追ってくるのですから、これは恐い以上に悲しいものがありますよね。
ジェットコースターを勝手に動かして逃げれば線路が壊れてて脱線し、墜落。
逃げようにも足がうまく動かない!しかしマンホールを見つけて逃げ、出たら次は動物園。
大蛇の檻に入り込んでしまい、さらに両親にも追いつかれますが、そこも切り抜けてついに交番へ逃げ込み、しかしここへも両親が警官倒してまで入ってきて…ついに秀一は車へ拉致されました。
その車の運転手は、あの黒いコートの男!
ぐるぐる巻きに縛られて線路に放り込まれた秀一は、ついに列車に轢かれた…
と思ったら、叫びながら病院で覚めました。
近くで見守っていた両親は旅に出る以前の、まともな状態のようです。
どうやら、あの異次元の世界に入るきかけになった列車事故は現実に起きた100人以上が死んだ大惨事だったようで、ユキちゃんとブーちゃんはそこで死んだのだと言います。
とにかく秀一は助かったわけで、退院する日が来ました。
そして家に向かう車に乗りますが、運転手があの黒いコートの男だと気付き、さらには母親の首元にほくろ、父親の首元にキズを発見!!
あの逃走劇は悪夢ではなくて、現実の出来事だったのではないのか!?
走る 走る!! ぼくの頭の中をごう音とともに… 恐怖列車が走りぬける…………!!てなわけで、また例の頭の中を列車が走る描写でこの話は終わります。
またあれです、夢オチだったのかすら分からない、
日野先生お得意の手法。
黒いコートの男の正体だって、普通に死神だったのかとか想像させるだけで、何も分かりません。
必ず落ちてたカラスの羽は?
逃げて、追いつめられての切迫した感じも、あの
「悪魔が町にやってくる 恐怖!!ブタの町」に近いものがありますね。
これは"悪夢の名作"でした。
私は何者かから逃げ続ける悪夢ってよ〜く見るのですが、聞く所によるとこれはかなり定番の夢らしいじゃないですか。
だから同じような夢を見ていて分かる方も多いと思いますが、あれにそっくりな感じを受ける作品なのですよ。
逃げたくても足がうまく動かなくなったりする所も、分かる分かると思いながら緊張感を持って話を追ってしまいます。
夢なんて後で考えたら現実感が無のですが、それも夢を見ている時点では現実と同じ感覚だから恐い。
日野日出志先生は、あの感じをよくも目覚めた状態の現実世界で漫画の中に表現しているなと、恐れ入ってしまいます。
さて二話目ですが、次は
「狂人時代」。
日野先生には珍しいコメディ作品ですが、やっぱりどうしても怪奇の世界ですね。
自分をモデルに実体験をそのまま描いてると宣言する漫画家、つまり
日野先生が、自分ででべそいじって『あふっ いやん ばか あへっ!』とか言ってるし、女のパンティはいてるし…
『そうです!あたしは怪奇と恐怖にとりつかれた大まんが家…………
赤塚不二… いや白土三… じゃない水木しげ でもなし手塚治… じゃなくて…
楳図かず……はちがうし………』
なんて言いながらムレムレの女物パンティを脱いで裸踊り始めながら、こう続けます。
『はたしてその実態は!? 正義と真実の人……!! ウルトラ漫なのだ!! シュワーッチ』と。
この後自分の生い立ちに迫ってから、現在までを語るのですが…絵はちゃんと力入れててカッコいいし、何よりキチ●ガイだし、
「地獄の子守唄」のパラレルワールドとして読んだら面白いかもしれません。
ラスト三作目は、前回紹介した
「地獄小僧」の続編!!
あの地獄小僧は今、地の涯の雪世界にいます。
出稼ぎに行ったまま帰ってこない両親を、死んでまで悪霊となって待っている
雪少女との交流が描かれますが、これは悲劇的な話です。
あの
花水刑事も現れて地獄小僧を捕らえようとしますが、ワナにはまった地獄小僧は片足切断してまで逃げ、また一人で去って行く。
それから雪の世界の巨大な穴に落ちて…
マンホールの闇の底で一人生まれて一人育った地獄小僧は、無限の闇の中で一人死んでいきました。
ここから本当の地獄へ落ち、エンマ大王と対面して千年地獄へ落とされました。
この地獄世界の描写もかなりシュールでいいのですが、地獄小僧はここを逃げ出します。
しかも逃げようとした時に"大王の印"を破ってしまい、無限地獄の亡者どもを地上に逃がしてしまいました。
結局捕まった地獄小僧は、見張りの
地獄犬と共に地上へ戻されますが、亡者どもを残らず退治して再び地獄へ送り返すよう命じられました。
頭には角を付けられ、亡者どもを全部退治するまでそれは取れず、逃げられもしないという事ですね。
手塚治虫先生の
「どろろ」とか、
楳図かずお先生の「猫目小僧」的な、いろんな幽霊や妖怪と戦っていく展開になるのでしょうか!?
おお、なんだか普通の少年漫画っぽくなってきたじゃないですか。
しかし実際の亡者退治までは実現せず、地獄小僧の顔にはっきり
"地獄"の刻印が浮かび上がって…
終わり。
前回も書いたように、さらにこの続きを読みたければA5版の復刻本を入手してください。
ひばり書房の単行本
「地獄小僧」→
「恐怖列車」の巻末、そして描き下ろしと続く内容になってますので。
それでは、おやすみなさい。
あわわ ユキちゃんもブーちゃんも殺された!! ぼくも殺される!! わああ〜っ!!
- 2008/03/06(木) 23:59:15|
- ホラー漫画
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先月はホラー漫画月間として、いろんなホラー漫画の名作をアップしようかなんて考えていましたが…
たった一ヶ月では
日野日出志先生だけ、しかも8作だけで終わってしまいました。
なのでもう月は関係なく、このまましばらく続けようと思います。
次なる作品は
「地獄小僧」(
ひばり書房刊)で、単行本は全1巻です。

これも物凄い傑作でして、とにかく話を追ってみましょう。
いきなり水槽に死体がいっぱい浮かんでる解剖実験室でのグロ描写に始まりますが、ここは"字吾久(じごく)大学病院"。
ここの教授にして細胞遺伝学の世界的権威である天才医師が
円間羅雪(えんまらせつ)。
この円間博士の家は病院の近く、字吾久一丁目の高台にそびえ建つ屋敷(城)で、"字吾久城"と呼ばれている…
といった所が最初のバックグラウンド説明になります。
円間博士には美しい妻と、かわいくて頭の良い息子の
円間大雄がいます。
この息子の名前はもちろん閻魔大王のもじりですが、いい名前ですよね、"えんまだいお"って。
しかしこの大雄、登場して3ページで事故死しますよ!!
頭に何かの破片が入ってしまったために、天才と言われた円間博士にすらもどうする事もできず、墓で悲しみにくれる円間夫妻…
そこで謎の老婆が『ヒヒヒ』とか言いながら登場し、
『坊ちゃんと同じ年頃の子共の首を この牙で切って血を墓にそそぐのじゃ…………!!』と言い、そうすれば大雄が甦るそうなのです。
真に受けて病院から連れて来た子供を殺して、その血をそそぐと…
本当に墓から大雄が甦って出てきました!
しかしその姿は…額の傷から蛆虫がわいて腐りかけ、しかも爪と歯が尖った化物と化しています。
気の毒にも母親は
『はははは 大雄が…… 大雄が……
生き返った 大雄が生き返った!! ははは!!』何て指さしながら叫び、気が狂ってしまいました。
化物となった大雄は、この蘇生法を教えた老婆に噛み付いて血を吸うと、額の傷以外は元通りの姿に戻りました。
これからの大雄は、血を飲まないと化け物に変身してしまうのですね。
この殺人事件で円間博士に目を付けたのは警視庁捜査一課の
花水刑事。アレルギー性鼻炎でクシャミばかりしている男です。
彼が聞き込みに来てるってのに、狂った母は
『ひひひ…… 大雄が生き返った!! 血を飲んで生き返ったよ ひひひ……!!』なんて言ってる始末でして、その顔といい、かなりいい感じです。
ちなみに大雄の化物になった時とは、こんな顔↓

夜な夜な人間の血を求めて殺人を繰り返すようになるのですが、おっと、逃げた女性の近くに立つ電柱に
『漫画見るなら日野日出志!!』なんて張り紙がしてありますね。
しかも土葬も下はずの大雄が復学した時の同級生達に、
『ちゃんと葬式もあったはずだけどな…
よせや それじゃまるで日野日出志の怪奇漫画だぜ……
ほんとやな漫画だよな あれは……』なんて語らせてますよ!
その後も円間博士の必死に努力にもかかわらず大雄の化物変化は治ちません。
大雄が一家皆殺しにし、ガリガリと人を喰らう描写は…ヤバいです!
ついに円間博士、学習塾帰りの優秀そうな子供に目を付けて鎌で首を刈らせて、その子の脳と大雄の脳を入れ替える手術を成功させます。
もちろん記憶は転換させてまして、脳を入れ替えても大雄として動くのですよ。
それが成功してついに安泰の日々が来るかと思いきや…
土蔵で発見された円間家の秘密を記した書物によれば、江戸時代から始まった先祖代々伝わる呪いのせいで円間家は四代目ごとに人狼になる病気が現れるのだそうで。
つまり大雄が交通事故で怪物になるようになったのはただのきっかけにすぎなかったと分かり、いくら手術しても治らない事が判明しました。
その後、大雄は花水刑事に撃たれて字吾久城に逃げ込むと、大雄が殺人犯と知って暴徒と化した民衆が押し寄せてきて火を放ちます。
屋根の上でもみ合う円間博士と大雄…振り払われた円間博士はそこから落下し、目玉飛び出した無残な死体になってしまいました。
続けて大雄も落下してしまい、ついに呪われた円間家の血筋も絶えました。
…しかし、話はこれで終わりません。
怪物になった状態の大雄は、屋根から落ちた時に父と同じく目玉が飛び出していて、それが排水溝に落ちていたのですね。
その目玉は日に日に大きくなり、ついに割れると中から新たな化け物が誕生したのです!!
そして、この怪物こそがタイトルになっている
地獄小僧と呼ばれる者。やっと登場したわけですね。
風貌も大雄が怪物化した時とは少し違い、こんなです↓
目玉から誕生といえば、
水木しげる先生の
「墓場鬼太郎」における目玉おやじを思い出す方も多いかと思いますが、この地獄小僧の場合は目玉が直接生命を持つのではなく、目玉は卵の殻の役割でした。
地獄小僧はマンホールの中で動物の死肉等を食べながら成長し、ついに外の世界に出ました。
流れて行った町では、武者姿の幽霊が殺戮を繰り返しています。
そこで通りがかった旅の僧が、偶然出会った地獄小僧なら幽霊を倒せるかもと言い、両者を戦わせるように仕組むのですが…
そのやり方が酷い、そして原始的なものでして、地獄小僧の唯一の友達である子犬を殺して、
『小僧 見ろ!! その子犬を殺したのはあいつじゃ!!
その子犬のかたきをうつのだ! あいつをやっつけるのだ!!』なんて言ってけしかけるのですよ。
幽霊は倒しますが、また一人ぼっちになった地獄小僧はまた次の町へ流れて行きます…
ここでは、団地の鍵っ子である
新一という少年と出会います。
この新一も孤独で、鳥を捕まえてその首を素手で引きちぎったり、犬を殺した死体を引きずって岩田岩助・岩子さんちの前に放置して面白がったりしてます。
この岩田家に恨みがあるわけでも何でもなく、多分ただの団地の住人なんですよ(しかしひどい名前)。
さらに新一には超能力があって、スプーン曲げに飽きると工事の人の命綱を切って殺したり…まさにキチガイに刃物。
地獄小僧と新一は、その異端の趣味でシンパシーを感じたのか、毎日団地の屋上で異常な遊びを続けます。
硫酸でネズミを溶かして喜んだりしてるのですが、そのうち他の子を殺したりも。
この二人の破局は、ある日新一の宝物である犬や猫の目玉コレクションを、地獄小僧が
『めだ……ま うま…うま…』なんて言ってコリコリ食べちゃった事で起こりました。
二人の戦いは地獄小僧の勝利で終わりましたが、首を刎ねられた新一の血を舐めていると母親が帰ってきて、見つかった地獄小僧はまたもや次の町へ。
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という所で
「地獄小僧」は終了です。
ただしこれは、最初に全1巻と書きましたが、実はこれで完結ではなく、次に紹介する
「地獄から来た 恐怖列車」の巻末に続くという、変則的な収録方法になっています。
そこで完結したのかと思いきや、後に少し大きいA5版で復刻された時に、ラストのオチを描き足されてもいるのですが、またそれは今度。
地獄小僧には 名もなく 親もなく 友もいない…………
マンホールの闇の底で 一人生まれて一人育った 孤独の怪物である…
- 2008/03/02(日) 23:58:23|
- ホラー漫画
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