大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(55) 「21エモン」

続いての藤子不二雄作品は、「21エモン」(中央公論社刊)。
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二人の藤子不二雄先生のうち藤子・F・不二雄側の作品で、初出の連載は週刊少年サンデー(小学館刊)にて1968年から翌年まで。単行本は藤子不二雄ランド(FFランド)版だと全5巻です。

私が最初に持ってたのは全4巻のてんとう虫コミックスの方ですが、それよりFFランド版は話数が多いのです。前者だとお手伝いロボットのオナベが出る話が初登場話からカットされていたり(21エモンが中古ロボットのバーゲンにて11000円で買う)もしますが、後者だといつもの新作まんが(この時は全巻「ウルトラB」)以外にも第5巻の巻末に「パパは天さい!」「ぼくのロボット」が同時収録されているのです。

さて藤子・F・不二雄作品といえば普通の人の日常生活の中に宇宙人やオバケやロボット…etc.、つまり"異能の異物"が入る事になる王道パターンがありますが、今作では逆。主役は普通の人間(地球人)で、周りの登場人物は様々な宇宙人だらけです。舞台も2023年という未来で、藤子F先生らしからぬ設定というか、"SF"が『少し、不思議』(Sukoshi Fushigi)じゃなくて普通に『サイエンス・フィクション』(Science Fiction)になりそうな設定ではないですか!
いや、まぁ、読んでみたらどこを切っても藤子F作品以外の何物でもないのですが。

この作品の舞台では地球も"星間連盟"に加入していて宇宙の様々な星から観光客が来る、宇宙人達に開けた星になっています。そう、地球に文字通り遊びに来るんですからね、宇宙人だからって悪い敵だとか地球侵略を企んでいる、なんて話が「21エモン」以降は一気に古くなったのではないでしょうか。
主人公の21エモンこと、つづれ屋21エモンは地球人のトウキョウシティーに住む中学生で、徳川幕府の始まりとほとんど同時にオープンした創業450年前のホテル"つづれ屋"の21代目と目される跡取り息子です。しかしつづれ屋はよく"つぶれ屋"と間違えられ客もほとんど来ない貧乏ホテルでしかなく、パパの20エモンは大反対しますが宇宙パイロットになって宇宙を冒険する夢があります。
そんなわけで作中で常に描かれるのは、21エモンのつづれ屋を継ぐか宇宙パイロットになるかという悩み、そして宇宙の他の惑星から来る変な客達。

21エモンの相棒としては、第1話目でつづれ屋に泊まったササヤマ星人が宿代代わりに置いていったモンガー。この真空、高熱、極寒、何でも平気、かつテレポーテーションなどの超能力を持ち何でも食べてエネルギーにしちゃう可愛い"絶対生物"抜きにしては「21エモン」は語れません。
そして元イモ掘り用ロボットながら、現在はつづれ屋でボーイとして働くゴンスケ。口も性格も悪くて金に汚いのが、ロボットのくせに一番人間らしくていいですねー。モンガーとも仲が悪くてケンカばかりしてますが、私は好きなキャラクターです。「ウメ星デンカ」や他の藤子F作品にも登場する、つまり数少ないスターシステムを採用されたキャラでもあります。
本作のヒロインは、つづれ屋の隣にある高級ホテル"ギャラクシー"の社長令嬢・ルナ。頭が良くて美人で大金持ち…こんな女が彼女になったら、「21エモン」もつまらなくなってしまいますね!

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夢見る21エモンですが、宇宙に旅立つには多額の資金も必要であるため、普段はつづれ屋でボーイとして働きながらチップを貯めています。なので地球でいろんな宇宙人らと出会って巻き起こる騒動を描いた1話完結の話が基本なのですが、短いのも入れると合計5回の宇宙旅行を実現させてもいて、その時は連続した話でモンガーやゴンスケと共に冒険する物語へとシフトしてワクワク感アップ!
21エモンがいつも着ている服は、マスクと手袋をつけるだけで宇宙服になる仕様で、これにも随分憧れたものです。

そういえば、つづれ屋は3階建てで客間は11室。そのうち1室は雨もりで使えないしボロいイメージがありますが、お客の星それぞれに合わせて空気のタイプや気圧、温度、重力などを部屋ごとで調整出来るんですよ。これって凄い技術ですよね…この時代では当たり前になっているのでしょうが、とにかくそれで地球でも宇宙服を脱いでくつろげる、と。
ちなみにエネルギー源は原子力。つづれ屋みたいな小さいホテルでも原子炉を持っているようなので、この時代は各家庭一原子炉なのかな。"ミカワ屋"から酒屋みたいなスタイルの兄ちゃんが来て濃縮ウランのツケを請求してくるシーンがありました。現実の現在は反原子力活動がさかんになっているようですが、さて未来はどうなるんですかね。

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藤子・F・不二雄作品全体で見ても、「21エモン」はかなり知名度が高いでしょう。もちろんかつてアニメ映画化やTVアニメ化もされていた影響が大きいと思いますが、藤子アニメとしては相当短い放送回数で打ち切りになったそうです。ただし原作漫画の終了から長い年月が経ってからのアニメ化だったので、私もリアルタイムで見れた世代であり、友人の中には本作のアニメを大傑作だったと絶賛する者もいます。
そんなアニメ版が今年になって全話がDVD化し、また密かなブームが来ています。21エモンの将来は、宇宙への夢を取るのか伝統あるつづれ屋を経営する事を取るのか…これもアニメ版の方がはっきり答えを出しています。

地球にやってくる異形・異習慣の宇宙人宿泊客、宇宙に飛び出して見る星の文明やそこで出会う宇宙人達、そして未来のメカニック…毎回毎回楽しみのある「21エモン」ですが、それだけに1話1話を突っ込んでると大変な事になります。泥沼にはまる前に、こんなさわりだけの紹介でお別れしましょう。


アチ!アチ!アチ!
あの星でうえ死にすることをおもえば、これくらい……!
わっ もう先がない!もえつきたあ!
ママ!パパ!ぼくはいっしょうけんめいやったよ!
さよう………なら……。



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  1. 2011/12/15(木) 23:49:39|
  2. 藤子不二雄
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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