大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

梶原一騎(34) 中城健 1 「四角いジャングル」 1

今夜は久々の梶原一騎原作作品で、「四角いジャングル」(講談社刊)。
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週刊少年マガジンで1978年から2年ちょっと連載されていた作品で、単行本はオリジナル版のKC(講談社コミックス)で全11巻です。

まず、今回の作画担当は中城健先生。
私のブログではまだ、四人の漫画家のうち一人として参加したオムニバス作品である「劇画ブルース・リー」の時に少しだけ触れただけの方でしたので、改めてご紹介しましょう。

中城健先生は1938年生まれの高知県出身。
他に中城けんたろう中城けん中城建雄…等のペンネームも使い、子供向けから大人向け劇画…それも女が裸にむかれて吊るされ、執拗までに各種リンチ、拷問を受けまくったり、ナチスの残党狩りだとかチャールズ・マンソンみたいなヒッピー等をからめてエグイ描写の連続まで描けてしまう、そして肝心の画力も一級品という実力者。

何と手塚治虫先生、そして「ストップ!にいちゃん」関谷ひさし先生の下でのアシスタントを経て、18歳だかで上梓した「ロボット狂時代」で漫画家デビューしています!

「ウルトラQ」「ミラーマン」「帰ってきたウルトラマン」「帰ってきたウルトラマンとセブン」
そういったヒーロー物のコミカライズ、もちろんオリジナル作品も多数あるのですが、何故今でも有名かといえば、梶原一騎先生とのコンビ作がたくさんあるからでしょうね。
「キックの鬼」以来、「紅の挑戦者(チャレンジャー)」「ザ・レフェリー」「おんなプロレス地獄変 女子レスラー紅子」「ボディガード牙」「正編カラテ地獄変」
そして今夜から紹介する「四角いジャングル」!!

皆が恐れた生前の梶原一騎先生と最も深く交流し、対等の立場で話が出来た稀有な漫画家だったそうなのですが、後にやはり梶原原作で描いた『カラテ地獄変シリーズ』で毎回毎回出てくるエログロ趣味全開の拷問シーン(例えば、硫酸の浣腸!女陰部を糸で吊り上げ!等)の連続をどうしても描けなくなり、
『ああいう殺伐とした絵を描くのが、気が狂いそうなくらい嫌になってしまったんです』
と、郷里に帰って中城家が祖母の代から信仰していた天理教の教会長になったのだとか。
その後も天理教教団の機関誌等で漫画の連載を続けていたそうですが、まぁ中城健先生に関する余談も含めた紹介はここまでにして…
そろそろ作品としての「四角いジャングル」を語りましょう。

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ギャンブル都市ラスベガス 一九七六年。
そこへ皮袋一つ持って上陸した日本人、赤星潮
行方不明の兄の赤星壮介を探しに、ここまで来たのだそうで、空港で声をかけてきたソニーというデブを一日だけガイドに雇い、兄が空手道場を開いたらしいネバダ砂漠近くへ行きますが…

そこで『麻薬をすってはオートバイを暴走させる狂犬どものグループ』に襲われます。
しかし赤星潮は人数も多くバイクで襲ってきた相手を、高度な空中技であっさり撃退しました。
感激したソニーが、
『あの技はブルース・リーの映画そっくり ジャパニーズ・カンフー!! そうだカラテだ!!』
と見抜いた通り、"東心会空手"の達人だったのです!!

回想シーンで東心会空手の総師・東山清玄先生の顔も出ますが、当然この時期の梶原一騎原作作品ですから、モデルは大山倍達総裁。つまり東心会空手のモデルは極真会館か…
「カラテ地獄変」で出てくる"徹心会"大東徹源と同じ顔をしています。

赤星潮と兄・壮介の兄弟は東心会の竜虎とまで呼ばれるようになっていた実力者で、兄はラスベガス部長として渡米していたのに連絡が途絶えていて…
ついに知った事の真相とは、兄の道場がマーシャル・アーツの道場やぶりによって潰されていた事。

マーシャル・アーツとは。
新勢力の格闘技で、最も危険で荒っぽく、ルールはケンカに近い上、ボクシング、タイ式キック、プロレス、柔道、あらゆる格闘技の殺しの要素が取り入れてあるのだそうです!
ここでさらに作者からの補足を引用すれば、
『この新・格闘技が一部で「プロ空手」と訳されていたのはあやまりであって
ただしくはマーシャル(軍隊)の格闘技である そう すなわちスポーツにあらず
軍隊が戦場で殺しあう技なのだ!』

との事ですが…まずここ!

マスコミが未発達で情報の全てを梶原一騎漫画から得て鵜呑みにできた時代と違って、現在の人々が今普通に読んだら、ポカンとするでしょう。
martial arts…まぁ英語が分かる人じゃなくても、かなり多くの方々がこの単語は格闘技の総称であり、外人は柔道や空手もそう呼んでいる事を知っているのではないでしょうか。
かくいう私もリアルタイムではないまでも、少年時代に古本屋で「四角いジャングル」を購入して読んでますので、そのマーシャル・アーツという格闘技が存在したと信じてましたが、いつか敬愛するブルース・リー(BRUCE LEE)が残した肉声でこの単語を頻繁に聞き取れて、どういう事か調べたら、何かおかしいと気付いたのです。
やはり梶原一騎先生がでっちあげた格闘技って事でまとめていいのでしょうかね。
実際に存在した当時の選手は…アメリカ式(?)キックボクシング選手って所でしょうか。

いや、本当は深く考える必要はないのです。
とにかくここでは新格闘技のマーシャル・アーツという恐ろしい格闘界が存在し、日本をも制覇しようとしてると考えてください。
そのマーシャル・アーツのスーパースターにしてライト級チャンピオンとして登場したのが、ベニー・ジェット・ユキーデ!!

ちなみに…『これは事実談であり・・・・この男は実在する!!』
私が動くベニー・ユキーデ(Benny Urquidez)を初めて見たのは既にアクション俳優に転向してからで(ネタバレですが、後に俳優になるのです)、ジャッキー・チェン主演の名作映画「スパルタンX」ですよ!
「サイクロンZ」でもいいので、観た方は思い出してください、あの凄まじく強い白人とジャッキーの決闘を!!
その共演したジャッキーはユキーデを後継者の有力候補と語っていた事もありましたが、私が一番最後に観た彼の映像は「エンター・ザ・イーグル」(Enter the Eagles)。
ずいぶん安易に「燃えよドラゴン」(Enter the Dragon)のタイトルを流用した映画ですが、その主演は…
そう、誰も文句は言えません。その父親はブルース・リー 、すなわちブランドン・リーを兄に持つ、シャノン・リー(Shannon Lee、李香凝)その人なわけですよ!

嗚呼もう、ここまで"李さん一家"の話が出てきたらそちらを熱く語りたい私ですが、話を「四角いジャングル」に戻しまして…
とにかくベニー・ユキーデってのが、前半の主人公(この言い方の意味は後に説明します)である赤星潮の最強のライバルとして扱われます。

赤星潮が、漫画では実物の100倍くらいカッコよく描かれたユキーデの試合は…何と対戦相手が兄の赤星壮介!
行方不明になってた兄は消えたのではなく、復讐を狙ってロッキー山脈の山中にこもり、鬼となって猛特訓にはげんでいたわけです!!
しかし、それでも結果はユキーデの楽勝。それほどの実力差がありました。
(ここまでは同原作・作画者による「紅の挑戦者(チャレンジャー)」にそっくりですね)

それを目の前で見た赤星潮は、東心会空手ではユキーデに勝てないと判断し、東心会を脱退する決意を固めました…
この後の展開が異常すぎる「四角いジャングル」ですが、今夜はここまでです。


これは兄貴の復讐なんて ありふれたケチな動機からじゃない
マーシャル・アーツのすごさに ベニー・ユキーデの天才にホレた!
だから男の命をかけてユキーデたちをたおし その絶頂をきわめたい!!
ネバダ砂漠の夕日・・・・
血の色だ・・・・血の予感がするぜ!



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  1. 2008/09/30(火) 23:24:31|
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月刊漫画ガロ(53) 水木しげる 8 「地獄の水」

東真一郎武良いさむ関谷すすむ猿飛佐一なんでも屋三平
これでピンと来る人は少ないでしょうが、これは全て水木しげる先生が貸本漫画時代に使っていたペンネーム。
本名である武良茂名義の作品くらいは知ってる人も多いでしょうが、こんなに使っているのですね。

で、今夜の水木しげる作品は、貸本デビューした1958年に当時は東真一郎名義で発表した「地獄の水」(小学館刊)です。
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漫画家デビュー作の「ロケットマン」東真一郎名義でしたので、ファンなら聞いた事があるでしょう。
そして、あの神戸児童連続殺傷事件の"少年A(酒鬼薔薇聖斗)"の本名がそのペンネームと全く同じだったと知った時は戦慄しましたが、それはまぁ忘れていいですね。

これまで一生読めないのかもと諦めかけていた「地獄の水」ですが、先月(2008年8月)に復刊版が出まして、しかもカバーを裏返すと貸本時代のオリジナル仕様になっている洒落た作りでして、今後もこうして初期作品の復刻を続けるというからありがたいです。

そりゃ古本コレクターとしてはオリジナル版で欲しいのですが、初期水木しげる作品っていったらもう、その値段の高さたるや…ねぇ!
そして、知ってはいた事ですがデビュー年の作品にして圧倒的な魅力がありますし、当時凄い仕事量だったというのに、後の作品に通じる描きこみを見せてくれたり、怪奇スリラー劇画というのに出てくるユーモアなんか、やはり感激してしまいます。

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それでは「地獄の水」のストーリーを追ってみましょう。

最初の16ページはカラーページで、深夜二時近くの静かな家…
東大教授の北原武史邸ですが、ここの庭に突如出現したのは巨大サイコロ!そしてここで本書のタイトル・地獄の水(ぢごくのみず)がデーンと!!
スペクタルを感じる冒頭のつかみシーンで、既にビックリしました。

この巨大サイコロ、人夫を雇って壊してみるとその中にまたサイコロ、そしてその中にもまたサイコロで続き、ついには人の大きさくらいになったので部屋に入れました。

その中には恐ろしいヒマラヤの"チョコリザの水"が入っていたのですが、別にサイコロだった事は大して重要ではなく、ただの入れ物としての機能しかありませんでした。
あんなにカッコよくオープニングで登場しているのに!

そしてチョコリザから来た、片目が潰れて出っ歯の醜い男が現れて、北原教授をチョコリザの水入りサイコロに投げ入れます。
すると北原教授、巨大ナメクジに目玉が飛び出たような醜い化物に変化。
息子の北原勇もそれが父だとは信じられずに、
『エーイ この怪物め』
なんて言って投げ飛ばしてしまい、すると北原教授は溶解していき…
溶けずに残っているのは、片方の目玉だけでした!!しかも何故かそこに手足があり。

ンン?この姿は…
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そう、誰でも分かりますね!!

何とこれ、「墓場の鬼太郎」が描かれる以前の目玉親父登場シーン。
なので、もちろん鬼太郎シリーズとは関係無いのですよ。
チョコリザの片目出っ歯の男は少し鬼太郎に似てて…老けた鬼太郎といった感じですが、これも気にしなくていいでしょう。

ちなみにこの手の目玉キャラが最初に出たのは「マメ博士の冒険」という作品で、その時は"目玉星の人"としての登場なのですが…
それはさておき、その目玉親父となった北原教授が勇に語った事によって、今までの不思議の理由が分かるのです。

昨年ヒマラヤのチョコリザへ、雪男(イエテイ)の生態を探る探検のため出かけた北原教授らは、ネパールの怪しい門の近くで人間の形をした雪崩に襲われました。
次の日に警告を発してきたのが、あのチョコリザの片目出っ歯で、あの雪崩というのは水神様だったというので、
『神様は水だから 気温によって雪にでも雲にでもなられるさ……勿論なだれにだって……
そして生きもの食べて 大きくもなり小さくもなり 何千年と生きながらえておられるのだ』
と、こんな風に説明します。

そして北原教授が発した言葉が…
『生命をくいつつ生きる水!
生きたみず おそるべき……水人間!!』

でした。

チョコリザの男は完全に神様だと思っているその生命を、北原教授は『水人間』と、あくまで人間とか、せいぜい液体生物と扱う所が日本人っぽくていいですね。
まぁ神にしろ人間にしろ、その存在の概念も面白い…ビックリです。

それから水人間に追われて探検部隊も全滅しましたが、北原教授だけは生き残ったばかりか、水人間を捕らえて研究しようとします。
水人間が住んでる穴に乗り込むと、何と当然液体の水人間は…棺おけの中で『グーグーグー ムニャムニャ』といびきとかかきながら寝ているんですよ!

その水人間を起こしてしまった北原教授でしたが、ねむり薬を液体にふりかけるとまた寝始め、急いで大量の風船を結びつけて無事にカルカッタまで逃げ、それから日本へ船で帰れたわけです。
しかし日本は暖かいから、水人間は水蒸気になって逃げ、怒ったチョコリザの男も日本まで追ってきて…
ここで、話は最初のシーンまできたわけですね。

その後は北原教授が目玉親父になってしまったのは既に書いた通りですが、秘密を聞いた勇が今度はチョコリザの男にしつこく追われるわけです。
これからの水人間の行動、暴れっぷりはかなり面白いのですが割愛しまして…
あ、そうそう。被害者は数千人にものぼる事になるのですが、その中に大スターの青空ひばり、そして警視総監の毛塚秀虫(けずかはげむ)という方がいますよ!!
しかもひばりちゃんのパンツに付いた水を浴びて醜く溶けていってしまうのですが…
まさか手塚治虫に読まれてはいないですよね。

ラストは水人間が一年に一度眠るチョコリザの祭りの日に、勇は自衛隊の爆撃機で石油五十トンをまいてもらいます。
これは油だと水に浮くから浮き上がられても燃えるという頭脳作戦でして、最後まで悪あがきした水人間も燃えてしまいました。

かくして地獄の水として世間を騒がせた水人間事件は終わり、勇は父の墓前で
『お父さん よろこんで下さい
やっと水人間をやっつけました』

そう晴々とした顔で報告して、完。

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いやー最初期作品も追ってみていると、既に今に通じる水木しげる作品の味という物はあって、後に出てくる芽が少しずつ育っているのも分かります。
そりゃ突然変異であんな名作群が出てくるわけないですからね。

ちなみにこの「地獄の水」水木しげるお得意のリメイクで後にも描き直していまして、鬼太郎シリーズの中で水神様として出てきたり、同名の「地獄の水」として短編にもなっています。
そちらとも比べてみると面白いでしょう。


きのどくだが…………
水神様のことをしって いきのこったためしがないのだ
それが何千年来のおきてなのだ



  1. 2008/09/29(月) 23:59:28|
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トキワ荘(21) 石森章太郎 12 「ワイルドキャット」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「ワイルドキャット」(朝日ソノラマ刊)です。
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プレイコミック(秋田書店刊)にて、1968年の創刊号から1年ちょっとの間連載されていた作品で、単行本は全3巻。

超能力を扱った石森章太郎作品といえば、「イナズマン」「ミュータント サブ」「怪人同盟」…それに平井和正原作ですが「幻魔大戦」なんかも有名ですね。


この「ワイルドキャット」は青年向け漫画で、主人公はネネという美人。しかもグラマーな上に頻繁にヌードになってくれます。
初登場シーンからしてオールヌードで嬉しい、そんな彼女がワイルドキャット。
強力な超能力者で、お婆ちゃん、山猫のピコと共に山奥に住んでいました。

そんな彼女を K・K・P(ククル・クク・パロマ)という世界平和を願うスパイ組織の伴代三助というさえないメガネ男が連れ出し、エスパー戦士として働いてもらうのです。
他に主な登場人物としては、ネネのピンチに必ず現れて助けてくれる、同じK・K・Pのエンゼルジョーという色男ががいて、一話完結方式の連作で進みます。

K・K・Pなんて組織が出てきたら、当然敵対する悪の組織もいるわけで…それがK・H(コンドル・ホーク)団
世界征服を企む奴らは、既に世界中から超能力者達を集めてエスパー戦隊を作っているのだそうです。

テレキネシス、タイムトラベル、テレパシー、変身に憑依に催眠術…様々な超能力を楽しみながらテンポよく進みますし、アンドロイドやサイボーグといったSFの定番ももれなく登場します。

元コンドル・ホーク団だったのにネネに負けて仲間になったザンバという土人は何度か出ていたのですが、すぐに出なくなり…
途中から路線変更してノリが軽くなり、ギャグ漫画色が増しました。
K・K・P対K・H団とは関係無い話も増えますし、K・H団の敵が全然怖くない、むしろ情けない奴ばかりになるし。

もちろんお色気を意識するのは忘れていません。
ヒッテン・ブロ-なるK・H団の幹部がネネを捕まえた時は、"SEXマシン"なる変な機械を使うのですが、これは女の子を悦ばせてオルガスムスの絶頂で死ぬ死ぬとなる素晴らしい機械で、笑えました。

お腹の中にいる胎児の超能力者、白痴の超能力者、誰もデートに誘ってくれないからカップルを超能力で焼き殺すようになったブス、スターの荒無土郎(あらんどろん!)、人を操る妖刀…こんなユニークな敵を倒しながら進み、ついに迎えた最終回。

ここで伴代三助とネネが憧れるエンゼルジョーは同一人物で、バカにしていた伴代三助も変身能力を持つエスパーだと判明したのでした。
二人は結ばれメデタシメデタシで終わるのですが、K・H団はどうなったのでしょうか…一話だけで出てきた目の壁絵が実はボスだと分かったのですが。

ストーリー重視のアクションSF漫画ではなくなったので、恋が上手くいけばどうでも良かったのでしょうかね。

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ところでこの最終巻である3巻には、「ワイルドキャット」の終了後さらに6編の別作品が収録されていて、それが…
「Sπ〈エスパイ〉」「宇宙大地震」「マゾー国のサドー王」「わが友インベーダー」「変身」「強引愚マイうえーっ」
といった短編で、これがどれも園山俊二系というか、あの手の"大人向け漫画"を意識したナンセンス漫画ですので、好きな方は是非読んでみてください。


……人間の肉体は精神の"入れ物"に過ぎない
そして"中"にはいくつもの 精神を入れられるんだ
その精神達が一致協力できる肉体が 超能力を発揮できる……!!
肉体は借り物に過ぎないんだよネネ
しかも うつろいやすい……ね!



  1. 2008/09/28(日) 23:47:55|
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トキワ荘(20) 石森章太郎 11 「怪奇ハンター」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「怪奇ハンター」(朝日ソノラマ刊)です。
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滝隼人という18歳の日本人少年が主人公で、彼の職業は何と怪奇ハンター。

彼には探検家だった父親が三つの遺産を残してくれたのですが、それはばくだいな財産、船長帽(キャプテン・ハット)、そして…精神(スピリット)ー心。
冒険を求める心、不思議や謎へのやむにやまれぬ挑戦心…つまり怪奇ハンターとしての心を受け継いでいるのです。
彼らが勇気を持って未知なる世界を探求していく姿を見ていると、単調な私は子供時代に置いてきた冒険心を呼び起こされます。

まずは第1話「100万年の女王」
ジャングルの奥に"100万年の女王"という永遠の生命を持っている女性が住んでいると聞き、それが本当なら人間の生命の秘密の一つが解けると思い、アマゾン川をさかのぼって進みます。

隼人は共を二人連れているのですが、まずは中国人の張々湖で、この名前の通り「サイボーグ009」の006である張々湖と全く同じキャラ。
そしてアフリカ土人の少年で…その名もチビクロサンボ
石森章太郎先生のステレオタイプな人種描写は、いつ見ても素晴らしい。

それから同じく100万年の女王を目指し、しかしその目的は女王の財宝であるドクター・ダルタンの一行と合流し、女王の神殿を目指すのですが…
途中で大蛇に襲われ、恐竜も出てくるし、土人達の王位争奪戦に立会い、そしてついに白いゴリラのような生き物達に崇められている女王と対面しました。

彼女の永遠の命の秘密は、300年ごとに新しい生命に乗り移るというもので、この度はダルタンの娘のアンヌがその体を取られてしまう、というオチ。
隼人らがここへ来たのも、全ては女王にそうするよう仕組まれた事でありました…
それを知って命も助けてもらい、すごすごと帰る怪奇ハンター隼人。第1話からいきなり大冒険ではありますが、隼人の活躍としてはもう一つですね。


そして第2話「電子頭脳の怪奇」
茨城県西海村で、でかくて頭もいい"ネズミ人間"が暴れまわる事件が起こります。
警察の要請を受けてその事件を追うのは、やはり怪奇ハンターの隼人、そして助手に張々湖。

こいつを造り出したのは電子頭脳開発研究所の職員である、小瀬という気の小さい男だと見抜き、問い詰めると…
『…だ だれもおれを相手にしてくれないからだ!ヒ…ヒ…
ず ずいぶん昔のことだけど ある女にデートをもうしこんだことがある……
そしたらその女………こういいやがった!
ネ ネズミさん!こせこせしたネズミさん あんたみたいな人 大きらい!
だ だから…だからぼくはやったんだ!
ぼ ぼくをばかにしている連中をあっといわせてやることがしたかったんだ!』

何て泣き、思えば悲しい奴でした。

ネズミ人間の方も無事に退治して終わり。
「怪奇ハンター」は、続きを匂わせるような所もあったのですが、現実としてこのたった二話だけで終わっているのです。うーん残念。


続いて収録されているのは、別の話で「秘境3千キロ」
長さは「怪奇ハンター」と同じくらいで、内容も似た感じの冒険漫画です。

今度の主人公も日本人の少年探検家で、名はタケル
"世界探検家クラブ"(イギリスのロンドンに本部がある)の会員で、雇われればどんな危険な場所の探検にも参加するのだそうです。

今度の仲間にも006のような中国人がいるのですが、名は張々湖ではなく陳々
そしてマクマザアンという、アフリカ奥地の土人種族で酋長だった勇者。

アメリカの大金持ちのJ・ハプトン氏率いる探検隊に雇われて南アフリカはアマゾン流域、大森林地帯を探検しています。
その目的は、ジャングルの奥深くに入り込んで行方不明になっているハプトン氏の息子を探し出す事。

世界最大の川であるアマゾン川、そしてそこの大ジャングル地帯には未だに人類未踏の場所がたくさんあり…等の説明も長々とあるのですが、確かに不思議や冒険に溢れている地なのでしょうね。
映画「アナコンダ」とか好きな人は、特に読んでもらいたい雰囲気があります。

タケル達はワニや大蛇やイボトカゲ、土人達と戦う苦難の道のりの末、ハプトン氏の息子を見つけました。
彼は土人が恐れるひどい匂いの花を自分のマントに塗りつけて、人喰い木のある部落で神になっていました。
では何故彼はそんな匂いに平気だったかと言えば、生まれつき鼻が悪くて匂いを感じないから、だそうで。

結局彼も死んでしまい、また新しい冒険を目指すタケル達ですが…
飛行機の中で過去の回想に行ったかと思えばまた現在になり、エリック・サムソンという謎の怪しい人物にスカウトされたのを断り、新たなトラブルの臭いがしてきた所で、これも唐突に終わり。
また打ち切りでしょうか!?
そんな無念さが残る冒険漫画二編を収録した「怪奇ハンター」でしたが、あとは読者自身が失われた探検へのロマンを求めて行動せよという事でしょう。


大昔のにんげんは わからないことがたくさんあった
だが それと同時にわからないことの中にはいっていって……
わかろうとする気持…… 冒険の精神をもっていた
それが にんげんの社会を進化させる 大きな活動力となったんだ
タケル!いつまでも冒険する心をわすれるなよ



  1. 2008/09/27(土) 23:04:20|
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旅行・紀行・街(38) 東京杉並区西荻窪 1

今回の旅は杉並区西荻窪・・・通称西荻(にしおぎ)です。
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わりと近所でいい雰囲気だし、古本屋やアンティーク雑貨店も多いのでたまにチェックに行ったり、ラーメン食べにとかでも頻繁に行ってる所。
大資本のビルとかはほとんど無く、マイペースにノンビリと動く街…
この街で高架下を歩くと、そこは大好きな塚本晋也監督の映画「BULLET BALLET/バレット・バレエ」でロケ地として使われているため嬉しさが込み上げてきます。

多分多くの人にとって西荻のシンボル的な物は、まずこの西荻窪駅南口を降りてすぐにある、仲通街に浮いてる…
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ピンクの象さん!
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ピンク・フロイド(Pink Floyd)の「アニマルズ」(Animals)を思い出す人も多いであろう、この飛ぶ象さんですが、持ち主は"JEAN'S SHOP AUCKLAND"のオヤジ。
一年に一度だけ、秋のお祭りの際に地上に降りて街を引っ張り回されます。


そして、この馬(UMA)。
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古本屋に寄ったりしながら、散歩してみました。
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アンティークショップが立ち並ぶあたりにある"天徳湯"
数年前からここで入浴しようと思っているのに、まだ入れてません。

わおっ!ただのクリーニング屋に「まことちゃん」がいます!
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楳図かずおファンなら、クリーニングはここに出さなきゃダメ…ですかね。

"西荻デパート"も好きな場所の一つ。
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喫茶店もいい店が多いので、最近行った店だけ紹介しておきましょう。

まずは"どんぐり舎"
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ここのコーヒーは美味い!店の雰囲気もいいですね~。
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何故かさがみゆき先生の「はつ恋 地獄変」が置いてあります!
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次に"DANTE"
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"物豆奇"(MONOZUKI)。
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この隣りには古書カフェ"ハートランド"があるのですが、写真撮り忘れました。

"COFFEE & EAT INN toki"
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店内は映画、音楽等ポスターがいっぱいで、販売もしています。それもヨーロッパ版とかのレアな各国オリジナルポスターだから…値段は聞けませんでした。
見ての通りジョン・カサベテス(Jhon Cassavetes)映画が多いのですが、これはマスターの趣味なんだと思います。


次はラーメン屋、他の飲食店。

まずは何と言ってもここ、"ラーメン大"
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普通盛りのラーメンでも、無料トッピングの"野菜多め"でこの量ですよ!
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こちらはつけラーメン。
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極太の縮れ麺がンマーイ!!

"麺創房 さくら"
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カツカレーとつけ麺の"西荻キッチン"も大事ですね。
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タイ料理、タイカレーの"ぷあん"
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嗚呼…写真の大きさ間違えた。まぁいいや、どうだって。

これは西荻の目玉とも言える、超有名ステーキ店の"キャロット"
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私は食事のために行列並ぶと虚しくなる人なので、いつも混んでるここには滅多に行きませんが…
たまにタイミング良く並ばずに入れる時は、その味に感激します。

ところで先日は久々に荻窪から西荻まで歩いてみたのですが、青梅街道沿いにユニクロ等が入った店が出来てました。
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モスバーガーで食べました。
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さて、そろそろ夜の部…飲み屋に行きましょう。
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焼き鳥屋が多い西荻の中でも、最も有名店なのが"戒"。この一文字で『エビス』と読みます。
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三店舗あるのかな?暑い夏場はこういう店で食べる気がしないものですが、そろそろ涼しくなってきたので、また行ってみようかな。

"天下一 焼きとん 焼き鳥 なぎ屋"
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ホルモン・焼肉なら"縁"
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美味いですよ~。壷漬け肉各種がオススメです。
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ここの通りは元々赤線だったという話ですが、なるほどそんな作りの家屋も残ってます。
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私が好きなタイ料理の店が向かい合って二店舗あるのですが、それが"ハンサム食堂"
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二階席から、通りを見下ろす。やはり夜の方が風情があります。
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汗かきながら、もっと辛い物を求める私。
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同じ通りにあるこの"ボーダー"って所、やはり狩撫麻礼原作、たなか亜希夫作画の「迷走王 ボーダー」から頂いた名前でしょうか。
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この通りの感じとあまりにもピッタリなので…でも本当に蜂須賀、久保田、木村の生活を地で行ってる人がやっているのだとしたら、あまりにも悲しい。ああ、月光荘の便所部屋…

"ほうぼう屋"は何と、ブルース居酒屋!
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ブルース・リーの映像を観、怪鳥音を聴きながら酒と食事…ってのはもちろん嘘で、音楽の方のブルース(Blues)でした。
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店のママがブルース歌手でもあり、店内で定期的にライブもやっているそうですよ。

次は"ザリガニ基地"
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店名につられて入ってはみましたが、料理がガッカリ系で…一杯だけで出ちゃいました(すみません)。
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中華料理の"仁"
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西荻と言えば後は何でしょう。
たま石川浩司…通称たまのランニング氏がプロデュースする"ニヒル牛"
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ここと、もう一店舗あります。

そして、私もボクサーの中では最も尊敬する人かもしれません、カエル飛びの…そして炎の男、輪島功一様の"輪島功一スポーツジム"もあります。
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他にカウンターカルチャーの砦などと呼ばれる"ほびっと村"だとか、紹介しきれなかった有名スポットはまだまだあるのですが…
最後はここ、桃井四丁目で今回の西荻紹介は終わりにしましょう。
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桃井四丁目…そう、みうらじゅん読者なら度々目にした地名だと思うのですが、彼が住んでたボロアパートのあった地名。
つまり、熱狂的なみうらじゅんファンにとっては聖地巡礼。
しかし今著作を確認してみたら…確かに住所は桃井四丁目ですが、バス停だと日産自動車前が最寄りだったようです。失礼しました~。


  1. 2008/09/26(金) 23:56:20|
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ホラー漫画(23) いばら美喜 1 「化け猫少女」

今夜はいばら美喜先生。

昔の恐怖、怪奇漫画好きにはとてつもなく高い評価をされている大御所でありながら、現行の週刊誌とかだけチェックしている方々には全く知られていない…
つまり一般とマニアで知名度が著しく違ってるわけですが、まぁ何が言いたいかというと、一部の好事家からは絶大な人気を持っている方だという事です。

そのいばら美喜先生は1929年生まれの茨城県出身で、戦後美大進学のために上京しながらも金銭的な問題で中退し、上野で街頭似顔絵を描いて稼ぎながらもホームレス生活をしていたそうです。
その後、貸本漫画ブームに乗って「菊之助格子」で漫画家デビューを果たし、また貸本漫画界の衰退によって一時姿を消し…そうそう、いばら美喜先生は放浪癖がある事でも知られる方ですので、姿をくらましているため定期的に作品を描いてない時期があります。

私が子供の頃は、まだ描き下ろし単行本でホラー漫画を発表していたはずなのですが、最終作がいつのどれなのかも分かりません。
分かっているのは、もう漫画界には戻ってこない事…
亡くなったとの噂を聞いた事がありますが確かじゃないし、まだ生きていて作品も描いてたとしても、もはや今の漫画界ではこんな凄まじい作品の発表場所は無いでしょうから。

一時期唐沢俊一先生が「カルトホラー漫画秘宝館」(文芸春秋刊)等の出版で貸本漫画作品の復刻作業を頑張って進めていまして、いばら美喜作品もいくつかは簡単に読めるようになりました。

ちなみに、水木しげる先生の「コミック昭和史」(講談社刊)にて、いばら美喜先生がモデルと思われる「イバラ道」という漫画家が登場します。
その時の会話が
『あっ「イバラ道」さん まだ生きてたんですか』
『ほんとおたがいに…… マンガで生きているのは奇跡みたいなことです』
『ホント』

ですから、水木しげる先生の有名な貧乏話と同様に苦労された事でしょう。しかも水木先生のようにその後の成功を得ることも出来なかったのだから…涙。

いばら美喜先生の有名作としては、「悪魔の招待状」「死神が来る!」「恐怖の修学旅行」あたりが挙げられると思うのですが、短編で完成度、魅力共にヤバすぎる作品が多いですね。
切り刻まれる人体、チリになって飛んでいく人体…そして奇抜なアイデア、唐突であまりにも救われないラスト!

細かく紹介したいいばら美喜作品はいくつもありますが、まずは…やはり貸本漫画時代の作品から選んで「化け猫少女」(ひばり書房刊)。
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これは1980年代にもひばり書房から復刊されているので、入手もわりと容易なはずです。


東京の聖華学院一年の志村洋二は、クラスメイトであり卓球部でも一緒の瀬川恵子を訪ねて田舎町の笹倉へ訪ねてきました。
恵子は六ヶ月前から休学していて、聞けば脳髄が萎縮してしまうという恐ろしい病気で、健康に見えてある日突然ポックリと死んでしまう恐れがあるのだそうです。

そのため恵子の母親は、この笹倉に昔から"お霊憑き"という祈祷があってどんな病気でも治すという噂を信じ、恵子を連れて来ていたのですが…
このお霊憑を研究している祈禱師の婆さんを訪ねます。この人は180歳で、しかもかつて3度ほど死んでいるのに、その度にお霊の力で生き返ったのだとか。

洋二は恵子に会う前に弁当を黒猫のお霊に盗まれ、寝転んでたら偶然母子らしき二人を見かけるのですが…そこがとにかくインパクトのあるシーンでした。
『このお花 あたし大好きなのよ お母さん ホラ!こんなに』
『きれいなお花ね 広美ちゃん』

という会話が聞こえてきたので洋二がそちらを見ると、何とお花を持って母の元へ走る広美は…少女の服装の老婆なのです!!

この少女の服装をした婆さんが後で分かる事によると、祈禱師の婆さんと体が入れ替わった中学三年生のさゆり
あれ、最初は広美って名前でしたが…途中からさゆりになっているのは単なる間違いだと思います。とにかくこれ以降はさゆり。いばら美喜作品で細かい事は気にしちゃ進めません。

180歳の祈禱師婆さんの祈祷というのがまず驚きなのですが、大口あけて娘に接吻…いや、アゴから鼻までくわえこんでいまして、すると婆さんは娘の若さを吸い込んで若返るってわけなのです。
しかし午前一時から二十分間だけはさゆりと婆さんの姿が戻る事を発見した父親が、その時間を狙って斧で婆さんを殺しました!

しかし息絶えた婆さんの傷口を黒猫のお霊が舐め、さゆりの母親を舐めると…次の日には婆さんの傷を負った母親が死んでいて、婆さんは生き返るのです。
つまり、黒猫のお霊はどんな怪我や病気でも、他の人に移してしまうのです。ご丁寧にも殺人に使った道具までそのまま移りますよ。
婆さんも生き返って、また婆さんの姿になったさゆりを殺してしまった父親は、気が狂ってしまいました。

この一連の騒動を見ていて祈禱師婆さんの恐ろしさを理解した洋二でしたが、それでも肝心の恵子を助けてもらうために…婆さんが閉じ込められた土蔵から出してやります。
恵子の不治の病を健康な誰かに移してもらうために。代わりに移された誰かが恵子の病気で死ぬと知りながら!

倒れた恵子を婆さんの所に連れて行くと、
『死んでもらうんだよ 死人を生きかえらせる方がかんたんで失敗が少ない』
と、座布団を顔に押し付けて恵子を殺してしまう婆さん。
それから、例によって黒猫のお霊が死んだ恵子を舐め、
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この病気と死を移すのは、前にゴルフ場で会っていた性格の悪い女にする事にしました。

そしてまんまと成功するのですが…ゴルフ場で父親が倒れた娘に駆け寄って名を呼ぶので判明した、恵子の代わりに死んだ女の名前が何と広美!
いばら美喜先生、完全に人名がごちゃ混ぜになっています。そして編集者も気付いてないのか…

生き返った上に健康体になって復活した恵子を確認した洋二は、この秘密を守るために寝ていた祈禱師婆さんを包丁で刺し殺すのですが…って、何て汚い主人公でしょうかね。
それを見ていた黒猫のお霊が、傷をせっかく生き返った恵子に移し、結局は恵子も死んで、ヤケになった洋二は再び婆さんを刺して二人とも崖から転落して死亡。
またも黒猫のお霊が、婆さんの方だけ生き返らせるべく代わりの生命を求めて走り、あわれ通りかかった恵子の母親が代わりに死んでしまうのです。

ゴルフ場で広美を殺された父親が、娘の仇である黒猫のお霊をゴルフクラブで叩き殺し、それによって神通力も消滅した婆さんは…
ここからのラストシーンが見物なのですが、若くなっていた姿からみるみる老けていき、ぞろーっと髪の毛が全部抜け、グラリと倒れるといつの間にか肉や皮も削げ落ちている頭蓋骨がポロッと取れ、ころん ころん ころん ころんと転がって…コツンと石に当たり、かぱっと真ん中から割れて、"完"の文字。

いい味出しすぎの描き文字の効果も含めて、素晴らしく脱力するラスト3ページ…
そして主人公からサブキャラまで、無意味に全部殺しての唐突な終わりは正にいばら美喜先生の美学!
この後のいばら美喜作品もどんどん読んでいくと分かる共通の救われなさはやみつきになり、一般的なヒット作に見える嘘っぱちのハッピーエンドなんてぶっ飛ばしてくれると同時に、人生に意味だとか価値なんてないと悟らせてもくれる、ある種の哲学書なんであります。ハイ、終わり。


ああ お霊……お霊がいないとわたしゃ生きてゆけないんだよ

  1. 2008/09/25(木) 23:59:59|
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今井一志先生のサイン色紙公開

今夜は、今井一志先生から頂いたサイン色紙の話をしましょう。
まずは現物を見てもらえばいいのですが…コレです!!
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カッコいい…

この今井一志先生。
こんなブログやってる私の所においても特にマニアックな漫画家かもしれませんが、この方は一部の漫画ファンの間で一時期もてはやされたというのに、ある時を境に忽然と漫画の世界から姿を消した伝説の人なのです。

特に月刊アフタヌーン(講談社刊)を好きな人の間では、「西瓜と石榴」「哭くけもの」といった読切漫画で印象が残っているはずですが…
漫画家育成のため、雑誌創刊時より主催していた"四季賞"では1999年に佳作入選し、2001年でついに大賞を受賞し、その作品の質からも未来の手塚治虫先生か藤子不二雄先生か、いや大友克洋先生だろうなんて日本中で騒がれたものでした。

それなのに、何故漫画界から姿を消したのか…
聞こえてくる噂と言えば、現在の今井一志先生は片眉剃って清澄山に篭り、天狗さま扱いされているとか、沖縄で米兵を懲らしめてるだとか、他にも眉唾物の話ばかりだったのがますます興味を引き立てられ、私は自分が率いる影の軍団を使って徹底的に調べたわけです。

そしたら数年に渡る調査結果の末、ついに現在の今井一志先生を発見しました。

それから突撃インタビューしまして…そのあまりにもミステリアスな内容、それに今井先生の現在の活動や漫画界から一時身を引いた理由なんかは、ここで語るわけにはいかないのが残念なのですが…
とにかくまだ完全にペンを折ったわけではなく、また今井一志作品が日の目を見る日が来るかもしれないとの事で、その希望を胸にもうちょっと生きていこうと思った私でした。


  1. 2008/09/24(水) 23:45:58|
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週刊少年ジャンプ(46) 巻来功士 5 「ゴッドサイダー」 4

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


今回で「ゴッドサイダー」の紹介は終わります。
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魔神パズスと共に姿を消したゴッドサイダーたち。
一応は霊気たち(十天闘神)以外にも仲間はいるはずなのですが、多分パズス教団のゴッドサイダー狩りで全滅してしまったんでしょう。
その後の世界はサタン以下デビルサイダーが支配する暗黒の世の中で、人々は自暴自棄になって暴れたり悪魔に魂を売ったりしています。
まあ文字通り神も仏もない世の中になってしまったのだから、無理もないことでしょう。

唯一生き残ったゴッドサイダーが、マリガンとジェミニーの息子・トミー。巻来功士作品には珍しいガキキャラです。
こういうガキキャラといい、彼が探す「五大元素短剣」(ファイブアトミックソード)という当時流行ったファミコンRPGを思わせるアイテム集めの要素といい、少年読者へのサービスを意識していた節を感じます。

このトミーはまだ弱いのですが、肉体を失った霊気たちがオーラとなって守っています。
その霊気が満を持して復活するのは、日本。デビルサイダーが支配する「北斗の拳」のような世界になっていますが、人々が神に頼らず自ら悪魔と闘おうとする時……突如、雲の上に浮かび上がった巨大な天使の影と共に降臨!
復活した霊気はもはや最強モードになっており、言動もケンシロウのようなハードなキャラに。
阿太羅やマリガンらが苦戦する関東地区総督ボトクをも、圧倒的な強さで倒してしまいます。

「勇気あるこの子らのため…
 人間のため…
 ボトクきさまを無(ゼロ)に帰す!!」


以後バハムート男爵戦、再登場のラスネール伯爵戦を通じて定着していく、「ゴッドサイダー」初の熱い決め台詞がここに登場!
「メタルK」でも主人公の慶子ちゃんが決め台詞を使っていましたが、時代劇やヒーロー活劇でお馴染みの、日本人の琴線に触れる「パターンの美学」ですね。

霊気、阿太羅、法粛、マリガンは五大元素短剣の一つ「命」(みこと)を手に入れるために、今は魔界となった富士山へ。
その霊気に、子供たちは大切にしている思い思いの宝物(チャチな人形・神社のお守り袋・「トラコンクエスト」と書かれたファミコンソフト)を手渡します。

「ああ 必ず奴らを根だやしにしてやる
 おまえたちの心に誓って!!」


と、決意のガッツポーズを大ゴマで決める霊気。
ファミコンソフトを握りしめながら。

魔界富士で「命」を守る魔界の副王ルキフグスと対決する霊気たちですが……いざ決戦という時に、別行動をしていた流璃子らが他の三本のソードと共に登場。

え、もう五本のうち四本も揃っちゃうの!?

この時点でジャンプの厳しい生存競争の下、「ゴッドサイダー」をハラハラしながら追いかけてきた読者の脳裏には、「打ち切り」の四文字が浮かんだものと思われます。
しかし連載はここからまだ続いたので、どうやらそれは杞憂だったようです……単に、巻来先生が描くのめんどくさくなったのかな?

このルキフグス戦では、このところ影の薄かったマリガンが突然ハッスル。
久しぶりに必殺技「ジーザス・クラッシュ・ショルダー」(しかしこの名前、キリスト教圏の外人が見たら大爆笑するのでしょうね)なども見せるのですが……もちろん、この突然の大活躍は死亡フラグですね。
死刑執行の前日、死刑囚に振るまわれるという天丼とかウナ重みたいなものです。
家族を守り、天に召されるマリガン。結果的に味方で唯一の死亡退場キャラとなりました。

マリガンを失い、激闘の末ルキフグスを倒した霊気たちですが、その前に残りの一本「覇王」の持ち主が浮上します。
それはなんと、サタンの義弟アスタロト大公爵。そしてここで登場する物語全体のキーポイントとなるキャラが、その双子の弟・サルガタナスです。
このサルガタナス、身体の半分が異次元宇宙に繋がっている(ちんこの部分も)という想像を絶したトンデモキャラで、ここで「超高次元の魔神」という今まで登場しなかった新たな存在が明らかにされます。

そう、それこそがこの物語の真の悪役
ゴッドサイダーとデビルサイダーはその真の敵によって作られ、争いを演じさせられていただけだったのです。
その敵の正体とは……なんと、万物を崩壊へと導く大宇宙の意志そのもの!
つまり、あらゆる物質・生命は誕生の時点から死(崩壊)に向かっているというエントロピー増大の法則の権化、ということですね。8マンやウルフガイシリーズでお馴染みの、平井和正のSF小説「幻魔大戦」で描かれる幻魔という存在と似ています。
ただし一人称が「ワシ」だったり、「このチンピラどもが!!」などと下品なセリフを吐いたりと、大宇宙の意志にしてはやたら人間くさいのですが……まあそこは、どこまで行っても巻来功士テイストなのでしょう。

そんな、今までの展開を全部ぶっちぎってハードSFのような展開に突入していく「ゴッドサイダー」ですが……。

「そうだ…
 オレはみんなの愛情によってすくわれた…
 タツ坊…レンコン…行仁様…そして流璃子…」


なんとここにきてタツ坊とレンコン

ずっと一緒だった阿太羅とか死んだマリガンとか、死闘を潜り抜けてきた仲間たちを差し置いて、初期にちょこっと出てきただけのザコガキの名前を挙げる霊気。アルツハイマーで昔のことしか思い出せないお爺さんみたいだよ!
最後にきて超重要キャラに昇格してしまうタツ坊とレンコン……。
ある意味、「ゴッドサイダー」最大級のサプライズと言えましょう。

そしてついに迎えた最終回。地球の文明は滅亡するも、霊気たちの最後の奮闘で人類はかろうじて生き残ります。
創世記の時代に戻った人類は、伝説の神々として霊気たちの存在を語り継いでいく……と、美しくも壮大なラストで「ゴッドサイダー」は完結します。

この作品のヒットで男を上げた巻来先生は、意気揚々と次回作「ザ・グリーンアイズ」の連載を始めますが、見事に打ち切られ少年ジャンプからは姿を消しました。
しかし青年誌のスーパージャンプに活動の場を移してからは、「ミキストリ~太陽の死神~」「迷宮魔術団」「ヘルバスター」など、コンスタントにSFテイストとエログロ・スプラッター・バイオレンスな持ち味を生かした作品を描かれています。
「ゴッドサイダー」の続編に関しても、戦国時代が舞台の外伝「鬼哭忍伝霊牙」や、コミックバンチで最近完結した「ゴッドサイダーセカンド」が存在します。

漫画史の中で、その評価や立ち位置が微妙な感のある巻来先生。個人的には、そのテイストはもっと語られてもいいと思います。
お付き合いありがとうございました。ではまた、次の作品紹介でお会いしましょう。


ふたりのこの力があるかぎり…
この力が満ち満ちた世界であるかぎり…
けっして何びとであろうと
この世界はこわせはしない…

この力…
愛の力があるかぎり…



奈落ハジメ(ならく・-) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/09/23(火) 23:23:23|
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トキワ荘(19) 石森章太郎 10 「闇の風」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「闇の風」(朝日ソノラマ刊)です。
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週刊少年サンデー(小学館刊)で1969年に連載していた作品で、単行本は全2巻になります。

石森章太郎先生の歴史の中でも、私が好きな時代に描かれた作品で、この時の絵柄は本当に素晴らしいです…

さて「闇の風」ですが、これは石森先生が好んで描いていたジャンルでもある、忍者漫画の一つ。
冒頭シーンで"白滝城"から出てきた若殿様の鷹丸が、じいの熊笹吉右衛門と馬で飛び出し、山で元気な姿を見せて…この鷹丸が主人公かと思いきや、いきなり飛んできた矢によって頭を貫かれました!

そしてあっという間に絶命した鷹丸の死体をじいに届けた男は、鷹丸そっくりの顔をしてました。
それを見たじいの一計で、男に鷹丸のふりをしてもらう事にするのですが…
もちろん他人でそんなそっくりな人間がいるわけはなく、その男は十数年前に生まれた双子の弟、鷲丸でした。
その鷲丸が主人公だったのですが、彼の忍者仲間達も魅力的で、ねえちゃんの、そして大岩小岩というのがいます。

襲ってくる敵を撃退し続ける鷲丸ですが、剣の達人な上に不思議な忍術も良く、忍術に関しては白土三平作品並に解説が入ったりもして、ありがたいです。私も真似してやってみよっと。
必殺技の"飛鳥剣"もカッコいいですね。

鷲丸は鷹丸の嫁さん候補で若葉城から来ている奈美姫にも入れ替わっている事がバレずにすみましたが、城内にいるらしい鷹丸殺しの下手人で黒幕の正体は分からず、次々と敵も襲ってきます。

派手に人の手や首、血しぶきが飛ぶこの「闇の風」ですが、石森章太郎先生お得意の、決めシーンの静止画がやはり美しい。

江戸へ向かう鷲丸を付けねらう死面という浪人が登場しますが、こいつの"鬼火殺法、冥土送り"は強く、何と鷲丸の子供の頃からの忍者仲間である小岩がバラバラに斬られて死にました!
『ヒヒ……ヒ 鬼火殺法、冥土送りは慈悲深い剣よのう。
手足をなくしての、冥土の暗闇道は、歩きにくかろうから……
せめて鬼火で照らしてやるのよ。 ヒヒ…フ、フフフ。』

ですって。こいつが全編通して最強の敵となります。

不思議な術を使う"三猿"、そして死面が率いる"土蜘蛛七人衆"も壮絶な闘いの末に倒し、残る死面と鷲丸の対決。
術を使わず、真剣で決着を付けることにしたその勝負は、一瞬の斬りあいで勝負は付き、もちろん鷲丸が勝ったのですが…この後が見物です!

何と、醜い死面の顔がパカッと二つに割れて、中から出てきたのは美しい奈美姫の顔!!
いや、それはないだろう!!と突っ込みを入れた読者は多いと思いますが…こりゃトンデモナイ。
確かに鷲丸と奈美姫のデートシーンで、複線だったと思える描写はあるのですけどね。

奈美姫は若葉城を存続させるためには白滝城と鷲丸を殺さなければならなかったと言い残して死にました。
これでバックにはさらに巨大な力を持った黒幕がいる事が判明しますが、
『たとえ、そいつがどんなヤツだろうと……
どんなに大きな力を持っていようと……
まけやしないぞ!!
死んでも…つむじ風になってでも、その闇の黒幕を吹きとばしてみせるぞ!!』

と、富士山を見ながら決意表明する鷲丸の姿で、終わり。
物語は多少半端な形で終わってしまいましたが、面白くて一気に読んでしまう名作でした。


さらにこの「闇の風」、二巻の途中で話が終わり、他の短編が三編収録されています。

まず「ねらえ!三郎太」という鯨のもりうちを目指し、父親を殺した白クジラを倒す夢を持つ三郎太少年が主人公で、日本人には大事な鯨食文化を見直すためにもいい作品。

次が「SF・サブとイチ」で、もちろんこれは石森章太郎先生の代表作の一つでもある「佐武と市捕物控」の番外編で、何と盲の市が宇宙からの偵察員を斬りつけて、地球侵略を諦めさせるという…時代劇とSFが融合した作品。

最後に「キャプテン・サブ」という海賊漫画で終わります。


おれは……おれを殺そうとしたやつは、その前に殺す、そして殺した!!
ただそのためにだけ、殺した!!
おれの…… …おやじや兄きを殺されたのを、うらんで殺したのじゃない!!
ましてや、城のため……城をねらうやつを、心の底から、にくんでいるわけでもない!!
むしろ………城なんか、どうでもいいと思っているくらいだ!!
それなのに………
おれはこうして、城のために江戸への旅にでている。
なぜだ!?



  1. 2008/09/22(月) 23:33:27|
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トキワ荘(18) 石森章太郎 9 「幽霊船」

今夜は石森章太郎先生の初期長編「幽霊船」(KODAMA PRESS刊)です。
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これは10数年前、私が石森章太郎作品を集め始めてすぐに入手した作品なので、個人的な思い入れもあります。

昭和32年から描き始めた古い作品な上に、当時は読者ターゲットは小学校の少年しかいないわけで、多少クラシックすぎてきつい部分もあるものの、やはり石森先生の実力は絵でも構成でも発揮されていて、なかなかの力作です。

いきなりタイトルの黒い幽霊船が現れるのですが、その登場の仕方がカッコいい!
そしてある悪者に届いた、
『私は約束どおり かえってきたぞ 幽霊船にのってな 嵐山大作』
のメッセージ。
嵐山大作というのは、十年以上も前に財産を狙われて銃で撃たれ、海に沈められていたのですが、その時に自分を狙った奴らに復讐するため帰ってきたのです。

物語の主人公は、大作の息子である嵐山イサムという、勇敢な少年です。
悪の一味をかぎつけて覗いている所を見つかって殺されかかった所を、仮面を付けた幽霊船の船長に助けられます。
どうやら幽霊船は正義の側らしい…というか、船長の正体は父親の大作なんですけどね。

敵一味の一員である左巻博士が完成させた"ゴーレム0"という巨大ロボットを使い、幽霊船を国民の敵に仕立て上げるため幽霊船のせいにして街を破壊し、強奪を始めるのですが…
結局は空も飛べる科学力を持った幽霊船にこらしめられて逃げ、そして登場したのが海底魔王ボアー
彼は左巻博士ら悪の人間達に協力すると言います。

これから幽霊船の秘密も分かってくるのですが…
幽霊船の乗組員は海の底の国・アトランティスの人間で、ボアーもアトランティスの偉い科学者だったのに、地上の人間を征服しようと抜け出した者だった。
すると、かつて海に沈められた大作が生きていた訳も分かりましたね。そう、アトランティスの調査船に救われていたのです。

それから手強いボアーと、手を組んだ地球の悪者達との戦いになっていくのですが、ここで敵だったはずの左巻博士が地球人全部に戦争を仕掛けるボアーに疑問を持ち、イサムを助けてくれたり…
と、単純な善と悪の対決ではなく、意外とひねったストーリーになっていく所も読み応えのあります。
もちろん子供向けなのでひねりすぎはせずに、絶妙に。

"中華料理 珍味亭"の中国人コックが『タメタメ 幽霊船なんてあたしゃ しんちないアルよ』なんて言ってたり、決闘を挑んできて相手が勝つと認めてくれる土人の軍団とか、石森先生お得意のステレオタイプな外人描写も面白い。

空飛ぶ幽霊船、巨大ロボ(ゴーレム0)、アトランティス人、海底魔王…他にもマシンエビとか、強力でユニークな装置や兵器等、いかにもな少年向けSF漫画ながらも石森色が強くて、上手く全1巻にまとまっています。

ちなみに、ラストでやっと大作もイサムに父親だと名乗り、感動の親子対面シーンがあるのですが…
驚くべきはその後、イサムも父親と共に海の底の国・アトランティスへ帰る事にして終わるのでした。


こちらはおなじみ、サンコミックス版の「幽霊船」(朝日ソノラマ刊)で、同内容の本です。
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帰るって……どこへ?

もちろん海の底よ!
あなたも行くのよイサム!



  1. 2008/09/21(日) 22:54:20|
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旅行・紀行・街(37) 東京江東区 1 JATA世界旅行博

今回の旅は東京江東区・・・ここで行われた旅行博へ行ってきました!!
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まず、会場がある江東区といえば、小津安二郎監督や勝新太郎の出身地でもあるので、映画好きにも大事な場ではあります。
とはいえ私が遊びに行くような所はあまりなく、たま~に行くのが門前仲町くらいなのですが、ただ以前の職場が木場、東陽あたりだったためにその周辺の食べ物屋には詳しいですが…懐かしいなぁ。

古くから下町として栄えた江東区ですが、埋立地計画が進んでからは"夢の島"や有明など、新スポット的な観光地区も増えました。
"深川八幡祭り"や"藤祭り"、さらにちょっと危なそうな"赤旗まつり"等の祭りも有名だし、もっとちゃんと見ておかないといけない区だったかもしれません。

今回の目的である"旅行博"の会場になっている東京ビッグサイト(正式には東京国際展示場)自体も、毎年夏と冬の2回コミックマーケット(同人誌即売会)が行われている関係で、漫画オタク…当然、私とは全く種類が違うタイプの漫画オタクですが、彼らからは聖地として崇拝されているのだとか。

さて、会場目指して東京国際展示場駅へ。
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ズンズン歩くこと10分。
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東京ビッグサイトへ着きました!!
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ここが旅行博の会場で、開催期間は9月19日(金)から21日(日)までのみ。
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その旅行博とは、JATA(日本旅行業協会)等が、ここで毎年開催している催しであり、世界各国から130を越える国・地域国が参加する旅行の祭典。

まず、入り口が空港を模した作りになっていて、ワクワク感がわきますね。
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入場すると中東・アジア・アフリカ・アメリカ・ヨーロッパ・中南米・大洋州・オセアニア・日本…等々、地域ごとに分かれたブースがあります。
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ミーはおフランス帰りザマスからして、真っ先にヨーロッパのあたりをブラブラしたのですが…

おおっ!!ベルギーの所でタンタン(tintin)を発見し、記念撮影!!
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三ヶ月前に行ってきたばかりのタイ王国の人々と話して、また行きたくなりました。
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グアムの美人撮り。
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マッドメン!
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ところでこの会場、せっかくここまで多様な民族が集まっているんだから、それぞれの料理を食したいと思うじゃないですか。
でも、飲食コーナーは隅っこに珍しくもない料理が少しあるだけなのです。
旅行情報がメインなのは分かりますし、制約もあるのでしょうが…それが惜しかった。
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私なりのそれぞれの国解説とかしようと考えながら写真撮ってたのですが、それは一部の人には怒られる原因になるから…そして何より面倒になったので、ザッと貼るだけで終わりにしましょう。
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ここには椅子があって座れたので、わけも分からずに何かの表彰式を見て休んでから帰りました。
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ドバイ人…かどうかは定かではありませんが、アラブ首長国連邦を構成する首長国のひとつ、金持ちで有名なドバイ(Dubai)の所で見つけた素晴らしい美人を最後に、今回の写真は終わりです。
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帰宅して、どっさり渡された"いやげ物"をチェックすると…

当然ほとんどが旅行パンフレットで、マイナー国を中心に調べたくて貰ってみたのと、渡されて断れなかったのもあるのですが、大量すぎて目を通す気がしません。しかも、いらなすぎるアメリカのが分厚い上に何種類もありました。

それから各種ボールペン、ストラップ、キーホルダー、国の宣伝CD、DVD、エコバック、マレーネ・ディートリッヒもハイヒールを脱ぎ捨てて走ったモロッコの砂漠の砂…等々。

さらに、大盤振る舞いだったのが岐阜県
そう、この世界が国を代表して出展している場所で、日本でトップクラスのマイナー県である岐阜県がブースを持ち、頑張っていまして。
何だか大量に入ってる袋を頂いたので、これも中身を確認してみたところ…
"ぎふ長良川の鵜飼"、うーたん
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がプリントされたグッズでいっぱいで、ボールペン、ストラップ、救急セット、ふせん、ぬれティッシュ、あぶらとり紙、カスハガ、それから岐阜県チラシ各種が入ってました。
岐阜県に行ってみたくなりましたよ(そう言っておかなきゃ)。

とにかくこの旅行博に行けば、海外旅行の候補地選びや目的地の情報収集にも最適。何より現地、つまりそれぞれの国や岐阜県の人とお話できる貴重な機会でもあります。
まだ間に合いますので、興味のある方は行ってみてはどうでしょうか。


  1. 2008/09/20(土) 17:47:23|
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週刊少年ジャンプ(45) 巻来功士 4 「ゴッドサイダー」 3

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


巻来功士「ゴッドサイダー」の紹介も既に3回目。思いの外に長くなってしまいました。
実際、連載期間も一年半と決して短くはなかったのですが(しかもあの80年代後半のジャンプ最激戦区で)。
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さて新たな敵「パズス教団」の登場。古代バビロニアを滅ぼしたパズスなる魔神を復活させる目的の集団で、その為の生贄としてゴッドサイダーたちの命を狙います。
マリガン、ジェミニー、阿太羅、法粛、そして行仁和尚(霊気の育ての親でゴッドサイダーの元締的なお爺さん)までが次々と……(実は生きてたというのはまあお約束なのですが)早々から絶対絶命の状況に追い込まれる、霊気と流璃子。緊張感ある展開です。
ところで東京に潜伏中、二人が寝起きしていたのが誰もいない廃工場跡なのですが……「夜はどう過ごしてたんだろう?」という、少年漫画には少し下世話な想像を膨らませていた読者は少なくないと思われます。

だって巻来先生の漫画だもの。

今度の敵は女教祖・大影神蘇聴とその弟・烏慶。そしてその手下の「奇肱国の四騎士」。今までの西洋黒魔術的ムードとは一変して、オリエンタルなデザインの敵キャラたちです。
この蘇聴の腹に宿り、転生しようとするパズスの復活を阻止すべく霊気が手を組むのは……この間まで敵だったデビルサイダーたちです。
霊気と魔王サタンは父子なので、この辺り「実家を出て自活を始めたものの、行き詰まって仕方なく親の会社で働く息子」というような切ないムードがあります。
この時初登場するのが、これも名悪役の一人ラスネール伯爵。ベルゼバブ同様の貴族キャラなのですが、こんな顔をしています。
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アメリカの人気SF大河ドラマ「スタートレック」のミスター・スポックそのまんまですね。SF好き、映画好きの巻来先生らしいオマージュ……というかそのまんますぎ。
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戦いは従来の神と悪魔に加えパズス陣営の三つ巴となりますが、デビルサイダーの精鋭「魔王親衛隊三魔尉」は烏慶の必殺技「骰卦文呪殺」(サイコロを投げつけ、裂・潰・滅など出目通りに相手が死ぬ技)で瞬殺され、ラスネールもあえなく退場。
結局パズスは復活し、霊気たちゴッドサイダーたちとの死闘へと突入します。

このパズスですが、「ドラゴンボール」のフリーザのような段階成長タイプの敵で、赤ん坊→少年→青年→完全体という風に段々と強力に。
性格もかつてなくゲス卑怯な奴で、超強いくせに仲間の命を盾に取ったりと、えげつない攻撃で霊気を追い詰めていきます。
その間、恋人同士だった四騎士の彊良とキョウ(号に鳥と書く漢字)がゴッドサイダーの血に目覚めて仲間になったり、ジェミニーのお腹の中にマリガンとの子供が誕生したり。

このパズス戦はベルゼバブ戦を超える盛り上がり方で、巻来先生も完全にこうしたバトル漫画のノリに開眼した感があります。当時ジャンプでやっていたバトル漫画の中でも、はっきり言って「聖闘士星矢」や「魁!!男塾」あたりよりも断然面白かったですね。
特に、仲間ともども絶対絶命のピンチに「ワシの闇の力を受け取れば仲間たちを救えるのだぞ」と父親サタンの誘惑に負けそうな所、「私はどうなってもいい、あなたは光の道に生きて!」と諌める流璃子の涙を見てそれを断ち切る場面。
その時……床に落ちた流璃子の涙に反射した太陽を浴びて、信じる光のパワーで蘇る霊気! 
お約束ですが超燃えます。

この間、なぜかサイコロ使いの烏慶は全く出てきませんが……東京の地下に隠されたデビルサイダーの魔法陣に忽然と姿を現します。
その正体はなんと、サタンの義弟アスタロト大公爵と判明。五千年前サタンが完全に倒せなかったパズスの弱点を探る為、パズスの懐に潜入していたのです(ちなみに蘇聴の正体はサタンの妻リリス)。
ゴッドサイダーがパズスと闘っている間、デビルサイダーはこの地底でサタンを復活させようと暗躍。そして見事成就する、魔王サタンの完全復活!
物語は、巨大化したサタンとパズスとの一騎討ちに展開。完全に怪獣映画のノリに突入していきます。

この魔王サタンは、かなり格好良いキャラクター。悪役ながらも重厚な帝王の風格を持ち、息子である霊気とは敵対しながらも常に父親らしい包容力ある姿勢を崩しません。
コミックス最終巻には主要キャラが読者に向けてお別れの挨拶をするおまけページが載っているのですが、他のキャラは色々長く挨拶してるのに、サタンは「さらばだ。」の一言のみ……渋いです。
ミルトンの小説「失楽園」に登場するサタンも神に反逆する孤高のダークヒーローといった趣がありますが、「ゴッドサイダー」のサタンもそれに負けず劣らず。
始めから終わりまでずっとフルチンですが。

巨大すぎる魔神二人の激突に、東京はおろか日本が壊滅する危機。それを防ぐ為に霊気は奮戦します。そして、最終的にパズスを倒すに至るわけですが……道連れにかつて古代バビロニア文明を滅ぼした最終呪文を発動。それを防ぐ為に、霊気は流璃子と共に鬼哭一族に伝わる奥儀を使います。
しかし、それは自らの命を捨てるに等しい行為……ここで、霊気と流璃子のキスシーンが!
これだけお色気描写満載の漫画なのに、主人公とヒロインのラブシーンがここ位しかないのが何とも。
もしかして、巻来先生って実は純情?

最終的に、霊気たちゴッドサイダーはパズスの最後っ屁から人間を守る為に消滅。残ったサタンとデビルサイダーの一人勝ちという形に……。
悪魔の帝国を築くと宣言し、神々が消えた黄昏の空に、巨大な翼を広げて飛び立っていくサタン。

なんと主人公が死んじゃった!

単行本2巻分に渡って怒涛の展開を見せてきたパズス編ですが、衝撃のクライマックスで結末を迎えます。この回はかなり反響が大きかったらしく、ジャンプコミックス4巻の巻末には読者(しかも女の子!)からのファンレターが載せられています。

「88年19号の『ゴッドサイダー』、すっ~~~ごく感動しちゃいました! 私、何回も何回も読んじゃいました。でも、そのたびに、涙がポロポロと涙がこぼれ落ちてきて、もー大変でした。
(中略)女の子でもジャンプを読んでる子、すっごくいるんです! その中でも、この話を読んで泣いた子、私だけじゃないと思いますよ…」(大阪府・中学1年生12歳・南ルリ子)


巻来先生! 憎いねこの女殺し!
ところでこのルリ子ちゃん(!)、20年後の今はどうしているんでしょう。もしかしたら旦那さんと夜な夜な「ヒィイイイー!!」(前回参照)なゴッドサイダープレイを……していたら凄いですね。

物語はいよいよ佳境、悪魔帝国編へ。
長々とお送りしてきた「ゴッドサイダー」の紹介記事も、次回をもって終わらせていただきたいと思います。

生き残った人びとは
ひたすら神に祈りつづけた…
これから訪れる魔の時代を
忘れようと
するかのように
ただ一心に
消えうせた神がみに…
神がみの黄昏に…



奈落ハジメ(ならく・-) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/09/19(金) 23:23:23|
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ホラー漫画(22) ムッシュー・田中 2 「死人の足音が近づく」

昨夜に続いて、ペンネームの胡散臭さは漫画界一とも言われる正体不明の男…
ムッシュー・田中先生で続けましょう。

今夜は「死人の足音が近づく」(立風書房刊)で、このタイトルの『死人』の部分は『ゾンビ』と読みます。
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まずオープニングは弥生時代中期。
邪馬台国の女王卑弥呼が、自分に逆らった狗奴国の一族を約束破って皆殺しにする所から始まります。
狗奴国の一族には代々伝わる恐ろしい呪術、すなわち死者を甦らせて禍を起こす恐怖の呪いがあるというのですが…

次は時が飛んでいきなり現代の湘南、江ノ島海岸通りです。
ここで秘魅子とその母が車で逗子トンネル…通称"幽霊トンネル"を通るコースに入ったために怯える場面になるのですが、ここで何と作者のムッシュー・田中先生が登場します!!

『余が本書の著者 ムッシュー・田中である』
とか言いながら、幽霊トンネルについて取材した事とかを語るのですが、そのムッシュー・田中先生のお顔はこれ!!
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カッコいいです…

さて作中へ戻って、幽霊トンネルに差し掛かった母子が、
『タレントの和田アキ子やキャシー中島も
トンネルの中で血まみれの手首に追いかけられて
死ぬような恐ろしい目にあったんですって!』

とか語っているうちに、実際に入ってしまい、出口で母親がフードかぶった女に襲われて争い、次に目覚めたら病院のベッドの上。

タネを明かしてしまえば秘魅子の母親はあの争いで殺され、襲った女が母親に成りすまして秘魅子の家、つまり『六会の山の手にある、湘南でも屈指の豪邸』に入り込みます。

秘魅子の巨乳をしっかり拝める入浴シーンの読者サービスを挟んで…
母親に成りすましていた化物は、ついに正体をあらわして秘魅子を襲い、逃げる秘魅子は父親の元へ逃げますが、父親も…次に駆け込んだ隣のお姉さんも、管理人のおじさんまでもがオカシクなっていて、秘魅子を追いかけてきます!

ついに捕まった秘魅子は、これが1700年前の血の怨念だと知らされます。
そう、彼らの正体はオープニングで卑弥呼に根絶やしにされたはずの狗奴国の一族。
『ググ…グ…… われわれは遠い過去からよみがえった死体(ゾンビ)じゃ
生きている死体じゃよ グッグッグ………』

だそうで、秘魅子は卑弥呼の子孫だからと襲われたわけなのですが、それまでこの血筋は1700年も放っておかれておいて、何で今更…

その秘魅子の絶体絶命のピンチを救ったのは、今までほとんど出てなかった九州の伯母さま。
伯母さまが"卑弥呼の勾玉"とかいうのを持ってくると、急に強気になった秘魅子が敵を倒す…
狗奴国の一族達は目から光線を発射するし、何かもうパンクすぎる漫画でわけ分からないのです。

ムッシュー・田中先生はさすがに少年ジャンプ出身だからか、この手のB級ホラー漫画としては画力はまぁまぁだと思うんですけど、でも普通に今のジャンプ読んでる人々に読ませたら、ポカーンとされて捨てられるだけなのでしょうね。

アカデミー賞よりラズベリー賞受賞作を愛する人にも似た、もっとこの手の漫画の面白さを分かってくれる人が増えれば、また書き下ろしホラー漫画の復活もありえると希望に燃える私ですが…
いや、もう現代では真面目に描いて立風書房やひばり書房の、あの時代の異常な凄さを出せる天然な漫画家など誕生しっこないですね。
だからこそ、作者の頭がどうなってるのか知りたくなるような、文化遺産指定すべき作品群が立風書房やひばり書房に眠っているわけです。


いまこそおまえは われわれの呪いを一身にうけて……
生きている死体に………
つまり ゾンビになるのだ!!



  1. 2008/09/18(木) 23:36:28|
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ホラー漫画(21) ムッシュー・田中 1 「恐怖!犬神の森」

今夜は、あのムッシューの話をしましょう。

おっ、元ザ・スパイダースのかまやつひろし…つまりムッシュかまやつか、ですって!?
ノンノン!我々漫画好きの間でムッシューと言えば、当然ムッシュー・田中先生ですよね!

作品によってペンネームを使い分けていて、年齢・国籍・過去などは一切が秘密に包まれている荘厳な方。
どの時でも、絵ははっきり言ってさいとう・たかを似なのですが…
例えば劇画を描く時は田中善之助名義で、あの少年ジャンプでも「美女丸」等を描いてますし、エロ漫画を描く時はプリンス田中名義だったりします。

もちろんここではホラー漫画を描く時のムッシュー・田中作品を紹介したいのですが、まずは「魔女がくる館」「赤蛇少女がすむ館」等の代表作ではなく、私が初めて買ったこれ…
「恐怖!犬神の森」(立風書房刊)にしましょう!
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これは元々「狼女ロビズオーメン」のタイトルで出ていたのですが、例の立風書房手法によってジャケを変えてタイトルを「恐怖!犬神の森」として出版されたのです。

火の国、熊本県の阿蘇火山群の山奥にある孤立した集落・犬喰村の、犬神神社と犬神信仰の迷信と怪事件を描いた描き下ろし作品です。

洋介霧絵の兄妹が、いとこの燐子に呼ばれて東京から犬喰村に訪ねて行く所から始まる物語。
犬喰村では現在、"犬神様の使い"とも呼ばれる妖怪犬が出るようになって村人が犠牲になり、凶暴な野犬も増えているといいます。

そこで絡んでくるのが40年前、現在と同じく竹の花が咲いた時の忌まわしき村の過去なのですが、何と当時の満月の夜、おそろしい数の野良犬に襲われて村人達は闘い、四十二人も死に…
それが犬神様の呪いだという事で、村に逗留していた旅の乙女を人身御供として野犬に捧げていたのです。

だんだん分かってくる妖怪犬の正体というのは、何といとこの燐子。
ちゃんと前の方で高校時代にブラジル旅行へ行ってアンジェロ・冬木という大学生と出会って愛の誓いをかわすシーンがあるのですが、アマゾンの洞窟で吸血コウモリに襲われた話をしていて、それが複線になっていてます。
南米にはロビズオーメンという狼人間がいて、燐子は未だに狂犬病の多いアマゾンでコウモリに襲われたときに感染してそれになったという話なのです。

最初に霧絵が目撃した時に
『鋭い牙をもった 子牛ほどもある 毛むくじゃらの怪獣』
と表現している、その妖怪犬になった燐子なのですが、それは月光を浴びた時だけなり、変身している時の記憶はありません。

やたらとページ数をかけて丹念に描かれる変身シーンは怪奇映画風で、私はかなりそそられますよ。
永井豪先生の「キューティーハニー」そっくりに、服がビリビリ破れて変身するシーンもあり、少年読者へのサービスを分かってますし!

モンスターが暴れまわる系のホラー漫画なのに、未来の動物学者である洋介に説明させて狂犬病とかSS30Rという成分の水とか何とかでリアリティを出そうとしている努力は認めますが…
ありえないと笑ってしまうのは、私が汚れた大人になってしまったからですね。

最後は妖怪犬=燐子が野良犬を呼び寄せて(この野良犬操りも前半に伏線がありました)、村人をぶっ殺しまくった末に、最初の方で娘を殺されて頭がイカレた源さんによって撃ち殺され…ボロボロに崩れて唐突な終わり。
最後に燐子の哀しみを彩るかのように阿蘇が噴火し、最終コマで
『影山燐子に合掌!』
と言われるのですが、ここまできて初めて燐子の苗字が影山だったと分かるとは…さすがです。

あくまでB級テイストあふれて突っ込み所満載の作品を描くムッシュー田中先生ですので、これを面白いと思うか否かは別れると思いますが…少なくとも私は、お薦めしたいのです。


娘が殺られた!!
呪いだあ 犬神様の呪いじゃあっ!
この村はほろびてしまうんじゃあ!
ひーっひ ひ ひ ひ ひ ひ



  1. 2008/09/17(水) 23:11:48|
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週刊少年ジャンプ(44) 巻来功士 3 「ゴッドサイダー」 2

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


引き続き「ゴッドサイダー」を紹介していきます。
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東京を壊滅に追いやった悪魔神父フォラスとの一戦を通じ、霊気は身体の半分に流れる神のパワーに覚醒。これ以降霊気のトレードマーク的な必殺技になる新間「神魔血破弾」を開眼。

こうした強敵との死闘を通じて成長するというのは少年漫画の王道で、以後も霊気は何度もこのパターンを繰り返すことによって強くなっていきます。
カルト作家的なイメージもある巻来先生ですが、実はこうした王道をしっかり踏まえたドラマを大事にする本格派でもあるのです。

そして舞台はアメリカ大陸に。ファンの間でも人気の高い名悪役・蠅の帝王(フライマスター)ベルゼバブとの戦いに突入していきます。
ちょうど運命の連載10回目(ジャンプで人気のない漫画が打ち切られる回数)を迎えた辺りで、掲載順列もジワジワ巻末に落ちてきていたのですが……このベルゼバブ編から一気にお話が面白くなっていき、読者人気も復活。中カラーを獲得したりもしていました。やったぜ巻来先生!
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ところでこのベルゼバブ。霊気の父親である魔王サタンに次ぐ魔界の実力者で、両性具有。おっぱいがあって男にも女にも見える、いわゆるアンドロギュヌスという奴ですね。
つまり永井豪「デビルマン」における飛鳥涼=サタンと同じようなキャラなのですが、そのデザインセンスは大きくかけ離れています。
飛鳥涼=サタンが終末の世界に降臨する天使なら、週末の歌舞伎町あたりに降臨するニューハーフといった感じでしょうか。
サリーちゃんのパパそっくりの髪型で、マドンナ(歌手)のような悪趣味な網タイツのボンデージファッションに身を包み、とどめは「ホッホッホ」というオカマ笑い。とにかく下世話です。
闘い方もどこか変態的で、乳首がチューブからひり出したネリカラシみたいにニュ~と伸びて溶解液をピュッピュと出したりします。
また口から蠅特有の溶解液を吐く「強酸溶唾」(フライシット)という技もあるのですが、これなんか擬音が「ゲ~~ッ」だったりして、どう見てもゲロ

なんというか、巻来功士ワールドのエキスを濃縮還元して丸一日煮詰めたような濃すぎるキャラは、完全にゴッドサイダーたちを圧倒してしまいます。

ところでヒロインの流璃子はどうなっているのかというと……仲間のハルペスを見殺しにして霊気と闘わなかった罰として、ベルゼバブにずっとお仕置きされています
それもかなりSMチックなエロい責めで、この一連のシーンで性に目覚めさせられた少年読者も数多いかと思います。
元から水着同然の鎧が、熱い砂みたいなものを振りかけられて溶け落ち、おっぱいが露出。熱さのあまり「お許しをー!」「ヒィイイイー!!」なんて悲鳴を上げて悶絶するヒロイン流璃子。
「ドラゴンボール」がやってる横で「ヒィイイイー!!」。
何やってるんですか巻来先生……。

この囚われの流璃子を救出する為に、霊気たちはベルゼバブのいる迷路帝都(ラビリントス)に突入していきますが、ここで新たなゴッドサイダーが登場。
後々まで活躍する、クラッシュ・マリガンというプロレスラーのリングネームみたいな名前の白人で、「シット」「ハッハー」が口癖といった分かりやすすぎるアメリカ人キャラをしています。

物語にも勢いが付き、登場する敵キャラもバラエティ豊かになっていきます。中でも「悪魔画廊」の主人で霊気たちを絵の中に引きずり込む(大林宣彦のホラー映画「ハウス」でそんなのがありましたね)影喰らい(シャドウイーター)ウッド・ワードなどは、あわやという所まで霊気たちを追いこみます。
しかしスパゲティにされて食べられる寸前(笑)、フォラスの時とは逆に悪魔のパワーに目覚めて復活する霊気。ここで神の霊気と悪魔の霊気が対決するという、哲学的な次元の闘いが演じられますが……そこはしっかり巻来テイスト。「堕亜愚残輪」(ダアクカッター)などのエクストリームな必殺技が飛び交います。
ちなみにこの「堕亜愚残輪」ですが、単行本化される前のジャンプ誌上では「堕靡泥残輪」(ダビデカッター)という名前になっておりました。
佐藤まさあき先生のお叱りがあったかどうかは定かではありません。

そしてベルベバブとの直接対決。これがまた二転三転する手に汗握る熱い展開で、とにかく面白い。
絵にも気合が入り、作者がノッてきている感が凄く伝わってきます。
そして間一髪で父親サタンの復活を阻止、苦闘の末どうにかベルゼバブを倒す(同時期にやっていた「ジョジョの奇妙な冒険」第一部のディオ並みのしぶとさを見せます)霊気。

救出した流璃子と感動の対面を果たし、めでたくカップル誕生となります。
この間に仲間になったのは、マリガンが命がけで救った人造人間(ホムンクルス)の大女ジェミニーと、阿太羅の盟友である法粛
法粛は、坊主なのに皮ジャンに金髪を逆立てたパンキッシュなルックスのクールガイ。ベルゼバブ戦で右腕を切断されてしまいますが、後に義手を装着してパワーアップしたり、脇役の割に終盤まで存在感を見せたキャラでした。

こうして、最後まで盛り上がったベルゼバブ編も大団円を迎え、物語は新展開に移ります。
舞台は再び日本に戻りますが、毒ガステロで荒廃した東京では、「パズス教団」という、それこそオウムチックな新興宗教集団が勢力を築いておりました。
このパズス教団こそ、霊気たちゴッドサイダーの新たな敵となるのですが、紹介しているとまた長くなりそうなので割愛……と言いたい所ではあるものの。
このパズス編もまた巻来ワールド全開の傑作なので、はしょるには忍びなく次回でお送りする予定です。


黒魔術大全 その14
堕亜愚残輪とは キリストを裏切り
殺したユダの子孫から生まれた
悪魔の側の人間が 使った武器で
日本の島原の乱では 三万人のキリスト
教徒の首を はねたといわれている
この刃は 人の血を吸うほど切れ味が
よくなり 一億人の血を吸うと
切れないものがなくなるといわれている



奈落ハジメ(ならく・-) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/09/16(火) 20:01:09|
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劇画(54) 堀田あきお 1 「アジアのディープな歩き方」

今夜は、堀田あきお先生の「アジアのディープな歩き方」(旅行人刊)。
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昨夜に続いて東南アジアの旅行モノであります。

堀田あきお先生は1956年生まれの北海道出身で、手塚プロダクションで働いて手塚治虫先生に師事していたそうです。
アジアの旅モノ作品が多くて、他の作品は「ネパールへ行ってみた」「インドまで行ってきた」「本多勝一のこんなもの食べてきた」・・・等。
私は活字本で他人の旅行記を読むのは好きなのですが、漫画ではそれほど人気がないジャンルだと思いますし数も少ないので、昨夜の深谷陽先生と共に、面白い旅行モノ漫画を描く貴重な漫画家だと認識しています。

この「アジアのディープな歩き方」は…ちょうど昨夜の「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」とは正反対に、東南アジアに行きたくなる作品だと思いますよ。
主人公の杉田純一、二十四歳は女に振られて会社を辞めてアジア放浪の旅に出て、という話なのですが…
最初の街であるタイのバンコク初日でいきなり親切なふりして近づいてきた日本語話せる女性に全財産(現金、パスポート、トラベラーズ・チェック、クレジット・カード、帰りの航空券まで!)を盗まれる出だしなのですが、それでもあくまで愉快に描いていますので。

コミックトム(潮出版社刊)で連載していた物に、連載が打ち切られた後のエピソードを書き下ろしてまとめた単行本は、全2巻。
作者の意向としてはもっとマニアックな、旅をしにくい国の紀行もやって、だからタイトルの通りディープな物になるはずだったようです。

最初のバンコクでは、何ヶ月もいるのにチャイナタウンにあるジュライホテルの汚い部屋に閉じこもって観光なんかは一切しない変な奴らと関わり、現地で出会った純粋な少女マイがパッポン通りのバーで売春していると知ってショックを受け、タイの貧しい村に金を貢ぎ続けている男とか、白人のジャンキーとか、いろんないろんな人と関わって…
まずは国によって常識が違うとか、貧しい国の現状とか、初歩的な事を学びます。

バックパッカーの聖地として有名なカオサン通りって、タイまで来てずーっとアメリカ映画のビデオばかり見てハンバーガー食ってコーラ飲んでっていう白人ばかりなんですね。
タイ人は凄い黒人嫌いで、店の人もずっと無視しているとか…私も勉強になります。

次にチェンマイでは、偶然迷い込んでしまったリス族の村人たちと交流。
タイは山奥にいろんな山岳少数民族がいるんですよね。
この日本人そっくりな顔をしつつ、あまりにもかけ離れた生活をしているリスの村で、この旅初めての充足感に浸る杉田。
やはり彼らの、幼い女の子が子供の小遣い程度の金で売られていく、あまりにも厳しい生活の現状も知って落ち込み、しかし友達になった皆と涙のお別れ。

次は国も移動して、ミャンマー(ビルマ)の首都ヤンゴン。
夢の中の世界みたいだと感激した後は、織田という"旅の上級者"を名乗る男と行動を共にする事になりました。
歯ブラシと石鹸と金とパスポートしか持っていない彼は、自称"プロの旅人"でもありまして、それだけにずっと各地で騙され続けてきているから警戒心が強くなりすぎて現地人を信用しないのです。
『世の中アフリカにも 行ったことねえくせに 旅人面してる奴がいるが 冗談じゃねえってんだよ
アフリカの水も飲んだことねえ野郎は 旅を語る資格はねえ』
とか言ってて、私もこいつそっくりな、こういう寒い勘違いをしている日本人に何人か出会っているので、やたらとリアルなキャラだと思います。

それでも織田との行動はしばらく続けるのですが、伊藤カオルという現地人に見える女性が旅のアイドル的な存在として加わり、共にビルマ観光します。
しかし政治的に複雑な、軍事政権のビルマですので、現地人と話す時は重い話にもなりますが…

旧・王都のパガンでかつて日本軍の雑役夫として働いていたタンティンさんと出会い、そこへビルマ戦の生き残りである元大日本帝国軍人のじいちゃん達も加わって歴史の話になります。
ここで伊藤カオルが、左翼的な本を鵜呑みにしただけの、大日本帝国軍はただひどい事をしただけの暴徒だったような事を語り出し、それをビルマ人の美談に続けて…
この部分きついのですが、まぁ実際にこういう日本人女性も、確かに多いですからね。
はい、どうぞ日本人である事を恥じて謝罪しながら、贖罪のために金を払い続けて生きてください。

ビルマでは現在政権を握る軍隊が、貧乏人の子供を強制連行して労働をさせている事も知り、
『やっぱりここは まだ旅行してはいけない国だったんだ………
この国の存在を認めてはいけなかったんだ……』

この思いを〆に、織田と伊藤カオルとも別れて一度バンコクへ戻りました。

次に行った先はラオス。
メコン川で見る夕日に感動し、日本人の男にたかって旅行を続ける女に利用され、さんいう不運を呼ぶ男と関わり…
『本当に運のない男と一緒に旅をしていると
自分の運もなくなり 死ぬこともあるのだと
後日 ある長期旅行者から 聞かされた』

と、恐ろしい目にあう話もあるのですが、これも実際にありそうです。

バンコクで関わった坂本くんと、こんな地で偶然の再会をしますが、彼は性格が変わっていて、ひょうきんな部分が無くなって
『ぼくはラオスの山奥を 一人でずっと旅してきたんだ!!
ヘラヘラなんてしてらんねーんだよ!!』

とか言ってます。

さらに銃を構えて
『あんたみたいな センチメンタルな軟弱旅行をしている奴には わかんねーだろーが
こいつはラオスの山ん中で 唯一信用できるぼくの相棒なのさ
野獣や山賊 ゲリラたちが 蠢く闇の中でな』

って…たくましくなりすぎです!!
最後はまたひょうきんな姿も見せますけどね。

それからカンボジアのプノンペンに移動すると、ここでは片岡くんという、自称ジャーナリスト志望の、カンボジアの不幸な歴史マニアと行動を共にします。
私もちょうど昨夜紹介した「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」を読んで以降、正義などなく何事も金の国だと認識している国ですが、大量虐殺のポル・ポト政権と国中を死体が埋め尽くしたあたりの話を、ここでもやります。

二万人が収容されて行き残ったのはたった六人というポル・ポト時代の刑務所は"トゥールスレン博物館"となっていて、そこで気持ち悪くなる杉田。
そして案内してくれた親切なおじさんは、当時ポル・ポト側にいたために仲間達から忌み嫌われている人でした。
もちろん、命令通り殺さなければ自分が殺されていたのでしょうが…

次に何でも金の力でできると思い上がった、いやらしい日本人男性木村に、そうと知らずに売春街に連れて行かれるのですが、そこはカンボジア名所でもある延々二キロ以上も売春屋がある東南アジア最大のセブンティー・ストリート。
女は買わない主義の杉田は怒って断り、木村が事を済ませるのを待ちますが…
帰りにバイク運転手に変な所へ連れて行かれ、金出すのを拒んだ木村は、杉田と片岡の目の前で射殺されました!
そんな、やはり日本ではあり得ない経験をしつつもアンコール・ワット、この国も人も破壊しつくされた地でたった一つ残ったクメール民族の宝に感動する杉田。

最後にベトナムへ行き…まだ自分を振った彼女にして、旅立つきっかけにもなった美咲に対し、出すわけでもない手紙を書いてる杉田でしたが、何とこの地で美咲に会うのです。
しかし、彼女は別の男との新婚旅行でした。

これでやっとこの旅の折り返し地点かもしれないと、次は自分から逃げていくための旅ではなく、自分に戻っていくための旅に出て…終わり。
旅で出会う個性的なキャラ達に比べると、主人公が一番普通な気もしますが、だから傍観者としての立場でいろいろ観察できたのでしょうね。


杉田さん リス族の村行ったんだろ?
子どもたちが何か欲しがったか?
そんな生活してたか?
彼らは自分たちがその地で生き抜くために 何が必要で何が無意味なのかよく知っている
この子だって きっとこの外国人がくれるものが すごくうまいものだって知ってるさ
知ってるからこそ 決してたべようとしないーーー
その味を知ってしまったら また食べたくなる
心がどんどん外国に支配されていくーー そうなることを拒んでるんだ
モン族がモン族らしく生きるために
この小さな子は 小さなガム一枚を全力で拒んでるんだ!!
そんなこともわかんねーのかよ!



  1. 2008/09/15(月) 23:13:28|
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劇画(53) 深谷陽&沢井鯨 1 「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」

今夜は深谷陽作画&沢井鯨原作の「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」(新潮社刊)です。
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作者を簡単に紹介すると、深谷陽先生は1967年生まれの福島県出身。
私は10年くらい前に「アキオ紀行バリ」「アキオ無宿ベトナム」を読んだのが出会いだったので、やはりアジアを描く名手というイメージがあります。
他に「レディ・プラスティック」「スパイシー・カフェ・ガール」「運び屋ケン」「スパイスビーム」…等が有名でしょうか。作品は地味な内容の中にしっかりドラマを描いていて、かなりの実力者です。
しかも映画の特殊メイク・造型で塚本晋也監督の名作「鉄男」「TOKYO FIST 東京フィスト」等に参加しているという多才さ、そしてセンスの良さ!

原作の沢井鯨先生というのは、私はこの「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」でしか知らないのですが、この作品…実体験を元にして書いた小説がデビュー作のようです。
つまり、この「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」は漫画用に書いた原作ではなく、元々あった小説を漫画化したもの。
そのコミカライズ単行本は全1巻で、週刊コミックバンチ(コアミックス刊)にて2004年に連載されたものに、約70枚の加筆修正を加えた一冊です。

沢井鯨先生をモデルにした中学の教師のイザワケイゴが主人公で、謂れのない罪でカンボジアの"魔都"プノンペンで逮捕され、そこの四面楚歌で酷い生活からどうやって抜け出すか…という話で、自分を騙した奴への復讐、騙し合い、裏切り…そういった物を描いた、しかも刑務所モノですから、深谷陽先生にしてはかなり娯楽色の強い作品に仕上がっています。
セックス&バイオレンス…そして最後の見事な行動とハッピーエンドまで、まるでハリウッド映画のよう。

平凡な教師だったイザワが二十代最後のささやかな冒険としてタイ旅行をしようと決意しますが、飛行機で出会ったからアンコールワット行きに誘われて、それを受けてまずカンボジアのプノンペンに到着。
それが悪夢につぐ悪夢が襲ってくるきっかけでした…。

娼婦街で出会ったのに無垢な美少女タオに惚れ、病気の母親のためと大金を渡し、そのためアンコールワット行きも諦めてカンボジアから帰国しますが…
親友のヤマグチ
『一度過ぎた時間は戻らないし 自分の人生は他の誰も責任取っちゃくれないんだ
だったらウダウダ言いながら我慢するより…やりたいコトは やっとかなきゃ』

と言われ、教師を辞めて再びプノンペンを訪れました。

そうそう、一度帰国した所で、イザワは日本の町並みを見て、
『俺は… …こんな色の無い国に住んでいたのか…』
と驚くシーンがあるのですが、その感じは私もアジア旅行しているので分かりますね。それが悪いとは思いませんが。

二度目のカンボジアでは、帰国していた間に起きていたクーデターのためにタオはいなくなっていました。
譲が、実情は小悪党ばかりの"日本人ボランティア"に正義の気持ちが芽生えて孤児院を始めてましたので、それを手伝う事になったイザワ。

そこへベンツで現れた悪魔のネパール人、ダマス・サーガ
こいつの巧妙なサギ手口で譲は全てを巻き上げら、イザワは街でダマスを見つけて取り押さえると…何と逆にイザワが逮捕され、しかも誘拐犯としてでっち上げられて投獄されます!
日本大使館のウベも自分の地位が大事で仕事をしているふりだの公務員らしい、ひどい対応。
唯一頼れる味方の譲は…イザワを助けるため動いたら、何と殺されました!

序盤はカンボジアのプノンペンにおける少女売春の実態やらを描く、まぁ裏東南アジア旅行記といった趣なのに、ここからの展開は凄い。ここからがハリウッド映画です。
濡れ衣とはいえ、カンボジアにはまともな司法制度など存在せず、警察も裁判所も金次第の世界なので、裏金を払えば殺人犯も無罪、払えなければ重い刑が言い渡されるのです!!
ここまで旅行記っぽい作風だったからこそ、リアルで怖い。

そして拘置所の中も地獄。
ここの恐ろしい囚人達とのやり取りやルールが面白い。まぁ外から見てる分には。
そして、騙すためには凄い知恵を絞る"本当の敵"の正体とは…

実はあの少女タオも有名な日本人相手の詐欺グループのメンバーであったとも分かり、極めつけはイザワに下された懲役十二年の判決。
ヤケで脱走騒ぎを起こして拘束され、もう人生終わったと感じた時に浮かんできた、譲の言葉が
『最後まで希望を捨てるな! 考えるんだ!きっと何か方法がある!!』

そして孤立無援の地獄の中で思いついたのが、カンボジアの腐った状況を逆に利用した起死回生の策。
騙され、理不尽な運命に虐げられ続けていたからこそ、これから始まる復讐劇は痛快です。


とにかく面白い、この「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」を読んだらカンボジアの近代史なんかを勉強でき、ついでに絶対に行きたくなくなる事、間違いなし。
あとがきで原作の沢井鯨先生が200万人以上が虐殺されたポルポト政権時代と毛沢東の狙いについての推理を書いてるのですが、その話もかなり衝撃的でした。
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(こちらは同作品の原作本)


…甘かった!!! …甘えてた!!
"平和ボケの日本人"そのものだ…!!

「日本人たる自分」が無実を訴えれば…
大使館職員が全力を挙げて徹底調査して 無実を証明してくれるものとたかを括っていた…
全部間違いだった……… 全部…考えればわかることなのに…
世の中が何でも教科書通り"善"の方に回るなら…
…とっくに戦争も犯罪も無くなってるはずじゃないか

…畜生! …畜生… …畜生!!


  1. 2008/09/14(日) 23:02:55|
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旅行・紀行・街(36) 東京都港区 1 東京タワー

今回の私の旅は、東京都港区東京タワーに行ってきました。
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東京都のシンボル、観光名所として一番知られている場所ですね。正式名称は"日本電波塔"

浜松町駅で降りて、とにかく向かいましょう。
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ここ"増上寺"ブルース・リー映画「死亡の塔」で使われていたため、何度も見た光景が…
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北野武監督作のコメディー映画「みんな~やってるか!」では、ダンカンがあのてっぺんに腹を貫通されて、もがいてましたね。
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遠藤賢司「哀愁の東京タワー」を歌いながら歩いてると…着いたっ!!この下の特設リングで、キン肉マンとステカセキングが戦ったものでした。
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実は私、ここ東京タワー内にある蝋人形館、そしてジャーマン・ロック(ジャーマン・プログレ)に突出したマニアックな店を目当てに何度か来た事もあったのですが、今回の目当てはコレ!
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少年サンデー×少年マガジンの50周年イベントとして、ここ東京タワーでは"階段道場"てのを開催してました。

約600段の外階段を自力で昇ると、途中でサンデー、マガジンの歴史から生まれた伝説の名シーンが約50点もパネル展示されていて応援してくれる、というわけですよ!!

しかし!!

私が行った日は少し雨が降り出していて、外階段は閉鎖されてしまいました。
しかも、これは夏休み限定イベントだったために、もう開催期間中には行けない事が判明。
…もうやる気なくして、今回のはブログにアップしなくていいかと思ったくらいなのですが、まぁ後で書きますが他の理由でもここは私の聖地ですので、一応続けましょう。

ちなみに、私がその階段道場のために用意していた服は、絶対使われているであろう「あしたのジョー」ラストの燃え尽きシーンTシャツで、同シーンのグローブまで用意してたんですよ。
入口の所に撮影コーナーがあったので、少し怒りを込めた無念の撮影。
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係員さんに聞いた所、この燃え尽きシーンは階段道場のラストで使われていたとかで…やっぱり!悔しいッ!

ちなみにここの一部分だけで梶原一騎先生が生み出したキャラクターが6人(星飛雄馬は2バージョン)もいますね。
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サンデーでもいくつか書いてる梶原一騎先生ですが、特にマガジンの歴史においていかに重要な人物であるか分かるってものです。

結局エレベーターで昇った東京タワーでしたが、階段道場終わった所だけ見る事ができました。
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せめて東京タワーのイメージキャラクターであり、"ゆるキャラ"(みうらじゅん先生の「ゆるキャラ大図鑑」扶桑社刊を参照ください)として一躍脚光を浴びたノッポンのイベント『ノッポンのわいわい夏まつり』でも行こうかと思えば…
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こちらは終了時間が来て終わってしまう、という有様でしたよ!
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↑全部倒されて見る影も無い巨大ノッポン。

せめて双子のノッポン両方に抱かれる子供の顔ハメだけやりましたが、テンション低めでした…
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さようなら、ノッポン。
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おなじみのここ、蝋人形館は今回スルー。
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しかし出口の所にある、例のジャーマン・ロック店は寄って…
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アシュ・ラ・テンペル(Ash Ra Tempel)のTシャツとか、最後まで買おうか迷った品こそありましたが、結局止めときました。

東京タワーのオーナーがジャーマン・ロックのマニアだから、家族連れの多いこの場所で、ここまで趣味の店をやれてるという話ですが…
我が道を行く、というより我が道しか行かないような、素晴らしい、そして困った人なんでしょうね。


次はコレ、『ヤッターマン THE 3D』へ。
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この中で素晴らしい3D映像による、「ヤッターマン」の特別な話を観ましたよ。
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出るとタツノコプロ(竜の子プロダクション)の歴史やら、展示物もあったのですが…
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あいつらが乗るこの自転車は少し嬉しい。
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↑かけてるのは3D映像用のメガネ。

タツノコプロのキャラクター勢ぞろい!
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…って、まぁTVの無い家庭で子供時代を過ごした私にはほとんど分からないし、思い入れゼロなのですが。

しかし…やっぱりこれですよ。
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ほとんどのタツノコアニメファンも、タツノコプロを設立した吉田竜夫先生の漫画家時代の作品には興味ないかもしれませんが…
吉田竜夫先生といえば、梶原一騎原作の「鉄腕力也」で漫画家デビューし、やはり梶原原作の「チャンピオン太」「ハリス無段」を描いた方でしからね。この事実だけで私の中では格がグーンと上がってます。

最後にヤッターマンの顔ハメでここも出て。
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次は東京タワー大展望台へ。
すると、みうらじゅん先生らが描いた色紙が展示されてました。
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"CAFE LA TOUR"でビールとポテト頼んで休んでると…
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(ちなみにこのポテト、激マズ!!)

お隣の"CLUB 333"というスペースで行われたライブも楽しめました。
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大展望台からまたエレベーターに乗り直し、さらに上の特別展望台、地上250mの所まで昇りました。
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そこから観る景色。
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ここ、特別展望台は…
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そう、先ほど書いた『ここは私の聖地』にかかわってくるのですが、あの楳図かずお先生の超名作「わたしは真悟」において、しかも前半一番の盛り上がりを見せる所で舞台にされているからなのです。

おおっ!ここ、この右に見える扉ですよ!!
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(さとる)と真鈴(まりん)はこの非常口を出てハシゴをよじのぼると塔の上に出て…
産業用ロボットのモンロー
『ドウスレバ コドモガ ツクレルカ!?』
と聞いたら出てきた答、
『333ノ テッペンカラ トビウツレ』
の通りに行動するのですね。

嗚呼…二人で体育すわりして語り合うシーン。
まりんが
『わたし達…もしかしたら……一生のうちで、今が……
いちばん しあわせなのかも しれないわ!!』

と感激し、さらにきれいな景色に感動した二人が続けて言うには、
『大人になっても、こんなふうに見えるのかしら!?』
『見えないよ…………
大人なんて、みんなちがう生きものになっちゃうのさ、きっと………
だって、ぼく達が大人だったら、たぶんこんな所へは来なかったはずだろ!?』

そしてその後…

いやこれでは「わたしは真悟」の話が長くなってしまうので止めておきましょう。
奇跡は誰にでも一度おきる だがおきたことには誰も気がつかない…

他にも土田世紀&仲村雅彦「高〔たか〕」だとか、狩撫麻礼&たなか亜希夫「迷走王ボーダー」赤塚不二夫「もーれつア太郎」の最終巻、平井和正&桑田次郎「8マン」では確か東京タワーの鋼鉄の足が純金になるエピソードがあったし、川口まどか先生の「死と彼女とぼく」の『小鬼の願い』では可愛い小鬼のケンジとショウタが周りを飛び回り、水木しげる先生の「ゲゲゲの鬼太郎」から『大海獣』では特撮映画『ゴジラ対メカゴジラ』みたいな光景がここの隣で起こったし、「悪魔くん」(山田真吾版)では怪物と魔物がからみあって動けなくなった巨大な丸い玉がここの隣に!
先日紹介したばかりの塚本俊昭「原爆ジャック」では原爆を持ってここに立てこもったり、藤子不二雄作品でも何度も出ていますが、印象深いのはF先生の短編「みどりの守り神」のラストシーンだとか、A先生の「プロゴルファー猿」における展望台からのショット。
珍しい所ではみうらじゅん先生の漫画「関西人 東京に現わる」で巨大関西人に『通天閣の方がエライんじゃ!!』と言われてへし折られたり…
福本伸行先生の「アカギ ~闇に降り立った天才~」がアニメ化された際にはラストシーンで使われていました。
永井豪原作の「キューティーハニー」を庵野秀明監督が実写映画化した時は、この東京タワーがグルグル回ってせり上がり、そこにパンサークローの基地が出てきました。
他にも数多くの作品で、東京タワーは印象的な舞台として使われていますが、あの梶原一騎&川崎のぼる「巨人の星」という名作漫画でも、星飛雄馬が姉の明子と貧乏長屋を出て住み始めたマンションも東京タワーが良く見える部屋だったため、何度も描かれていました。飛雄馬の悩みを表す時には、背景のタワーがグニャーンと曲がったりしてましたね。
同じ梶原(高森朝雄)作品の代表作「あしたのジョー」では、虫プロ製作アニメの最終回で印象的に使われていたし。
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最後に、この地上250mにある神社に祈ると、
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これで満足して東京タワーをあとにしました。


帰りは、近くに入った事ない"大勝軒"を見つけたので食べて。
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また別の日、初めての白金台へ行ってきました。
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高所得者の妻、もちろん専業主婦で豪華なランチばかりしているシロガネーゼと呼ばれる人達を見て…もしょうがない。

目的はここにあるブックオフで、この店舗は日本で唯一カフェが併設されているとの事なのです。
おおっ、こんな看板。
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すぐに着きました!
その名も"ブックオフ カフェ白金台店"(BOOKOFF CAFE SHIROKANEDAI)。
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ここでは、定期的にライブや作品展なども開催されているのだとか。

アイスカフェモカSを頼んでみました。360円。
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パンも美味しいのだそうですが、この日はパス。

オシャレ文房具や雑貨まで売ってました。
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なかなか落ち着く空間です。
もちろん私にとっては、店内に置いてある本の中から掘り出し物を探す方が重要。ゆっくりコーヒーとか飲んでる場合じゃないんですけど…
例えば全国のブックオフ全てにカフェコーナーがあれば、いくら本やCDに興味ない女性とか連れてても、ちょっとコーヒーでもというふりして誘って入店できるし、中座して本を探しに行くのも罪悪感が薄れます。
だからブックオフ カフェ、どんどん作ってもらいたいものですね。

ちなみにここブックオフ白金台店は、外人が多い場所柄からかブックオフ日本一の洋書コーナーを持つお店でもあるそうで、洋書の在庫数は4万冊だとか!
いや、洋書はいりませんが。

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ついでなので港区じゃないけどブックオフ(BOOK OFF)話で続けると、先日は車を借りて都内各地のブックオフ巡りしてきました。
変わった所では八王子大和田店がいいです。

二階にホビーオフ(HOBBYOFF)ってのもあってフィギュアとかの品揃えも凄いし、
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隣りにはハードオフ(HARDOFF)とオフハウス(OFFHOUSE)!!
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そして珍しいモードオフ(MODEOFF)なんてのもあるのですが、高級感漂う古着店。けっこういい物置いてます。
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他にも実はブックオフのグループには、GARAGEOFF、BOXSHOP、B・STYLE、B・KIDS、B・SPORTS、B・SELECT、B・LIFE、B・HOBBY…
等といった、地方に行かないと無いレアな店も存在するので、探してみると面白いですよ。


東京都港区、東京タワーにもまた来る事になるでしょう。それまでは…サバラ!


  1. 2008/09/13(土) 23:06:07|
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週刊少年ジャンプ(43) 巻来功士 2 「ゴッドサイダー」 1

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


読者の皆様、はじめまして。
今回からゲスト参戦することになりました、奈落なるしがない漫画読みです。誰?というツッコミは極力なしの方向でお願いします。

さて……その記念すべき一発目ですが、私は悩みに悩みました。
そう、初回とは言わば名刺代わり……ここで誰のどんな作品を紹介するかで、私という人間に一種のレッテルが貼られてしまうのは間違いないでしょう。
梶原一騎描く男の世界という大海。永井豪作品の強烈すぎるセンセーション。望月三紀也が構築する芸術的アクション描写などなど……後世に語り継ぐべき価値ある作品や作家は幾らでも漫画界に存在します。

そんな中で飛びだした、「いきなり巻来功士とかはバカっぽいよね?」という一言。
なぜだかの記憶はアルコールで死滅した脳細胞と共に失われてしまいましたが、とにかく「あえてそれで」という運びとなりました。

巻来功士に関しては既にこのブログでも取り上げられていますが、改めてどんな漫画家かと説明するならば……。
いわゆるB級テイストを愛好する、荒木飛呂彦氏にも通じるその作家性が大きな魅力な人なのですが……なのですが。
荒木先生の作品に漂うハイソかつオシャレでエレガントな香りは、巻来先生の作品には殆どありません。
理由を挙げるなら「とても下品だから」ということになるんでしょう。例えるなら「チャーリーとチョコレート工場」と「悪魔の毒々モンスター」の違いみたいなもんです。
巻来先生とその作品が、比較的メジャーであるにも関わらず現在まで余り語られていない感があるのは、ひとえにその下品さであり洗練されていないバカっぽさに理由があるように思えます。

ですが、それだけで黙殺してしまうには余りに勿体ありません。巻来作品には、語るべきワンダーや熱さが沢山詰まっているのです。
というわけで……お送りするのは、現在までの氏の最大のヒット作「ゴッドサイダー」
gods1[1]

「ゴッドサイダー」が週刊少年ジャンプで連載開始されたのは、1987年。前作「メタルK」が連載第2回目で巻末落ちという前人未到のコケ方をした巻来先生は、捲土重来を期していたと思われます。

神と悪魔の対立が織りなす、壮大かつ分かりやすい世界設定。そして、給湯ポットみたいな顔のロボット(機械戦士ギルファー)、ドロドロに身体が溶ける女サイボーグ(メタルK)と、今までは個性的すぎた主人公像を一新した二枚目顔の男性ヒーロー……と、一般読者ウケを狙っていたのは想像に難くありません。

物語の基礎となる、「神の側の人間」(ゴッドサイダー)「悪魔の側の人間」(デビルサイダー)の闘争。
それは今まで歴史の水面下で行われてきたのですが、20世紀末、突如世界各地でデビルサイダーの活動が活発化してきます。
それはハルマゲドン到来……つまり彼らの首領である魔王サタンの復活の予兆でした。そして、物語の舞台である日本は高野山鬼哭寺(このネーミングセンスが巻来テイスト)で育てられた、鬼哭霊気という青年が登場します。

この霊気、最初は出っ歯で白痴という危ないキャラクターデザインなのですが、主人公です。神と悪魔の間に生まれた子であり、それゆえにハルマゲドンの鍵を握る存在としてデビルサイダーに狙われます。
連載第一回と二回目では、最初の敵ドゥーインとの闘いと霊気の覚醒が描かれます。
敵の攻撃を受け、眠れる血に目覚める霊気。なんと出っ歯がポロッと取れると凛々しい二枚目顔に!
更に鎧武者を思わせる強そうな姿に変身し、ドゥーインを圧倒的強さで倒してしまいます。

この時、我らがヒーロー霊気が使う記念すべき必殺技第一号が「怨霊散弾」
どんな技かというと、文字通り怨霊のパワーを全身に吸収し、刀のひと振りと共に相手に叩きつけるという攻撃です。
「ドボワッ」という汚らしい音と共に飛んでいった無数のドクロ(目玉付き)が、相手の全身の肉を食いちぎるスプラッターな描写が見開きで……ヒーロー番組からホラー番組へいきなりチャンネルを回されたかのような、ショッキングすぎる必殺技でした。
ここへ来て過剰なまでに作家性を発揮してしまうのが、やっぱり巻来先生といった所でしょうか。

さて最初の敵を退けた霊気ですが、「俺には神も悪魔も関係ない」と、後に仲間になるチベットのゴッドサイダー阿太羅の協力要請をあえなく拒否。見事なツンデレぶりを披露します。
しかし仲の良い子供のタツ坊とレンコン(このネーミングセンスが巻来テイスト)が第二の刺客・炎魔獣ハルペスに食べられてしまい……その怒りのまま必殺技「怨霊魔鬼雨」(このネーミングセンスが以下略)でハルペスを倒し、ハルマゲドンとは関係なしにデビルサイダーへ宣戦布告。熱血ヒーローだぜ霊気!
技はあんまりヒーローっぽくないけど。

ここでハルペスと同時に登場するのが、アメリカからやってきた悪魔神父フォラス、そして初の女性キャラである水魔ブロケルという色っぺー姉ちゃんです。
このブロケル、実は霊気と同じ鬼哭一族の生き残りである幼なじみ・鬼哭流璃子がその正体なのですが、霊気と違い明確にデビルサイダー側として参戦。
つまり霊気の敵に回っているわけですが、その理由は人間への復讐心。鬼哭一族が「鬼や天狗として人々に迫害され続けた」からということで、この辺りは被差別部落問題や平地民による山岳民族差別を表わしたものと深読みできるのかもしれませんが……巻来先生に限って、そんな鬱陶しい意図は100%ないでしょう。

この後、物語はフォラスによる毒ガステロによる東京壊滅(オウムを先取りしていた?)などへと展開していくのですが……案の定長くなってしまいましたので、次の機会へ譲りたいと思います。

黒魔術大全 その3
怨霊散弾とは 相手から
すいとった瘴気エネルギーを
体内の神の側の人間の
エネルギーと合体させ 数十倍の
パワーにして 相手にぶつけ
滅殺する これは神と悪魔の
間の子である霊気にしか
出来ない技である



奈落ハジメ(ならく・-) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。

  1. 2008/09/12(金) 16:07:18|
  2. 週刊少年ジャンプ
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ゲストライターについてのお知らせ

こんばんは、BRUCEです。
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今まで二年半とちょっと孤立無援に続けてきた大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)ですが、今後はゲストライターにも登場いただく事にしました!

現在お願いしているライターは、まだ一人。今後増えるのか、それもまだ定かではありません。他にももし、ここで書きたい方が居ましたら、希望も受け付けてますよ!

それでは、これから定期的に登場するゲストライターの回についても、お楽しみください。
  1. 2008/09/11(木) 23:24:24|
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楳図かずお先生との邂逅 2

こんばんは、BRUCEです。

今は嬉しさから、部屋で一人でニヤニヤしながらこれを書いていますが、今夜は吉祥寺を歩いていたら大好きな、そして尊敬する漫画家である楳図かずお先生とすれ違いまして…写真を一緒に撮りました!
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素晴らしい表情の楳図かずお先生に比べ、緊張で顔がこわばっている私ですが…
楳図先生と写真撮るのは「ココ」で書いた時以来だから、二年ぶりだったんですね…
今回も向こうから歩いて来るお姿にはすぐに気づきましたが、一度はドキドキするだけで行き違い、しかし意を決して追いかけて少しだけお話させて頂きました!

ちょうど先日、楳図かずお先生はTVで『漫画はもう描く気がない』とハッキリ宣言されていまして落ち込んだばかりでしたが…今度は映画をヨロシクと言われました。

もちろん、最近は過去の楳図かずおレア作品の復刻がかなり進んでいるので、端から集めている私。
ちょうど赤白ボーダーのTシャツを持ってる日に会えたりしたら最高だったんですけどね…
今回は工事用の赤白コーンで我慢しておきました。

  1. 2008/09/10(水) 23:27:03|
  2. 古本 番外編
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劇画(52) いけうち・誠一 3 「大型熱血空手漫画 虎の兄弟」

今回は、先日までホラー漫画の所で紹介してきたいけうち誠一先生の、アクション漫画作品で「大型熱血空手漫画 虎の兄弟」(立風書房刊)、全1巻。
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このホラー要素ゼロの作品は、さすがにジャンルを劇画にさせてもらいます。

正確にはこの時はいけうち・誠一と、名義が少し違いますね(名字と名前の間に「・」が入ってますよ)。


-------
第一話出発(たびだち) その一 虎が尾をふるとき
…まず一ページ目でいきなり少年が、酒飲んでる足の不自由な人を乗せたトロッコを引っ張って街を歩いている絵から始まります。
通行人たちは珍しそうにジロジロ見ながら『なんだ、なんだ! こじきかよ』とか言ってまして、この素晴らしい始まりの他にも作中に現在ではヤバイ描写がいっぱいで、昔の香港映画のような危うさがあります。

この二人は兄弟で、トロッコ引っ張る少年が主人公の虎尾次郎
商売で極道組のヤクザにからまれている男を助けると、極道組の用心棒でゴロマキを生業にしている、かつて世界ランキング一位までいったボクサーのファイター湯浅でした。
ちなみにこいつは「あしたのジョー」のゴロマキ権藤そのままなキャラなのですが…
この後もいけうち・誠一先生が梶原一騎先生の影響を受けていると思われる箇所があまりにも多くて、嬉しいです。

大人のケンカ技術を持ったファイター湯浅に始めは手が出ない次郎でしたが、トロッコの上の男が言います。
『みておけ ざこども! 虎が尾をふるとき!
えものをまえに虎が舌なめずりし 尾をふるとき!』

すると次郎の激しい蹴りでファイター湯浅を倒すのですが…トロッコの男は『なまぬるい!』と次郎を棒で叩きつけました。

実はこのトロッコの男、かつて全日本空手道選手権チャンピオンだった次郎の兄・虎尾鬼一で、神埼竜五郎という男の闇討ちで必殺技の"火焔げり"を喰らって二度と立てなくない身体になった過去があったのです。
そしてすぐに次のチャンピオンになった神埼を倒させるため、弟の次郎を鍛える武者修行の旅の最中だったわけですね。
『ふふふふ次郎……たのもしい虎になれい!
竜を食う!! きちがい虎になれい!!』

そうして様々な格闘家達と戦いながら強くなっていく次郎を描いてます。


第一話 そのニ 炎の中の美少女
…ここでは、木剣で猪を殺す女剣士とすれ違いざまに対決、しかも次郎が不覚を取って笑われるのですが、兄から一手しそんじれば死ぬ厳しいケンカ空手修行を受けて、次は見事に勝ちました。
しかしこの女剣士は山王家という、代々、狂人・白痴が必ず一人は生まれるという呪われた家系に生まれた可愛そうな娘だったのですが…座敷牢の前で家に火を付けた白痴の兄の描写がヤバイ!


第二話 カポエラ
…次は何と、ブラジルの奴隷が生み出したカポエラの使い手である黒人のポリーと対決。
これも波のしぶきをよける特訓で無心の体術を身につけ、見事に勝利!
いいな~。カポエラを出すのも、勝った次郎に辛い事を言いつつ、実は後向いて泣いている厳しい兄も、完全に梶原一騎先生の世界ですね!


第三話 人間コンピューター
…既に化物級の強い奴らと戦ってきた次郎ですが、今度は学生が相手の学園モノ風!
とある学校で"スネーク会"という組織を設立した天才のは、人間コンピューターと呼ばれる頭脳の持ち主で相手の次の行動を全て読め、しかも刃が付いたムチを操る恐ろしい奴でした。
これに一度はやられた次郎でしたが、何をするか分からないきちがいと赤ん坊を参考にして、次は勝って錦の野望も壊してやりました。


第四話 ロシアの巨象
…次は世界柔道会の巨象、無差別級チャンピオンのラズモフスキーと対決です。
彼はサンボの達人だった兄を次郎の兄(虎尾鬼一)に試合で殺された過去を持ち復讐のために来日したのでした。
代わりに戦う事になった次郎は、風鳴りの谷で何度も竜巻の中に入り、その中で舞い上がる岩を砕く修行をしてラズモフスキーの"シベリアの雪"をも破って勝利!


第五話 世界選手権試合
…いよいよ最終話で、世界のあらゆる格闘技を一堂に集めて世界で最も強い男を決める"世界格闘技選手権"に次郎も参加します。
最愛にして偉大な師匠である兄と縁を切り、赤城山中で狂った虎となり、孤独な修行を積んで…ついに剛・柔二つに変化する必殺の"虎尾蹴り"を完成させました!

そして試合はタイ式ボクシング、中国拳法等の達人を相手に勝ち進み、いよいよ決勝で宿敵の神崎と対決です!
そして神崎の火焔蹴りVS次郎の虎尾蹴りの激突は…予想以上の変化を見せた次郎の勝利!!

死にかけだったのに病院を抜け出した次郎の兄は、試合会場に行く前に力尽きながらも、通行人に
『世界格闘技選手権は……虎が勝ちましたね!? そうですね!!』
そう訪ねて次郎の勝利を知り、
『そうでしょう………あの虎は………あの虎は………私の弟なんです………』
そう言って嬉し涙を流しながら死んでしまう、感動のシーン!
そして残った一匹の若虎、次郎はさらに大きな虎になるため、また旅立つのでした。


今は誰も描かなくなった、梶原一騎原作の遺伝子的な要素が、一冊に凝縮されていて熱い…。
荒唐無稽で、マジメにやってるのに今読むとギャグ漫画以外に見えなかったり…こんな作品が私は大好きなんです。

これぞ変化技 虎の尾!
虎が舌なめずりして笑う!!
変化をもって強敵を倒した虎がえじきに向かう!!




  1. 2008/09/09(火) 23:36:29|
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トキワ荘(17) 石森章太郎 8 「新・黒い風」

今夜紹介する石森章太郎先生のサンコミックス作品は、全2巻の忍者漫画「新・黒い風」(朝日ソノラマ刊)です。
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これは非常にまぎらわしい作品なのですが、タイトルはこれでも、昨夜紹介した「黒い風」とは関係ありません。
いや、時代設定も登場人物も全然違いますが、そのテーマの続編という意味から付けたのだそうです。

主人公はという、世をすねて渡る孤独な、しかし強い忍者。
ヤクザ達が無法な振る舞いをしている所を通りかかると、
『てめえは恐山の地獄谷にすんでるとかいう 気ちがい小ぞうじゃねえかよ』
とからまれ、
『……ああ おれは気ちがいだ そのせいか 強いやつをみるとムカムカする!』
と言って全員倒し、しかもお礼を言いに近寄ってきた被害者にも
『おれは 弱いやつもきらいだ!』
と言って見向きもしない、徹底したひねくれ者。

ヤクザの追っても倒し、次に…
『めくらでございま~す
めくらでございま~す』

と連呼しながら旅する"闇一族"というめくら集団と出会います。
ここの天市坊というのが座頭市ばりの逆さ斬りでカッコよく強いのですが、リーダーは美女の銀杏さまで、彼女は闇一族の中にいながら目の見えるチビを風の共に付けました。

それから風とチビ二人の旅になり、イタチの平助というスリ、水戸藩士や転場者(テンバ)の連中とのエピソードで物語は進みます。
『おれは おれを殺そうとするやつを 殺されるまえに殺すだけ』
と言って邪魔者は斬り、後に分かるように復讐だけに燃える風は、石森キャラの中でも有数の暗い影を持ったヤツと言えるでしょう。

話が進むにつれて、風は仇を探して旅をしている事が分かるのですが…
その仇について最初は
『身二つの男だ 心がひとつ身体が二つのばけものだ!』
となぞなぞ風に言っていまして、井伊直弼が殺される"桜田門外の変"とからむエピソードで初登場します。
その仇…二つ身、またはと呼ばれる双子で骸骨みたいな顔をした、冥府剣の達人。地獄切りという恐ろしい技があるのですが、邪魔が入って勝負はお預け。

しかし二つ身の方でも風の正体が分かると命を狙ってきました。
風は二つ身によって皆殺しにされた"マタギ一族"の生き残りだと分かるのですが、マタギ一族の秘宝の隠し場所は風の背中に刺青で、しかも死んで体が冷えるとしだいに見えてくる方法で彫られていると分かったからです

次の風VS二つ身の勝負では"夢幻香"というアヘンの一種を使った方法も使われて、風の完敗!
危ない所で闇一族が助けに入ってくれて命は助かりましたが、風が負けた…

他にかつて狼にさらわれた女が狼の群れのボスとなって襲ってくる話、生麦事件で兄を斬られたイギリス人のジムが火筒天狗として襲ってくる刀VS銃の話、あの「章太郎のファンタジーワールド ジュン」のように幻想的で美しい光景を見れる催眠術師達との闘い、幕末の情勢と絡めた風の活躍はまだ続いて最後に新撰組との関わり。

ここで、
そして風はー。
黒い風は この動乱の"時間"を 明治維新をむかえるまで どう生きたのか?
そのうち またそれを書いてみなさんにみていただく機会をぜひもちたいと思っているが、
今回はひとまず ここでお別れということになった。
ご愛読 感謝する。

という作者の言葉が入って、唐突に物語が終わってしまいました!!

闇一族の銀杏さまは不思議な力を持っていたのですが、風を未来の夫と言い、笑う風に向かって
『風どの わたしがばけものなら あなたもばけものです
憎しみで心のねじまがったばけもの……
ばけものどうしなら 似合いの夫婦ではありませぬか?』

と言っていたのでどうなるか気になっていたし…
それより何より風の一番の目的である仇討ち、あのバカ強い二つ身との戦いは!?

石森章太郎先生の作品にはいろんな事情による未完作品があまりにも多くて残念なのですが、この「新・黒い風」は石森忍者漫画の様式美がよく出ていたし、話も面白かっただけに最後まで描き上げて欲しかった…


おまえなんかにわかるか おれのきもちが………!
おれはあいつを殺さなければ いけないんだ!
みつけてズタズタにしなければいけないんだ
それまでは……おれに平和はない



最後に、2巻の巻末に「風を斬る」という、仇の子供をさらって忍術を仕込み、本当の父を仇と教え込んで目的を遂げる忍者漫画の短編が併録されています。


  1. 2008/09/08(月) 23:25:27|
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トキワ荘(16) 石森章太郎 7 「黒い風」

今夜も石森章太郎先生のサンコミック作品で続けますが、今夜はほとんどが忍者漫画で5編を収録した作品集「黒い風」(朝日ソノラマ刊)です。
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いきなり、表題作でもある「黒い風」が傑作。
敵である徳川家康方の忍者集団に襲われて滝つぼに飲まれた忍者"黒い風"が、山の中の一軒家でじいさんと暮らす娘こずえに救われますが、記憶を無くしていました。

頭は忘れていても体が覚えている忍者の技術で追っ手を斬り、しかし敵も味方も分からないために仲間の豊臣方忍者をも殺してしまい、裏切ったと思われて両方の組織から命を狙われる…
黒い風は歴史を変えてしまうほどに重大な秘密を握っているのですが、それは雨の日でも撃て、しかも連発できる新式鉄砲の設計図で、黒い風の頭の中にだけ入っているのです。

次々と襲ってくる忍者達との戦いは激しく、奇想的な忍術も面白いです。
そして親友だった逆巻小二郎をも斬ってしまいました。
忍術による落雷を受けたショックで記憶が戻った黒い風…本名どうやら小月風乃進でしたが、仲間は徳川方に襲われて全滅。

しかし
『なかまは ひとりのこらず死んでしまった………
だが……おれは…ひとりでもやるぞ!
ひとりでも徳川の天下をくずしてみせる……………
ひとりでも……………』

そう決意して徳川を襲い、十三人衆という手ごわい忍者達も倒し…戻ろうとしたこずえの家の灯を目の前にして力尽きてしまいました。

戦国時代と現代は 非常によく似たところがあります。
真実を求めて 巨大な機械文明に反抗を試みる人がもしいたら……
……あなたは"黒い風"です。

と作者のメッセージを残して終わりました。


「ゆか」は、真田幸村の娘である由加姫が、おかかえ忍者である霧隠才蔵に恋心を持っていますが、忍者の掟によりそれに答えられない才蔵。
徳川家の勝利で真田家が滅ぶと由加は家康の物となり、才蔵はめくらで片腕になりながらも由加との思い出の花を持って徳川家に忍び込んで討ち死に。
しかし由加は才蔵の死体を見て知らないと答えて終わる、悲しい作品です。


「忍びの影」も真田幸村の周りで起こる物語。
少女あけみと共の老人三右衛門が大阪へ向かう道中を、甲賀忍者の彦三才蔵緑丸が護衛に付きますが…
実はあけみと三右衛門こそが真田幸村の命を狙う伊賀忍者であり、それを影から見ていた猿飛佐助が暴く、という話。
それぞれが動物を操る"四人衆"という敵の忍術が凄い!


「ある対決」だけは唯一忍者モノではない短編で、節の"敵討ち"にまつわる憎しみの連鎖のばかばかしさを描いた、クールな作品。


「霧隠」は霧隠才蔵の孫である進吾が主人公で、徳川の天下が続いて太平ムードの世の中、忍者達と忍術は金持ちの遊び道具に使われていて、それに反発した進吾は一人でも忍者らしく生きる道を選びます。

『命令だと? 命令……命令……命令のためなら なんでもするんだな
どんなみじめな生き方でも おとなしくハイハイときくんだな
おれはいやだ 忍者の誇りをすててまで生きたくはな』

と、仲間にも追われて斬り、進吾にかけられた賞金目当てで襲ってくる敵達も斬るのです。

山の中で出会って仲間になった、『新しい忍者の生き方を考える』という連中さえも結局金のために進吾の命を狙い、手足を一本ずつ失って追い込まれた時…
進吾はついに霧隠才蔵の"霧隠れ忍法"に開眼して助かりました!
進吾が起こした薄気味の悪い霧について、そこの近くを通りかかった松尾芭蕉が一句詠むというラストが個人的に大好きな作品です。


だが おれはやるぜ
やらなければいけないんだ
もう誰のためでも……豊臣家のためでも 正義のためでもない
自分自身のために……



  1. 2008/09/07(日) 23:01:08|
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トキワ荘(15) 石森章太郎 6 「奇人クラブ」

今夜は石森章太郎先生のSF系作品5編を収録した作品集「奇人クラブ」(朝日ソノラマ刊)です。
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まず表題作である「奇人クラブ」
これはいきなり、宇宙の星々と地球のネオンだけの絵、そして語られる架空の歴史だけで5ページを使うプロローグから幕を開けます。
描かれた当時、既に少年漫画界の超人気者になっていた石森章太郎先生ですが、完全なエンターテイメント作品でありながら、大抵どこかに実験的要素を入れている所が素晴らしいです。

かつては月の魔物でしたが、罪を犯したため醜いけものの姿に変えられたために月では笑いものにあり、そのため地球に逃げてきた奴ら5人が集う"奇人クラブ"
彼らの狙いは100人の人間の血を吸って完全な人間になる事。
それぞれ苦手な物に怯えながら生活をする彼らでしたが、あと10人たらずで本当の人間になれる所で、彼等を捕まるためにガイゲズントハウトという刑事がやって来て…という話。
短い変身モノですが、中に人間になった魔物の娘マコとのせつないラブストーリーも盛り込んである傑作でした。


「おれはだれだ!?」は、自分が誰か分からない少年がわけも分からず命を狙われ、追われている所から始まります。
そして美しいめくらの少女・皆川麻里との短い関わりの後、ロボット アンドロイド サイボーグ、そして合成人間研究所の所員達によって少年は自分が合成人間第一号だと明かされ、失敗作だからと殺されて…終わり。
その死体の顔と、何も知らずに歩いていく麻里の後姿が切ない。


「死人使い」は、土葬の習慣が残る田舎の墓を掘り起こして奪った死体を使って動かし、銀行強盗等の犯罪に利用する一団を、姉の死体を奪われたアキオが突き止めるホラー色の強い作品なのですが、最後に弟を思う姉の死体が奇跡を起こします。


「吸血」は、いきなり石森章太郎先生ご本人が登場し、本当にあったお話として吸血鬼のいる三重県大杉谷昼闇村を訪ねる話。
SF、怪奇の要素よりも全編に流れる"哀しみ"の印象が強い作品でした。


最後の「狂犬」は、石森先生のお気に入りだったという、そして私も大好きな作品です。
けんかっぱやい少年五郎が、高所から落下して頭を打って潜在意識から悪い心が体の外に飛び出し、その心が近くにいた野良犬に乗り移って実体化し…不思議な力で鎖をといた狂犬のように恐ろしい憎しみを撒き散らす話。
ジャック・フィニイのSF小説「盗まれた街」(ドン・シーゲル監督「ボディ・スナッチャー/恐怖の街」の原作)と、ダフネ・デュ・モーリア「鳥」(ヒッチコックの同名映画で有名)がそっくり具現化されるというパロディシーンが見事です。

町の人間が皆おかしくなり、味方は小暮先生と同級生のおすみだけ。
閉ざされた町を逃げ回り…一番怪しかった"大神さま"という宗教婆も殺され、犯人は自分だったと分かると小暮先生らも別世界へ飛ばし、町には誰もいなくなって終わるのです!
こういうのも石森章太郎ではわりと頻繁に見れるのですが、絶望だけを残して唐突に終わる、暗い作品でした。


フフフ 町ニハ モウ ダレモイナイゾ
おれが むかしかんがえた・・・・
ぼく ひとりの町になってしまったんだ!



  1. 2008/09/06(土) 23:44:34|
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劇画(51) 池上遼一 6 滝沢解 3 「モッブ」

今夜は滝沢解原作、池上遼一作画の「モッブ」(スタジオ・シップ刊)。
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単行本は全1巻の、ハードボイルドな傑作です。

タイトルのモッブとは、死神を意味するマフィアの隠語。
主人公早瀬銀八は15歳。その兄でシャブ中の真八は、金筋の博徒だった父・善八を殺され、しかもその死体には男のシンボルが切り取られていた事で復讐の死神と化し…
聴く音楽はブラック・サバス(Black Sabbath)の名盤「ヘヴン&ヘル」(Heaven and Hell)ですよ!

父の死の真相を知るという男に指示されるまま、渡されたリストの暴力団員を殺しまくり、銭湯での殺しで手彫りの鯉の滝登りを入れた刺青を見られ…ついには組織に見つかって蜂の巣にされて死んでしまいました。
母と妹までも巻き込まれて死に…

残された銀八は恋人のと行動していましたが、常に超強度の屈折率凸レンズのゴーグルをして視界を地獄のように歪曲させてる病んだ少年・ガスマン(本名・木村光男)と知り合い、彼の持つ軍隊も含めて車で暴力の旅に出ます。

ガスマン登場以降は、この強力なキャラが主人公のように見えてきますが、彼はニーチェやオスカー・ワイルド等の名言を異常に暗記していて身の拠り所としていて、扇動もヒトラーのように上手いのですが…
暗闇に一人でパソコンを打ちながら、
『ぼく くさった女みたいだ、おちつくんだ……
こんなところを 彼に見られたら恥ずかしくって死んじゃうよ……
もっと強くなりたい………
強くして、おねがいだよPC8001!!』

などと言って泣きじゃくるシーンなんかもあり、弱さも見せています。

このガスマンは女性蔑視思想を持っていますが、親父のメカケに仕込まれて女なんか小六で卒業したのだそうですが、銀八の恋人である静を犯しながら
『分かったようでも しょせん女だな、外観(ルックス)で男を見てる!
つがうんだな、男って……キミの銀サンだってそうだよ、ふふふふ………』

などと言った後、さらに恐ろしい秘密を語ります。

一方の銀八は、警官に連れられて兄を操って暴力団員を殺しまくる命令をしていた男の所に行きますが、その逆光の男の正体は…ただの人形でした。
父を殺したのもヤーサンでもなんでもない、中学生でした。
その中学生が地獄の悪童、ガスマンをリ-ダーとする竹の子ちゅう連中で、しかも実は以前からガスマンを知っていたという銀八自身がその背後にいたという衝撃の事実!!
『銀八よ!おお、地獄の美少年よ!!
真八の背後にいたのは 巨大組織でも何でもない、汝だ!!』

エエーッ?!てなわけで…真相が分かってからも何食わぬ顔でガスマンと去っていくラスト。ガクッ!!

今までのは何だったんだって思うような、しかも張っていた伏線を全く無かった事にし、行き当たりバッタリな物語展開で起こる前半と後半の矛盾、読者を突き放す滝沢解節が全開で、一部の好事家には愛される作品です。


早く行こうぜ刑事さんよ、時間がない!
おたくはんら大人(オジン)とちがってみじかいんだ、青春は!!
やろうぜ、バッチリ!!
これが青春、ハハハハハ!!



  1. 2008/09/05(金) 23:58:07|
  2. 劇画
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友川カズキ ワンマンライブ…サインも頂いた!

9月4日…私は渋谷へ、いた。
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バックの渋谷駅には浦沢直樹原作の「20世紀少年」のマーク。

目的は、あの渋谷アピアで行われた"友川カズキ ワンマンライブ"
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ワンマン名義とはいえ、バックは石塚俊明(頭脳警察のトシ)氏と永畑雅人氏だからヤバイのですが…

私が世界最狂の歌手、詩人、画家であると信じて疑わない孤高の創作者・友川カズキ(旧名・友川かずき)様の音楽を聴くには自分のスタミナも付けておかねばなりませんので、まずは"ゴーゴーカレー"へ行き、
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ここのメジャーカレーってヤツを喰らったのです。
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ひぃ~、凄かった…

店内に弘兼憲史先生のサイン色紙が飾ってありましたよ!!
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も一つ、有名な野球の人のも。
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そして、いよいよ渋谷アピアへ。
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中は撮影禁止なので、素晴らしすぎるライブ写真はありません。
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まぁ友川カズキ様の烈しいライブ、そしてMCが良すぎるのは当たり前。

今回の私が頑張ったのは、「ココ」で紹介した作品「詩集 吹雪の海に黒豹が」に、サインを頂いた事!

10代後半で彼の音楽に出会い、それから10数年聴き続けている…
それも音楽の性質上、BGMではなくじっくりと耳をかたむけて聴いている歌手ご本人に、初めて突撃した私の声、そして足は振るえました。

ライブスペースの隣りで酒を飲んでいた友川カズキ様は快くサインをしてくれて、自ら手を差し出してきて握手もしてくれました!
頂いたのはこれ!!
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嬉しすぎて倒れそうになりました。今でも本を見てニヤけてしまってます。


そうそう、ライブ中のMCで、北京オリンピックと日本人の民度の話、競輪の話、ヤクザになった親友の話、外にある垣根(渋谷アピアのトイレ)の話、ラジオDJの話、頭脳警察の追っかけやってた時代の話、そして石塚俊明氏については金玉の話やらいろいろでいじってましたし、とにかく貴重な話をいくつも聴けたのです。

中でもライブ会場外の垣根を渋谷アピアのトイレだと言い張っていた事について…一緒に行った友人が休憩時間に中のトイレで順番待ちしていたら、何とそこにいた男達は友川カズキ様に誘われて、連れションしたそうです!!
呑気に会場でビール飲みながら後半の開始を待っていた私は、全くそれに気付かず、後で聞かされて悔しかった…
せめてもとライブ終了して帰る前に、友川カズキ様が放尿した正確な位置を聞いて、私もやりました。
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犬の匂い付けか!!
(アルバム「桜の国の散る中を」の一曲目、「犬」は超名曲です)


この写真は、高円寺に戻ってサインして頂いた「詩集 吹雪の海に黒豹が」を読みふける私。
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この本の装丁イラストは日野日出志先生!
次に日野日出志サイン会等があったら、日野先生にもサインを頂いて、二人の偉人サイン入りの最強本にしようかな。


皆様も、友川カズキ様が本業の(?)競輪生活に入ってしまわれる前に、ライブに行っておいた方がいいですよ!!


  1. 2008/09/04(木) 23:51:02|
  2. 映画、音楽、将棋、等
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ホラー漫画(20) いけうち誠一 2 「マクンバ 呪い」「呪いの画像は目が三つ」

「マクンバ」-
それはポルトガル語で
「呪い」を意味する



というわけで、今夜もいけうち誠一先生の作品で続けますが、「マクンバ 呪い」「呪いの画像は目が三つ」(立風書房刊)でいきますよ。
IKEUCHI-noroinogazouha-megamittu-makunba.jpg
これもやはり前回の「くらやみクラブ」と「私は心霊少女」を紹介した時と全く同じく、ジャケとタイトルが違っても本を開けば同内容という例の立風書房のレモンコミックス手法ですね。
まぁこれも同内容と知りつつ両方持ってる私がどうかしてますが…

今回も原作に超常現象研究家の中岡俊哉先生を迎えていて、舞台は東京都の青木中学。
ここで講堂を新しく改築する事と、それにて発生する"たたり"問題で物語の幕が開きます。

講堂の工事が始まると本当に事故が相次ぎ、同級生は呪いによって歯が黒くなって落ちなくなったり、老婆になったりしてしまい…
夢のお告げから主人公の少女・国府田妙子に原因があると分かります。

ちなみにこの一冊、
『この物語に登場する超常現象はすべて事実である』
という前提で進むからビックリします。
いや、それほどトンデモナイ話なので。

一番の鍵となるのは本のジャケにも載ってる三つ目の絵なのですが、種を明かすとこれは怨霊のこもった呪われた絵で、妙子の先祖の因縁から国府田家への恨みを込めて血で描かれた絵であり、その呪いは数百年経っても消えずに絵の周辺に奇怪な霊現象を起こして人々を苦しめ続けているのです。

この絵が最初を講堂から最初に掘り起こしたのは、学年一の美人・西条亜希子を自分のものにと狙う醜男の黒田幸夫
彼は祈り続け、ついには亜希子を自分のものにしますが、そのために亜希子は猫に憑依されて狂い、崖っぷちで幸夫と揉み合って絵は遠くに転がっていき…

次に絵を拾ったのが、正当防衛とはいえ人を殺してしまった友子
彼女はせっかく玉の輿に乗ったのに罪の意識と異常な現象に悩まされて自殺しました。
ご丁寧にもこの死んだ体から抜けて行ったエクトプラズム(霊魂・幽体)の生態や重さの話まで説明されるのが、原作の中岡俊哉先生らしいですね。

それから妙子は仲間のノン子、ひろし、こうじと共に有名な青森県の恐山へ行き、イタコに林崎の五智如来へ行けと命令されます。
それから妙子の祖先がやった極悪非道の仕打ち、一家五人を苦しめながら三日間もの間少しずつ焼き殺したという事実だとか、その恨みを持つ続ける子孫が信州の山奥の落穂村にいる事まで突き止めますが…

それにしても、原作者の指示でしょうが超常現象紹介に主眼を置くばかりにホラー描写には弱いいけうち誠一先生の作品ですが、この妙子の祖先が行った人の火あぶりだけはけっこう残酷ですね。
『三日三晩 わたしらは火にあぶられたのだ!!
皮ふは焼かれ 肉は蒸され…………
血は煮えた!!』

と言うすさまじい説明文と共に出てくる絵も、けっこう凄い。

かつて祖先が蛮行をしたらしい落穂村に行った妙子達は、国府田家を呪う張本人の婆ちゃんと知り合い、その孫のちほと友達になったために…
婆ちゃんの孫を思う悲しい気持ちと絡まって、物語は収束に向かいます。

一度はヒロインがこんなに醜くなっていいのかと心配するほどの顔になった妙子でしたが、婆ちゃんは先祖の命令よりも可愛い孫のちほを思って、我が身を犠牲にして地獄へ行きました。
そして、五百年も前に生まれた怨念が消え…終わり。

一冊使った作品のわりには主要キャラクターの個性がまるでないまま終わってしまいましたが、タイトルのわけわからなさ、他に見所、突っ込み所はいくつかあって放っておけない作品…
「マクンバ 呪い」「呪いの画像は目が三つ」でした。


目をつむり、手をあわせて神仏に祈ったことのない人はいない。人々はそうした自分さえ笑おうとするのか。
近年のオカルトブームはなんだったのか。この科学の時代にこそ、霊、怨念の世界に興味を持ち、それをのぞこうとしたのではないか。
笑うことをやめよう。

霊の世界、それは、我々自身の心の底の世界なのだから………。



  1. 2008/09/03(水) 23:27:00|
  2. ホラー漫画
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ホラー漫画(19) いけうち誠一 1 「くらやみクラブ」「私は心霊少女」

今夜は初登場のいけうち誠一先生の「くらやみクラブ」「私は心霊少女」(立風書房刊)です。
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一気に2作品の紹介というわけではなく、この二冊は全くの同内容。
この立風書房のレモンコミックスではありがちな、同内容作品をタイトルとジャケ違いで再発し、それをまた新刊扱いで売っていた手法です。

まずいけうち誠一についてですが、この方は白土三平先生の赤目プロでアシスタントをしていた方らしいです。
独立してからはアクション漫画やオカルト漫画を得意とし、横溝正史金田一耕助シリーズから「犬神家の一族」「獄門島」「悪魔の手毬唄」という名作を次々漫画化したりもしていたのですが…
今ではすっかりゴルフの事ばかり描いたり語ったりしてる、ゴルフ漫画家になってしまいましたね。
この現状はホラー、オカルト漫画ファンには悲しい事実ですが、一般的に知られる代表作は全10巻にもなる「ゴルフは気持ち」という認識でしょう。

そしてこの「くらやみクラブ」で監修として名を連ねているのが(「私は心霊少女」の方では原作としてクレジット)、中岡俊哉先生!
この中岡俊哉先生をご存知でしょうか。超常現象研究家として一部では有名な方で、超能力、UFO、怪獣、心霊現象…こういった物を探求し続けて世界各国を回り、一説では2001年に亡くなられるまでに四百冊以上の著書を上梓したのだとか!
つのだじろう先生の「うしろの百太郎」でもチラッと登場しています。

中岡俊哉先生が監修しているからこそ、「くらやみクラブ」に見所がグッと増えているのが分かります。
正直いけうち誠一先生一人では、B級エンターテイメント作品としても面白味に欠ける作品だったでしょうが…
随所に散りばめた知識や伝説が、胡散臭さも含めてかなり活きています。

「くらやみクラブ」は読者を怖がらせるよりも超常現象を紹介して興味を抱かせる事に重点を置いた内容になっていて、特に子供なら確実に、前よりも不思議な現象に意味を見出すようになるでしょう。
もちろん、中岡俊哉先生自身は大の大人ですし、書くこと全部を信じ込んでいるわけではなく、事の真偽なんかより面白さを重視する方なんだと思います。

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それでは「くらやみクラブ」のストーリーを追ってみましょう。

東京都の不覚中学校二年の生徒・ひろし、同級生で学校の総番長で冠木光次ことマジンガ、ブスのマリ、そして転校生で美人、しかも金持ちの娘なのに深い悲しみを抱える下条奇子(実はこの人が主人公)の四人が、第1話目『恐怖のサイキック円盤』でいきなり円盤が起こした不思議を目撃して以降"くらやみ倶楽部"という名の、超常現象研究の倶楽部を結成します。
タイトルでは倶楽部の字がカタカナですが、本文中では漢字なのです。

『オレたちはまだ何も知らない…… 宇宙のこと そしてオレたち自身のこと……
奇妙なできごとが起こると ただふしぎがり おろおろするだけだ
しかしそれは実際に起こっているのだ!! 現実なのだ!!
この超常現象をオレたちは見つめていこう! そして考えていこう!!
おれたちをくらやみ倶楽部と名づけよう!
超常現象という まだ何もわかっていない だれもわかろうとしない世界に少しの光でもさしていこう!』


当然彼らの周りでは不思議が続出するのですが、第2話目『恨みの心霊写真』ではスケバンのお定が幽霊に襲われる事件があり、早速くらやみ倶楽部の出動!
幽霊とは何か?このナゾのくらやみに光を当てるべく訪ねた先は…何と監修の中岡俊哉先生ご本人!作品にも登場してきました!!
ここで心霊写真も使いながら長々と幽霊についての講義を受け、奇子が学校の自縛霊に取り付かれて自動書記で手紙を書かされたりしますが…最後に奇子が身をもって示した勇気によって自縛霊の怨念は解かれました。

第3話目『死を呼ぶ呪い』では、念力(サイコキネシス)による呪いが描かれます。
マジンガの父親が起こした自動車事故で妹を失った少年が逆恨みして、マジンガを殺すべく不気味な呪文とワラ人形で呪い…
それに気付いた奇子が呪いの怨念を取り除く最も強力な念力、"脱魂術"でマジンガを助けます。

奇子に何故そんな力があったのか、何故にそんな悲しい顔をしているのか…
それは第4話目『よみがえるミイラ』でようやく明かされるのですが、奇子は実は超能力者であり、それによってずっと、私は人間なのかと苦しめられていたのです。
ここではくらやみ倶楽部の四人は黒崎先輩に連れられて東北の山奥の村へ行き、四百年前のミイラと関わります。
タブーを笑い、罰を恐れない黒崎先輩が守られてきたミイラの棺を壊して呪いを受け、最終的には死んでしまうのですが…
ミイラの正体はインカ大帝国の神官にして太陽の神の子であり、奇子はその子孫だと分かる重要なシーンがあります。
つまり日本に流れてきた神官の神秘な能力が、現代の奇子を超能力者にした…その謎だけ伝えると、奇子の涙と共に流れる土砂の下へ、ミイラは消えてしまいました。

最後の第5話目『おれは超能力者だ』で、コックリさんなどをやって自分を超能力者だと思い込んでしまった小野寺が、学校でその超能力者の地位を守るために『三日後にひとりの女の子が行方不明になる』なんて予言し、それを本当にするために自ら誘拐してしまうという事件を描きます。
超能力者は本当は寂しい者だと知っている奇子が事件を解決し、しかも初めて同じ本物の超能力者である山科茂という子供をくらやみ倶楽部に入れて物語は明るく終わり。

巻末特集に『オカルト用語事典』というのもあって、それの内容がわりと充実しているのも、中岡俊哉先生が監修しているおかげでしょう。

宇宙の世界 自然の神秘 人間の不思議
われわれはまだ何も知らない
UFO 霊 超常現象
このくらやみにとざされた世界に光をあてていこう!



  1. 2008/09/02(火) 23:59:59|
  2. ホラー漫画
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SF漫画 (10) 塚本俊昭 1 「SF宇宙最終要塞」「SF第2地球誕生」

久々にSF漫画も紹介しておきましょう。

今回は1949年生まれ広島県出身の、塚本俊昭先生。
良質のSFを描いていたので好きだったものの、私が大昔に漫画作品集を二冊購入して存在を知って以降、他の作品を探し始めたのですが既に漫画は描いていないようで…
もはやカルト漫画家扱いで情報に乏しいのですが、実は現在もイラストレーターとして活躍しているようです。

そちらの仕事は、高橋克彦菊池秀行田中光二といった日本SF小説の大物作家の作品や、ジャパメタバンドConcerto Moonのアルバム「From Father To Son」のジャケットなんかでイラストを見る事ができますよ。
私もかつて早川書房やサンリオのSF文庫を集めて、海外SF小説を浅いながらも読みまくっていた時期があるのですが、そんな時にこの塚本俊昭先生の漫画にも出会ったのでした。

SF、つまり"Science Fiction"。
または科学は無知である藤子不二雄先生の言う"すこしふしぎ"(Sukoshi Fushigi)の略であるこの言葉には、科学的な物や未来世界、ロボットや宇宙ばかりでなく、ファンタジーやサイバー・パンク、スチームパンクまで全部入ると思うし、夢いっぱいなんですよね。

私が読んできたSF小説はわりとベタな部分だけなのですが、古典SF作家であるジュール・ヴェルヌH・G・ウェルズあたりはもとより、ジョージ・オーウェルアーサー・C・クラークアイザック・アジモフといった超有名所、ロバート・シルヴァーバーグシオドア・スタージョンウィリアム・ギブスン
特に好きで、今でもたまには読むのが60年代くらいのフィリップ・K・ディックレイ・ブラッドベリあたりかな。やはり病んだSFが好きなのでしょうか。かなり文学的だったりしますしね。

話を塚本俊昭先生に戻して…
その二冊の漫画単行本「SF宇宙最終要塞」「SF第2地球誕生」は共に芳文社より1978年に刊行されているもので、雑誌漫画パンチ(芳文社刊)にて"SF近未来シリーズ"として連載されていた短編作品を収録しています。
TUKAMOTO-SF.jpg

内容はジャケで連想されるようないかにもな宇宙SFばかりではなく、シュールな奇想作品も目立ち、幅広い作品集になっています。
意外にも宇宙人なんかは一度もハッキリと姿は表しませんし、宇宙や未来の科学が舞台の作品でも奥にあるのは人間ドラマなのです。

経歴はよく分からない塚本俊昭先生ですが、絵は始めから上手くて、人物の顔が真崎守先生にそっくりで驚いていると、「SF宇宙最終要塞」の巻末推薦文を真崎守先生が書いていて、それによるとどうやら塚本先生はの真崎守先生のアシスタント出身のようです。
それなのにここまで一貫したSFの世界…つまり真崎守先生とは全く違う物を描いてるのですね…。


いくつも好きな作品はあるのですが、まず「富士噴火大作戦」
一年後の日本に壊滅的な被害を出すであろう大地震を予測した政府の中、地震の専門家である金子という男が地震そのものを防止する方法として、地震エネルギーを火山エネルギーに転換させて富士山から噴出させるアイデアと方法を提案し…見事に震度3の小地震に抑える事ができました。
それも静岡県は富士山の近くにある、育った孤児院と子供たちを守るためだったと分かり、泣いて富士山の噴火を見ながら
『富士さん あなたのおかげで 子供たちといい正月がむかえられる……
ありがとう 富士さん』

と言うラストがいいです。


「原爆ジャック」は米軍が起こした事故によって妻と子が瀕死の重傷を負わされた原子物理学者の川島博士が、入手した原爆を持って東京タワーに立てこもり、息子が死ぬ時は何十万人の命を道連れにすると言い…
そこで病院が残っていた脳だけ生かしてサイボーグ手術をして息子を生かす、という話なのですが、ここで科学の進化が絶対に正しいのかと神に問いかけるようなテーマが見られます。


「生命創世記」は木星で生物が発見され、かつて解雇されたNASAの元宇宙生物班メンバー達が再び召集する話。
ついに塚本俊昭であからさまな宇宙人が?と思いきや、この生物はかつてヘンダーソン博士が品種改良して酸素の無い世界でも生きられるようにして造り上げ、卵を木星に送り込んだ生物なのでした…
そこにある真意、それと芋虫そっくりな木星生物の造りも好きな作品です。


「空中都市大崩壊」は、才能あったのに貧乏であるためにある金持ちの同級生に利用され、虐げられ続けた風原による壮大な復讐劇がカッコいい。
『人間も都市も一緒さ 頭と手足がバラバラじゃあな
つまり自己矛盾だよ その結果自己崩壊が始まる』



「原子力空母轟沈」は、アメリカの原爆にやられた広島県出身の自衛官がある事件をきっかけに怒りの攻撃を開始する話で…一度の敗北と戦後の洗脳によって、もはやポチとなった日本を考えると痛快さもある作品ですが、これもオチがあって現実ではありませんでした。


「千年王国教」は凄い名作で、奇跡を起こす新興宗教団体の恐るべき陰謀の話。
すでにサイボーグ手術やロボトミー手術も実用化している、科学力に先んじた千年王国は理想国家の建国を目論んでいて…
『これはまぎれもない奇跡よ 科学は奇跡をつくれるのよ
三百年前の人が現代にきたら奇跡がおこなわれていると思うようにね』

との梨子様の言葉はごもっともです。ラストもいいですよ。


他には「北極点炎上」「ヒットラーの帰還」「輪廻の風」「超兵器の墓場」「巨獣世界」「月をとばせ」「神のメッセージ」「宇宙最終要塞」「SF第2地球誕生」「スペース博物館」「人間消滅」「鎖国ニッポン」といった作品が収録されています。

塚本俊昭先生はこれだけの実力で、どうしてSF漫画家としては少しだけ先輩になる諸星大二郎先生や、星野之宣先生のような市民権を得られなかったのでしょうか…
そのために他の作品を読む事が出来なかい事が残念でなりません。

  1. 2008/09/01(月) 23:16:31|
  2. SF漫画
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Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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