大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(138) 真鍋昌平 1 「スマグラー」

2011年…今年最後の日がやってきました。こんな時くらい今年の話題作を紹介しようかと選んだのが、真鍋昌平先生の「スマグラー」(講談社刊)。
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真鍋昌平先生は今や時の人。2011年もますます人気に拍車をかける年になっていましたが、現在連載中の「闇金ウシジマくん」が大ヒット中で映像化もされて、その余韻でか今回紹介する過去作品「スマグラー」まで石井克人監督・妻夫木聡主演、他も一流スタッフ揃いという形で実写映画化されました。

私のこのブログは基本的に手塚治虫先生やトキワ荘出身の漫画家達など今ではクラシックな方々を中心に紹介していますが、普通に現行されている数多くの漫画雑誌も読んでいまして、そのうちの一つだったビッグコミックスピリッツで2004年に「闇金ウシジマくん」が始まりました。絵がちょっと下手である事すらも活かして、目をそむけがちな社会のヤバい部分を坦々と描くこの作品に出会って以降は、すっかり真鍋先生のファンなのです。決して手塚先生らでは描けない現代社会の病巣を、人間のダークサイドや社会の底辺を中心にして描く漫画家ですね。

私はウシジマくん以降にようやく知ったので、それ以前が気になって調べてみた真鍋先生の経歴は、1993年にPARCOが発行していたフリーペーパー『GOMES』のマンガコンテストで受賞してデビューしたらしいです(同じGOMESからは、すぐ後に辛酸なめ子先生が出てくる事になりますね)。
それからすぐに漫画家生活には入らなかったようですが、1998年にアフタヌーン四季賞の四季大賞を受賞し、いくつかの短編を経て…2000年から月刊アフタヌーン誌上で初の連載作品となったのが、この「スマグラー」で、単行本は全1巻。この単行本が出た2000年当時は確かにまだ新人で、単行本の帯の背表紙側にも『話題の新人作品が早くも単行本化!!』と書かれています。

本年の映画公開(「スマグラー おまえの未来を運べ」と改題)に合わせたタイミングでアフタヌ-ンKCより新装版も出版され、こちらには10年ぶりで描かれたスマグラーキャラの番外短編「殺し屋」が追加されています(おお、絵が現在のウシジマくんタッチ)。
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「スマグラー」はウシジマくんから先駆ける事数年前…全くもって変わらぬ真鍋色満載で、登場人物も自堕落なフリーターと裏社会の人々。
そのフリーターが主人公で、24歳の砧涼介。彼は役者になるとか夢みたいな道を志し、しかし中途半端で諦めて楽な道に流される人間なので、無職のままパチスロに通い詰め…ある事情から300万円の借金を背負わされ、返済のため日給5万円の非合法な運送屋(運び屋)の仕事をする事になります。

ジョーという男が営むその運送屋は、他に塚田というジジイと共にトラックでヤバイ物を運ぶのですが…おおっ、この車のナンバーは『666』、獣の数字です!
最初に死海幇(スーハイパン)という中国マフィアが惨殺した、暴力団・児玉組の組長の死体を運ぶ仕事をやりますが、物語の世界はこの二つの組織とその間にいる運送屋でだけ進みます。

死海幇の殺し屋は二人出てくるのですが、その名も背骨内蔵「闇金ウシジマくん」でもネーミングセンスの良さは発揮されていますが、この二人も素晴らしい名ですね。身体能力も化物だし。
前者は背後に背骨の刺青を入れてますが、それが後頭部まで続いているので目立っちゃうのではと心配になります。そしてこの男、ヌンチャクの名手です!ブルース・リー好きが高じてヌンチャク使う人は全て好きになっている私ですので、もちろん背骨ファンになりました。
彼のデザインはもしかして、イーサン・コーエンが脚本に参加している映画「ホネツギマン」(THE NAKED MAN)から影響受けてますかね?
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(新装板の裏表紙にも登場しています)

その背骨が捕まり、児玉組に届ける仕事が砧達に回ってきました。依頼主であり、児玉組長の女・ちはるもそのトラックに強引に乗り込んで…
自分の不始末から背骨を逃がしてしまった砧は、背骨の代役として児玉組に差し出される事になりました!当然拷問を受けるのですが、ここで役者の練習していた事が活きて、ジョー達が本物の背骨を連れてくるまでボロを出さずに背骨役を演じる事が出来るのか!?

砧は言ってみれば一般的な若者代表で、実際によくいるような奴(私もそう)なのですが、ジョーからは
『本気になったコトねェだろ 何に対しても やってるフリだろ? なに一つモノにならねェ フリーターなんて族は
 若いうちにだけ許される執行猶予期間を 好きになるのは構わんが 歳食ったらコケにされる覚悟しとけよ』

等々と辛らつに言われ、ちはるからも
『なんで文句を言わない?言いなりは楽だからか? 誰からも嫌われたくないからか?
 私は自分の居場所を築くためなら 争いを避けたりしない』

と…すぐに性格や特性を見抜かれて言われていた砧。
きわめつけに、自分でも
『自分の可能性を信じてた 潜在している筈の力で 思いどおりの世界を切り開ける気がしてた
 なに一つ遣り遂げたコトもないくせに……
 大事な時に何時も逃げ出した キズつかないよう争いを避け 負けないように逃げてきた
 カラッポで何も無いまま』

と独白しますが、最後はその自分から脱却すべく、逃げずに『本気』になって生き残るチャンスを掴む。

終始派手な暴力表現で飽きさせずに続いてきましたが、この心理表現と続く砧の行動こそを最高潮の見せ場にしていると思います。
最後も成長した砧が再び表の世界に戻るという、殺伐とした作品には嬉しいハッピーエンドでした。

真鍋昌平先生はデビュー以来ぶれずに社会的弱者と搾取側などを主題にして描いてきたようですね。その方向性で推し進めた「闇金ウシジマくん」で読者達もその才能に注目し始めるわけですが、描かれる"嫌なモノ"がリアルっぽくて本当に怖くて…現代のホラー漫画家とも言えますよね。現在も連載中のウシジマくんを見守り、今後の真鍋作品にも大注目していきたいと思います。


キミは一生分の快楽を一瞬で使う気か? 限りない未来を代償に……
……いや この国に未来なんてない事 知ってるのかな………



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  1. 2011/12/31(土) 23:49:10|
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月刊漫画ガロ(95) 平口広美 2 「白熱」「美しい壁」

今夜も平口広美作品で、二冊の単行本をザッと紹介しましょう。

まず、「白熱」(けいせい出版刊)。
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1978年にガロ(青林堂刊)に掲載された非エロ作品「ギョーザ定食の昼」以外は全て1980年の作品で、かつて三大エロ劇画誌の一つに数えられガロ系の漫画家も多く参加していた漫画大快楽(檸檬社刊)で発表した作品ばかり。

全8編を収録した短編集で、この本では何といってもスキンヘッド(平口広美先生と同じ)、そしてほとんどが全裸姿の逞しい男が印象的です。いきり勃ったモノの本能命ずるままに暴れまわるこのパワー、男根力!走り、時に空も飛んで女体だけに飽き足らず家などもぶっ壊してしまいます。
まぁこのスキンヘッドが登場する以外での話も、大抵はキレた男が暴走してヤリまくる…的な話になるんですけどね。
どれもこれも世の常識人・偽善者どもを破壊してくれる…ある種の人々には痛快活劇ですが、特にラストに収録された「白熱!」は暴走したバスの運転手が乗客をいいように扱い、すました顔してた乗客同士の煩悩も開花される凄い作品でした。


続いてはちょっと時代を飛ばして…「美しい壁」(フロム出版刊)。
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こちらは1986年に上梓された短編集で、この頃には絵柄が初期と変わっています。何と女性キャラの眼が大きく、輝いていたりもしています。
1980年代のポップなラブコメ主流時代に平口先生までが毒されたのか!?いやいや1話目の「見えない敵」でいきなり母子を虐殺してバラバラにした肉片で壁の穴をふさぐキチガイの話だし、毒素は全く減ってません。凄い暴力。

そんな「美しい壁」は全14編(そのうち「朝井真紀物語」は5話編成)を収録した短編集で、いきなり忍者が出てくるなどして殺し合いが始まったり、性器がタコだったりヘビだったり…シュールさが増しています。
もうストーリーがどうとか、そんな細かい事を超越した世界で、ここでは書けないようなあんな事こんな事が展開されていて…もはやエロ漫画本来の目的であるはずの『抜く』に到達も出来ないまま、ぐったり疲れてしまいました。


死ね死ね うんこども 砕け散れ!
跡形もないほどに すりつぶしてくれるわ



  1. 2011/12/29(木) 23:47:47|
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月刊漫画ガロ(94) 平口広美 1 「マッスル 平口広美第一作品集」

ガロを語る上では、やはりこの方も避けて通れませんか…平口広美先生。1950年生まれの北海道出身、AV男優兼監督として膨大な数の作品を手がけ、アダルトビデオ界の重鎮でもあるという…あのガロにあっても異端すぎる漫画家。

美学校で講師を務めていた前衛美術家・赤瀬川原平先生の下で学んだ後、1978年にガロでデビューします。すぐにエロ漫画雑誌で活躍し始め多くの作品を描いてるので、漫画家としてはエロ漫画専門のイメージがあります。近年になってまさかのヒット作が生まれますが、それはアポなしでフーゾク店に潜入し、ルポタージュ漫画を描くという画期的な企画『フーゾク魂』のシリーズ。

こんな絶倫漫画家の平口広美先生ですが、デビュー当時はそのペンネームから女性説が流れていたといいます。しかしてその正体は、こういう方↓。
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この顔で何が広美だよ、という話ですね。スキンヘッドとヒゲが特徴的なこの顔はアダルトビデオで見た事ある、という好き者も多いのではないでしょうか。

AVでない俳優活動としても、1982年にあの石井聡互監督の代表作「爆裂都市 BURST CITY」でもその怪演で陣内孝則、大江慎也、町田町蔵、麿赤児…ら、凄いメンバーと共演しています。
同映画には私の10代の頃のアイドルであったザ・スターリン(THE STALIN)が出てましたが、その遠藤ミチロウ率いる偉大なるパンクバンドのデビューシングルはソノシート「電動コケシ/肉」であり、このジャケット画を描いたのも平口広美先生。
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男根に注射している、このヤバいジャケは有名で、私は平口広美先生もこれで知ったのでしたが、当時はレアすぎて聴けない音源でした(後にCD化された時はすかさず購入しました)。

そんな平口作品から今回紹介するのは「マッスル 平口広美第一作品集」(ブロンズ社刊)。
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1978年から翌年までのガロなどで掲載した作品をまとめた短編集で、いわゆるエロ漫画としてカテゴライズされるのでしょうが、平口広美の世界は良く言えばつげ義春先生になどにも通じる不条理モノの要素も取り入れています。基本的に露骨なエロ描写ばかりなのですが、どこか不安定な、夢のような…

そんな高尚な要素は感じさせないくらい、変態的な性欲のパワー満載なのですが。宗教意識は弱いくせいに色欲を大罪だとか忌避すべきものと思い込まされている今時の男性は、すっかり性欲が減退して去勢されてるだのいろんな事を言われ放題ですが、これらの作品集を読んでガハハ親父のたくましいアレを取り戻して欲しいものです。男性の勝手な妄想を表現した性犯罪が多いので、女性読者には受け入れられないと思いますが。
そこまで露骨なエロ表現は使っていない「愛のタバコ屋」は初期の名作で、近所の者達に抱かれる事で生活が成り立つ貧乏なタバコ屋の娘に恋する少年の話。あとは強姦と暴力を繰り返しながら走る男を描いた「走る!」なんかも衝撃的でした。
この「マッスル 平口広美第一作品集」に収録されている作品は全10編。どれもエロ漫画の姿をしながら、キレイ事ばかりの奴らと世の中に何か叩きつけてやろうという意志を感じる傑作揃いでした。


親切ごかしになによ!こんなの最低よ
変態!痴漢!異常性格!!
露出症!卑怯者!自閉症!優柔不断!
クズ!!死になさい



  1. 2011/12/28(水) 23:46:25|
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藤子不二雄(58) 「少年時代」

続いての藤子不二雄作品は、「少年時代」(中央公論社刊)。
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初出は1978年から翌年までの週刊少年マガジン(講談社刊)で、単行本はオリジナルのKC(講談社コミックス)、それに今回画像で使った藤子不二雄ランド版でも全5巻。

二人の藤子不二雄先生のうち藤子不二雄A(我孫子素雄)側の作品で、後世の読者にも恐らくはこれがあるからA先生が高い評価をされるであろう、そんな代表作。
特に原作クレジットはありませんが、芥川賞作家である柏原兵三の長編小説「長い道」をもとにして描かれています。それに作品の主人公と同時期・同じ富山県で疎開していたA先生自身の体験などを加えて練られた「少年時代」は、他のA作品ではさほど目立たなかった叙情性が強調され、またA作品固有の怖さなども活かされて融合した奇跡の名作。

舞台は昭和19年という太平洋戦争末期。東京から富山県の漁村に縁故疎開してきた国民学校5年生の風間進一の、そこでの生活が描かれるわけですが…
進一には初めて暮らす田舎の光景は驚きの連続であり、読者には戦時中の様子が物珍しかったりもすると思います。それも面白いのですが、この作品において圧倒的な存在感を示すのは大原武こと、タケシ。彼は進一のクラスの級長で頭も良くて運動も一番の働き者ですが、その裏の姿は暴力でクラスを支配し逆らう者は徹底的に排除する独裁者でした!
結局の所、この「少年時代」というのはタケシを描いた作品であり、勉強は出来るけど体も気も弱い主人公の進一は、傍観者というか狂言回しというか、そういう役割なんだと思います。仲間外れにされる事を恐れてタケシのご機嫌を取ってしまう自分に自己嫌悪も感じながらも、彼の感情一つで振り回され、巻き込まれるだけの生活が続くのです。

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前半はとにかくいつも計算高くアメとムチを使い分けてクラスを支配するタケシの活躍…というか恐ろしさの描写が続きます。自分の強さを誇示して周りを服従させるため、ケンカでは相手が戦意を失ってもとことん打ちすえるような男ですが、これが単純に悪役ではない所が複雑なのですが、実際に人間ってそうかもしれません。はたから見て悪い奴と思える奴も本人は正しい側だと思っているのでしょうし、少年漫画みたいに正義とか悪とかって存在しないのだから…

そう、タケシは進一に村の事を親切に教えてくれたり、他の町でいたぶられている場面に単身助けに乗り込んできたり、優しくてケンカの強さが頼もしくなる時もあるのです。でも進一がタケシより勉強が出来ちゃったり、校長先生の親戚・美那子(タケシは彼女の事が好きだと思われる)と話している事を見られたりすると、クラスの子分達をつかって進一をいじめさせます。
でもまたすぐに、何かのきっかけか気まぐれかで本当の親友のようにふるまい…もうしつこくしつこく、ひたすらこの繰り返し。何度も読んで話は覚え込んでいる状態で冷静に見ると、笑っちゃうくらいです。

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国民学生ながらに繰り広げる権力闘争も見もので、田舎の日常生活をスリリングなものにしています。タケシと進一以外の同級生達それぞれの個性まできちんと描いているので、読者はそれぞれのタイプが自分のクラスでは誰に当たるかと置き換え、感情移入しているでしょう。権力者に取り入る派閥や、一匹狼、流動型、無関心型など。
絶対的な最高権力者による恐怖政治も、暴力で支配しているならそれが破れれば崩壊がやってきます。病欠していたケンスケが復学すると共にその兆しが表れるのですが、一度権力の座から失墜すると、それはどういう事になるか…
読んでいてちょっと辛い事になるのですが、終戦を迎えて一年間疎開していた富山県を去る進一はタケシとの最後の別れ。それから現在、もうおじさんになった進一が34年間ぶりに戻ってくるエンディングで物語は幕を閉じます。


ちょうどこの藤子不二雄ランド版の「少年時代」は実写映画公開予定の1990年に出版されているので、映画化の進行具合などを巻末で実況しています。
篠田正浩監督によるこの映画版は山田太一脚本で、藤子不二雄A先生も原作だけでなく『製作』として名をクレジットされていますが、その撮影現場に石ノ森章太郎先生が遊びに来て監督や藤子A先生と写真撮った貴重なショットなんかも載っていますね。これが後に日本アカデミー賞を受賞する事にもなるわけですが、帯付き本を入手してみるとこの通り、ここでもタイアップしてました。
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そして映画以上に有名になってスタンダード化しているのが、井上陽水の歌う主題歌「少年時代」でしょうか。陽水は天才でしょうし名曲が一つ生まれて良かったとも思うのですが、ただあの歌だけ聞いている方には原作もノスタルジックで良い話、例えば反発し合いながらも友情を持って成長していく少年の物語、というような想像をされるかもしれませんね。そんな部分がないとは言いませんが、実は人間の内面にある残酷性を描き、子供は純真な天使だと勘違いしている者に鉄槌を下すような、痛みを伴う作品である事を知っておいて欲しい。決して『心あたたまる感動物語』なんてクソみたいなのではなく、そうとうに屈折していて…だからこそ素晴らしい名作なのです。


どうしてだ!?タケシくん!美那子さんとは東京の話をしただけなのに!
タケシくん!ぼくが きみになにをしたというんだ1?
ぼくのたいせつな「豹(ジャガー)の眼」や「亜細亜(アジヤ)の曙」だって かしてやったじゃないか!!



  1. 2011/12/26(月) 23:45:45|
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藤子不二雄(57) 「用心棒」

続いての藤子不二雄作品は、「用心棒」(中央公論社刊)。
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かつてあの藤子不二雄ランド(FFランド)を出版していた中央公論社から、1998年に描き下ろし単行本として上梓されました。
…え!?
そう、ここでファンならずとも驚くであろう事をサラッと書きましたが、藤子不二雄A先生が描き下ろし漫画ですよ!これは珍しい…というか、初期の重要作品「UTOPIA 最後の世界大戦」以来ではないですか!?となるとざっと45年ぶりですか。凄く歴史的な事でもありますが、それがまた『マンガ黒澤明時代劇』という地味な企画モノで、ひっそりと出版されていたのです。

同シリーズに参加して藤子不二雄Aと共に黒澤明時代劇を漫画化したのは、さいとう・たかを先生が上下巻に分けて「七人の侍」を、小島剛夕先生が「蜘蛛巣城」「椿三十郎」を。そして、元々は石森章太郎先生が「姿三四郎」を描く予定でしたが、逝去されたために全6巻の予定を変更して全5巻になった、という悲しい因縁も残っています。
黒澤明監督で時代劇ならまだ「隠し砦の三悪人」「影武者」「乱」などの名作があるのに、何故それらは外されたんだという黒澤ファンの声も聞こえてきそうですが、まぁそういうものです。

さて黒澤明監督・三船敏郎主演の時代劇映画「用心棒」の、漫画・藤子不二雄A版。かつて黒澤作品に熱狂していた私は31本の監督作品を全部観ていますが、特に好きなこの作品を敬愛する藤子A先生が手がけたのは、発売当時嬉しくて小躍りした覚えがあります。
ストーリーを見てみると、馬目の清兵衛一家VS新田の丑寅一家というヤクザの縄張り争いが激しさを増している宿場町に桑畑三十郎と名乗る凄腕の浪人が流れて来て、二大勢力両方に用心棒としての腕を売り込みながらもその目的は双方同士打ちにさせる事だった…というもので、基本プロットは映画と同じですね。
ただ細かい所は違っていて、驚くべきは何とラストシーンまでも多少の変更が加えられている事。無類の黒澤明マニアでもある藤子A先生ですが、ただ忠実に追従するだけではなくオリジナリティも入れようと工夫したのだと思います。
例えば私がイタリアン・ホラー映画で最も好きなダリオ・アルジェント監督にも多大な影響を与えたあの血しぶき(となると続編というか兄弟作品「椿三十郎」の方ですが)!あの血の描写をやりたかったのでしょう、飛び散る血がリアルかつ大量すぎて凄いです。物語導入部の斬り合いで、握った刀ごと斬り飛ばされる両腕と鮮血の描写に1ページの一枚絵を使っていたりして、気合いを感じます。それに人物が白目である藤子A手法とが相成って、けっこう怖い。化物的な敵キャラ達も見物ですよ!

慣れない描き下ろしで(さらにこんな長いは初めて)、しかも今まで藤子不二雄A先生がほとんど描いていない時代劇作品をこれだけ描けるなら、例えば得意のブラックユーモアと融合させたりしてオリジナル作品でもっと発展させて欲しいと願ったものですが、これ以降は執筆作品自体がほとんど無いですね、藤子A先生…


拙者もだ亥の吉!お前が好きだ!
しかしお前は斬らねばならぬ!ゆるせ!!



  1. 2011/12/24(土) 23:41:38|
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藤子不二雄(56) 「フータくん」

ここの所、藤子不二雄作品をいくつか続けて紹介していましたが…藤子・F・不二雄側の作品ばかり(藤子・F・不二雄ミュージアムも行ったし)でしたので、藤子不二雄A側の作品もいくつか紹介しておきましょう。

今夜は「フータくん」(朝日ソノラマ刊)です。
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初出は1964年~1967年までの週刊少年キング(少年画報社刊)で、単行本はこいのサンコミックス版だと全5巻。同時期に別冊少年キングの方で番外編も掲載されていたのですが、 そのうち1話だけが本編に組み込まれてこの単行本に入れられています。その番外編1話以外、そして3つのシリーズに分かれる本編のうち、面白さに定評のある最終シリーズ『ナンデモ会社編』は…今に至るも単行本未収録という、残念な作品でもあります。
なお、後に藤子不二雄ランド(中央公論社刊)で登場した時は、「マネー・ハンター フータくん」と改題しました。さらに1982年から翌年までと、月2回刊行になって誌名も少年KINGと変更されていた時代にリメイク版が掲載されていたのですが、こちらは「フータくんNOW!」 としてFFランドで単行本化もしています。

主人公はフータくんという少年で、住所不定・無職…というか年齢的には明らかに学校へ行く歳なのですが、家庭の事情というか家族が一人もいない、悲しい身の上。となると「家なき子」「オリバー・トゥイスト」のように孤児が旅と出会いで成長していく物語と言えなくもないのですが、描き方が全然違います。放浪少年であることを可哀想だと描写するのではなく、まだ子供ながらに独立し、好奇心のままに工夫して生きる気高い魂の持ち主として…というと大げさかもしれませんが、とにかくフータくんは性格的に明るくていつも元気。
そんなフータくんがある目標に向かって元気に動き回る様を、1話完結の連作で描かれるドタバタギャグ漫画です。

最初のシリーズは『100万円貯金旅行編』で、フータくんが100万円を貯める事を目標として金になる事をなんでもやりながら旅を続ける話。この時点ではフータくんが子供なのに何で放浪生活をしているのか、親や学校の事なども何も分かりません。
毎回毎回、お金が増えたり減ったりしていく様が描かれては話の最後に"これまでの貯金額"が出てくるので、戦闘を介して経験値を取得しキャラクターが成長していくロールプレイングゲームのような感じですね。
この1stシリーズでは、フータくんの赤いものを見ると頭にきて理性を失い、メチャクチャに暴れまわる設定が生かされています。それは子供の頃、頭を牛に蹴られてからそうなったとの事ですが…

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3巻には「人食い人種も外人よ」という話が収録されていまして、まぁ出ましたよ土人ネタ。外人目当てのガイド仕事で金をせしめようとするフータくんが、南の島から船の外側に張り付いて来た(真っ黒い肌が保護色になっている!)、すぐに人食い人種と判明する大酋長の息子・ザンボに喰われそうになりながらもお金を稼ぐ。

他にも色々な変キャラが登場して…本物の宇宙人まで出るしで大変な目に遭いながらも、とうとう貯めた100万円。
そうするとどうなるか。現在の我々でいうと小室哲哉みたい(名誉と富を得た瞬間、周りに利権を手に入れ名前を利用しようとする人が群がった)な状態になって『100万円貯金旅行編』は終了し、4巻からはその100万円を元手に旅行する『日本一周編』のスタートです。

これがまた私も旅行好きとして楽しいシリーズなのですが、東京都からスタートして毎回一都道府県ずつ紹介しながら日本一周の旅をします。
今やフータくんは貯めた100万円があるし、学校や会社などの社会的制約からは自由の身。
『しめきりのない日本一周旅行のはじまりだ まわりのけしきを見ながらのんびりいこうや』
と、ブラブラ歩を進めていくのです。

前シリーズでは毎回お金の増減と所持金額が表示されていましたが、今シリーズでは日本地図に"今回旅行しているところ"と"すでに旅行したところ"が表示されます。
鉄兜をかぶっているテツカブやキザなキザオとのからみが増えて、まぁ同じようドタバタやって…その本編と別にあるのが、
・フータくんの○○県に強くなるページ(フータくんの名所絵はがき)
・○○県の珍行事
・フータくんのインチキ・ルポ
・フータくんたべあるき
といった文字と絵のコマで、これらは普通に勉強になるでしょう。

誰もが自分の出身県を持っているわけですが、そこにフータくんが来て観光と紹介をしてくれるのだから嬉しいですよね。
ちなみに私は新潟県出身ですが、フータくんの新潟県に強くなるページでは奥只見ダム、新潟市、弥彦山、越後湯沢、新潟県の市名も全部紹介されているし、フータくんのインチキ・ルポでは佐渡についてのコラムでした。やっぱり嬉しいものですね。

北海道では露天温泉に毛深い人がいたので『おじさんはアイヌの人でしょう』と言ったら本物のクマだったり、静岡県では斜視のトロ一ってキャラに『きみはだれを見てしゃべってるの!?すごいロンパリ!!』なんて言ってたりして、今だと差別ネタとして叩かれてしまいそうです。
富山県ではここの出身者である作者・藤子不二雄先生も出てきてます。もちろんこの時はまだコンビを組んでいたので、二人一緒。このこの偉大な二人は、やっぱり一緒がいいです。

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後半になって世界一のドタバタ喜劇王を目指すドタバ太や、タヌキのトクガワゴンゲンなどの常連キャラも増えていきますが、最後の最後は駆け足になって四国と九州は1話で複数県をまとめて紹介されてしまいました。
彼らの冒険は可笑しくアヴァンギャルドで、そして何ともカオス。連載当時の1960年代にテレビアニメ化の企画も上がったそうですが、結局は頓挫したのだそうで…残念です。一歩間違えてアニメ化していれば知名度も上がり藤子A先生の代表作となり、元気なフータくんのドタバタをもっと見れたでしょうに。
せめて、既に書いたように単行本未収録の最終シリーズ『ナンデモ会社編』を復刻して欲しい。これはフータくんが会社を創立させて商売で活躍する話で、当時は人気も完成度も高いと言われていたそうだし、出生の秘密が明らかになる最終回も一部で有名なのですが…


あっリンゴ!
ああかいリンゴなに色? ああかいリンゴ赤色!!
ンモー やいっぼくはむかし牛にあたまをけられたんで……
赤色をみると むちゃくちゃにハッスルするんだ
もうおまえなんかにまけないぞ



  1. 2011/12/21(水) 23:59:31|
  2. 藤子不二雄
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旅行・紀行・街(111) 静岡県浜松市 1

こんばんは、BRUCEです。
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ここ最近は酷い体調不良に襲われており、頭痛・咳・鼻水に続いて熱が出て歯まで痛くなりました。それでも仕事に耐えてバイクで帰宅しようとすれば、大雨の日に傘さしチャリに突っ込まれて指を怪我したり。二週間ほど全然治らないので、ついに嫌いな病院に行ってみたらマイコプラズマ肺炎と診断され、さらに心配な部分があるからとガン診断までされています。血も吐き続けました。ブルース・リーの歳を越えた今は余生だと認識しているつもりが、今まで健康すぎて死を意識出来なかったんですけどね。今後は必ず来る"それ"を覚悟して1日1日を大事に生きるとしますか。

さて今回は、静岡県浜松市へ行ってきた報告をしましょう。

静岡県は今まで伊東市など伊豆半島辺りに行ったのを何度も紹介していますが、さらにずっと足を延ばしてみたわけです。浜松市は県庁所在地・静岡市よりも人口が多く県下最大の人口を抱える都市で、面積は全国で第2位というでかさ。東京と大阪のほぼ中間という立地に位置し、戦国時代から栄えたこの都市を存分に観光してみましょう。

新幹線で走ること、東京から2時間くらいで浜松駅へ到着。
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今年はちょうど市政100年という事で盛り上がってました。
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左の『100』の文字が名物のウナギと三ケ日みかんだ!

浜松市はマスコットキャラクターに赤塚不二夫先生が生んだウナギイヌを認定しており、あろう事か副市長にまで就任している素晴らしい所。
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確かにウナギイヌは故郷が浜松市にある浜名湖だし、名物ウナギを母に持つわけだから良い選択でしたね。きっと町中がウナギイヌで溢れかえっている事でしょう…この時点では、そんな期待に胸を膨らませておりました。

他に漫画関連では、『帯ギュ』こと「帯をギュッとね!」の主な舞台だった事が思い出されるし、作者の河合克敏先生も浜松市出身ですね。あとは、幼少期に大好きだった小林たつよし先生もそうです。
映画関連では北野武監督「菊次郎の夏」のロケ地でもあるそうで、実はこの作品は私が今までで一番多く劇場に足を運んだ映画でもあるので期待してたのですが…映画で観た風景とかは、全然分かりませんでした。
今村昌平監督の「復讐するは我にあり」も大好きな映画ですが浜松のシーンが多くあり、とりわけ浜松弁というのか『~だら』『~だに』『~ずら』とか語尾に付くのが可愛いくて印象的だったのですが、地元民と話してもそれらの言葉は飛び出しませんでした。

ホテルは"ホテルクラウンパレス浜松"
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ここのシングルルームに荷物を預け、またすぐに出発です。

駅前にはポニーがいて、
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横田めぐみさん救済の署名活動、
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浜松の踊り、
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…などいろいろやってましたが、現地で友人と会って最初の目的地を目指して地下道を歩いていたら、いきなり通りがかりのおばさんが友人の方に新品の本をくれました。タダで市販の本が貰えるなんて何ていい街なんだ浜松!
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そう思って著者を見ると、文鮮明!宗教の布教活動だったようです。好奇心旺盛な彼の事、こんな本も隅から隅まで読むんだろうな。

大通りでは、ウナギを捌く所から蒲焼になるまでを見せるパフォーマンスをやってました。
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美しい!ミス浜松と記念撮影!
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ウナギばかりでなく、ちょうど時期だったのでハロウィンのイベントもやってました。
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ここを会場にバンド演奏の用意などもされてましたが、もしやハロウィンだけにカイ・ハンセンやマイケル・キスクも現れるか…
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顔ハメの絵を描いてる女性が魔女姿、というか「魔女の宅急便」の主人公・キキのコスプレ。
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ザザシティ(ZAZA CITY)浜松。巨大な複合商業施設ですが、債務超過問題などで大変だとか何とか…ここを通りすがりながら説明を受けました。
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とにかく我々は"浜松城"を目指していたのですが、ここは徳川家康が江戸幕府を開くずっと以前に居城としていた城。
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その下の浜松城公園では、
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駐車場と芝生広場を会場にして、『はままつBABフェスタ2011~浜松食もつ連鎖~』というイベントが行なわれてました!
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食と音楽のイベントですが、まずはステージに目を向けてみましょう。お、ヒーローショーやってます。昨年劇場で観た井筒和幸監督の映画「ヒーローショー」が名作すぎたために、まだ余韻があって彼らを見るとバイオレンスな裏舞台を想像してしまいます。
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ちなみに↑は鳥光戦士ジースリーで、こちら↓はアーマードポリス。共に浜松のローカルヒーロー。
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さてお待ちかね、浜松まで来てこれを食べまくらないわけにはいきません…浜松餃子!
近年知名度を上げまくっている浜松餃子という物を、餃子好きの一人として気になっていたのが今回の旅の理由の一つ。浜松餃子って近年になって急激に知名度を上げてきましたが、キャベツが多くて甘いのが特徴とか。あと、その餃子に茹でモヤシを添えてる写真をよく見かけますね。

こちらは街で見かけた自販機。
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これで浜松餃子は買えません。マスコットキャラクターは、ちゃお。

今回のイベントでは屋台での出店なので、店より味は落ちる心配がありますが…ともかく食べた餃子は、まず"むつぎく"
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"豚猿"
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"らーめん じゃげな"
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"夏目家"
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"居酒屋 本家 酒夢来(さむらい)"
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静岡県裾野市からは"すそのギョーザ倶楽部"の、すその水餃子。
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行列の出来ているここは三重県津市から参戦、大きな揚げ餃子の"津ぎょうざ協会"
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他にも餃子店はまだまだあったし、カレーや、他の浜松市の美味いモノもありました。
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ウマイウマイ。
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そうこうするうちに、次のステージ開始です。
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餃子ある所にこのバンドの影あり…スペシャオ餃子BANDですよ!
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実はうちの秘密結社からもこのバンドの一員を送り込んでまして、コーラスを勤めるこの左側の女性こそがこのバンドでは李メンメンと呼ばれる神崎メグ!
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ちなみに右側は、このバンドでは李上海と呼ばれる…あの結城リナ
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マスコットゆるキャラ、ちゃおも登場して歌に合わせて踊ってました。
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結城リナのチャイナドレスからチラチラとパンティーが見えるのでドキドキしたものですが…
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写真でよく見ると、短パンみたいなの穿いてました(泣)
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そして大団円。
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このバンドでは餃子MAN2号と呼ばれる、Guiterの川村いさびュリホーも友人だったりします。
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彼のバンド・乱舞虎の2ndアルバム「渦」もゲット!
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食べるメグちゃん。
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メグちゃんと記念撮影。
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もちろんリナちゃんとも!顔小さっ!
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会場を後にしまして、ここは浜松市役所。何かオブジェがありますが…
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街中でも謎の芸術品がけっこう目に付きました。
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浜松市の防火貯水槽マンホール。
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いい時間になってきたので、夜の街へ。
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先ほどキキのコスプレしたアーティストがいた広場や、通りのそこら中で音楽を演奏しています。
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ハロウィンの扮装をした人達からも餃子を購入。
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美味い。
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お店でも食べようと、看板が良い"留園"へ入店。
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何軒かあった"錦華楼"は、看板の上で豚が動いている。
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べんがら横丁は、空室となっているフロアも目立ってましたが…ラーメン屋が4軒入っています。
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しかし行ってみたら浜松餃子を出すのは一軒だけしかなく、それも"竈(かまど)"って東京の店じゃないですか!!
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美味いと評判の浜松餃子専門店"むつぎく"をやっと見つけてみたら閉まってるし!
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浜松市には餃子専門店だけで80軒、専門ではなくとも餃子を出す飲食店を含めると300軒以上あると聞いて行ったのですが、意外と手ごろな店が見つからず…
浜松駅から見てあまり栄えてない方・南口で見つけた居酒屋、"野武士"(のぶし)に浜松餃子学会の旗が立っているのを発見!
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瓶ビールはサントリーの2種類。
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そして浜松餃子!やっと茹でモヤシが乗ってるタイプのに出会いました。
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餃子はこの位で終わりにして、次は"味良来"(ミラクル)。店名もこうですが、ここは『メニュー』を『女乳』と書いてましたよ!
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浜松名物を使った、三ケ日みかんハイボール。
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ソウルマッコリをボトルで。
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おっと、ところで冒頭近くで書きましたが浜松市のマスコットキャラクターかつ副市長(だった?)ウナギイヌが街にどれだけあふれているか気になる方も多いでしょう。
そろそろ答えを書くと…どっっっっこにも、一匹もいませんでした!ポスターの一つも見つからず、赤塚不二夫キャラの中でも『究極のバカキャラ』と言われるあいつをプリントしたTシャツを着ていったのですが、それが泣いています。
ダリラリラーン、ホッカイローのケーコターン・・・使用出来る契約期間が過ぎたのでしょうか。
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もう、どんどん焼いてこの悔しさを解消しますよ。
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丸腸、
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コブクロ、
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とんちゃん(ホルモン)、
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そして、ブラック豚ホルモンとブラック牛ホルモン!
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美味い!このブラックの正体は何なのか尋ねたら、『秘密です』と可愛く答えてくれたカワイ子ちゃん店員さん。
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美味しいホルモンもさる事ながら、こうして地元の美女と交流を持てた事は、この上もなく幸せ。(オジサン二人はニヤケすぎ!)

続いて、"英国風居酒屋 スマグラー"
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ちょうど今年は真鍋昌平先生の「スマグラー」「スマグラー おまえの未来を運べ」のタイトルで実写映画化して大ヒットしましたが、この店は非合法な『運び屋』の仕事はやってないと思います。

ギネスとバスペールエールを頂きました。
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店内に本物のベンガルワシミミズク、シャムちゃんがいます!
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スキマスイッチ、山崎まさよしのサイン。
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浜松ではこれらのJ-POPで有名な人の目撃証言が多々あるとの事ですが、私にとってそれよりはるかに重要な音楽関係の人物が出身者の中にいますよ。

それは…ジャズピアニストの上原ひろみさま!
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今回持参した本は神舘和典・文、白土恭子・写真の「上原ひろみ サマーレインの彼方」(幻冬舎刊)。当然ここでも大好きな浜松についての微笑ましいエピソードが語られています。
浜松は楽器産業が盛んで数多くの楽器メーカー本社があり、特にピアノに関しては全国シェア100%を独占しているとの事。そんな土地柄が彼女の成功を生んだのでしょうか。彼女が通っていたというジャズ・バーを友人が知っているというので探していたのですが、何故かどうしても見つからず…

そうこうするうち、地元民である秘密結社員・きんぱらさん登場。
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浜松では『金原』という名字を『きんぱら』と読みます。

とりあえず記念撮影から…
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で、次なるお店は"Voodoo Chile"(ブードゥー・チャイル)。
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つまりジミ・ヘンドリックスの有名曲から取った店名ですが、中に入るとアリス・クーパーの名盤「キラー」がお出迎え。
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そして店内にはパンクが流れている、という不思議なお店でした。
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〆のラーメンは"麺屋 三九"にて、
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味噌ラーメン、
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激辛ラーメンです。
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翌日…二日目は、実に10年ぶりとなる友人との再会がありました。その者は悪の組織に追われる身ゆえ顔写真は公表出来ないのですが、南フランスに住んでいた当時の友人であり、日本で会うのは初めて。現在は出身地の浜松市に住んでいるのだと連絡を受けたので、今回の旅行のきっかけにもなったのです。地元民なので、車でいろいろ案内もしてくれましたよ。

まずは養殖ウナギで有名な浜名湖辺りをドライブし…湖畔にある遊園地"浜名湖パルパル"へ。そこには、かんざんじロープウェイがあります。
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オリジナルのマスコットキャラクターをやなせたかし先生が手がけていて、
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チケットもこの通り!それぞれパレオ、パーラ、エビーノ、トマトーナ、マスケラーナ、アンティコ姫と名づけられています。
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出発。
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遊園地の上を通り、
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天気が良くなくて残念でしたが、景色を見ながら…
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グングン昇って行きます。この湖で船の脱出に失敗して沈んだプリンセス・テンコーが死にかけた事があるそうです。
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ロープウェイガールによる搬器内のアナウンスで知りましたが、ここ浜名湖は巨人ダイダラボッチが手をついてできた窪みに涙が流れ込んで出来た湖であり、左手の形をしているのだとか。
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↑これがダイダラボッチ(勝川春章・勝川春英画)。別の姿をしていますが、この名前は「ゲゲゲの鬼太郎」「もののけ姫」などでもおなじみです。

大草山駅に到着すると"浜名湖オルゴールミュージアム"があり、何故かジブリキャラも展示してます。
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散歩。
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三ケ日みかんが食べ頃だ…
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下山して、次は"長坂養蜂所"です。
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ハチミツならここ!自然界で最も甘い蜜といわれるハチミツ…甘い物が苦手な私は、ここ20年くらいは食べて(舐めて?)ません。今後も、多分ないでしょう。
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しかしここは、かわいいお店見学だけでも良いかもしれません。
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あとお土産に喜ばれる物が多く、私ははちみつマーガリンを購入。
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ミツバチがブンブン飛んでいます。幼少時代に朝の再放送で見た、タツノコプロのTVアニメ「昆虫物語 みなしごハッチ」を猛烈に見たくなってきました。
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では、そろそろ浜松市を締めくくりますか。となると一番の名物であり、まだ食べてなかった…うなぎ!
当然浜松にはうなぎ屋がたくさんありますが、地元の友人が一番のお薦めというのが"炭焼うなぎ 加茂"
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ビールを呑みながら待ち・・・
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ついに来た、特上うな重!
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ここは関西地焼きの店で、つまりカリカリ気味の焼き上がり。今までうなぎといえば関東風の蒸したのばかり食べてきましたが(いやそう滅多に食べる物でもないですが)、こりゃー美味い!美味すぎる!!

うなぎ一本丸々使っていて量も多いし、ご満悦の僕たち。実際に今までの半生で食べた中で一番かも。
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さらに浜松でうなぎと言えば、"春華堂"のうなぎパイも外せません。
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そしてコレ、プリッツの『うなぎの蒲焼味』。これが本物ソックリのうなぎ味がして、驚きの当たり商品でした。
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最後に地元民お薦めの味噌まんじゅうも買って、楽しい浜松を泣く泣くあとにしました。
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お世話になった10年ぶり再会の友人とも今後は年に一回くらいは会おうと約束してきたし、浜松市にはまだまだ行き残した場所があります。例えば中田島砂丘、はままつ地ビールレストランの"マイン・シュロス"に、"うなぎパイファクトリー"も面白いらしいし…とにかく、再訪してさらなるスポットを探検しましょう。


  1. 2011/12/17(土) 23:08:20|
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藤子不二雄(55) 「21エモン」

続いての藤子不二雄作品は、「21エモン」(中央公論社刊)。
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二人の藤子不二雄先生のうち藤子・F・不二雄側の作品で、初出の連載は週刊少年サンデー(小学館刊)にて1968年から翌年まで。単行本は藤子不二雄ランド(FFランド)版だと全5巻です。

私が最初に持ってたのは全4巻のてんとう虫コミックスの方ですが、それよりFFランド版は話数が多いのです。前者だとお手伝いロボットのオナベが出る話が初登場話からカットされていたり(21エモンが中古ロボットのバーゲンにて11000円で買う)もしますが、後者だといつもの新作まんが(この時は全巻「ウルトラB」)以外にも第5巻の巻末に「パパは天さい!」「ぼくのロボット」が同時収録されているのです。

さて藤子・F・不二雄作品といえば普通の人の日常生活の中に宇宙人やオバケやロボット…etc.、つまり"異能の異物"が入る事になる王道パターンがありますが、今作では逆。主役は普通の人間(地球人)で、周りの登場人物は様々な宇宙人だらけです。舞台も2023年という未来で、藤子F先生らしからぬ設定というか、"SF"が『少し、不思議』(Sukoshi Fushigi)じゃなくて普通に『サイエンス・フィクション』(Science Fiction)になりそうな設定ではないですか!
いや、まぁ、読んでみたらどこを切っても藤子F作品以外の何物でもないのですが。

この作品の舞台では地球も"星間連盟"に加入していて宇宙の様々な星から観光客が来る、宇宙人達に開けた星になっています。そう、地球に文字通り遊びに来るんですからね、宇宙人だからって悪い敵だとか地球侵略を企んでいる、なんて話が「21エモン」以降は一気に古くなったのではないでしょうか。
主人公の21エモンこと、つづれ屋21エモンは地球人のトウキョウシティーに住む中学生で、徳川幕府の始まりとほとんど同時にオープンした創業450年前のホテル"つづれ屋"の21代目と目される跡取り息子です。しかしつづれ屋はよく"つぶれ屋"と間違えられ客もほとんど来ない貧乏ホテルでしかなく、パパの20エモンは大反対しますが宇宙パイロットになって宇宙を冒険する夢があります。
そんなわけで作中で常に描かれるのは、21エモンのつづれ屋を継ぐか宇宙パイロットになるかという悩み、そして宇宙の他の惑星から来る変な客達。

21エモンの相棒としては、第1話目でつづれ屋に泊まったササヤマ星人が宿代代わりに置いていったモンガー。この真空、高熱、極寒、何でも平気、かつテレポーテーションなどの超能力を持ち何でも食べてエネルギーにしちゃう可愛い"絶対生物"抜きにしては「21エモン」は語れません。
そして元イモ掘り用ロボットながら、現在はつづれ屋でボーイとして働くゴンスケ。口も性格も悪くて金に汚いのが、ロボットのくせに一番人間らしくていいですねー。モンガーとも仲が悪くてケンカばかりしてますが、私は好きなキャラクターです。「ウメ星デンカ」や他の藤子F作品にも登場する、つまり数少ないスターシステムを採用されたキャラでもあります。
本作のヒロインは、つづれ屋の隣にある高級ホテル"ギャラクシー"の社長令嬢・ルナ。頭が良くて美人で大金持ち…こんな女が彼女になったら、「21エモン」もつまらなくなってしまいますね!

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夢見る21エモンですが、宇宙に旅立つには多額の資金も必要であるため、普段はつづれ屋でボーイとして働きながらチップを貯めています。なので地球でいろんな宇宙人らと出会って巻き起こる騒動を描いた1話完結の話が基本なのですが、短いのも入れると合計5回の宇宙旅行を実現させてもいて、その時は連続した話でモンガーやゴンスケと共に冒険する物語へとシフトしてワクワク感アップ!
21エモンがいつも着ている服は、マスクと手袋をつけるだけで宇宙服になる仕様で、これにも随分憧れたものです。

そういえば、つづれ屋は3階建てで客間は11室。そのうち1室は雨もりで使えないしボロいイメージがありますが、お客の星それぞれに合わせて空気のタイプや気圧、温度、重力などを部屋ごとで調整出来るんですよ。これって凄い技術ですよね…この時代では当たり前になっているのでしょうが、とにかくそれで地球でも宇宙服を脱いでくつろげる、と。
ちなみにエネルギー源は原子力。つづれ屋みたいな小さいホテルでも原子炉を持っているようなので、この時代は各家庭一原子炉なのかな。"ミカワ屋"から酒屋みたいなスタイルの兄ちゃんが来て濃縮ウランのツケを請求してくるシーンがありました。現実の現在は反原子力活動がさかんになっているようですが、さて未来はどうなるんですかね。

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藤子・F・不二雄作品全体で見ても、「21エモン」はかなり知名度が高いでしょう。もちろんかつてアニメ映画化やTVアニメ化もされていた影響が大きいと思いますが、藤子アニメとしては相当短い放送回数で打ち切りになったそうです。ただし原作漫画の終了から長い年月が経ってからのアニメ化だったので、私もリアルタイムで見れた世代であり、友人の中には本作のアニメを大傑作だったと絶賛する者もいます。
そんなアニメ版が今年になって全話がDVD化し、また密かなブームが来ています。21エモンの将来は、宇宙への夢を取るのか伝統あるつづれ屋を経営する事を取るのか…これもアニメ版の方がはっきり答えを出しています。

地球にやってくる異形・異習慣の宇宙人宿泊客、宇宙に飛び出して見る星の文明やそこで出会う宇宙人達、そして未来のメカニック…毎回毎回楽しみのある「21エモン」ですが、それだけに1話1話を突っ込んでると大変な事になります。泥沼にはまる前に、こんなさわりだけの紹介でお別れしましょう。


アチ!アチ!アチ!
あの星でうえ死にすることをおもえば、これくらい……!
わっ もう先がない!もえつきたあ!
ママ!パパ!ぼくはいっしょうけんめいやったよ!
さよう………なら……。



  1. 2011/12/15(木) 23:49:39|
  2. 藤子不二雄
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藤子不二雄(54) 「星人ドビンソン漂流記」

今夜の藤子不二雄作品は、「星人ドビンソン漂流記」(中央公論社刊)です。
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初出は先日紹介した「キテレツ大百科」と同じくマイナー雑誌こどもの光(家の光協会刊)誌上にて、1971年から翌年までの連載でした。単行本は、この藤子不二雄ランド(FFランド)版だと全2巻。

これも二人の藤子不二雄先生のうち藤子・F・不二雄側の作品で、普通の人々の日常生活に"異能の異物"が入り込んで巻き起こる騒動を描く…定番タイプのSFギャグ漫画です。
タイトルで分かる通りアイデアの元ネタはダニエル・デフォーの小説で通称「ロビンソン・クルーソー」(「ロビンソン漂流記」)で、主人公はポッド星人のドビンソンという…頭が土瓶(ドビン)の形した宇宙人の少年。物語の導入部は宇宙空間でスタートし、宇宙船の事故に遭ったドビンソンが手近のロボート(ロボットボート)で脱出しますが、そいつがポンコツであったために地球に不時着して漂流生活を行う、という物。

ドビンソン目線では地球も宇宙の辺境にある未開の星であり、日本家屋は『木とドロでできた原始的な巣』だし、人間は謎の多い動物。空気は有害物質でいっぱいだし、かけ回る鉄の怪獣(車)だらけのこの魔境で、ただ一人の文明人としてあてもない救いを待つ身となったドビンソンは、小学生のマサルとその両親が暮らす家でロボートと共に居候する事になります。
しかし地球人よりはるかに発達した頭脳と文明を持つドビンソンなので、耳が小さく尻尾も無いマサルら地球人という動物を見下しまくり。ここでの生活を冬休みの宿題にして『ドビンソン漂流記』を書き上げようと地球を研究(後にポッド星で本を出版する目標になる)するうちに理解し軟化していくのがいいんですけどね。

あとは他の多くの藤子F作品と同じように、毎回ユニークなアイテムが登場して面白可笑しい騒動が起きるパターンで続きます。地球よりはるかにテクノロジーの進化したポッド星の様々な道具をドビンソンが作るのですが、地球にはろくな材料が無いため欠陥品ばかりで…

そうそう、荒木飛呂彦先生の名作「ジョジョの奇妙な冒険」は連載開始からずっとリアルタイムで読んでる作品ですが、第5部の準主役といえるブチャラティの持つスティッキィ・フィンガーズというスタンド能力、これが本作の「次元チャックで挑戦」という話で出てくる次元チャックそのままのビジュアルなんですよ。つまり、地面などに取り付けたチャックを開けるとその中に入り込めるという(ドビンソンの方はどこでもドアのような性能を持っていますが)。しかしジョジョでこの能力が登場した当時、いかに世間の人々は「ドラえもん」以外の藤子F作品を読んでないかを思い知らされましたよ。つまり誰に言っても国民的漫画家、藤子・F・不二雄先生の描いた「ドビンソン漂流記」自体を知らなかったわけです。
ちなみに荒木先生はいろんな所からネタを持ってきますが、彼に使われると誰もが誇りに思うのではないでしょうか。パクリではなくこれこそがオマージュであり、必ず進化させますからね。だいたい次元チャックがこんなにカッコよくなるなんて!

「空中遊泳は快適だねー」の回では水泳ならぬ"空泳"という空飛びネタが出ますが、やはり誰もが夢見るのは生身で空を飛ぶ事ですね。いや、それはともかくこの話、土人が出ます!あのヤリを持って太鼓の音と共に襲ってくる、あのまんまのイメージで!これは「ジャングル黒べえ」などが封印された例の問題に関わってくるのでは…そういえば確かに、このFFランド版(1988年発行)以来今年まで絶版状態になっていました。ラストのオチを書いちゃうと彼らは本物の土人ではなく場所も日本だったのですが、この描写だとあの時代には自主規制せざるをえなかったかも。

ところで「星人ドビンソン漂流記」ではジャイアンとしずかちゃん的な、つまりガキ大将やヒロインの影が薄いのですが、ちょっとだけ出るジャイアン役のネーミングは…何とブタオコゼ
ヒロインの方はまみちゃんというのですが、名前すらほとんど出ません。ドビンソンやマサルと一緒に遊びはするものの、特に好きだとかの設定もないし。
道具の類似点や物語の進行も「ドラえもん」パターンを踏襲しているだけに、この辺りで個性を出せない弱さがあって短命に終わったのでしょうか。

でも、1話完結の連作で日常を描くものだから最終話らしき話で完結しない事も多々あるF作品の中で、これは「ステキなクリスマスプレゼント」できちんとしたラストを迎えます。
後半は帰れそうで帰れない展開が続いており、地球漂流時間も2年間を数えた頃、ついにドビンソンの両親が地球まで探しに来るのです!
あくまで子供であるドビンソンの、この作品における目的はポッド星にいるパパとママの元へ帰る事。家族を思ってホームシックになり、そのために材料の足らない地球でいろんな道具を作って努力していたのだから、長い漂流の果てついに再会する最終話は感動します。この最終話があるから「星人ドビンソン漂流記」が名作になったとも言えますね。また、一度はすれ違うかと思わせて…の、この盛り上げ方が上手いんです。
所で最初の頃にヤカンを見てママを思い出すシーンがありましたが、その時に回想するママの顔と実際に登場したママが別人のようなのはご愛嬌。全然ヤカンに似てなくて、ドビンソンと同じ土瓶型です。でもドビンソンが攻撃する時にプーッと蒸気を出す時は口が尖ってヤカンみたいになってたから、きっとママも同じでしょう。

ちなみに、初単行本化で同じく全2巻だったパワーコミックス(双葉社刊)だとタイトルに『星人』がなく、ただの「ドビンソン漂流記」
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さらに今年になってA5判で全1巻にて復刻された藤子・F・不二雄大全集(小学館刊)でも、タイトルは「ドビンソン漂流記」になっています。
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ロケットは前から作りかけていたんだ
どっちみち出かけるつもりだったんだよ
もう がまんできないんだよ 帰りたくて
きみにだってわかるだろ
当てもなしに待ってることが どんなにつらいことか



  1. 2011/12/08(木) 23:33:18|
  2. 藤子不二雄
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ブルース・リー生誕祭2011 ETERNAL LEGEND

宣伝するには遅くなりすぎましたが、今年もブルース・リー(BRUCE LEE)の誕生日である11月27日に合わせたイベントを六本木で開催しています。その名も
ブルース・リー生誕祭2011 ETERNAL LEGEND
と題し、シネマート六本木でリー映画の数々を上映中なのです。
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スクリーンで観れるブルース・リー特集…嬉しくてたまりませんねぇ。
今回は11月26日~12月9日という期間で、主要な主演映画5本…つまり「ドラゴン危機一発」「ドラゴン怒りの鉄拳」「ドラゴンへの道」「燃えよドラゴン(ディレクターズカット版)」「ブルース・リー死亡遊戯」を観れるわけです。

会場のシネマート六本木。
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個人的にここは4,5年前に、三池崇史監督で松田龍平、安藤政信、窪塚俊介らが出演の「46億年の恋」を観に来た時以来の訪問です!同作品は正木亜都(梶原一騎&真樹日佐夫)の「少年Aえれじぃ」を原作にした作品だったので、この突然の映画化に驚いて駆けつけた事が思い出されますが、当時も今も韓流が映画大好きな劇場ですね…
それはともかく、今回はブルース・リー映画をたっぷり上映してくれるのだから有難い事です。

ただしこの期間が私の個人的に物凄く忙しい時期に当たってしまい、さらに会場はあまり行きたくない六本木なのもあり行くのが遅くなってしまいました。
ブルース・リー誕生日当日(「ドラゴンへの道」「燃えよドラゴン」の二本立て!)も夜遅くまで仕事で…やっと行けたのが先日、12月3日ですよ。
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そう、そして観たのはロー・ウェイ監督の「ドラゴン危機一発」(唐山大兄/The Big Boss)。上記の5本で唯一劇場では観れていない作品でもあったので、これを選びました。

こちらは、特典としてプレゼントされた写真。他の作品でもそれぞれに合わせた場面写真が貰えたようです。
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一口に「ドラゴン危機一発」と書いても、あれは様々なバージョンがあります。これを読んでる貴方も、きっとどの版だったのか気になっているでしょう。それを確かめに、入場しますか。
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・・・はい、答えは『広東語版』でした。

つまりオリジナルでも日本初公開版でも、まして他のレアなのでもなく…1980年代のリバイバル公開時に他の作品からサンプリングした怪鳥音を付け加えて制作された物(この時はまだリーも怪鳥音出してませんでしたからね)でした。うーん、私からしたら羨ましすぎる存在であるリアルタイムファン、第1次ブルース・リー世代とか呼ばれる人々からこの編集が許せないと、憎まれているバージョンですよ。母のペンダントを出す度にオルゴール音が流れる、あれです。
しかしこれはこれで、何とBGMにキング・クリムゾンやピンク・フロイドの名曲が盗用されているのでプログレ好きには嬉しいし、そもそも私にとっては10代で初めて観て、そしてその後何度も繰り返し観た「ドラゴン危機一発」が、これだったのです。

ストーリーなどについてはここで語る事もないでしょう。まだブルース・リーがこのような大スターになるなんて誰にも分からなかった時代、香港に凱旋(?)帰国してから1本目なのでチープすぎる部分が勿体無いのはありますが、もうリーが出てくるとスクリーンがキラキラと輝きだすんですよね…正に彼を撮るために作られた映画としか思えません。
上記のようなわけで何十回も観た映画の同バージョンをまた観たというだけなのですが、やはり劇場の大スクリーンはでかいテレビのクリアな映像で観る、なんてのとは雲泥の差。しかも今回のプログラム中で「燃えよドラゴン」以外は全部デジタル上映との事で、ちゃんと映像は綺麗。行って良かった、うん。

ちなみに劇場前では日本公開時のポスター展をやってましたよ!
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いいねいいねー。
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興奮興奮…
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ロビーでは今回のブルース・リー生誕祭用に、特製オフィシャルポスターなども製作して販売してました。
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さらに…昨年の生誕70周年記念で『奇蹟のブルース・リー展』に行った模様は「ココ」でお伝えしましたが、あの時に作成・販売された公式デジタルフォトフレームやオフシャルTシャツ、写真セットなども特価販売さてもいました。つまりあの時売れ残ったのか…
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今回私が行ったシネマート六本木では12月9日までともうあと数日しかなくなりましたが、まだ行けるかな…
その後、来年早々には大阪でも『ブルース・リー生誕祭2012 ETERNAL LEGEND』が始まる予定です!
シネマート心斎橋で1月2日~20日まで開催との事ですので、関西の方々はラッキーですね!
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ちゃんとブルース・リー映画の話をしたくなってきましたが、我慢して今夜はこれまで。劇場にも行けないので、家でDVDにてリー映画鑑賞します。

  1. 2011/12/04(日) 23:02:14|
  2. 映画、音楽、将棋、等
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藤子不二雄(53) 「キテレツ大百科」

藤子不二雄先生の「キテレツ大百科」(小学館刊)を紹介しましょう。
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二人の藤子不二雄のうち藤子・F・不二雄側の作品で、お得意の生活SFギャグ漫画です。
初出はこどもの光(家の光協会刊)で1974年から1977年まで。藤子先生はこの前に「ドビンソン漂流記」も連載していましたが、はい、この掲載誌を知っている方はいますか?あまりいないでしょうね…それもそのはず、発行元は農協(JA)系の団体であり、一般書店には置いてなかったのです。
しかも連載中は単行本化すらされずにマイナー作品だった「キテレツ大百科」ですが、連載終了した1977年にてんとう虫コミックスより全3巻で発行され、さらに10年以上が経った後のテレビアニメ化したのが長寿番組となり、今では「ドラえもん」に続くF先生の有名作となっています。その最初の主題歌がヒロインのみよちゃん目線で歌われる名曲「お嫁さんになってあげないゾ」…歌うは守谷香で、この全然知らない歌手がまさか後にXのヴォーカル・TOSHIの洗脳妻として騒がれる事になる人物だとは、この時に誰が想像出来たでしょうか!?
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アニメ版はさておき、漫画が連載されたのは全40回で、おなじみのてんとう虫コミックスでは各巻11話の収録。つまり選集の体であり、未収録分が7話存在するのですが、その後何度も再出版されるうちに簡単に全話読めるようになりました。
お話は…これももう「ドラえもん」と同じくらい説明の必要無しですか?

キテレツこと木手英一は発明好きの小学生。発明の方は何度も何度も失敗を重ねてばかりですが、先祖にはキテレツ斎という本物の天才発明家がいたらしく、世界で最初の飛行機なんかも発明しています!しかし江戸時代末期の事でもあり、怪しげな術で世の中を騒がせた罪で投獄されて死ぬまで座敷牢に閉じ込められ、しかもしまいには気ちがいになったという事です…
そのキテレツ斎が密かに書き残した書物が全四巻の"奇天烈大百科"。でもこれはそのページを見てもまっ白。キテレツのパパ(たらこ唇)は『気が狂ってからのものだろう』なんて笑ってましたが、実はもう一つ残された"神通鏡"というメガネをかけて見るとあら不思議、見えない光を出すインクを使って大百科に書かれていた文字や絵が読めるようになりました!

それから毎話、奇天烈大百科に載っている発明道具を作る事となるのです。その第一号が『からくり人間製法』のページを参考にとして作り上げたロボットのコロ助!ゴムマリで作った頭の持ち主・コロ助が感情を持ち、登場した第1話目から最終話までキテレツの助手として毎回出る準主役になりました。
藤子F先生の初期作品「てぶくろてっちゃん」で作られるゴロちゃんというロボットがキャラクター元になっているとも言われていますが、このコロ助が愛らしいだけで私にとって「キテレツ大百科」が不動のフェイバリット作品になっているのです。コロ助は両目が斜視なのが可愛い要素の一つなのですが、アニメ版ではTV局に差別描写だとか抗議が来るのを恐れたのか、視線が合うように修正されていましたね。
頭のゴムマリのみならず風呂おけやらの有り合わせ材料で作られたコロ助は、後にゆでたまご先生が生んだ「SCRAP三太夫」の粗大ゴミロボット・三太夫の誕生に影響を与えていると思います。ちなみにコロ助は語尾に『ナリ』をつけて話すのに対し、三太夫は『ゴワス』を付けていました。

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ひみつ道具=発明道具
ドラえもん=コロ助
のび太=キテレツ
ジャイアン=ブタゴリラ
スネ夫=トンガリ
しずかちゃん=みよちゃん

…というわけで、やはり「ドラえもん」とキャラクターそれぞれや話の展開まで似ているので誰でも比較してしまうと思いますが、違っている部分で目立つのはキテレツ=のび太と、ドラえもん=コロ助のキャラ設定でしょうか。
まずキテレツはサンバイザーと神通鏡を取るとのび太そっくりでもありますが、イジメられっ子ではないしF作品全般を見ても珍しい、秀才な少年主人公です。代わりにコロ助がドラえもんのように役立つわけではなく、むしろドジやって余計な騒動を起こす役割になっています。
他にもみよちゃんはしずかちゃんのようにお色気シーンを披露してくれない(かろうじて水着あり)とかの悔しい相違点はありますが、だいたい同じでしょう。要するに毎回一つの道具とそれに絡む人間模様を描く連作短編モノで、単純に可笑しい話あり、犯罪に巻き込まれるスリルある話あり、そしてジーンとするいい話あり…

そういえば「超鈍速ジェット機」の回で、顔はのび太そのままの男が学生服着て女子なんか連れちゃって(しずかちゃんではない)キテレツの発明道具でデートしているのですが、少年時代の私はこれでハッとのび太には色々な未来の選択肢があるはずなんだと気付いた覚えがありますね。あくまで「ドラえもん」の『現代』は基本的に小学生時代であり、むしろ普通の人はその後で自立して色んな人と出会って成長し、人生が始まるのだから。

「片道タイムマシン」の回では、航時機で過去へ旅立ったキテレツとコロ助が1857年(発表当時120年前)から帰れなくなって2ヶ月も大変な暮らしをしていた作中最大のピンチに、キテレツ斎に出会って航時機を修理してもらい現代に帰る話がありました。ここでF作品らしいタイムパラドックスが発生するのですが、毎度この手の問題は真面目に考えると頭が痛くなります。

発明品を作り始めると集中力が高まって周りが見えなくなるキテレツの、というかキテレツ斎が考えてキテレツが工作して完成する発明道具を、もっと見たかった。そしてコロ助をもっともっと見たかった。全3巻では短すぎるんですよね。
ちなみに発明道具は毎話新しい物が出るので、普通一度しか登場しないのですが…例外として毎度毎度出てくるのがコロ助でもあります。そう彼も発明道具ですが、それより大事な友達でもありますね。何度も書くようですがメチャクチャ可愛いコロ助を、キテレツは決して可愛がりはしないのですけどね。やはりペットではなく友達だからか、発明道具だからか。
私はドラえもんを可愛いと思った事は無いと思いますが、コロ助は何でこんなに可愛いのでしょうかね。食べ物の大好物もドラえもんは私が嫌いなドラ焼き、コロ助は私も大好きなコロッケです。

最終話で奇天烈大百科はママがゴミとして捨ててしまいます。
このように子供の宝物を大人が自分目線で勝手に扱う事には、怒りを覚えますが、この後ちゃんと取り返す事が出来るのか…最後の展開も必読でしょう。


なんていやらしい発明でしょう。
キテレツじゃなくてオゲレツだわ!



  1. 2011/12/02(金) 23:32:04|
  2. 藤子不二雄
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Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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