大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

藤子不二雄(57) 「用心棒」

続いての藤子不二雄作品は、「用心棒」(中央公論社刊)。
FUZIKO-yojimbo.jpg

かつてあの藤子不二雄ランド(FFランド)を出版していた中央公論社から、1998年に描き下ろし単行本として上梓されました。
…え!?
そう、ここでファンならずとも驚くであろう事をサラッと書きましたが、藤子不二雄A先生が描き下ろし漫画ですよ!これは珍しい…というか、初期の重要作品「UTOPIA 最後の世界大戦」以来ではないですか!?となるとざっと45年ぶりですか。凄く歴史的な事でもありますが、それがまた『マンガ黒澤明時代劇』という地味な企画モノで、ひっそりと出版されていたのです。

同シリーズに参加して藤子不二雄Aと共に黒澤明時代劇を漫画化したのは、さいとう・たかを先生が上下巻に分けて「七人の侍」を、小島剛夕先生が「蜘蛛巣城」「椿三十郎」を。そして、元々は石森章太郎先生が「姿三四郎」を描く予定でしたが、逝去されたために全6巻の予定を変更して全5巻になった、という悲しい因縁も残っています。
黒澤明監督で時代劇ならまだ「隠し砦の三悪人」「影武者」「乱」などの名作があるのに、何故それらは外されたんだという黒澤ファンの声も聞こえてきそうですが、まぁそういうものです。

さて黒澤明監督・三船敏郎主演の時代劇映画「用心棒」の、漫画・藤子不二雄A版。かつて黒澤作品に熱狂していた私は31本の監督作品を全部観ていますが、特に好きなこの作品を敬愛する藤子A先生が手がけたのは、発売当時嬉しくて小躍りした覚えがあります。
ストーリーを見てみると、馬目の清兵衛一家VS新田の丑寅一家というヤクザの縄張り争いが激しさを増している宿場町に桑畑三十郎と名乗る凄腕の浪人が流れて来て、二大勢力両方に用心棒としての腕を売り込みながらもその目的は双方同士打ちにさせる事だった…というもので、基本プロットは映画と同じですね。
ただ細かい所は違っていて、驚くべきは何とラストシーンまでも多少の変更が加えられている事。無類の黒澤明マニアでもある藤子A先生ですが、ただ忠実に追従するだけではなくオリジナリティも入れようと工夫したのだと思います。
例えば私がイタリアン・ホラー映画で最も好きなダリオ・アルジェント監督にも多大な影響を与えたあの血しぶき(となると続編というか兄弟作品「椿三十郎」の方ですが)!あの血の描写をやりたかったのでしょう、飛び散る血がリアルかつ大量すぎて凄いです。物語導入部の斬り合いで、握った刀ごと斬り飛ばされる両腕と鮮血の描写に1ページの一枚絵を使っていたりして、気合いを感じます。それに人物が白目である藤子A手法とが相成って、けっこう怖い。化物的な敵キャラ達も見物ですよ!

慣れない描き下ろしで(さらにこんな長いは初めて)、しかも今まで藤子不二雄A先生がほとんど描いていない時代劇作品をこれだけ描けるなら、例えば得意のブラックユーモアと融合させたりしてオリジナル作品でもっと発展させて欲しいと願ったものですが、これ以降は執筆作品自体がほとんど無いですね、藤子A先生…


拙者もだ亥の吉!お前が好きだ!
しかしお前は斬らねばならぬ!ゆるせ!!



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  1. 2011/12/24(土) 23:41:38|
  2. 藤子不二雄
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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