大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(133) 美内すずえ 1 「アマテラス」

今夜は美内すずえ先生の「アマテラス」(角川書店刊)です。
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1951年の兵庫県生まれ(大阪府育ち)の美内すずえ先生は、このブログでは異色ですが…実は私も小学生時代から、代表作「ガラスの仮面」の読者です。
少女漫画の歴史上でも最も有名な部類に入る「ガラスの仮面」はとてつもなく面白い名作でもあるのですが、美内先生は続きを10年近く描かなかったり、"O-EN NETWORK"なる精神世界研究団体を主宰してたりしていて、相当な変人というか天才というか、一筋縄ではいかない方であるようです。
中でもこの「アマテラス」というのがそちら(精神世界)の活動で得た物を惜しみなく出している感じで、また日本の漫画史においても『スピリチュアル漫画』では最高峰と言えるでしょう。

連載は1986年から角川のASUKAで開始され、単行本もあすかコミックスで現在4巻まで+まほろば編の5冊が出ています。もう全5巻、と書いてしまいたいくらいですが…完結はしないまま、それも『第一部 戦士クシュリナーダ』の途中でずーっと中断しています。
一応はたまに描く「ガラスの仮面」以外では漫画家としての活動停止状態の美内すずえ先生ですので、これはもう未完の作品である、という認識で良いと思います。
奈良県の天河神社でアイデアを練った(チャクラが全開した)というこの作品は、連載中にチャネリングが始まり腱鞘炎にかかった時は"何者か"に手術されて完治したりと、霊的な波動を受けながら描かれています!

オープニングでいきなり日本神話の神々の話が数ページ続いた後、日本は東京都杉並区で医者の娘として生まれた女の子・千倉沙耶
この誕生を『スサの姫が降臨した』と陰ながら祝福している一団がいて、反対にニューヨークのある秘密結社では『スサの娘が計画(プロジェクト)666の妨げになる』と抹殺しようとしています。
自分の正体や使命は知らぬまま成長する沙耶は、それでも不思議な能力を発揮し、体験していきます。不思議なおじさんからいろいろ学んでいきますが、もちろん読者も沙耶と共に、まず日本神話を勉強出来るようになっていますよ。
ちなみに父・健史は医者でありながら普通はオカルトと片付けられてしまう事にも真剣に追求し、
『ぼくは本当に知りたいと思うよ
 魂というものがどうやって生まれ どこからやってくるのかを…
 また なんのために肉体に宿っているのかを』

とか、頭を悩ませている男。

一つ重要なキーワードに『ラ・ムー』というのがありまして、最初は沙耶が夢で見るそれは…もちろん菊池桃子らの"ロックバンド"ではなく(時代的にも「アマテラス」が先)、一万二千年前に太平洋に沈んだといわれるムー大陸の太陽、すなわち太陽王であるムー帝国王の事。
出ましたよムー大陸。もちろんもう一方の、大西洋の方へ沈んだアトランティス大陸の文明についても出てきますが、さてこれが本編にどのように関わっていくのか…

聖華学園高等部に進学した沙耶はいよいよ16歳を迎えますが、この16歳というのがスサの姫として目覚める歳。
学園内に女教師・泉礼子として魔神(ハタレ)軍の刺客が入り込み、呪いをかけたりクラスの生徒を操ったりで殺そうと企む危機的状況!
しかし沙耶の味方としてもジュリアス・レイアというギリシア人青年、世界中の政財界のトップとつながり陰で世界の流通を握る白上倭多里という爺さんなども登場し、ピンチを救ってくれたり必要な知識を授け目覚めさせたりしてくれるのです。
かつてムーの神軍を率いていた女神・クシュリナーダ、日本神話での名前は櫛名田姫(くしなだひめ)という、光と闇の記憶を取り戻した沙耶。ムー帝国王三番目の雄神・スサノオの后であり、共に魔王神八岐大蛇と戦ったという事ですが、そのスサノオも現世でどこかにいて、二人が出会えば星雲や惑星を産みだす事も破壊する事も可能になる、というから凄まじいスケールの話になりそうです!

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本格的に敵と開戦すると超能力合戦などの見所もあるのですが、それよりこの作品の目的は読者に精神世界について伝道する事。気とか次元とかオーラとか神の魂…説明的でスピリチュアルな話が多くなってきます。かなり説教くさくもあり、少し綺麗事すぎる感じはしますが、真面目に読むべき良い話が多いんですよ。

力が目覚める前に抹殺しようと企む"悪の"秘密結社と、それを阻止して能力を開眼させようとする"正義の"集団…実に少年漫画的な設定ですよね。
実際に永井豪先生の「凄ノ王」だったり、小室孝太郎先生の「命〈MIKOTO〉」だったりで同じ展開を見ることが出来ます。特に前者はアマテラスやスサノオノミコトも登場するし、美内すずえ先生も影響受けているかもしれません。

魔神(ハタレ)軍の攻撃が激化して一刻の猶予も無くなり、今まで普通の女の子として生きてきた千倉家での生活を捨ててジュリアスや白上老と生活を共にするようになり、"竜宮城"で神の洗礼を受けて…と、ここからがまたさらなる神秘体験の入口でした。
今の所最新巻であり、恐らくは最終巻になる4巻に入ると謎のサークルストーンの上から降りてきた『地球人の魂の祖先』を名乗る宇宙人が現れて、えーっと…20数ページにも及びながら様々な知識を授け指導してくれます。その内容がまた凄い!これこそが美内先生が今作で伝えたい部分を濃く出している場面だと思います。高度すぎて私にはあまり理解出来ない内容ですが。
それから全裸で宇宙空間に飛んで行った沙耶=クシュリナーダは、そこである"存在"に出会い、ムー帝国の神宝・剣と盾について示唆される…

攻撃の規模を強めて襲ってくる魔神(ハタレ)軍の実体も少しだけ見えてきて、さらに敵方にも可愛そうな超能力兄妹・アレックとリリーという気になるキャラがいて複雑になってきてたし、離れて暮らす事になった千倉家の父母と弟の真史、沙耶の事が好きで"リポビタディーンズ"のコンサートに行く約束もしていたクラスメートの広岡くん…
さらには恐らくヒーローになる最重要人物でしょう、トルコにいるらしいとだけ分かったスサノオ!いや作品タイトルであるアマテラスは?
出番は多いジュリアスすらもムー時代の沙耶との関係について隠し事がありそうだし、彼らのその後がどうなるか、全ては置き去りにされたまま物語は10年以上中断したままなのです。

私も含めて日本中が待ち望んでいる「ガラスの仮面」の続きを描く事も大事でしょうが、「アマテラス」も再開して欲しい。前者をちゃんと完結させてからでも、だからもう何年後でもいいから、後者の続きを描く意欲はなくさないでいて欲しい。待ってますから…

こちらは「アマテラス」本編連載中に番外編として描かれた『倭姫幻想まほろば編』
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それより本編を薦めてくれという読者の声が聞こえてきそうですが、こちらはカメラマン助手の大庭直日古が元伊勢の神社25箇所を取材で巡るうちに古代へタイムスリップする話です。
古代と現代を行ったりで冒険モノとして面白い上に、神話や伝説を勉強出来て、美内すずえ先生の尊いメッセージを受けられます。
ただ難点は…1冊の単行本にまとめられた、これまでも話が尻切れである事!

今夜はここらへんで終わりたいと思いますが、こんなブログでは「アマテラス」で語られる様々な知識は全く紹介出来ません。
真面目に精神世界の秘密や何かを学びたい人にはもちろん、UFOに古代ピラミッド山に超能力にとミーハーなオカルト好きにはたまらないネタの宝庫でもあり、それらに興味があれば少女漫画が苦手な人でも親しめる作品だと思います。


おばあちゃんは人間のつくった神さまなんか 信じやしないよ
キリストさんもおシャカさんも 人間の正しい生き方を教えにこの世に出てきただけだと思うの
神さまじゃないよ 神さまのお使いをしているだけ おばあちゃんはそう思ってるんだ
どんなにえらいったって 木一本草一本 山ひとつ河ひとつ つくれたわけじゃないんだからね
自分を生かしてくれているのがなにか それを考えなきゃいけないよ
ほんとの神さまっていうのはね こうやって大自然や宇宙をつくって
人間や動物や植物をつくって 生かしてくださっている目にみえない なにか大きな力のようなものだと思うんだよ



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  1. 2011/10/18(火) 23:00:48|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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