大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(147) 牛次郎 1 ビッグ錠 1 「釘師サブやん」

今夜は牛次郎原作、ビッグ錠まんが(作画)の「釘師サブやん」(講談社刊)。
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牛次郎先生は1940年生まれの東京都出身、何と僧侶でもある他に様々な事をやっていた才人。もちろん劇画原作者としての才能も凄く、ビッグ錠先生と組んだ作品以外では「プラレス3四郎」(神矢みのる作画)が有名でしょう。
ビッグ錠先生の方は1939年生まれの大阪府出身で、貸本漫画出身者。若くしてデビューしておきながら、この方も漫画家を休業してデザイン事務所を設立したりしていますが、原作者無しで描いた作品の代表作は「ドクロ坊主」「一本包丁満太郎」辺りでしょうか。本名の佃竜二名義でも描いていました。
そんな二人がコンビを組んだ作品といえば「包丁人味平」「スーパーくいしん坊」といったトンデモ料理漫画の傑作が思い出されるでしょうが、最初に組んだのが今回紹介する「釘師サブやん」で、何とパチンコ漫画!
あの「あしたのジョー」で盛り上がっていた週刊少年マガジンにて1971年から連載開始された作品で、単行本は全8巻です。

主人公のサブやんこと茜三郎はパチンコの釘師。パチンコ台の釘をハンマーとゲージ棒で調整する仕事の青年ですね。そんな地味で単純な仕事…と、この作品を読んだ事が無い方なら思うかもしれません。ただし読めば分かる、釘師の奥の深さと職人的技術!
そんな若くして凄腕の釘師であるサブやんの前に、全国からパチプロやゴト師の集団が現れ、彼らと戦いながらサブやんは成長し、日本一の釘師を目指していく…といった話で、パチンコを題材としながらも、これはバトル漫画ですね。好敵手に勝つため常軌を逸した特訓をし、必殺技や厳しい師匠が出てきたり、まるっきり当時の定番だったスポ根モノでもあります。

まずサブやんは赤ん坊の時に両親がおたくふくかぜで死亡したため(!)、大阪にてバァちゃんの手で厳しく育てられますが、そのバァちゃんとも14歳の時に死に別れて天涯孤独の身。そしてブサイク…そう、昔の漫画は主人公がイケメンばかりじゃなかった。
上京して釘師の神様と言われた根岸佐助に師事して修行を終えた後、渋谷の平凡なパチンコ屋"第一ホール"にて住み込みで働く釘師となるのですが、その前に現れた最初にして最大のライバルが着流し姿の美玉一心
彼は一匹狼の親指渡世で知られる流れ者のパチプロで、サブやんがしっかり釘を締め付けた台からたった一発・2円のパチンコ玉で当ててしまう!それも『秘打・正村』や『忍球 玉バサミ』などというとんでもない技で…
サブやんの方も何週間も苦しんだ末に、ついに『玉ぶぶき』を完成させて準備完了。パチンコ店の表に「釘師見参」の貼り紙をして金札勝負に挑む!

文字で書いてもわけわからない部分が多々ありますねが、まぁいいでしょう。とにかく行われる事になった釘師のヒノキ舞台と言える金札勝負、美玉一心だけを念頭に置いて勝負するつもりだったサブやんですが、日本全国から名だたるパチプロが挑戦してきてしまいますが、兄弟弟子・角和大禄立会いの元で次々と戦っていく…
各都道府県から代表的なパチプロが来ているので、第一ホールの同僚である陳太(福島出身)と出目松(鳥取出身)は甲子園のように自分の出身地の者を応援してしまいます(笑)おっと私の出身地・新潟からは万才秀なる者ですが、ハゲの黒縁メガネで勝負に登場すらして来ず、ガックシ。
持ち玉50個の金札勝負、お互いが仁義を切ってから開始するのも、時代かかっていていいですね。北海道の無法虎、静岡の寝ぼけ松(熱海から来てるからこのネーミング…)、九州小倉から伊達の金八、四国高松からトランシーバーの健、次々と強豪を倒していくサブやんの台『玉ぶぶき』は、ついに美玉一心と対決。一心の『秘打・正村 昇り龍』には苦しめられますが、何とかサブやんの勝利!
しかし、この勝負はある理由から美玉一心が敵に塩を送っただけの事でした。

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パチプロとの戦いばかりに気を取られていたサブやんの前に現れた次なる強敵は、イカサマでパチンコを打つゴト師の中でも最強の男で"神竜組"の首領・やらずの竜!黒服に黒シルクハット、そして眼帯の殺し屋スタイルでカッコいい彼は、イカサマしても誰にもそれが分からないからその通り名・やらずの竜と呼ばれています。
弟分である七ひきの竜の他、ゴト師の子分が二千人いると彼は何千軒というパチンコ店を潰した実績があり、その大規模で想像外の仕掛けでサブやんと第一ホールを潰しにかかりました…
七ひきの竜達は『神竜 白糸がえし』『金蛇の術』『天龍釘流し』『死打釘殺し』といった恐ろしい荒技が次々と出してくるし、さらに物語スタート時から第一ホールで働いていて、アイドル的な存在だった女子社員の左千子までが忍び竜と呼ばれる神竜組のスパイでした!
さらにさらに、神竜組が持つ"地獄のゴト師秘密研究所"なんて凄い施設も出てくる!そうです、「タイガーマスク」における悪役レスラー養成機関"虎の穴"みたいなのが、パチンコ漫画でも登場するのです。秘密の地下組織といった存在は七十年代漫画の定番であり、有無を言わせずワクワクするもの。
彼らの見せる大掛かりな計画性、そしてパチンコを題材としている漫画というのは、約30年後に福本伸行先生が「賭博破戒録カイジ」で人食いパチンコ・沼を描くまで無かったんじゃないですかね。

そしてこの勝負は、主人公であるはずのサブやんが完膚なきまでにやられて幕を閉じるのです。
店も文字通り破壊され、たった一つの生き甲斐であるパチンコを失くしたサブやんは失踪して自殺まで考えます。自分の勘違いから命は失わずにすんだものの、釘師にとって大事なハンマーを握る右手をつぶされて、精神的にもトラウマを植え付けられたサブやんは、果たして立ち直れるのか!?

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死にかけている所を酒飲みの大道商人・ガブ六の辰に拾われたサブやんは、北海道の札幌まで流れた所で年に一度の全日本競指市(通称・穴市)というパチプロのスカウト市のに出くわし、最大のライバルである美玉一心と再会しました。
それからハンマーを捨てたはずが機関銃のマサなるパチプロと戦う事になり、血まみれになりながら心の中の黒いかたまり(トラウマ)を吹き飛ばして師匠譲りの『カスミ開き』で勝負を挑む!
対するマサは『機関銃 釘殺し』という技を持つ。5年の修行の末にその技を開眼したマサを見ていた元同僚は、『気ちげえだ!まるで気ちげえだぜ あいつは!』とその執念に呆れているほど。

さて穴市勝負ルールという事で三番勝負を戦うのですが…派手な技だけでなく心理戦も含んだ二人の攻防を見ていると、パチンコでこんなに白熱するバトルが描ける事に驚きを禁じえません!
勝負は三番目に持ち越され、サブやんが『玉おきのハンマー』という禁断の技に手を出したため、さらに右手から血を噴出させながら調整したパチンコ台を封印して、決戦の場をパチンコの本場名古屋で着ける事になりました。

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そして名古屋の地で嵐が起こる・・・
天涯孤独と思っていたサブやんの祖父、そして現在(連載当時)のパチンコのスタンダードな釘配列を完成させた伝説の釘師・茜正村との出会い。正村流釘術奥義書、またの名を盤球極意伝と呼ばれる全三巻からなる巻物の登場。
機関銃のマサとの勝負は勝ったと思われましたが、『玉おきのハンマー』のある理由でノーコンテストのようになり、その上サブやんは今日限り釘師をやめるように勧告を受け、釘師としての道を断たれました。
愚庵和尚の助けでパチンコ寺と呼ばれる玉林寺で拾われて、精神修行に励むサブやん。この寺のご本尊は"盤球仁王"なる釘師のハンマーを持つ像だし、寺の庭は俯瞰で見るとパチンコ台のようになっている!!

全国のパチプロの間で有名な釘師となっているサブやんの元には挑戦状が毎日届きますが、特に五寸釘の小鈴とは決着を付けなくてはならぬはめになり、修行中の身というのに飛び出すのでした…
それからパチプロ賭博の裏場勝負に手を出すのでした。この裏場というのが謎に包まれた地下の勝負組織で、負けた釘師は指を詰める掟。
この小鈴の『鈴地獄』を破る大勝負の最中、何とやらずの竜も登場して…
…勝負を終えたサブやんの次なる本拠地へ、訪ねて来たのは美玉一心。それからハイテンションのまま感動の大団円を迎えるのです。


さてこの「釘師サブやん」の時代の…つまり作中登場するパチンコ台は、全て指でレバーをはじいて玉を打つ物。玉はカウンターで女性店員から買って台に運んでいるし。
美玉一心のような親指渡世の人は、現在のようにデジパチ時代には絶滅しているでしょう。ハンドルさばきについてだとか勉強になる部分も少しだけあるのですが、さすがに今では失われた知識・技術でしょう。なくなってみるとやりたくなるもので、これを読むとこの時代のパチンコ台を打ちたくてしょうがなくなるのです。やれっこない神技はともかく、早撃ちとかなら練習してやってみたいじゃないですか!
そこまでお金のかかる遊びでもなかったし、国民に愛されたレジャーだったんですよね。少なくとも作中では『娯楽の王様はパチンコ』のように言われていますが、それは当時本当にそうだったのでしょうかだかでしょうか。
大人になって現実を知ると、パチンコ業界自体が警察や検察と癒着し、依存症の問題もあるのに政治家は利権があるから放置、北朝鮮の資金源になり…と、暗いイメージしかないので今では少年向け作品としてパチンコを描くのは難しいかもしれません。ただ」、こういった変わった題材を使ったバトル漫画はグッときますね。貴方はどんな物を知っていますか。


ええなサブ!
信じるのは自分の目と耳 それから舌・・・・
ともかく自分だけや
世の中誘惑が多い それに負けるのは
自分の目がないからや 自分で信じたこと
それに一心不乱 ぶつかっていったらええんや



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  1. 2012/09/29(土) 23:59:17|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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