大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(19) 「手塚治虫 THE BEST 10 マンションOBA」

もうちょっとJC(ジャンプ・コミックス)の『手塚治虫 THE BEST』シリーズで続けまして、10巻目は「マンションOBA」(集英社刊)です。
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これは表題作の「マンションOBA」と、続く「春らんまんの花の色」はその続編で、どちらも1972年の週刊少年ジャンプに掲載された短編…となると、そう!
例の読切連載、「ライオンブックス」シリーズの中の作品です。
続く「てんてけマーチ」は1977年の月刊少年ジャンプ「四谷快談」は1976年の週刊少年ジャンプに掲載された短編で、この計4作品が収録されているTHE BESTの10巻目は…ズバリ『幽霊』をテーマに選ばれていますね。
それも、どれも全く怖くないユーモラスな幽霊(または妖精、妖怪)たち。

ではまず、「マンションOBA」
"ムサシ野"の地で山が削られ、林も神社も壊されて建ったマンションの名が、OBA・KE(OVER-BUILT APARTMENT KEEPING)! 
そこの住人は、全てムサシ野の自然の中にあったトリデを追い出されたオバケ達なのです。
オバケ達が人間の姿に身をやつしてまでこのマンションに住みついたのは、もちろん自然を破壊する人間に復讐するため。
ただあまりにもあくどいワルである人間には妖魔の力では対抗できないと、訪ねてきた家出少年のタカシに悪の心を持つように育てて、代わりに人間へ復讐させようとするのですが…
結局オバケ達が優しすぎてこの計画は失敗します。
タカシが惚れるハルという花の精が可愛い!ヌードもあります。

で、続く「春らんまんの花の色」ではオバケ達が総出演して暴れ回り、ついには人間を追い出す…と、高畑勲監督によるスタジオジブリの劇場アニメ作品「平成狸合戦ぽんぽこ」そっくりな話。
もちろん「ぽんぽこ」が20年以上も後に作られた作品ですが、高畑勲監督は「マンションOBA」「春らんまんの花の色」のファンだったのでしょうか。
実はどちらも私にとってはどうでもいい部類の作品なんですけどね。

このTHE BEST10巻で面白いのは残る2作。

「てんてけマーチ」は、美しい幽霊・ヒノキの精が太鼓打ちの名人である三兵のじいちゃんに自分を切り倒させて太鼓を作らせたのですが、じいちゃんが死んだら自分を叩く者がいなくなってしまった。
そこで兵隊になりたかった三兵の枕元に立ち、彼の太鼓打ちの腕も名人にまで成長させますが…ついに三兵にも赤紙が。
そして三兵は戦場へ。そこでも太鼓を忘れずにいた三兵でしたが、右手を失っての帰還兵となり、もう太鼓を叩く事が出来なくなった…では三兵の息子・清次は!?
悲劇の中に新しい希望が出てくる、なかなかホロリとする短編です。

「四谷快談」は、タイトルからして「四谷怪談」のパロディとすぐに分かりますが、こちらに出てくるお岩さんが可愛すぎる!
世間では可哀想で恐ろしい…あのイメージしか無いお岩さんですが、「四谷快談」を読んだ後は好きになる事間違い無し。
舞台は戦後の四谷。みなしごの平公という少年がトラックに轢かれそうになった白蛇を助けた事からお岩さんと生活を共にするのですが、彼は空襲で爆弾の破片が視神経を痛めてお岩さんのように左目が潰れていて、もうじき右目も見えなくなる運命でした。
しかし最後はお岩さんが自分の目を平公にあげると右目は見えるようになり、後に平公は隻眼の名投手としてプロ野球で活躍する事になるのです。
ストーリーはそんな所ですが、このお岩さんは平公にオッパイを見せてあげて母親を思い出させてあげたり…オールヌードもありますよ。
他にも凄いのが、手塚治虫先生自身が準主役として登場。八百屋に下宿して「鉄腕アトム」やらをシコシコと描いている漫画家で、平公の理解者になるのです。他に例のスター・システムでブラックジャック、ヒゲオヤジ、田鷲警部等も出演しています。


ユウレイではありませんよ亡霊ですよ
ジャズとクラシックぐらいのちがいがあるわ
ユウレイは足がないけど 亡霊は足があるわ
ユウレイのあいさつは「うらめしや」よ 亡霊は何をいってもいいの



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  1. 2010/06/28(月) 23:32:00|
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手塚治虫(18) 「手塚治虫 THE BEST 7・8・9 フライング・ベン」

続いては「手塚治虫 THE BEST 7・8・9 フライング・ベン」(集英社刊)です。
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集英社が1959年から10年間発行していた月刊少年漫画誌、少年ブックで1966年から翌年まで連載された作品で、『手塚治虫 THE BEST』シリーズでは最長となる全3巻の長編。
短い雑誌の歴史の中でいくつか長編を描いているためか、少年ブックといえば手塚治虫先生、というイメージがありますね。
また「フライング・ベン」手塚治虫先生にとってもヒット作を量産していた良い時期にあたりますし、犬漫画好きとしても外せません!

国境の山小屋に一人で住み、国境越えを望む人の運び屋をしている矢野正(タダシ)には頼りになる愛犬のベンがいますが、その弟犬にあたるウルが彼らの行動を阻み、客の3割を噛み殺している。
彼らの目的は何なのか…という序章から、長い過去の話にさかのぼります。

タダシの父親・矢野徹がローマのとある地下洞で"グッドナイト"という国際秘密結社の追手に殺されるのですが、殺される前に偶然会った雌犬に手帖を渡し、それを日本の家族へ届けるようにと託しました。犬にそこまで難易度の高い願いをして、でもそれを叶えてもらえるのです!
というのも、その時雌犬には三匹の小犬がいて、三匹は偶然見つけた古代の霊水を毎日なめて育ったために身体能力、頭脳共に超犬となって成長したから。母犬と死に別れた三匹は矢野徹の遺言通り日本まで辿り着き、ついには息子のタダシと出会います。
この三匹こそが冒頭に出てきたベンとウル、そして妹犬のプチ。名前はタダシが適当に付けました。凄い能力を持ったこの三匹のミュータント犬は生涯タダシにつくす事を誓い、物語の中心となっていくのです。

父が残した手帳には中近東の砂漠に埋もれた財宝の在処が描いてあり、そのためタダシの母親も殺され、"グッドナイト"に追われ続ける事となります。
また三匹の犬達も性格が全然違っていて、正義の味方然とした性格のベン、目的のためには手段を選ばないウル、優しく奉仕の気持ちが強いプチ。
ウルはその性格のためベンと対立する事となり、兄弟で何度も果し合いをし、タダシにも捨てられていますが一方的な愛を捧げます。やり方は違っても二匹共、生涯タダシにつくす気持ちは忘れていないのが泣けるのです。
ウルが銀行強盗したりギャンブルの八百長で稼いだり(犬なのに!)したのも、タダシが何度も金が欲しいと叫んだからだし…
プチの方は自らの能力を生かしてサーカスに身売りして、タダシに大金をもたらしますが、花形スターとなりながらも後に不幸な結末を迎えます。

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ベンとウル。前者は政府の特殊機関で諜報部員…つまりは007みたいな『00犬』として活躍するようになり、後者はカルロスという犬を愛する"グッドナイト"の一員に手なずけられてと、ますます対立は激化。それでも二匹は時に相手の命を助けたり、複雑な兄弟です。

タダシは最初から人間で唯一の味方になってくれた私立探偵の伴俊作らと、ついに父親の残した地図を頼りにシルクロードへの冒険に旅立ちますが、行く手を阻むあの組織!
"グッドナイト"の正体もだんだん分かってきますが、ボスはダーク・グレー大首領という独眼流の男。他も魅力的な敵達にあふれる組織でした。
おっと伴俊作とはもちろん手塚治虫式スター・システムを代表する俳優、通称ヒゲオヤジと呼ばれるあの男ですよ。「ジャングル大帝」「鉄腕アトム」「バンパイヤ」「ブッダ」…数多くの代表作を持ち、手塚キャラ一の古顔ですね。

ベンの活躍で"グッドナイト"は壊滅しますが、あれ?見つけた財宝はどうなったのか、そんな事はどうでもいいからか描写がありません。
だって最終対決はこちら…共にタダシを愛すベンとウル!やはりどちらかが死ぬまで、闘うしかない運命なのです。
どちらかといえば悪役に描かれたウルは、最後まで殺人を繰り返しますが、これも妹のプチの敵討ちとして人間達をキバで噛み砕く決心をしたわけだし、『犬のほこり』があるから人間のいいなりにはならず、ウルトラ犬ともてはやされるベンを笑い飛ばすカッコいい奴。

何度も強敵を倒してきた正義のベンですが、実はでかい敵を倒す時は残酷!
プチを襲ったライオンの時は自ら口の中に突っ込んで首を切り取って血まみれで出てきたし、"グッドナイト"の化物犬タフが相手の時は同じやり方で口から体を引き裂いてしまいました。

さてプチの墓の上で行われた最後の闘い。それから感動のエンディングまで、見事!
ベンとウルの運命の分かれ方、敵対関係になりながらも奇妙な友情というか兄弟愛があり…気を揉みながら一気に読んでしまう事でしょう。
あえていうと一本気な犬達より、人間の主人公であるタダシの性格の方がイマイチでした。あれ、と思う行動がありましたが、これは人間だから悩み揺れる事もあるという事でしょうか。


なあベン プチはここにひとりぼっちで さびしいだろうなあ……
おまえか おれか どっちか一ぴきがつきそってやればよろこぶぜ……きっと……
なあにね……プチとならんで この土の下にはいるにゃ……
どっちかが死ななきゃならないということさ!



  1. 2010/06/25(金) 23:17:06|
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手塚治虫(17) 「手塚治虫 THE BEST 6 ガラスの脳」

今夜も『手塚治虫 THE BEST』シリーズの続きで、6巻目は「ガラスの脳」(集英社刊)です。
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今回は5編を収録した短編集で、順に掲載誌と発表年を見てみると、
「ガラスの脳」・・・・週刊少年サンデー、1971年。
「グロテスクへの招待」・・・・月刊少年ジャンプ、1981年。
「ふたりでリンゲル・ロックを」・・・・月刊少年ジャンプ、1982年。
「るんは風の中」・・・・月刊少年ジャンプ、1979年。
「0次元の丘」・・・・週刊少年サンデー、1969年。
となっていて、掲載誌もですが発表年に十数年もの幅があります。

それでもこのシリーズで収録される短編は、巻それぞれに共通するテーマで選んでいたと思うのですが…
どうも6巻は良く分かりません。異形の物に対する恋愛モノか、とか他にもいくつか考えられるのですが一つは当てはまらなかったり。生命の神秘、だとか奇想SF、とかかな。


まず表題作の「ガラスの脳」は、列車事故に遭遇した臨月の妊婦から奇跡的に生まれた赤ん坊の由美が主人公。しかし彼女は、生まれた時からずっと昏睡状態なのです…
眠ったまま成長していく由美が十歳を越えた頃、同病院に入院していた同い年くらいの長沢雄一という少年が由美を発見し、絵本の『眠り姫』のようにキスで目を覚めさせようとする。
そんな話なのですが、凄いのがこの雄一。それから日課のようにキスをして、退院しても日曜ごとに通ってはキスを繰り返して、それが何年も続くのです!
身動きできない少女に毎日キス…しかも何年もって、いくら少年でも偏執で変質すぎてヤバイ。

体だけは健康に成長していく由美が十七歳を迎えたある嵐の夜、雷と共に由美は目を覚ますのです。(このシチュエーションだと、フランケンシュタインの怪物が動き出す時のイメージなのでしょうか)
目覚めて一日目は心は赤ん坊のようだったのに、二日目には小学二年生の知能まで追いつき…2時間に1年分の知識を吸収して十七年間のブランクを取戻していく由美!
三日目には精神年齢が肉体に追いついちゃうのですが、そんな不自然な存在は神さまが許さないのか、五日しか起きていられないと『誰か』に言われて知っています。
そして『誰かを愛したいの』という由美は好きな人もいると告白するのですが、それは残念ながら雄一ではなく、院長先生。
しかし当の院長先生は、実は由美の意識がないのをいいことに……いたずらをしていた変態医師だった事が判明!

雄一は院長を殴り、由美は自殺しようと胎児の頃に事故った列車へ飛び込みますがギリギリで雄一が助け、二人は大急ぎで結婚して、という怒涛の展開からついに運命の五日目を迎えます。
神さまだか何だかの宇宙の大きな力によって、また…死ぬまで続く深い眠りに落ちるのでした。
二度と目を覚まさない由美と、雄一は子供の時と同じような偏執さで家庭生活を続け、六十二歳で死ぬまで共に暮らすのでした。雄一が希望して解剖にふされた由美の脳は……。

"真っ直ぐ"で"永遠"な愛を描いた作品ですが、どこか恐ろしい人間(雄一、由美共に)の思い込みも感じる作品。
これを10年前に中田秀夫監督が代表作となった「リング」のすぐ後に映画化したというニュースを聞いた時、恐ろしいサイコホラーとして作ってくれたかと期待したのですが、どうやら原作「ガラスの脳」をロマンチックな純愛という部分だけを解釈して作っちゃったようで…観に行けませんでした。

続いてどんどんいきましょう。
「グロテスクへの招待」は、短いページ数で雄作ネリの重要な幼年期から少年期が終わるまでを描いてます。
こんなタイトルですがグロテスクなホラーではなく、むしろ恋愛要素を持ったロマンチックでノスタルジックな奇想物語。

「ふたりでリンゲル・ロックを」は、これも未来のSFな恋愛モノと言えますが、"1989年の未来"のコンピューター社会描写がちょっとおかしい。
世界で始めての宇宙人の誕生までを描くのですが、まぁこれはイマイチ。

次の「るんは風の中」は好きな作品で、友達のいない学生であるアキラが暗い日々の中、高架下に貼ってあるポスターの少女に惚れて、るんと名付けた彼女と饒舌な会話を楽しむ…また妄想系の話。
ポスターのモデル…つまり本物のるんと会うエピソードやラストも、悲しいながらのハッピーエンドが良いのです。
手塚治虫先生お得意のスターシステムで、あの名作「ミクロイドS」などに出ていたノラキュラが登場してくるのも嬉しい。

最後の「0次元の丘」は、輪廻転生をテーマにした不思議なお話…でした。


だって あたしはただの思い出だけなんですもの
そうよ思い出の記録にすぎないのよ
だからとまったまま……
未来はないの



  1. 2010/06/22(火) 23:15:41|
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手塚治虫(16) 「手塚治虫 THE BEST 5 百物語」

『手塚治虫 THE BEST』シリーズの続きといたしまして…5巻目は「百物語」(集英社刊)です。
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1971年の週刊少年ジャンプにて四回に渡って四部編成で掲載された作品で、短編集で続いてきたこのシリーズでは初の全1巻モノ。
元々は前回「ミューズとドン」の所で説明した、ジャンプの「ライオンブックス」(新)シリーズの一エピソード(5~8話目)として描かれた作品です。

今回の帯文は、「幽☆遊☆白書」「HUNTER×HUNTER」等の冨樫義博先生!
『昔、読んで泣いた記憶に残った話だった。 頭の中で勝手に自分の絵に変え、いつか読もうと思ってた。そうか、手塚先生の漫画だったんだ。』
ですって。
手塚治虫作品に対してジャンプの人気漫画家が一言書く、この帯文企画は素晴らしい試みだったのですが…この5巻で最後。次からは普通に出版社が書いた宣伝文らしき物になります。

さて「百物語」ですが、このタイトルだと『怪談話を100話語り終えると本物の怪が現れる』あの伝統的な怪談会を思い出すでしょうし、そうでなくても短い怪談が目まぐるしく続くイメージを持たれるかもしれません。
しかし実際は1話の中篇で、手塚治虫が愛し、何度も作品のモチーフに使っているドイツのゲーテによる長編戯曲「ファウスト」を日本の戦国時代版にリメイクしたような作品。
もちろん作者独自のオリジナリティ満載で、このTHE BESTシリーズ以前にも発表された1971年に単独でもジャンプコミックス化されている名作で、手塚治虫作品全体を見渡してもジャンプで描いた中では最も知られているのではないでしょうか。
このずっと以前に描かれていた「ファウスト」、また逝去により未完の遺作となった「ネオファウスト」などとも重なる部分が見られる、手塚史においても重要な作品。

いきなりお家騒動のトバッチリを受けて切腹を命じられた情けない顔の一塁半里(いちるいはんり)が主人公。
そこで死にたくないとあがく彼の前に、可愛い顔した女の悪魔・スダマが現れて、三つの願いと引き換えにタマシイを買うと申し出るのです。
もちろんどうせ殺される命…一塁半里は
『新しい人生を送りたい』
『天下一の美女を手にいれたい』
『一国一城の主になりたい』

という、まぁ普通の人間がすぐに思い浮かぶような願い事と共に契約を交わし、悪魔に魂を売ったのです。

新しい人生を送るために薬を飲んで風貌は美男子な別人になり、名前も不破臼人(ふわうすと)と変えます。もちろんファウストをもじった名前ですが、手塚作品はいつも単純ながら上手いネームセンスで良いですね。
それから三つの願いをかなえるまで悪魔であるスダマと共に行動し、自分の娘の真砂にひと目会いに行ったら惚れられたために男と斬りあいするはめになったり、玉藻前という怖ろしい妖狐の美しさだけにだまされて世の中の霊や物の怪がワンサと集まる恐山に会いに行ってヒドイ目に合ったり…

そんな命掛けの冒険をするうちに自分の力にも目覚めて、不破臼人はスダマと絆を深めていきます。
スダマは三百九十歳という事ですが、少女のようにベソかいたり微笑んだりして
『あたし……ご主人さまにメタメタにポーなの』
なんて言っちゃって、可愛いのです!

それから紆余曲折を経て不破臼人は確かに一国の主となります。
さらに『天下一の美女はしくじったわ…』というスダマに対して、『天下一の美女は目の前にいるよ』とスダマを愛す道を選ぶ…「ファウスト」も随分ロマンチックなラブストーリーになりましたが、しかし満足して三つの願いがかなうという事は、悪魔との契約に基づき魂を差し出す事になります。
またオープニングのように切腹場面に戻る事態となりましたが、それでも不破臼人は満足して死ぬ事を選び、その魂は…!?

ここで考えさせられるのは、人の幸せとは何なのか…『三つの願い』をかなえれば人は満足で魂を売り払っても良いのか…
生きる上で重要なのに忘れがちな難しい命題をいくつか提示されたような気がしますが、まぁ難しい事を考えなくてもアクション有りラブストーリー有りの娯楽物語としても楽しめます。
一生のうちに何度かは読む必要のある作品でしょう。


見てろ!!おれは自力でうでをみがく
おれのちからで 剣と戦術を身につけてやるっ
この顔にふさわしい 男の中の男に!!



  1. 2010/06/20(日) 23:11:44|
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手塚治虫(15) 「手塚治虫 THE BEST 4 ミューズとドン」

かなり間が空いてしまいましたが、久々に例の『手塚治虫 THE BEST』シリーズの続きといきましょう。4巻目は「ミューズとドン」(集英社刊)です。
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1998年から約4年で4期に分けて毎月刊行されたジャンプコミックス全20巻、『漫画はここから始まった。』のTHE BESTシリーズ…全然一般的なBESTじゃない通好みなセレクトです。
今まで紹介してきたシリーズ作品もわりとそうですが、手塚治虫先生の名前は知っていてもこの「ミューズとドン」を知ってる読者がどれだけいるのでしょうか。
これは集英社が企画したBESTですのでジャンプ系で発表された作品が多くなっているためでしょうが、実は手塚治虫先生、ジャンプでは数多く描いてきたものの後世に名を残す代表作とされている作品は生まれなかったのです…

このシリーズは帯に現在(といっても約10年前)のジャンプを盛り上げる人気漫画家が推薦文を書いているのも楽しみでした。とはいえ次の5巻までで終わってしまうのですが。
今回の4巻では、「HARELUYAII BØY」「無頼男 -ブレーメン-」「カウンタック」等の梅澤春人先生!
『妖獣ミューズというメス豹が色っぽい! 今街で豹柄の服着てるオネーチャン達より美しい!! このドラマは今も生きている。』
ですって。

各巻に別々のテーマ性もあるのですが、4巻は宇宙や異星人にまつわる物が登場するSF、といった所でしょうか。
収録された3作は全て週刊少年ジャンプに掲載された物で、「ミューズとドン」「荒野の七ひき」が1972年、「安達が原」が1971年の発表です。

実はこの3作…掲載当初は「ライオンブックス」の名を冠して1971年から1973年まで読切シリーズ連載していた物ですが、そもそも「ライオンブックス」シリーズといえばジャンプの前身雑誌ともいえる集英社のおもしろブックの付録として、何と1956年から1957年まで出版していた作品。
それを10数年後に再び、かつての同シリーズ編集者による強い要望を受けて掲載する事となったのです。そんなわけで70年代の方は「新・ライオンブックス」シリーズとか呼ばれて計15編のレベル高い作品が生まれています。
THE BESTシリーズでは「ライオンブックス」の名を取って別個の短編として扱ってますが、元々主人公もジャンルも時代設定も関連性が無いシリーズでしたので問題無いでしょう。とにかく再単行本化されたのが喜ばしい限りです。


個別に見てみると、まず「ミューズとドン」
オープニングは、ナイル沿岸南部の開発中だったダム建設現場のナイル川ほとりで神殿の遺跡が発見される所から。
その遺跡は紀元前三千年ほど古代のアゾスス神殿であり、発見後六百人もの作業員が殺されて呪われていると噂されるのですが…作業員達を殺しているのは妖獣ミューズと呼ばれるメスのヒョウ!
ミューズには不思議な五つの超能力がある事が判明していますが、ダム工事をしなくてはならない人間側は勇敢で強い犬三匹と飼い主達を選んで、ミューズ狩りに乗り出すのです。

選ばれたのは日本の少年永野正(タダス)とエジプト生まれの愛犬ドン、臆病な人と洋犬のオマール、そしてマサイ族と思われる黒人…その名もマサイと愛犬シーザー
それから廃虚で死闘が展開されるのですが、ミューズの動物ばなれした頭の良さによる罠でオマールとシーザーは次々殺されて無残な姿に…

ドンも一度はやられますが、ミューズは彼を気に入って仲間にしようとしたためにドンに裏をかかれてある秘密を知るのです。
その秘密とは、簡単に言えば大昔に地球へやってきた地球外生命体の残した『くすり』によってミューズは先祖代々役割りを与えられ、魔力を得たという事。それからドンとミューズの一騎打ちと、ミューズの断末魔に生まれた奇妙な友情、そしてタダスとマサイが現れる…といった話。


次の「荒野の七ひき」はもっとストレートな宇宙人もので、宇宙人を探し出して一匹でも多く殺すための組織だという汎地球防衛警察連盟(PEGPP)の決死隊員である、日本人の味島が車の事故のため積んでいた宇宙人捕虜と共に本部まで歩いて20日の砂漠を行く…
そこで初めて狩りの対象だった宇宙人達と話し、地球人よりはるかに強い自分の身を捨てて(身体をちぎって焼いて相手に食わせる、等)までの思いやり心を持っている事も分かり、ついには潮が地球人の真心を示すまでいくのです。
異形の宇宙人達をたくさん観れるのも嬉しい、ヒューマニズム作品でした。
一応七人での行動になるからこのタイトルだと思うのですが、残念ながらジョン・スタージェスによる名作映画「荒野の七人」(もちろん黒澤明監督の「七人の侍」リメイク)とは無関係です。


最後の「安達が原」は、「新・ライオンブックス」シリーズの一作目となった作品で、「黒塚(安達ヶ原の鬼婆伝説)」を下敷きにしたSF作品。
舞台は宇宙のはるか遠い星。そこに乗り込んだ宇宙調査官の殺し屋ユーケイが、宇宙船をおびきよせては乗組員を喰っていたという魔女を始末しに行く話なのですが…この魔女とユーケイにまつわる、あまりにも悲しい過去があったのです。
とある手料理をユーケイが食べるラストは泣けます。これは手塚治虫先生の知られざる名作ですが、一応アニメ化もされています。


女は待ちつづけたのじゃ
ときには政府から つかわされたイヌどもが この星へもたちよった
女はそいつらを殺し食らったのじゃ!!生きながらえるために!
そして 恋人はやって来た
昔のままの姿で いいや権力のイヌになりはてた姿で!!



  1. 2010/06/12(土) 23:07:19|
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旅行・紀行・街(84) 群馬県富岡市 1 群馬サファリパーク、富岡製糸場

サファリパークに行こう!
そう思い立って、1979年オープン(東日本では初)の群馬県富岡市にある"野生の王国 群馬サファリパーク"へ行ってきました。
この近くには秘密結社「大悟への道」の結社員が住んでいるので誘ったら、そちらも家族連れで付き合ってくれました。

まず道路に見えてくる案内看板がカッコいいのですが、
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こちらなど、看板からキリンさんの頭が出てますよ!
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で、到着。
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園内を案内してくれるバスは数種あるのですが、このトラのエサバス「となりのトトロ」のメイバスを思い出すようなヤツで、グー!
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こちらはライオンのエサバス…2台並んで。
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記念撮影。
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しかし我々一行は、ここのバスには乗らず秘密結社員の車で行く道を選びました。
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ライオンの集団が突如狂って襲い掛かってきた時、私の拳で守れる範囲はせいぜい一家までだから…

世界各地から集めた膨大な数の動物達を、広大な敷地で育てているサファリパーク!本来の生態系に近い姿を観察できるのだから、動物園より勉強にもなるでしょう。
で、出発…
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するといきなり、キリン(麒麟)さんが迎えてくれましたよ!
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今や日本ではレア感が低い生物かもしれませんが、実は私はこの地球一長い首を持つキリンが大好きでして、もちろん最も背の高い生物でもあるものの牙は持たず、しかしライオンに襲われた時はキックで応戦し、その強烈なキックはライオンを殺す事もある…その姿に涙が流れてしまいます。
そのため私は素晴らしいキリンさんの、その名を冠したキリンビールを呑み続けるのです。

続いて出てきた生物がまた熱い!貴方はシマウマ(縞馬)さんじゃないですか!!
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彼らの持つ美しい白黒の縞模様…英語名はゼブラ(zebra)!
そのため私は素晴らしいシマウマさんの、その名を冠したゼブラのペンを使い続けるのです。

見れば見るほど生物の不思議を感じる模様です。そういえば私の幼少時代を語る上であまりにも重要なゆでたまご先生の「キン肉マン」においても最終シリーズ『キン肉星王位争奪編』の"運命の5王子"の中で、キン肉マンゼブラが一番好きでした。やっぱりシマウマリスペクトなわけですよ。
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こいつ、キン肉マンゼブラによって涙の惨殺された愛馬、シマ馬キッドに似ている!

続いてウシ(牛)族の動物。
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アメリカバイソンとかの、どでかいヤツはさすがに迫力ありますが…何も彼らは大山倍達国際空手道連盟総裁に殺されるためだけに生まれてきたわけではありません。
実は愛くるしい性格をしていて、私などよしりん「忠牛ばっふぁ郎」よろしく、いつかバッファローをペットにしたいと思っているのです。

続いてクマ(熊)さん。
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高橋よしひろ先生の「銀牙 -流れ星 銀-」に出てきた赤カブトといった例を出すまでもなく、日本がオリジナル生息地な生物として最強の猛獣なのですが、銀牙のイメージと違って寝ているだけ…
フフッ、『熊殺し』のウィリー・ウィリアムス(Willie Williams)を呼んで来ても、そのように寝ていられるかな。

サル(猿)山。
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個人的にはサルをあまり好きでなく…けだものなのに変に人間に近すぎるので、見てると気持ち悪いんですよね。『生物学的観点から見れば、正確にはヒトもサル』という事になるのだから当然でしょうが。
平松伸二先生の名作漫画「ブラック・エンジェルズ」で登場した、猿楽師が操る猿の集団も怖かった。

そしてここでは、オオカミ(狼)を繁殖させています。
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先にも挙げた「銀牙 -流れ星 銀-」において、実は第二部…アニメ化されなかった『八犬士編』、つまり狼達を題材にした方が好きな私はかなり楽しみにもしていたのですが、はるか遠くで寝ている姿しか確認できませんでした。ヤツはどの抜刀牙を使う犬士だったのか。
ワトソン君とかキューちゃんとか、名前入りで飾ってあった写真は見ましたが。

ここ群馬サファリパークでは、車窓から見学するサファリゾーン以外にも、降りて檻越しにゆっくり見れるウォーキングサファリゾーンや、危険の少ない動物には触れる事も出来る場所もあり、獣達との距離感を変える趣向もこらしています。

ピンク・フラミンゴ…ジョン・ウォーターズ監督のカルトな名作のせいで下品なイメージを持たれているかもしれませんが、フラミンゴに罪は無し。
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次はラクダ(駱駝)とかシカ(鹿)。
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彼らといても襲われる緊張感や、もし闘わばをイメージする必要の無い、リラックスした一時。
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さらに無害というか弱いイメージなのがウサギ(兎)さん。
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ウサギは草食で可愛いため、ウサギ漫画も少女漫画ばかり多いと思いますが…小池一夫原作、弘兼憲史作画の名作「兎が走る」を読み直したくなりました。そのタイトルでも刑事モノですが…

この頭蓋骨と角は凄い!
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ヤギ(山羊)達も大好き。
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ヤギの絵画では『メンデスのバフォメット』があまりにも有名ですが、とにかくヤギは悪魔の象徴としてのイメージが強い。
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そんな怖ろしいヤギ達が何種類かいて、触れ合う事が出来るのです。
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こちらはラマ。あのチベット仏教において最上位に位置し観音菩薩の化身であるダライ・ラマと同じ名前を持つ、ありがたい生物…
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興奮すると凄まじく臭いツバを吐くという、意表を突いた攻撃方法を持っています。
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チーター、ジャガー、ヒョウの類は、柄がカッコいい。
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そしてヤマネコ(山猫)類。
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ネコそっくりの風貌ですが、この体長だと強い猛獣にしか見えません。一般のネコより目付きが鋭く精悍な顔は凶暴な性格を表しているのでしょうか。檻の中に入れて素手で戦ったら普通のネコでも人間より強いという説がありますが、こいつだともう人間では勝てないでしょう。
化け猫話はもあはや多すぎて挙げていく気もありませんが、ネコ漫画の代表格…小林まこと先生の「What's Michael?」すらもこの怖ろしい生物を描いた恐怖漫画と思えてきました。

そして、トラ(虎)。トラの猛獣最強説を信じて疑わない私。
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トラといえばもちろん梶原一騎原作、辻なおき作画で生まれたプロレス漫画の金字塔「タイガーマスク」が出てくるでしょう。孤児院"ちびっこハウス"時代の伊達直人が上野動物園のトラの檻の前で強くなる事を誓う感動シーンが忘れられません。

ホワイトタイガー…この突然変異体で激レアなベンガルトラにエサやり。
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下からのショット。
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歩道橋の上から見えるライオン。"百獣の王"の通称で呼ばれるライオンこそが、一般的には最強だと思われていますね。
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いよいよライオンゾーンへ突入!
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オス達はやる気無い顔で寝ていてピクリとも動かないのですが、それもそのはず…ライオンは夜行性だし、1日のほとんど休んでいるんですよね。
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主に狩りを行うのは、このメスの方。
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世界の動物達を見て回る楽しい時間も終わってしまいました。
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あ、生物界最大の大きさを誇るゾウさんの写真を撮り忘れた…あまり近くに行けなかったし。

次は群馬サファリパーク内にある、ゼブラ柄の"レストランサバンナ"へ。
こういう所にありがちなファミレス的な料理と観光地用の値段なのは読めてますが、ネタのために行っておかなくてはなりません。
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ここの売り…というか珍しいメニューは、ダチョウの串焼きとワニのカラあげですね。
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ダチョウはサファリパーク内にいたから、捕獲してすぐの新鮮な肉をゲットできるにしても、ワニなんていませんでしたが。

お子様カレー 680円。
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和風セットうどん 1200円。
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ナシチャンプル 1100円。
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サファリセット 1380円。
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サバンナランチ 1300円。
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このサバンナランチが、ダチョウの串焼きとワニのカラあげ付き。
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ところで昨年惜しくも亡くなったマイケル・ジャクソン(Michael Jackson)も1988年の日本公演中に訪れた事があり、レストラン入口に追悼コーナーとしてグッズ販売してました。
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他にタイガーソフトなる物も売り出していて、
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隣りには喫茶・ラーメンの店もありました。
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さらに遊園地もあったりで、
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まだまだ遊び所はあったのですが、時間の都合で…トラ達と記念撮影して終わり。
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さようなら~。
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さてさて富岡市といえば、もう一つの重要スポットがありますね。それが"富岡製糸場"
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日本で最初の官営の製糸工場であり、明治政府が掲げた二大国策『富国強兵・殖産興業』の一翼となった富岡製糸場は、当地の繁栄の記録を残しています。
百数十年を経た建物ですので、赤レンガのレトロ好きにはたまらないノスタルジーを感じる事でしょう。

それでは世界遺産暫定リストにも記載されている史跡へ、
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行ってみましょう!
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入場チケットは、大人500円。
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繭の保管場所だった東繭倉庫のキーストーンに明記されている通り、明治5年の建造物。
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ここでは繭が作られるまでの工程などを学べますが、
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それより蠢く生きたカイコ(蚕)が気持ち悪くてインパクト大。
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木骨レンガ造りの西繭倉庫
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そそり立つ煙突。
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このベンチは、
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実は東繭倉庫を模したような作りになっているのですが、
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掘られている文字に『YUMIKO 52歳』とかって…52歳になっても自分の名前をアルファベットで書いてこんな所に残す人のセンスがハイカラ。

フランス人女性教師用の女工館
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当時世界最大規模を誇ったという繰糸場
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他にも当施設の外国人指導者ポール・ブリューナの家族が住んでいた、ブリューナ館とかあたので見学、辺りを散歩して出ました。
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かつて栄えたであろう富岡市の町並みも、今はとにかく淋しい場末の感じが物悲しいのですが、
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"信州屋"の和風絹しゅうまいが絶品でした。
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それから富岡市では、市政50周年の1996年に「漫画絵巻 富岡の歴史」という郷土史本を刊行しています。
その作画担当が、何と松本零士先生!しかも松本零士先生を起用したオリジナル作品ながら約200部のみという発行部数に、星野鉄郎メーテルと全く同じ容姿のキャラが登場する事もあってファンの間で有名なレア本になっています。

いつかこの本も手に入れたら、再び富岡市を訪れたいと思います。


  1. 2010/06/09(水) 23:54:08|
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藤子不二雄(51) 「タカモリが走る」

犬漫画…それは何も、高橋よしひろ先生や石川球太先生や木村えいじ先生、そういった方々だけの専売特許ではありません。
我等が藤子不二雄作品にも、犬漫画の傑作があるのです。それが、「タカモリが走る」(中央公論社刊)。
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あの"藤子不二雄ランド"(FFランド)の巻末新作漫画として1988年から1991年まで連載されていた作品で、単行本はB6判の分厚い本で全2巻。もちろん1987年のコンビ解消後の作品ですので、藤子不二雄A名義になっています。
藤子A先生が大の犬好きなのは知られている事だし、他の作中でも頻繁に犬が登場しますが、この「タカモリが走る」ではついに犬が主人公。それだけに意欲作だったでしょう。今作はFFランドの第1期ラストを飾ったVol.301の「UTOPIA 最後の世界大戦」にも収録されているのですが、それはつまり連載する媒体が無くなったために終了した事も意味します。
FFランドは第1期しか存在しないのですが、第2期が刊行開始されるという夢のような事が起こったら、また巻末で連載再開されるのでしょうか。

主人公は秋田犬のタカモリで、生まれたばかりのそいつを飼う事となった西郷家との交流、成長が描かれていきます。何故名前がタカモリかは、主人の家が『西郷』なのですぐに分かるでしょう。
犬漫画の中では動物が擬人化されて描かれているかいないかが大きな分かれ目ですが、タカモリは擬人化無しでリアリティのある方。独白するし動物同士では言葉を話したりもしますが、犬の特徴を観察したり学んだりするためにも、これから犬を飼う方には絶対読んでもらいたい。現在絶版ですが…

可愛い子犬のタカモリと共に成長していくのは、小学生の和義
作品の舞台が東京の郊外にある新興住宅地なので、最近周りの山を切り崩して大規模な宅地造成を始めているそうです。そこで1話目から出る和義が独白で、
『<むかしはよかった……まわりに緑がいっぱいで、空気もほんとに澄んでたのに……>と、父や母はなげく……
<このようすでは、そのうち、このまわりの山は、みんなすがたを消してしまう!>
<人間のエゴのために、こんなにどんどん自然を破壊していっていいものだろうか!>と父や母はおこる!
しかし考えてみたら、父や母やぼくの住んでいるこの家も、山をけずって作られた造成地に、建てられたものなのだ!
それなのに、後から建てられる家のことを自然破壊だの、環境破壊だのとおこるのは、勝手だと思う!』

と、なかなか良い事を言います。そういう事を分からない人々が多い世の中ですから…。別に「タカモリが走る」は環境がどうこうといった作品ではないのであとはその問題には全く触れませんが、和義は頭のいい小学生だとキャラ設定を知らせるには十分。メガネかけた利発そうな顔つきで、半ズボンはいてます。

西郷家は和義の他に、ちょうど犬漫画「怪犬クロワン」を連載中の漫画家・西郷もりたか。そしてかつて少年漫画誌編集部の担当だったママがいます。
西郷もりたかの若手漫画家時代に『池袋に近いアパートで漫画を描いていた』という描写があるのですが、となるとここは恐らく伝説の"トキワ荘"…職業が漫画家なだけでも、かなり藤子不二雄A先生自身を投影したキャラだと言えましょう。タカモリと同じ秋田犬をQ太郎と名付けて飼っていた事もありますしね。
しかもあの「まんが道」のように作中漫画もけっこう読めて、それが面白いのが嬉しい。現在連載中なのは「怪犬クロワン」の他に「キチ吉くん」というのもあり、この後者がかなり狂ったギャグ漫画で凄いんですよ。しかもかのレア作品「狂人軍」に出る狂犬病のヤバイ犬キャラ狂犬狂太郎乱犬乱四郎という名で登場します!トキワ荘(?)時代の過去作品として「ヘン訳 世界メイ作漫画」というのも読めますし…

物語の中心となるのはタカモリの成長ですが、玄関の箱で住んでた時に棟方志功の掛け軸をメチャクチャにしちゃってママが鬼と化したために初めて外に飛び出してしまい、そこで酔っ払いにスキヤキの肉にされかけたりで外の世界の大変さを思い知りますが、セントバーナードのぜんじと出会い助けてもらいます。このぜんじという老犬は偉大な導師のような存在で、後に人間である和義にもテレパシーで話しかけちゃいます。

他にもパパの仕事場に入り込んで完成した原稿にインクをこぼして台無しにする失敗もありましたが、これを和義が身代わりに罪をかぶって殴られる感動の話もありました。
夜鳴きをしたり新しい歯が伸びてきて痒い為に噛み付き魔になったり…そのうち庭に自分だけの小屋を作ってもらいますが、和義がライオンに襲われる夢を見ている時に夢の中まで助けに来てくれたり、といった交流を重ねる事で和義とタカモリは深い友情とテレパシーで結ばれている事まで感じます!

シンプルな作品で登場人(犬)物は少ないのですが、タカモリに一人で生きる厳しさを教えてくれる野良犬ののらじろう、そして出る回数は少ないながら和義が密かに恋心を抱くヒロインの少女七瀬葉子が重要。
ミッチーという飼い犬までタカモリに惚れられますが…この葉子が実は心臓が弱く、彼女の可哀想な結末が「タカモリが走る」の最後を締めくくる山場として用意されています。
悲劇の後は1話目でも出てきたいとこのミズキちゃんが子犬を拾うのですが、自分もまだ子犬なタカモリが兄貴ぶる所で終了しました。

私も少年時代に和義のような立場でずっと犬を飼っていた犬好きですが、また飼いたくなりました。犬と人間の両方の視点から物語が描かれている所も見事ですね。
犬の生活習慣など飼った事のあるは『分かる分かる』と嬉しく読むでしょうし、これから飼う人に対する勉強・教育漫画にもなります。
その分、藤子A先生の怪奇趣味をクローズアップしたブラックな作品を求める人には物足りないかもしれませんが、迷い込んだ団地で少年に追い回されて殴られたために噛み付いたら自分から襲ったように言われて主婦連合に囲まれるシーンなど、絵も含めて怖い。
物言わぬ犬に対する人間の汚さも少し描かれていて、悪い人間は大抵悪人顔しているものですが…あのラーメン好き小池さんも悪い側の人間としてゲスト出演しているのは笑いました。


哀しむがよい……おもいっきり その人のことを哀しむがよい……
哀しめば哀しむほど その人の思い出はふかく心にのこるだろう……
その人は永遠にきみの中で生きるわけだ……



  1. 2010/06/06(日) 23:40:35|
  2. 藤子不二雄
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藤子不二雄(50) 「シスコン王子」

今夜も藤子不二雄作品を"藤子不二雄ランド"からで…「シスコン王子」(中央公論社刊)です。
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少年(光文社刊)で1963年から1年間連載された作品で、単行本は全1巻。今で言う藤子不二雄A先生の手によるものですね。

タイトルが「シスコン王子」。つまりはシスターコンプレックス、『妹萌え』で困った王子の巻き起こすちょっとエッチなラブコメディ…などと想像されるでしょうが、残念ながら違うのです。この時代に妹萌えはまだ早い。
現実の食品会社でシスコ製菓(現・日清シスコ株式会社)のシリアル食品にシスコーンというのがあり、そのマスコット人形としてシスコン坊やというのを作り、そいつを主人公とした人形アニメ「進めシスコン」の原作として描かれた作品だからこのタイトル。

つまり商品の宣伝も兼ねた大人の仕事作品ですが、もちろん藤子不二雄アレンジでオリジナルストーリーとして描かれていますよ。
そして、藤子不二雄アニメ史上において超重要な作品と言えます。何故なら、この「シスコン王子」こそが初めてテレビ化された藤子不二雄作品なのです!
「ドラえもん」「オバケのQ太郎」「忍者ハットリくん」や…いや、アニメ化された作品を挙げていったら凄い数になってしまう藤子作品ですが、その第1号は粘土人形を使ったクレイアニメだったのです。最もこのアニメ版は幻の作品になっていて、私も未だに観た事はありませんが。

藤子不二雄漫画「シスコン王子」の内容ですが、南海に浮かぶエース島にある"エース国"シスコン王子が主人公で、その王子の風貌はインディアン風。
勇敢な戦士でもある彼が、ガールフレンドのチョコちゃんや怪力の大男ゴンガ、知恵者であり恩師のホワイト先生や盲目の剣士スパーら個性的な味方と共にエース国を守るアクション漫画です。

敵はブラック・スター率いる"黒星党"で、それと手を組んだ凶暴な"イーグル族"三つ目銀目眠り目という"闇の三戦士"…それぞれが特性を持つ強敵で、さらには湖の竜や翼手竜他の怪物も次々と出てきてワクワクさせてくれます。
いかにも正義の味方然とした主人公や、絵柄自体も現代の読者の眼から見たら、時代を感じる物ではあるでしょうが、藤子不二雄先生の絵を見てるだけで嬉しいファンには大事な作品です。

しかしこれでシスコーン…多分代表的なシリアル食品であるコーンフレークに近い物だったのでしょうが、あれの宣伝に一役買ってしまった藤子先生。まさかコーンフレークとか食べてはいないでしょうね!というか、あれは何なんですかね。
私も外国生活した事があり、他人の家に泊まった時は本当にコーンフレークを朝食に出されたりして初めて"外人"を感じたりしましたが、クソ不味くないですか。今や日本でも普通に食べてる家庭とかあるのでしょうか…
あんなの食べる奴は味オンチに決まってると憤っていた私ですが、あれも子供の頃から食べていて慣れると良いのか、物によって美味しいのか、まぁ他国の食文化の一つとして理解するしかないかな。

おっと忘れてはいけません。今作「シスコン王子」には、さらに古い短編で1958年の「ロケット・ボーイ」と1959年の「白魔きたる」が併禄されています。うーん、特定のファンには嬉しすぎるサービスです。
さらに藤子不二雄ランドの特典ですね…巻頭のセル画に加えて、巻末の『新作まんが』。この時は「ウルトラB」が連載真っ最中でしたよ!


シスコン おまえは勇気のある少年だ!さらば!!


  1. 2010/06/03(木) 23:44:16|
  2. 藤子不二雄
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プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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