大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(18) 「恐怖」

楳図かずお作品より、「恐怖」(秋田書店刊)です。
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楳図かずお先生が描いてきた一番重要な主題である、そのものズバリ『恐怖』をタイトルにしたオムニバス短編集ですが、収録されているのは『高校生記者シリーズ』と呼ばれ、月刊平凡(平凡出版刊)で1966年から1970年までの長期に渡り連載された物です。

その名の通り高校生の新聞記者が主人公で…いや、記者とはいっても"みやこ高校"の新聞部というだけですが、そこに所属する荒井エミ子青木夏彦が体験したり、時にはただ聞いただけだったりする恐怖譚を集めた短編シリーズ。
このサンデーコミックスでは月刊平凡掲載の21編を全3巻で収録しているのですが、順番やタイトルを変え(そりゃ「きちがいの住む家」なんてタイトル変えなきゃまずいですか…)、加筆修正もした上で以下の通りに収録されています。

1巻は「うばわれた心臓」「吸血面」「毒ガ」「恐怖の館」「白い右手」「顔を見ないで」「こわい絵」「雪女」
2巻は「魔性の目」「とりつかれた主役」「800年目のミイラ」「枯れ木」「孤独なヨット」「夜あるく者」「雪山のまねき」
3巻は「みにくい人」「サンタクロースがやってくる」「われたつり鐘」「コンドラの童話」「イヌ神つき」「灰色の待合室」

同シリーズにはこの時は単行本未収録だった「悪魔の24時間」という作品があり、2001年に「単行本未収録作品集 妄想の花園」(小学館刊)で初収録されました。
また最後の「灰色の待合室」だけはエミ子らが登場しない…つまり高校生記者シリーズでない物で、1969年にティーンルック(主婦と生活社刊)で掲載された作品。

描かれた順番で言うと「800年目のミイラ」が一番最初であり、内容的にも登場人物紹介があるし絵柄もその時期の物です。最初はエミ子がテリーというニックネームで呼ばれており、その設定はすぐに消滅したのだな…なんて事も分かります。
しかしあえて「うばわれた心臓」(後に実写映画化もしている作品)をトップに持ってきた事で、読者に多大なインパクトを与えるのに成功していると思います。女生徒たちが百物語をする話なのですが、生きているのに死んだと思われ、声が出せぬまま手術で心臓を取り出されて親友に移植されてしまう…うわー!
現に保育園時代に読んでしまった私、この話を一番覚えてました。おっと実はこれ、個人的な思い出がありまして…そうですよ、幼少期に友達の家にあったお姉ちゃんの本から読んでしまい、心底震え上がった作品なのです。つまりこの「恐怖」の第一巻が、私の楳図かずお初体験本でした。

次の「吸血面」では「ロマンスの薬」のオバQ顔したチュー子がいきなり出てくるし(ここでは『聞きこみ屋のチエ子』という役)、小泉八雲の「怪談」を漫画化したような作品からSF作品、幽霊・モンスター物、不条理ホラー、やはり得意の美醜と女の心理を描いたサイコホラー…
バラエティ豊かにあの手この手で読者を怖がらせる、極上のアンソロジー集である事は間違いありません。一つの短編として見て楳図先生屈指の名作と評価出来そうな作品もいくつかあります。

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おわっ、この3巻の表紙がまた怖い…

今回は短編作品個々の紹介は避けておきますが、最後にまたカバー内側にある楳図先生の言葉を載せておきましょう。
『恐怖は……実生活の中に、ひそかにたむろするとともに心の虚構の中にたくみに、その姿を組み立てはじめる。人によって、ついに恐怖のとらわれの身となる人もいれば、ひややかな笑いで恐怖をあざけることさえ出来る人もいる。あるいは、心の中の経験とするなら、最後の一点をめざして、積み上げていく微妙なかけ引きは、どんな物語よりも強烈に感情をとらえて、はなさないでしょう。
これは、恐怖を多角度のパターンで、集めたものです。』

とありました。


助けて!!ああっ 声が出ない 私は意識があるのよっ!!
私はまだ死んでいないのよ 生きているというのに!!助けて!!



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  1. 2012/06/01(金) 23:49:42|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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