大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(99) 丸尾末広 5 「少女椿」

丸尾末広作品紹介、続いては「少女椿」(青林堂刊)。
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画像の左は1984年に最初に出た版で、右は1999年に出た改訂版。丸尾末広先生が初めて手がけた長編物語で、全1巻です。

内容は丸尾末広先生最初の作品集、「薔薇色ノ怪物」に収録されていた1981年の短編「少女椿」の続編。
丸尾先生自身が『タイトルはモロにパクリだよね。パクリ以外の何物でもないよ』とガロのインタビューで語っておられましたが、浪花清雲原作による戦後の街頭紙芝居からパクったそうです。

最初の短編では貧しい花売り少女・みどりちゃんが孤児になり、親切なおじさんを頼って訪ねた所はフリークス達の住む見世物小屋…そこで犯される『哀切秘話』でした。
この長編では12歳のみどりちゃんが見世物小屋"赤猫座"の芸人として仕込まれている所から始まります。
小屋の住人は親方で少年愛者の嵐鯉治郎、人間ポンプ男の赤座、両腕が無いミイラ男の鞭棄フタナリカナブン蛇女紅悦、そして畸形具合がヤバすぎるのは首長の芳一と、芋虫の海鼠。後者が動く様は映画「フリークス」で確認出来ますが、凄まじいものがあります…
本編が始まる前にこれらの登場人物紹介ページがあるのですが、その中に何と楳図かずお先生のキャラ・まだらの少女が入ってます。本編でも楳図タッチをパクってるシーンがありますが、丸尾先生は大の楳図ファンであるとインタビューで語っておりました。

とにかく見世物小屋で芸人達に馴染めず、虐げられているみどりちゃんでしたが、小屋がワンダー正光という小人(こびと)の西洋手品師が迎えられると立場が一変します。皆とはレベルの違う芸であっという間にヒエラルキー最上位に上がった彼がみどりちゃんを気に入って助手にして、世話を焼くようになるのです。
自然と二人は愛し合いますが、みどりちゃんは不幸から脱する事が出来るのか…

・第壱発目 忍耐と服従
・第弐発目 さまよえる日本人
・第参発目 侏儒が夜来る
・第四発目 平凡と明星
・第五発目 勧善懲悪覗機関
・第六発目 地獄に堕ちた庶民たち
・第七発目 喜びも悲しみも幾歳月
・これでおしまい 桜の花の満開の下
とそれぞれの話にタイトルが付いてまして、最後に活字で丸尾末広作の一幕劇「人生の並木路」が収録されています。

丸尾末広先生が初期作品の画力をそのままにしてエログロの味は残しつつ、もうちょっと一般寄りの分かりやすいお話を作ったらどうなるのか、という所を見せてくれた大傑作でしょう。
そして見事、今日では多少漫画好きな人なら誰でも知ってる代表作となったわけですね。おかっぱの少女・みどりちゃんもキャラクターとしてスタンダードな地位を確立し、イラストで描かれたりグッズの発売もされ続けています。

また、驚いたのは2003年に青林工藝舎から再発された「改訂版 少女椿」。こちらは加筆・修正箇所がいくつもあるのですよ!よって、この版も揃えておくべきでしょう。
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ちなみにこの版はサイン本も入手しています。まず厚紙の表紙を開いた所にサインされていますが、
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これがよく見えないから書き直したのでしょう…その裏に、改めて別のマジックで署名されていました。
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さらに2004年に限定500部をエディションナンバー入りで出した「限定版 少女椿」(青林工藝舎刊)。
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こちらはB5判上製クロス貼函入の豪華な作りで、美しい画集としても楽しめる名作「少女椿」が初めてB5サイズで読めるようになり(内容は青林工藝舎改訂版と同じ修正版)、中には著者サインカード、みどりちゃんの特製シルク水玉リボン、みどりちゃんぬりえセット5枚、特製少女椿マッチが封入され、B2ポスターも別に筒函入で付いている、という素晴らしいもの。

英語版も入手しましたが、あちらでのタイトルは「MR.ARASHI'S AMAZING FREAK SHOW」
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サイズが大きいのも嬉しいこの本は青林堂版と同内容です。この作品が世界に広まってくれたら本当に嬉しいですね。
よく日本の漫画は世界一で実際に海外でも大ヒットしているとは聞きますが、だいたい「ドラゴンボール」「ONE PIECE」といった少年向けバトル物ばかりですから…

同じくドイツ語版で、あちらでのタイトルは「MIDORI - DAS KAMELIENMADCHEN」
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そして原田浩監督のアニメ映画版「地下幻燈劇画 少女椿」
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1992年公開作品で、内容は最初の短編分も含めて原作に忠実にしたのは良いのですが…それがために児童ポルノ何とかで法律に触れてしまい、日本国内での上映禁止となった作品です。
私が観たのは2004年の東京国際ファンタスティック映画祭で、上映された時ですが、そういえばあの時はどのように法律をクリアしたのだろうか…

主題歌は作詞が丸尾末広先生、作曲はJ・A・シーザーという豪華すぎる「迷い子のリボン」。そして同じ二人が作った挿入歌「紅い下着」も印象深いのですが、主題歌を松林亜弥が、そして挿入歌の方はジーコ内山が歌ったCDも発売されていました。3曲目はインストで「少女椿のテーマ」、4曲目は「紅い下着」の歌無しバージョン。全てJ・A・シーザーの曲なので、コレクターの方には重要でしょう。
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開けると歌詞カードや解説、ぬりえ付きの紙、そして懐かしい8cmのシングルCDが入っていて、
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アニメ「少女椿」の生写真も付いていました!
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さらにこちらはデジタルコミック版「少女椿」(大和堂刊)。パッケージに、華麗な色彩で『原作者本人が「感動した」と絶賛した』と書いてあります!
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最後に虚飾集団廻天百眼が舞台化し、ザムザ阿佐谷にて上演した廻天百眼十発目劇場公演 少女椿
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これはつい最近、2011年10月の事なので丸尾ファンには記憶に新しいでしょう。とにかく、それほど「少女椿」は人気が高い。音楽を犬神サーカス団が担当していて、丸尾ジャケのサントラCDも発売されました。


ばけもの!! ばけもの!!
ばけもの ばけもの ばけもの!!
ばけものおお!!



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  1. 2013/02/10(日) 23:00:29|
  2. 月刊漫画ガロ
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:2
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コメント

「遠足行きたい・・・」

うわぁ~懐かしいですよ、少女椿!

中学生の時に立ち読みしたナショナルキッドで大ショックを受け、丸尾マンガに対して完全トラウマ化、それ以来背表紙を見るのも怖かったのですが…

数年後にたまたま古本屋で発見した少女椿をなぜか購入してしまった記憶があります
そのときは結構、逆境におちいってまして、精神的にかなり底辺だったのですが、いつも避けてたものに妙にひきつけられたのです

そして、美麗な暗黒調で描かれるみどりちゃんの超不幸な姿と、悪意に満ちた醜悪かつ滑稽な世界に、ふしぎなことにすさんだ心が癒されたような気がしたものでした

キャラクターが全員(みどりちゃんも!)、ろくでもない浅ましさなのに、最後のほうで急にいい人みたいになったりするのも素敵でしたね~
特に、キーパーソンのワンダー正光が名前といい姿といい性的嗜好といい、本人マジメみたいなのがものすごく面白かったです

それにしても記事を読んで知ったのですが、この作品は実はかなり有名作だったのですね!アニメにもなっていたとは・・・またしても大ショックです。日本の未来は安心です!

にしてもBRUCEさんの博学には実に恐れ入ります
昔、出井州忍のマンガ界における位置づけが全くわからないゆえにずっと引っかかっていたのですが、ホラーでも書いてたことを知っていればもっと深く追いかけることができたのにな、とちょっと後悔しています(もっともすぐリタイアするような気もしますが・・・)

最近、七月なのになんとなく秋の気配が漂ったりしてましたが、ご自愛くださいね!
  1. 2013/07/19(金) 00:13:06 |
  2. URL |
  3. 通りすがり #-
  4. [ 編集]

コメントありがとうございます。

>通りすがりさま

中学生時代から丸尾マンガに出会い、少しでも関わってきたのだから良かったですね。
私も、衝撃的なファーストインパクトでした。エログロがどうとかより、どのページも絵として素晴らしすぎて…こんな凄い漫画家がいたのかと思いましたよ。

精神的に底辺だった時にひきつけられた、との事ですが、そういう時の方が魅力が分かる場合がありますよね。どの作品でも、結局受け手(読者)側の状態によって印象は全然違うと思いますし…
私もやはり、暗い情念が渦巻いている日々に出会ってはまりました。

こんな、見る人によっては酷いだけの作品世界ですが、『心が癒された』というのは凄く分かります。
今思えば私も暗い青春時代、もっと暗い音楽や映画や本などでヤバい衝動を発散していたのだと思います。

ワンダー正光は名前だけはかつて実在した奇術師らしいのですが、本人もこうして現在一部でとはいえ有名になっている事を、草葉の陰から驚いて見ている事でしょう。

出井州忍名義の作品はともかく、谷間夢路名義でしたら数出してるし古本屋で見つけたらプレミア付かない値段で入手出来ると思います。今からでも是非、追いかけてみてください!
  1. 2013/07/20(土) 12:19:50 |
  2. URL |
  3. BRUCE #-
  4. [ 編集]

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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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