大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(28) 「手塚治虫 THE BEST 17 新・聊斎志異」

手塚治虫先生の『手塚治虫 THE BEST』シリーズ、続いての17巻目は「新・聊斎志異」(集英社刊)です。
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今回は全4編を収録した短編集で、共通のテーマは『変身』『妖怪変化』といった所でしょうか。

最初の2作は、表題作「新・聊斎志異」…これがこの2作だけしか存在しませんが一応シリーズ物になっていて、共に1971年の週刊少年キング(少年画報社刊)で掲載された怪談モノ。
タイトルで分かる通り中国怪異小説集「聊斎志異」に影響されていて、あれに習って手塚治虫先生自身が怖い話を集めて聞いた話、という設定になっています。

最初の話は「女郎蜘蛛」。先の大戦の頃を舞台に、軍の命令に逆らって好きな絵を描き続けた若き画家・間島誠二と恋人・由紀の物語。
間島と正反対の性格で絵と恋愛の両方でライバルだった丸橋は、あっさり主義を変えて軍のお抱え絵描きになりますが、あくまで軍の協力を拒んだ間島は特高の手で絵が描けないように両目を潰されてしまう…
しかし恋人の由紀が協力して間島の元に通いつめ、ついに完成させるのです。しかし、その由紀は間島家に通い出す前に汚い丸橋の手によって殺されていました。事の真相は、そして結末はどうなるのか!?

続いての「お常」は大戦後すぐの日本をアメリカが統治していた時代が舞台で、病院で実験動物の世話をしている知恵遅れの少年・ヒデがアメリカ軍から新型化学兵器の人体実験に使われる話。
それをヒデがお常と名付けて可愛がっていた狐が人間の女性に化けて阻止しようとしますが、結局大人達は実験を決行し、殺されたヒデ。そして狐のお常は復讐を開始する…

どちらも原案の小説「聊斎志異」の方と同じく怖さだけでなくロマンチックさを前面に出した話なのです。
後の香港映画「チャイニーズ・ゴースト・ストーリー」もまさにそんな感じですが、やはり同じ「聊斎志異」の一説を原作としているんですよね。
「女郎蜘蛛」において1ページ使って戦闘機が飛び交う下をキスする1枚絵など、印象深く胸にしみるシーンを残しています。

続いては、1974年の中一時代(旺文社刊)が初出の「ジャムボ」
これだけは変身モノでこそありませんが、「新・聊斎志異 女郎蜘蛛」と同じく蜘蛛を扱って人間の精神・想像力の滑稽さや恐ろしさを描いたサスペンス作品です。
飛行機の客席を舞台にしたいわゆる密室劇で、機内に入り込んだ巨大蜘蛛が発見されるやケープタウン大学のレドス教授が『ジャムボという猛毒を持つ蜘蛛に違いない』などと発言したためパニックに襲われる…そこで繰り広げられる人種差別問題、そして殺人!

最後に1969年の週刊少年キングが初出の「虎人境」
TV番組『世界残酷ショー』のディレクター、胃袋五郎は、新しいネタを求めて取材クルーを連れてと共に東南アジアのボルネオまで行く…現地にいるという"トラ人間"を求めて。
実際にトラのような模様の毛を生やした謎の類人ばかりの部族に辿り着くのですが、彼らの神聖な儀式を邪魔した事で怒りを買い、次々と仲間が殺されていく。命からがら逃げ延びた胃袋も…
日本のカルト特撮映画「マタンゴ」風の独白形式による衝撃的ラストが待っています。緊張感溢れる短編で、愛する手塚短編の一つです。

このJC(ジャンプコミックス)全20巻のBESTシリーズ…残りあと3冊。


夕やけの空 森の影
思いかなわぬ
このさだめ
ズンと悲しみ
押してくる



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  1. 2011/09/13(火) 23:48:05|
  2. 手塚治虫
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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