大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

永井豪 (32) 「魔王ダンテ」

今夜は永井豪先生の重要作品の一つ、「魔王ダンテ」(朝日ソノラマ刊)。
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初出は1971年の週刊ぼくらマガジン(講談社刊)で、最初の単行本であるこのサンコミックス版は全3巻。

早速ストーリーを追ってみると、連日連夜『ヒマラヤ山脈の巨大なクレパスの中で氷にうまった大怪物』が登場したり、他にも恐ろしい夢を見るようになった山岳部の高校生・宇津木涼が主人公。彼が日本アルプスの雪山登山中にテレパシーで呼ばれてヒマラヤ山脈にテレポートし、夢で見たあの大怪物…魔王ダンテと対面します。
魔王ダンテ曰く、涼は二千年目に現れた超天才であり、テレパシーに答えてくれた涼の力で閉じ込められている氷の中から自由になれるそうです。ダンテは2千年前に人間だった時はイスカリオテのユダだったと語り、それから涼の心を操って機械を破壊させると、復活して自由の身になりました。そして助けてくれた涼を喰うという…何という非道、さすがは悪魔王!

しかしこれで主人公が死んでしまってはしょうがない…サタニスト達に儀式で召喚され、次に現れた魔王ダンテの額の真ん中の顔が、宇津木涼のそれになっています!何と涼は、魔王の意識をおさえてその頭脳を占領したのです。
善良な人間だったはずの涼が魔王の身体を得たわけですが、変わってしまった自分の存在に悩みます。人間の敵・魔王ダンテとして生きるのか、それとも!?
魔王ダンテになった涼は魔獣ゼノンと百の悪魔と闘い、魔女メドッサに導かれ…『神』や『人間』の正体を知る事になります。簡単に言えば、神というのは超古代に地球へ飛来し、先住人類に地獄の責め苦を強いた上で虐殺した侵略者であり、恐るべき悪の存在でした。それに対抗する地球人の姿を変えたのが『悪魔』であるという、我々の常識を覆す驚きの事実が語られました。
魔王ダンテ誕生の経緯も壮絶です。宇津木涼こそが真の魔王ダンテであった事も分かり、そのダンテのもとに世界中の悪魔を呼び集めて悪魔軍団を結成。今こそ、神を滅ぼす為の戦闘が始まる…

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…と、盛り上がって壮大な戦いが始まる所ですが、この時点で週刊ぼくらマガジンが休刊となり、連載も打ち切られて未完作品となりました!!
メインの戦闘の結果はもちろんの事、まだ名前しか出てきてなかったダンテに次ぐ実力者だという魔王サタンや、魔王ルキフェルベルゼブブアスタロトらはどんなキャラだったのか。作中登場する悪魔達のデザインが素晴らしいだけに、これは気になります。
サタニスト達や、儀式の生贄にされるため誘拐された信心深い女学生・南条あかね、涼の学校にいたサディスト剣道部員で神の側の人間・大柴壮介、涼の妹・沙織に父親で神の結社を指導していた康介…彼らのその後も気になってしょうがないですよ。

こんな所で打ち切られたまま読者を置いてけぼりにした永井豪先生や出版社を恨みたくもなりますが、実はこの作品を発展させてあの超名作「デビルマン」が生まれる事になるのだから…もし完結まで描かれていたら「デビルマン」の誕生が無かったのかもしれません。それは漫画史的に大きな影響を与える事態ですね。
「デビルマン」以降の読者が「魔王ダンテ」を読む際、当然この2作品を比べる読み方をすると思うのですが、もうそこら中に共通点を見つける事が出来ますよ。神と悪魔についても、正に同じですしね。ちなみに前者では悪魔神かつ最強の存在であったサタンですが、後者でのダンテは『サタン以上の悪魔』という事になっています。

未完の傑作「魔王ダンテ」については永井豪先生も思い入れは強かったのでしょう。ずっと後の作品である
「バイオレンスジャック」の誕生20周年記念作品として1993年に描き下ろされた『魔王降臨編』に魔王ダンテが登場するし(大柴壮介も別エピソードで登場してます)、「デビルマンレディー」でも改めて宇津木涼・魔王ダンテらが登場しています。
何より2002年には、月刊マガジンZでリメイク作品が掲載され、こちらは単行本全4巻で完結を迎えました!これは多くの読者が読みたいと願い、30年の時を経て描かれた結末…という位置づけではあるのでしょうが、何しろもう刺激的な漫画を描けなくなった時代の永井先生の手による物。やはりあの時に完結まで描かれるという別の未来があったら違う物だったはずだし、そのイマイチな出来から見ても旧作のファンとしてはあくまで別作品だと思いたいのです。


南条さん あんたの平和で幸福で退屈な人生にピリオドをうってやろう
これからのあんたの短い人生はおもしろいぞ
スリルと恐怖と……絶望にみちている!



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  1. 2012/01/08(日) 23:56:42|
  2. 永井豪
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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