大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(27) 「手塚治虫 THE BEST 16 新選組」

手塚治虫作品から、『手塚治虫 THE BEST』シリーズの続きを紹介しておきましょう。
THE BESTを名乗りながら全然一般的なBESTじゃない、ジャンプコミックスのこの全20巻シリーズ…次は16巻目からで、「新選組」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best16.jpg

この作品の初出は1963年の少年ブックで、タイトルの通り舞台となる時代は幕末。新撰組周辺を、創作キャラと歴史上のスターとを共演させて描いた作品。今回は1冊で「新選組」1話のだけの収録です。
幕末を描いた漫画といえば手塚治虫先生自身の傑作「陽だまりの樹」が思い出されますが、まぁそれはずっと後の話。
あの萩尾望都先生が高校時代にこの作品を読んで非常にショックを受け、一週間ぐらいボーッとしていた、とのエピソードもあります。そして漫画家を志したという。

「新選組」は主人公が深草平十郎
…誰だ?と思われるでしょうが、これはオリジナルキャラ。冒頭で、自宅になだれ込んできたある斬り合いに巻き込まれて不条理にも父が殺され、深草は仇討ちを誓います。
そのために新撰組に入隊し、剣の修行にはげんで腕前を上げて…また、唯一無二の親友となる鎌切大作と出会う。

作中重要なテーマとして扱われる『仇討ち』ですが、それに目がくらんでいる深草はついに父の仇・庄内半蔵を見つけて斬るも、今度は自分がその仲間である土佐藩の人々から仇として狙われる事となります。
同じく新撰組を裏切った松永主計を斬ったために、深草が父を殺された時と同じ立場になった娘・八重からも仇として狙われる…
深草はいつしか沖田総司の腕も超えた達人になりますが、苦悩は尽きる事がありません。仇討ちは憎しみの連鎖が続くだけではないのか。

ちなみに幕末の人物で一番人気なのは誰に聞いても坂本龍馬と言われるでしょう。
様々なメディアでカッコよく描かれ続けてますが(漫画ではみなもと太郎先生の「風雲児たち」、村上もとか先生の「JIN-仁-」、武田鉄矢&小山ゆう「お〜い!竜馬」あたりが有名ですか)、この手塚治虫版「新撰組」で出てくる龍馬はギョロ目で眉太のどうにも不細工な顔なんですよ。
しかも特に物語の中心にも入ってきません!最後に悩める深草に外国へ行って世界を見てくるよう手配するのだから、まぁ重要な役割はあったわけですが。

新選組局長・芹沢鴨を斬り殺した(!)深草が、最後に出会った最強の敵は長州の間者。
そしてその新選組にまで入り込んでいた間者の正体は、いつも陽気で強くておしるこが大好き、そして唯一の親友である鎌切大作でした!
花火の下で…クライマックスを飾る深草VS鎌切の涙の決闘。これに深草が勝ち、つまり親友を斬り殺してしまうのですが、今作では主人公が政府(幕府)側。勝ってもすぐに長州の桂小五郎によって
『国のために働く 正義の少年をよくも斬ったな 幕府の犬め!』
と吐き捨てられます。

後に薩長関係者らの手で倒幕は成されて、新選組は賊軍になる事も知っている我々ですが、ここでは勤王の志士である鎌切ではなく佐幕派の深草を主人公に設定する事によって、少年読者に"正義"とは何なのかを問いかけているのでしょうか。
先の"仇討ち"の件もそうですが…少年向けの絵柄で描いたエンターテイメント作品ながら、ちょっと重いテーマとメッセージが含められた手塚治虫版「新選組」。今からちょうど40年前に描かれた作品ですが、大人になった今も答えるのが難しい問いかけをしてくるのです。


今の世の中は やさしい人間は用がないんだ
親が子を斬り 子が親を斬り
仲のよい友だちでも斬らねばならぬときがある
弟子が先生を斬ってもやむをえん時代だよ



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  1. 2011/09/08(木) 23:45:43|
  2. 手塚治虫
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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