大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(34) 「うろこの顔」

楳図かずお作品より、「うろこの顔」(朝日ソノラマ刊)です。
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画像の左は1970年初版のサン・コミックス版で『楳図かずお 秀作選』全3巻のうち1巻目として出た物、右は1991年に同内容を装丁変えて『シリーズこわい本』の14巻目としてハロウィン少女コミック館版で再発された物になります。

楳図かずお先生の数ある"ヘビ女もの"の中でも代表格かつ、特にそのグロテスクさでトップの呼び声高いのがこれ、「うろこの顔」。初出は1968年の少女フレンド(講談社刊)で14回に渡って連載され、単行本一冊使った長編です。だいたいの楳図マニア達に最盛期とされる1960年代後半の作品なので、素晴らしく緻密な描写を堪能出来ますよ。

楳図先生ご本人が"漫画家の楳図かずお"として登場する作品ですが、今作では何故か出てきても後姿ばかりで顔は出ません。代わりに活躍するのは楳図先生の妹・楳図魔子
漫画家の代名詞のようになっているベレー帽を決してかぶらなかった楳図先生ですが、この魔子は常にベレー帽をかぶってますね。もちろん全体的に素晴らしくオシャレなファッションセンス、お顔も可愛らしい。(サンコミ版の表紙参照)
多分実際には妹はいない楳図先生なので、これは理想の妹として創作したのでしょうか!?魔子という名前は私の大好きな女優・緑魔子と同じですが、そこから来てますかね?
そんな魔子は"魔子の恐怖ノート"と書いてある、スケッチブック大のでっかいノートを小脇に抱えて行動しています。『奇怪な話を集めるのが仕事』とありますが、どうやら職業は記者なのかな。

冒頭でその魔子が、楳図かずお先生の元に届いた読者からの手紙を勝手に開封すると…でかいうろこが封入されており、震える字で書かれたその手紙の内容に興味を持った事から調査に行くのが全ての始まり。
封筒の表面に書かれている楳図先生の住所がしっかり見えているのですが、ファンなら気になる所でしょうからここでも書いておくと『東京都豊島区堀之内六一林荘 楳図かずお先生』となってます。
魔子は手紙の主である沼田陽子のいる山梨県へ行くわけですが、あとは陽子やその家族に近づきながらも物語の中心としては動かない、ちょうど「おろち」のような狂言回しの役割ですね。

メインの物語ですが、まず陽子の姉・久留美が中学生の時に脳性小児マヒにかかって両手足が動かせない『生き人形』になってしまい、凄く仲良しだった妹に対して同じように手足が動かなくなるよう呪いをかける…やはり一筋縄ではいかない人間の裏側的な心理を描きつつ、あるヘビの呪いを加えています。
久留美は手足が動かないからヘビのように這いずって移動するしかなく、あとは口で何かをするのですけどね、随所でとてつもなく怖い顔を見せてくれます!
おっと、脳性小児マヒになったというこの設定は、ハロウィン版の方では『原因はわかりません』に変えられていますね。他にもやはり、『きちがい』というセリフは『狂ってる』とか『こわい人』とかに変えられているし、今作でも再発版とでセリフの修正箇所が目立ちます。

それから蛇女となった久留美は陽子に虐待し続けるパターン通りの展開なのですが、わりとあっさり久留美は死んでしまい、しかもヒロインである陽子まで蛇女となる上に、死んだ姉の死体に細工して罪をなすりつけようとするなどのショッキングな裏切りに驚きます。
しかし久留美を灰にする事にたえられなかったとかって、地下で死体を水槽に入れて(ホルマリン漬けなのか!?)安置するお父さんもけっこう狂ってますな…

その後も見所満載で、後に犬木加奈子先生がそのままパクっていた美少女の顔面ズル剥け、しかもその下から『うろこの顔』が!なんてシーンや、他にもインパクト強いショックシーンの連続です。
もちろん全ての元凶となる黒幕が判明するストーリー自体も面白く、何度読んでも凄い凄いと唸りながら入り込んでしまう名作でした。
最後は楳図魔子が窓から手を振っている微笑ましい一コマで幕を閉じるのですが、この魔子ちゃんの出演作品をもっと増やして欲しかった…


きれいな血を吸わないと………うろこが出てくるのよ
おねえさんは恐ろしい人よ 死んでもまだ私を苦しめようとしているのよ
おねえさんの死体がないのよ 魔子さん こわい
ヘビになりたくないっ
だんだん自分が自分でなくなってくる!



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  1. 2012/09/02(日) 23:59:59|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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