大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(23) 「蝶の墓」

楳図かずお作品より、「蝶の墓」(朝日ソノラマ刊)です。
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朝日ソノラマから出た『シリーズこわい本』のシリーズの2巻目に当たり、画像の左は1983年初版のサン・コミックス版で、右は1990年に同内容を装丁変えて再出版されたハロウィン少女コミック館版。

ハロウィン少女コミック館版の初版時に付いてた帯を巻くと、こう。
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今回の「蝶の墓」は単行本1冊を丸々使った長編で、初出は1969年のティーンルック(主婦と生活社刊)で連載された作品。
物語は主人公・丘ノ上めぐみの母の悲しい一生を語る所から始まります。彼女はまだ赤ん坊だっためぐみをかばってベランダから落下死したため、その事に罪悪感を感じながらもめぐみは10代の美少女に成長しました。
ただ罪悪感こそ抱えながらも何不自由ない家庭に生まれためぐみには異常と思われる部分があり、それは蝶々恐怖症。普通人間が怖がる対象ではない蝶を病的なまでに恐れるのですが、ただの蝶にあの楳図かずお作品特有の大口をあけて『きゃーーーっ』と(もちろん描き文字も怖く!)恐れる描写がされるのだから、滑稽ですらあります。

物心付いた頃からハッキリ蝶が怖かっためぐみですが、周りはもちろん自分でも分からないその原因というのが物語のキーポイントになります。
母の命日別荘へ墓参りに行くと、片目で口も不自由な墓守りの多吉なる醜い男も出てくるし、めぐみの病気もひどい方へ進展していき…めぐみにしか見えない幻の蝶が現れて不思議な力を見せてくれるのですが、これは何の意味があるのか!?

父の再婚相手の女が登場すると物語も佳境に入ります。
めぐみはその女を蝶だ蝶だと騒いでキチガイ扱いされてついには精神病院に入れられますが、女も『わたしは蝶ではない!わたしは蝶ではない!』と自ら言い聞かせ、何らかの恐怖を感じている様子…
蝶恐怖症の原因として、めぐみの物心付く前の恐怖体験がトラウマとして残っていた事が判明しますが、それと同時にある殺人事件が暴かれるのです。
物語の筋立て、展開の見事なサイコ・サスペンスであり、意外な結末まで突っ走る後半の展開は興奮もの。

めぐみが母親になっている後日譚まで、楳図かずお作品有数のきれいなまとめ方で終わっています。
それから今回強調している蝶の"絵"としての美しさ…凄い。耽美的な傑作として評価も忘れてはなりません。
あるインタビューでは、あの伊藤潤二先生が『蝶の墓は長編として、私の理想とする作品。芸術作品である。』と答えていました。

今作でもスターシステムが使用され、「ロマンスの薬」に出てた、オバQ似のチュー子や眼帯女子の姿も見えます。
(これは多いので、もう次回から書かなくていいですかね)


蝶はおそろしいわ!
蝶は悪魔よ……蝶は…よくないのよ 不吉よ…
蝶は世の中の邪悪のすべてよ!



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  1. 2012/06/25(月) 23:00:00|
  2. 楳図かずお
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:4
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コメント

子供の頃、初めて読んだ楳図作品は「蝶の墓」のハードカバー版でした。懐かしいな、もう一度読みたい!
  1. 2012/06/27(水) 18:43:28 |
  2. URL |
  3. #-
  4. [ 編集]

ファースト・インパクト

子供の頃に読んでインパクトを受けた経験というのは格別ですよね。しかも「蝶の墓」が最初だったとは素晴らしい。
楳図作品は傑作ばかりなので、私など今でも毎回興奮して読んでいるものの、やはり子供の頃のドキドキ感とかは失われていますから…
  1. 2012/06/28(木) 17:30:13 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

おほ

なぜかこのコミックは持ってる!
サンコミックス版。

グロさはないけどサイコホラーがハリウッド映画的でもありますね。
私もこれを読んで以来恐怖で蝶が食べられなくなった!!
  1. 2012/07/12(木) 00:03:25 |
  2. URL |
  3. 人質 #/.OuxNPQ
  4. [ 編集]

めぐみ

>人質さん

お、楳図かずお作品の中では比較的目立たない「蝶の墓」を持ってましたか!しかも色々詳しい貴方ですが、サンコミックスとかのビンテージ本を買っているイメージは全然無かった。

それまでは好物だったであろう蝶を食べられなくなったのは残念でしたね!!あんなに美味しいモノを・・・
  1. 2012/07/12(木) 11:13:08 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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