大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(30) 「おそれ」

楳図かずお作品より、「おそれ」(朝日ソノラマ刊)です。
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朝日ソノラマから出た『シリーズこわい本』のシリーズの10巻目に当たり、画像の左は1985年初版のサン・コミックス版で、右は1991年に同内容を装丁変えて再出版されたハロウィン少女コミック館版。
今回は3編の物語と、楳図かずおミニ画集とでも言うべき物が収録されていますので、順に見てみましょう。

まず表題作の「おそれ」は1969年のティーンルック(主婦と生活社刊)で掲載された作品。
ヒロインの藍子は、いつもチヤホヤされている美しい三つ年上の姉・桃子と比較され、無視される事の不快感・悲しみを覚え続けながら成長します。そんな藍子が高校三年になった時、ある事故で桃子が顔に大怪我を負うと…容赦なく醜くなってしまいました。
それからの桃子は極端に性格も変貌して妹を虐待するようになるし、恋人の高也に捨てられる恐怖も入り混じってついに恐ろしい犯罪を犯すようになるのです。
そしてラストで全てが明らかになる、ある人の恐ろしい陰謀!!
容姿に対するこだわりがいつも偏執狂的な楳図作品らしいこの愛憎劇は、すぐ後に描かれたタイトルも似ている「おろち」でこれをアレンジして膨らませたエピソードが見られます。人間の奥底に隠してある、真実の姿とは…いつもながら深い内容だ…

次の「恐怖人間」は1962年の残酷物語(佐藤プロ刊)で掲載された作品で、原題は「恐怖人間 残虐の一夜」
この本では「おそれ」に続いて収録されているので、どうしても絵や作風の違いを比べてしまって…まだ絵が未熟だった事や、「おそれ」がいかに絵の完成度が高く、個性も開花したかがよく分かります。
一人の天才が『生命』のカギを握り、死体をつぎ合わせて動かす事が出来たなら…そう、日本版、というか楳図かずお版「フランケンシュタイン」です。それも誰もが思い浮かべる1931年のボリス・カーロフ版で、ご丁寧に首の金属杭まで同じ。ちゃんと怪物の悲しみも表現しているシーンも描かれています。
恐怖モノとしては極初期の物であり、後に1966年の少年マガジンで掲載された「ひびわれ人間」の元になった事でも、重要作品の一つでしょう。

「地球最後の日」は1966年の少年画報(少年画報社刊)で掲載された作品で、楳図かずお先生も特別出演しています。
19XX年夏に、地球に向かって近づいてくるスイ星が発見され、このままでは地球に衝突するという事で地球はパニックに…『この世の終わり』を目前にした人々は全世界の三分の一が自殺し、生き残った中にも気が狂った人が続出。人間が獣化した、変なミュータントも出現しています!
盲目の少女・久美はもう死ぬだけの状況なのに、最後に目が見えるようになって良雄という少年と出会います。
そんな彼らはある研究所で一週間を百年に使えるという機械に出会うのです。つまり、もう地球は一週間で終わるけど、その一週間後は二人が一生を過ごした後の事になる、という奇想的な解決方法でした。まぁたった二人で、しかも未来に何も希望を持たずに自分達だけ長生きしてどうするのかとも思いますが…少年向け終末モノとして、よくまとまっています。

最後が「スクール」という、これは描き下ろし作品でしょうか…初出が分かりません。
『イメージポエム』という事で、シュールなイラスト集になっています。1ページとか見開き2ページ使ったサイズで、しかもセリフが無い分だけ絵に集中して楽しめますね。ある美少年のいる風景を見ていくと、最後に驚きのオチが…


やっぱりそうね!
私が気味悪いからね
そんなに私をあざわらいたいのなら 見せてやるわ!
そら!そら見るがいいわ!



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  1. 2012/08/15(水) 23:38:54|
  2. 楳図かずお
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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