大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(19) 「ミイラ先生」

楳図かずお作品より、「ミイラ先生」(秋田書店刊)。
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初出は1967年の少女フレンド(講談社刊)です。

この時代の楳図かずお作品といえば自身の故郷を投影した田舎が舞台の作品の方が多いと思いますが、実は強い西洋趣味の『洋館』が舞台として登場する作品もけっこうありまして、この「ミイラ先生」はその代表格でもあります。
派手な洋館のみならず、"聖白バラ女学院"なるキリスト教主義の学校(つまりミッションスクール)の人々を描く学園ホラーで、スプラッター的なグロテスク表現は抑えつつも十字架、教会、修道女、吸血鬼などを重要アイテムとして使い、極め付けに楳図先生の美しい少女漫画タッチの画風ですので…これはゴシック文化に興味ある人々、現在の若いゴスロリちゃんなんかにもアピールしやすいと思います。

物語の内容はといえば、教会の地下に長年安置されていた聖アンヌのミイラがよみがえって葉山先生と入れ替わってなりすまし(この設定にシスター服は便利)、女学院の生徒達を襲う…という物。
主人公はしつこく襲われまくる美少女・絵美子。ただ怖い怪物が出てくるだけでなく、自分の身近な存在が怖ろしいモノに入れ替わり、かつ周りの人に信じてもらえず恐怖を増す設定は、「まだらの恐怖」の時に紹介した『へび女モノ』と全く同じ。あれのへび女がミイラになったと思っていいし、ミイラとはいえ吸血鬼なんですよね。包帯を伸ばして獲物を捕まえるシーンがあったから、そこでミイラの設定を活かしたくらいか。
おや、この作品でも「ロマンスの薬」のチュー子が女生徒の一人として登場しています。

ちなみに復活して人を襲いまくるアンヌのミイラが何故この教会に安置されていたのかというと、
『バテレンとよばれた昔 日本へわたってきたわたしは美しかった だがわたしは幕府の者にはくがいされミイラにされた
そうしてよみがえったときわたしの顔はこんなになっていた たしは何としても もとのきれいな顔をもどしてほしい
それには血が…………きれいな…きれいな の子の血が

という事で、江戸幕府による禁教令の犠牲になった楳図かずお作品にありがちな悪役の悲しみも与えようとしているのですが、これはあまり同情出来ません!ラストのオチでも、登場人物にシビアな事を言われて終わってます。

おなじみ小学館クリエイティブからは、少女フレンドで連載直後に佐藤プロから刊行されたオリジナル版である単行本を基にして「ミイラ先生」「続ミイラ先生」という2冊で2007年に復刻されました。
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「続ミイラ先生」の方には「4年目が怖い」「のろいの面」の2編が併録されています。

今回紹介しているサンデーコミックス「ミイラ先生」に話を戻すと、それは1965年の少女フレンドで連載された「ねこ目の少女」が同時収録されています。
猫が嫌いで部下に捕まえさせては殺していた加賀の殿さまに女の双子が生れますが、一人は猫の顔をしていた…はい、「猫面」「黒いねこ面」などでも見られるプロットですね。
殿さまは我が子に毒を盛って殺し、その時の因果が現代に現れる…というのも、まぁ何度も見ているような気がしますがそれだけ読者にウケる定番ネタだったのでしょう。もちろんこの作品ならではのトラウマシーンもあり、しっかりした名作です。


聖なるミイラのはずだったのに…
すすんで神の世界を選んだはずが どこでこんなに狂ったんだろう
でも見ろ 今度こそ完全に神の世界にかえったんだ



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  1. 2012/06/05(火) 23:00:00|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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