大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

劇画(153) 畑中純 1 「百八の恋」

今夜は畑中純先生の「百八の恋」(講談社刊)です。
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畑中純先生は1950年生まれ福岡県出身、肉体労働などをしながら漫画家修行をしてきた叩き上げで、代表作は何といっても「まんだら屋の良太」「ココ」で書いたようにお会いした事もあり、気さくな方でたった一度ですが色々お話もさせて頂いたのですが…今年の6月に亡くなってしまいました。

今回紹介する「百八の恋」コミックモーニング(現・モーニング)にて1989年から1991年まで掲載された作品。
この連載していた時期がまずくて…ずっと前に紹介した安達哲先生の「さくらの唄」なんかと同様に、1980年代後半から盛り上った有害コミック騒動(有害図書論争)に巻き込まれて多くの県で有害指定された事でも知られています。いわゆるヌキのためにエロ漫画ではないし、というよりバカエロの類であり、絵柄は得意の版画風の絵でむしろ芸術性が高いのに…
ただ、何を隠そう私はこの時のコミックモーニングを叔父さんちで読んでいたので、中学一年生くらいではこのエロさに脳天から下半身まで興奮しまくってリビドー発動の一翼を担ったのは確かですが。
単行本は全8巻で、5巻から『成年コミック』の印が表示されています。

主人公は百成百八という少年。名前で煩悩の数を表していますが、冒頭からいきなり衝撃!
何と百八は全裸にて登場し、しかも地面に掘った穴を目掛けて自らの陰茎をズコズコと入れて出してのピストン運動しているのです!それを目撃してしまったのは"大多摩百貨店"というでかい店を切り盛りする大城満子社長夫人でした。高台の大多摩城に住む大金持ちで、今で言うセレブなのですが、彼女はその行為を見て
『土に穴……大地と……地球とセックス?』
なんて冷静な感想を持ってます。
百八も"百成梨園"の一人息子でそれなりに金持ちですが、登場時は高校一年生で、オナニーばかりしていると背が伸びないとかバカになるとか心配している、青春真っ只中。後に百八が大城夫人に筆おろしさせて頂く事になるのだから、人生分からないものですよね。
ちなみにその時は『私が大地よ 子宮が地球よ』と仰っていました。で、初体験で7回もする百八、満子と二人で幸せを噛み締める。

かといってセレブの夫人と付き合ったりするわけではなく、百八も銭湯"玉乃湯"の娘である6歳年上の玉乃温子が二人目の女になります。彼女との12ページに及ぶキスシーンは、漫画史に残るほどのものがあったのではないでしょうか。
祭りの時に花火に合わせて『どーーん』とセックスしたり、まぁやりまくる事にはなりますが、温子も他の男と結婚する事になって去っていき、百八はまた次の女へ…と、まぁ何というかこの作品、畑中純版「好色一代男」ですね。

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紆余曲折あって面白い物語の中を、女性関係だけ挙げていくと…
大伊豆村で百八が通う"大多摩高校"のマドンナで『お嬢』などと呼ばれている水谷亜矢の処女を頂き、続いて足柄山の山小屋で生活する美人・大熊トメ子、幼なじみの同級生でメガネブスだと思ってたら美女に変身した荒股千草(もちろん処女)、清水女学院の不良グループ"レディー・イーグル"を束ねる薬師丸麗花、人妻の岡本花子、まだまだ続きますが、このようにバリエーション豊かに女性とのSEX体験を重ねる事で確実に男として、人間として大きくなっていく百成百八でした。

男でも百八の親友の高野信一とか、大川組長やそこの小頭・牛若菊丸、百八とSEXはしなかった女性でも天川夢子等々、魅力的なキャラクター達に支えられている「百八の恋」
東京都調布市と多摩川を挟んだ街・神奈川県大多摩市を舞台にしていますが、自然描写も見所の一つですね。漫画家以外に版画家としても活動した畑中純先生は、各話の扉絵に版画を使っていたりもして、またそれが素晴らしいんですよ。
単行本の袖部分を見ると各巻別々の著者写真と言葉が載っていて、その文章だけで相当に自然好きな畑中先生の生の姿が窺えます。

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百八の煩悩にまみれた…高校生のくせに何でもセックスに結び付けて上手い事を言うセクハラオヤジみたいな性格がウケますね。性欲は命!
子供の鯉のぼりすらも、見ると
『五月五日は男のセックスか! 頼もしいなあ 青空にボッキする鯉のぼりって』
とつぶやかれています。しかもこれは独り言ですから、芯からそういう性格なんだと分かるわけです。
大抵の事はエロに持っていく百八の言葉は、高校生にしてただの中年の域に達していますが、たまに上手い!と思う事も言うのです。

セックスばかりしているわけでなく、ヤクザとの大立ち回りや大洪水時の奮闘など、男らしい部分も見せる百八。ケンカは弱いけど、度胸とユーモアで問題を解決する能力がありますね。
そして初登場時・童貞の時のか弱さは無くなり、陰茎だけでなく中身もデカい男になった百八は三年になると大多摩高校生徒会長に。しかも体育祭の最中に生徒達を見下ろしながら屋上で女生徒とヤッてたりして、困った生徒会長です。

同時にいつの間にか"大多摩倶楽部"なる、多摩川と大多摩丘陵を守り生かすことを目的とした会、なんてのもやってます。忍者の服部忍ら個性的なメンバーが揃うこの倶楽部に、次なるヒロインで新入生の朝田今日子も入れて。
お、百八の豊富な女性経験の中にようやく年下の娘が加わるか!?と思われた二人のピクニックの最中にも、密林で出会った外人女性・アマンダとセックス…あ、外人も初だ。

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でもやっぱり今日子は格別な扱いではあり、その処女を失うまでには長い時間をかけています。
台風の夜に二人、外で飛びながら楽しむ様は美しい若さ、青春の輝き!畑中純先生得意の幻想性も上手く表現されていています。
最終巻まできて、洞窟の中で裸の二人がじゃれながら『好きだ』と言い合う場面はロマンチック。今まで恋人を作るわけでなく簡単にセックスしてきた百八にとっては初の告白とも言えます。

大多摩高校を卒業して上京し(といっても多摩川の向こうが東京都でしたが)、"調布産業大学"に入学。
…で、またすぐに今日子以外の女に目が向いてるのがやはり百八ですが、まぁ彼が一人の女だけを相手してぬるい恋愛なんてしてたら、この「百八の恋」の魅力も終わるのでしょう。
大学時代のヒロインは、鹿児島県の屋久島出身・美波野姫。色々な種類の女性と体験し続けた百八が、今度はどんな相手かと思ったら…これは普通に先輩の美少女で、『お嬢』とかぶりますね。周りのチンピラだとか若社長だとかと、またもひと波乱ありますが。

で、大多摩倶楽部の本部事務所設立した所に、過去に関係した女達が集まってきて一堂に会して…
最後はまた地球へ射精して終わる。同じ地球とのセックスでも、最初は大地へ、最後は天へとなっている所に、百八の成長も見れるような気がします。
1巻の作者の言葉で『百八は貴方です。これは貴方の物語なのです。』というのがありました。そうです、実際はこのように輝かしい女性経験や冒険など無かった自分(そして貴方)も、漫画で羨ましすぎる百八を疑似体験して夢を見させてもらうとしましょう。


働き者だなあボクは あんがい良い子だったりして
なんのため? 誰のため?
水谷亜矢?愛?恋?性欲?ハチの頭?
違う!違うぞ なんだか違ってきたぞ ボク自身の橋だ
東京に向かうための 東京を呼ぶための ボクと東京を繋ぐための明日にかける橋だ



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  1. 2012/12/25(火) 23:59:59|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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