大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(98) 丸尾末広 4 「DDT 僕、耳なし芳一です」

丸尾末広作品紹介、続いては「DDT 僕、耳なし芳一です」(青林堂刊)。
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今作は何故か青林堂版が1983年初版のままの一種類しかなく、画像右は1999年に青林工藝舎より出た新装版です。
エロくてグロくも狂気の美しさ…丸尾末広先生、3冊目の短編集。

収録順に見ていくとまず、1983年の「僕の少年時代」
これだけガロが初出の絵物語方式作品で、もう痺れるほどカッコいい!!こんなセンスと画力を持ち合わせている人が他にいるか!?
青林堂版の表紙には丸尾先生が好んで使うモチーフ、ドイツ表現主義の映画よりF・W・ムルナウ監督版の「吸血鬼ノスフェラトゥ」が立っているのはお気づきでしょうが、この短編ではニュー・ジャーマン・シネマの旗手ヴェルナー・ヘルツォーク監督によるリメイク版「ノスフェラトゥ」が登場します。

1983年の「APPARITION」
母を殺して直後の道雄の前に現れた百科事典のセールスマンは、実は死んだ父で。ギュスターヴ・モローの絵から頂いたタイトルの通り、亡霊の『出現』だったのでしょうか。最後のコマで道雄は心を開き、唐突に終わる。

1983年の「プロレタリアートの秘かな愉しみ」
丸尾末広作品において度々登場する、可哀想な少女モノ。冒頭、下半身が無くてトロッコに乗ったおじさんを転ばせて金を奪う少年、そいつの家の隣に住むのは父親に体を売る事を強要されるまだ幼い少女。少女はさらに、その父の手で目を潰されて…こんな不幸すぎる物語で、丸尾先生にしてはまともにストーリーをまとめている!

1981年の「あめりかうまれのせるろいど」
ロンパリで頭が足りない、けれでも可愛いマリ子ちゃんちに訪ねてきたオジサンが、お母ちゃんが買物にでかけて居ないのをいい事にお人形の代わりに自分のイチモツをしゃぶらせたりして…
またこんな内容だけどこれは明るく、ちょっとギャグ調に描かれているので、この単行本においては途中の清涼剤的な感じか。

1983年の「ヴァンパイア」
扉絵に若くてイケメンだった頃の美輪明宏さまが学帽被った似顔絵を使っています。牙が生えて口から血をたらしてますが。春日井健の短歌を引用して始まるこの話は、吸血鬼になった道雄が、処女ではなく童貞(男子中学生)ばかりを襲う、というもの。画面の美しさが際立ちますね。

1983年の「腐れオメコにDDT」
本当にもう、タイトルがひどすぎて最高です!今作の主人公は何とB組の丸尾。早見純作品に出てくる早見くんのように、作者自身が出てきてかつ便所の落書きについて講釈しながらオナニーにふける変態です。最初のページでその丸尾が描いた落書きという名の作品がじっくり見れるのですが、三段に分かれたコマ割りのうち上段に「巨人の星」、真ん中段に「タイガーマスク」、下段に「あしたのジョー」と、梶原一騎作品が描かれている所に注目!

1983年の「あらかじめ不能の恋人達(Ⅰ)」
死んだ彼氏の目玉をくりぬき、自分の女性器に入れて、その目であるモノを見る…。

1981年の「あらかじめ不能の恋人達(Ⅱ)」
単行本収録の便宜上こちらにⅡと付いてますが、Ⅰより1年半ほど前に掲載された関係ない話であり、初出誌も違う。少年が大好きな恋人の皮膚を切りまくりたいという性衝動をかなえると、次は自分の性器に…血まみれの、痛ーい作品でした。

1982年の「少女地獄」
タイトルの通り夢野久作の同名作品を怪奇エロ漫画にアレンジ…しかし、ラストはギャグにもっていく。

1981年の「最モ臭イ遊戯」
「薔薇色ノ怪物」では「最モ痛イ遊戯」という作品がありましたね。タイトルだけはやはり松田優作の「最も危険な遊戯 」から来ていると思いますが、この内容はスカトロ物です、はい。

1982年の「月よりの使者」
久米正雄の小説と同名タイトルで、同じく看護師も出る医療モノと無理矢理言えば言えるのですが…
メチャクチャに遊んでるというかシュールリアリズムなのか、たまーにあるつげ義春的な作品ですね。肛門と口から凄い数の蟲を出す美女患者、同じく目玉を出す医者!

1982年の「奇蹟の人」
良識的なヘレン・ケラー信者が見たら発狂するかもしれませんね。ここでの少女・マリ子は三重苦ではなく盲目なだけですが、ここでのアン・サリバン役の家庭教師はマリ子ちゃんを小便入りのご飯食わせたりしていじめ(青林工藝舎版単行本の表紙参照)、目が見えないからってこっそり彼を連れ込んで目の前でセックスしたり。
しかしマリ子にはシンちゃんという、どう見てもボリス・カーロフ版フランケンシュタインの怪物!そんでしっかり復讐を果たす、いい話でした。

1983年の「童貞厠之介 俺の名はマイナス」
また出ましたよ、童貞厠之介!シリーズ3作目の今度は漫画エロスが初出で、期間も前作からまた一年ほど空いています。前にも増して汚く、匂ってきそうな風貌になった厠之介が、同業だと思われたため乞食の組織に捕まって女ボスとある対決をする…
そして遠藤ミチロウ率いるバンクバンド、ザ・スターリンの「365」が流れて終了。ちなみにこの「365」が収録されている3rdアルバム「虫」は、丸尾末広ジャケで有名ですね。名盤なのでCDでも買い直してますが、初回ピクチャー・ディスクのLP(特典でB2版ポスター付属)も持っていますよ。
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これはミチロウ様に「夢のQ-SAKU」表紙の鞍馬天狗を見た当時のザ・スターリンのプロデューサー、森脇美貴夫氏が丸尾先生に依頼して新たな鞍馬天狗を描き下ろしてもらったのだとか。

ちなみに青林堂版は巻末に元・天井桟敷の劇作家、岸田理生による解説「眼球の海」が収録されているのですが、青林工藝舎版はそれが削除された代わりに丸尾末広画による見開きの一枚絵が収録されています。
また青林工藝舎版は2011年にカバー絵を変えて再発していますね。
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この姉妹は、トッド・ブラウニング監督の超!超名作映画「フリークス」にも本人役で出演していたシャム双生児の女優、デイジー&ヴァイオレット・ヒルトン姉妹でしょうね。美しい絵です。


彼の目玉を私のあそこに
埋め込んで私と彼の
過去を見てみたい
ほうら段々見へてきた…



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  1. 2013/02/08(金) 23:00:00|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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