大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(105) 丸尾末広 10 「ナショナルキッド」「新・ナショナルキッド」

丸尾末広作品紹介、続いては「ナショナルキッド」(青林堂刊)、及び「新・ナショナルキッド」(青林工藝舎刊)。
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↑画像左「ナショナルキッド」は1989年に出た作品集で、右は10年後の1999年に再編集して出た「新・ナショナルキッド」になります。

今度は単行本タイトルに1960年代の特撮ヒーロー名を持ってきた短編集ですが、丸尾末広先生のレトロな作風とよく合っています。
「丸尾地獄」の翌年に出た本で、また「丸尾地獄」は限定本の一般普及向けでないベスト選集だったので、先にそちらで収録された作品も多くあります。
色付きだった「へび少年」「カルネドール(金の手帳)」の2作がモノクロになり、あとは「死よバンザイ」遠藤ミチロウさまの文章抜きで収録、他に「眠り男」「SOSボーイ」「さらば昭和」「びっくりホフマン」がかぶっています。

この単行本化で初めて収録された作品を、「ナショナルキッド」の方から見ていきましょう。まずはオールカラーのオープニング4ページがあり…
1989年の「少年画報」はメンコ強い少年が、両親の寝床で繰り広げられるSMプレイや映画館で中川信夫監督の怪奇映画「地獄」を観てトラウマになる話。赤が強調された2色カラーで収録。

1989年の「高校三年生」
「へび少年」と同じく舟木くん(舟木一夫似)とちえこちゃん(松原智恵子似)の青春モノで、ペニスが二本ある事を悩む舟木くんでした。

1989年の「蛇苺」「蛇苺2」「蛇苺3」
これは清純な少女・山口さん(山口百恵似)が裏で悪質なイタズラを繰り返す話の連作。盲人に足をかけて転ばしたり幼児を叩いたり、学校でのイタズラから自殺者を出したりもして、全然痛快じゃないのですが…明るく走る山口さんでした。

1989年の「ジョイ・ディビジョン」
ナチスとユダヤ人の変態プレイ。「パラノイア・スター」」(河出書房新社刊)収録の「意志の勝利」ではセリフでジョイ・ディヴィジョンという単語が出ましたが、ボーカリストであるイアン・カーティスの自殺によって解散した(残りのメンバーであのニュー・オーダーを結成しますが)、同名のポストパンク・バンドを好きなのでしょうね。本来の意味は、ナチス・ドイツの強制収容所内にあった慰安所の名称です。

1989年の「農林一号」
ある夫婦と下男下女を巻き込んだ変態プレイ。

1988年の「BAD」
マイケル・ジャクソン(黒人の時)が日本の学生になっていて、バットで他人の頭をかちわったあげくに自滅して頭が破裂する2ページ漫画。

1988年の「長崎県南高来郡西有家町慈恩寺」
実在した地名を使ったタイトルですが、少年時代の著者が人魂を見た時の事を描いた1ページ漫画。同様の内容を活字ページでも1ページ使って語られています。

1988年の「とっても恐い」
道端に人体のかけらが次々と落ちていてそれは…自分の体のものだった、という話。丸尾末広先生も愛した楳図かずお先生の「楳図かずおの呪い」より『第3話/幽霊屋敷』が元ネタかな?とはいえ見所は、丸尾絵によるグロテスク描写でしょう。

そして、「ブルース・リー 李小龍の栄光と孤独」(晶文社刊)の著者、四方田犬彦さまによる解説を収録して「ナショナルキッド」は幕を閉じます。
ここで収録されているような1980年代後半の作品ともなると、丸尾作品も初期の陰鬱さがすっかり影を潜めて明るくなっているのが目立ちます。

続く単行本「新・ナショナルキッド」。これは私、サイン本も入手していますが…
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ここでされている再編集が微妙なもので、「パラノイア・スター」から「電気蟻 吾が分裂の華咲く時」「SŌJIN」「贋作・電気蟻」「日本人の惑星」の4編を持ってきて再録しています。で、代わりにオープニングページと「SOSボーイ」「びっくりホフマン」は削除。
もちろん四方田さまの解説も削除し、他に特筆すべきは巻頭に「さらば昭和」を持ってきて色を付けてるくらいですかね。「パラノイア・スター」を持っている人には、どうでもいい再編集でした。


そうです 性欲は人種差別の根源です
もっと私を差別して!
ねえ総領(フューラー) 人類ってこんなに不平等よお!!



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  1. 2013/02/28(木) 23:59:11|
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月刊漫画ガロ(104) 永島慎二 20 「ある道化師の一日」

永島慎二先生の遺稿集、「ある道化師の一日」を入手したので紹介しましょう。
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これは限定わずか500部だけ刷られた非売品のレア本。↑画像の左は外函、右は本体の表紙です。後に再編集して、小学館クリエイティブから普及版も上梓されました。

まずどうしても読みたかったのが表題作で6ページの短編「ある道化師の一日」で、これは永島慎二先生が1999年に描き、それから2005年に亡くなるまで漫画は描いていないので生涯最後の漫画作品となりました。
その内容は…あるおじいちゃんが道化のメイクをして宣伝ピエロの仕事に出かけ、また帰ってお酒飲んで寝る、普通の一日を描いた作品。家族は無く一人暮らしで愛犬と共に生活しているようですが、このおじいちゃんはどんな半生を送ってきた人なのだろうか。物悲しさが心に沁みます。

そもそも永島慎二先生は一番好きなキャラクターが道化師(ピエロ)だった事はよく知られていますが、2000年に書かれた同じく「ある道化師の一日」と題した文章が最初の方に収録されており、そこで『なぜピエロか?』という事に触れられているのが興味深い。あのフランス映画「天井桟敷の人々」の『白い男』との関わりが書かれています。
知らなかった…そう、私も永島作品を熱心に愛読してきた口ですが、知らなかったエピソードなども満載の本で、年表や写真付きの貴重な資料としても役立ちます。

巻頭カラーページで憧れの手塚治虫先生の事、油絵も多数載せていて、目次以降はエッセイ、日記に手紙、趣味に関して語る部分も重視されていて、パイプコレクションや自作の将棋駒などについても、語られています。絵物語は「めいちゃんのひみつ」「せんたくもの」、漫画は他に1996年に描かれた「別れの詩」など。

私家版である事が信じられない素晴らしい本です。
そして私は集めてきた永島慎二作品の隣にこの本を収納し、恐らくは最後の永島慎二本になる…これをコレクションに加えた事で満足感を得たのと同時に、もう増えない事は悲しい事実。


やっぱり忘れてたンだね・・・・
君が最初にくれたラブレターに書いてあった、立原道造の詩
「ゆふすげびと」の一節じゃなかったの・・・・
さようなら・・・元気でね



  1. 2013/02/26(火) 23:59:11|
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旅行・紀行・街(134) 岐阜県岐阜市 1 各務原市 1

先日は経由した愛知県名古屋市での短い滞在記を載せましたが、東海旅行はまだ始まったばかり。
続けては岐阜県岐阜市です。
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見えてきたJR岐阜駅北口前広場には、キラキラと輝くものが立っている…
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金色の織田信長の像です!
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でも…あれ、名古屋じゃなくて岐阜県で信長!?
まぁ出身でなくとも征服した地ではあるし、岐阜といえばの金華山。その山頂の岐阜城にも居たという事で、良いのでしょう。そして美濃の国主・斎藤道三の像を建てるのは、きっと知名度の問題で却下されたのでしょうね。
美濃のマムシこと道三も、有名な司馬遼太郎の小説「国盗り物語」、そして…お分かりでしょう、こんなブログやってる私にとっては梶原一騎原作・小山春夫画による劇画作品「陽気蝮 乱世の梟雄 斎藤道三伝」(講談社刊)でしょう。つまりこの美濃(岐阜)も、梶原漫画の舞台!

そんなわけで残念ながら道三じゃなく信長がいるJR岐阜駅前、ここは『信長ゆめ広場』と言うそうですが、何やら大賑わい。
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『長良川まんぱく2013』なるイベントが開催されていました!
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しかも、私がたまたま行った2月9日はオープニングイベントの開催日だったらしく、まずゆるキャラ達がいます。まずはナッチョルくんと、もう一匹。
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こいつは…誰?
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私もみうらじゅん先生の「ゆるキャラ大図鑑」(扶桑社刊)は当時買って面白がってましたが、
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ゆるキャラがここまでどんどん誕生して乱立している現在、全て把握している人がいるなら尊敬しちゃいますね。

のぶさま。は、織田信長をモチーフにしているのでしょうが、武将を必要としないこの現代では商人にまで落として長良川サイダーを一生懸命アピールしてました。
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長良川再生プロジェクトなる活動をしているらしく、
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もうビール飲んでたからサイダーなんかいらないと思いつつ私も購入。これで長良川再生の一翼を担ったと思えば、いいじゃないですか。嗚呼、こんな事わざわざ書いてる偽善的な自分が嫌になりました。
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あと、みの千寿菜
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そして楽しみは、出店による飲食物。このように色々な店が出店していまして、
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テレビの取材も来ていました。この美人レポーター、東海地方では有名な人かな?
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美人レポーターが食べていたのは"関からあげ学会"の黒からあげですが、ここは行列になっていたので食べるの諦めました。

ラーメンも"麺屋 白神"という地元の人気店が来てましたが、やはり長蛇の列。
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私が頂いたのはまず、"GIFU ZERO"のイノシカレー。猪と鹿の肉が入ったカレーです!
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続いて"元祖みたけとんちゃん"のモツ焼き、
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"鶏ちゃん合衆国"の、カレー鶏ちゃん。
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郡山高校とコラボして商品化もしているそうです。
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で、信長に見下されながら呑んだこの会場とはお別れ。
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続いては、岐阜で最も高い"岐阜シティ・タワー43"の展望室へ。
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中央に先ほどまでいた『信長ゆめ広場』も見えます。
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岐阜市の町並み。
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金華山のてっぺんに見えるのが…
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岐阜城。
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ここは、次に訪れた時にでも行ってみます。
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前回書きましたがつボイノリオさまが生まれ育った愛知県一宮市、その『ツインアーチ138』も見えました!
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つぼイノリオさまは父親が岐阜県出身で、初期に岐阜放送でラジオやってるし、その名への改名を勧めたのも岐阜のファンだしで、実は岐阜県ともなじみが深いのです。

金華山をイメージした円すい型の噴水。
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通りには小清水漸(Susumu Koshimizu)氏の作品『金華山の月』もありました。
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さて岐阜市のマンホールは、これこそが岐阜県のシンボルでもありますか…長良川鵜飼。
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ああーっ!"SUGAKIYA"(スガキヤ)がある!!先日書いたように今回の名古屋では行けなかったのでここで見つけて嬉しい。さすが東海地方!
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しかし…営業時間が短かったようで、飲み帰りの〆に利用しようと思ったら早々と閉店されてました。

ともかく岐阜市の夜、当然飲み屋さんを巡って現地の美味い物を喰いに出かけるわけですが、観光案内所が親切に居酒屋情報を教えてくれました。さらに案内してくれた岐阜美人。
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"浜焼き酒場 てんてん"。キョンシー映画が好きだったBRUCE少年の、美少女道士テンテンちゃんに対する恋心が思い出される屋号でした。
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東海地方は寒いので、震えながら入店して最初に飲んだ熱燗…それも岐阜の地酒がグッド。そしてハイボール。
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今夜のメインは七輪焼豪快盛です!ジャーン!
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(後ろに「北斗の拳」「20世紀少年」を利用したチラシが見えます)

他に漬物や、鮪のカマ焼き、長崎サザエ等。
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岐阜は魚介が美味い…って、岐阜県に海ありましたっけ!?
まぁ、例えば東京の高級店で食べる魚介類も、東京湾で取れた魚じゃないでしょうからね。

友人が美味いからと案内してくれた"餃子専門店 岐州"は入れず、
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次は"堀蔵"へ。
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上品なお店だったので、ワイン呑みながら湯豆腐、
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鶏つくねのとろーりチーズ カレースパイス、そして名古屋めしもアレンジして出しているとの事で。"辛"ドテ串カツ。
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岐阜市での宿泊は、"ホテルイルクレド岐阜"でした。
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前夜に引き続き、つボイノリオさまの自叙伝「つボイ正伝 『金太の大冒険』の大冒険」(扶桑社刊)。同じ本でも、東海地方で読むのが良いですね。
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部屋お窓からの景色。
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ホテルの下、1階部分には何と2011年の名古屋旅行時に見つけて気になってたお店、"宮本むなし"があったので、迷わず入店!宮本武蔵パロディの屋号ですが、特にゆかりの地でもないのがまた凄い。
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ハイボールとカキフライ、
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豆腐チゲ鍋。
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さて岐阜県ではもう一箇所、各務原市(何と『かかみがはらし』と読む!)にも行ってきました!
「クロサギ」の作画担当している漫画家・黒丸先生が当地の出身だそうです。
名鉄各務原線の三柿野駅に降り立ち…
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まずは、航空自衛隊岐阜基地を査察です。
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基地内の飛行場。ここが現存する日本最古の飛行場なのだとか!?
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国防を考える上では間違いなく最重要機関としての役割を担っている自衛隊。彼らの訓練如何で国民の生命に関わるので、しっかり注意して監視しなければなりません。
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…と、こんなブログやってると漫画ばかり読んでるバカだと思われるのでたまには真面目な事も言ってみますが、うちの秘密結社員に現役自衛官の偉い人がいるから入れてもらい、キャッキャキャッキャと騒いできただけである。
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お、事務所には暴力反対ビラが貼ってあります。
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体罰が原因で自殺する学生なんかが問題になって最近ようやく変わってきた感じもしますが、未だに体罰を肯定するゴミクズ野郎が多すぎる。暴力がまかり通りそうな自衛隊でこそ率先して厳しくすべきである。このビラがどれだけ効果あるかは分かりませんが、とりあえず取り組む姿勢としてマル。

置いていた自衛官募集の冊子ですが、彼女のついでに隊員を募集しているのか!こんなユーモアもあるんですね。
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ちなみに岐阜県(及び愛知県)ではベトコンラーメンなるご当地グルメがあり、その開発店である"新京"へ行ってみましたが、中休みを取っている時間だったために食べれず。
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ラーメンのネーミングで南ベトナム解放民族戦線を使うのは、さすがに盲点でした。

続いて、この壁沿いを歩くと…
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"かかみがはら航空宇宙科学博物館"
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『航空』『宇宙』『科学』な博物館って、もう少年達の夢を体現しているような名前ですよね。
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まずは室外展示機で、SA316BアルエットⅢ型ヘリコプター、
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KV-107ⅡA-4輸送ヘリコプター、
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US-1A救難飛行艇、
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そして…YS-11A-500R中型輸送機!
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ここまでは無料で入れて遊べるのですが、館内に入るには…
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入場料が800円。
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そしてここ、松本零士先生が名誉館長を務めています。
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2階にもパネルがあって…でもまぁ特に松本零士デザインの何かがあるとかでもなく、こんなもんでした。
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「宇宙戦艦ヤマト」「銀河鉄道999」などの現在にも続く凄い人気を考えれば、もうちょっと名誉館長の名を使ってアピールした方がいいのではないでしょうか。キャプテンハーロックの蝋人形でも立たせて、どでかい宇宙戦艦ヤマトでも再現して製作したらどうでしょう、きっと全国からファンが押しかけると思いますが。

写真の乙式一型偵察記(サルムソン2A-2)に始まり、様々な展示を見てから格納庫へと進み…
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STOL実験機・飛鳥!
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かっちょいい、UF-XS実験飛行艇。
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パイロットスーツを試着して、T-3初等練習機と記念撮影。
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こちらは1910年に日野熊蔵大尉が日本で初めて飛行(非公式)したハンス・グラーデ機。
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スタジオジブリのアニメ映画「魔女の宅急便」でトンボとキキが飛んだ人力飛行機と変わらないようなレベルに見えますが…空を飛ぶ事への夢を実現する可能性が出てきた、この時代が一番楽しそうですね。

『愛・地球博』アメリカ館での展示がここに移設してあったり、
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宇宙開発関係の展示も多々ありまして、米NASAの実大宇宙服模型など。
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マスコットキャラクターのプルルで今夜はお別れ。
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今回は東海3県全て回っているので残りもう1県…三重県紀行も、またいつか載せようと思います。


  1. 2013/02/24(日) 23:59:59|
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旅行・紀行・街(133) 愛知県名古屋市 2

次なる旅は愛知県名古屋市
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「ココ」で観光しまくってから2年弱…わりと早い再訪となりましたが、今回は東海地方の他の地が目的地であり、名古屋市は経由しただけなのが正直な所。それでも前回見れなかった所をおさえたりもしているので、少しずつでも私の中の名古屋情報を補完して行こうと思います。

今回は新幹線を使わず、グレースライナーなる高速バスで6時間、新宿からわずか三千円の往路でした。
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到着は名古屋市を代表する繁華街、栄(さかえ)!また帰ってきましたよ!
懐かしい"サンシャイン栄"の観覧車。
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名古屋市マンホールは、これは中央の絵が名古屋市章で、名古屋港・宮の渡し・テレビ塔・東山動物園・名古屋国際会議場で囲んでいるデザイン。
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こちらは消火栓の蓋ですが、名古屋城・金の鯱を描いています。
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やっぱり分からないのがコレで、名古屋ではこういう虫を食べるとかあるのだろうか…もう分からないからインターネットで調べてしまいましたが、下水道局のシンボルマークであるアメンボ君なのだとか。ふーん。
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ところで名古屋でミュージシャンといえば、メタラーならばOUTRAGE(アウトレイジ)とかBELLFAST(ベルファスト)、パンクスならばTHE STAR CLUBとか原爆オナニーズの名前が必ず出るのでしょうが…
私の中ではこの方・つボイノリオさま。郷土愛に満ち溢れた方ですからね。
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(これは前回も載せたアルバム「あっ超~」より、別の画像)

その中にも入っている名曲「名古屋はええよ!やっとかめ」が真っ先に思い出されますが、
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あの歌詞を基にして観光・飲食すれば基本編としては間違いないでしょう。で、その中に
『ナ・ゴ・ヤはええて メルサがあるがね』
という部分。メルサって何!?というのが10数年来の疑問だったのですが、答えはこれ。
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名鉄グループのデパートだか百貨店だかの名称でした。多分東海地方の方々は誰でも知っているのでしょうが、遠くに住み百貨店に興味も無い私は全然聞いた事が無かった。今は東京都の銀座でも見つけてます。

お、これも歌詞に出る、サカエチカ。栄の地下街ですが、凄い広さですよ。
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制限時間と胃袋の許す限り名古屋めしも食べようと思って行きましたが、まずは…
前回は食べられなくて、カップ麺での画像だけ載せた"若鯱家"で、
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名物カレーうどん。
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ここで東海地方に住む秘密結社員と合流し、"昭和レトロ居酒屋 酒蔵館"
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竹張りのエレベーターで3階席へ昇り…
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ビールにハイボール、
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麻婆豆腐に鉄板ナポリタン、
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そして、くじら串揚げ。
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『錦三』こと錦三丁目へ行き、"名古屋大酒場 だるま"
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生ビールが『イケメンジョッキ』なる1リットルの男前仕様があったので、それを注文。
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普通のジョッキと比べたら、これだけ大きさが違います。
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名古屋めしは…まず味噌カツ、
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鉄板ナポリタン、
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これも名古屋の新名物だという事で、牛ホルのづけ串、
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えびふりゃあ。
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前回も行った店で、唯一再訪したのが"やぶ屋 錦三店"。帰ってきました、やぶ屋!うん、懐かしい。
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朝までやっているので、まだまだ呑めます。
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ここでまた名古屋めしを色々喰うべく注文したのが…
やぶ屋名物手羽揚、あんかけスパゲティー、
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他。
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名古屋一の歓楽街であるこの錦三は、呼び込みかけられる数が新宿の歌舞伎町を超えますね。そんな風俗店がひしめく街の入口辺りには、精力剤を大々的に売る店があり!
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名古屋は何でも揃う大都会で道も広いのに、どこも全般的に人が少なくて良いですよ。
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東京と比べれば当たり前かもしれませんが…とにかく東京は施設や物資の集中は素晴らしいけど、いくらなんでも人が多すぎる。私の故郷なんかは人がいないけど何にも無さ過ぎる。つまり名古屋が理想の規模と人口のような気がします。

宿泊は、"ユニゾイン名古屋栄東"(旧:チサンイン名古屋栄)。この日は短時間の睡眠が取れればいいだけ、というわけで素泊まりで安いホテルをおさえました。
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今回の旅の友は、やはりつボイノリオさまの自叙伝「つボイ正伝 『金太の大冒険』の大冒険」(扶桑社刊)でした。
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最後は「吉田松陰物語」を聴いて歴史の勉強をしながら眠りにつきました。
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そういえばつボイノリオさまは愛知県一宮市で生まれ育っているので、電車の移動中に一宮駅で停車した時は興奮を隠せませんでした。「一宮の夜」の舞台である一宮市を、私は今通過している~~と!
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こちらは、一宮市で車窓から見えた『ツインアーチ138』。
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そういえば、ホテルで飲む酒を買いに行ったコンビニで、当たり前のように寿がきや(スガキヤ)の名古屋名物みそ煮込うどんが売っていたのはさすが。
こちらはタテ型の小さなタイプで、
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こちらは大きなサイズ。
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店舗の"SUGAKIYA"(スガキヤ)には行けなかったので、これらを自分用のお土産に購入して帰りました。
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あとは定番の、ういろう(豆乳入り長寿ういろ)。
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みうらじゅん先生は「郷土LOVE」(スコラマガジン刊)で、
『愛知県は愛を知ると書きます。ラブ・アンド・ピース、愛を知る、つまり、メイクラブですよね?五穀豊穣ですよね?』
『愛を知り、愛を教えてあげるんだと言った県、それが愛知県なんです。』
等々と仰ってましたが、愛を無くして困っている私…もっと愛知県を知りたい!

翌朝、喫茶好き名古屋のモーニング文化を楽しむべくカフェへ。といっても駅内の改札前にあったので適当に入っただけの"アインス"ですが、
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ドリンクを注文すると、トースト&ゆで卵がサービスで付きました。中にはもっと大量のすごいサービスが出てくる店もあって、名古屋ではドリンクの方がサービスじゃないのか、とまで言われていますね。

やはり目立つ奇抜なビル、"モード学園スパイラルタワーズ"。ねじれてます…
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名鉄百貨店ヤング館前の歩道。あそこに見えるのは…
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そう、前回の名古屋旅行時点では知らずにいて、東京で名古屋出身の秘密結社員に『おきゃあせなも~~っ!おみゃぁ~名古屋に行ってナナちゃんを見てないにゃんてとろくせゃあ。ガンダムくらいの、めっちゃんこ大きい名物女子がいるんだがや!』とかって言われたもんで、今回一番見たかったのはこの女子、ナナちゃん
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色々な服を持っているそうで、イベントに合わせてとか常時着替えている特大着せ替え人形でした。

こちらは、栄の久屋大通公園にある噴水…
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希望の泉。
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昼間の、希望の泉。プロ野球で中日ドラゴンズが優勝を決めるとこの泉にダイブする奴が絶えないそうで、つまり大阪の阪神タイガースファンで言う道頓堀川みたいなシンボルでしょうか。
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その向こうに見えるのが、名古屋市民の誇り…名古屋テレビ塔!
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はい、最初にも書いたようなわけで今回の名古屋市は通過しただけと言った方が的確な、睡眠時間以外ではわずか10時間にも満たない滞在でした。そして東海旅行、次なる目的地の岐阜県へと続きます。


  1. 2013/02/22(金) 22:22:22|
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月刊漫画ガロ(103) 丸尾末広 9 「丸尾地獄」

丸尾末広作品紹介、続いては「丸尾地獄」(青林堂刊)。
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年代順で追えば丸尾末広先生の次なる単行本は、1988年に上梓されたこの「丸尾地獄」になります。
これは限定千部で函入りの豪華仕様にて発行された作品で、新作のみの通常単行本ではなくてデビュー以来全ての作品から選ばれたベスト短編集。↑画像の左は外函、右は本体の表紙です。

限定本なのでシリアルナンバーが付いていて、さらに付録として4枚ポストカードが同封されていました。
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さらにA5判と大きいのもポイントで、この妖艶で緻密な作画世界を充分に堪能できるでしょう。
まぁ収録作品は既刊の物がほとんどなので、物足りなさは残るかもしれませんが…当時はまだ他の単行本に収録されていなかった作品もありまして、まずオープニングのカラー4ページ。

そして1987年の「へび少年」
一夫くん(どう見ても舟木一夫)が『食べちゃいたいくらいに好き』な智恵子ちゃん(松原智恵子似)をバラバラにして食べちゃう話を明るく描いた作品。この後、単行本「ナショナルキッド」(青林堂刊)に収録される事にはなりますが、「丸尾地獄」版はオールカラーです。

1988年の「カルネドール(金の手帳)」
これは古賀次郎原作だそうです。私はその原作者を知りませんが…無残な死に方をしていく子供たちを描いた絵本(エドワード・ゴーリーの絵本「ギャシュリークラムのちびっ子たち」みたいだ)を読まされているみちお君と絵本作家のおじさんの話。これも「ナショナルキッド」に収録されますが、「丸尾地獄」版は2色カラーです。

自販機本が初出の「眠り男」
幼女を切り刻み目玉をくりぬく変態人殺しのおじさんと、眠り男の話。眠り男の風貌はやはり映画「カリガリ博士」のあいつですが、E.T.A.ホフマンの怪奇小説を元にしている風で不気味な雰囲気が良い。これも後に「ナショナルキッド」に収録されます。

1987年の「死よバンザイ」
遠藤ミチロウさまが主人公として登場している、ザ・スターリン好きな人にも絶対読んでもらいたい作品。福島県では学校一の秀才とうたわれた遠藤が、戦地では敵前逃亡して…その後で壮絶な死に方をする話。これも「ナショナルキッド」に収録されますが、「丸尾地獄」版は上部に「丸尾末広 ONLY・YOU」で丸尾末広先生に寄せた文章「オデッセイ (1985) キリシタン」が再録されています。

1986年の「SOSボーイ」
妊娠12年間の母親がいて生まれない弟を待つ少年は悪質ないじめを受け、12年間一発もなれない夫も…。胎児は不思議な力を持ち胎内から話しかけてくる、地獄の日々を描いた話。これも「ナショナルキッド」に収録されます。

1988年の「さらば昭和」
明治・大正・昭和の三兄弟には妊娠40年の母親がいて、つまり弟の誕生を40年間も待っているが…という話。これも「ナショナルキッド」に収録されます。

そして唯一この「丸尾地獄」が初出である「びっくりホフマン」
変装の名人であるホフマン達がある事件を解決する、珍しい少年漫画。これも「ナショナルキッド」に収録されます。

他の単行本で既に収録されていた作品の再録は、以下の通りです。

「薔薇色ノ怪物」から、「少女椿」「カリガリ博士復活」「リボンの騎士」「下男の習性」
「夢のQ-SAKU」から、「腐ッタ夜・エディプスの黒い鳥」「童貞厠之介・パラダイス」「せんずり千太」
「DDT 僕、耳なし芳一です」から、「APPARITION」「僕の少年時代」「最モ臭イ遊戯」

花輪和一先生が寄せた文章「天才のお言葉 花輪が書いた」も収録されていますが、これも「丸尾末広 ONLY・YOU」の再録。
相当なプレミアが付く事となった限定本ですが、つまり今やどれも内容自体は他で読めるのです。オープニングのカラー4ページだけは他では見れないかな?
しかも、2001年に青林堂から新装版として「丸尾地獄」自体を復刻したものだから、高額でオリジナル本を入手した私にとっては酷い話。表紙も内容も全く同じなので、今回は新装版の画像は載せなくていいでしょう。微妙に違っているのが、花輪先生の文章ページと目次ページ。共に見開きのイラストが使われているのですが、これ差し替えられています。函やポストカードなども付いてないし、サイズもA5判と小さくなっているので、やはり違うとは言えますか…

こちらは洋書で見つけた、「ULTRA GASH INFERNO」
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ちょっとタイトル違うけどINFERNOが付いてるので「丸尾地獄」の事かと思い買ってみたら、また違った選び方のベスト短編集みたいなものでした。もちろん、セリフは全て英語。
収録内容は、「腐ッタ夜」「童貞厠之助」「地獄の一季節」「ウンコスープの作り方」「せんずり千太」「腐ッタ夜・エディプスの黒い鳥」「童貞厠之助・パラダイス」「屋根裏の哲学者」「無抵抗都市」の9編。ラスト2編は1990年代の作品です。


ほうれ つぶれるぞう~~
脳ミソがグッチョングッチョンに飛びちるぞ~っ



  1. 2013/02/20(水) 23:26:35|
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月刊漫画ガロ(102) 丸尾末広 8 「パラノイア・スター」

丸尾末広作品紹介、続いては「パラノイア・スター」(河出書房新社刊)。
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丸尾末広先生が単行本としては初めて青林堂以外から上梓した短編集で、1986年発行。
持ち前のグロい表現も多めですが、この時期はサイバーパンク的でオシャレすぎる作品を描いていて、読者は選ぶでしょうが正に名作漫画です!

まず本編で使われている絵をピックアップしてカラーページにし、詩を付けて構成したオープニング。
それから「SŌJIN」
1930年代の上海を舞台にした、あるダイアモンド(賢者の石?)を巡る話です。ちなみにこの単行本にはそれぞれに『この作品にふさわしいBGM』が指定されていて、丸尾先生の聴く音楽のセンスも分かるのが嬉しい。この作品では、細野晴臣「グロビュール」です。

「電気蟻 吾が分裂の華咲く時」
先日「丸尾末広 ONLY・YOU」に載っている短編として触れましたが、あれにテレビのページ丸々5ページが追加されています。
『オマエハ馬鹿ダ!!ウスノロダ!!イツモ間ニアワナイ!!ナンニモデキナイ シタクナイ!!SEXダケハヤリタイ 人間ガキライダ!機械ガ好キダ!!機械ニナリタイダロウ!?頭ノ中ヲ サンドノイズガ、ザーザーザー!!』
の、重要な所が元々は無かったのです。逆に、削除ページもありますが…
この作品にふさわしいBGMは、DAF「愛と黄金」、早川義夫「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」です。

「贋作 電気蟻」
そうです、電気蟻には贋作も存在するのです!機械人間テーマのカッコいいSF。
この作品にふさわしいBGMは、ニューオーダー「ブルーマンディ」(原文ママ)、クラフト・ワーク「ショールーム・ダミー」(原文ママ)。

「意志の勝利」
タイトル通りナチス・ドイツ物。あの時代にドイツ人家庭で生まれた『けがらわしいユダヤ人の子供』、フリッツはナチス親衛隊のSSに入る事を夢見て、実際に戦地に行く。感情を表さず、命乞いして裸になる女性を『ここはジョイ・ディビジョンではない!!』の一言の元に撃ち殺し、性的興奮を覚える…
死体やナチスや「カリガリ博士」「心の不思議」「メトロポリス」といった映画など、写真を漫画に挿入する手法を使っていて、ラストの破滅が凄まじい。
この作品にふさわしいBGMも凄い、ノンフィクション・レコード「HITLER-JUGEND」

「保健室の吸血鬼」
これは何と活字作品で、自伝的な小説でしょうか。丸尾末広先生は漫画を見ていても分かる通り文章のセンスも良いので、もちろん面白い作品に仕上がっています。これだけ活字モノなので、この作品にふさわしいBGMはありません。

「日本人の惑星」
これは丸尾ファンと話すと大抵出てくる…つまり語り草になっているし、代表作と言える作品でしょう。
大東亜戦争における大日本帝国軍の真珠湾奇襲から始まり、日本軍の快進撃を描いた作品なのですが、あれれ、我々が習ってきた歴史的事実と違った方向に描かれています!
非戦闘員である一般市民を爆撃しまくり、悪魔の原爆を二つ市街に投下、降伏した国に降り立った兵士は家庭に押し入り母親を強姦・子供を振り回して撲殺、敵国の司令官を処刑…と、これら米軍がやっていた所業を逆転させ、全て日本軍に置き換えて描いた上で、
『戦争を知らない諸君 だまされてはいけない 日本は断じて敗戦国ではない 日本は今も世界最強の国家である』と結ぶ、痛快な歴史パロディ物。タイトルも「猿の惑星」のパロディになっていますが、あれも日本人をモデルにして立場の逆転を描いた作品と言われていますね。
この作品にふさわしいBGMは、ディスチャージ「ヒァナッシング、シーナッシング、セイナッシング」、伊藤久男「熱砂の誓い」

「玄牝」
『げんぴん』と読みます。これだけ高橋睦郎との合作で、笛吹き学生服の少年と、詩が書けなくなっている詩人のおじさんとの問答を描いています。少年のおかげで詩が書けたおじさんは、引き換えに『詩人の顔の皮』を持っていかれる…
横山まさみち先生が男根をオットセイ擬して描いていたのは知られていますが、ここでの丸尾先生は何と馬の頭で描き、そこから射精しています!
この作品にふさわしいBGMは、クルト・ワイル「三文オペラ」

最後はその高橋睦郎による解説「オナニー少年を追放しよう」が収録されて、この単行本は幕を閉じます。


ねえ、君 きっと僕達は死ぬんだね
死ぬ前ってだいたいこんなもんよ



  1. 2013/02/18(月) 23:00:39|
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月刊漫画ガロ(101) 丸尾末広 7 「丸尾末広 ONLY・YOU」

丸尾末広作品紹介、続いては「丸尾末広 ONLY・YOU」(東京おとなクラブ刊)。
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このカッコ良過ぎて痺れる表紙の本は、これは今まで紹介してきたような単行本とは違い1980年代のサブカルチャー誌『東京おとなクラブ』の増刊号として1985年に発行された特集本です。同増刊号としては、他に戸川純特集号も出ていて、そちらも入手したものでした。

「丸尾末広 ONLY・YOU」(丸尾末広・オンリーユー)…その内容は、まず谷中墓地で撮られた恐らくは劇団・東京グランギニョル時代の怪しい写真に始まり、清雲画伯の貴重な「紙芝居 少女椿」掲載!もちろん丸尾末広先生の代表作になった漫画「少女椿」の元ネタです。

続いて漫画評論家・米沢嘉博のインタビュー。今まで観てきた映画や文学なども満載で、作品だけじゃなく人物としての丸尾末広先生を知るのに役立ったものでした。
丸尾先生に関するコラムなどで寄稿したのが、遠藤みちろう、川本三郎、高取英、岸田理生、佐藤薫、森脇三貴夫、日野日出志、SIKEN、ZAZIE(ソドム)、飴屋法水、越美晴、広沢敦、藤田尚、ジュネ(オート・モッド)、川村毅、花輪和一、Zin-Fransois Angelique(Madam Edwarda)、たぐちともろを(ぱちかぶり)、伊藤与太郎(メトロファルス)、SADY・SAD、叫び(ギズム)、香川眞吾、楳図かずお、ケラ(有頂天)、後藤繁雄、斉藤利史、中野D児、エンドウユイチ、陳国斎…と、各界の凄い人々が生き生きとした文章で書いています。

そして丸尾末広先生のオリジナル漫画で収録されている作品が、大傑作「電気蟻 吾が文裂の華咲く時」ですよ!
タイトル元だけはフィリップ・K・ディックの短編小説「電気蟻」(The Electric Ant)だと思いますが、この本が出た直後に上梓される事となる単行本「パラノイア・スター」(河出書房新社刊)に収録されています。
しかも、そのヴァージョンとは少し違っていますよ!加筆修正している単行本収録時の方を決定版とするべきではあると思いますが、ここでしか読めない版も貴重になります。タイトルの『文裂』もただの間違いだったのか、『分裂』と直されています。
浪人中の少年が持つ負の感情を、1980年代のサイバーパンク的に描いた名作でした。

他の収録漫画としては森下裕美先生の「丸尾末広の事」。そして特殊漫画大統領・根本敬先生の「外科医 シュウラク・ジャック」では何と丸尾キャラである笛吸童子が特別出演しています。

丸尾末広自身による自作解説「懺悔の値打あるやなしや」、そしてもちろん本人の手によるわりと細かい「年譜」があり、荒俣宏の小説「帝都物語」を原作として東京グランギニョルで劇化した「ガラチア」の戯曲と写真の掲載、同じく東京グランギニョル作品「ライチ光クラブ」の広告イラストまで載っています!
この劇団で丸尾末広先生は宣伝美術を担当していたので当然イラストは丸尾絵ですが、さらにキャストでもあったのですよね…動く、しかも演じる丸尾先生を観てみたかった。

とにかく濃い丸尾末広探求本。1985年以降の活躍は当然載っていないのでデータとしては古いかもしれませんが、ここでしか読めないものが多いのに東京おとなクラブの発行なので当然ながら絶版。現在ではレア化して丸尾末広作品の中でも有数のプレミア本となっています。


心臓が金属音をたてた
ステンレスの花が巨大な 銀色の花弁を ゆっくり開いてゆくのが見えた
僕 死んじゃったのかなぁ



  1. 2013/02/16(土) 23:00:52|
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月刊漫画ガロ(100) 丸尾末広 6 「キンランドンス」

丸尾末広作品紹介、続いては「キンランドンス」(青林堂刊)。
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画像の左は1985年に最初に出た版で、右は2000年に出た新装版。新装版には短編が1編追加収録されています。

丸尾末広先生、5冊目の単行本に当たる本作は短編集。旧版の方には『堕胎作品集』というサブタイトルも付いています。この時代になると初期丸尾作品にあった陰鬱さが影を潜めて、明るいエロ漫画みたいなのが増えていますね。その内容に合わせて描き込みも減り…まぁ、ポップな作風が好きな方には良いでしょう。
何故かこの本は作品ごとの初出情報が載っていないので、発表年は省略して収録順に見ていきましょう。

「お尻に火をつけて」
いきなり近親相姦、ロリコン、スカトロ…といった内容を兄妹と下男が繰り広げるものですが、『かわいらしいギャグ』作品。

「月の砂漠」
タイトル通りあの童謡の名曲(本当は「月の沙漠」ですが)で始まり、『月の砂漠を はるばるとォ~~』とお父さんを探して歩を進め続ける少年。オチで笑わせてくれます。

「カクエイ先生怒りのキン玉」
カクエイ先生…もちろん大昔のカリスマ的総理大臣だった田中角栄ですが、エライおじさんである彼の元へ箱に入った処女が送られてきて、スカトロ遊びなどを楽しむ。少女にウンコ食わせて高笑い、その背景にバーンと『新潟県百姓鑑』の文字!
これは同じ新潟県出身で角栄の影響力・人気を目の当たりにしてきている私にとって笑っていい所なのか怒るべきなのか…

「8月の濡れたアソコ」
夏の暑い日にパンツ脱いで大股開いて寝てる女学生。お父さんに見られてパンツははき直したようですが、再び寝入った所で泥棒(コンドーム持参!)にレイプされる…で、それを覗いてコーフンしているお父さん、てな話。

「放屁論」
ある文学的な人物が『屁』について論じる作品ですが、この男は坂口安吾で「堕落論」のパロディ…で、いいのでしょうか。

「ウコンゲッボ」
ドラッグ物(大麻程度ですが)の台詞無し作品。この後で出る単行本「パラノイア・スター」(河出書房新社刊)に収録されている短編に近いオシャレな作風ですね。

「豚小屋」
中年夫婦の性交描写に始まり、失禁した寝たきり老人の世話、子供がたくさんいて…田舎の一般的な家族の生活を描いただけと言えますが、蚊の大群や汗くささ、豚に最後の蛆虫、嫌悪感が沸き起こる。

「終りなき世のめでたさよ」
美しい少女ヌードの扉絵が良いですね。絵物語方式で面白いカルタでも見ている気分になる作品で、ストーリー無し。

「スネコタンパコ」
女王様と小人(こびと)のペットによる…またスカトロ、そして!

「バカ女と豚男」
犯されたい願望を持った女学生が、本当に腹に『OMEKO』と書いた変態オヤジに犯されるのですが、その正体はお父さん。

「真っ暗い日曜日」
白人女を食べる小さい日本人男…つまり佐川一政の『パリ人肉事件』を描いただけですが、カニバリズムという殺人以上のタブーを犯した瞬間を描いたのが、最後の1ページ。

「怪物団」
丸尾末広先生も大好きな映画「フリークス」の日本語タイトルを使った作品で、夜歩く奇形人間達の集団が普通の家庭を襲い、去っていくだけの悪夢のような短編。

「少女椿 水子編」
有名な長編「少女椿」、その前日譚が「薔薇色ノ怪物」に収録されている事は書きましたが、物語の内容ではそのさらに前に当たるエピソード0がこの作品。
貧しさ故に強者(金を持つ者)に体をいたずらされる花売り少女・みどりちゃん、そして友達のキミちゃんはもっと割り切って体を売っています。まだふくらみ始めたばかりの少女の体が…ヤバイ。

そして新装版のみ収録の「99万人の生娘」
家が貧しかったので、16歳からラーメン屋で女中奉公するちゃん。夜になると彼女の寝室へダンナさんが入ってきて…さらに白痴的な息子・デッちゃんも乱入!明るいエロギャグ漫画です。

最後に「あとがき 今だから話せる私の恥ずかしい過去」として活字のエッセイがあり、亡き父について語ったそれも良かった。

で、こちらは同じ青林堂から2008年に出た改訂版。
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収録内容は新装版とほぼ同様ですが、何故か上記の「あとがき」が削除されています。
さらに全ての短編で扉絵だけ差し替えられ、収録順も微妙に変わっていました。これでしか見れないイラストがいくつも挿入されているので、この版も含めたコンプリートを目指して欲しい所です。


ふっふっふっ………わたしの名前は中年Z!!
満都の処女に愛の正夢!!
うれしはずかし燃ゆる初夜!!



  1. 2013/02/14(木) 23:00:13|
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旅行・紀行・街(132) 東京都中央区 2

今回は東京都中央区

先日は大変な展示会があると聞いて勝どきへ行ってきました。
「自由自在(蛭子能収)と臨機応変(根本敬)の勝敗なき勝負」展
という事で、何しろ青春時代に読み漁って大きく感激していた蛭子能収先生と根本敬先生の共演!貴重な原画展示や新作絵画はもちろん、共作した作品もあるとかで、居ても立っても居られない感じでしたよ。

で、まず勝どき駅に着いて地上に出たら"ひさご"なんて屋号の店があって!これは狙ったわけじゃないですよね…
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というのもガロ好きの方はもちろんご存知でしょうが、『ひさご』はガロビデオ第3弾の名称。
「ひさご 根本敬プレゼンツ・ガロ脱特殊歌謡祭92」という、根本敬先生らが監修し、もちろん蛭子能収先生も歌手として登場していたライブを収録した作品でした。
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展示会の会場は@btfという、倉庫を使ったギャラリー。
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4階に昇ると「蛭子口」「根本口」という2つの入場口、そして展示があるのですが、まずは3階の展示場へ。
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今回の会期は2013年2月1日~2月24日。その初日である2月1日に行ったもので、オープニングパーティーをやってました。
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来たー!!二人の偉大な漫画家が登場。一般的にも知名度の高いこの方々の活躍ぶりを見れば、もうガロ系とか言っちゃいけない気がしますね。
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ドリンクが配られたら何と、『新宿ジゴロ』こと伏見直樹さまが登場して乾杯の音頭を取ってくれました。
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4階は蛭子口の方だけ、チラッと載せておきましょう。
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ビールの他、食べなれないおつまみが多々出てました。
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エレベーターで昇ると、いきなりこのエビスさんが迎えてくれます。
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女性に囲まれる蛭子能収先生、人気者っぷりがうかがえます。しかし彼女達はちゃんと、根本敬先生が度々書いてる『エビス研究』の文章は読んでいるのか…心配になりますね。その人畜無害タレントとしての顔の裏にある正体を、分かった上で近づいているのなら良いのですが。
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かくいう私も二人と記念撮影しまして、
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取り出しましたる根本敬先生の名著「電気菩薩(上巻) 豚小屋発犬小屋行きの因果宇宙オデッセイ」(径書房刊)。サインも頂きました。
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私は本気で『蛭子能収の都市伝説』を信じてる人なので、蛭子先生からサインを貰う事はありません。古本で買った蛭子本にたまたまサインが入っていたので、大急ぎで売りに走った事もあります!もちろん漫画家としての偉大さは知っていますが…
ちなみにこの二人は昔、ガロ誌上でお互いの絵柄と作風・キャラも交換して描き合う『スワップ・コミック』という企画をやっており、蛭子先生が「村田の首」、根本先生が「パチンコ屋のない街」と、共に面白い漫画を描いています。

伏見直樹さまのショーを観て、会場を後にしました。
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展示会は2月24日までやっているので、是非貴方も行ってみてください。

他にも中央区はたまに観光しているので載せておきますが、まず徳川家や天皇家も関係が深い"浜離宮恩賜庭園"
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周りを見るとビル群なのが違和感ありますが、
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落ち着く場所です。
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この方が…ウマシマジこと、「日本書紀」では可美真手命(うましまでのみこと)と表記する鎮魂祭の祖。
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鷹の茶屋で一休み。
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『お伝い橋』を渡り…
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…と、まぁこのように写真を何枚か撮っていたのですが、ここに来たらカメラの調子がおかしくなり、色調が変になってしまいました。何かの霊のイタズラでしょうか。
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野生動物も多く、ここでは黒豹が獲物を狙っている…
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立派なアメリカデイゴが立っています。
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お花を見て、帰りました。
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さて中央区の他の地域では、日本最大の繁華街にして高級商店街の銀座がありますね。
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色々な所がありますが、いつも凝視してしまうのは壁から変な奴らが飛び出している某ビル。
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こちらは、銀座に残された唯一の鉄道踏切信号機。
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この時はスコットランドより、古くからの朋友が来日してくれました!
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お値段がお高い上にあまり来ない銀座では、食事する所もどこに入ればいいのかまるで分からない。しかし彼らはそばが食べたいというので…安心して入れる"小諸そば"
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確かに私も行く店だけど、日本に遊びに来た貴重な日々で一回の食事をここで済ませていいのかっ!?いいんです、イギリス圏の人々は食事にこだわりがないのです。

かけそば、かけうどん、
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味噌煮込みうどん、天丼。
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銀座まで来てなんですが、やはり安心の"大勝軒"にも入ってしまいます。
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大勝軒らーめん(にぼし)、
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信州味噌らーめん。
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"喫茶室ルノアール"も同様に、他の地域でおなじみの店なので…
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バドワイザー、そしてサンドイッチなど。
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"銀座三越"で、ライオンの足を撫でる事も忘れずに。
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そしてすぐ近くの日本橋。東野圭吾のガリレオシリーズを原作にした映画「容疑者Xの献身」の舞台でもある浜町(浜町公園、浜町駅など)もある土地。
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この日の目当ては"三越日本橋本店"です。
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ここで現在開催中の『生誕100周年記念 中原淳一展』へ行ってきたのです。
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中原淳一さまの事は今までこのブログでは特に書いてないと思いますが、実は私は思春期から大好きでたまらないイラストレーター(肩書きは他にもいくつもありますが)。彼の描く少女から大人の女性…あの可愛さ美しさオシャレさ、今のアニオタで言う『萌え』みたいな感情を感じていたように思います。

花束はペギー葉山、山田邦子、黒柳徹子(タマネギ頭)、他にも来てました。
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で、とにかく入場。私が中原淳一好きだと知っている秘密結社員が招待券をくれたので、タダで入りました…何か申し訳ない。金払っても絶対入ってた展示なのに。
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私が行くような展示会では珍しい事ですが、この展示ばかりはお客がほとんど女性でしたね。
若くてオシャレな女子から、「それいゆ」「ひまわり」等をリアルタイムで買っていたと思われる年配の方まで、デザインを凝視したりおしゃべりしたりしながら楽しんでいるようでした。
雑誌の表紙絵やスタイル画などの原画、自作の人形、その他多くの作品が広い展示場に飾られていましたが、撮影可能ポイントが3箇所有り、まずは『中原淳一がデザインしたドレスの再現』、
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『「ひまわり」で提案した少女のための部屋の再現』、
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そして中原淳一著「七人のお姫さま」で描いていたシンデレラのドレスを丸山敬太(KEITA MARUYAMA)氏が再現したもの!!
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外には、その丸山敬太氏からの花束も。
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最後にキリンを見て…
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続いては、日本橋人形町
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このからくり時計の目の前にある居酒屋"北海道"は、ずーっと前に来た事あるのを店構え見て思い出した!
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人形町駅から徒歩数秒の立地にある"三船"は、まんま三船敏郎さまの顔を使っています。
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『谷崎潤一郎生誕の地』もこの近くですね。もちろん谷崎文学好きとして、胸に来るものがありました。
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あとは東京都文化財指定の鉄造菩薩頭がある、"大観音寺"
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日本橋蛎殻町になりますが、"水天宮"で河童に挨拶。
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次は八重洲。東京駅近くのここは千代田区と隣接しています。
"築地銀だこ ハイボール酒場"で、たこ焼きとハイボール。そう、ここは銀だこ食いながら酒を呑める場所。
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東京駅待ち合わせの時なんかは、近くの"HUB 八重洲店"で時間つぶしたり。
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タイ料理の、"スクンビット・ソイ・トンロー"
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居酒屋は、"番屋 八重洲本店"
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"八吉 八重洲店"
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ここは店員さんが調理する前の魚を持ってきてくれるので、そこから魚の顔見て選ぶ。
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その他。
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築地では、よく有名人の葬儀が行われている"築地本願寺"
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ここの本尊は聖徳太子の手彫像。日本の紙幣で最も多く使われた肖像が有名な人ですが、劇画好きにとってはもちろん、滝沢解原作・ふくしま政美劇画のコンビで描かれた「超劇画 聖徳太子」(太田出版刊)ですよね。つまり、あの凶悪でマッチョな手によって彫られた像があるのです。
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おっとあちら"築地KYビル"では、高所の窓拭きが行われています。命がけの男の仕事。あれってマグロ漁船的な、きついけど短期間で高収入が得られる仕事かと思っていたのですよ。しかし実際にやっている友人が出来たので聞いたら、驚くほど安い手取りでした…
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築地場外市場へ入っていくと…
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そこら中でマグロを解体しています。
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お、"築地 すし一番"。
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この時、私は親類の子供達を連れて行ったのは…
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今年の築地初競りで大間産マグロを1億5540万円で落札した(まさに狂気!)、"すしざんまい"
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店舗は何軒もありますが、"つきじ喜代村 すしざんまい 別館"へ。
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コロッケに目がない子のために、注文。
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同・すしざんまいですが、こちらは"廻るすしざんまい 築地店"
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ちょうど昨年の東京スカイツリー開業時期だったので、アサヒの瓶ビールがその仕様になってました。
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うまい、うまい。
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tukiji51.jpgtukiji52.jpgtukiji53.jpg

テリー伊藤の実家で、玉子焼き店の"丸武"
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"築地 山長"、玉子焼!
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続いて、月島の川沿いを散歩。
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警視庁で最も古い交番(現在は地域安全センター)がある…
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月島西仲通り商店街(月島もんじゃストリート)へ。
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名物の少ない東京の食文化にあって、もんじゃ焼きは貴重ですね。
で、最近入ったのはまず、"裏路地もんじゃ もん吉"
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ブラッド・ピットも美味しいと言ったという…もん吉スペシャルなどの、
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もんじゃ焼きを頂きました。
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続いて"寿々"でホッピーを飲みながら…
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もんじゃ焼き、
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お好み焼き、
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焼きそば。
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最後、老舗の"いろは本店"へ。
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瓶ビールはサッポロと、エビス。
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もんじゃ一つ目、
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二つ目は店員さんに焼いてもらい(やはりプロ!)、
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最後はお好み焼き。
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近くの川では、夜は動くことの無い屋形船が浮かんでます。
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もんじゃ船、屋形船は随分前にで一回乗ったきりですが(「ココ」参照)、今年はまた乗ってみるかなー。そうだ、そうしよう。


  1. 2013/02/12(火) 23:59:06|
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月刊漫画ガロ(99) 丸尾末広 5 「少女椿」

丸尾末広作品紹介、続いては「少女椿」(青林堂刊)。
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画像の左は1984年に最初に出た版で、右は1999年に出た改訂版。丸尾末広先生が初めて手がけた長編物語で、全1巻です。

内容は丸尾末広先生最初の作品集、「薔薇色ノ怪物」に収録されていた1981年の短編「少女椿」の続編。
丸尾先生自身が『タイトルはモロにパクリだよね。パクリ以外の何物でもないよ』とガロのインタビューで語っておられましたが、浪花清雲原作による戦後の街頭紙芝居からパクったそうです。

最初の短編では貧しい花売り少女・みどりちゃんが孤児になり、親切なおじさんを頼って訪ねた所はフリークス達の住む見世物小屋…そこで犯される『哀切秘話』でした。
この長編では12歳のみどりちゃんが見世物小屋"赤猫座"の芸人として仕込まれている所から始まります。
小屋の住人は親方で少年愛者の嵐鯉治郎、人間ポンプ男の赤座、両腕が無いミイラ男の鞭棄フタナリカナブン蛇女紅悦、そして畸形具合がヤバすぎるのは首長の芳一と、芋虫の海鼠。後者が動く様は映画「フリークス」で確認出来ますが、凄まじいものがあります…
本編が始まる前にこれらの登場人物紹介ページがあるのですが、その中に何と楳図かずお先生のキャラ・まだらの少女が入ってます。本編でも楳図タッチをパクってるシーンがありますが、丸尾先生は大の楳図ファンであるとインタビューで語っておりました。

とにかく見世物小屋で芸人達に馴染めず、虐げられているみどりちゃんでしたが、小屋がワンダー正光という小人(こびと)の西洋手品師が迎えられると立場が一変します。皆とはレベルの違う芸であっという間にヒエラルキー最上位に上がった彼がみどりちゃんを気に入って助手にして、世話を焼くようになるのです。
自然と二人は愛し合いますが、みどりちゃんは不幸から脱する事が出来るのか…

・第壱発目 忍耐と服従
・第弐発目 さまよえる日本人
・第参発目 侏儒が夜来る
・第四発目 平凡と明星
・第五発目 勧善懲悪覗機関
・第六発目 地獄に堕ちた庶民たち
・第七発目 喜びも悲しみも幾歳月
・これでおしまい 桜の花の満開の下
とそれぞれの話にタイトルが付いてまして、最後に活字で丸尾末広作の一幕劇「人生の並木路」が収録されています。

丸尾末広先生が初期作品の画力をそのままにしてエログロの味は残しつつ、もうちょっと一般寄りの分かりやすいお話を作ったらどうなるのか、という所を見せてくれた大傑作でしょう。
そして見事、今日では多少漫画好きな人なら誰でも知ってる代表作となったわけですね。おかっぱの少女・みどりちゃんもキャラクターとしてスタンダードな地位を確立し、イラストで描かれたりグッズの発売もされ続けています。

また、驚いたのは2003年に青林工藝舎から再発された「改訂版 少女椿」。こちらは加筆・修正箇所がいくつもあるのですよ!よって、この版も揃えておくべきでしょう。
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ちなみにこの版はサイン本も入手しています。まず厚紙の表紙を開いた所にサインされていますが、
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これがよく見えないから書き直したのでしょう…その裏に、改めて別のマジックで署名されていました。
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さらに2004年に限定500部をエディションナンバー入りで出した「限定版 少女椿」(青林工藝舎刊)。
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こちらはB5判上製クロス貼函入の豪華な作りで、美しい画集としても楽しめる名作「少女椿」が初めてB5サイズで読めるようになり(内容は青林工藝舎改訂版と同じ修正版)、中には著者サインカード、みどりちゃんの特製シルク水玉リボン、みどりちゃんぬりえセット5枚、特製少女椿マッチが封入され、B2ポスターも別に筒函入で付いている、という素晴らしいもの。

英語版も入手しましたが、あちらでのタイトルは「MR.ARASHI'S AMAZING FREAK SHOW」
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サイズが大きいのも嬉しいこの本は青林堂版と同内容です。この作品が世界に広まってくれたら本当に嬉しいですね。
よく日本の漫画は世界一で実際に海外でも大ヒットしているとは聞きますが、だいたい「ドラゴンボール」「ONE PIECE」といった少年向けバトル物ばかりですから…

同じくドイツ語版で、あちらでのタイトルは「MIDORI - DAS KAMELIENMADCHEN」
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そして原田浩監督のアニメ映画版「地下幻燈劇画 少女椿」
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1992年公開作品で、内容は最初の短編分も含めて原作に忠実にしたのは良いのですが…それがために児童ポルノ何とかで法律に触れてしまい、日本国内での上映禁止となった作品です。
私が観たのは2004年の東京国際ファンタスティック映画祭で、上映された時ですが、そういえばあの時はどのように法律をクリアしたのだろうか…

主題歌は作詞が丸尾末広先生、作曲はJ・A・シーザーという豪華すぎる「迷い子のリボン」。そして同じ二人が作った挿入歌「紅い下着」も印象深いのですが、主題歌を松林亜弥が、そして挿入歌の方はジーコ内山が歌ったCDも発売されていました。3曲目はインストで「少女椿のテーマ」、4曲目は「紅い下着」の歌無しバージョン。全てJ・A・シーザーの曲なので、コレクターの方には重要でしょう。
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開けると歌詞カードや解説、ぬりえ付きの紙、そして懐かしい8cmのシングルCDが入っていて、
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アニメ「少女椿」の生写真も付いていました!
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さらにこちらはデジタルコミック版「少女椿」(大和堂刊)。パッケージに、華麗な色彩で『原作者本人が「感動した」と絶賛した』と書いてあります!
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最後に虚飾集団廻天百眼が舞台化し、ザムザ阿佐谷にて上演した廻天百眼十発目劇場公演 少女椿
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これはつい最近、2011年10月の事なので丸尾ファンには記憶に新しいでしょう。とにかく、それほど「少女椿」は人気が高い。音楽を犬神サーカス団が担当していて、丸尾ジャケのサントラCDも発売されました。


ばけもの!! ばけもの!!
ばけもの ばけもの ばけもの!!
ばけものおお!!



  1. 2013/02/10(日) 23:00:29|
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月刊漫画ガロ(98) 丸尾末広 4 「DDT 僕、耳なし芳一です」

丸尾末広作品紹介、続いては「DDT 僕、耳なし芳一です」(青林堂刊)。
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今作は何故か青林堂版が1983年初版のままの一種類しかなく、画像右は1999年に青林工藝舎より出た新装版です。
エロくてグロくも狂気の美しさ…丸尾末広先生、3冊目の短編集。

収録順に見ていくとまず、1983年の「僕の少年時代」
これだけガロが初出の絵物語方式作品で、もう痺れるほどカッコいい!!こんなセンスと画力を持ち合わせている人が他にいるか!?
青林堂版の表紙には丸尾先生が好んで使うモチーフ、ドイツ表現主義の映画よりF・W・ムルナウ監督版の「吸血鬼ノスフェラトゥ」が立っているのはお気づきでしょうが、この短編ではニュー・ジャーマン・シネマの旗手ヴェルナー・ヘルツォーク監督によるリメイク版「ノスフェラトゥ」が登場します。

1983年の「APPARITION」
母を殺して直後の道雄の前に現れた百科事典のセールスマンは、実は死んだ父で。ギュスターヴ・モローの絵から頂いたタイトルの通り、亡霊の『出現』だったのでしょうか。最後のコマで道雄は心を開き、唐突に終わる。

1983年の「プロレタリアートの秘かな愉しみ」
丸尾末広作品において度々登場する、可哀想な少女モノ。冒頭、下半身が無くてトロッコに乗ったおじさんを転ばせて金を奪う少年、そいつの家の隣に住むのは父親に体を売る事を強要されるまだ幼い少女。少女はさらに、その父の手で目を潰されて…こんな不幸すぎる物語で、丸尾先生にしてはまともにストーリーをまとめている!

1981年の「あめりかうまれのせるろいど」
ロンパリで頭が足りない、けれでも可愛いマリ子ちゃんちに訪ねてきたオジサンが、お母ちゃんが買物にでかけて居ないのをいい事にお人形の代わりに自分のイチモツをしゃぶらせたりして…
またこんな内容だけどこれは明るく、ちょっとギャグ調に描かれているので、この単行本においては途中の清涼剤的な感じか。

1983年の「ヴァンパイア」
扉絵に若くてイケメンだった頃の美輪明宏さまが学帽被った似顔絵を使っています。牙が生えて口から血をたらしてますが。春日井健の短歌を引用して始まるこの話は、吸血鬼になった道雄が、処女ではなく童貞(男子中学生)ばかりを襲う、というもの。画面の美しさが際立ちますね。

1983年の「腐れオメコにDDT」
本当にもう、タイトルがひどすぎて最高です!今作の主人公は何とB組の丸尾。早見純作品に出てくる早見くんのように、作者自身が出てきてかつ便所の落書きについて講釈しながらオナニーにふける変態です。最初のページでその丸尾が描いた落書きという名の作品がじっくり見れるのですが、三段に分かれたコマ割りのうち上段に「巨人の星」、真ん中段に「タイガーマスク」、下段に「あしたのジョー」と、梶原一騎作品が描かれている所に注目!

1983年の「あらかじめ不能の恋人達(Ⅰ)」
死んだ彼氏の目玉をくりぬき、自分の女性器に入れて、その目であるモノを見る…。

1981年の「あらかじめ不能の恋人達(Ⅱ)」
単行本収録の便宜上こちらにⅡと付いてますが、Ⅰより1年半ほど前に掲載された関係ない話であり、初出誌も違う。少年が大好きな恋人の皮膚を切りまくりたいという性衝動をかなえると、次は自分の性器に…血まみれの、痛ーい作品でした。

1982年の「少女地獄」
タイトルの通り夢野久作の同名作品を怪奇エロ漫画にアレンジ…しかし、ラストはギャグにもっていく。

1981年の「最モ臭イ遊戯」
「薔薇色ノ怪物」では「最モ痛イ遊戯」という作品がありましたね。タイトルだけはやはり松田優作の「最も危険な遊戯 」から来ていると思いますが、この内容はスカトロ物です、はい。

1982年の「月よりの使者」
久米正雄の小説と同名タイトルで、同じく看護師も出る医療モノと無理矢理言えば言えるのですが…
メチャクチャに遊んでるというかシュールリアリズムなのか、たまーにあるつげ義春的な作品ですね。肛門と口から凄い数の蟲を出す美女患者、同じく目玉を出す医者!

1982年の「奇蹟の人」
良識的なヘレン・ケラー信者が見たら発狂するかもしれませんね。ここでの少女・マリ子は三重苦ではなく盲目なだけですが、ここでのアン・サリバン役の家庭教師はマリ子ちゃんを小便入りのご飯食わせたりしていじめ(青林工藝舎版単行本の表紙参照)、目が見えないからってこっそり彼を連れ込んで目の前でセックスしたり。
しかしマリ子にはシンちゃんという、どう見てもボリス・カーロフ版フランケンシュタインの怪物!そんでしっかり復讐を果たす、いい話でした。

1983年の「童貞厠之介 俺の名はマイナス」
また出ましたよ、童貞厠之介!シリーズ3作目の今度は漫画エロスが初出で、期間も前作からまた一年ほど空いています。前にも増して汚く、匂ってきそうな風貌になった厠之介が、同業だと思われたため乞食の組織に捕まって女ボスとある対決をする…
そして遠藤ミチロウ率いるバンクバンド、ザ・スターリンの「365」が流れて終了。ちなみにこの「365」が収録されている3rdアルバム「虫」は、丸尾末広ジャケで有名ですね。名盤なのでCDでも買い直してますが、初回ピクチャー・ディスクのLP(特典でB2版ポスター付属)も持っていますよ。
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これはミチロウ様に「夢のQ-SAKU」表紙の鞍馬天狗を見た当時のザ・スターリンのプロデューサー、森脇美貴夫氏が丸尾先生に依頼して新たな鞍馬天狗を描き下ろしてもらったのだとか。

ちなみに青林堂版は巻末に元・天井桟敷の劇作家、岸田理生による解説「眼球の海」が収録されているのですが、青林工藝舎版はそれが削除された代わりに丸尾末広画による見開きの一枚絵が収録されています。
また青林工藝舎版は2011年にカバー絵を変えて再発していますね。
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この姉妹は、トッド・ブラウニング監督の超!超名作映画「フリークス」にも本人役で出演していたシャム双生児の女優、デイジー&ヴァイオレット・ヒルトン姉妹でしょうね。美しい絵です。


彼の目玉を私のあそこに
埋め込んで私と彼の
過去を見てみたい
ほうら段々見へてきた…



  1. 2013/02/08(金) 23:00:00|
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月刊漫画ガロ(97) 丸尾末広 3 「夢のQ-SAKU」

丸尾末広作品紹介、続いては「夢のQ-SAKU」(青林堂刊)。
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画像の右は新装版。漫画は同内容ですが、巻末に収録されていた丸尾末広先生自身の手によるあとがき「泥棒になりたい」が無くなっています。それが印象的なエッセイだっただけに、最初の版で探す事をお薦めします。

前回「ココ」で紹介した「薔薇色ノ怪物」とほぼ同時期に描かれた作品を集めた2冊目の作品集であり、単行本の出版も同じ1982年になります。
丸尾末広先生の魅力の一つである夢野久作(=夢のQ-SAKU)の影響を、そのままタイトルにした事でも窺える意欲作で、持ち前の超絶センスが大爆発!
丸尾先生は後に画集『江戸昭和競作無残絵 英名二十八衆句』でそのまま「夢野久作」というタイトルの作品も描いているし、夢野久作特集の「快人Q作ランド」という本でその絵と共に『夢の又夢の夢』という文章を寄せています。
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では「夢のQ-SAKU」を収録順に見ていくと、まず1982年の「学校の先生」
厳格そうで初老の学校の先生が、小中学生から貢物を貰っているサーカス団の美少年と会い、注意するはずがその美貌に翻弄されて少年愛の夢を見る…これだけ2色カラー印刷で、絵の美しさも際立ちますね。
ディートリッヒ映画「嘆きの天使」の少年版、いやそのまま「ベニスに死す」ですが(そのパロディシーンも有り)、漫画で描かれたこれは早すぎたBL(ボーイズラブ)でしょうか!?

1982年の「笛吸童子」
笛吹じゃなく、笛吸です。「ハーメルンの笛吹き男」をアレンジして美しくも変態な少年愛モノにした、わずか4ページの傑作。笛吸童子に付いて行けなかった片足の少年が悲しく歌う…

1982年の「ウンコスープの作り方」
サブタイトルに『太陽男根』と付いてます。少年二人と少女一人の危険な遊戯はジョルジュ・バタイユの「眼球譚」を下敷きにしたスカトロ物。牛の目玉を少女の性器に入れて、それを口で吸い出したり…ね。

1982年の「初恋・壹萬壹千鞭譚」
今度はSM物ですが、近親相姦にゲイを織り交ぜて…

1982年の「童貞厠之介・パラダイス」
汚いオヤジが少女を強姦殺人しているシーンから始まりますが、その脇を走る汽車の屋根上から見下ろしている…童貞厠之介「薔薇色の怪物」収録のタイトルそのまま「童貞厠之介」で登場したキャラクターですね。
初出は同じ漫画ピラニアながら期間は一年ちょっと空いており、彼は下水道生活から抜け出したようですね。遠藤ミチロウ似の美少年に成長していて、どんな女も惑わせて股を開かせる能力を持っています。ある異形の集団の元に女達を連れて行き、繰り広げられるはおぞましき乱交パーティー。

1982年の「せんずり千太」
お婆ちゃんと性交している少年・みちお。その彼はお婆ちゃんの死後、墓場であんな事を…ちなみにこの『お婆ちゃんと性交する少年』の話は、丸尾末広先生自身がラジオの人生相談で聞いた実話をモチーフにしているのだとか。
お父さんとお姉さん、女中の銀子ら、他の登場人物にももれなく変態ネタが盛り込まれています。

1982年の「地獄の一季節」
タイトルをアルチュール・ランボーから持ってきている事は関係ないかもしれませんが、ドイツ表現主義映画の影響を感じる芸術的な作りの幻想物語。

1981年の「美しい日々」
これは従来の手法の漫画ではなく、一枚絵ごとに文章を付けた『絵物語』みたいなモノ。そう言っちゃうとこのエログロさなので、そのジャンル第一人者の山川惣治サイドから怒られますかね。とにかく持ち前のカッコいい絵を、イラストとして観れて良いかもしれません。

1982年の「きん玉のにぎり方」
全く何てタイトルだよ!で、内容は戦前かそこらの女性向け性教育本をパロディで描いています。少女の生理とか自慰とか性交とか。もちろんエログロさも発揮していますが、丸尾末広流のお笑いセンスもよく分かります。

1981年の「不能少年」
押入れの中で変態妄想を膨らませてオナニーしている少年・道雄が、お母さんに押入れ開けられて、恥ずかしい姿を見られてしまう。シリアスな丸尾末広調で描かれていますが、内容はギャグ。
おなじみ学生服の道雄が初登場した初期作品です。

1981年の「腐ッタ夜・エディプスの黒い鳥」
出ました『腐ッタ夜』シリーズ。これも「薔薇色ノ怪物」収録の2編と直接のつながりはありませんが、どれも奇形を題材に変態性欲を描いています。
今回は江戸川乱歩の「芋虫」パロディ。あれを父と娘の親子に設定して、娘とお金持ちの彼氏との恋の行方も絡ませる。

1982年の「月食病院」
扉絵がロン・チェイニー主演の1925年版「オペラ座の怪人」(オペラの怪人)で、しかしてその内容は動けない少女の患者を強姦(しかも腹開いて内臓いじりながら!)する変態医師らの話。看護婦達のレズビアン…

1982年の「雪子ちゃんの視た夢」
また一枚絵に文字の絵物語方式ですが、見世物小屋のような所を背景にして、いくつも書かれる雪子ちゃんの視た夢というのがシュールすぎて面白い。

そしてこちらは、2006年の「改訂版 夢のQ-SAKU」(青林工藝舎刊)。画像右は近年また出た、表紙違い版です。
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画像左の方(夢のQ-SAKU、ジャケ3種目)はサイン本も入手しています。漢字とアルファベット両方で書かれているのは珍しいですね。
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この版でも『あとがき』は削除されていますが、改訂版だけの追加収録作品が2編有りまして…

1992年の「東京物語」
小津安二郎監督による同名の日本映画が誇る傑作を基にして、エロシーンとか入れてますが丸尾末広先生にしては割とおとなしめのパロディ。

2000年の「無神経かさねが淵」
もちろん古典怪談のパロディですが、謀殺した按摩の幽霊が出てきても慣れてきちゃって目の前で堂々とセックスしている二人…圧倒的な怪奇色を持つ画力にだまされますが、もちろんこれはギャグ漫画ですね。

以上、改訂版のみ収録の2編も合わせて全15編の短編集でした。
どれもこれも、どこかに絵や物語のどこかにパロディが織り込まれていますが、丸尾末広先生は自らが認める『パクリの集大成』。一番の特徴であるあの絵柄も、画家・高畠華宵の影響が強いわけですし。そして、それが良い。

最後にこちらはフランス語版「夢のQ-SAKU」。何故か「D坂の殺人事件」時のイラストが使われています。
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だいたい僕は意思が弱いのではなく 意思がないのです
誰からも理解されぬ事 これが唯一の誇りで
朝 目がさめたら甲虫に変身していたなんて すばらしいと思います
僕はグレゴールザムザにも あしたのジョーにもなれないのです
不具者に生まれてくれば良かった
僕には人生なんてないのです
あんた達は何を笑うのだ!!!!



  1. 2013/02/06(水) 23:00:00|
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月刊漫画ガロ(96) 丸尾末広 2 「薔薇色ノ怪物」

今夜から、私が20年近く前から愛してやまない丸尾末広作品を紹介していきましょう。
まずは1982年に上梓した初の単行本「薔薇色ノ怪物」(青林堂刊)。
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画像の右は2000年に出た新装版です。

丸尾末広作品ならまずこれを読んでもらわないと話にならないというか、ここに丸尾先生の特徴が詰まった作品集。1980年のデビュー作「リボンの騎士」他、怪奇・幻想作品を中心に13編を収録しています。

ストーリーはあまり重視しない作風なので、まず内容云々の前に甘い耽美の絵が頭に飛び込んできます。この絵の素晴らしさに10代だった私は衝撃を受け、思春期なので流行漫画とは一線を画すエログロの危なさも手伝い、好きで好きでたまらなかった…
漫画は作品展開やイデオロギーなんかも大事ですが、やはりまず『絵』がありきなのだと再確認出来ますね。

収録順に見ていくと、1982年の「カリガリ博士復活」
もちろんドイツ表現主義映画の中で一番有名な「カリガリ博士」を基にした作品で、丸尾先生は自作に度々このチェザーレ(眠り男)を登場させています。それ以上に丸尾作品の代名詞のようになっている、あの眼球舐めもしていますね。
それまでエロ劇画誌でばかり描いていた丸尾先生が、初めてそれ以外の雑誌(マンガ宝島)で描き、これで知名度が一気に上昇したそうです。

1980年の「リボンの騎士」
デビュー作のこれからして手塚治虫作品をタイトルにしていますが、内容はむしろ楳図かずお先生の『へび女モノ』パロディ。

1981年の「下男の習性」
赤座という下男をめぐる変態一家の話。意外なラストを用意して話をまとめていてるストーリー物。

1981年の「少女椿」
後に長編として描き丸尾末広先生の代表作になる「少女椿」の、序章となる短編ですね。この時はサブタイトルに『哀切秘話』と付いています。
貧しくか弱い少女・みどりちゃんは寝たきりの母を助けるために夜ごと花売りをしていますが、母は鼠に食われて孤児になり…出会ったばかりの親切な山高帽のおじさん・犬山を訪ねるとフリークス達の住む見世物小屋の世界へ入っていく。長編の方よりも救いのない話ですよ。

1981年の「僕らの眼球譚」
今度はジョルジュ・バタイユの小説からタイトルを頂いてますが、近親相姦…他の変態短編。

1981年の「私ハアナタノ便所デス」
片足義足の変態ぼっちゃん・光雄のスカトロ趣味に、長時間付き合わされる使用人の雪子ちゃん。

1982年の「少年Z」
このセリフ回し、もしかしてつげ義春先生のシュールな作風をパロってる…!?
夢遊病なのか目を閉じたままの少年が、関係無い家庭を訪ねて目を閉じたままの夫婦と色々する話。ピエル・パオロ・パゾリーニ映画「テオレマ」から影響を受けたこの作品から、さらに遠藤みちろうさまがインスパイアされて「アフリカの発見」 という曲を作りました。

1981年の「天然の美」
笑いまくる作品…狂ってます、凄いです。

1981年の「童貞厠之介」
これもスカトロ…というか、産まれてすぐに汲み取り式便所の便槽内に捨てられた厠之介が、それでも生き残って下水で暮らす。ある時拾った学生服着て外に出て、映画館でディートリッヒの「嘆きの天使」を観たり、そして…
丹下左膳の顔を見てたらパッと思いついて二十歳頃から作っていたという、この厠之介なるキャラクターは継続して他作品にも登場します。
高橋睦郎「善の遍歴」、アントナン・アルトー「ヘリオガバルス」、説経「しんとく丸」などからヒントを得ているそうです。

1981年の「血と薔薇」
ロジェ・ヴァディム監督の「血とバラ」から来たタイトルだと思いますが、デビュー2作目の今作にして既に、現在知られている丸尾末広世界を象徴している印象です。今度は姉妹愛と…男性器切断など。

1981年の「最モ痛イ遊戯」
まさか…松田優作の「最も危険な遊戯 」とは関係無いですよね?
ナチスかぶれな子供達の無邪気な(笑)拷問ごっこを描いてます。

1981年の「腐ッタ夜」
デビュー作以前に出来ていたので、本当はこれが処女作なんだそうです。
資産家の轟剛造というオヤジの後妻となった小夜子が、若い恋人・道雄と彼を殺そうとしますが返り討ちに合い…両目潰され、両腕を切断された上で飼われる残酷物語。

1982年の「腐ッタ夜 ちんかじょん」
上記の腐ッタ夜とは関係無い、義足の次郎と新しいお母さんの話で、変態極まるショック描写があります。『ちんかじょん』とは北原白秋の詩から来ていて、小さな男の子の事らしいです。

以上、全て装飾的すぎる絵柄に耽美的な憂鬱、変態エログロナンセンス…こういった丸尾末広作品ですが、適度に挿入されるギャグセンスもたまりません。

そしてこちらは、2006年の「改訂版 薔薇色ノ怪物」(青林工藝舎刊)。
MARUO-rosy-monster3.jpgMARUO-rosy-monster4.jpg
画像右は改訂版からさらに昨年出たジャケ違いで、これで4冊目…丸尾末広先生もすっかり過去作品をジャケ変えて出すだけの商売で味をしめてしまったようです。その思惑通り、またカッコいいジャケだからとファンは既に持っている作品を当たり前のように買うわけですが。

ちなみに画像左の方(薔薇色ノ怪物、ジャケ3種目)はサイン本で入手しています。
MARUO-rosy-monster5.jpg

この改訂版は上記の13編に加えて、2000年の「色彩間苅豆」が追加収録されています!丸尾末広先生は初期から上手すぎるので絵の変化が分かりにくいと思われているかもしれませんが、こうして並べると全然違う事が一目瞭然。新しい時代の作風も変わらず素晴らしいです。
また、全てに共通してザ・スターリンの遠藤ミチロウ(遠藤みちろう表記)さまが寄せた「肉詰めの男」という文章を収録しています。


たった一突き あの世ゆき
これでおしまい 肉地獄



  1. 2013/02/04(月) 23:31:19|
  2. 月刊漫画ガロ
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劇画(161) 中沢啓治 7 「はだしのゲン自伝」

中沢啓治の漫画作品をいくつか続けて紹介してきた当ブログですが、今回は活字モノから「はだしのゲン自伝」(教育史料出版会刊)。
NAKAZAWA-hadashino-gen-jiden.jpg

これは中沢啓治先生本人を語る上で間違いなく最重要作品と言えるでしょう。
自伝漫画として短編「おれは見た」、そしてあの「はだしのゲン」がるわけですが、漫画は脚色も加えているあくまでもエンターテイメント作品でしたから。

この「はだしのゲン自伝」は中沢啓治先生自身の生い立ちや家族構成から本当の姿を知る事が出来るのでファンとしては嬉しい一冊ですが、どうしても気になったり驚いたりするのは「はだしのゲン」との比較。
まず家族構成は事実通りで、父親、妊娠中の母親、長男、長女、次男、ときて三男が中沢啓治先生で、四男がいます。後に原爆で殺される者が誰かも同じだし…
父親が思想犯として特高警察に捕まったり、非国民の子だからと泥棒の濡れ衣を着せられた長女(この娘だけ名前が英子と、漫画と全く同じ)が教師達に素っ裸にされて調べられた事なんかも!あんな酷い部分までが事実そのままだったのです。
ツルツルの丸坊主頭になった女の子や、怒りが湧き上がる汚いABCCの奴らの話、他の様々なエピソードも実際に見てきた事を基にして描いている事も改めて分かります。

また、『二度と戦争と原爆はゆるさない人間になるため、人間の元素という意味で、主人公を「元」と名づけた』のだそうです。

飢餓の日々から、いよいよピカドンが投下されて、読んでいて気持ち悪くなるほど生々しい大量虐殺の風景描写が始まります。お化けの行進に、敗戦で豹変した日本人同士の醜い争い、それらも事細かに語られていくのです。
当然思想は左傾化している著者ですので文章でも天皇批判は繰り返されますが、東京オリンピック時に外国人記者が書いたという小さな記事、
『貴賓席で世界の三大虐殺人、天皇裕仁、ヒロヒトラーが臆面もなく世界の選手に向かって満足そうに手を振っているとは何事だ!その姿を感涙して喜ぶ日本人は、なんとバカな国民だ!』
なんて無知が招いたトンデモ文を受けて『まったく、そのとおりだ』と同感している中沢啓治先生…(汗)。さらに『糞たれ天公』呼ばわりしている所もあります。

さて、手塚治虫先生の「新宝島」に出会った中沢先生がいかに手塚作品を愛したか、それから看板描きをしながら絵の修行をし、上京して漫画家のアシスタントへ。広島で被爆している事で差別され、そして…
と、この本では14年かけて「はだしのゲン」を描き終える所までが語られるのですが、出版が難しかった内容ながらも少年ジャンプ編集長の長野規氏などいくつかの重要な出会いがあって、ゲンは単行本の形で世に出たのですね。これが単行本化されていなければ、原爆がどれほどのものか未だにリアルには知られてなかったかもしれないし、すると核兵器の残酷さも舐められていたかもしれません。

メチャクチャ面白い名作「はだしのゲン」はほとんど実録みたいな作品である事が分かったと思いますが、気になる実際の体験と漫画での差異部分。
これもけっこうあって、細かい所では優しい朝鮮人の朴さんは実在して名前もそのままですが、その家族の存在も明らかにされます。よく遊んだチュン・チュナという同世代の子だとか、奥さんやおじいさんもいたようですね。
原爆が投下された時の中沢啓治先生(=ゲン)の歳も微妙に違うし、漫画には出てこなかった叔父さんや叔母さんの存在もあります。
8月6日の原爆投下直後に逃げ惑いながら、ショックで産気付いた母が地獄の真ん中で赤子を出産したのは何と事実ですが、取り出したのは中沢先生でなく自然に出たようです。あ、この赤子の名前も・友子も実際と同じなんですね。ご存知の通りこの後、少し生きて死ぬ事になりますが。

あと原爆で潰された家の下敷きになって焼き殺された父、姉、弟の死に際に立ち会ったのは母だけだし、その母は実際は意外と長生きしてるし。
ゲンは丸々ツルツルのハゲ頭になりましたが、実際は後頭部の首筋がヤケドしてはげただけだったり、長兄は母が倒れた時に面倒を見るのを嫌がって『兄弟は他人のはじまり』という言葉を実感したり。漫画ではお互いを思いやる仲の良い兄弟だったので、これはちょっとショック。
あとは近藤隆太が、というか原爆孤児仲間達は存在しないのか全然出てきませんね。
そんなこんなで「はだしのゲン」で描かれなかった部分を補完して読める、歴史的資料も高くて貴重な本でした。

同じく活字本で私が初めて読んだのはこちら、岩波ブックレットNO.7の薄い本で「はだしのゲンはピカドンを忘れない」だったのですが、
NAKAZAWA-hadashino-gen-will-never-forget-picadon.jpg
他にも数種類の自伝・手記が出ています。
それらも読んできましたが内容は重複するので、どれか一冊を選ぶならやはり分量も多く挿絵が描き下ろしである今回の「はだしのゲン自伝」が良いかもしれませんね。


私は、この江波の町で、人間の正体を見た。日本人の正体を見た。
「民主主義」「愛」「平和」「正義」「弱い人を助け合いましょう」「めぐまれない人に愛の手を……」、なんと空虚で空々しい言葉と標語であろうか。人間がそんなに綺麗なことを言える動物か。日本人は、弱い者に対しては容赦なく威張り、いじめ抜く本性をもっている事を知った。一皮捲れば醜い本性を現し、襲いかかってくるのだ。とくに戦争という状況が人間の醜さに油を注ぎ、一気に燃え上がって広がるのである。その意味で、人間を獣以下に落とし入れる戦争を起こした奴らを、私は許せないと思う。



  1. 2013/02/02(土) 23:11:07|
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Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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