大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

永井豪 (37) 「アイアンマッスル」

今夜は永井豪作品より、「アイアンマッスル」(講談社刊)。
NAGAI-iron-muscle1-2.jpg
初出は1983年の週刊少年マガジンで、単行本は全5巻。

永井豪とダイナミックプロ名義にて、格闘技物とロボット物を融合させた作品です。
この世界ではグラップラー(格闘士)がグラップルマシンと呼ばれる人型の巨大ロボに乗り込み、ロボット同士で格闘する近未来格闘技・ハイパーグラップルが大流行しています。グラップルマシンは内部のグラップラーとシンクロし、その動きをトレースし動く…この設定、まんま「新世紀エヴァンゲリオン」が頂いちゃってますね。ただし、「アイアンマッスル」では性能がそのままグラップラーの戦闘能力に影響されるので、彼らは実際に肉弾戦をやるわけではないロボ操縦者でありながら、レスラーのように身体を鍛えています。エヴァのように可愛くて華奢な女の子が操縦するなんて考えられない世界ですね。
それに「アイアンマッスル」の方も週刊少年チャンピオン(秋田書店刊)の方で既に連載していて人気を博していた牛次郎原作、神矢みのる作画の「プラレス3四郎」から着想を頂いてるかもしれませんが、とにかくこの設定でいきなりワクワクものです。そりゃこんな巨大ロボ格闘があったら迫力はK-1やボクシングとかの非じゃないし、観たいにきまってますから。しかもレフェリーはおらず、相手のマシンが動かなくなるまで戦うのですが、マシンのダメージはそのままグラップラーに伝えられるのだからこれは過酷な競技です。

物語の冒頭で、主人公鋼光一の父にして全日本チャンピオンである偉大なグラップラー・勇次郎(グラップルマシンはキング・アイアン)は、世紀の世界チャンピオンであるウィルヘルム・オーディン(グラップルマシンはオーディン・ザ・グレート)に挑戦するのです。
壮絶な戦いが繰り広げられますが、オーディンの必殺技皇帝の断頭台(カイザー・シャフオット)でキング・アイアンは首をへし折られ、しかも逆転位症候群(インバージョン・シンドローム)という現象(もう面倒なので説明まで書きません)が起こって、とにかくこれで勇次郎は重傷、いや死んだのか…結果は永井豪作品らしい意外な真相がラスト近くに用意されています。

あ、ここで触れなくてはいけないのが…
板垣恵介先生の「範馬刃牙」(←「バキ」「グラップラー刃牙」)の話。グラップラーという言葉が一般的に知れ渡ったのはバキのヒットによる所が大きいと思いますが、この通り「アイアンマッスル」で多用されているし、そして偉大な父親の名前が共に勇次郎。鋼勇次郎と範馬勇次郎で名前が同じ(漢字も同じ)なんですよね。きっと板垣先生はこの作品が好きでオマージュ的に使ったんだと思っていたのですが、QuickJapanのインタビューでは全然違う、坂口松太郎(ちばてつや先生の「のたり松太郎」より)がキャラクターの原形だと語っていて、アイアンマッスルのアの字も出てきませんでした。

それから3年…父の敗北以来オーディンを倒す事を夢見て激しい訓練を続けてきた光一は、父も所属した"JLVグラップル社"で作られた新マシンでグラップラーとしてデビューする事になるのです。
ちなみにこの世界では各国の大企業が自社のイメージアップのためマシンを開発してハイパーグラップルのオーナーとなっています。となると当然、グラップラーの裏方となるスポンサー企業同士の代理戦争も凄くて、産業スパイなども暗躍しています。
そんな中でJLV社がキング・アイアンをベースに人知れぬ山中で開発したマシンは、鋼鉄の筋肉を持ち今までのバトルの歴史を塗り替えるような新型マシン。その名も…アイアンマッスル!乗り込むグラップラーは当然、鋼光一!

NAGAI-iron-muscle3-4.jpg

鋼光一&アイアンマッスルのデビュー戦は、練習生時代に既に生身で一度戦っている因縁のあるデビッド・エルマン(グラップルマシンはザ・ルシフェル)。
アイアンマッスルは父・鋼勇次郎の必殺技ヘッドシザースバスターや、オーディンの必殺技ムーンサルトパイルドライバーまで使いこなし、ベテランであるルシフェルを圧倒します。が、ルシフェルは偽装するため覆われていた外装が剥がれると、その正体は呪われし悪魔のマシンザ・サタンでした!
姿を現してからのザ・サタンは凄まじく、翼と尻尾を出して「デビルマン」みたいになると空も飛べるし、何と超異次元空間に連れていくし、これよりプロレスと科学がドッキングした競技にオカルト要素も入ってくるのです!!デビッドは死んでも魂はザ・サタンと同調して新生命体として甦る…。

この後はハワイのオワフ島で行われる『太平洋トーナメントシップ編』に突入します。また「グラップラー刃牙」の話を出すと、『地下闘技場編』みたいなもんです。
ダイヤモンドヘッドの火口内に古代ローマの円形競技場を模して建設された競技場"ダイヤモンド・コロッサス"にて、世界中の強いヤツらとハイパー・グラップルが繰り広げられるのですが、ここで優勝した者は世界チャンピオンのオーディンとの対戦する権利が得られます!

予選からバトルロワイヤルで白熱する戦いをしてますが、ここで一気に色んなデザイン・能力のグラップルマシンを楽しめます。人型じゃないヤツも多々いるのですが、やはりアイアンマッスルは良いですね。柔軟性もある鋼の筋肉で、全身の大きさや表面も変形し成長するマシンだと判明しました。

16台のグラップルマシンで行われるトーナメントはそれぞれの戦いが面白いのですが、主な所は同じ日本人で女性グラップラーの炎桜子(グラップルマシンはファイアービューナス)、それにお笑いキャラの金村(グラップルマシンはボロボット・ボボット)…こいつは「マジンガーZ」に出るボスボロットに同じじゃないですか!嬉しいスピンオフです。
アイアンマッスルと対戦するのはまずラリアットにジェット噴射が付いてるジェットタイガーオルゴン、次がクリーチャーデザインを映画「エイリアン」(つまりH.R.ギーガー)から頂いてるエイリアン・ゾバダ、そして準決勝が4本腕のゴズマ

NAGAI-iron-muscle5.jpg

続く決勝は超能力マシンのマッド・ガイアスVS怪物マシンのゴッド・ゴーレムによる闘いで勝った方と当たるはずだったのですが、アイアンマッスルをザ・サタンの仇と狙うゴーレムが暴走し、正規のトーナメント戦の前にキラウエア火山で決闘しなくてはならなくなりました…
何と軍の依頼で開発された軍事用マシンでありミサイルも搭載しているゴッド・ゴーレムを倒し、ついでにまだ現世で迷っていたザ・サタンの霊も撃退すると、さらに強敵マッド・ガイアスとの決勝戦へと向かうアイアンマッスル=鋼光一。
さらには鋼光一の、というより全グラップラーの夢である打倒オーディンは成るのか!?

はい、それはですね。結果的には連載打ち切りになったのか、またかの永井豪先生…中途半端な終わり方をしています(泣)
永井豪オールスターズといった感じで豪キャラが登場しまくる「バイオレンスジャック」ではこの作品、微妙な使われ方をしていましたね。
ロボットプロレスという設定は奇抜さもありますが、毎度読者の度肝を抜いていた作者にしてはストレートすぎるバトル物なのが良くなかったのでしょうか。普通にラスボスとの対決が描かれなかったのも悔しいのですが、まだまだ色々なマシンや必殺技を出して楽しませてもらえそうだったのに…


オレはアイアンだ!
オレの肉体は鋼鉄!
オレの筋肉は超金属のたば!
オレはアイアンマッスルだ!!



スポンサーサイト
  1. 2012/02/15(水) 23:59:59|
  2. 永井豪
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:7
<<永井豪 (38) 高円寺博 3 「青春一番」 | ホーム | 永井豪 (36) 「凄ノ王」>>

コメント

永井豪(37)「アイアンマッスル」

[色:990000]色付きの文字[/色v-10]懐かしいです炎桜子ちゃん初登場は真っ裸
なんですよそれではさようなら蒸し暑いです
  1. 2012/09/03(月) 07:20:57 |
  2. URL |
  3. 名無しさん #lIIhmX1g
  4. [ 編集]

炎桜子

>名無しさんさま

そうですね…全裸で砂浜を走る美しき女戦士、といった感じでした。
  1. 2012/09/04(火) 11:53:07 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

>まんま「新世紀エヴァンゲリオン」が頂いちゃってますね

全然違いますが・・・
エヴァは思い描いたイメージをトレースしているのに対しグラップルマシンは実際に体を動かすわけですから。
どちらかといえばGガンダムのモビルトレースシステムが近いかと
  1. 2013/08/24(土) 14:54:30 |
  2. URL |
  3. 通りすがりの狙撃手 #58KFQye.
  4. [ 編集]

エヴァ

>通りすがりの狙撃手さま

あれが全然違いますか。
ほう、実際に体を動かすかそうでないかがキーだったのですね。私は細かい事は気にしない方なので…失礼しました。
  1. 2013/08/27(火) 08:47:31 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

マスタースレーブ方式の操作系って古典ですからね
「Gガンダム」以前だと「ジャンボーグA」なんかがそうです

エヴァは"ドイツ語で考える"くだりからして「ファイヤーフォックス」が元ネタでしょう
イーストウッド主演で映画化されてます
  1. 2014/03/02(日) 19:34:18 |
  2. URL |
  3. というかエヴァは基本パロディ作品 #EqkzR.Ow
  4. [ 編集]

エヴァ

>というかエヴァは基本パロディ作品さま

マスタースレーブ方式って何だろうとググってしまいました。難しい事はよく分かりませんが、確かにあの操縦法は昔からアニメで見ていたかもしれません。
エヴァ検索でこんな所まで来ちゃうのでしょうか、そこに突っ込まれる方が多いですが、まぁ今ではエヴァが圧倒的に一番有名なので、その名前を例に出せば分かりやすいと思って書いた…のかもしれません。もう覚えてませんが。
いずれにせよ、それより前にこれがあるぞー!てな事は、ここでは本質ではないのです。

ついでに先日、友人と話していて「新世紀エヴァンゲリオン」の話が出たのですが、このアニメ自体もう10何年も前に観たきりであり、私は細部をほとんど覚えてない事が分かりました(汗)
  1. 2014/03/02(日) 20:46:47 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

永井豪関連、ロボットアニメでは『獣神ライガー』が継承しているスタイルですね
  1. 2014/07/01(火) 03:01:31 |
  2. URL |
  3. 星川 月海 #dvUYBDnY
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1061-adf2cac7
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する