大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

SF漫画 (12) 松本零士 4 「ヤマビコ13号 銀河鉄道の夜」

今夜の松本零士作品は、短編集「ヤマビコ13号 銀河鉄道の夜」(奇想天外社刊)。
MATSUMOTO-yamabiko13.jpg

私は昔に集めていた松本零士先生のSF作品をほとんど売り払ってしまった事があるのですが、いくつかは手放せなかった…これもその一つで、当時の私のバイブルであり売るわけもない「男おいどん」の横に大事に保存していたのです。
というのも大山昇太がそのまま出てきて、「男おいどん」とリンクする作品があるのです。似て非なるキャラを使ったスターシステムではなく大山昇太そのものが出るスピンオフ物なので、おいどんファンはこちらもおさえておいた方が良いのではないでしょうか。
ちなみに短編集である本作のタイトルは「ヤマビコ13号 銀河鉄道の夜」となっていますが、「ヤマビコ13号」「銀河鉄道の夜」はそれぞれ別作品。

まずは1971年の希望の友(潮出版社刊)で掲載された、「銀河鉄道の夜」
タイトルの通りく宮沢賢治の童話作品を題材にしていて『原作』とクレジットもされているのですが、普通のコミカライズ作品ではなく、「銀河鉄道の夜」読者の登場人物が出る、という使われ方。
同作品から影響を受けて代表作「銀河鉄道999」をモノにした松本零士先生が、それ以前に銀河鉄道の夜を描いていた…これは当然重要すぎる意味を持つ作品でしょう。
内容も宮沢賢治への想いを込めて、ジョバンニを思わす星を見るのと空想が好きで寂しい少年が主人公。彼が大人になるその瞬間を、ファンタジー交えて描いた切ない胸キュン物の傑作!
最初の数ページは青いカラーページで描き、効果的に美しさを増しています。

続いてはこの短編集で一番古い、1969年のプレイコミック(秋田書店刊)が初出の「ネアンデルタール」
太古の昔に実在したが絶滅した…我々とは別系統の人類であるネアンデルタール人を題材に使い、原始ではなく近未来を舞台にした、ラストにどんでん返し有りのSF作品。
ネアンデルタール人の女がメーテル的な美しさなのですが、まだ松本零士先生が人気漫画家になる前の初期絵柄なのが貴重であり、この時に描いてた女性も良いのです。

次の「大魔女王第3紀」は1974年の週刊プレイボーイに掲載した作品で、お得意の四畳半ネタに、SF…というか奇想モノを交えた短編。
主人公は何も無い四畳半に住んでいる本船年郎(トチロー)で、押入れの中に突如ヤラレタという裸の美女が現れる!文字通り妄想物語。

同じ週刊プレイボーイで1977年に掲載された「大サルマタケ博物史」は、いよいよ大山昇太らしき奴が登場!
謎の茸・サルマタケが日本中で繁殖しまくって生物滅亡の危機にさらされた時、ある大学教授がその発生源を突き詰めると…そこは"あの男"が住む四畳半の押入れにあるパンツの山だった!
国中が大パニックに陥るレベルの荒唐無稽なサルマタケの山は、「男おいどん」では描けなかった世界です。密集するサルマタケが大迫力で、サルマタの怪人が酷い目に遭う事も無いので素直に笑えるギャグ漫画です。

最後は1971年の少年マガジン(講談社刊)に掲載された表題作の一つ「ヤマビコ13号」
舞台は高度な文明を持つ未来。しかし四畳半に住む男、出ました大山昇太が主人公です!
「大サルマタケ博物史」で出てきた同じ風貌の男は、名乗ってないので絶対に大山昇太であるとは言えません。松本零士先生はキャラ使いにスターシステムを用いる漫画家ですからね。
しかしこの「ヤマビコ13号」に出てくるチビでガニ股で丸眼鏡のこいつは、間違いなく大山昇太。
まぁ時代設定が違うので「男おいどん」のパラレルワールドと見れば良いのでしょうが、同じように美女にうまくだまし使われて支配庁に潜入し、ヤマビコ13号という機械を破壊する…
ブラックユーモアと風刺の効いた優れた短編でした。

そんなわけで「ヤマビコ13号 銀河鉄道の夜」…なかなかレベルの高い短編が並んでいます。


今夜がお別れかもしれないわね
もうすぐその望遠鏡が水に流れるわ
そのとき…あなたは、おとなになる…
夢ばかり追っかけないで あなたの経験で物ごとを考えるおとなになる
わたしはそれが とてもうれしいわ……



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  1. 2011/06/26(日) 23:14:39|
  2. SF漫画
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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