大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(4) 「俺の右手」

これからしばらく、楳図かずお作品の紹介を進めていきましょう。
今夜は初期作品「俺の右手」(小学館クリエイティブ刊)。
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学生時代から必死で楳図かずお作品を集めてきた私ですが、決して個人の財力で揃える、いや読む事すら不可能だったレアすぎる初期作品を、惜しげもなく次々と復刻出版しまくっているのが小学館クリエイティブ!
楳図作品では「ココ」で紹介したように中野書店による復刻企画などあった事はありましたが、今回は天下の小学館が絡んでますからね…
ひと財産つぎ込んでオリジナル本を集めていたマニアは号泣している事でしょうが、私は単純に喜んで飛びつき、出る度に書店へ走ってました。A5判の大きさでカラーページも多くカバーもちょっと豪華な作りになっているため、復刻本自体も定価2500円とかするのですが、まぁ内容の価値を考えたら安すぎるってもんです。

今回の「俺の右手」は、後の名作「神の左手悪魔の右手」の『原案』になった名作だという宣伝文句と共に登場しましたが、約30年の隔たりがあるこの2作は共通点こそあるものの全く関係ない内容です。
初出は1959年。『劇画』誕生を語る上で外せない貸本短編誌、(セントラル出版刊)にて3回に渡って掲載されました。
佐藤まさあき先生、辰巳ヨシヒロ先生、さいとう・たかを先生…らによるアクション劇画が台頭してきた時期の真っ只中に描かれているため、御多分に漏れず楳図作品でもそういった形で描かれていて、つまりシルクハットに黒スーツのギャングが銃をぶっ放し、それにスリラー色やハードボイルド色を濃く出した感じであり、絵柄も楳図タッチの発芽は見られるものの、我々がすぐに想像するあの楳図絵ではありません。

物語は、女のようにすんなりと生白い、そして悪魔の右手を持つ『俺』こと了太がその手に苦しめられる話。自分の意思に反して勝手に人を殺して金を奪うその右手を恐れて生きていたのですが、そいつがたった一人の肉親で大好きなおじさんまでも殺してしまい、さらにヤクザの組同士の抗争に巻き込まれていく。
ラストで了太は、そしてその右手はどうなるのか…暗い影の残るどんでん返しと、解かれぬ謎も見ものです。
楳図かずお先生と同じくホラー漫画の大御所である日野日出志先生の「ゆん手」は、もしかしてこの作品にヒントを得ているのでしょうか。

さらにこの本には、希少作品があと3編を併録されています。
1960年の「人を呪わば」は憎み合う墓石彫り同士の怪奇譚。1963年の「くも妄想狂」は…おお、本書では年代も一番新しい作品なので絵も内容も正に楳図かずおタッチ!まだ恐怖マンガ家として知られるずっと前の物ではありますが、ここで描かれたような人間心理が生み出す狂気や肉親同士の醜い争いが、後に発展してあれらの名作群に昇華されるわけですね。最後に1960年の、ギャング物と空想的なアイテム(イボ)を組み合わせた「イボのある男」と続くのです。
巻頭には貴重な掲載誌の表紙がカラーで載っているし、巻末には『俺の右手 読本』として著者インタビューに続いて実写映画「神の左手悪魔の右手」で脚本を担当した松枝佳紀氏による変わった解説文付きですよ!


俺は…俺は知らない!!
右手だ!右手が勝手に 俺の知らないあいだに
あんな恐ろしいことをやってしまったのだッ!



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  1. 2012/03/22(木) 23:30:57|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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