大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(56) 「フータくん」

ここの所、藤子不二雄作品をいくつか続けて紹介していましたが…藤子・F・不二雄側の作品ばかり(藤子・F・不二雄ミュージアムも行ったし)でしたので、藤子不二雄A側の作品もいくつか紹介しておきましょう。

今夜は「フータくん」(朝日ソノラマ刊)です。
FUZIKO-futa-kun1-2.jpg
初出は1964年~1967年までの週刊少年キング(少年画報社刊)で、単行本はこいのサンコミックス版だと全5巻。同時期に別冊少年キングの方で番外編も掲載されていたのですが、 そのうち1話だけが本編に組み込まれてこの単行本に入れられています。その番外編1話以外、そして3つのシリーズに分かれる本編のうち、面白さに定評のある最終シリーズ『ナンデモ会社編』は…今に至るも単行本未収録という、残念な作品でもあります。
なお、後に藤子不二雄ランド(中央公論社刊)で登場した時は、「マネー・ハンター フータくん」と改題しました。さらに1982年から翌年までと、月2回刊行になって誌名も少年KINGと変更されていた時代にリメイク版が掲載されていたのですが、こちらは「フータくんNOW!」 としてFFランドで単行本化もしています。

主人公はフータくんという少年で、住所不定・無職…というか年齢的には明らかに学校へ行く歳なのですが、家庭の事情というか家族が一人もいない、悲しい身の上。となると「家なき子」「オリバー・トゥイスト」のように孤児が旅と出会いで成長していく物語と言えなくもないのですが、描き方が全然違います。放浪少年であることを可哀想だと描写するのではなく、まだ子供ながらに独立し、好奇心のままに工夫して生きる気高い魂の持ち主として…というと大げさかもしれませんが、とにかくフータくんは性格的に明るくていつも元気。
そんなフータくんがある目標に向かって元気に動き回る様を、1話完結の連作で描かれるドタバタギャグ漫画です。

最初のシリーズは『100万円貯金旅行編』で、フータくんが100万円を貯める事を目標として金になる事をなんでもやりながら旅を続ける話。この時点ではフータくんが子供なのに何で放浪生活をしているのか、親や学校の事なども何も分かりません。
毎回毎回、お金が増えたり減ったりしていく様が描かれては話の最後に"これまでの貯金額"が出てくるので、戦闘を介して経験値を取得しキャラクターが成長していくロールプレイングゲームのような感じですね。
この1stシリーズでは、フータくんの赤いものを見ると頭にきて理性を失い、メチャクチャに暴れまわる設定が生かされています。それは子供の頃、頭を牛に蹴られてからそうなったとの事ですが…

FUZIKO-futa-kun3-4.jpg

3巻には「人食い人種も外人よ」という話が収録されていまして、まぁ出ましたよ土人ネタ。外人目当てのガイド仕事で金をせしめようとするフータくんが、南の島から船の外側に張り付いて来た(真っ黒い肌が保護色になっている!)、すぐに人食い人種と判明する大酋長の息子・ザンボに喰われそうになりながらもお金を稼ぐ。

他にも色々な変キャラが登場して…本物の宇宙人まで出るしで大変な目に遭いながらも、とうとう貯めた100万円。
そうするとどうなるか。現在の我々でいうと小室哲哉みたい(名誉と富を得た瞬間、周りに利権を手に入れ名前を利用しようとする人が群がった)な状態になって『100万円貯金旅行編』は終了し、4巻からはその100万円を元手に旅行する『日本一周編』のスタートです。

これがまた私も旅行好きとして楽しいシリーズなのですが、東京都からスタートして毎回一都道府県ずつ紹介しながら日本一周の旅をします。
今やフータくんは貯めた100万円があるし、学校や会社などの社会的制約からは自由の身。
『しめきりのない日本一周旅行のはじまりだ まわりのけしきを見ながらのんびりいこうや』
と、ブラブラ歩を進めていくのです。

前シリーズでは毎回お金の増減と所持金額が表示されていましたが、今シリーズでは日本地図に"今回旅行しているところ"と"すでに旅行したところ"が表示されます。
鉄兜をかぶっているテツカブやキザなキザオとのからみが増えて、まぁ同じようドタバタやって…その本編と別にあるのが、
・フータくんの○○県に強くなるページ(フータくんの名所絵はがき)
・○○県の珍行事
・フータくんのインチキ・ルポ
・フータくんたべあるき
といった文字と絵のコマで、これらは普通に勉強になるでしょう。

誰もが自分の出身県を持っているわけですが、そこにフータくんが来て観光と紹介をしてくれるのだから嬉しいですよね。
ちなみに私は新潟県出身ですが、フータくんの新潟県に強くなるページでは奥只見ダム、新潟市、弥彦山、越後湯沢、新潟県の市名も全部紹介されているし、フータくんのインチキ・ルポでは佐渡についてのコラムでした。やっぱり嬉しいものですね。

北海道では露天温泉に毛深い人がいたので『おじさんはアイヌの人でしょう』と言ったら本物のクマだったり、静岡県では斜視のトロ一ってキャラに『きみはだれを見てしゃべってるの!?すごいロンパリ!!』なんて言ってたりして、今だと差別ネタとして叩かれてしまいそうです。
富山県ではここの出身者である作者・藤子不二雄先生も出てきてます。もちろんこの時はまだコンビを組んでいたので、二人一緒。このこの偉大な二人は、やっぱり一緒がいいです。

FUZIKO-futa-kun5.jpg

後半になって世界一のドタバタ喜劇王を目指すドタバ太や、タヌキのトクガワゴンゲンなどの常連キャラも増えていきますが、最後の最後は駆け足になって四国と九州は1話で複数県をまとめて紹介されてしまいました。
彼らの冒険は可笑しくアヴァンギャルドで、そして何ともカオス。連載当時の1960年代にテレビアニメ化の企画も上がったそうですが、結局は頓挫したのだそうで…残念です。一歩間違えてアニメ化していれば知名度も上がり藤子A先生の代表作となり、元気なフータくんのドタバタをもっと見れたでしょうに。
せめて、既に書いたように単行本未収録の最終シリーズ『ナンデモ会社編』を復刻して欲しい。これはフータくんが会社を創立させて商売で活躍する話で、当時は人気も完成度も高いと言われていたそうだし、出生の秘密が明らかになる最終回も一部で有名なのですが…


あっリンゴ!
ああかいリンゴなに色? ああかいリンゴ赤色!!
ンモー やいっぼくはむかし牛にあたまをけられたんで……
赤色をみると むちゃくちゃにハッスルするんだ
もうおまえなんかにまけないぞ



スポンサーサイト
  1. 2011/12/21(水) 23:59:31|
  2. 藤子不二雄
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
<<藤子不二雄(57) 「用心棒」 | ホーム | 旅行・紀行・街(111) 静岡県浜松市 1>>

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1046-b8f41eb9
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する