大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(12) 「百本めの針」

続いての楳図かずお作品は、「百本めの針」(秋田書店刊)。
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今回は初期作品ばかり6編を収録した短編集です。

収録順に見ると、まずは表題作の「百本めの針」。1965年の少女フレンドで掲載された作品です。貸本漫画家だった楳図かずお先生の雑誌デビューはこの直前に同誌で描いた「ねこ目の少女」になりますが、その次に描いた作品ですね。
母子家庭で盲目の少女・冬子が、小さい時からの仲良しで今でも唯一の友達である比奈子に対して丑の刻参りに似た方法で呪いをかける。それは比奈子の髪の毛と着物のはぎれで作った人形へ毎夜中に針を一本ずつ刺していき、百本になると完成するのですが…
それも冬子は純粋な気持ちで、そうすれば比奈子と本当の友達になれると思い込んでやっているのだから、怖い。この精神的な恐怖譚を、少女漫画向けに描いた楳図先生のメッチャクチャ可愛い女の子達が展開している事も相成って凄いですね。

「呪いの面」(初出時のタイトルは「のろいの面」)は、1965年の別冊少女フレンドで掲載された作品。
あや子雪子の、仲良しで二人揃って美人の女学生が、あるお面マニアのお爺さんと知り合う事で巻き起こる恐ろしい事件は、二人が殺し合う所にまで発展するのですが、これはお面のせいではなくお互いを嫉妬し合う二人の潜在意識が起こしたのだとしたら、怖い…

「呪われた屋敷の少女」(初出時のタイトルは「きちがい屋敷の少女」)も、同じく1965年の別冊少女フレンドで掲載された作品。
家が貧しいためにまだ幼いの働きに出る事となった少女・えりかですが、奉公先のお屋敷には顔中に包帯を巻いた奥様と娘の阿毛美がいた。ある年齢になると顔がただれる、という家系に生まれた彼女らの目的は、美しいえりかの『顔』にあった…
これは正に、先日紹介した「洗礼」の元ネタの一つと言える重要作品だと思います。

「呪いの振袖」(初出時のタイトルは「のろいのふりそで」)は、1966年のなかよしデラックス版で掲載された作品。
江戸時代に建てら、豊臣家ゆかりの人が住んでいたという古い家に越してきた一家の娘達が…これまた美人姉妹ですが、蔵で見付けた振袖を着た事によって大昔の恨みを背負ってしまう話。

「幽霊がやってくる」(初出時のタイトルは「ゆうれいがやってくる」)は、1965年の別冊少女フレンドで掲載された作品。
毎夜バイオリンの練習に励む少女・朝子の元へ、その音を聞きに幽霊がやってくるようになります。はっきり姿が見えるものだから、ママと一緒に後をつけたらある病院に入っていき、その正体は死にかけている重体患者の生霊だったと分かるのですが、次の夜にあの世へ道連れにされる事が分かりました!それをふせぐべく、ママが一計を講じる…

「地蔵の顔が赤くなる時」は、この短編集では一番古い1963年の劇画マガジンで掲載された作品。これだけ少女誌向けの作品ではなく、それどころか佐藤プロの貸本に描いた物なので絵柄も劇画。タイトルもいいですね。
高麗島という閉ざされた島で、守護神である地蔵に毎日お供え物をして世話する与作は、地蔵の顔が赤くなった時に島が沈むとお告げを受けるのですが、他の島民はバカにして笑うばかり。ある事で本当に地蔵の顔が赤くなるのですが、やはり島民は逃げようとしない。与作の恋人・なみも島に残るのですが…高麗島は九州の海の底に水没していく。
この出来事は地蔵のお告げなんかではなく、与作の予言だった…というオチが付けられる楳図SFの傑作でした。

そんなわけで今回は最後のを除いて、雑誌の世界に進出した区切り年である1965年の意欲作が多く収録されているのが特徴です。
絵も怖いけど、それよりサイコ・スリラーの作り手として世界でもパイオニアである楳図かずお先生のこれらの作品を、なかよしやフレンドなどの誌面で夢みたいな恋愛漫画を読む傍らで盛り上げていた、当時の少女読者にも拍手したいと思います。


むかし 丑の刻参りというのがあったそうね わたしにたようなことをしてみたの
でもやめないわ だってもうすぐ百本だもの
そうしてあなたの目が見えなくなれば ほんとうのお友だちになれるんだもの



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  1. 2012/04/12(木) 23:43:46|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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