大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(13) 「黒いねこ面」

楳図かずお作品より、「黒いねこ面」(秋田書店刊)。
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初出は1966年の週刊少女フレンドで、16回に渡って連載された長編です。

物語は安政4年の昔を舞台に始まります。
ある城の乱暴な殿・柴田兵庫は、医師の竹庵が薬の調合を間違えたために斬り殺してしまいました。さらに竹庵の妻と、娘のお美代まで投獄され、果てに壁に塗りこめて殺してしまいました。
その危機を事前に察知していた飼いネコのクロは必死に食い止めようとし、殿の母親を殺して化けるまでしたものの力及ばず、自分も死んでしまったのです。

しかし時は流れて現代。
柴田医院を経営する医師・柴田正雄はあの殿の子孫であり、随分待たせたものではありますが、クロによる怨念の復讐が今、開始される…

嵐の夜、柴田の妻に初の赤ん坊が産まれますが、その子はネコ人間だったのです!
過去の呪いによって子供にネコが生まれる、ここはタイトルがそっくりな「猫面」を土台に使っていますね。
柴田院長はすぐに他に生まれた赤ん坊と取り替えてしまうのです。取り替えられた可哀想な子は、大森たまみ。つまり大森家の子は柴田えみ子として、柴田のネコ人間は大森たまみとして育てられるのですが、その事を知らない大森家の人々が、柴田医院を訪れて…と、物語は因縁に決着をつけるために展開していきます。

ネコの姿のたまみは柴田院長に無理矢理整形手術をさせようとし、それをだまして殺そうとする柴田院長。
その時にたまみは、自分がクロである事をはっきりと告げるのですが、それが
『わたしは むかしお前の先祖 柴田勝之進にお千代の家族とともに殺されたクロじゃ 今こそかたきをうつ時がきた……』
と言ってまして、こんな大事な時に名前を間違えているのは(柴田勝之進→柴田兵庫、お千代→お美代)、やはりあくまでネコの頭、という事でしょうか。

とにかくたまみに対する手術は強行されるのですが、その手術シーンが強烈!何と麻酔無しでメスをぶっ刺し、顔の皮をベリベリと剥いだりしてます。ショックと恐怖で一時的に頭が狂った柴田院長は、笑いながら手術を完成させました。
それからえみ子の通う"藤波学園"に転校してきたたまみは、えみ子そっくりの美しい顔になっています。そして二人は入れ替わり、何故か家に槍や日本刀を置いてある柴田院長は実の娘として育ててきた方のえみ子を追い回し…あれ、本当はこっちが大森家の娘なわけで、二度入れ替わったから元に戻っているわけですね!

最後は大昔に壁に埋められた死体がゾロゾロと蘇って襲ってきて、末代まで祟った執念深いクロの復讐は終わりを遂げる…
しかし柴田家がかつてネコのクロとその主人を殺した因縁から現在の状況を生んだわけですが、いつの間にか呪いのネコに追われる被害者側みたいに描かれていますね。
ただの呪いと復讐の話にせず、いつまでも主人を想うネコの気持ちと、狙われる側も家族を想う気持ちを前面に出していて、楳図かずお先生らしい哀しい話に仕上がっています。

また巻末には「赤い服の少女」という短編が併録されているのですが、これは別冊少女フレンドにて1965年に発表された作品。
これは劇団ひまわりに1年ほど在籍していた事もある、楳図先生自身の体験を生かして描かれた演劇漫画。そのジャンルといえばの美内すずえ先生による「ガラスの仮面」より10年も早く描かれています!
タレントに憧れて"劇団ドリーム"に少女・春山そよぐが、ライバルの香川美保としのぎを削る話。実力で並ぶ二人が目立つために目を付けたのは"ガールズショップ"で売られていた素晴らしい赤い服。それを先に手に入れた美保に、スターへの道をつかまれてしまうのですが、しかし…運命の悪戯というヤツを描く作品でした。劇団の内幕も勉強になるし、ここでは省略しますが細かい部分で突っ込み所も有り、好きです。


いよいよ わたしのふくしゅうが始まったんだよ
ばあや えみ子をしっかりつかまえておいで
ばかめ のこのこでてきおって……
その顔をめちゃくちゃにされるのを はやめるだけなのに……



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  1. 2012/04/15(日) 23:00:00|
  2. 楳図かずお
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コメント

あるホラー映画を思い出しました

今日は、変化です。
ウメズかずお(漢字でなかったのです。すみません)先生の「黒いねこ面」作品は、昔見た、化け猫のホラー映画DVD(タイトルは忘れましたが)にラストは違いますが、内容がよく似てるのです。
  1. 2012/08/14(火) 13:57:24 |
  2. URL |
  3. 変化 #-
  4. [ 編集]

化け猫ホラー映画ですか…

>変化さま

それは、かつて人気を誇り量産された日本の怪談映画ですかね?怪談映画には化け猫って定番ですからね。
でもどれだろう…あ、DVDで観たって事はかなり数が限定されますね。となると中川信夫監督の「亡霊怪猫屋敷」あたりでしょうかね。過去の因縁からつながる現代モノだし。
やはり楳図かずお先生も時代的に大蔵怪談とか観てただろうし、意外と映画からそのまま影響受けている作品も多いので…変化さまが観た映画が元ネタの可能性は高いと思いますよ!
  1. 2012/08/14(火) 20:20:01 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

あっそれです

今晩は変化です。
あっそれです。思い出しました。中川信夫監督の「亡霊怪猫屋敷」でした。映画の内容は過去から現在に怨念という内容はウメズ先生(漢字が出なくて本当にすみません)「黒いねこ面」よく似てました。
  1. 2012/08/14(火) 21:25:53 |
  2. URL |
  3. 変化 #-
  4. [ 編集]

亡霊怪猫屋敷

>変化さま

あ、ズバリでしたか!
ちょうど私は中川信夫作品のファンなので思い当たりましたが、確かに共通する内容ではありますね。
ああ、中川信夫監督の話が出たのでまた「東海道四谷怪談」を観直したくなってきました。10回以上観てる作品なのですが…
  1. 2012/08/14(火) 23:59:23 |
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  3. BRUCE #-
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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