大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(142) 上村一夫 22 小池一夫 12 「修羅雪姫 復活之章」

先日紹介した「修羅雪姫」の続編、「修羅雪姫 復活之章」(小池書院刊)です。
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単行本上下巻の全2巻で、実写映画版に出演した二人が帯に登場してますが、原田芳雄さんの方は昨年永眠してしまいました…

もちろんこれも上村一夫作(絵師)、小池一夫作(戯作)で、2本目の実写映画化「修羅雪姫 怨み恋歌」に合わせて1973年末から翌年までの週刊プレイボーイ(集英社刊)にて連載した作品。
前作の本編と言うべき復讐譚は版を変えて何度も出版されていましたが、こちらは何と2006年12月に初めて単行本化されるまで幻の作品扱いだったのだから、不幸な扱いです。帯文を読むに、映画に主演した梶芽衣子すらも今作の存在を知らなかったのではないでしょうか。
この同時期に公開された映画版と、漫画版…共に二本目の続編となるこれらの内容は関係ないのですが、どちらも反体制運動に巻き込まれる所が共通点と言えますね。

さて「修羅雪姫 復活之章」ですが、そこまで単行本にならずにいたのは決して失敗作だからではないと思います。というのもまだまだ上村一夫&小池一夫両者の全盛期に描かれた作品であり、物凄く面白いのですから。
どうやら前作のラストで復讐を果たした後に海に身を投げた雪が、ある男に助けられたと同時にいきなり殺し合いの場面に巻き込まれ…そこから1年半後の世界が描かれています。前作と比べて特筆すべきは、修羅雪姫こと鹿島雪の人生に、実在の人物を絡めている事!

人殺しである雪が、今回は何と"御茶ノ水女子高"で『スエーデン式体操』を教える教師となって登場します。それは井口あぐり(実在する、日本女子体育の母)と出会ったからで、そのためにまた血生臭い修羅の世界で生きる事となるのです。
伊藤野枝樋口一葉も登場して雪に命を助けられたりしますが、この二人といえば後の上村一夫作品でも出て来ますね。そう…前者は「菊坂ホテル」で、後者は「一葉裏日記」でと、共に後期の重要作品で扱われています。

雪が毛唐の体操であるスエーデン式体操を教えているという事で"立憲玄武党"という国粋主義の団体から責められた時は、いきなり男達の目の前で全裸になり、時に大股開きもするこの体操を実践してみせるほどの熱心さを見せますが、全ては井口あぐりらの恩義に報い意思を継ぐため。
しかし実在の人物である井口あぐりらが、今作で最大の敵である陸軍省の奴らから激しい拷問を受け、犯されたりもしているのですが…さらに歴史と違い殺されちゃってますが、この内容は大丈夫なのでしょうか!?
散々いたぶられた後に、ようやく雪がかけつけ…『修羅雪姫参上!!』と叫んでの登場シーンから敵達を次々と斬り捨てるのだから、スーパーヒロイン物としての部分が強くなっていますね。

新たに判明する「修羅雪姫」の続き部分として、幼少時代から雪を鍛えたあの和尚は既に他界しており、荒れるにまかせているお寺も出て来ます。
今回の修羅雪姫は反政府活動に加担するため『てろりすと』として扱われるのですが、考えてみれば元々が大量殺人犯で追われる身…しかし捕まらないのも納得出来るほど、とんでもなく強いだけじゃなく演技・変装の名人で度胸があり、頭が良くて機転が利くのですね。
そんな雪でも大ピンチという場面は出てくるのですが、その危機の脱し方もまた小池一夫的であり、上村一夫絵が随所でそれを盛り上げ…唸ってしまうほど素晴らしい。こんな作品が埋もれていたなんて信じられませんが、とりあえず今は単行本化している事に感謝しましょう。


わが身の数奇を悲しみ 罪業を悔い
せめて世のため人のため いくばくなりと
役にたってから死にたいと願う身に
いかで再び修羅の舞いをまわせるや



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  1. 2012/05/08(火) 23:59:08|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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