大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(38) 「まことちゃん」 2

楳図かずお先生の「まことちゃん」(小学館刊)紹介の続きなのら!ゲゲッ!!
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楳図かずお先生には珍しいギャグ漫画であり、代表作になったばかりでなく日本の漫画を代表する金字塔的な一作とも言える凄い作品。
週刊少年サンデーにて1971年スタートの「アゲイン」でサブキャラクターとして登場し、1972年にはまず短編で主役となって登場したまことちゃん。そして1976年から1981年までの長期連載が続いて単行本も全24巻となったわけですが、前回「ココ」で、主人公の沢田まこと(まことちゃん)や他の登場人物…それに「まことちゃん」といえばの指サイン『グワシ!』の生まれるまでを紹介してきました。
グワシに関してはずっと新ネタが少しずつ出ていて、足でグワシ、体でグワシ、沢田家全員の組体操でグワシ、横浜市戸塚町の高田伊智郎クンが投稿したサバグワシラなるサバラとグワシが合体した指サインも登場してました。
極めつけは21巻の「まことへんへーの巻」でしょうか。まことちゃんがグワシ!!専門学校の講師に扮しているのですが、福島県会津若松市に住む斉藤周一というマッチョな男が登場!要は読者投稿ですが…彼がグワシ!!の級と段を考案し、四級グワシから二段グワシ、そして『免許皆伝グワシ』まで七階級に分けて発表したのです。さぁ、皆さんも免許皆伝グワシを目指しましょう!

さて前回の続き…11巻は「恐怖のカーレーサーの巻」で幕を開けます。ここでは沢田家全員でゲーセンに通ってカーレースに熱中する様が描かれているのですが、祖父・元太郎のこの姿…やはり「アゲイン」で見たあの頑固爺とは別人の設定なのだと見せ付けられます(笑)
ついでに同話から、作中で登場する楳図かずお先生のデメタン帽子の文字が『KAZ』から『KAZZ』に変更されました!

「SFシリーズ 夜泣きの晩の巻」では、楳図作品のホラー部門からのスターキャラクター…「のろいの館」赤んぼう少女・タマミが特別出演しています!
もっと言えば、他の回ですが「まことちゃん」には何度か、やはり有名な楳図キャラである猫目小僧も出ていますね。同時期に「妖怪伝 猫目小僧」のタイトルでTVアニメ化していましたからね。
サブタイトルに『SFシリーズ』と付いているので分かるでしょうが、この辺りからシリーズ物が増えてきますね。やはり長期間続く週刊連載では、単発で毎度新ネタを出すのは至難の業だったのでしょう。
そういえば赤塚不二夫先生は、今作で表現されるイジメや虐待に変わらず怖い本質を見て、『ホラー・ギャグ』と名づけていました。

そうだ前回は紹介忘れてた…というか優秀な奴だから特に面白くない、まことちゃんのライバルで九州に住むいとこ・さだゆきとその母(貴世子の妹)・加根子もたまーに出てきます。
勉学というまこと語を話すブサイク男もいましたが、親戚関係の仲の悪さも傍から見る分には面白いですね…
12巻の「夏の総決算の巻」では、この時だけ太ったまことちゃんを見る事が出来ます。太ってても可愛いので、次の回で元に戻ってしまったのが少し惜しい。

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作中に『まことちゃん新聞』が出てくるようになって、ますます読者とのリアルタイム通信的な要素が強くなってきた「まことちゃん」
13巻の「まつたけに御用心の巻」から新たなライバル、河愛さんちのカッパちゃんが出てきて、さらに「入社試験の巻」!ここでようやく松長製菓のマッチョメマンが登場します!作中で子供達に大人気のキャラクターで、まことちゃんをモデルにしたおかっぱ頭に鼻水を垂らした無表情の超人。衣装はスーパーマンを意識しつつ胸の文字は『M』。決めのポーズは両腕を直角よりちょっと上げてMを作り、肘を支点にこぶしを下げてWを作る。そのM→W→M→Wを素早く繰り返しながら『マッチョメ!! マッチョメ!!』と発すれば君も今日からマッチョメマン。
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「クリスマスパーティーの巻」では、かっこいい劇中劇というか松長製菓のCMが流れるのですが、その演出が!まず怪獣や宇宙人達に倒されているウルトラマン(これ、1966年以来で楳図かずお先生が描いたウルトラマン?「ココ」参照)をマッチョメマンが救い、悪者にヌンチャクで首絞められているカンフーの達人(まさかブルース・リーのつもりでは…)もマッチョメマンが救い、『マッチョメ!! マッチョメ!!』を決めている所に、ウルトラマン、ブルース・リー(多分…)、キッスのポール・スタンレー(多分…右目じゃなくて左目に大きな黒い星メイクしてます)、猫目小僧らが『われわれ みんなでたよりにしてる!!世界のスター!!マッチョメマン!!』と声を揃える演出でした。
14巻には「マッチョメマン大活躍の巻」なんて回もあって、そこでは扉絵でまことちゃんがブルース・リーのしてるしマッチョメマンもヌンチャクを振り回したりして、これは当然ブルース・リーの影響なので個人的に嬉しいですが、とにかくそれほどマッチョメマンの出番が増えています。
他にもマッチョメマンの温度計、柱時計、凧、カップラーメンなどグッズが普通に登場していて、作中でいかに人気があるキャラなのかが窺えます。

15巻は半分弱の分量を使ってまことちゃんの昔話シリーズでとこまちゃんを描いてますが、こうして一つのネタを濃度薄めて長引かせる方法を取ってきているのがネタ不足を感じさせ、楳図かずお先生の苦労も偲ばれますね。おっと、楳図先生が中学二年の時に描いてたキャラクター、九州のうりうりがぴょん(名前は読者投稿)が出てくるという、ファンには嬉しいサービスも出てきました。「クッキングパパ」(うえやまとち著)の荒岩一味みたいなアゴの奴で、一瞬でとこまちゃんにやられちゃいましたが。
似たようなシリーズ物で、17巻ではこと姫さまの話もありました。
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18巻の「母をたずねて三千里の巻」では、ページ開くといきなり巨大なビチグソ。しかも『わたしはビチグソ!!』なんて独白を始めて、親の体内に宿った所から感動の出産、そして誕生後は産みの親に会いに行く…ビチグソ主観の物語でした。
親とは、もちろんまことちゃん。ビチグソの冒険は、後に描かれる傑作「わたしは真悟」で産業用ロボットである真悟がさとるに会いに出る冒険を彷彿とさせます!これが元ネタではないでしょうか。
「謹賀新年の巻」で、KAZZ(楳図かずお先生)が新しくバンドを結成した事を告知していますが、その名もスーパー☆ポリス。続く「車はこわいの巻」では何とメンバー全員が登場し、その後もちょくちょくスーパー☆ポリスの楽曲などが出てきます。「闇のアルバム」の本じゃなくてレコードの方、その2005年に再発されたCDではボーナストラックで、「スーパー☆ポリス」が収録されているので聴いてみましょう。
楳図先生周辺のバンド活動などに限らず山口百恵など当時の有名人がたまに登場するし、「まことちゃん」は主に1970年代の文化や世相を楳図かずお史観で反映した、当時のリアルタイム漫画なのです。

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作者と読者の通信が毎回のようにはさまれていますが、この名作で自分の名前が読み上げられた読者は果報者ですよね。
19巻の「やさいの恩がえしの巻」では、『おーい、名古屋市港区佐野町の星山昌吉くーん!!今回はきみが主人公じゃ~っ!!ワハハー!!』という事で、やさいを愛する八百屋の主人として本当に主役で登場しているのです。いいなー、小学校で(…いや、大人かもしれませんが)人気者になったでしょうね。
もっと後では『まことちゃんちのそっくり家族』を募集したものの惜しい事に名乗りが上がらず、しかしまことちゃん単体のそっくりさんとして、富良野のまことちゃんと呼ばれている川口卓也くん(三歳)の写真が載りました。

そして「ラーラちゃんがやってくるの巻」から、何と沢田家の家族が一人増えます!!アメリカの女の子、ラーラ・リーンが日本の普通の生活を見に来るためのホームステイ先として、一ヶ月間沢田家に来るのですね。近所から『アホの沢田屋敷』と呼ばれているように、決して普通じゃない家庭なのですが。
で、当然まことちゃんらに振り回され、間違った文化や日本語も教えられるのですが、決して負けないアメリカ娘の強かさを見せてくれました。若い娘というのに全裸で股にのりを貼った姿や、ビチグソ出してる姿まで描かれて可哀想な目にもあってますが…21巻の「さよなラーラの巻」でついに、悲しいお別れでした。

21巻の「セル画がいっぱいの巻」では、まことちゃん達がセル画を拾う話に合わせて1980年のアニメ映画「まことちゃん」の宣伝をしています。意外にも、というか内容を見たら無理かもしれませんがテレビアニメ化はしていないこの作品も、「ドラえもん」のアニメ映画などで知られる芝山努監督によって劇場版アニメーション作品が作られています。
映画パンフレットも持っていますが、
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「翔んだカップル」と同時上映だったためにパンフも2作品合わせて1冊で作られていて、これを裏返すと鶴見辰吾&薬師丸ひろ子の笑顔なんですよね…
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こちらは、当時の映画半券。
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マッチョメマンと同じようにまこと虫も重要なサブキャラですが、21巻の「まこと虫とねいちん虫の巻」ではねいちん、つまり美香(ミカリン)に付く虫も登場。そしてまことちゃんVS美香の取っ組み合いが始まり…これは毎度毎度の光景ながら、この時はちびったビチグソまみれになりながら戦ってますよ!
22巻の「恐竜家族まことちゃんの巻」からしばらく、沢田家がそのままの構成と性格で恐竜になって古代を生きるシリーズが続きました。週刊連載ギャグ漫画の常ですが、ここまで後半に来ると一つのネタを引き伸ばして複数話使う事も増え、明らかにパワーダウンしている事は否めませんね。まぁこの作品に関しては、まことちゃんらのキャラクターを見れるだけで嬉しいのですが。
同じ22巻の最後の方、もう連載終盤になってから「ひがみちゃんの巻」で登場したのが…聖秀幼稚園でまことちゃんのクラスメイトである美少女・ひがみちゃん。二人の姉もそねみねたみと、凄い名前です。自宅の豪華な内装で金持ちかと思いきや、外見はボロ家。よしりんが後に「おぼっちゃまくん」で貧保耐三(びんぼっちゃま)という名キャラを描きましたが、あそこの家と逆のパターン!

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↑の23巻表紙に登場しているのがひがみちゃんですが、この娘は終わり間近の初登場ながら最後まで頑張って出てきてました。まことちゃんの奥さんになるという悲しい妄想が生まれて、こんな幼児が主人公の漫画でも相手役…ヒロインと言えるキャラになったのです。
まことちゃんとお医者さんごっことか、大人になった時のイメージなどでちょいエロ場面もあります。やはり登場が遅すぎたのか、ちゃんと全巻読破したような読者にしか知られてないのが、また可哀想なひがみちゃんでした。
23巻になって「勉強忍者・蛇気拳の巻」から登場の蛇気拳なんかも、もう知っている、あるいは覚えているのはコアなファンだけでしょう。
この巻のラストは「まことちゃんのプレスリーの巻」という超異色作で、何とエルヴィス・プレスリーの人生をわりと丁寧に追っています!!

そして最終巻…24巻ですが、楳図かずお先生が日本一上手い恐怖テイストを混ぜた『こわい!!シリーズ』などもありますが、普通にいつも通りの可笑しいギャグ漫画が進み、軽井沢で母の貴世子(ママリン)とまことちゃんがテニスをやる「テニス好きくないのらの巻」が最終回となって突如終わっているのです。
本当の最終回は、さらに時を進めて…1988年から新たに連載開始された、いわゆる「平成版 まことちゃん」まで待たねばならないのです。そちらはまた、次回紹介しましょう。
巻末には、「まこと笑劇場」というショートショート(2,3ページ)が5話収録されています。

連載当時は一大ブームになった作品なので、他にもレコードやグッズなども凄い量が発売されていましたし、まことちゃんは他の作品にもいくつか登場していて、例えば「男神 -OZIN-」では55歳になったまことちゃんが登場しています!語り所はまだまだあるような気もしますが、今夜はこれにてサバラ!


おかずをかいにいぐときも、
かったおかずを またとりかえっこにいくときも、
おつりをごまかしてバレてあやまりにいくときも、
みんなつきあってやっているのらっ!!
わしは、これいじょうママリンの いうことをきいてあげないのら!!



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  1. 2012/12/12(水) 12:12:12|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

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