大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(5) 「まぼろし少女」

昨夜に続いての楳図かずお作品より、「まぼろし少女」(小学館クリエイティブ刊)。
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これもデビュー50周年記念に『楳図かずお復刻シリーズ』として次々に幻の作品を出版した、小学館クリエイティブによる快挙無かりせば読む事の出来なかった、楳図かずお初期少女漫画。
初出は1959年で、前回紹介した「俺の右手」の直後に貸本短編誌の(金竜出版社刊)で創刊号から10回に渡って連載された作品になります。今回が何と初単行本になるのですが、判型はA5判だし、268ページの分厚い本にでカラーページもあるので定価2940円と多少高かったものの…いや前回も書いた通り内容の文化財的な価値や、楳図史を辿る意味を考えれば安すぎます!もちろん速攻飛びついた私でした。

まずこれはアンデルセン童話「赤い靴」がモチーフになっていて、劇中劇としても使われています。私も幼年期は童話が大好きで、同じ絵本を何度も何度も読み直していた口ですが、童話ってけっこう嫌な後味を残す話が多いのですよね。この「赤い靴」もそんな一つで、かなーり辛い話でした。
少女漫画である事は既に書きましたが、そんな童話に幽霊や人間の持つ異常な執着心なども登場する楳図かずお節が絡んだ怪奇幻想漫画としても楽しめるようになっているのです。50数年前に描かれた(!)古い作品で、しかも普段私が読みつけない少女漫画というのに、面白い面白い。絵の可愛らしさやお洒落なファッションといった、少女漫画の持つ良い所だけ上手く使い、まぁキラキラして大きな眼やセリフのクラシカルさで寒さは感じるものの、当時から持っていた才能の非凡さを感じます。

主人公の小野弓子は、バレエダンサーだった亡き父・佑介の夢を引き継いで5歳の時からバレエを習いだし、お手伝いさんや針子仕事で苦労しながら自分を育ててくれてる母、そして妹の美智子とで貧しい母子家庭に暮らす少女。
"月宮ヒカル・モダンバレエレッスン所"の「赤い靴」公演で主役のカーレン役に選ばれた弓子ですが、才能の限界か求められるレベルの踊りはどうしても出来ない…発表会を明後日に控えながら、主役を親友の雪子に代えられてしまうかもしれないという状況になって落ち込む弓子が野菊でいっぱいの草原を歩いていると、そこに素敵な赤い靴が置いてあります。
その靴を使うとあら不思議、上手に踊れて主役として公演も成功させるのですが…その不思議な靴にはバレリーナを夢みて死んだ少女・青江夢子の幽霊が取り憑いていたのです!となるとアンデルセン童話のように不幸の影が襲ってくるかと思いきや良い幽霊で、貧しい小野家がある金持ち夫婦との出会ってお金で苦労しなくなるきっかけもくれるのです。
生と死・現実と夢の間で彷徨い踊るファンタジックな表現、それに母と娘の絆を主題にした辺りまで、徐々に後の作品へ発展しながら受け継がれていきますね。同じくバレリーナの話に1958年の「母よぶこえ」がありますが、これは「ウメカニズム」(小学館刊)のインタビューで『卑弥呼の亡霊の話を描こうと思っていたのに、悲しいバレエの話に変えられたり』と制約があった事を語っているように、不本意な作品だったようです。

あと今作では、巻末に楳図かずお研究家である金子デメリン先生の漫画「ウメズモ-楳図かずお物語-」も収録されていてお得です。
KANEKO-umezology1.jpgKANEKO-umezology2.jpg
↑こちらは楳図かずおレポートCOMICS「ウメゾロジー」です。

これはウメゾロジーについてきたデメリン先生の可愛い栞。
KANEKO-umezology3.jpg

あんなにあんなに あこがれていたバレエ……
でもとうとうわたしは ユメをかなえることができずに死んだのね…
でも…………でも…夢子のたましいは いつもこの赤い靴に宿っているの!
そしてこの靴をはいた時 その人のからだに夢子のたましいがはいりこむの!



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  1. 2012/03/23(金) 23:32:52|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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