大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

手塚治虫(31) 「手塚治虫 THE BEST 20 宇宙空港」

いよいよ手塚治虫先生の『手塚治虫 THE BEST』シリーズ、ラストの20巻目を飾るのは「宇宙空港」(集英社刊)です。
TEZUKA-the-best20.jpg
ヒット作の多い手塚治虫作品の中で、全然一般的な有名作ではないのにTHE BESTを名乗っていたこのJC(ジャンプ・コミックス)のシリーズ…最後まで地味です!

今回も1956年から翌年までにおもしろブック別冊付録が初出の…つまり19巻と同じく短編『ライオンブックス』シリーズとして発表された3編が収録されています。

まず表題作「宇宙空港」ですが、各星からのお客を地球に迎え入れる玄関がタイトル通りの"宇宙空港"で、ここを舞台にして起こる犯罪などを描いたミステリー仕立てのSF作品で、単行本の三分の二の分量を占める中篇。
宇宙警察(CPP)の鳴戸宇宙トカゲという悪者を追い詰めようとして命を落とし、その仇を討つために弟のうしおは空港内の捜索を始める…
主人公としてもう一人エリックという少年もいたり、悪人同士の内輪もめがあったり推理モノの要素をからめていたりでちょっとだけ複雑な話なのですが、見所は様々な宇宙人の姿。可愛らしい金星人たちや、姿も形もない生物もいたりして、想像力を刺激されるのです。
"宇宙時間"についての知識も得られるし(それが正しいのかは分かりませんが)、こんなにカッコよく未知の世界を見せてくれる作品が今から55年前に発表されていた…まだSFという単語すら一般に浸透していなかった1956年という時代背景を考えれば、ますます驚愕せざるを得ないですね。手塚治虫自身が『ライオンブックス』は発想が先走りしすぎたと反省しているのですが、当時の漫画家、それも手塚先生クラスは常に読者より物知りでセンスが良くなければならず、進歩的な内容を提示する事も必須だったのでしょう。それである対象に興味を持つ少年読者がたくさん生まれたのだと思います。

次の「狂った国境」は、地質研究のため国連から派遣された日本人少年科学者が、南極のレッドベア国とブルジョイ国という…天国と地獄とも言える2カ国を仕切る国境で、越境する亡命者達に力を貸す話。残忍な国境守備隊長のロゴスが最後に男気を見せる、真面目な話ですね。韓国の南北関係、統一問題をテーマに隠した社会派作品でしょうか!?
ちなみに主人公は、前回紹介した「恐怖山脈」と同じ大垣龍太。

そしていよいよ『手塚治虫 THE BEST』全20巻の最後を締めくくるのが、「荒野の弾痕」
このシリーズが普通のBESTじゃない作品ばかり選ばれている事を何度も書いてきましたが、最後にこれを持ってきた事でこのシリーズの渋さは本物だったと確信したものでした。
今作は南北戦争終結直後を舞台にした西部劇。南軍の兵士として戦争に参加しながら敗戦し、ダッド・ザ・シャイロと名を変えて有名なギャングとなっていたダッドレイが、ギャング仲間達を連れて善人のふりして故郷に帰って父親や弟と触れ合うと、改心したのか街のためにギャング仲間、そしてアパッチ族の集団と戦う事となって名誉の最後を遂げる、といった普通に心暖まる…つまりハートウォーミング系で、良くも悪くもキレイすぎる作品でした。


光の速さと同じ速さでとぶと 時間がとまってしまうんだ
もし光より速くとぶと 時間はあべこべに逆もどりするんだぜ
だから光の速さで地球をとびだしたら
どんなにながいあいだとびまわっても 時間はちっともたたないんだ



スポンサーサイト
  1. 2011/09/28(水) 23:53:27|
  2. 手塚治虫
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<旅行・紀行・街(107) 東京都杉並区高円寺 14 高円寺阿波おどり…等 | ホーム | 手塚治虫(30) 「手塚治虫 THE BEST 19 緑の猫」>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1027-b832140a
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する