大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(11) 「キツネ目の少女」

今夜の楳図かずお作品は、「キツネ目の少女」(秋田書店刊)。
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1963年の(金園社刊)にて連載された、小野さつき&かんなの『山びこ姉妹シリーズ』の第一作目。これは奈良県の山奥で幼少期を過ごした、楳図かずお先生自身の経験を生かした民話・伝説系のシリーズですね。

冒頭でいきなり木のてっぺんに登って姉のさつきを待つ、妹のかんなが可愛い!
すべり落ちてきたかんなのスカートが風でめくれると、何とノーパン!それを見てさつきは『な 何よその態度!!』と怒る…迎えに来て、いきなりあそこを見させられた事がそんなに腹立たしかったのでしょうか。何故ノーパンだったかといえば、降りる時に上の方の枝にパンツをひっかけちゃって置いてきていたのです。
ちなみに名前の由来は、五月(さつき-5月)生まれだからさつき、神無月(かんなづき-10月)生まれだからかんな、です。

それからのどかな山中村の紹介に移ります。家が二十三軒しかなく、小学校の児童は全校で十三人、先生はたった一人という事で、授業は小学1年~6年まで一つの教室で行っています。さつきは中学生なので、隣の町まで通っているのです。
村のお山には守り神の『おキツネさま』がいて、尻尾が二つあって少女に化けて出てきた時のエピソードをお婆ちゃんが話してくれるのですが、それが作品のメインエピソードにつながる事になる…

姉妹はお婆ちゃんに頼まれておやしろにお供え物を置いた帰り道、夕立ちの中を千年ほこらの杉の木で雨宿りしている少女・奈美子と出会います。
これが都会から来たお洒落な子で、村長の親戚。その田舎者をバカにしている生意気な態度もあってさつきは対抗意識を燃やすのです。
しかもさつきが夏休み自由宿題の研究課題として選んだ『キツネと迷信について』を奈美子も調べに来たというからさぁ大変。少女同士の対立が激化するのですが…

別の日にさつきと問答している最中に、迷信否定派の奈美子が突如おキツネさまに憑依されて、奇怪な行動を取り始めるのです!
単行本の半分ちょっと過ぎてから始まる、ここからがこの作品の怪奇漫画という観点からしたら見せ場の部分ですね。その異変にはタネ明かしが有り、でもそれだけでは説明出来ない事実があって…謎が謎を呼び、楳図先生の優れたストーリーテリングを楽しめる傑作でした。

対立していた少女達が最終的には認め合う所は嬉しいし、何よりもう、さつき&かんなの一挙一動を見ているだけで微笑ましいこの「キツネ目の少女」。元々は「山びこ姉妹紹介編」「狐つき少女」として掲載した物をまとめた上でホラー色を強調して加筆修正した版を、秋田書店のサンデー・コミックスで単行本化する際に改題した物です。
それでは逆に加筆される前の、初出時のオリジナル版が読めなくなっていたわけですが、またしても小学館クリエイティブ「やまびこ姉妹」として復刻してくれたので、今では両方の版を読む事が出来ます。
UMEZU-yamabiko-sisters.jpg
(あー、可愛い。実際この内容ならサンデー・コミックス版のように怪奇色を強調しなくても良いと思います)

『山びこ姉妹シリーズ』はこの後1964年に「へびおばさん」、1965年に「狐がくれた木の葉っぱ」(これは「ココ」で紹介済み)、1966年に「へび少女」と年に一回ペースで続いていたのですが、ライフワークになるには至らなかったのでしょうか。


ほほほ ほほほ くるしむがいい もっとくるしむがいい
けものたちが くるしんだ分だけくるしむのだ!
ほほほほ



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  1. 2012/04/09(月) 23:59:24|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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