大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

トキワ荘(33) 石森章太郎 24 「宮本武蔵」

今夜の石森章太郎作品は、希望コミックス(KIBO COMICS)「宮本武蔵」(潮出版社刊)です。
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現在においても侍の中で人気NO.1と言える宮本武蔵の話、伝説はいろんな物があるわけですが、これはやはり一番有名な吉川英治版の小説「宮本武蔵」を採用して石森章太郎先生がコミカライズした作品で、初出は希望の友の増刊号にて1971年に開始したモノで、単行本は「(上) 挑戦!一乗寺」「(下) 決闘!!巌流島」の全2巻。
宮本武蔵の著した兵法書、「五輪書」と同じく『地・水・火・風・空」』の五部構成になっています。


美坂国(岡山県)讃甘郡宮本村…
悪童と呼ばれた少年時代から、十三歳にして兵法者の新当流有馬喜兵衛をうち殺し、十六歳で同じく兵法者の但馬国秋山をうち殺し、和尚に捕まって寺の千年杉に吊るされ、
『おまえの強さは猪の強さ…狼の強さじゃ!
けだものの強さであって 人間の強さではない!人間の知恵がない!
けだものはいくら強くても人間には勝てぬのだ
おまえは武士になりたいといっておったが ほんとうの武士の強さとはそんなものじゃない!
こわいもののこわさをよくしり 他人の生命もおのれの生命も愛しおしみ
その生命をすてる場所と時とをちゃんと心得ておる
文と武 知恵と力がひとつの道と知ってこそ
まことの人間 まことの強い武士なのじゃ!!』

などと教わり…今後武蔵をずっと慕う事になるつうによって助けられて、武蔵は一人で村から旅立ちます。
 
それから武者修行をして吉岡清十郎吉岡伝七郎と連覇して吉岡兵法家を絶やし、宝蔵院流槍術の奥蔵院道栄、鎖鎌の宍戸梅軒も倒し、二刀を用いる"二天一流"の祖となり…
と、まぁ有名なお話が続くのですが、ずーっと慕って追ってくる女・つうをなだめすかし、ごまかして逃げ続ける武蔵はヒドい!
もちろん女連れで剣の修行が出来るわけもなく、家庭持って落ち着いていたら有名にもならなかったでしょうからね。

もはや宮本武蔵の名は天下に知れ、名声を求めて次々と挑戦者が現れるわけですが、神道夢想流杖術の夢想権之助という男…これが弱いのですが、つうを連れてきました。
それで不動の心を念じていたはずが乱れてしまった武蔵は、また逃げるように去り、つうはますます悲嘆に暮れる…
ずっと後に権之助とつうが夫婦になって子供も生んでいるらしい光景を見て、武蔵がホッとするシーンがあります。
どんな「宮本武蔵」でも必ず美人に描かれるつうですが、実は酷い醜女だったために武蔵は逃げていた、とかだったら面白いですね。

そして"物干竿"と呼ばれる長剣を持って燕返しを自在に使う厳流佐々木小次郎と、最も有名な"巌流島の決闘"で制して去っていく…
この二十九歳までの武蔵を描くのが吉川英治「宮本武蔵」でしたが、石森章太郎先生はさらに人生の終了までを描きます。

もはや天下に強敵のなくなった武蔵は伊織という孤児の少年を養子にし、柳生兵庫助の言葉で徳川家は武蔵を召しかかえるのは止めるのですが、その理屈が武蔵の兵法は独自の精気を用いる武蔵だけのものであり、技ではないし他人には学ぶ事のできないものだからだそうです。
その事に触れて石森章太郎先生、
『むしろそれほどに秀れていたことの証拠であろうと作者は思う
ひとつの技 ひとつの芸というものは 本来それをつくりあげた個人の(個性の)ものであって
それを細分化して誰でも"金さえだせば買える"ようなことのほうが まがいものであると感ずるのである』

等と言ってますが、まさに言いえて妙だと思います。

それから一気に晩年になり、武蔵は五十七歳で九州は肥後の熊本にある細川家に客分として招かれ、死ぬまでここに住む事になります。
金峰山中の"雲厳寺"奥にある霊厳洞で書を書き、絵を描き、彫刻を彫って、座禅を組む日々…
そして六十二歳で逝きました。
現在は熊本市から東北六キロの大津街道かたわらに"武蔵塚"が残っており、この作品のラストページで出てくるのですが、宮本武蔵に憧れた私はそこを訪ねた事もあります。

波乱の生涯をストイックに剣だけに生きた宮本武蔵…というより吉川英治の小説「宮本武蔵」があまりにも素晴らしいのです。
この漫画版は演出も良く出来ているのですが、全2巻では小説を上手くまとめたダイジェスト版といった印象を拭えません。原作の持つ哲学的な部分をもっと描いて欲しかったです。それはそれでは少年読者が付いてこれないためにカットした部分だったかもしれませんが。
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私が所持する同作品はもう1種類あり、角川書店から2002年に再発されたこちらは分厚い本で全1巻です。長野剛氏によるイラストを使用した、この表紙もなかなかグッド!


剣の道も宗教の道も 道の果は同じと思っております
いえ…剣の道のむこうに宗教の道が広がっておると申しましょうか……!
だから私は闘うのです!おのれをためし続けるのです!!
そして……勝負をする以上は必ず勝とうと心がけます!
負けたら…その向こうを見られませぬから……!!



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  1. 2008/10/31(金) 23:09:21|
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トキワ荘(32) 石森章太郎 23 「太陽伝」

今夜の石森章太郎作品は、希望コミックス(KIBO COMICS)「太陽伝」(潮出版社刊)です。
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1968年に希望の友にて連載されていた作品で、単行本は全2巻。

このタイトルだと日野日出志先生の「太陽伝」を思い出す人も多いかもしれませんが、石森章太郎先生もこのタイトルの作品を上梓しているのです。
それも子供に受けないと言われていた幕末、維新の時代を舞台に挑んだ傑作なのです。

主人公は、日本一の剣士になるため江戸に出て北辰一刀流の"千葉定吉道場"に入門する旗風乃進
途中で捕まえたゴマノハエ(スリ)、イルカの吉次『かんがえてみりゃ金がないから盗みをするんだな ホラおいらの半分やるよ』と惜しみなく与えた、その男気に惚れた吉次が無理矢理子分になって…

道場の四天王という千葉重太郎紫左近五里無宙矢吹猿馬とドラマチックに出会い、すぐに仲間になりますが…
吉次が盗み出した江戸城の財宝を狙う悪党達の連判状が元で命を狙われる事となります。
しかもその敵は城代家老・田坂友太夫を含む大物達だった、と。

千葉定吉をして、
『風乃進の強さは・・・・八方破れ 天衣無縫 自然の底知れぬ強さだ!
・・・・才能!これは持って生まれた才能なのだ!
その才能に技術がつけば・・・・あの子は江戸髄一 いや日本一の剣士になるかもしれぬ!』

と思わせた風乃進の活躍がこうして始まるわけですが、もちろんこの時代のスター達である坂本龍馬西郷隆盛勝海舟、そして新撰組の面々等とも関わっていくので幕末の勉強に…は、これだとならないかな。でも子供達が興味を持つきっかけくらいにはなったでしょう。

この「太陽伝」における一番の強敵が青見泥邪鬼という浪人で、矢吹猿馬の片腕をあっさり斬ってしまうほどの腕なのですが…
この青見泥先生、嬉しい事に「新・黒い風」に出てきた主人公の仇、あの二つ身(またはと呼ばれた)骸骨顔の奴と同じキャラです!
しかも後で分かる事に双児でして、同じ顔の青見泥幻鬼というのまで登場するから、ますますかぶる。

それから悪党達の黒幕には田坂以上の大物がいるらしい事が分かりますが、慶応三年の龍馬が中岡慎太郎と共に殺される事件が描かれ、犯人を捜すうちに大政奉還…
絶望のどん底に立たされた風乃進は、それでも『ま 負けてたまるか!負けるもんか!!』とつぶやきながら太陽の下へ歩いていき、終わり。

おそらくは急な連載終了のため、中途半端に終わった登場人物達もいますが、SFマニアでありながら北斎広重等も愛した石森章太郎先生の描く江戸風景も楽しめる作品でした。


ウ…ウヌ ウヌ小僧
よ よし いいだろう きさまのいうとおり生きてやる!
い 生きのびて………この恨みを必ずかえしてやるぞ!

きさまにつきまとって
きさまの死ぬまで!
きさまを殺すまで!



  1. 2008/10/30(木) 23:18:19|
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トキワ荘(31) 石森章太郎 22 「千の目先生」

今夜の石森章太郎作品は、サンミリオンコミックス(SUN MILLION COMICS)の「千の目先生」(朝日ソノラマ刊)です。
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1968年にティーンルック(主婦と生活社刊)にて連載された作品で、単行本は全2巻。
「好き! すき!! 魔女先生」と題してテレビドラマ化もされた事があるのですが、そちらは私は未見です。

掲載誌で分かる通り女性向け劇画で、名門女子高である"白鳩女子学園"に現れた新任女教師、千草カオルを主人公とした学園ドラマ…と思わせつつ、これが実に石森章太郎節を炸裂させたSF、超能力漫画(萬画)でした。

生徒の秘密を見抜いた後で『ウフフ だってあたしは……千の目を持ってるんだもの』と微笑んだ事から"千の目先生"とあだ名が付いた英語教師の千草は、超能力者でした。
トキワ荘五号室に住むイラストレーター、画家の卵の坂本三郎(サブ)が名字違うけど兄として出てきまして、当然「ミュータントサブ」「イナズマン」の主人公と同じ名前なので分かる通り彼も超能力者にして石森作品の定番キャラ。

平凡な少女で"小料理やましろ"の娘、山代夏子が思春期特有の悩みを抱えるのですが、憎しみや怒りを引き金に彼女も超能力を使うようになり、そのショックで高熱を出して寝込んだ所を千草が心の中に入って治療すると、コロッと治ったと同時に性格が変わってクラスの女王様のようになります。
その夏子には、何と千草やサブの何倍もの超能力が備わっていて…
そう。この少女が主人公より強い能力を持つという設定は異質ですね。

それから千草達は夏子を味方に付けるべく頑張るのですが、それでは敵とは誰か…
これが宇宙からの侵略者で、彼らの乗り物が空飛ぶ円盤だと言います。
元々千草達は、"彼ら"に対抗するために超能力者の素質がある地球人で結託する事が目的なのです。

「幻魔大戦」のようになってきましたが、これを少女漫画として連載していたのだから凄い。
それから地球人の超能力者軍団(というには少なすぎですが)対侵略者達の、スパイも使った騙し合いがなかなかエキサイティングで、何とずっと千草が下宿していた"頭光寺"の和尚までもが"敵"の一味でした!!
しかも超能力者同士は手を握って人間を滅ぼさなくてはならない、国境とか領海とか思想や人種が違うというだけで殺しあうのが人間という動物なのだから…等と言って仲間に引き込もうとされますが、幻想的な超能力合戦の末に結局は夏子の活躍で地球人側の勝利。

…という所までが第1部で、また振り出しに戻って(?)海辺の漁村を舞台に「千の目先生」第2部が始まります。

今度は千の目先生、この村の"波丘高等学校"で起こる人魚事件を解決する話。
盛根のタネばあさんという、口寄せ等も出来る魔法使い婆のワラ人形を使った呪いに苦しめられ、漁村の漁師達と金儲けのために観光地として開発しようとする東京の会社の社長との対立、松宮五月という女子の苦しみ。

この五月は、村を飛び出しておきながら片腕になって帰ってきた兄・五郎がかつての恋人に『片輪の貧乏人に用はない』と笑いながら言われたために殺してしまう現場を見たため、兄をかばうためタネばあさんに脅されるままに超能力を使っていた…
五月には人間の細胞の配列、組立てを変化させてちがったモノにしてしまう力があった、というのが人魚事件のオチだったのですが、これも五郎が自殺する悲しいラストを迎えました。

あ、第1部の宇宙からの侵略者は無かった事になっていて、これで終わりです。
ただラブロマンスとSFを織り交ぜた演出、悲しさと怪奇要素…画力にもこの頃は力入れてますし、石森章太郎先生のヒロイン物では傑作と言っていいのではないでしょうか。


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さらにこの「千の目先生」二巻の巻末には、ファンにすらほとんど知られていないながらも私が名作だと認める短編が2編収録されています。

まずは「青い馬」
簡単に言えば高校生、望月ジュンの"性"の目覚めを描いた作品で、そんな話題しかないクラスの低俗な奴らに反発しつつ、自分も確実にいやらしい想像をするようになってしまい…
火山が噴火する壮大な絵をバックに馬が駆け、立つシーンで初の夢精をする所は素晴らしすぎます!
思春期の男女を描く胸キュン系の傑作でした。

そして「鋏」
これはトキワ荘というアパートに住んでいた石森章太郎先生自身の体験を描いたドキュメントっぽいサイコホラー。

高垣由美という明るい少女は、中学時代から石森ファンとして押しかけてきていたのですが、ある時に八橋美子というおしとやかな友達を連れてきて…
そして二年が経ち、石森先生にも婚約者が出来て二人にその田綱利子を紹介し、それから二人で遊びに来るようになりました。

それから二年と八ヶ月。
突然の電話で大人になって笑顔を無くした由美と会い、あの後の事を聞いたら美子は石森先生が婚約したショックで精神に傷を負い、鋏で手首を切る自殺未遂をしたとか話されるのです。
別れ際にプレゼントを渡されたので開けてみるとそこには血の付いた鋏。そしてそれを渡す由美の手首にこそ、生々しい傷跡が付いていた、という話でした。
これは怖い…


さあナッちゃん おとなになるのヨ!心の目をひらいて
…あなたの力は………必要な力なのヨ!敵とたたかうための…
地球は あたしたちの住むこの美しい星は…
いま恐ろしい邪悪なものの 侵略をうけているワ!
あたしたちはそれと……たたかわなければいけないのヨ!
あたしたちの生活を守るために



  1. 2008/10/29(水) 23:40:56|
  2. トキワ荘
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劇画(56) 深谷陽 2 「楽園夢幻綺譚ガディスランギ」

今夜は深谷陽先生の「楽園夢幻綺譚ガディスランギ」(リイド社刊)です。
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2001年にリイドコミック爆という一瞬で休刊した雑誌にて連載され、大幅加筆して単行本化されました。

深谷陽先生といえば東南アジア系が舞台の紀行漫画の名手なのですが、これは妖怪のような神々がたくさん出てくる伝奇アクション作品ですよ。
今回も東南アジアが舞台ではあるし、いつもの魅力にあふれていますが。


主人公は日本人旅行者のタロー
彼が旅先で知り合った年齢国籍不詳のハキームと共に、楽園と呼ばれるガディスランギの地を訪れて、とんでもない事件に巻き込まれる話。
とはいえ前に紹介した「P.I.P. プリズナー・イン・プノンペン」のようにリアルで怖いモノとは打って変わって、幻想的な雰囲気に包まれたアドベンチャー、そしてファンタジー作品なのです。

ガディスランギで悪者達が神域を汚して神獣を殺し、その体内から"血の石"と呼ばれるルビー原石を奪い始めると、神々も人間を狩り始める…
この神々が神獣と呼ばれるバケモノ達なのですが、造形が素敵な上に迫力あっていい!

そんな神獣をタローは馬乗り(マウントポジション)になって素手で殴りまくったりするから度肝を抜かれますが、彼の家系は呪術だか陰陽道の家で、親のはからいで普通の子供にすべく呪術は教えられず、ただ武術だけは仕込まれて育ったそうです。

このタローが百年ぶりに、太古からの地母神である"月天女(デウィラティ)"に選ばれた"血の男(ラキダラア)"だと分かり、神殺しの災厄を鎮める"鎮めの大祭"のつとめを果たします。
父親が日本から駆けつけてくれて謎が解けてくるのですが、タローの家系は正確には道教の特殊能力者"伝説の童乩"だとかで、前から出ていた呪(マントゥラ)で神獣を手玉に取る美紅(メイフォン)は実の姉、たまに"月天女(デウィラティ)"に取り憑かれていた少女アヤセ ミホ(美帆-メイファアン)が義理の妹でした。

ガディスランギの地に生まれた生き物は全て神獣となる素質があったそうで、タローに想いを寄せるフェイもバケモノ化して人を襲うのですが…
タローが自らの血の陽気で獣化を解いて、神殺しそのものも鎮めて楽園に戻す。

そしてタローに残された最後の役目は、『罰当たりかました人間から神への詫びとして「血を捧げる」』というモノなのですが、これはあまりにも美しい月天女と肉体で結ばれる、羨ましいもの。
しかも全てが終わると、ちゃんと下界でミホとのロマンスが待っているんだから、いいですね。

こういう絵の魅力と流れる雰囲気を楽しむ作品は、ストーリーを簡単に書いても何も分かるわけないので、多くの人に実際に読んでみてもらいたいものです。


そんなに……泣かないでくれ
怖かったんだな 怖くって苦しくって……
悲しいって泣いてる声……聞こえる
……もう いいんだ…いいんだ…



  1. 2008/10/28(火) 23:07:20|
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旅行・紀行・街(41) 東京都杉並区阿佐ヶ谷 3

こんばんは。
今回の旅は…3回目になります、そして私の住む杉並区阿佐ヶ谷です。

今年の夏も当地の風物詩である"阿佐谷七夕祭り"へ行ってますが、今回でこの祭りも55回目だとか。
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とにかくパール商店街で、
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頭上に、大量の巨大張りぼてが吊るしてあるわけです。
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↑これは今年一番の話題アニメーション作品になった「崖の上のポニョ」との記念撮影。
上の写真は製作途中で、まだ目が入ってませんでした。

他、知ってるキャラクターだけ写真を撮ってきました。
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あ、もう終わっちゃった…
でも阿佐ヶ谷にはまだまだ有名な行事とかあって、先週末は阿佐谷パールセンターにて"ハロウィン仮装コンテスト"
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そして街中で"阿佐谷ジャズストリート"も開催していて、盛り上がってました。

私の親友で醜いベノム君が、そんな日なら街も自分を受け入れてくれるかもと、遊びに来たのです。
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パールセンターを散歩してみました…
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あれ、全然仲間に出会わないゾ!
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どうやら、仮装コンテストの人々は一日後に来るようでした。残念。
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ベノム君は失意のうちに、お散歩だけして帰って行きました…
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ではあとは、いつも通り最近私が行った店、食べた物とかの写真でも載せておきましょう。

まずは名店"川名"から。
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相変わらず安くて美味くて、嬉しくなるお店です。
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例の、こういった店内に貼ってある面白い言葉について、店主に話しかけてみたら…
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『うちは、おっぱい揉み屋(一杯飲み屋)だからね』と答えられました!やられた~!!

閉店まで飲んだ…
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ちなみに川名は、阿佐ヶ谷のフリーマーケットであるゆうやけ市の日に行くと焼き鳥とビールを昼間から楽しめます。
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スターロードへ移動すると、
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この"JAMB JAMB"(ジャンブ ジャンブ)。
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これは、店のママと飲みに行った時の珍しい写真。
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もう朝日が…

この近く、同じスターロードではまず"木菟"(みみずく)"
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定番の店ですが…
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後日見たら何者かに撮られたらしい、こんな写真も入っててショック!
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続いて"忍び豚"
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三島由紀夫似の男を発見。
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美味い!
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このお店には芸人さんがよくいます(私はお笑い番組を見ないのでほとんど知りませんが…)。
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この日は何と、偶然にもタレントの鈴木千登世さんにお会いした!
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過去に横溝美友紀さんとParadise18GO!!というコンビでお笑いやってた頃から知ってたけど、その頃も美しかったのに、さらに磨きがかかっていてビックリ!
もうちょっとシラフの時に会えれば良かった・・・

ついでに公表しておくと、これは現在横溝さんの方とおひさまロケットというコンビを組んでいる中村摂さんにスターロードで会い、写真撮らせてもらったやつなんですけどね…あまりにもガラ悪い自分に反省。
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着てるのが寺沢武一Tシャツだからオタクだってバレるし、まぁいいですよね。

そして忍び豚といえば、何と…杉作J太郎先生も来訪しています!
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著作「卒業 さらば、ワイルドターキーメン」(青林堂刊)は、何度読み直した事か…
サイン会ではお見かけした事もありますが、飲んでる時に遭遇しなくて良かった。一気に緊張で酔いが醒めてしまいますよね。

ここも定番の、"ラジオ屋"
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この日は…8月2日に亡くなられてしまった、偉大なる赤塚不二夫先生の追悼飲みとなったため、店に置いてある「まんがNO.1」を出してもらいました。
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そしてやはり"四文屋"も行ってます。
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"立呑 風太くん"
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"あるぽらん"
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"Cat-Nip"で朝まで…
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次はタイ料理の"サワディー"
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前まで阿佐ヶ谷でタイ料理といえば"ピッキーヌ"でしたが、長期休業していたためにサワディーへ行ってみたら美味くて、それから何度か行ってます。ええ、先日も行ったばかりだし。
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パールセンターにあるお店、"関西風お好み焼き 縁家"
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関西風お好み焼きを謳ってる店というのに、もんじゃ焼きもあります。

ここら辺のラーメン屋では相変わらず"せい家"が定番で、
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この間、店をオシャレに改装しちゃいました。
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たまに行く"味丸"
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一階では何とスイーツを売っていますが、喫茶店のように落ち着く上に安いラーメン屋は"花麺"
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105円で外食できる"はなまるうどん"。この店舗だけで、まぁ100回以上行ってますね。
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阿佐ヶ谷では珍しい回転寿司の"メリーゴーランド"
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パールセンターから出ると、わりと最近出来た"さいたま屋"は安いのに替え玉かライスが無料で付きます。
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すぐに基本の味は全種類食べました。

青梅街道沿いまで行くと、ここも最近のお気に入りで"昴神角ふじ"。まさに男向けの店ですね。
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近所の方の"大勝軒"と、
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同じ阿佐ヶ谷でも青梅街道の方の"大勝軒"
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一番街の"ホープ軒"も。
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ここは最近出来た、とんこつラーメンの"俺ん家"
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"広島つけ麺 一(はじめ)"は、激辛つけ麺を謳ってるので行ってみて、最高の辛さにして注文しました。馴染みのない広島風なのに加えて、高いですが…
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阿佐ヶ谷内駅でも看板が目立ってます。
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"KUMARI"は美味い!
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ホルモン焼きと焼酎の種類が豊富な"極み"
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今、阿佐ヶ谷で一番安いラーメン屋は、ここ"中華食堂 一番"のかけラーメン290円でしょうか?
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どこにでもある、安さが売りのチェーン店の"日高屋"でさえ普通のラーメン390円ですからね。
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しかし疲れて遅くに帰り、時間も無い時は安い"日高屋"を定番として利用しています。ここのビールと食事が心地いい。
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美味い刺身丼物の"ととや"もいい店で、500円で美味い海鮮丼が数種類食べられます。
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しかし…大幅な値上げをしてしまい、最近行かなくなりました。
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パールセンター内のこちらの店舗は元より高かったけど、かなり美味しいですよ。
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有名な鉄なべ餃子の"なかよし"
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前回にも高架下のゴールド街を紹介したのですが、行った事もある二階の店を失念してました。
"可否茶館"と、
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"G.G.C."…あの大原麗子も、その昔に来た事があるとか。
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そして私とした事が、ファーストフード…それも最近になって初めて食べた"ロッテリア"にはまり、しばらく通いました。
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特に絶品Wチーズバーガーってのとチキンが良かったのですが、やはりすぐ飽きましたね。

安いのにわりと美味い、有難いチェーン居酒屋"さくら水産"
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阿佐ヶ谷駅との往復で毎日通る道である、新進会商店街の蕎麦屋"大古久"
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"すが原"
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先日、この新進会商店街に24時間営業の"99イチバ"が出来たのも嬉しい事でした。
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ところで先日は"Next Sunday"へ、揺る子宮其の二のライヴ観るため行きました。
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記念撮影をカシッと!
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あとは近所の"阿佐ヶ谷神明宮"を参拝。
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阿佐ヶ谷では豊富な公園と、そこで生活するゆかいな仲間達・・・
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特訓したりして、まぁこんな日常です。
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最近は、とにかく倉庫状態になっている部屋をどうにか片付けるため、夜となれば飲みに出る生活を改めています。
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それではまた、阿佐ヶ谷で。
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  1. 2008/10/27(月) 23:53:27|
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週刊少年ジャンプ(49) 猿渡哲也 3 「DOKURO -毒狼-」 2

昨夜に引き続き、猿渡哲也先生の「DOKURO -毒狼-」です。
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背中に暗い過去の刻印でもある狼形の火傷を背負ったキクチタケオが、金平愛一郎率いる"涅槃創生会"という宗教団体…いや邪教集団に復讐を企て、教団の幹部や襲ってくる殺人部隊を次々殺して行き、しかし警察に捕まった後に涅槃創生会の息がかかった"関東特別医療更生収容所(カンコウ)"に送られた所からですが…

この地獄の監獄でタケオは特別懲罰房に入れられ、飲まず食わずで並みの人間なら死ぬ頃という8日間が経った後に、収容者同士が死ぬまで戦わされる"ランブル・フィッシュ"というイベントに出さされます。
ここでの闘いはたとえ相手が失神しても、いや死んでも終わらず、終わりを決められるのは看守長の川嶋純太だけという、酷いルール。

タケオはそんな条件の闘いを、満身創痍の体で元プロ格闘家の薄井拳太郎とするのですが…
何とタケオはたった一発でKO勝ちしてしまいました。漢です!
所内で預言者扱いされている玉同じいさんが聞いた天の声、
『オオカミを背負う者が 人知を超えた能力でこの収容所を破壊し 俺たちを"救済"してくれる』
というのが、現実味を帯びてきました。

そして、ここへきて登場してきた敵キャラが小金井博士と特別医療班。
実は"ランブル・フィッシュ"は収容者の娯楽のためではなく、小金井博士たちのモルモットを作るためのものだと分かり…
つまり、この勝負の死傷者達を使った人体実験や臓器密売をしているのです。

彼はタケオの前に"プロトタイプ0号"こと、改造人間ガッちゃんという怪物を出されますが、タケオはこの化物すらも退け、大昔から臓器売買をしていた涅槃創生会の手先である川嶋看守長を攻撃。
タケオを狙い、撃たれた弾丸も全て弾がそれて当たらない!
もはやタケオはここでのヒーローにして"死なない狼"として崇められる神懸かり的な存在になりました。

『哲学者フォイエルバッハは言った 「神の本質は人間の本質である」と
全知全能の神は 人間の理想であり 人間の道徳性であり 人類愛であると
不完全なる人間が創り出した"完全なる人間の理想像" それが"神"の正体だ』

・・・人間が崇める神など否定するかのような思想を表現する作者でありながら、しかしキクチタケオは本物。

次に無道という、タケオと同じく涅槃創生会の特別養成施設で調教されていた、つまり地獄を生き抜いてきたかつての親友が今は涅槃創生会粛殺班…しかも金平会長の一人娘・金平麗美の婚約者となっていて、タケオを殺しに来ました。

この無道も少年時代に川嶋の性的玩具になっていたりして可哀想な奴、しかも実は忠誠を演じて金平会長の後継者となり、教団を内部から崩壊させようとしていたそうなのですが…
『キクちゃんは ただの"神"じゃない "大神"だもん勝てるわけないよ』
そう気付かされ、死にました。

カンコウの牢屋にいた、人体実験や薬物投与で怪物になったゾンビ達、そして薬漬けにされて2年も閉じ込められていたカンコウの所長が放たれると小金井博士らを殺し、タケオはヘリを奪って涅槃創生会へ向かい…あとは最後の復讐をするだけです。

あの細木数子似で涅槃創生会の相談役的なカズ婆は後半全裸で登場していて、『ブビビ ブピッ』とかって汚い屁を放っているのですが…これは本当に大丈夫なのでしょうか。
タケオの殺し方も彼女には特に残忍で、顔の皮を剥いじゃいました!

残る金平愛一郎会長は、相変わらずテレビに出ているアイドルたちとセックスし、
『薄汚い私のアレを高級なアイスクリームのように 舐め回してくれたの
もう たまりません
チンピラの父親と売春婦だった母親の子として生まれ
中学も卒業しなかった私に家柄もよい一流大学を出たエリートたちが忠誠を尽くすの
自分から言うのもヘンだけど 私は容姿は醜悪で性格も陰湿で強欲…
こんな私を"神"と同等に扱ってくれるの』

とか言っていて、父の本当の姿を知った娘が目の前で自殺してまで改心を願ったのですが、それも無駄死に。

それを見て姿を現したタケオを見て、
『息子よ お前は父親を殺そうというのか
お前のその力は私が与えたもの
お前は私を憎むことでその超人的な"力"を身につけたのだ
私は神の命により お前に試練を与えたのだ
お前こそ 私の後継者なのだよ』

とか言って助かろうとするクズっぷりを見せますが、最後はタケオに吊るされ、首が落ちて…というラストでした。

宗教団体の悪を描いた事で他の猿渡哲也作品とかなり違う部分もあったのですが、まぁ人気獲得のためもあったのか、得意のバトルアクション物になっていきましたし、カンコウ内の四つの派閥、それにシンちゃん菊地貴あたりの事は置き去りに物語が終了してしまいました。
涅槃創生会のモデルになったであろう、あの教団の陰謀でしょうか…"創"の字入っちゃってるし…
しかし血まみれ当たり前の猿渡作品の中でも残酷描写が特に凄く、まぎれもなくエンターテイメントの名作と呼べる作品なのでした。

それから最終巻である4巻の巻末に、この「DOKURO -毒狼-」の原型となった読みきり作品「毒狼 〈青春地獄変〉」が収録されています。
これもキクチタケオが登場し、また悲しい娘・美里が言う
『狼って群れて生きるもの
"一匹狼"って言うけど あれははぐれた狼のこと…
きっとさみしくて悲しくて苦しくて怖くて哭くんだろうね』

の言葉が胸に迫る短編でして、このタケオのバックグラウンドを知りたがり、連載化を熱望するのは読者として当然の事だったのでしょうね。


何日間か過ぎた後 幻聴が聞こえた 蠅が笑い出した
そして幻覚…蠅のバケモノが襲ってきた
そのうち自分が何者かわからなくなった
言葉を忘れ 自分の名前すらハッキリしない
自分が人間ではなく本当の犬のようになったような錯覚を起こす
犬になれば生きられる



  1. 2008/10/26(日) 23:25:40|
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週刊少年ジャンプ(48) 猿渡哲也 2 「DOKURO -毒狼-」 1‏

人間は狂っている。虫ケラ一匹、創れないくせに 神様となると何十人も創るのだから。
(フランス思想家:ミシェル・ド・モンテーニュ)



こんばんは。
昨夜は猿渡哲也原作、林信康作画の「毒狼 -どくろ-」を紹介しましたが、今夜はもう一つの"毒狼"…
読み方は同じですが表記を変えたタイトルの「DOKURO -毒狼-」です。
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同じくビジネスジャンプにて連載された作品で、こちらは猿渡哲也先生が作画もやっています。
半透明の特殊カバーを使った単行本は全4巻で、とにかくこの連載が始まった時は嬉しかったですよ!またキクに会えると…

実際には主人公は似て非なるキャラクターで、キクチタケオ
母親に殺されかけて火を付けられた時に出来た、狼形の火傷を背中に背負っている所は同じです。
しかし「毒狼 -どくろ-」のキクと違ってまともに話すので、バケモノ度は低く感じるかな…
もちろん身体・運動能力は人間を超越していて、"ファングブレードワイヤー"という特殊な金属で作られたワイヤーを腕に巻いていて、これを変幻自在に操って人間を簡単に切断も出来ます。

作品全体の大きな違いは、テーマに宗教問題を持ってきている事。
これでただのアクション・バイオレンス漫画にはない深みを増したと言えるでしょうが、どう考えても現在でも絶大な権力を誇るあの団体(ほら、芸能人がメチャクチャ多いあそこ)を思い出して…ヤバイです。
猿渡哲也先生は私の大好きな「あばれブン屋」でも、レイプ、いじめ、老人介護等の問題を描いていて、それがリアルだから胸を痛めちゃったりしましたが…ここでは新興宗教。
もちろん、天才的な技術でしっかりバトル物的なエンターテイメント作品に仕上げてある名作ですよ。

-------
キクチタケオは、生まれてすぐにかかった原因不明の病気を病院には治してもらえなかったのに、涅槃創生会という宗教団体のお弟子さんに治された…
と、少なくとも母親は思い込んで入信し、醜女(おに)になり…後に会長にいいように遊ばれて捨てられ、タケオを道連れにした焼身自殺をはかりました。

しかし死ななかったタケオは涅槃創生会の特別施設で調教され、保安局粛殺班であらゆる格闘術・殺人術を習得して暗殺者となりました。
コードネームは"毒狼"
30人以上を教祖の命令で殺し、しかし脱会して復讐を誓い、今度は教団関係者を次々と殺していく…

ではその、タケオの最終目標となる涅槃創生会の会長というのは、金平愛一郎
慈悲深い宗教家の顔で神を騙り、人を幸福にする能力はないが、人を不幸にすることにおいては天才的で、父はヤクザで母は売春婦(ともに薬物依存症でアルコール中毒)。
彼は予言的中率90%を誇るカズ婆の言葉を頼りに動いていて、そのカズ婆は細木数子似で、しかもとんでもないデブ。
お偉方には『食わせて飲ませて抱かせて掴ませて』忠犬として操り…今や涅槃創生会は支部250ヵ所、信者は50万人に達しています。

金平がカズ婆の前でした独白が印象深いので、ここで書いておきましょう。
『この世の中 損得勘定で考えれば犯罪者の方が得するようにできています
たとえば他人の人生を奪う"殺人"で刑務所に送られても 数年で出所できる
たとえ何人…いや何百人殺しても"死刑"になるのはひとりだけです
そんな"悪"の唯物論者の私を教祖として 崇め誉め称える信者がいるから笑ってしまう
もっとも信者なんて"現世利益"にあやかりたい おいしい思いをしたいという厚かましい奴らばかり
別の力に頼って死んでからも いい思いをしたいというバカで強欲な奴らなんだ』

うーん…信者50万人を率いる頂点の人間が言う言葉ですよ。ここにメッセージを感じますね。

タケオVS涅槃創生会の殺人部隊…
車椅子で78歳の婆さん、菅谷キンさんがマシンガンをぶっぱなし、その双子の妹であるギンさん、続いて孫で忍者みたいな菅谷磯吉が復讐に燃えて襲ってくるのですが、このように敵達がメチャクチャで素晴らしいバトル物となっていますね。

シンちゃんという同じく涅槃創生会を抜けた若い女が協力者として登場しますが、
仲が良くて子供時代のタケオをいつも助けてくれてたものの、両親の離婚でマトモな父親側に行ったために生き別れた菊地貴は刑事になっていて、タケオの殺人現場で15年ぶりの再会をして、タケオを捕まえます。
兄は『泣くことも叫ぶことも許されない地獄で生きてきた』弟が『深く哀しく それでいて清らかな』、"無私の瞳"をしている事に気付きますが…。

タケオを取り調べて拷問してきた警察官も涅槃創生会だと気付いて二人を一撃ずつで撲殺し、それに過去の殺人を加えても心神喪失状態にあったと判断されて死刑にはならず、"関東特別医療更生収容所(カンコウ)"に送られました。

これも全てが金平会長の根回しだったのですが…
ここで看守長を勤めるのが川嶋純太という男で、かつて涅槃創生会特別養成施設でタケオを調教しぬいた奴。
しかしある時にタケオに殴られた傷が残り、顔の何分の一かの肉が見えている醜い男です。

牢屋ではタケオのカマを掘ろうと近づいてきた男のチ●ポを引きちぎって窓の外に投げ(カモメがキャッチして食べました)、大門鉄男というゴツい男をたった一撃で倒して…
という所で2巻が終了なので、続きはまた明日にします。


すでに俺は地獄で生きている
お前に導かれ落とされた
俺は知っている
地獄はあの世にないことを この世にあることを
現在(いま)以上の地獄が存在しないことを



  1. 2008/10/25(土) 23:38:15|
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週刊少年ジャンプ(47) 猿渡哲也 1 林信康 1 「毒狼 -どくろ-」

実はこの方も週刊少年ジャンプ出身で…今夜は猿渡哲也先生です。

1958年生まれの福岡県→兵庫県育ちで、高校中退して上京後はいろんな仕事をやり、20歳頃に突如ペンを持ち…
何とも素晴らしい事に、あの平松伸二先生、そして本宮ひろ志先生のアシスタントを勤めた事も知られています。

そして1981年に「ショット!」で手塚賞準入選(この時は棚渡哲也名義)、「海の戦士」で少年ジャンプへの連載デビュー!
その内容からすぐに活動の中心を青年誌に移しましたが、いまだにジャンプ系列の雑誌で複数の連載を抱えています。
もちろん私は常に猿渡哲也先生の作品が載った雑誌は読んでいます。

代表作は「ドッグソルジャー」「ザ・ハード」「力王 RIKI-OH」
個人的に特に好きなのが「あばれブン屋」とか、近年の妖怪漫画「異形人おに若丸」あたりですね。
そして猿渡先生のライフワークにして、格闘系漫画の草分けとなるきっかけの作品「高校鉄拳伝タフ」
現在もヤングジャンプで連載していますが、主人公が高校も卒業して「TOUGH」とタイトルを変えてますね。
これは確実に格闘漫画の金字塔であり、私は中学生時代から現在まで読み続けていますし、もちろん連載終了までいつまでも読み続ける事でしょう。

そんな猿渡哲也先生ですが、一回目の今回は作画に林信康先生を迎えて、自身は原作に専念した作品「毒狼 -どくろ-」(集英社刊)。
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2001年にビジネスジャンプで連載されていた作品で、単行本は全1巻。

では林信康先生とは誰か…
私は全然知りません。この「毒狼 -どくろ-」以降全く目にしませんし。
あのフォークの神様、岡林信康氏の"岡"の字を取っただけの名前ですね。
CGを使いまくっててアメコミ風な絵柄で、かなりいい味を出していただけにもっと活躍して欲しいのですが。

さて「毒狼 -どくろ-」

『お母さん…どうしてボクを憎むの どうしてボクを殺すの…』
と背中を焼かれている子供の描写からスタートするこの作品の主人公は、母に愛されず虐待を受け、果ては殺されかけた過去を持つ男・キク(菊地)。

彼は母親に焼かれた時についた狼形の火傷を背中に背負った"壊し屋"。
『あなたの御要望通り どんな人間も壊してみせます
それが私ら壊し屋の仕事です』

てなわけでキクを使っているのが元ヤクザの尾崎

殺し屋ではなく壊し屋…
『一度痛みを植えつけられた人間はねっ
痛みの記憶から逃れようと 一生のたうち回るんですよ
死んだ方が楽だと思えるような 痛みもあるんですよ』

そういう信条を語るのが尾崎で、キクは作中一度も自分では話さず、狼のような咆哮を上げるのみでした。

「毒狼 -どくろ-」における敵キャラが猿林組若頭の氷室京三
この『残酷を楽しむ悪魔』も強烈で、登場シーンが…
吊るされ、殴られても暴力に屈しないという男を、
『それは困るなあ だって僕達 暴力のエキスパートだからさー
暴力を行使して生計を立ててるのに その暴力が通じないとあっては死活問題だからね』

等と冷めた顔して言い、ナイフで肉をはぎながらしゃべらせて、果ては肝臓を突いてショック死させるのです。

その殺人現場の外で、偶然会ったキクと氷室達。
キクの感情に火を付けてしまった氷室は、周りのヤクザ達も含めてキクの超人的な強さによってグチャグチャにやられるのですが…
鼻の軟骨が剥離して醜い顔になりながら、その後は復讐するためにまた出てくる氷室。

氷室の追い込みは冷酷で残忍。
『この世が地獄なんだから あの世は天国しかない』
という思想や、背負った心の影も含めて、だんだん彼の悪の魅力にやられてきますが…

尾崎の『人間は 生きるために少しだけ狂うんだっ!!』という言葉と暗示でスイッチを入れられたキクが逆に追う立場になって襲いかかり、元はアラブの王子が乗っていたという防弾ガラスに装甲板のベンツまで解体して、ついには氷室を大人しい天使のようにする。

実はキクと氷室が物凄く似た者同士で、やっと出会えた分かり合える仲間とも言えるのですが、分かり合えるから認めたくない、存在が許せないという愛憎関係が悲しい、最後の戦いでした。
キクの背中の狼が血の涙を流し…


ちなみに「毒狼 -どくろ-」のビジネスジャンプ連載時、作画の林信康先生が体調を崩して執筆が遅れたため、最後から2話を原作の猿渡哲也先生が自ら作画も担当しちゃって載せてました。
そしてこの単行本では、その雑誌掲載の猿渡哲也バージョンに加えて、後にちゃんと自らも描き上げた林信康バージョンとの両方が収録されています。
二人とも迫力のあるハードなバイオレンス描写をしているわけですが、個性の違いを見るのもいいですね。


キクは犬じゃない 狼ですよ
狼に首輪はつけられない
キクは母親を探しに旅に出ましたよ
母を訪ねて三千里
いや…母を殺しに三千里



  1. 2008/10/24(金) 23:30:23|
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月刊漫画ガロ(56) 藤原マキ 1 「私の絵日記」

今夜は凄い方ですよ、藤原マキ先生です。
何が凄いかって、まずこの方はあのカリスマ・つげ義春夫人だという事が挙げられるでしょう。
そんな事を言うと、自身も元女優で創作活動をしていた藤原先生に失礼だったかもしれませんが。

藤原マキ先生自身は1941年の大阪生まれ。
唐十郎"状況劇場"での女優活動をしているうち、つげ義春先生と知り合って温泉旅行、同棲、長男誕生と結婚…

しかし子宮癌を発病し、夫のつげ義春先生がこの影響を受けてノイローゼになりました。
それでも絵本画家を目指して「私の絵日記」を出版し、後に画集も出しますが…1999年にガン再発により永眠されました。

そんな藤原マキ先生が、ちょうどつげ家激動の時代でもあったであろう時に描いた絵日記がこれ、「私の絵日記」(北冬書房刊)です。
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幼い長男の正助と家族の生活記録を残そうと、台所(カーチャンの部屋)で描き始めた絵日記なんだそうで、最初は坦々と日常描写で進みます。
まず、子供を思う親の気持ちは本当に微笑ましいですね。
相撲大会で一、二才はお兄ちゃんの相手に正助が勝ったとか、こんな事を言った、入園した時泣かなかったから欲しがってたしゃもじ(!)を買ってあげたとか…

そしてどうしても、つげ義春ファンからしたらつげ先生の日常が垣間見れる所が嬉しいのです。
三畳のおとうさんの城で大好きなカメラの研究をしていたり、実はだんご汁、すいとんを作る名手だったり。
だいたいこれ、あの名作「無能の人」とかぶる部分もあるわけですよ。

しかし!!
後半は『オトウサンがとうとうおかしくなってしまった』というわけで、つげ義春先生の"不安神経症"発病と、それに振り回される一家という感じで暗くなっていきます。

精神病院にも付き添い、不安な気持ちの連続、それでもつかの間の平和…
向かってヒステリーを起こして可愛い正助に物を投げて怯えさせてしまったり、もう私は涙無しには読めません。
それでも本格的な文章だとますます重く辛くなるだろうから、字数の少ない絵日記で良かった。
もちろん絵自体にも魅力があって、どちらも必要不可欠な一冊です。
たま~に取り出してきては読む、私の愛読書でもあります。


帰ると、オトウサンは目まいがするとまだ寝ているので、せっかくの入園式なのにオトウサンに寝ていられると、家の中が暗くなるようでつらい。
それでも記念の写真を、満開の桜の下で撮ってくれた。



  1. 2008/10/23(木) 23:23:23|
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トキワ荘(30) 石森章太郎 21 「ギルガメッシュ」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「ギルガメッシュ」(朝日ソノラマ刊)です。
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1976年から少年キング(少年画報社刊)にて連載された作品で、単行本は全4巻。
あの「ギルガメシュ叙事詩」より、"冥界の王"ギルガメシュ(ギルガメッシュ)の神話に着想を得たSF作品で、テレビアニメ化もされた事もある作品です。

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紀元前3000年ごろのメソポタミア…その都、ウルクの王で半神半人の勇者がいた。
名を……ギルガメッシュという。

そして現在は197X年です。
おじの達磨博士が住む"達磨研究所"に呼び出された円竜也と、その姉で紀代子が到着すると、擬瑠亀主と名乗る男がいました。
これで"ぎるがめしゅ"と読む、ひどい当て字ですが…つまりこいつがタイトルにもなってるギルガメッシュですね。

一巻の表紙がギルガメッシュなので、見てもらえば分かりますが、あまりカッコよくなく…しかも、竜也が研究所をうろついて気味の悪い生物とか見てるスキに、紀代子を犯してしまいます!!
少年漫画というのに、何という主人公でしょうか。

しかも、のうのうと
『なぜ泣くんだ紀代子?
愛しあうということは すばらしいことなんだぜ
愛は生命のはじまりだからな……
そう愛の行為は生きてることの証明さ
そして愛の精神は 生命への賛歌だ!!』

などとぬかし…紀代子は病床で死にかけてたおじに貰った銃を使い、ギルガメッシュを撃ち殺しました!

大変な事になりましたが、竜也と紀代子はギルガメッシュの死体を隠します。
しかし!ギルガメッシュは紀元前3000年(5000年前)ごろに死んだ少年のミイラからクローン技術により複製された複製人間(クローンマン)で、一郎から十郎までの10人いたのでした!!
紀代子が殺したのは九郎で、まだ残り九人のギルガメッシュがいたわけです。
もちろん全く同じ遺伝子を持つ彼らそれぞれに個性は無く、便宜上付けられたのが○郎という名前。

複製人間(クローンマン)…
このようにクローンとかDNAとか生殖細胞がどうとか、現在では普通にニュースでも耳に出来る時代になりましたが、この時代の少年達はこういった漫画でまだ一般的ではなかったSF用語を覚えていったのですね。
石森章太郎先生といえば海外SF小説などの物凄いマニアだと知られていまして、とにかく作品にどんどん取り入れていたものですからね(よくパクリとも言われますが)。

そしてギルガメッシュ達の使用人扱いで、監禁される竜也と紀代子。
彼らの人間離れした身体能力と頭脳からは、逃げる事もできません…
逃げる試みはしましたが、失敗した後、
『こんど にげだそうなどと考えたら……
そんな考えをおこさないように おまえの脳を手術してしまう!
そう!なんでも いわれたとおりにしか動けなくなる前頭葉手術(ロボトミー)さ!』

と、恐ろしい言葉で釘を刺されました。

それからいよいよ今作における"敵"が登場し、襲ってきます。
それがシュメールをインカをエジプトを!ギルガメッシュ達の先祖を滅ぼした奴らなのですが、人間が空飛ぶ円盤とかUFOとか呼んでる乗り物を使う"円盤族"
円盤から光線で攻撃してきて四郎を殺し、竜也も危ない所でしたが…突如出てきて助けてくれたのが、円鬼堂(えんきどう)。

山で修行していたという竜也と紀代子の祖父なのですが、エンキドウ…それは「ギルガメシュ叙事詩」に出てきたギルガメッシュの親友の名前ですね。
ちなみに竜也らの両親は、さきほど襲ってきた円盤族に殺されたのだそうです。
鬼堂は長々と祖先の話(円家とギルガメッシュたちは同じ祖先、宇宙人であった!)や円盤族の話を説明してくれて、また去りました。

その後、ギルガメッシュの奴隷のようになっていた竜也も、ついに超能力が身につくのですが…その開眼するシーンは文字通り涙の名場面。
その代わり紀代子の方は超能力が身につかなかった上に、敵の電子犬にのどぶえを噛み切られて死んでしまいました!

ただし残してくれたのがギルガメッシュ(九郎)との子供。
四ヶ月の超未熟児な赤ちゃんなのに、誰よりも強い超能力を持っていて、紀子と命名されて今後のギルガメッシュや竜也を助ける…つまり「サイボーグ009」における001(イワン・ウイスキー)と同じ役柄になるわけです。

それから竜也は木村圭子という普通の女の子と仲良くなり、円盤族が次々と差し向けるキメラやロボット類の敵を倒して…
念力(サイコキネシス)も強くなり、今ではギルガメッシュ達とも闘いで力になれるパートナー。
共に先手をうってUFOを狩り出す決意をします。

ISHIMORI-gilgamesh3-4.jpg

円盤族に破壊された達磨研究所の地下室が基地になっていたのですが、そこがそのままカッコいい飛行艇になって飛び出し、南米とチベット、バミューダトライアングル等で強敵と戦い、宇宙戦争みたいなシーンになったり…とにかくスケールがでかくなります。
竜也やギルガメッシュ達と、別の宇宙人である円盤族との戦いは一体どうなっていくのか。

この「ギルガメッシュ」は、地球上に残っている"サクサイワマン大城塞"等の不思議な古代遺跡にからめて石森章太郎先生のうんちくが長く語られるシーンも多く、子供に神話や宇宙人の話等の興味持たせるにはいいのですが、今となってはクラシックすぎるSFですし、それほど作者の力が入ってないのも分かるかな…


おれたちは警察のー
人間の手なんか借りはしない!!
おれたちには おれたちの法律がある
おれたちの憲法がある!!
だからこいつは おれのすきなように裁く!!



  1. 2008/10/22(水) 23:27:26|
  2. トキワ荘
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永井豪 (13) 「バイオレンスジャック」 2

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


今回は「バイオレンスジャック」の2回目です。
NAGAI-violence-jack3-4.jpg


『関東鬼相撲編』

「おまえたち
 人間であることをやめたのか!?」


風吹きすさぶ荒野に向かい合う男たちがいた。
一方は身長二メートル二十センチの巨人。もう一方はいずれ劣らぬ人相凶悪な裸形の力士の群れ。

「今のおまえたちは人間ではない!!」

「フフフフ そ~よ
 おれたちゃ人間なんぞ とっくにやめているさ
 地獄地震のあとの関東にゃー
 弱い人間なんぞ生きられねえ!!」

「この地で生きられるのは鬼よ!!
 鬼のように強い者しか生きられねーのさ!!」


人の心を捨てた悪鬼どもに、いま断罪のジャックナイフが振り上げられようとしていた……!

「いかに関東が地獄であろうとも 地獄の鬼まではいらぬ!!
 おまえたち鬼どもがすむにふさわしい場所まで
 送りとどけてやろう!!
 ほんものの地獄までな!!」


――と、いきなり劇的なシーンで幕を開ける『関東鬼相撲編』。週刊少年マガジンでの連載休止から実に3年の歳月を経て復活した、月刊少年マガジン版の連載第一回目に当たります。
なぜ再開まで3年もの間が空いてしまったのか……それは単なる過密スケジュールのせいだけではない、ある切実な理由がありました。それに関しては後に予定する『黄金都市編』の項にてご説明いたしましょう。

同じマガジン系列とはいえ、今回が読者を変えてのリスタートとなる「バイオレンスジャック」。初めて読む読者を意識して、冒頭では地獄地震による惨劇が改めて丁寧に説明されていきます。
そしてストーリーもまた、非情な大人と力なき子供たちという、週刊版の第一エピソード・逞馬竜編と同様のテーマ。
しかし今回の主人公・海堂猛志の環境は、竜たちに輪を掛けて悲惨な状況にありました。なぜなら、子供たちを搾取するのが選りにも選って屈強な相撲取りたちだったからです。
その名も、関東鬼川部屋。名は体を表すとは良く言いますが、ボスの鬼王山以下どれも鬼畜のような輩ばかり。
野犬に手を食いちぎられて重傷の子供の背骨を、思いきり膝の上に落とすシュミット流バックブリーカーで惨殺したりと、やることに容赦がありません。
力が全ての地獄地震後の関東にあっては、鍛え上げた元格闘家やスポーツ選手などは絶対的な強者と言えましょう。しかもそれが、今なおステゴロ最強の幻想を誇る大相撲の巨漢たちとなれば……。
猛志に取っての悲劇はそれだけではありません。
幼なじみの女の子・るみちゃんを人質に取られ、逃げられない状況に追い込まれているのです。

しかし我慢にも限界があります。なまじリーダーになるほど仲間思いの熱血漢であるだけに、殺された仲間の仇討ちで無謀な反抗を試みる猛志。しかし子供と相撲取りでは勝負になるはずもなく、見せしめとして自分だけでなく、るみちゃんまでもが制裁を……。
ここでるみちゃんがどんな酷い目に遭うか……ある意味で永井豪先生の真骨頂とも言える見せ場です。
好きあった猛志の目の前で一丁羅のセーラー服をビリビリに破かれてしまう、るみちゃん。

「ははは 手も足も出せんちゅうやつだな
 そこへいくと わしたちはなんでもだせるんだぜ…
 たとえば こんないいもんだって だせるんだぜ~~!!」


と、大事なパンティ(死語)までも剥かれた上に、凄い勢いで木に吊るされてしまいます。
もうハクいスケを脱がして吊るすことにかけては、梶原一騎先生に並ぶ漫画界第一人者ともいうべき情熱を感じますね!

永井豪鬼力士たちの暴虐はそれだけに留まりません。更にその上、るみちゃんの膨らみかけのおっぱいやムッチリした太ももを的にした「女体ダーツ」を開始!
泣き叫び身悶える女子中学生、己の無力に苦悶するしかできない主人公猛志、力士たちの下劣な嬲り……と、いまや伝説となった「凄ノ王」の“雪代レイプ”にも迫るトラウマチックなSM描写が20ページにも渡って大展開。
活き活きしてるなあ、永井先生!

ですが、そこで突然の大地震が襲来! みっともなくパニックに陥る力士たちの前からは、二人を吊るした木が一瞬にして消えていました。
そう、荒野の彼方から忽然と現われた謎の巨人バイオレンスジャックの仕業ですね。余計なことをしやがって……という一部読者の内心の呟きをよそに物語は動き出します。
ジャックによって急場を救われた猛志でしたが、残された仲間の身を案じて地獄の鬼川部屋に戻ることに……ですが、その尊い決断が猛志を本当の地獄に叩き込む結果になるのでした。
帰ってきた猛志の前には、身代りにくびり殺された子供全員の死体が吊るし首になっていました(この描写がまた残酷……)。しかも、力士たちに犯されそうになったるみちゃんは舌を噛んで自殺してしまいます。

全てを奪われた猛志は、せめて命を捨てて力士たちに向かっていこうとするのですが……それは無益な蛮勇に過ぎないと止めるジャック。

「海堂猛志! おまえはなんのためにたたかうといった!
 もう一度いってみろ!
 たしか これ以上かわいそうなやつらをふやさないためだといったな…
 おまえが負けても それが できるのか!?
 おまえが死んで やつらが生きのびれば また…
 不幸なこどもたちが でるのではなかったか!?
 海堂猛志! おまえはそれでもいいといえるのか!」

「かんがえろ猛志…
 よ~~~くかんがえるのだ…
 なにかあるはずだ…」


自己啓発セミナーか何かのようなしつこさで迫るジャックの誘導尋問によって、捨てるつもりだった命を代価にジャックを雇う決意をする猛志。いよいよ復讐の時間が始まります!
この「関東鬼相撲編」は、とにかく悪役の描写がシリーズ屈指の非道さと言えます。そのぶん、徹底してジャックの暴れぶりに感情移入してスカッとできるカタルシスがありますね。

ここから冒頭のシーンに戻り、関東鬼川部屋の力士たちを圧倒的迫力で葬り去るジャック。2メートル220キロのボス鬼王山はブチカマシでジャックを吹っ飛ばす見せ場を作りますが、その巨体を逆フルネルソンに捕らえ、ダブルアームスープレックス(人間風車)で投げ飛ばすジャック。
「グラップラー刃牙」の地下最大トーナメントでアントニオ猪狩が金竜山に決めたあの技です。大相撲においては、「その体勢になった時点で勝負あり」という幻の決まり手・五輪砕き! つまり、ジャックは相撲でも鬼王山に勝ったということになります。
しかもここから背筋の力だけで鬼王山を担ぎ上げ、アルゼンチン・バックブリーカーのような荒技で留めを刺すジャック! 怪力にも程がある!
奇しくも、冒頭付近で子供を殺したのと同じ背骨折りがフィニッシュ。これぞまさに因果応報!(直接手に掛けたのは鬼王山ではなく手下の鬼熊なのですが)

復讐を果たした猛志は代償を支払う覚悟を決めますが……。

「海堂猛志
 たったいまより どんなにくるしくとも
 一生がい おれのいうとおりに生きるのだ!
 それが おれに命を売った者のさだめだ!」


悪魔のような笑顔で、去りゆくジャックが告げた条件とは……。

「心ただしく生きよ!」

……ただそれだけでした。
この海堂猛志はやがて、後の漫画ゴラク編では逞馬竜と共に闘う乱世の英雄として成長していきます。

『地獄の風(ヘルス・ウインド)編』
NAGAI-violence-jack5.jpg

 いま ひとりの女が
 復讐の憎悪を燃やして
 廃墟となりつつある東京をつっぱしる!!
 それは まさに 東京をやきつくす炎とにていた!!


これも月刊マガジン誌上で連載されたエピソードです。
今回の主役は、地獄地震の半年前に暴走族「地獄の風(ヘルス・ウインド)」に恋人・鉄也を殺された女・炎ジュン
二人とも「グレートマジンガー」の登場人物ですね。アニメでのジュンは肌の色に悩む混血児でしたが、こちらでは顔にブラックジャックのような縫い目の向こう傷を負っています。恐らくは地獄地震を生き延びる中で付いた傷なのでしょう。しかし荒野をバイクでひた走るジュンには、そんなものは眼中にありません。
そう、今なお復讐に生きるしかない女の一念の前には、地獄地震ですら取るに足らない変化に過ぎないのです。

♪地獄が見~えた あの日から
 お~れの体をふく風は~
 復讐の風~ あつい風~


石森章太郎原作の特撮ドラマ「快傑ズバット」の主題歌がぴったりハマる美しき復讐鬼、それが炎ジュン!

ジュン以外にも『地獄の風編』で活躍する登場人物はいます。地震後に出来た小さな町で暮らす少年・サブこと天馬三郎です。
この天馬三郎もまた、逞馬竜や海堂猛志と並びいずれ乱世の英雄となる運命なのですが……それはまだ未来の話。
その三郎の住む町にも、地獄の風が容赦なく吹きつけるのでした。襲来した不死身のダンテ率いるヘルス・ウインドたちによって町は略奪され、三郎が心寄せる美少女けいこ先生が連れ去られてしまいます。
このけいこ先生が浚われるシーンですが、パンツ丸出しの大股開きで気絶しているという、何かの罠かという位のスタンバイOK状態。ヘルス・ウインドじゃなくてもどうにかしたくなるのも無理はないですね。
このまま町は全滅か……というその時!

「死ね~~っ地獄の風(ヘルス・ウインド)!!
 きさまらのすむところはここじゃない!!
 おまえらの名のとおり地獄だ!」


マシンガンとダイナマイトで武装した炎ジュンがバイクで襲来。単身、悪党どもをゴミのように片づけていきます。この時、素肌に直接まとった皮ジャンを脱ぎ捨てるや、おっぱい丸出しで二丁拳銃を撃つシーンが素晴らしい!
永井豪という漫画家を説明するのに、これ一つで十分という位なインパクトのあるコマでした。

しかもそこに、なぜかバイオレンスジャック登場!
ヘルス・ウインドに取っては泣きっ面に蜂というか、13日の金曜日と天中殺が同時にやってきたような展開ですね。
しかし、リーダーのダンテはなかなか骨のある悪党で、怯むことなくジャックに挑戦。必殺のバイク殺法でジャックに血を流させるなど善戦しますが、形勢不利となった所で腹心の部下グロが拳銃をジャックに乱射! 鉛玉をありったけぶちこまれては、さすがのジャックも戦闘不能に……何しに現われたんだ、ジャック! と言いたくなるような呆気なさでリタイアしてしまいます。

生き残った地獄の風はけいこ先生を拉致し、撤退。独り勇敢に追いかけようとする三郎少年に、ジュンは応援を集める依頼を残してけいこ先生奪還に……おっぱい丸出しで。
三郎は父親ら大人たちにジュンの加勢を訴えますが……

「忘れろ もう嵐はすぎさったんだ
 地獄の風は台風みたいなもんだ…
 災害なんだ…
 けいこ先生はその犠牲者なんだ もう帰らねえ…」


という、町の住民を代表する父親の言葉に憤慨。

「恩になった人を見殺しにするのが人間かい
 相手がけだものだったら しっぽをまいてにげるのが人間かい
 そんな人間なら…そんな人間ならなりたくねーや!!」


力なき子供が自らの手で人の道を全うしようとする時……地獄の底から復活を遂げるバイレオンスジャック! 三郎になり代わってのヘルス・ウインド退治を引き受けます。

一方その頃……読者の期待予想通り炎ジュンは囚われの身となっていました。
フルヌードに剥かれて(首にスカーフだけ残している所はさすが「わかって」らっしゃいます)大股開きで木に吊るされ、火あぶりの上ムチ打ち投げナイフ責めのフルコース! さすがハクいスケを脱がして吊るすことにかけては(以下略)しかも止めに入ろうとするけいこ先生まで、偽善者呼ばわりされた上にいたぶられてしまいます。
このシーンに堂々25ページを費やす永井先生の情熱に、当時の少年読者は随喜の涙を流したことでしょう。
ちなみにこの後、無粋なジャックが登場してから地獄の風を全滅させるまではたったの6ページ
もう、先生ったらお好きなんだから♪

「関東はおまえのような男を必要としている」

全てが終わった後、三郎にそう告げて荒野へ去っていくジャック。
そう……神や悪魔のごとき力を持ちながらも、ジャックは決して自らの手で荒廃した関東を蘇らせようとはしません。ただそれを行うに相応しい人物を見出し、導いていくだけなのです。
逞馬竜、海堂猛志、天馬三郎……と、これまで登場した主人公たちはいずれもそうした、心ただしく生きる事を是とした者たちでした。

ですが、もしも関東の運命を変える力を持ちながら、自らの欲望のみに生きる心を持った者とジャックが相まみえたとしたら……?
それこそが初期バイオレンスジャックの裏主人公ともいうべき、『黄金都市編』で登場する早乙女門土という男なのです。
次回は、そのマガジン版ジャック最高傑作の呼び声高い『黄金都市編』と、マガジン編最終エピソード『疾風ドラゴン編』をご紹介します。

この地震を 学者たちは昭和大震災と名づけた
だが 人はそうよばない
人は それを…
関東地獄地震とよぶ!!



奈落ハジメ(ならく・-) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/10/21(火) 22:52:00|
  2. 永井豪
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月刊漫画ガロ(55) パルコキノシタ 1 「漂流教師」

今夜は、あの全身を使ったパフォーマンスで有名な現代美術家、パルコキノシタ先生がガロで描いた漫画作品「漂流教師」(青林堂刊)です。
PARCO-hyoryu-kyoushi.jpg

このパルコキノシタ(パルコ木下)先生は1965年の徳島県生まれで、『チンポで絵を描く芸術家だ!』と言ってたらフランスのTV局から取材がきて、実際ヨーロッパ中にチンポをさらした事もあるという人物。
細かい芸術活動についてはここでは触れませんが、実際に埼玉で小学校教師を務めた経験を生かしたリアルな"教育問題漫画"…
それが「漂流教師」。学校の描写が本物です。

このタイトルはもちろん楳図かずお先生の超名作「漂流教室」から取ったのでしょうが、まぁそれはどうでもいいでしょう。

三流美大出身で埼玉県北葛飾郡の小学校で3年3組を担当する臨時採用の木下智史先生が、児童達やPTA、他の教師らと闘い、ふれあう様を描いた作品です。
そう書くと堅苦しいイメージを持つかもしれませんが、かなり面白くて退屈しないし、なかなか深い内容です。
"ウンコの下先生"というステキなあだ名を付けられているらしいのですが、それは冒頭の1ページ目説明文以外では出てきませんでした。

美大出身だけあって手作りでひなまつり人形の力作を作ってクラスに飾るのですが、それはあっさりゴミ箱に捨てられてしまうのです。
その犯人と目された児童の親が、"ペポパの町人"というキ○ストさんにのめりこんで『目覚めよ!!』のビラまいたりしてる人…って、いきなりヤバいネタだなぁ。

次は6年生の女子が行方不明になったために教師達で捜す話なのですが、語られるのはこの少女の家庭の問題、幼児ポルノと怒られそうなセックスシーン…
『親にSEX見られて逃げ出した小学生を 大の男5人で追いかけまわしている、その中の一人がオレ
苦しんでいる子供を救うのは教師の仕事だが、子供を一番傷つけているのもまた、我々教師の様な気がしてならない
オレの仕事とはなんだ?』

とまぁ、他にも教育問題の描きにくい事もちゃんと描いていますが、児童に熱く立ち向かい、そして暴走しすぎたり、外野には勝手な事ばかり言われたりで自分でも悩む木下先生です。

『プロの風俗嬢は 客とは絶対恋愛しないそうだ
教師もしかり 愛は売っても買う事はしない
また来年の生徒の事考えると
これ以上 かまっていられなかった・・・・』


「パルコからあなたへ」と題したコラムも間に挿入されていて、より理解が深まる仕組みになっていますので、教師やそれ志す人達にも読んでもらいたい「漂流教師」です。
もちろん、絵のセンスも凄いですよ。回によって作風が少し変わってますが。

『俺が子供の頃、参観日の日だけ急に優しくなる担任を見て、
「こんな大人にだけはなりたくない」
と思った俺なのに、今、プロとして要求されていることは正にそれだ。』

として、辛い仕事の内情も描いてますが…
私はといえば一度も"いい先生"とやらに出会った事が無く、そいうかクズだけが教師になるのか、教師になるとクズになるのか、そんな風に思っているくらいです。

この単行本最後は、東京から転校して来た金持ちの息子がクラスで馴染めない上に、キレてカッターを振り回す話で、この時の木下先生の対応には感激しました。
手を切りつけられた木下先生は、冷めた少年の家に通って母親とも関わります。
(あっ、この家を初めて訪ねるシーンが映画「エクソシスト」でメリン神父がリーガンの家の前に立つシルエットシーンのパロディになってて嬉しい!)

一見ヒドイ母親には言い負かされ続けつつも、子供も含めて少しずつ心を開かせるのですが…
ラストはどちらも教師側も家族側も救われない、悩みの多い終わりになっています。

それでも教育を続けていく木下先生なのでしょうが、モデルでもあるパルコキノシタ先生自身は早々に教師には見切りをつけたのですね。
しかし辞めた立場だからこそ「漂流教師」を描けたのだし、今でも教育問題を考えていそうです。

こちらは見沢知廉の特集で表紙もそうですが、この単行本出版記念でもあったガロの2001年4月号。
GARO2001-4.jpg
単行本収録分以降にもガロではまだ「漂流教師」は連載中だったので、もちろん私は読んでいたのですが…それは単行本化されていません。
個人的に一番好きな話も未収録ですので、ガロで読んでない人のためにも、いつか日の目を見せてくれる事を願っています。
もちろん、新作も描いて職員室のタブーもさらに暴いて欲しいです…経験(想い出)も新鮮なうちに。


まるで赤ちゃんみたいに 甘えん坊の一年生から
実際にSEXまでやってのける六年生まで
同じ箱で生活している小学校って、
実はトンデモない空間なのかもなーー



  1. 2008/10/20(月) 23:13:21|
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ホラー漫画(25) 安田タツ夫 2 「恐怖!人魚の子守唄」

昨夜に引き続き安田タツ夫先生のレモンコミックスで、今夜は「恐怖!人魚の子守唄」(立風書房刊)です。
YASUDA-ningyo.jpg

S県F市の岬の突端にある洋館には、かつて一人の孤独な老人が住んでいた…

ある夏、東京の中学三年生…榊由紀子海堂守らの男女7人グループがこの海へバカンスに来ました。
担任の武下先生の知り合いの別荘で、先生と管理人のおトクさんというおばさんなんかも含めての共同生活となるのですが…
いきなり初日の夜に、全身ウロコだらけの女が別荘を襲います。
この女はあの洋館に住む生物に操られた人間でした。

タネを明かせば、洋館でその生物の研究に打ちこんでいたのは水神剛三という科学者。
既に死んでいる彼でしたが、残している文章によれば、彼が造り出した新しい「種」は人間以上の能力を持つ新人類!
『彼らをひとまず「人魚」と名づけよう!』
となってますが、これは水槽で生活していたからでしょう。
タイトルも「恐怖!人魚の子守唄」ですが、人魚フェチが喜ぶような、美しく色っぽい人魚なんて出てきません。これがまた、醜い爬虫類系なんですよ。

人の体内に潜りこんで寄生し、噛んだり睨んだりで人を操る事もできる、恐ろしい「人魚」達は洋館を出て、由紀子らのいる別荘へ大挙して襲ってきました。
おあつらえ向きに外は嵐で、閉ざされた空間の中で戦う中学生達…
敵は人を操る事もできるから、おトクさんも操られて包丁で学生の頭をかち割ってしまいました。
しかもこいつ、人体に潜りこむために顔にへばりつくのですが、この様はまるっきり映画「エイリアン」のパクリです!
すると、この「人魚」のデザインもH・R・ギーガー(Hans Ruedi Giger)の影響という事で考えていいのでしょうね。

敵は火に弱いと気付くまで逃げまどい、信頼していた仲間まで実は操られていたりして、顔の皮膚をはがされ、体を食い破られ、派手に殺され続けましたが…
最後は三人だけ生き残って由紀子達の勝利。
水神剛三博士いわく『人類にとってかわり地球上に万物の霊長として君臨する』という生物が相手でしたが、都会者の中学生に負けるくらい弱くて、人類は助かりましたね。

これも前回の「闇にうごめくドクロ蜘蛛」同様に、異常なテンションを維持したまま突っ走る、そしてもちろん異形への愛着を持った作品でした。
この後の安田タツ夫先生は、歴史上の人物や野球選手についての漫画を次々と出していくのですが…ホラー漫画を続けて欲しかったです。


ホホホ…女には卵を! 男は喰いちぎるのよーアハハ………
ユキコ!マユミ! あなた達も仲間になるのよ アハハ………



  1. 2008/10/19(日) 23:42:00|
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ホラー漫画(24) 安田タツ夫 1 「闇にうごめくドクロ蜘蛛」

今夜は、このブログでは初登場になる安田タツ夫先生の作品を紹介しましょう。

1952年の北海道生まれで、1972年に永井豪先生のダイナミックプロ入社し、1975年に「鋼鉄ジーグ」でデビューしています。
ジーグはテレビアニメでも放映された作品ですが、その時は安田達矢名義でして、『原作永井豪・安田達矢、漫画安田達矢とダイナミックプロ』という形でした。

他にも「00学園スパイ大作戦」「劇画・怪盗ルパン」等の作品で師匠の永井豪先生と組んでいますが…
私が印象深いのは、やはりホラー漫画。
それもあのレモンコミックスで出ている二冊で、まずは「闇にうごめくドクロ蜘蛛」(立風書房刊)からいきましょう。
YASUDA-dokuro1.jpg
これがまた、かなり強く永井豪テイストも残した傑作でして…とにかく話を追ってみましょう。

---------
胃の中からクモを吐いて上に、歩道橋から落ち即死する女の場面から、物語は始まります。

その女は、死体を安置している牙城総合病院の牙城院長が理事長を兼任している、"聖心学園女子中等科"の女教師で、名前は三条和美でした。
和美の体を解剖すると、体内を大量のクモが喰い荒らしているという凄まじい光景。
しかも牙城院長は、その事実を絶対もらさないよう職員に命令するのです。

その和美に夢枕に立たれた妹の三条麻衣子は、和美の日記を読んでその死に疑問を持ち、東京を出て姉の勤めていた聖心学園に転入し、その謎への挑戦を開始しました。
麻衣子は姉と親しかった司馬宙先生の家に下宿して通うのですが、この司馬先生がクラスの女子のアイドルだったためにイジメられ始めるのです…

特にクラスの女王にして理事長の娘でもある牙城麗華
彼女はずっとトップだった成績を麻衣子に抜かれて怒り心頭!
大豪邸に帰ると、変なクモばかり集めている兄の部屋を訪ねるのですが…
出ましたよこの兄、顔半分がケロイドのせむしという、異形のキャラクター!!

この兄が大事にしているドクログモを手に入れるために麗華は…
『フフフ 女の裸がみたくない? ククク みせてあげるわ』
と言っておっぱい出し、さらに続けて
『フフフ もっとみたい? みせてあげてもいいけど…… ククク……
また例のクモが必要になったのよ
生物の体内に卵を産みつけ成長する
あのドクログモがっ!!』
というわけで素っ裸になって高笑いして兄を操り、ドクログモを手に入れる…このシーンはヤバイですね。

それから保健室のおばちゃんを金で操って麻衣子を騙し、眠らせてドクログモに卵を産み付けさせました。
もう分かったでしょうが、もちろん麻衣子の姉・和美もこの手で麗華が排除していたのです。
ドクログモが卵を産み付けた麻衣子の右目は、どんどん腫れ上がってバケモノのような顔になり、しかもそこからクモが出てくるという、恐ろしい現象が始まりました。

麗華の追い打ちは続き、牙城総合病院の婦長に出世させてあげた元・保健室のおばちゃんを使って、今度は連れてったクラスメートの前で嫌がる麻衣子の包帯を取らせて醜い顔をさらすという…
あまりにもキツく、精神的にも攻撃するのです!!

しかしドクログモの不思議な力…いや、姉の幽霊が力を貸してくれました。
何と麻衣子はクモ少女に変身して、復讐を開始するのです!
↑のジャケ画では帯で見えなかった部分…これを外すと、こう。
YASUDA-dokuro2.jpg
仮にもヒロインが、こんな奴になっちゃうんですよ!!

そして麗華の誕生パーティーの夜。
麻衣子は殺したクラスメートをケーキの中に入れたり、さらに牙城家内部でもせむしの兄がクモの殺した父を殺し、切り取った首を持ち歩きながら豪邸に火をつけました!

これにより牙城家は滅亡し、麻衣子の顔も驚くべき早さで回復してまた友達と仲良く学校へ通いましたとさ。
そうして終わるのですが、麻衣子は姉が乗り移っていたとはいえ人を殺しまくったのにいいのかな。
ドクログモも体内で増殖していたはずなのに、簡単に回復するって…

まぁ安田タツ夫先生も永井豪先生の手法そのままに、勢いだけで突っ走って異常なインパクトを生む作風を受け継いでいるようですので、細かい事はどうでもいいのでしょう。


この世でクモほど美しいものはない……
ヒステリックでわがままな 俺の恋人達よ!
今夜もきかせておくれ 闇の世界の恋物語を……



  1. 2008/10/18(土) 23:38:56|
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トキワ荘(29) 石森章太郎 20 「江美子ストーリー」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「江美子ストーリー」(朝日ソノラマ刊)です。
ISHIMORI-emiko-story.jpg
まず表題作「江美子ストーリー」は、1962年に少女クラブ(講談社刊)にて掲載された作品。

石森章太郎先生の中でもわりと初期作品に当たる少女漫画で、主人公の紀乃宮江美子は小学5年生(もちろん本表紙のキャラではありません)で、武蔵野に住む大金持ちのお嬢様です。

その姉の瑠美子に生き別れていた双子の姉妹の由美子が見つかったり、新しく出来たとも子が広島で原爆にあっていて白血病で死んだり…
こうして適度に不幸描写を入れたり、少女読者が大好きな要素を詰め込んでますね。

あとは山奥の田舎にいる両親に嘘で夢のような話をしてしまった花岡菊恵と知り合い、上京してきた彼女の両親を信じ込ませるために力を貸したりもする心優しい少女ですが、最終話では"幸せとは何か"を考えて本気で苦悩します。
自分が金持ちである事に疑問を持たなかった江美子が、子供を二人連れたホームレスの親子と話すと、そのおしの娘に嫌われ、善意から食べ物を恵んであげようとしてはその高慢な考えを思い知る…

『しあわせとは……?
不幸にであったとき それにたちむかい のりこえるだけの
心のつよさをもっているひと だけがつかめるものである』

という言葉を最後に、「江美子ストーリー」は終わりました。

やはりこの手の少女漫画で私が共感できるわけもないのですが、胸をときめかしている少女読者を想像して、微笑ましく思います。
もちろん絵柄は可愛くていいですよ。


次に「MYフレンド」という、また石森章太郎先生本人が出てきてミュータントモグラに苦しめられたりするほのぼのした作品と、「虹の世界のサトコ」という…短編集「あかんべえ天使」にも収録されていた、少女幻想ファンタジー作品の2編が同時収録されています。


かわいそう…とんでもない!
わしらはこれで今夜のおかずにサバのかんづめをつけられたことで…
けっこうわしらなりにしあわせだと思ってる
さあよけいなことはせんでいってくれ
むすめがあんたの顔を見るのもいやだといっとるで



  1. 2008/10/17(金) 23:09:41|
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トキワ荘(28) 石森章太郎 19 「ミュータントサブ」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「ミュータントサブ」(朝日ソノラマ刊)です。
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この作品は何度も連載誌や設定を変えながら、サブという主人公と超能力を扱ったテーマを基本にして描き続けられていた作品で、単行本はサンコミ版だと全3巻。

初登場は1961年なんだそうですが、一般的には1965年から少年サンデー別冊少年サンデー(小学館刊)で連作の不定期掲載されていた分、またはぼくら(講談社刊)での掲載分が一般的に人気があるようですね。

石森章太郎先生ほど幅広いジャンルを手がけた方はほとんどいないでしょうが、中でも本人が一番好きで、大得意分野であったのがSF。
この「ミュータントサブ」もSF漫画で、特に超能力を扱った作品として有名な作品です。

主人公であるサブがどうやって超能力を持つ事になるかというと、歩いていたら車にはねられ、その車に乗っていた鈴賀自動車会社のお嬢様鈴賀マリの血を輸血したら…超能力を得たのです。
何と!
二人の共通点は、母親があの原爆を落とされた時に広島にいて被爆していたという事。
放射能の影響を受けた者同士の血が交じり合ったために、体に変化が起きたのだとか。

子供向けSFの世界では、放射能に被爆すると超能力が身につく…これはありえる事ですね。
動物なら体が巨大化する設定も、よくありました。ゴジラとか。

とにかくこれで、ミュータント(突然変異児)サブの誕生。
それから体が弱いマリの方にもサブの血を輸血して、無事に同じ超能力者になりました。
サブは身体能力も含めて超人になっているのに、マリは精神感応(テレパシー)だけしか出来ないのですが。

サブが超能力でさまざまな敵に襲われ、そして事件を解決していく物語なのですが、人間世界では孤独な種族のようになったサブは寂しがり、同じ超能力を持った人間と会うと喜び、仲間にしようとします。

ゲンという『字もかけないアホウのオシですが動物と会話ができる』少年。
ウッド・ペッケル博士というナチの残党に暗殺団として使われていた双子の子供
ずっと昔の気ちがい学者による実験のために、古井戸で生まれてずっと住んでいた白い少年
小さい頃に柿の木から落ちて頭がおかしくなると同時に、超能力を得た…しかし村人達に撲殺された可哀想な片桐タケル
サブを好きになると同時に幸福になったために超能力が失われた、鬼っ子と呼ばれる少女。

…このあたりがサブとマリ以外の超能力者で、仲間になったと思われる奴もいるのですが、何故か後に一度も登場しませんでした。
宇宙の果てから飛んできたキノコによって、村人全員が超能力者になった念仏村というのもありましたし、あとはロボット城での死闘や、過去に呼ばれたり、シュールな四次元の世界に迷い込んだり、地底で生きていた雪魔人とそれを操るサエキ博士と戦ったり。

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しかし最終の三巻目になると、いろんな所で描いた「ミュータントサブ」シリーズから寄せ集めてきた話になりまして、なので作品によって設定も異なります。しかし、これも面白い!

最初の「キャプテン・サブ編」はサブが超能力者ですらなく、しかも「闇の風」の二巻巻末にも収録されていた海賊漫画。

「スイッチピッチャー・サブ編」はプロ野球を舞台にした、投手と打者による超能力合戦!!

「原始少年サブ編」では人類がまだ原人だった時代のサブが登場します。
全身の体毛が無いために"白い子"と差別されて育ち、しかし次々と武器を思いつく凄い知恵を持っていたために、やがて原人達を先導するようになります。
このサブは存在自体が地球外の、"銀河連邦人類保護委員会"によって生み出された者でした。
特に火を起こす発見がメインなのですが、その火はずーっと未来には核兵器と変わる…

「スパイハンター・サブ編」ではサブがどこかの諜報部職員でしょうか。
スパイを狩る狩人として、最後は月の地下に住んでいた生物をやっつけるのですが、その生物が最初に取り付いた月探検ロケット・アバータ一号の乗組員の名前はレオノフ=オカーチメンコ大佐

「エッちゃんとサブ編」では何と、「おかしなおかしなあの娘」さるとびエッちゃんが出てくるので、ファンには嬉しい1話でしょう。
二つの別作品の主人公同士が協力して観念動力を使い、"カミカゼ"という大魔神ロボットをやっつけるのはワクワクします。

「X指令編」などは主人公が超能力者でこそあるものの、名前がサブじゃなくてケンです!
これも「ミュータントサブ」シリーズでいいのでしょうか…


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一応触れておきますと、こちらは先に出たダイヤモンドコミックス版(KODAMA PRESS刊)の「ミュータントサブ」です。
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こちらだと全2巻で内容にも異なる部分があり、また石森章太郎先生自身による前書きがありますし、福島正美氏、小松左京氏による解説も収録していますので、こちらも読むべきでしょう。
とにかく初期石森章太郎先生の魅力が凝縮されて詰まっている連作が、「ミュータント・サブ」でした。


一説によれば超感覚知覚者は 狂人や身体障害者におおいといわれる
神があわれみたもうて かれらにうしなわれた五感にかわる
別の感覚をあたえたもうたのかもしれない……



  1. 2008/10/16(木) 23:38:08|
  2. トキワ荘
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永井豪 (12) 「バイオレンスジャック」 1

(今回はゲストライター、奈落ハジメ氏の投稿です)


今回は永井豪「バイオレンスジャック」をご紹介したいと思います。
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昭和40年代から平成まで、週刊および月刊少年マガジン、そして週刊ゴラクと掲載誌を変えつつも、足かけ20年近くに渡って連載された超大河長編。
まともに完結すれば、間違いなく「デビルマン」を超える永井豪最高傑作となる可能性はあったでしょう。そう、無難に完結さえすれば……
詳細はあえて書きませんが、その結末は読者の想像を遥かに上回るものでした……色々な意味で。
もっとも、永井豪の魅力とは支離滅裂なカオスと切り離せない狂的エネルギーが原点にあるのであって、「デビルマン」のような形で破綻なく完結した長編は逆に珍しい部類に入るとも言えるでしょう。
ですが、それによって評価は完全に二分。ファンの間では「壮大なる駄作」という批判も多い、永井豪最大の問題作として歴史に残ることとなりました。
それがこの、「バイオレンスジャック」なのです。

ところで社会秩序が崩壊し暴力が支配する世を描いた漫画……といえばまず「北斗の拳」が思い出されますが、こちらの方が10年も早く連載が始まっています。
ただ「北斗の拳」が主人公ケンシロウを中心とした物語であったのに比べ、「バイオレンスジャック」でのジャックは正体不明で神出鬼没の怪物的存在。その内面の描写は一切されず、読者の感情移入は始めからできないようになっています。
つまりジャックは主人公ではなく、作品のアイコン(象徴)であり狂言回しに過ぎないのです。

ではこの作品の主人公は、そしてテーマとは……?
プロローグとも言うべき『東京滅亡編』のラストで作者は自らこう語っています。

日本で ありながら 日本で なくなった土地 関東
その荒れはてた 治外法権の土地 という
特殊な舞台で 演じられる
人間の生きざまを その人間たちの運命を
描くことが 目的である


永井豪漫画の主役たちが、メジャー作品・マイナー作品問わずオールスターで客演する後期の週刊ゴラク編も、それはそれで面白いのですが……やはり作品の魂ともいうべき熱やテーマ性がより強く脈打っているのは、初期の少年マガジン編の方でしょう。
マガジン編での主役は、ほとんどが何の力も持たない少年少女たちです。大人たちの非情な暴力に踏み躙られながら、なお心正しく生きようとする小さな魂の鮮烈さは、描かれる壮絶な暴力描写も相まって読む者の胸を打ちます。
本稿ではその70年代に週刊・月刊少年マガジンに連載された七編のエピソード……『東京滅亡編』『関東スラム街編』『関東鬼相撲編』『地獄の風編』『激闘!門土編』『黄金都市編』『疾風ドラゴン編』までを「初期バイオレンスジャック」としてまとめて扱うことにします(ゴラク編は逐一紹介すると長すぎるという理由もありますが)。

『東京滅亡編』

幕開けとなるこの序章では、「関東地獄地震」がもたらした災害の大きさと、それを生き残った人々がどんな地獄を見てきたかが、逞馬竜という少年の視点で描かれます。
「その瞬間非常階段は…非情階段と化していた!」のナレーションが強烈すぎる子供大量惨死シーンなど、大地震のパニック描写もド迫力なのですが、地獄地震が起きる前の竜の平和な日常風景もしっかりとページを取って描写されている点が秀逸と言えましょう。
美人の姉さん3人に寄ってたかって可愛がられるという、羨ましすぎる家庭環境に育った甘えっ子の竜。特に二番目の姉であるユリねえに至っては「ユリねえのパイパイだんだん大きくなるね」「まっ オマセ」なんてやり取りが日常茶飯事な「それなんてエロゲ?」と言いたくなる溺愛ぶり。
しかしそんな竜のエロゲ幸福な人生も容赦なく地獄地震によって奪われてしまいます。
突然襲ってきた理不尽な地獄を前に、竜少年が念じた想いは……ユリねえのパイパイにもう一度逢いたい!でした。
そしてその想いが、ひよわだった少年に大人ですら実行不可能な冒険に踏み切らせ、念願叶ってユリねえの元へ辿り着く竜。
そんな竜に、他の家族は死んだものと諦めるのよ、とあえて生き延びる為に非情な言葉を告げるユリねえ。
物語的にあっけなく瞬殺されるユリねえ以外の家族が不憫といえば不憫です……以後まったく触れられないし。

とにかく、杉並区高円寺近辺にある自宅~ユリねえの学校がある世田谷区西永福周辺~京王線・中央線沿線を北西に移動~井の頭公園~三鷹~神奈川丹沢へと、普通なら何てことなく電車で移動できる道のりを決死の覚悟で進みます。
その間もブラもろ見え状態(シャツ破れた)で弟への溺愛ぶりを発揮するユリねえ。印象的なのが、パンを巡る大人たちの喧嘩騒ぎに乗じてパンをかすめ取る逞しさ。
しかも盗んだパンを自分のパンツの中に隠すという勝新もびっくりのマジックで、弟に与えます。
そのユリねえのブルーチーズもしくはアンチョビー風味付き(想像)のパンを食べて勇気百倍の竜ですが、「つよい! やっぱりユリねえはつよい! ぼくは…たすかるんだ ユリねえがたすけてくれる」と、この期に及んでもまだこのシスコンぶり。

しかしそんな最後の甘えも容赦なく、避難先でのまさかの丹沢山大噴火によって奪われてしまうのでした。竜を庇って火山弾を背中に受け、火だるまになって死んでいくユリねえ。
「きいて竜 あたしはこれ以上あなたの力になれない あなたはこれからひとりで生きるの いいね! 竜」

竜の心に……いや魂に刻みつけられる、その最期の言葉。

「あなたはもう負けられない! 竜…男が…生きるってことは戦いなのよ
 自分の幸福も 自分の平和も 自分の力で勝ちとっていくしかないのよ!
 負けないで竜…
 負けないで竜…」


このユリねえの遺志は後々、竜が地獄の関東を生き抜いていく上での精神的支柱になっていくのでした。
このシーンはもう、何回読んでも号泣必至です。
どれくらい泣けるかと言えば、「一杯のかけそば」なら余裕で30杯分は泣けますね(意味不明)。

ここまでおよそコミックス一巻分のボリュームがありますが、象徴であるジャックは連載一回目の扉絵シーンにしか登場していません。「デビルマン」を完結させた直後の、永井先生が温めていた壮大なイマジネーションの炸裂を予感させる引っ張りぶりですね。

『関東スラム街編』

あの地獄地震から一年後……逞馬竜は生き延びていました。
しかもかつてのシスコンの甘ったれではなく、孤児たちの小さな集団を率いるボスの器量を身に付けるまでに成長しています。
しかし……食糧すら満足に手に入らない荒廃した関東では、力こそが全て! 身体の大きな大人たちは子供たちを養うどころか、進んでその食糧を奪う者ばかり。
関東では子供は守られるべき存在ではなく、最も弱い生き物でしかないのです。
いつも食糧を脅し取られる大人グループに、このままじゃいけないと初めて牙を剥く竜。

「このまま いつも おとなしくとられたら
 いつまでたっても サカナはおれたちの口にはいらねー
 きょうのサカナはとられるだろう
 おまけにケガもするかもしれねー
 だが おれたちからサカナをとるのが ひとくろうと知ったら
 いずれやつらはもっとラクにとれるところから とるようになる!
 あしたもとられる あさっても
 だが いつか自分のサカナを食うために……
 きょうを戦う!」


小学生の身でありながら、強者に屈さぬこの覚悟! この魂!
とても一年前まで「ユリねえのパイパイ」とか言っていたマセガキと同一人物とは思えません。
その勇気ある反骨精神は、しかし無情にも大人たちの暴力に踏み躙られてしまいます。

「なぐるがいいさ いくらでも
 毎日なぐられてやるぜ……
 暴力じゃ子どもだって屈伏させられねえことを
 おしえてやるぜ!」


ボコボコにされながらも、作品タイトル全否定のような啖呵を叫ぶ竜。
そしてそこへ現れる、ボロをまとった野獣のような巨人・バイオレンスジャック!

筋肉はゴリラ!
牙は狼!
もえる瞳は原始の炎!
二メートル二十の全身に闘争エネルギーがみたされていた!
その名はジャック!
暴力(バイオレンス)ジャック!


大人たちの振るうチンケな暴力とはスケール違いの、メタ暴力とも言うべき圧倒的力で暴漢たちを蹂躙するジャックに、少年たちは大自然の猛威に遭遇したかのような恐怖に打たれるのでした。
無言のまま竜の急場を救ったジャックは、お礼として少年たちの貧しい晩餐に招かれます。
しかしここでジャックに見込まれた事が、竜の苛酷な試練の幕開けとなるのでした……。

乞われるままに、無法の町・関東スラム街へジャックを案内する竜。粗末な飯しか食えない子供たちに対し、腹一杯食べられる街の悪人たち。「まともな飯にありつくためには悪党になるしかない」と諦める竜に、「ちがうな 悪党だから食えるんじゃない 強いからだ!」と力の世界の掟を諭すジャック。
その掟を身をもって教えるかのように、関東スラム街を支配する実力者・スラムキング傘下のレストランで無銭飲食した後、用心棒たちを一蹴――竜たちを巻きこんで、勝手にスラムキングとの抗争に突入してしまいます。
竜たち子供に取って、ジャックは救いの神から悪魔へと一転! バイオレンスジャック、その目的はなに!?

ここで初登場するのが、関東の魔王スラムキング。ジャックに劣らぬ巨体を鋼鉄の武者鎧に包み、異常体質による怪力でもって2メートルもの斬馬刀を軽々ふるう怪物です。なにせあのジャックの敵役を張るのですから、これぐらいキャラが立ってないといけないのでしょう。
そして肉体面ばかりでなく、精神の怪物性をも表現する存在として……そのビジュアル自体が発禁ものの「人犬」もまたここで登場します。
自分の意のままにならぬ者の手足を関節から斬り落とし、自殺できぬよう舌を抜き取られた人犬は、人語すら喋れぬまま文字通りキングの犬として鎖で繋がれるグロテスクで哀れな存在なのです。
(ちなみに男女つがいの人犬の顔は、「デビルマン」の飛鳥涼と牧村美樹そのまま)

ところで永井豪先生がデザインした骨法シンボルマークですが、
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どう見てもスラムキングの顔ですね。

このキングに忠誠を誓うヤクザ組織・関東外道会は犯人を血祭りに上げるべく無差別の浮浪児狩りを開始。これに対し、自然の要害・震災砦に立て籠る竜たち浮浪児三百人。
しかし子供特有の無垢な正義感を利用し、竜たちを砦から誘き出そうとヤクザは別グループの浮浪児を人質に。
砦を出ようとする竜をジャックが制した時、まるでジャックが呼び起したかのような突然の大地震が発生! その間隙を突いたジャックの突撃に、ヤクザ集団は子供たちとの挟み撃ちに遭って壊滅状態。

この時、ヤクザの一人が人質の女の子を盾に取るのですが……何事もなかったかのように、ジャックナイフで子供とヤクザの首を両方素っ飛ばすジャック!
この余りに強烈なシーンに、心のどこかでスカッとした読者は多いんじゃないでしょうか?

無関係でも子供を人質にされると途端に無力になる正義のヒーロー。
なぜ? どうして?
子供のピュアで残酷な疑問に答えられる大人がどれだけいるでしょうか?

そんな鬱陶しい決まり事を文字通り一刀両断にした、血ぬられた鋭利なジャックナイフ……「デビルマン」でのジンメン戦に通じる、決して大人たちが教えてくれなかった“真実”を目撃するカタルシスがそこにはあります。必見!

外道会を撃退した浮浪児たちは束の間の安息を得ますが、安心した竜を再び地獄に突き落とすジャックの暴走は止まりません。
ここで寝た子を起こすかの如き、スラムキングへのタイマン挑戦!
ジャックとスラムキングはこれ以降、最終回まで凄まじい激闘を繰り広げていくのですが、これが記念すべきその初対決となります。
荒野の果て――スラムキングの行く手に立ちふさがり、無言でジャックナイフを光らせる暴力の巨人。

「いた! スラムキングに刃をむける男が!」

絶望の中で光明を見たかのように、生気を取り戻した顔を見合わせる人犬・了と美樹。
次の瞬間……。

グオオオオオオオオウ!!と、マジンガーZばりに両腕を天に広げて咆哮するジャック!
これに真っ向から対峙したスラムキングの反応は……。

ビク!

普通にびびった。

この驚かされるシーンで、ようやく現れたジャックのライバルであるスラムキングが急に頼りない小物のように見えてしまったことはないでしょうか? ライバルとは、往々にしてその初対決では主人公を圧倒するものだからです。
しかし、既に説明したようにこの漫画における主人公はジャックではありません。作者自身の言葉を借りるならば、主人公は「関東に生きる人間たち」なのです。
つまり……この場面における主役は、決してジャックではなく、「関東に生きる人間」の一人であるスラムキングの方ということに……。
ここで、「視点」の変化が無意識に行われています。
読者に取っても「未知の存在」であるバイオレンスジャックという脅威と遭遇した、(同じように怪物的ではあるものの)生身の人間であるスラムキングの視点で読者はジャックと相対することになるのです。

一旦は怯んだスラムキング。しかし次の瞬間……

「斬馬刀!」

自らを叱咤するかのように叫ぶや、太刀持ちから愛刀を受け取り巨体を躍らせる魔王の雄姿!
そこに感じる理屈抜きのカッコ良さは、知らず知らずに我々読者が、未知の怪物バイレンスジャックに立ち向かうスラムキングへ感情移入させられていたからではないでしょうか。

とはいえ、初対面の人間の第一声がグオオオオオオオオウ!!ですから、普通に驚くのも無理はありませんね。
日常の折々で例えれば……。

「はじめまして。私、関東商事の山田と申します」
「グオオオオオオオオウ!!」

「あの……ご趣味は……(ぽっ)」
「グオオオオオオオオウ!!」


閑話休題。
刃渡り40センチ幅8センチ厚さ1センチの超巨大ジャックナイフVS刀身2メートルの斬馬刀。
その対決は一瞬の捨て身の逆転によりジャックが勝利! キングには、面を割られると強烈すぎる顔面筋肉の収縮で頭蓋骨が砕けそうになるという弱点があったのです。
しかしキングに留めを刺さず、怒りを誘う笑いだけを残して立ち去るジャック。またしても災厄の矛先は竜の元へ向くのでした。

いよいよもって絶対絶命。キングの刺客であるドラゴンと呼ばれる騎馬武者軍団の襲来を前に、苦しみのない自殺を思い至る孤児たち。
しかしただ一人、竜だけは最後まで闘志を捨てません。男が生きるということは戦いであることを、教えてくれたユリねえによって守られた命なのだから……。
閃きから思いついた天衣無縫の奇策を見事に成功させ、常勝不敗のドラゴン騎馬軍団を撃退する竜。そしてこの勝利が、やがて竜をスラムキングとも渡り合う関東の英雄として押し上げる第一歩となるのです。あたかもそれこそが、始めからジャックの目的であったかのように……。
逞馬竜がユリねえの託した想いの通り、自らの力で幸福と平和を勝ち取った時……バイレンスジャックの姿は、既に関東の荒野の彼方へ去っていったのでした。

次回は『関東鬼相撲編』『地獄の風編』を紹介する予定です。

ジャック
バイオレンスジャックとは
いったい何者だったんだろう…
ほんとうに
ただ暴力をよぶだけの
男にすぎないのだろうか
それとも やつは…



奈落ハジメ(ならく・-) ゲームシナリオライター。東京在住。酒と美女と漫画を愛する中年男子高校生。


  1. 2008/10/15(水) 23:59:59|
  2. 永井豪
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トキワ荘(27) 石森章太郎 18 「青い月の夜」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「青い月の夜」(朝日ソノラマ刊)です。
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これは1957年から1960年までの少女クラブ(講談社刊)にて掲載された5作品を集めた短編集。

少女クラブといえば雑誌創刊初期に掲載された作品には、石森章太郎先生と赤塚不二夫先生の共同ペンネームいずみあすか名義だとか、さらに水野英子先生も加えた三人での共同ペンネームU・マイア名義でも「星は悲しく」「くらやみの天使」等がある事で知られていますね。

現在ではほぼ全員が女性漫画家で占められている"少女漫画"というのも、その黎明期は手塚治虫先生、ちばてつや先生、松本零士先生…
そういった現在の超大御所な男性漫画家によって作られてきたわけで、特にストーリーマンガの手法を少女漫画に取り入れた方が、誰あろう石森章太郎先生だと言われています。
まだ24年組(萩尾望都先生、竹宮惠子先生、大島弓子先生、池田理代子先生、山岸凉子先生…等)の登場以前の話ですからね。

さて、そんな少女漫画ジャンル自体の、そして石森章太郎先生にとっても初期作品を集めた「青い月の夜」を簡単に追ってみましょう。

まずは表題作「青い月の夜」ですが、可愛い少女アコがケンカばかりしている両親に心を痛めて泣いていると…
部屋中のおもちゃ達が動き出し、なぐさめてくれました。
彼らは一年に一度だけ、青い月の夜には自由に動いたり話したり出来るんだそうで、アコも教えてもらった呪文を唱えると彼らと同じサイズになれて遊ぶのです。
昔アコが壊して一本足になった兵隊人形は乱暴者でいじわるですが、しかしネズミに捕まって食べられそうになったアコを、その身を挺して助けてくれる…ロマンチックなお話でした。

「みどりの目」は、意地悪な継母とその娘とん子にいじめられている、可哀想なみゆきが、沼うばの命令で四人の人間をけものにしなければならなくなる話。
死んだ両親の幽霊や、フランケンシュタイン風の博士とその怪物…等が次々と登場し、最後は貧乏絵描きの少年と出会って共に沼うば退治をする、キャラクターも内容も盛りだくさんなファンタジー作品。
タイトルのみどりの目とは、みゆきの監視用に付けられた沼うばの目。
これは水野英子先生が"好きな作品"として挙げていた事もありました。

「氷の花」は、いきなりトキワ荘、そして石森章太郎先生ご本人が登場します。
ここで出てくる石森先生は、あの有名な似顔絵キャラではなく、まだ若い美少年風。それに妹のマコというのも出てきて、幽霊についての談義をします。
この作中にまた吸血鬼話等いくつかの漫画が出てきて、現実と同時進行する実験的作品なのですが…それがディズニーアニメそっくりな画風だったりして、けっこう楽しいです。

「雪の日に」は、またu>石森先生と妹が出てくるのですが、その現実部分は絵と文が半分ずつの絵本風で、それにアレンジを加えた「かぐや姫」を漫画で描いて融合させている、やはり斬新な実験を取り入れた作品。

「かげろう」は、現実世界から見たら幽霊かと思える"かげろうの世界"に住む娘ユリイデが、ある兄妹に助けを求めるファンタジー話。
ユリイデはあちらの世界に住む恐ろしい男の影から逃げ続けていて、もう少しで兄妹の世界に住人になれたのに、最後は人間になれずに死んで消えてしまう悲しいラストでした。
ここで描かれたシュールな世界観は、数十年経った今見ても全く古くないですね。

以上5編、少女向けメルヘン世界が中心なので、もちろんいい歳した大人の男である私が好きなジャンルでこそありませんが、絵が可愛いいのは素敵だし、たまに読んでは石森章太郎先生の才能の幅広さに驚愕するのです。


たまゆらにして……
まぼろしきえ
心ふたたびうつつに
もどりぬ……



  1. 2008/10/14(火) 23:16:15|
  2. トキワ荘
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トキワ荘(26) 石森章太郎 17 「赤いトナカイ」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「赤いトナカイ」(朝日ソノラマ刊)です。
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これは中一コース(学習研究社刊)にて1962年から連載された作品で、単行本は全1巻。
きました、私の大好きな終末モノですよ!


壮大な宇宙の描写で6ページも使うオープニングの後…
いきなり尾張町という、何のへんてつも無い田舎町の空き地で草野球をやってる少年達の場面に移ります。

ここでホームランを打ったものの、お化け屋敷に飛ばしてしまったのが、主人公の千太
『お元気で! ここの せむしのおじさん こわいわよ』
とはやし立ててるのが、ヒロインの万理子です。

ボールを取るために忍び込んだ、ここで偶然耳にしたのが町の有力者三人に演説する易者の言葉。
ピラミッド内部の壁に刻まれていた予言として、
『197X年……世の終わりきぬ 東方の空より 赤いトナカイに乗りたる使者 かけきたり おのおのその武器もてうたん……世の終わりきぬ……』
という、何だか良く分からない文章なのですが、説明によればこれが確実に地球の最後を予言した言葉で、せめてこの町の人達だけでも助けるため、ロケットを作って地球の外へ飛び出すしかないから町中の財産を集めてきてくれ…とかって話。

これ以降、尾張町は大騒ぎ。
実際に空飛ぶ円盤が目撃されて宇宙人の襲来かと思われたり、核戦争の危険性があるソ連とアメリカの対立中、ソ連が開発した史上空前の強力な武器の名が"赤いトナカイ"だったりしたから信憑性も増して…

まぁ易者が言ってた事はでまかせで、金だけ集めてドロンする詐欺計画だったのですが、これが嘘から出たマコトになってしまって、本当に第三次世界大戦が始まってニューヨークとモスクワは全滅。最初の核爆発から一時間以内で数百万人の人々が死に、二時間後には戦争は終わっていたようです。
日本にも核ミサイルは落ち、放射能被害から逃げるため牧先生の車に乗せて貰って東北の田舎へ向かう千太と万理子は、もう会えないであろう両親らとの涙のお別れ…暴徒と化す民衆!

戦争、火山の噴火に大地震、異常な流星雨を見て地球の最後を感じる千太らの目の前に、さらに追い討ちをかけてくるのは…
変なカプセルみたいなのに触手の付いた宇宙人の集団!!
奴らの人間狩りから逃げ惑う千太と万理子もついに捕まりました。

火星よりも遠い星から来たという彼らは、地球人を動物園に入れるために狩って、残りは食料にするのだそうです。
しかしただ一人の宇宙人が、こっそり千太と万理子だけをロケットに乗せて地球から脱出させてくれました。
前に易者らの詐欺グループにやられて、ダメージを受けたそいつを助けてやっていた事があったのですが、その恩返しだったようです。

そして…もうすぐ人類が滅びる地球を飛び出し、たった二人で宇宙を飛ぶ千太と万理子は、
『ぼくらは 新しい地球の アダムとイブになるんだ!』
と覚悟を決めて、この物語は終わります。

連載誌名を見て分かるとおり中学1年生が読者というのに、本当に"地球の滅亡"という重いテーマで成功させた作品ですね。
一つの物語にテーマを盛り込みすぎて、構成が強引になった部分はありますが、"ノストラダムスの大予言"なんかも全くブームになっていない時代に、石森章太郎先生はよくぞこの「赤いトナカイ」を描いてくれました。


この他に、「そして……だれもいなくなった」という五つの物語を同時進行させた、実験的な作品が収録されています。
そして、これも世界大戦と人類の滅亡らしき物を中心テーマにしていたのか、五つのうち一つである戦争漫画の中で最終戦争が勃発して爆発し、他の四つの作品(ギャグ漫画、学園漫画、スパイ漫画、動物漫画)をも一緒に壊してしまい、地球にだれもいなくなって終わる作りになっていました。


…あの連中…おそらくふだんは ふつうのおとなしい人間なんだろうが……
恐ろしさのあまり…頭にきたんだ
人間追いつめられると どんなことでもやるようになる 恐ろしいことだ

だが…これはまだほんの序の口にすぎん!
おそらく これからはますます ひどい混乱がおきる!
もしかしたら……放射能にやられるまえに気狂いどもの手にかかって…
死ぬことになるかもしれない しかし いいかね千太 万理子
最後まで人間らしくふるまんだぞ!



  1. 2008/10/13(月) 23:47:22|
  2. トキワ荘
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旅行・紀行・街(40) 群馬県沼田市 2

二回目になる群馬県沼田市紹介です。
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ここは私の兄が住んでいる土地なのもあって実際には何度も行っていますが、滅多に会えない親戚が来るというので私も東京から駆けつけた時のがメインになります。
前回も沼田市名物に天狗の面がある事は書きましたが、またこの天狗の寺にして曹洞宗の寺院、"迦葉山弥勒寺"へ連れてってもらいました。
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『心静かに深山霊域に坐し、本来の自己を参究し、自他の差別を取り本来の面目を取り戻すところに絶対の自信と安心の世界が開かれるのである。』

中峯堂前で親戚との記念撮影。
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それから中峯堂内部へ。
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ちなみにここを参拝する際には、中峯堂から天狗の面を借りて帰り、願いが成就したら、その面ともう一つ新しい天狗の面を奉納し、また別の面を借りるというならわしがありまして、だんだん大きい面を借りていけるルールなのですが、また返しにくる目的でずっと通わなくてはならないのだ億劫で、私は今回も借りませんでした。

"天狗おみくじ"もやってみましたよ。
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イェーイ!
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そして今回は、前回開いてなかった扉が開いていたので入ってみました。
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すると三途川の河原…つまり賽の河原みたいに積み石がいっぱいしてある場所があって、少し背筋が寒くなりました。
♪一つ積んでは父のため、二つ積んでは母のため…
ああ、ちゃんと積み石の写真を撮るの忘れてる。そういえばここ群馬県には、実際に三途川という名の付いた河川があるのです。
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境内を散歩…
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↑タイ王国で見てきたヤツみたいに頭部の破壊されたブツも!しかもそこに石!

あとはカワイすぎる子供達を見ながらニヤニヤして…
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カシッ!
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おなじみのおみやげ屋、"みのや"と"かどや"で天狗の文鎮とか、いやげ物をいくつか購入。
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↑ワラビとかの山菜も売ってたのですが、私の故郷である新潟県の雪の下から出てくるヤツに比べると細くてビックリ。

カシッ!カシッ!
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次なるおみやげ屋は"なめこセンター"
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無料で食べれるなめこ汁をすすり、
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さらにAYUも食べました。
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子供にはアイス。
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てか、いくらなんでも可愛すぎだろ~、キミ。

これもおなじみ、キノコとチンコでかけてる飴でありますが、子供が飴を欲しがってもこれを買ってあげるわけにはいきませんね。
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この春の沼田市キャッチフレーズは、『ぬまったりな春が来ました。』ですって。
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兄の家へ。
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親戚の子らと遊び、
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ここで手打ちうどんをごちそうになって。
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それから"沼田公園"へ。ここには"沼田城址"もあります。
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この沼田市は諸勢力の争奪戦の的となった地だけあって、沼田城は城主も何度も代わっていて歴史は複雑ですが、とにかく典型的な崖城で、本丸跡から沼田市街を遠く見下ろせるのもいいですよ。

ここを散歩して…
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神社もあるので参拝。
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エテ吉くんをはじめ、動物達もいました。
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日本が誇る猛獣、くまさんもいるようでラッキーと思いましたが、全然姿を現しませんでした。
奥に引っ込んでいるのか、それとも檻だけ残してもういなくなっているのか…残念。
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次は夜を待ち、沼田市街へ向けて歩きました。
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ここ"カタヤマ"というおもちゃ屋の裏口は、怪しい道を進んで行くのが面白い。
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しかもここへ来る以外、どこにも抜けられない行き止まりですからね。

この時に沼田市に行った目的は、この男と飲む事でした!
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彼はかつて何度も一緒に飲んでいるのですが、ここ数年は全く会えず…
しかも近年住んでいたここ、沼田市からもうすぐ引っ越すというのでね。

案内してもらったお店は、まず"元禄"という居酒屋。
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柳川鍋のドジョウが開きだ!
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沼田市はスナックが安いとかで、何と二軒目は"StyC"(ステイシー)。
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地元の女の子と話せる貴重な機会ではありましたが…
かなり寝不足で疲れきったまま飲んでるのですぐに寝てしまい、そのまま店を出るまで睡眠を取るという愚行をしてしまった私。

次は"椿や"のママに引越しの挨拶するのに付き合い、
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酔っ払い達はさらに居酒屋"小町(こまち)"で飲み直し…
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当然、もうほとんど記憶も無くなってるってのに、帰宅してからも飲み直したのはこの写真を見て思い出しました。
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その状態の奴に越乃寒梅なんて、勿体無い!

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こうなると次の日の定番が、辛い辛い二日酔い。
しかも、またもや朝早くに起こされて車でおでかけ!
いろいろ買物に付き合ったのですが、店に着いて車を停める度にトイレを探して吐きに走る始末でした。
薬局で買った二日酔いに効く薬を飲んだのですが、それも飲んだ直後に吐いてしまった…

最後は埼玉県本庄市にある、あの大勝軒経営である"常勝軒"にて食事。
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もっと体調がマシな時に来たかったですが…
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とにかく、ここでお別れして東京へ帰りました。
帰りの電車でも、駅で駆け降りて嘔吐したりの辛い話があるのですが、それはいいでしょう。
夜になってまた体調が回復してくると、迎え酒として南国に住む妹が送ってくれた黒糖焼酎を一人、部屋で飲む私でした。
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沼田市…サバラ。また、いつか。


  1. 2008/10/12(日) 23:51:37|
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旅行・紀行・街(39) 新潟県魚沼市 4 福島県南会津郡 1 只見線

今週末は故郷の新潟県魚沼市へ帰省です。
目的は、かつてお世話になった先輩の結婚式二次会。

片道は贅沢して新幹線で、浦佐駅(ここは南魚沼市)まで帰りました。
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…するとこの駅で、いきなりその結婚式の主役に遭遇しましたよ!ビックリした~。

とにかく最初の夜は、ただいま!!と実家で晩酌。
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このおでんから…他にもいろんなつまみがあって、
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〆のラーメンと餃子まで出してもらったというのに、
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私が帰っている事を聞きつけた友人から誘いの電話を受け、この後でさらに外へ飲みに行きました。

行った先は…定番の"そば処 富永"
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帰省時のおなじみメンバーと楽しく過ごしました。
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もちろん再び帰宅してからも、朝まで飲み・・・


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明けて次の日。

家族によって二日酔いの体を叩き起こされて、大昔の町長のレリーフがある公園の隣に最近出来た…
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"陣屋らーめん"
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前回の帰省時にもオープンしたのは気付いてたのですが、行く時間が無かったため今回が初めてです。
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↑この一番下写真のは、八丁味噌あんかけラーメン。こんなの初めて食べた!

そして今回は、目的の結婚式二次会が始まる夕方までの時間を利用して、一つの計画を練っていました。
それは、JR東日本の地方交通線である只見線に乗る事!
最近鉄ちゃん(鉄道ファン)の友人が数人できたのですが、彼らが私の故郷を聞いて必ず羨ましがるのが只見線。
それが正に私の生まれ育った地である、新潟県魚沼市(旧・小出町)の小出駅と福島県会津若松市を結んでいるのでね、乗って帰って東京で自慢しようかと思ったわけですよ。

この豪雪地帯を走る路線、福島~新潟県境を結ぶ国道が冬季の積雪量が多すぎるため通行止めになるので、唯一の交通手段となるのですよ。もちろん、ほとんどが無人駅。
この只見線自体も、すぐに大雪で動かなくなって運休してましたが…現在はちょうど紅葉シーズンかな?
とにかく…旅の共を二人連れて行き、日に確か4本しかない電車の到着を待ちました。
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そうそう、スタート乗車駅は小出駅ではなく、隣の薮神駅にしました。何故なら小出駅だと駐車しておけないから。
その薮神駅のすぐ近くに、もう一つの路線を発見…
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相当なレベルを持つ鉄ちゃんが作った精巧なミニチュアでした!

藪神駅。
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↑ここで駅内に座っているジャージの少年。彼は確実に地元の中学生ですので、心当たりがあって私のいとこを知っているかと話しかけたら、同じクラスのボーイでした。
私のいとこ、授業中は大抵寝ているんだとか…

ここで降りる人は、ここにきっぷを入れます。
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無人駅ばかりの只見線では、社内で切符を買うにしてもどこからどこまでと自己申告で買う事になるわけで、下車駅でのチェックもない…東京じゃ確実に成り立たないシステムですね。

キター!!
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で、乗ると…エーッ!?
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何と、お客がいっぱいなんです。
私は只見線でどこかに通ったりした経験は一度も無いのですが、いつ見ても二両編成のどちらともガラガラの車両が動いていましたが…そうか、行楽シーズンにさしかかったために鉄ちゃん達で混雑しちゃったんですね。
ビールも用意してたので、ボックス席が良かったのですが…
とはいえさすがに座れない事はありませんし、普段東京で満員電車に苦しめられてる私には微笑ましいくらいでしたが。

運転席は車両ごとに前後あるので、計4部屋あります。
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しかし只見線に乗るなんて、一体何年ぶりだろうか…
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越後広瀬駅。
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魚沼田中駅。
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そうそう、私は弁当喰ってた学生服の少年の後に一人座り席をゲットしましたよ。
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車内で大人三人分一気に買った切符。
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越後須原駅。
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上条駅。
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入広瀬駅。
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柿ノ木駅。
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物凄い勢いでシャッター音を響かせていた鉄の男。
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彼があまりにも撮りまくるから、後で駅員さんによってここの窓カーテンを閉められました。
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車窓から見る風景は、紅葉にはまだ早かったようで、少しガッカリ。
田舎の景色はもちろん美しいのですが、私からしたら生まれ育った地の日常風景ですからね。
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大白川駅。
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田子倉駅。
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もう相当な山奥に入ってますが、写真ポイント分からずに撮り逃しすぎました…
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只見駅。
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実は今回の只見線乗車はここまで。

本当は更に会津盆地をあと数時間か上って、終点の会津若松駅…
小出小学校の修学旅行で行った、懐かしいあの地まで行きたい気持ちもあったのですが、その後の予定も考えて今回はここまで。
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一旦サバラだ只見線。


実はこの着いた只見駅がある福島県南会津郡只見町も、剣道をやらされてた少年時代に交換練習会みたいなので来た事がありましたが、小学生以来ですよ。
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駅で無料レンタサイクルがあったので利用させて頂きましたが、ここまで田舎だったか只見町…まぁ日本有数の豪雪地帯ですからね。

まずは"滝神社"という小さい神社を参拝して…
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それから町の名物でもある"田子倉ダム"は見たかったし、他にも観光スポットが少しだけあったのですが、雨が降ってきて遠出は出来ませんでした。

それでさびれすぎてる街中をウロウロして、
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"喫茶アリス"というのを見つけたので入ろうとしたら、もう随分前に閉店している感じで、営業してませんでした…
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これは只見川。
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川沿いにある"保養センター"には温泉もありましたが時間が無く、
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名物っぽいトマトジュースを購入して出ました。
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栗の木を発見したので、栗拾いをして…
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その近くの"三石神社"へ。
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山の入口的なこの鳥居から、ずっと山登りをしていくと社があるんですかね。

登ってみましょう。
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大きな石が出てきまして、
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この裏に小さな鳥居、そして頭を入れると頭が良くなるという説明書き付きの、有難い穴が空いてました。
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しかし、鳥居が邪魔で穴まで届かない…
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この石が出てきた事で、ここ三石神社の名前の由来が何となく想像できましたが、多分こんな巨大石があと二つあるのでしょう。
…と、ここで時計を見たらもう急がないと電車に間に合わなそうな時間になっていて、メインの社を参拝する事なく、すぐに下山してしまいました。

他に只見町には、河井継之助(幕末期の越後長岡藩牧野家の家臣)関連の"河井継之助記念館"だとか…
そして漫画本専門の私設漫画館"昭和漫画館青虫"(旧名・漫画図書館青虫)てのがあるのは以前から知っていたのですが、連れが漫画に興味無いので、ここのコレクションがどれほど偉大かを確かめるのは、またいつか…次の機会となりました。

駅で玄米ぼんせん等の土産を買い、
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再び只見線による帰路へつきました。
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今度は、ちゃんとボックス席も取れましたよ!
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隣のボックスには、一人で来ていた鉄ちゃんがいて…分厚い時刻表と電車の写真を持ち歩くという、正しい姿を示してくれていました。
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彼らが慌しく動き出したので何事かと思ったら、上りと下りの待ち合わせ停車で、一生懸命写真撮りに走ってました。
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僕たちも撮影。
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しかし鉄ちゃん達って、同じ乗り物マニアでも車好きやバイク好きに比べてモテ度の少なさがストイックな感じで、好感持てますよね。
撮り鉄、乗り鉄、時刻表鉄…他にもいろいろいると思いますが、共通要素はモテないという事で正しいでしょうか?
と、人の事をそんな風に思ってみたら、そういえば自分も古本マニアである事でモテた経験などただの一度も無いし、他の趣味で例えば映画だとカンフー映画にホラー映画…音楽はプログレや日本の情念フォークが好きなんて、私も全くモテ要素ないですね。


はい、これで只見線の旅も終了して、今回帰省のメインイベントである結婚式二次会のため、再び浦佐駅へ。
ここではもちろん、田中角栄先生の銅像を拝んで…
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会場は駅前の"ホテルオカベ"でした。
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主役達があまりにも忙しそうで、写真掲載の許可を得たりもできなかったので…ここはこれだけ。
先輩、おめでとうございました!!結婚してもまた一緒に飲んで下さいよ~。

ここで会った人達はおなじみメンバーから、数年ぶりとかの懐かしい友人やら、従業員さんにまで懐かしい知り合いがいました。

最後にこの結婚式の三次会は、"夕映"
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今夜も長くなりすぎましたが、これで終わりです。
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それではまた、近いうちに魚沼市で!!


  1. 2008/10/11(土) 23:24:03|
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劇画(55) 木村えいじ 1 「マダラ 闘犬無頼控」

今回紹介するのは木村えいじ先生。
「女かじきEXP」「夢想花」「美姫」「日向子」「ひょっこり豹介」「とねっ娘」・・・
他にも数多くの作品を発表しているのですが、 私が特に好きなのが「マダラ 闘犬無頼控」「闘犬カイキオー」あたりの犬漫画なのです。

"犬漫画"といえば誰に聞いたって「銀牙 -流れ星 銀-」「白い戦士ヤマト」等の高橋よしひろ先生の名前が出てくるでしょうが、その高橋よしひろ先生に影響を与えた先達は石川球太先生…そして木村えいじ先生でしょう。
今回はその、木村えいじ先生を紹介したいのです。
(田河水泡先生の「のらくろ」だとか、谷口ジロー先生の「犬を飼う」といった作品はここで言う"犬漫画"とは少し違いますね)

動物好きな私は、やはり犬漫画も好きでして・・ 動物好きって、もちろんブリジット・バルドーみたいな愛護絶対のじゃなくて、食べる方ですけどね。

さて、木村えいじ作品で最初に一つ…となると、やはり「マダラ 闘犬無頼控」(講談社刊)
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これは週刊少年マガジンにて1976年に連載された作品で、単行本は全1巻。

こじきみたいな格好した犬夜叉という少年は、闘犬界から"地獄犬マダラ"と恐れられているマダラ模様の土佐犬ブチ(普段は犬用パワーリストはめています!)を連れて旅し、闘犬を再起不能にして回っています。
ここ一年は音信無かったんだそうですが、信州の山にこもって涙も枯れる血の特訓をしてきたからだとか!

彼らの目的はマダラと血肉を分けた兄弟犬で、矢馬系の十二代横綱黒駒号への復讐。
その持ち主であるT市闘犬協会の鬼島理事長は、それを必死に阻止しようとします。

黒駒号を倒すまでは、全国の闘犬協会を荒らしまくる犬夜叉とマダラ。
旅を続ける彼らは、マダラと同じく闘犬協会に虐げられた美人闘犬師の菊水が持つ菊水号を倒し、"闘犬ブラック・ホール"という地下闘犬組織では無敵のチャンピオンであるブラック・ドーベルマンまで倒して逃げ出し…

ついに、宿敵の黒駒号と兄弟対決!!
地獄の急降下爆撃、必殺マダラ居合い、地獄の大車輪、地獄のマダラブランコ、目つぶし地獄、マダラ魚雷、マダラ竜巻地獄、マダラ三角とび…
それまでに様々な必殺技を見せていたマダラですが、黒駒号の"あばらおり はりつけの刑"が凄すぎ!読者は持っていかれた事でしょう。

しかし、ただ被毛がマダラだというだけで虐げられ、殺されかけ、かませ犬にされた過去を持つマダラの根性は負けません。
『ブチ このいかりとくやしさを どこにぶっつけたらいい・・・・
そうだ闘犬界だ 鬼島理事長を筆頭に てめえの欲しか考えねえ闘犬界ぜんたいにぶっつけてやるんだ!
そして最後の標的は 矢馬系 黒駒号をたおすことだ!』

そうして始めた、闘犬無頼の日々が負けを許さないのです。

完全に決まった、あばらおり はりつけの刑ですが…
『おまえはこの闘いのために生き この闘いがすべてだ
あやまりはおまえにとって死より残酷なんだ!
死ねっ 最後の一滴までふりしぼって!』

そういって勝負を投げようとはしない犬夜叉。
もう意識を失っているマダラに向かって一滴の唾を吐き、それを舐めて意識を取り戻したマダラは闘い、引き分けに持ち込み、周りにいた誰もが認める感動を与えて…犬夜叉と共に、再び去って終わり。

古き良き劇画の絵柄で、暗くニヒルな少年主人公もカッコいい名作でしたが、今の時代の目で見ると多少その大真面目さが笑いを誘う部分もあります。
それもまた現在の評価だと思うので、爆笑するのもいいでしょう。
傑作「白い戦士ヤマト」にも確実に影響を与えている、この「マダラ 闘犬無頼控」にまた感動を貰った所で、今夜はここまで。



  1. 2008/10/10(金) 23:40:23|
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トキワ荘(25) 石森章太郎 16 「ジョージ!ジョージ」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックスの「ジョージ!ジョージ」(朝日ソノラマ刊)です。
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これは少年ブック(集英社刊)にて1962年に連載された作品で、単行本は全1巻。

船旅中に事故が起こって遭難し、ボートで漂流し続けた詩渡武彦と妻の靖子、そして息子で主人公の丞児(ジョージ)は、他に唯一助かった左前之助と漂い続けて死にかけていると…
ついに"ローズ号"という船が通りかかり、助かったと思いきや、船は彼らを見捨てて去っていきました。
そのせいで海に落ちて鮫に喰われて死んだ、両親の仇としてローズ号を探し求めるジョージは復讐の鬼となる…そんな話。

南海の離れ島"アグアグ島"の土人少年、ガラクッタ(この二人は今後最後まで行動を共にします)に拾われて助かったジョージと左前之助(こいつはちょいワル)でしたが、三ヵ月後…
島を占領してロケット基地を作るためにやってきた日本のA会社が、ジョージの命の恩人である島民達を虐殺します。
当然、戦うジョージ。そして仇であるローズ号の持ち主はそのライバルであるB会社だと分かると、ジョージは第三のC会社を作り、偉大な発明家だった父の武彦が残した画期的なロケットエンジンの設計図を使ってトップに立つ事を決めました。

ロケット会社の三つ巴で争われる激しい闘いは、スパイ合戦から、発明した巨大ロボットのアイザックや軍隊まで出てきての戦争になり…
ローズ号への恨みはとけてB会社の社長だった女も仲間になり、騙し騙され、殺し殺されの醜い争いから逃げ、宇宙を目指して出発。
『宇宙へ…… 宇宙へ! 宇宙へ…
みにくいあらそいのうずまいてる 地球なんかすてちまうんだ!
あたらしい夢と冒険の世界を宇宙でみつけるんだ!
乗組員しょくん!成功だ!
ジョージは たちまちほかのロケットに おいつくだろう そしておいぬくんだ!
そしてそして…もっととおくへとぼう!
だれもいけないところへ あたらしい世界をみつけるまで……
ずっととおいところまで!』

として、本当に地球を捨てていくラストなんです。

これにはビックリしました。絵柄は完全に少年向けで、多少クラシックすぎる所が辛いメカアクション物なのに…いろんな物を置き去りに、こんな逃避の美学を!


この単行本には「こだま」という18ページの短編も併載されていて、これも復讐による恨みの連鎖を描いた作品で、やはり絵柄と裏腹に重い話だし…。

こんな意外さも楽しめる石森章太郎作品は、やっぱり素敵だなぁ。


アメリカ人にわるいやつがいるように
日本人の中にもわるいやつがいるんです
ぼくは………正しいほうにつきたいんだ



  1. 2008/10/09(木) 23:44:34|
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トキワ荘(24) 石森章太郎 15 「アガルタ」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「アガルタ」(朝日ソノラマ刊)です。
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これは週刊少女コミック(小学館刊)にて1974年から「星の伝説アガルタ」のタイトルで連載された作品で、単行本発売時に「アガルタ」と改題した全1巻。

悲しい物語を背景に、UFOや超能力や伝説等の不思議を追求し、しかもラブストーリーになっている傑作です。
まず、石森章太郎先生が西武池袋線桜台駅近くの喫茶店"ラタン"で、押しかけファンで円盤キチガイの少女橘レミとUFO談義をしていると…

あ、いきなり中断しますがこのラタンという店は実在して、写真も載っています。
ここには石森章太郎先生の専用席があって、毎日のようにマンガのネームを入れていたとしてファンに知られるお店です。
そして、以前紹介した「奇人クラブ」所蔵の「吸血」と同じようにいきなり石森先生ご本人が登場していますが、かなり「吸血」と共通する部分が多い作品です。他にも先生本人が出てくる作品はいくつもありますが…
そして石森先生の自宅や仕事場の詳細な描写も、ファンにはたまりません!

…話を戻して、二人が話しているその場に、石森SFのファンだという若い男がSF漫画「アガルタ」を持ち込みしてアシスタント志望して訪ねてきました。このタイトルは後に分かる重要な意味があります。
彼の名は黒木シュンで、故郷は秋田県鹿角市…十和田湖近くの小さな村だと言います。
アシスタントに採用されたシュンは暗い影を持った男ですが、オキャンなレミとすぐに仲良くなりました。
それからレミに円盤についての講釈を受けたりしますが、レミが飼う犬のペロはシュンにひどく攻撃的。シュンが普通の人じゃないのを見抜いているようです…

シュンの村からユリユウという姉弟が追ってきて、超能力を使ってレミの周辺に嫌がらせの超常現象を起こすようになると…これ以上迷惑をかけないようにと、シュンは石森プロから姿を消しました。
納得できないレミは石森先生からシュンの履歴書を借り、故郷の秋田県那須加村へ向かうわけです。
そう、鹿角市から来たと言ってましたが、実は履歴書を見ると鹿角市には高校があっただけで、本当の出身地の名は…何と那須加村(ナスカ)村!

そこで出会ったサングラスの男(実は三つ目がある)にR・E・ディクホフが描いた「アガルタ」の話をされますが…後にシュンが語る所によると、作品タイトルにもなっている「アガルタ」というのはラマ教の預言書で、アトランチスの地価城砦の名でもあるのだとか。

村人達に追われ、レミは助けてくれたシュンと共にウロコだらけの体をしたご先祖様達が住む地下の道を逃げると、何とユリがシュン達を助けるために出てきて死に、さらに逃げる二人でしたが…
ここでシュンがずっと隠していた秘密を語り、やっと全ての謎が解けます。
それは聖書のアダムとイブの話が真実で、知恵のリンゴを食べさせた、ヘビに似た彼らこそがシュンの先祖にして遠い昔に宇宙の彼方から飛来してきた者。
早く彼らに高度な文明を持ってもらい自分達も故郷へ帰りたいとの想いからした、この行為が"銀河連邦進化管理局"に目を付けられ、この正義の旗を振りかざした破壊者(デストロイヤー)によってアトランチスは破壊され、それから云々…と、壮大な物語が語られました。

そしてユウはあっという間に消され、最後まで超能力で抵抗したシュンの
『…オレはただ…オレはただ 自由がほしかっただけだ
…東京へ出て好きな仕事のできる ほんのささやかな幸福が!!』

という訴えも虚しく、消されました。

普通の地球人なので命は助かったレミでしたが、あまりにも悲痛な失恋…
そして空いた机を見て、悲しい運命にどうにも抗えなかった、あまりに切ない人生を生きたシュンを思い出す石森章太郎先生でした。


…行きましょう! いっしょに!! …石森先生もいってたわ
やりたいことを途中でほうりだすなんて…若い者はなっとらんって!!
…シュンをそんなふうにみられたくないわ…約束したじゃないー
ステキなまんが家になるって…!!



  1. 2008/10/08(水) 23:12:52|
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トキワ荘(23) 石森章太郎 14 「009ノ1」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「009ノ1」(朝日ソノラマ刊)です。
ISHIMORI-009no1-1-2_20081008172349.jpg
漫画アクション(双葉社刊)にて1967年から連載された作品で、単行本は全5巻。

テレビアニメ化もされた有名作品で、しかもなかなか傑作なわりには知名度が低い作品ですが、私は石森章太郎先生の特徴を現す大切な作品だと思ってますよ。

まずタイトルが「009ノ1」となると読み方から難しいかもしれませんが、これで"ゼロゼロナイン・ワン"と読みます。
最も、石ノ森章太郎と改名してダメになってからでしょうか、"ゼロゼロクノイチ"という読み方にしている単行本もあるようですが。
もちろん「サイボーグ009」と女忍者の"くの一"を混ぜて作られたタイトルに間違いないので、それでもいいですけどね。

掲載が1967年…というと青年向けマンガ雑誌の創刊が相次いだ時代であり、正にこれが石森章太郎先生初の青年向け漫画と言えるのですが、代表作にしてライフワークである「サイボーグ009」の番外編的な所もあり、そしてアダルト版です。

それまでは、あの少年漫画のお手本のような作風だった石森章太郎先生が子供向け漫画で作ってきた作風を捨ててセックス&バイオレンスに目覚める様を見たいなら、この「009ノ1」を読みましょう。

舞台は未来の設定なのですが、描かれたのがアメリカVSソ連の二大強国冷戦時代に執筆されているので、設定はそのまま…
国名をウエスト・ブロックイースト・ブロックというように単純化させています。
そのウエスト・ブロックから、主人公の秘密諜報機関員009ノ1がイースト・ブロックを相手に活躍する物語。

基本的に1話完結形式で進むのですが、これが青年誌に進出したにふさわしい実験続きで、セリフ無しのモノローグだけで話が終わるシュールな作風もあったり…石森章太郎先生はかなり楽しんでいるようにも見えます。
前半はまだまだ少年マンガ的だったのに、後半は劇画タッチに開眼してそれぞれの話の表紙絵はリアルで芸術的だし、内容自体も単なるスパイ物に収まらない主人公の心の傷なんかを繊細に描くようになりました。

ISHIMORI-009no1-3-4_20081008172358.jpg
主人公の009ノ1ことミレーヌ・ホフマンは、サイボーグ化したスパイ。
1965年生まれで21歳の設定ですが、当時からしたら近未来である1986年あたりを描いていたわけですよね…その後、そんなに進化していなくてすみません!
(この設定は後の再発時にさすがに変えたのかな?)
ちなみに009ノ1の血液型はAB型。私と同じです。

これも石森漫画の特徴ではありますが、女性サイボーグは当然のようにおっぱいからビーム…ならぬ、弾丸を発射します。
この…女性には立派な乳首があるからそこから弾が出るはずだっていう発想が素晴らしいと思います。
とにかく胸にマシンガンが仕込まれているわけですが、他に足の骨に跳躍力をアップする特殊なバネを埋め込み、体のあらゆる部位に特殊道具を付けられてシークレット・ウーメンとして組織の命令を実行して行くのです。

物凄くセクシーなその体を使うのは女スパイの常でありますが、
『時間まで軽くプレイSEXの お相手をしてあげましょうか……?』
なんて言ったり、とにかく体の全てをいろんな意味で武器にしているキャラクターです。

彼女が所属するウエスト・ブロック00機関のボスがハゲ頭に陥没した眼(これ、サングラス?)の光る頭(ヘッドライト)。
彼の下す指令は絶対だと遂行していくのですが、1話完結形式だと作者がいろいろ手を変え品を変えやるから面白い。
タイムマシンで紀元前二百万年前に行ったり、恐竜を呼んでみたり、偏執狂(パラノイア)のイルカ達の世界で戦ったり、背中のコブを笑った女達に復讐するせむし、合成人間、未来から送られてきたイースト・ブロックの人間(ここで未来にいたるも争い続けていると分かる…)、火星の菌に乗っ取られた死体、それこそありとあらゆる敵と関わり、戦う009ノ1=ミレーヌ。

この「009ノ1」で一番の長編となっている「古城よりの招待」だけ特筆しておきますと、この時はウエスト・ブロックとイースト・ブロックの両方が順番に殺されていって、招待者で城主のリヴェンジによる両方への復讐が成されていくのですが…
その009ノ1側であるウエスト・ブロックの味方に、「サイボーグ009」における002、名前もジェットとそのままの奴がいて、歳こそ取っているものの、そのジェットがギロチンにかけられて首斬られるのは…ジェットファンである私には辛かった!
すぐ後に城主のリヴェンジも目的を遂げて自殺する、やりきれない話でしたしね。

あとは009ノ1=ミレーヌには同じセクションの同僚で、コードネームに009-(2~12)を持つ姉妹達もいて、つまりミレーヌ含めて12人いるといつ設定もありました。
こういうのは、いくらでも代わりがいるようで私としては不満も残りますが、組織としては必要な事でしょう。
ちなみに全員同じ顔なのですが、これは整形してミレーヌに合わせているのでしょうか?

後半になってやっと分かってくるミレーヌの出生の秘密…
実は両親がウエストブロックとイーストブロックの戦闘に巻き込まれ死亡していたのですが、たまたまウエストブロックの兵士に拾われた為にウエストブロックで育っただけのミレーヌなのです。
その時に生き別れた弟のポールは逆側、イースト・ブロックで凄腕スパイとして活躍している事が分かり…
罪滅ぼしなのか戦略なのか、弟にも身を任せる(つまり近親相姦)シーンを経て弟は自殺、ミレーヌ自身も心の傷を負うという暗い話もありました。

ISHIMORI-009no1-5_20081008172414.jpg
「昨日の暦」の回でいろんな謎が解けると同時に、またさらなる謎を生んで終わる「009ノ1」という、悲しい物語。
過去を思い出し、孤児収容施設から連れてこられた孤児だと明かし…

かつては例えば母親が見ている前で息子を撃ち殺す残忍性を見せたりもしていたミレーヌでしたが、最後の指令では赤ちゃんが出来て幸せになろうとしている男女を殺す事が出来ず、その裏切り行為の原因を組織によってコンピューターで調べられ、結局はどうにもならずにまた組織に使われていくミレーヌを描き・・・終わり。
『……この傷み この傷だらけの身体…!!
でも…こんなものは 局の医務室に駆けこめば……
たちまちあとかたもなく消してくれる
でも 傷だらけの心やその痛みは……
誰も癒しては くれないのだ 誰も!!』

というのがミレーヌがしてきた事に対する最後の所感なわけですが、そうですよね、こんなのどっちが正義もクソもない、当たり前の事に思い当たったのでしょう。
そしてこれは、石森サイボーグ戦士が必ず通る道です、頑張れミレーヌ!!

洒落て小粋な会話なんかも多くて臭いくらいで、初の青年向け漫画だからか大人のセンスを意識しすぎた感もある「009ノ1」ですが、この1話1話に簡単には言い尽くせない魅力が含んでいて、まぁ大して深い内容でもないのでしょうが、石森コレクターの私にもトップクラスの愛着を持てる作品。

テレビアニメ化記念か、2006年に角川書店より、厚い上・下巻のコンビニ版が発売された時も購入しました。
ISHIMORI-009no1-com.jpg


超能力を持ったミュータントに生まれてきたのは あの子たちの罪じゃない
も もしかしたら神の思召しかもしれないのだ!
新しい時代のための新しい人類……
それなのに わたしたちは「遺伝変種絶滅法」を持っている
あの子たちは これから何処へ……!?



  1. 2008/10/07(火) 23:00:43|
  2. トキワ荘
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トキワ荘(22) 石森章太郎 13 「時の狩人」

今夜の石森章太郎作品は、サンコミックス「時の狩人」(朝日ソノラマ刊)です。
ISHIMORI-the-time-hunter.jpg
先月紹介した「ワイルドキャット」と同じくプレイコミック(秋田書店刊)にて、1970年から半年弱連載されていた作品で、単行本は全1巻。
簡単に言えばタイムパトロール物のSFですが、これは普通じゃないです。

主要登場人物が生きてる時代設定は、多分2157年以降。
実際には何年か分かりませんが、説明文で引用される様々な書物のうち、一番新しい発行年のが2157年なので。
その時代では、ヘルメットみたいなかぶり物のセクサー(SEXER)という機械によって性的快楽を味わえるようになっていて、現在のセックスのような男女が裸で絡み合う、汚い肉の情交は"道徳法"で禁じられて無くなっています。

しかし彫刻家のシローは、その行為を夢見るようになり、しかもモデルになってくれたレダという美人もそんな夢を見ていたという。
そして二人は"その行為"を楽しみまくり…そう、四十八手とまではいきませんが見開きページで絡みまくって、
『ア……あ こ こんなに……こんなにも……
"夢"でない 肌を触れ合う情交(セックス)が素晴らしいものだなんて………
あ あたしは知らなかった!』
『こ これが本当なんだ!
これが真実の人間らしい生き方なんだ』

とか言って感激しています。

しかし、レダは人妻でした。
シローは、レダが夫のガイとセクサーかぶってしている現場に入り込み、ナイフを夫に突き刺してレダを連れて逃げます!
しかも夫の職業は時間局員(タイムパトロール)であるため、彼のT・T・B(タイムトラベルベルト)を盗み、100万年前の彼方に逃げ込んだのです!!

そして刃先が急所を外れていたので助かったガイは、いろんな時代を逃げまくるシローとレダを追い、二人は各時代でその時代の人に化けて逃げ続ける…というお話。
妻を取られたガイはハゲのおっさんなのですが、こちらの方が時間局員で正義、追う側の主人公!?
いくら何でも、このハゲを正義側にしなくてもいいのに!!
時をかける少女・・・ならぬ、時をかけるおっさんです。
まぁ「時の狩人」は、明らかに大人向け作品ですからね。

シローとレダの時間を超えた逃亡先は、原人のいる過去から戦国時代、江戸時代、大東亜戦争、現在、そして未来まで行き、公害で生まれたミュータント達にまぎれたりもしています。
そう、あの時代を反映して公害病ネタが多いのですが、ちょうど連載中に三島由紀夫が自決したので、この時も「三島由紀夫の死」というタイトルで一話丸々使ってます。
その回がまた実験的というか、あのハラキリに関して寄せられた総理や作家、新聞に主婦までの文章を集めて活字だらけにし、そのバックでシローとレダが逃げ、ガイが追う…シュールなモノでした。

ガイはたまたま何処かの"時"から逃げ出した奴を殺したりもしましたが、肝心のシローとレダには最終話の「第四氷河期」まで逃げられ続けました。
流れ続けた時代の最後は、恐らくは人類滅亡の時で幕を閉じる…
シローとレダも、さすがにここまではガイも追ってこないと初めてのんびり暮らせたのですが、ここへきてついに!ガイは二人を撃ち殺しました。

自分の妻を奪って逃げたシロー、そして裏切った妻のレダをついに殺したわけですが、
『……お前たちを何度見逃してやろうと思ったか…
だが……これが"時"の掟なのだ』

と涙を流し、あくまで私情ではなく仕事、掟のためだったようです。
しかしその後すぐ、ガイはこの氷河期にシローが仲良くなった老人に撃ち殺されるのです!
最終コマで崩れ、滅んでいく街の描写・・・終わり。

全体に流れる暗いムード、殺伐とした雰囲気が好きな作品でした。

…狩人(ハンター)さ 獣の……
"時"は移るが……人の精神は……
いつまでも獣のままでな……!



  1. 2008/10/06(月) 23:25:34|
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月刊漫画ガロ(54) 田中憲 1 「妖怪人間ベム」

今夜紹介する作品は、田中憲先生の「妖怪人間ベム」(講談社刊)です。
TANAKA-yokai-ningen-bem.jpg

おっと、どうせほとんどの人が「妖怪人間ベム」といえば、あの『早く人間になりたい!』のテレビアニメを思い出すでしょう。
あれは私も少年時代に再放送で観る事が出来て、アニメ作品としては私のNO.1じゃないかってくらい好きだったのですが、主人公達が人でも怪物でもない異形の生物…つまり妖怪人間!
まだ小学校低学年の時に胸をときめかせたアニメでしたが、考えてみたらあの当時から私は異形の者を愛していて、日野日出志マニアになる要素があったという事ですかね。
それか逆に、アニメの「妖怪人間ベム」によってそういう精神を学んだのかもしれません。

彼らは醜い顔はともかく、主人公達が三本指なんですね。それが現在は再放送されず、カルト化している理由でしょうか。
もちろん、差別の意図じゃなくても現在では差別用語になっているセリフもたくさんあるでしょうし…
第四話目はタイトルが「せむし男の人魂」で、その通りにせむしな男が精神異常者でもあり、ベラに倒されるのです。

このアニメ版に関しては私も子供の頃の記憶でしかなく、しかも当時はコンプリート意識もないので観てない回も多いでしょうし、そもそも記憶が薄れています。
しかし、最終回が衝撃的だったので覚えてますが…
醜い姿をしていながらも人間より美しい心を持ち、そして人間を守ってきた主人公達は、最後まで報われず最終回で人間に焼き殺されるのですよ!!
いや、もしかしたら助かっていたのかもしれないと思わせてはいましたが…衣服だけ残して姿を消す謎の多いラストでした。

今や放送されないアニメーションより、名曲な主題歌の方が有名でしょう。
♪闇に隠れて生きる~俺達妖怪人間なのさ~
人に姿を見せられぬ~獣の様なこの体~♪
というあれですが、わりと近年に大槻ケンヂ氏も電車(ってバンド)の2nd アルバムでカバーをしてました。
一般的には嘉門達夫氏によるパロディ曲「業界人間ベム」の方が、より有名ですかね。

--------
そんな「妖怪人間ベム」ですが、実は漫画版が存在するのです。
だからこそここでアップしているのですが、しかも今回のジャンルを見て下さい。
その漫画版を描いた田中憲先生というのが、何とガロ出身なんですよ!!

1965年に投稿作品がガロに掲載されたのを機に漫画家になる事を決意して、それからは3年後に講談社漫画賞佳作入選から、週刊少年マガジンでプロデビューの「御犬様地獄」連載開始という肩書きなので、まぁ多少強引ではあるのですが…一度でも載ってしまったらガロ出身の烙印を押しちゃっていいでしょう。
この田中憲先生は、現在も田丸ようすけとペンネームを変えて、しかも青年向け漫画家に転身して活躍されているというから、嬉しいではないですか。
最近の作品は全然知りませんが…絵が上手く、当時は期待の新人として扱われていたようです。

この漫画版「妖怪人間ベム」は、月刊漫画誌として人気を誇ったぼくらの別冊ふろくとして1968年~1969年にかけて全9話が掲載されたのですが、何と初めて復刻して全1巻の単行本となったのが2002年。
それまでの年月を伝説の名作として語り継がれていたのですから、アニメ以上のカルト作品と言えるでしょう。
それも、これは単なるアニメ作品のコミカライズではなく、アニメとほぼ同時期に、むしろ放送に先駆けて掲載したメディアミックス戦略だったのです。
基本設定の資料しかないままに想像で描くから、アニメと全く違う作品になる危険性が高いのも面白い…この手で作家性が強すぎたのが永井豪先生の「デビルマン」でしょうか。

では、とにかく物語を追ってみましょう。

まず主人公達は、リーダー格で大人の男性姿のベム、大人の女性姿で鞭を使うのも性格もサドっぽいベラ、そして子供の姿そのままに好奇心が強く、事件に巻き込まれがちなベロ
ベム、ベラ、ベロですね。
普段は人間に近い姿をしていますが戦闘時は変身し…いやこちらが本来の姿ですが、三本指で指先には鋭い鉤爪を持つ爬虫類系の醜い姿になると、様々な超能力を使えるのです。

一話目でベロは誘拐事件から救い出した少年と仲良くなり、友達の誓いをします。
しかし誘拐犯人から彼を助けるために、人間姿の二倍の力が出せる妖怪人間姿に変身して戦ったため、ベロも怖がられてしまう…いきなり悲しい話。
それだけ不遇なキャラクターを全面に押し出した物語なんですよ。

次に、アニメ版では描かれる事のなかった妖怪人間達の『誕生の秘密』が分かります。
ベム、ベラ、ベロの三人がスタンレー博士の研究所を訪ねると、ちょうど博士は"ゴーレム一味"に新しい妖怪人間を作れと脅迫されているようで、困り果てていました。
このスタンレー博士とは、先の対戦中にドイツ軍の命令を受けてマンストール博士と共に兵器として使える新しい生命の開発をしていた人で、マンストール博士亡き後も秘密を守って生き続けていたようです。

ついに生まれた妖怪人間達は、人間より醜い姿をしていながら、優れた超能力と正しい心がある人造生物。
大人の男女と子供という妖怪人間達なので無理もありませんが、ベム、ベラ、ベロは夫婦とその子供だとよく間違えられますね。
実際は、培養液の中でアミノ酸核細胞分裂して、最初からその姿で生まれた生物。
ただ、博士達の技術があるのに、妖怪人間の姿を醜くした必然性は分からないのですが…その方が、差別される側に立った方が人の心が分かるから、という配慮でしょうか?

彼らは撃たれても死なない不死身の体に復元能力も持っていますが、脳を破壊されたら生き返れないのようです。
銀のステッキを持ったタキシードの紳士であるベムは力が強く、ローブに赤いマントを身に着けたベラはムチと鉄を引き裂く爪を持ち稲妻を吐くし、首から下が赤い全身タイツの可愛いベロは実は走るのが一番速い。

妖怪人間を悪事に利用しようとしたゴーレム一味は倒し、不気味さでは作中一番の"恐怖の人くい女"、幽霊船の亡霊達…
1話完結で各地を旅しながら、妖怪や悪霊等を退治していく形式で進むのですが、ある時出てきたベムの命と超能力を狙う博士は、犬の姿から鉄球の変身して凄い力を持つロボットの"デストロ"、妖怪人間の超能力を吸い取る首なし一つ目の"電人"といった強敵をぶつけてきて…2話の出演で出番も多いというのに、名前は一度も出ませんでした。

私が特に好きな「雪の怪物キンキラ」の回では、何とベロが転校生として小学校に入ります。
そう、ベロは今までずっと人間社会への憧れを強く持っていて、つまり子供なら小学校に入って、夢の友達なんかもできるかもしれない。
そんなベロを不憫に思ったのでしょう、実際に行かせてあげるベムとベラの心使いに感謝したいですね。しかもベロが心配で学校の屋根の上から覗いてる二人です。

雪深い農村が舞台なのも私のノスタルジーを呼び起こしますが…
最初の国語の時間に、先生が『みんなは おとなになったら どんな人になりたいかな?』という質問した時、ベロは『はやく人間になりたーい』と答えます!
これはアニメのオープニング主題歌で毎回叫ばれる有名セリフなので、それを受けて田中憲先生が使ったのでしょうけど、この3人の合言葉のように思われているセリフは実際にはアニメで1度だけしか使われていない、とも聞いた事があります。
しかしそんなに強くて正しい心も持っているのに、外見は良くても中身が醜い奴ばかり、しかも無力な人間なんかになろうとしなくていいのに…

この話では糸ちゃんというヒロイン女子が登場して、『だんぜんベロくんのおよめさんになる』とか言ってくれるのです。
ベロはかつてないほど喜んで、花を摘んで糸ちゃん思い出したり…
しかし、やはりここでも!!
冬になると山からおりてきて子供をさらうバケモノ、"キンキラ"(その姿は河童!)から糸ちゃんを守るために、ついには変身して助けます。
『糸ちゃん とうとうみてしまったね……
これがおいらの ほんとうの すがたなんだ さようなら……』

と、自ら去って後で泣くベロ。そして学校の窓からベロに摘んでもらった花を眺め、ベロを思い出す糸ちゃんでした。

最後のエピソードは2話使っていて、ここで初めてベム、ベラ、ベロ以外の妖怪人間が登場します。
翼を持ったこいつは、A国が仲の悪いC国を破壊するために生んだ生物。彼の体には水素爆弾が取り付けてあってC国を滅ぼすつもりでいるのですが、C国はC国で捕まえて逆に利用しようと企む。
ここでもやはり、一番醜いのは悪い人間の心!!
ベム達は助けようとしますが、その妖怪人間は自分にそんな仕打ちをした人間達の迷惑にならないよう、宇宙基地からロケットを乗っ取って宇宙の果てへ死にに生きました…いつも描かれるのは、異形の者の悲しい愛!

一応この漫画版では、アニメ版よりはハッピーエンドに近くて、助かった人たちが手をふってくれます。
『みにくいすがたの おれたちだが……人間達もやっとわかってくれたんだね
ねえベム いままでおいら 人間になりたい人間になりたいと思ってたけど……
姿はみにくい妖怪人間のままでも おこないやこころでは りっぱな人間なんじゃないだろうか!
たしかにそうだ! すがたかたちだけ人間にならなくてもいいんだね
ただしくりっぱな妖怪人間として これからも人間のためにたたかっていこう!』
と、納得して去っていく三人の姿で、作品は終了しました。

--------
余談として、「月刊少年ガンガン」(スクウェア・エニックス刊)にも、1993年から二年弱、津島直人先生によって「妖怪人間ベムRETURNS」というのも描かれていました。
その出来がどうだったとかは時間が無いので省略しますが、ビックリするのは何といっても、ベム、ベラ、ベロが五本指になっている事でしょう!
その確認の意味だけでも、「妖怪人間ベムRETURNS」の方も是非読んでいただきたいですね。


……この中でいきづいている……きこえるかね いのちのいぶきが!
やがてあらわれてくる 生物のすがたを そうぞうでいるかねゴーレム はっはっははは
それはすがたこそみにくいが 正しいこころをもった……
正義のためにしかはたらかない りっぱな生命なのだ



  1. 2008/10/05(日) 23:37:03|
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梶原一騎(38) 中城健 5 「四角いジャングル」 5

梶原一騎原作、中城健作画の「四角いジャングル」(講談社刊)紹介も、五回目の今夜が最後です。
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もはや主題が新日本プロレス代表のアントニオ猪木VS極真空手代表のウィリー・ウィリアムスが実現するのか、そしてそのルールは?という所に絞られ、周りでも賑やかな騒動が起こりながら進んでいきます。


ウィリーは"黒崎流・新格闘術"藤原敏男と共に、岩手県の七時雨山(ななしぐれやま)で山ごもり特訓をするのですが、猪木と戦う事によって愛する極真空手を破門になるため、こうしみじみ語ります。
『あとは名誉も金もいらない プロに転向なんてことは絶対ない
アメリカに帰ってスクール・バスの運転手にもどり ひっそりくらすよ』

…実際にこの「四角いジャングル」連載終了以降も、正道空手の佐竹雅昭と対戦したり、リングスに参戦して前田日明と戦ったりもしましたが、現在は本当に引退してバスの運転手をしているようです。

猪木の方も力道山の門下にジャイアント馬場とほぼ同期で入門したものの、貧しい移民の子と差別され殴られながら、真の最強のレスラーを目指して努力した過去を振り返ります。
そして何と、ウィリーとの一戦を前に猪木もカラテの新流派を作るのですが…
その名も"寛水流"(かんすいりゅう)!
『寛は猪木寛至の名からとり 水は名古屋のカラテ道場主で わたしに協力してくださる水谷先生にちなんでです』
との事。

ところで、「四角いジャングル」後半ではウィリーが主役という事もあり、かなり多く極真空手の猛者達が登場します。
これが当然「空手バカ一代」にも出ていた人々ですから、「空バカ」終了後の続編としても読めるのがファンには嬉しい。
"ケンカ十段"の異名で呼ばれ、主人公の大山倍達館長と人気を二分した芦原英幸がウィリーを茶化すか無視してあしらい続けてショックを与え、その本心を知って感激し…
そうそう、おなじみ『それもしかするとカラテ?』のセリフも出てきますよ!

KAJIWARA-NAKAJO-shikakui-jungle11.jpg
猪木は他の強敵も倒し、あとは異種格闘技戦の最終試合としてウィリー・ウィリアムス戦を残すのみになったのですが、ここで雑誌に載った極真の座談会がきっかけで、ますます新日本プロレスと極真空手、団体同士の対立が興奮気味になり、代表十五名ずつ出してルール無用のデスマッチにてどちらかが潰れるまでの全面戦争、なんて話も飛び出します!
もちろんそれは実現せずに和解したのですが、極真空手の裏の顔…正式の大会のルールなどには収まらない影の怪物達がいるとかって、漫画みたいな話になってきて、面白くなっておりました。

ドキュメンタリー色が強まってから存在する意味がほとんど無くなった赤星潮は…
やはり『この赤星潮はミスター・ウィリーの通訳だけ・・・・ ちょっとさびしいな』などとぼやいてます。

ここまで引っ張ってきたアントニオ猪木VSウィリー・ウィリアムス対決は1980年(昭和55年)の2月27日。
その前日、調印式の席上にて一番もめたルールについての最終決定が発表されます。結果、ウィリーがボクシングのヘビー級なみの8オンスのグラブをはめ、代わりに猪木の寝技は5秒すぎたらブレークするという、お互いの必殺技を公平に三分の二ずつにして生命の危機を防止する特殊ルールとなりました。
この条件で3分15ラウンド、勝敗はKOか棄権のみで決まり、プロレス式フォールなし、判定もなし…以上。

劇画「四角いジャングル」のメインにしてクライマックスであるこの勝負の模様を簡単に説明すると、まず一度は第2ラウンドにして両者リングアウトで試合終了、つまり引き分けとなります!
何たる世紀の対決かと、暴動になりそうな所を立会人である梶原一騎先生の権限で、試合を続行させるのです。

ここで観客から『いいぞーッ 梶原一騎!!』の声がかかるのはご愛嬌。

二人は第4ラウンドまで熱戦を繰り広げますが、リングサイドに陣取った新日本プロレスと極真空手の両陣営もあまりに熱く、何と"極真の猛虎"こと添野義二にいたっては、ハサミでウィリーのグラブのヒモを切断してしまい、素手でやってやれと言ってます!!
しかし…既に重傷を負っている両者に対しドクターストップ。
こういう結末に終わりました。

これにより「四角いジャングル」の連載も終了。
ラストはちゃんと赤星潮が出てきて、黒崎健時に『赤星潮もそろそろ男になれい』等と言われて終わるのです。
メキシコでプロレス&ボクシングを又にかけて闘い、あのプロレス王ミル・マスカラスと引き分けにまで持ち込んだ人物が…この最初の主人公が、実在する日本人選手達とからむようになって不都合からどれだけ弱くなったか、というのも「四角いジャングル」の見ものでしたね。


----------
作品はこれで終わりましたが、後日譚も軽くしておきましょう。

アントニオ猪木に関しては、日本人ならどんなにプロレスを知らない人でも知ってる大スター(現在そんな選手はいませんね)なのでその後の説明はしませんが、この闘いのプロモート等によって梶原一騎先生との関係が親密になり、その後すぐに新日本プロレスのリングに梶原原作キャラであるタイガーマスクが登場します。
(またこれが原因の一つとなって二人は決裂するのですが…)

ウィリー・ウィリアムスの方は、この猪木戦によって大山倍達館長に破門されますが、後に破門を解かれて極真会館に復帰し、世界大会にも出場します。
さらに1997年、何とこの時から17年も経ってからアントニオ猪木と再戦したのです!
もはやロートルの二人、この試合は決め技を相手に決めれば決着というルールで行われ、結果は猪木がコブラツイストを決めて勝利しました。
そして、既に書いたように現在はバスの運転手。

また話を戻して「四角いジャングル」で描かれた猪木VSウィリー戦ですが、これは後に八百長だったと梶原一騎先生自身が著作で暴露。
それも当事者意外にはほとんど知らされなかったトップシークレットってやつで、両陣営があんなに熱くなってたのは本気だったのです。
全ては梶原一騎先生の掌の上で踊らされていたというか…

つまりこの劇画「四角いジャングル」も自分がプロモートする試合を盛り上げるために使っていたわけだし、「格闘技世界一 四角いジャングル」「激突!格闘技 四角いジャングル」「格闘技オリンピック 四角いジャングル」等の劇場公開映画まで作っています。
得意の劇画自体でも梶原先生は1979年のDELUXEプロレス誌上にて、古城武司先生を作画に迎えて「ウィリー・ウィリアムス物語 黒い必殺拳」という短い宣伝漫画も書いています。
この作品でスターにのし上げたベニー・ユキーデのレコードも出し…
数ある名作漫画を生み出してきた梶原一騎先生ですが、この「四角いジャングル」一つだけを見ても、この時代に漫画界の枠に収まらず、劇画、格闘技興行、映画、音楽というメディアミックスを完成させているのだから大物すぎますね。

まだまだここから派生した各ジャンルのいろんな出来事があるのですが、今夜はここまで。


世紀の対決は終わったが・・・・
四角いジャングル・・・・リングは・・・・
あくことなく 血をもとめ
あらたな男の血のロマンをつづろうとしている



  1. 2008/10/04(土) 23:32:11|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(37) 中城健 4 「四角いジャングル」 4

梶原一騎原作、中城健作画の「四角いジャングル」(講談社刊)紹介…その早くも四回目です。
KAJIWARA-NAKAJO-shikakui-jungle7-8.jpg
今や話の中心はプロレス代表にして挌闘技世界一を自称するアントニオ猪木と、それを許せない極真空手代表にして(大山倍達総帥に許されてないので正式には違いますが)熊殺しのウイリー・ウィリアムスとの対立、そしてその異種挌闘技戦が実現するのかが目玉の、現実と劇画の完全同時進行ドキュメント部分に入ってます。


"黒崎流・新格闘術"黒崎健時も、あれだけ熱心だったマーシャル・アーツのベニー・ジェット・ユキーデ打倒そっちのけで、プロレス側と極真空手側の仲介役で大忙しです。
ルールが違う格闘技同士ですのですが、グローブを付けるか付けないかが一番重要な論点ですね。
当然、付ければ猪木有利、付けなければウイリー有利。

ウイリーの師匠大山茂は、文明社会に血なまぐさい殺しあいのような試合をやらかしても無意味では?という問いかけに、
『その文明社会とやらに調子をあわせるなら
自分もウイリーもプロ空手かプロレスでもやって適当に稼ぎます!
武人とは古いもの 命よりも名を惜しむもの!』

と凄い剣幕で宣言して譲りません。

この論争で周りの状況は大変ですが、当の猪木はウイリーの前に世界中のバラエティ豊かな強敵何人もと戦っています。
ウイリーも特訓はかかさずに凄まじい強さを見せつけ、猪木と戦って破門となる前に極真空手第2回世界大会に出場。練習相手がいないために、車を一台空手の技でぶち壊す、なんて事もしてました。

現実的にそう簡単に対決できるわけではない二人ですが、劇画の方は同時進行なのでネタが必要。
なのでこれはネタが無い時のページ稼ぎ企画だったような予想も付きますが…
黒崎健時が全国のケンカ自慢を日本武道館に集めて、誰がケンカ日本一かを決める"ケンカ・オリンピック 腕っ節日本一決定戦"というのを企画します。

『すべての格闘技の原点も極限もケンカ』
という黒崎の持論を実現させる面白い企画だったかもしれませんし、そして実際に池袋の拓大体育館で第一次予選を行っていて、中量級では香港より参加のカンフー・スタイルの男・林白竜(リンパイロン)という本物の実力者が登場しますが、この男は実は真樹日佐夫先生だったか、極真の誰かが演じていたのだと後に暴露されています。
そしてその後、この「四角いジャングル」で続報は出なかったのですが…本戦は実現されたのでしょうか。

藤原敏男ガッツ石松、そしてアントニオ猪木はジャイアント馬場と戦いそうになるエピソードとその顛末も出てきますが、これはどちらも実現しませんでしたね。

あ、最初は主人公だったの確実に弱くなっていき、ただの通訳にまで落ちた赤星潮も一応キックの試合してます。観客の
『本当に少年マガジンの劇画ほど強いのかいな!?』
という心配をよそに、プロ空手の炎一心という選手を相手に1ラウンドKOを決めました。おめでとう!
しかし、極真空手第2回世界大会にも出て二回戦負け。

「四角いジャングル」の後半は、あくまでアントニオ猪木とウイリー・ウィリアムスが主役なのですが、やはり原作者が梶原一騎先生ですので、この作品だけ読むとウイリーがバケモノすぎて、どう考えても猪木より強そう…
黒崎健時に預けられて黒崎道場で修行するウイリーが木を蹴りまくっている時の、そばで見守る黒崎と赤星潮の会話シーンはこうです。
『潮よ いまウイリーのブッたたいとる木の名前を知っちょるか?』
『ハ・・・・ハ-・・・・杉でしょうか?』
『猪木っちゅう木じゃよッ ワハハハハ』

さて、それでは次回で「四角いジャングル」紹介も最後です。
はたして、アントニオ猪木VSウイリー・ウィリアムス戦は実現するのでしょうか!?


今度ばかりは ほめるしかない
人間が強くなれる限界にまで
ウイリーは近づきつつありますわい
心・技・体ともに!



  1. 2008/10/03(金) 23:10:25|
  2. 梶原一騎
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梶原一騎(36) 中城健 3 「四角いジャングル」 3

梶原一騎原作、中城健作画の「四角いジャングル」(講談社刊)の三回目です。
KAJIWARA-NAKAJO-shikakui-jungle5-6.jpg
マーシャル・アーツベニー・ジェット・ユキーデ打倒のために"黒崎流・新格闘術"と、新たな流派まで旗揚げした黒崎健時と、その道場選手達。
当初主役だった架空の人物赤星潮は現実の日本選手達にまぎれたらすっかり弱くなり(前回書き忘れましたが、兄の壮介はいつの間にか姿を消してます)、代わりにアントニオ猪木と、その首を狙う熊殺しのウイリー・ウィリアムスが目立ち始めた所から。


日本が舞台になり、しかも実在の人物ばかりが出てくるようになると、原作者の梶原一騎先生も出番が激増するのですが…
大山倍達総帥に頼まれて黒崎健時と共に極真空手のニューヨーク支部へ行き、私闘は禁じている極真会館ですのでウイリー・ウィリアムスを説得に行くと、ウイリーの師匠にして極真の世界最高師範である大山茂までがウイリーに猪木をやるようにと命じていて、負けたら自分は責任をとってリング上で腹を切りますと吠えるのです。

しかしこれから、プロレスVS空手の異種格闘技戦の実現にはルールや団体の名誉や思惑等が絡みあって、とにかく大変なのですが…その苦難の道のりをつぶさにドキュメンタリータッチで追えるのだから、確かにリアルタイムの「四角いジャングル」は胸をときめかせたに違いないですね。

草も木もない 四角いジャングルに あるのは男の血のロマン・・・・
生きのこるのは 世界一はだれか!?


その四角いジャングルに吹き荒れる、もう一方の風。
つまりベニー・ユキーデVS黒崎健時側の弟子の方ですが、こちらもまた上手くいきません。
黒崎道場最強の藤原敏男がユキーデとの対決を決めたタイミングで、何と五百年の伝統を誇る本場タイ式キック界が初めて外国人である藤原にタイトルマッチのチャンスをくれたので、ユキーデ戦は延期になり…といった感じ。
偉大な藤原は、しっかりタイのチャンピオンを破って王座を奪取しましたが。

ところでユキーデが日本空手道の内藤武を1ラウンドで倒した時、会場にいた原作者の元へ一人の少年がくるのですが…
『"わたし(梶原)に語りかけてきた 一人の少年ファンの感想をわすれない"
梶原先生 ぼくは少年マガジンの"四角いジャングル"を読んでますが
あまりユキーデを強そうにえがいてあるので すこしオーバーじゃないかと思ってました
でも現実に見たベニー・ユキーデは劇画以上にカッコよく強かった!』

ですって。
これが恐らく自作自演なのは、実際に劇画ほど強くなく、二枚目ではないユキーデを見た事がある読者なら分かった事でしょう。

それからも劇画「四角いジャングル」の中では華麗な技と圧倒的な強さ、前に出た三角飛び以外にも後ろ飛びまわし蹴り、ベトナム・ホイップ等の大技も出て快調。
その強さや凄い挑戦者がひしめいている状況を見て、最初は主役だった赤星潮がシャワーを浴びながら
『ぼくの打倒ユキーデの悲願など いまじゃ笑われるだけ・・・・』
と落ち込む、悲しいシーンもあります。
確かに…たまに出てきてもアメリカに行ってたって事で通訳として使われてるだけですからね。

しかしその47戦不敗だったユキーデも、ついに慣れないタイ式選手のシーソンポップが相手で、反則もくらって…判定負けになりました!
これにはユキーデを追う黒崎道場の選手達もショックでしょう。
シーソンポップには後に藤原敏男が挑戦し、間接的なユキーデ戦でもあるこの勝負に勝っています。
やはり今まで出てなかったタイ人にユキーデを最初に倒されたのは、商品価値としてはかなりの痛手で、ここが実在する人物を扱ったセミ・ドキュメンタリーの辛い所ですね。

作品の方もここらへんから、話は猪木の異種挌闘技戦が中心になっていきます。

次は猪木に挑戦するミスターXが登場しますよ!
この「四角いジャングル」において最も有名な挑戦者、必ず語り草になるのが、このミスターXと言えるでしょう。
一流レスラーを一撃で失神させ、時速80キロのリンカーンを飛び越え、その車体を持ち上げてしまいもする覆面の超人ミスターX…

こいつは同じく猪木を狙うウイリー・ウィリアムスにもケンカを売り、実際に倒した!
と思ったらそいつはウイリーのコスプレするマイク・デビットなる、極真空手を破門になった奴でした。ズコッ。

作中でミスターXの正体探しの推理も盛り上がってきますが、やはりポコ・カブリエル、またの名をザ・ブッチャーという元マーシャル・アーツ選手の黒人という説が最有力でしたが…
実際に猪木が戦ってみると、その覆面挌闘家は図体だけの大ダルマ。
あっさりやられますが、覆面してるだけに実は替え玉だったとか、本物は既に極真の刺客にやられたとの説も出てくるオチに脱力。
このミスターX部分だけB級臭が強くなって、逆に一部の好事家に面白がられたのでした…
それでは、また次回に続きます。


ビッグ・マネー(大金)だった
でもあのときマザーはこういったね

うえて死ぬか世界一強い不敗の男になるか
どちらかをえらびなさい と



  1. 2008/10/02(木) 23:22:50|
  2. 梶原一騎
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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