大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

楳図かずお(39) 「平成版 まことちゃん」

楳図かずお作品より、「平成版 まことちゃん」(小学館刊)です。
UMEZZ-makoto-chan-heisei1-2.jpg

「ココ」で紹介した「アゲイン」(全6巻)に始まり、「ココ」「ココ」にて、前回まで紹介した「まことちゃん」(全24巻)までの沢田家伝説…
それはまだ終わってませんでした!1981年に終了していた「まことちゃん」は、7年も経った1988年に同じ週刊少年サンデーで単発読み切りを数話掲載した後、いよいよ連載としてスタートして翌年まで続くのです!
こちらは単行本で全4巻。タイトルには昭和版も平成版もなく同じ「まことちゃん」ですが、単行本のカウントはリセットされてまた1巻から始まっているため、『平成版』と呼ばれているのです。何故かこちらは絶版になったまま復刻されない状況が長く続いてレア化していましたね。現在は楳図かずおデビュー50周年記念の復刊シリーズ『UMEZZ PERFECTION!』から「超!まことちゃん」とタイトルを変え、めでたく復刻されていますが。

1988年といえば、もう長い年月連載漫画を描いていない楳図かずお先生にとっては最後期作品に当たるわけで、同時にスプラッター漫画の傑作「神の左手悪魔の右手」を描いていた頃ですね。当然、絵柄の変化も昭和の「まことちゃん」と比べると著しく、「神の左手悪魔の右手」やこの後すぐに描く事になる「14歳」に近い部分も目立ちます。

では、記念すべき1巻の1話目を見てみますか。タイトルは、「ビチグソビデオの巻」
…いきなりそういうタイトルですが、長い充電期間を経て再開した「まことちゃん」は、明らかにビチグソ度が増しています。この話も、野口やよい(野ぐそやよい)という新キャラを使っていますが、別人ながら昭和版で出てきた『おしっこのおねえさん』が『ビチグソのおねえさん』にグレードアップした姿と思って大丈夫でしょう。

ビチグソ度で言えば極めつけは「川下りパニック'88の巻」「まことのせんどうさんの巻」と連続した2話でしょう。ラスト近くからの突っ走り具合は凄まじく、ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の映画「ソドムの市」もビックリなスカトロ描写!
楳図先生…結局の所は高尚な笑いよりビチグソの方が笑いを取れる事に気付いたのでしょうか。

2巻の「恐怖の水せんトイレの巻」「ママリンの同窓会の巻」の2話も凄い。今までも女性がビチグソする姿は何度も描かれている「まことちゃん」ですが、ここでママリンの同級生にしてライバルのあや子がひり出す姿は…異星人が何かを生んでいるようにしか見えずグロ汚すぎる。
まず平成版になって、ビチグソ自体に細かい描き込みが増えているんですよね。凹凸とか未消化の何かとか、色具合も臭そう!

「パンツ、ズリッの巻」「ちんちんさまの巻」の2話では、何とまことちゃんのちんちんが崇められて人々が殺到する展開にまでなるのですが、他にも性器(男女共に)露出場面が多くてオモチャにされている感が、前述のヤバイ排泄シーンに加えてこの平成版を再発させずにレア化させていた要因でしょうか。
「フシギの人の巻」の前後編2話で沢田家の2階にある物置部屋(あかずの間)にキリストが現れてる話があるので。それが宗教問題でマズイと言う人もいましたが…これはまことちゃんがサロンパスでキリストの口をふさいでキリストが悶絶、なんてお茶目なシーンこそあるものの、かなり出来が良い話で平成版中の名作なんですよ。

UMEZZ-makoto-chan-heisei3-4.jpg

おっと、高田馬場に住む沢田一家(祖父・元太郎、祖母・タツ、父・英一、母・貴世子、姉・美香、そしてまことちゃん、飼ネコ・メチャ)は全員が昭和版と同じように揃って出てくるし仲良く一部屋で寝ているのですが、いくつか今まで無かった設定がありますね。
タツが総入歯だと判明し、そこに沢田家の全財産が隠されていたり、まことちゃんは年に一回超低周波無音泣きをしていたり(フォルカー・シュレンドルフ監督の映画「ブリキの太鼓」におけるオスカルの叫び声のようにでガラスを割る)、生まれてからずっとパンダのぬいぐるみ・ダアダアと寝ていて、いないと泣き叫ぶとか。

あとはこの平成版で創立30周年を迎えた"聖秀幼稚園"ゴリラ園長花子先生に、まことちゃんのクラスメイトもピョン子モン太こそ出るものの、昭和版の最後期に出てきて頑張っていたひがみちゃんなんかは忘れられているようです。
変わりに…3巻の「のんのちゃんの巻」で登場するのが、まことちゃんの事を好きなのんのちゃん、そしてまことちゃんが好きなのはぐりんちゃん。好きな子とか出て、この作品には珍しすぎる可愛い恋愛のお話でした。

時期的にキョンシーがブームだったので『キョンシーあっちむけピョン』というのを流行らせようとしていたり、時事ネタも相変わらず多いのでリアルタイムで読んでいればより面白かったでしょう。
あとは新シリーズである平成版に特筆すべきは、ビチグソ度だけでなく確実にホラー度も上がっている事。終盤に登場するスースー星人は怖いし、これはもうギャグ漫画と言っていいのかと思われるような回もあるのですが、そんな分類なんか関係なく楽しめばいいですね。いっそこの圧倒的な個性を持った『楳図かずお』というジャンルなのだと思います。

そして物語終盤に差し迫った4巻の「KYってだれだの巻」から、マゴドちゃんの登場!
その家族はパパゴッド、ジジゴッド、ババゴッド、ミカゴッドで、つまり沢田家と同じで風貌もそっくりなのですが…何か違う。目や口から光線や炎を吐く姉弟喧嘩をして、宇宙を一つ吹っ飛ばしたりしています。そう、彼らは天上に住む神々。
そこから今まで長きに渡って描かれてきた様々な「まことちゃん」を覆す凄い展開になっていくのですが、特に最終話「神さまひとりぼっちの巻」の最終ページ!ここで実は世の中の全ては、マゴドちゃんが創った物であり、ある化物を消すためにこの世界ごと消すはめになって家族も何も全て消し…マゴドちゃんの他は闇だけになる。
『神さまは たったひとりで、こどくでした』
で終わるのが、前シリーズでもスピンオフ作品でも描かれなかった最終回なんですよ!

平成版が長らく絶版だったために事実が正しく伝わらなかったのか、よく『まことちゃんが神さまだった』というトリビアを披露する人がいましたが、正確には人間(まことちゃん)にそっくりの神さま(マゴドちゃん)であって、別のキャラクターですからね。何かメタファーだとか、解釈の仕方とかで異論は出るのかもしれませんが。
さて唐突に読者を突き放して終わるこのラストは賛否両論あるでしょうが、もう一度やり直したマゴドちゃんが新たに前より平和な世界を創ってくれる、なんて望みも残しているのかもしれませんね。

では今夜は、美香ねいちんが「愛のてぶくろの巻」で出していた素晴らしいクイズの載せてサバラとしましょう。答えは、コメント欄にでも書いておきます。


楳図かずおのまんがの へび少女がおならをしたとたんに、
あんなにこわかった女の子が あっとおどろく姿に変身してしまった。
さあ、どのように変身したのでしょう?



スポンサーサイト
  1. 2012/12/17(月) 23:59:59|
  2. 楳図かずお
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:1
<<旅行・紀行・街(129) 東京都杉並区阿佐ヶ谷 11 阿佐谷七夕まつり…等 | ホーム | 楳図かずお(38) 「まことちゃん」 2>>

コメント

↑のクイズの答え

ぼくちゃん しってるもーん。
へび少女がへをしたので へ がとれて
美少女になったのらもーん!!

(まことちゃん)
  1. 2012/12/18(火) 03:10:16 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://mangabruce.blog107.fc2.com/tb.php/1136-7b3815aa
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

プロフィール

BRUCE

Author:BRUCE
BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

最近の記事

最近のコメント

最近のトラックバック

月別アーカイブ

カテゴリー

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索

RSSフィード

リンク

このブログをリンクに追加する