大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(96) 丸尾末広 2 「薔薇色ノ怪物」

今夜から、私が20年近く前から愛してやまない丸尾末広作品を紹介していきましょう。
まずは1982年に上梓した初の単行本「薔薇色ノ怪物」(青林堂刊)。
MARUO-rosy-monster1-2.jpg
画像の右は2000年に出た新装版です。

丸尾末広作品ならまずこれを読んでもらわないと話にならないというか、ここに丸尾先生の特徴が詰まった作品集。1980年のデビュー作「リボンの騎士」他、怪奇・幻想作品を中心に13編を収録しています。

ストーリーはあまり重視しない作風なので、まず内容云々の前に甘い耽美の絵が頭に飛び込んできます。この絵の素晴らしさに10代だった私は衝撃を受け、思春期なので流行漫画とは一線を画すエログロの危なさも手伝い、好きで好きでたまらなかった…
漫画は作品展開やイデオロギーなんかも大事ですが、やはりまず『絵』がありきなのだと再確認出来ますね。

収録順に見ていくと、1982年の「カリガリ博士復活」
もちろんドイツ表現主義映画の中で一番有名な「カリガリ博士」を基にした作品で、丸尾先生は自作に度々このチェザーレ(眠り男)を登場させています。それ以上に丸尾作品の代名詞のようになっている、あの眼球舐めもしていますね。
それまでエロ劇画誌でばかり描いていた丸尾先生が、初めてそれ以外の雑誌(マンガ宝島)で描き、これで知名度が一気に上昇したそうです。

1980年の「リボンの騎士」
デビュー作のこれからして手塚治虫作品をタイトルにしていますが、内容はむしろ楳図かずお先生の『へび女モノ』パロディ。

1981年の「下男の習性」
赤座という下男をめぐる変態一家の話。意外なラストを用意して話をまとめていてるストーリー物。

1981年の「少女椿」
後に長編として描き丸尾末広先生の代表作になる「少女椿」の、序章となる短編ですね。この時はサブタイトルに『哀切秘話』と付いています。
貧しくか弱い少女・みどりちゃんは寝たきりの母を助けるために夜ごと花売りをしていますが、母は鼠に食われて孤児になり…出会ったばかりの親切な山高帽のおじさん・犬山を訪ねるとフリークス達の住む見世物小屋の世界へ入っていく。長編の方よりも救いのない話ですよ。

1981年の「僕らの眼球譚」
今度はジョルジュ・バタイユの小説からタイトルを頂いてますが、近親相姦…他の変態短編。

1981年の「私ハアナタノ便所デス」
片足義足の変態ぼっちゃん・光雄のスカトロ趣味に、長時間付き合わされる使用人の雪子ちゃん。

1982年の「少年Z」
このセリフ回し、もしかしてつげ義春先生のシュールな作風をパロってる…!?
夢遊病なのか目を閉じたままの少年が、関係無い家庭を訪ねて目を閉じたままの夫婦と色々する話。ピエル・パオロ・パゾリーニ映画「テオレマ」から影響を受けたこの作品から、さらに遠藤みちろうさまがインスパイアされて「アフリカの発見」 という曲を作りました。

1981年の「天然の美」
笑いまくる作品…狂ってます、凄いです。

1981年の「童貞厠之介」
これもスカトロ…というか、産まれてすぐに汲み取り式便所の便槽内に捨てられた厠之介が、それでも生き残って下水で暮らす。ある時拾った学生服着て外に出て、映画館でディートリッヒの「嘆きの天使」を観たり、そして…
丹下左膳の顔を見てたらパッと思いついて二十歳頃から作っていたという、この厠之介なるキャラクターは継続して他作品にも登場します。
高橋睦郎「善の遍歴」、アントナン・アルトー「ヘリオガバルス」、説経「しんとく丸」などからヒントを得ているそうです。

1981年の「血と薔薇」
ロジェ・ヴァディム監督の「血とバラ」から来たタイトルだと思いますが、デビュー2作目の今作にして既に、現在知られている丸尾末広世界を象徴している印象です。今度は姉妹愛と…男性器切断など。

1981年の「最モ痛イ遊戯」
まさか…松田優作の「最も危険な遊戯 」とは関係無いですよね?
ナチスかぶれな子供達の無邪気な(笑)拷問ごっこを描いてます。

1981年の「腐ッタ夜」
デビュー作以前に出来ていたので、本当はこれが処女作なんだそうです。
資産家の轟剛造というオヤジの後妻となった小夜子が、若い恋人・道雄と彼を殺そうとしますが返り討ちに合い…両目潰され、両腕を切断された上で飼われる残酷物語。

1982年の「腐ッタ夜 ちんかじょん」
上記の腐ッタ夜とは関係無い、義足の次郎と新しいお母さんの話で、変態極まるショック描写があります。『ちんかじょん』とは北原白秋の詩から来ていて、小さな男の子の事らしいです。

以上、全て装飾的すぎる絵柄に耽美的な憂鬱、変態エログロナンセンス…こういった丸尾末広作品ですが、適度に挿入されるギャグセンスもたまりません。

そしてこちらは、2006年の「改訂版 薔薇色ノ怪物」(青林工藝舎刊)。
MARUO-rosy-monster3.jpgMARUO-rosy-monster4.jpg
画像右は改訂版からさらに昨年出たジャケ違いで、これで4冊目…丸尾末広先生もすっかり過去作品をジャケ変えて出すだけの商売で味をしめてしまったようです。その思惑通り、またカッコいいジャケだからとファンは既に持っている作品を当たり前のように買うわけですが。

ちなみに画像左の方(薔薇色ノ怪物、ジャケ3種目)はサイン本で入手しています。
MARUO-rosy-monster5.jpg

この改訂版は上記の13編に加えて、2000年の「色彩間苅豆」が追加収録されています!丸尾末広先生は初期から上手すぎるので絵の変化が分かりにくいと思われているかもしれませんが、こうして並べると全然違う事が一目瞭然。新しい時代の作風も変わらず素晴らしいです。
また、全てに共通してザ・スターリンの遠藤ミチロウ(遠藤みちろう表記)さまが寄せた「肉詰めの男」という文章を収録しています。


たった一突き あの世ゆき
これでおしまい 肉地獄



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  1. 2013/02/04(月) 23:31:19|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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