大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(29) 「手塚治虫 THE BEST 18 ビルの中の目」

1998年から2002年までかけてJC(ジャンプ・コミックス)で刊行された手塚治虫先生の『手塚治虫 THE BEST』シリーズ、続いて18巻目は「ビルの中の目」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best18.jpg
今回は1950年代後半から1960年代と少し古めな作品を9編収録した短編集で、ミステリー作品が中心で編まれています。

最初の表題作「ビルの中の目」は1963年の週刊少年サンデー(小学館刊)が初出で、新聞売りのススムは"ホテル・オリオン"の下で仕事しながらホテルの窓を眺めるのが日課になっていて、その窓に奇妙な光景を見つけた事からある殺人事件に巻き込まれていく…と、これはヒッチコック映画「裏窓」から着想を得ているんですかね。
続く「悪魔の音」も表題作と同年同誌の掲載で、主人公も同じ新聞売り子の少年。ジャックの健という凶悪犯が牢から脱獄して復讐に燃えるのですが、悪人ながら三年間の牢屋生活で親友だった野鳥のピーコを始末できなかったために最後は破滅する…いい話ながら、ジャックの健の整形手術をした顔が崩れていくラストなど恐怖も盛り込んだ傑作。タイトルが意味する、ある音も効果的に使われています。

そして「秘密指令第3号」「午前7時の地下室」「ジェット基地の幽霊」「最後はきみだ!」「ドースン一家の記録」「刹那」と、1956年~1963年の冒険王(秋田書店刊)、別冊少年サンデー(小学館刊)で掲載された作品を中心に続きます。
日本を舞台にした物から西部劇にギャング物、どれも意外などんでん返しが用意された少年向けミステリーで、手塚治虫先生が凄い数の作品を量産していた時期の小品ながら当たり前のようにレベルが高い!

最後の「三つのスリル」だけ1968年発表とこの短編集の中では新しく、希望の友(潮出版社刊)が初出のSF作品。
テストで0点を取ったロッペイ少年は、学校で居残り勉強をしていただけなのに異次元世界へ入り込んでしまい、その世界で同じく劣等生のデルタ少年と出会うのです。異次元では元の世界と歴史が違う事に気付き、タイムマシンで歴史の修正に向かうと、当然デルタの世界の歴史は狂い…
何年も前に初めて読んだ時は特に印象に残らなかったのですが、改めて読み直してみると異次元の生物とかふざけてて面白いし、攻撃も出来る手塚版タイムマシン(1969年連載開始の「ドラえもん」登場以前)もカッコいいです!


ぼくは朝晩 このホテルを見上げながら新聞を売ってるんだ
だから見る気じゃあないけど つい窓の中を見ちゃうのさ
どんな人が泊まってるか 想像するのがすごく楽しみでね



スポンサーサイト
  1. 2011/09/18(日) 23:50:18|
  2. 手塚治虫
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<手塚治虫(30) 「手塚治虫 THE BEST 19 緑の猫」 | ホーム | 手塚治虫(28) 「手塚治虫 THE BEST 17 新・聊斎志異」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1025-e5423614
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する