大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(102) 丸尾末広 8 「パラノイア・スター」

丸尾末広作品紹介、続いては「パラノイア・スター」(河出書房新社刊)。
MARUO-paranoia-star.jpg

丸尾末広先生が単行本としては初めて青林堂以外から上梓した短編集で、1986年発行。
持ち前のグロい表現も多めですが、この時期はサイバーパンク的でオシャレすぎる作品を描いていて、読者は選ぶでしょうが正に名作漫画です!

まず本編で使われている絵をピックアップしてカラーページにし、詩を付けて構成したオープニング。
それから「SŌJIN」
1930年代の上海を舞台にした、あるダイアモンド(賢者の石?)を巡る話です。ちなみにこの単行本にはそれぞれに『この作品にふさわしいBGM』が指定されていて、丸尾先生の聴く音楽のセンスも分かるのが嬉しい。この作品では、細野晴臣「グロビュール」です。

「電気蟻 吾が分裂の華咲く時」
先日「丸尾末広 ONLY・YOU」に載っている短編として触れましたが、あれにテレビのページ丸々5ページが追加されています。
『オマエハ馬鹿ダ!!ウスノロダ!!イツモ間ニアワナイ!!ナンニモデキナイ シタクナイ!!SEXダケハヤリタイ 人間ガキライダ!機械ガ好キダ!!機械ニナリタイダロウ!?頭ノ中ヲ サンドノイズガ、ザーザーザー!!』
の、重要な所が元々は無かったのです。逆に、削除ページもありますが…
この作品にふさわしいBGMは、DAF「愛と黄金」、早川義夫「かっこいいことはなんてかっこ悪いんだろう」です。

「贋作 電気蟻」
そうです、電気蟻には贋作も存在するのです!機械人間テーマのカッコいいSF。
この作品にふさわしいBGMは、ニューオーダー「ブルーマンディ」(原文ママ)、クラフト・ワーク「ショールーム・ダミー」(原文ママ)。

「意志の勝利」
タイトル通りナチス・ドイツ物。あの時代にドイツ人家庭で生まれた『けがらわしいユダヤ人の子供』、フリッツはナチス親衛隊のSSに入る事を夢見て、実際に戦地に行く。感情を表さず、命乞いして裸になる女性を『ここはジョイ・ディビジョンではない!!』の一言の元に撃ち殺し、性的興奮を覚える…
死体やナチスや「カリガリ博士」「心の不思議」「メトロポリス」といった映画など、写真を漫画に挿入する手法を使っていて、ラストの破滅が凄まじい。
この作品にふさわしいBGMも凄い、ノンフィクション・レコード「HITLER-JUGEND」

「保健室の吸血鬼」
これは何と活字作品で、自伝的な小説でしょうか。丸尾末広先生は漫画を見ていても分かる通り文章のセンスも良いので、もちろん面白い作品に仕上がっています。これだけ活字モノなので、この作品にふさわしいBGMはありません。

「日本人の惑星」
これは丸尾ファンと話すと大抵出てくる…つまり語り草になっているし、代表作と言える作品でしょう。
大東亜戦争における大日本帝国軍の真珠湾奇襲から始まり、日本軍の快進撃を描いた作品なのですが、あれれ、我々が習ってきた歴史的事実と違った方向に描かれています!
非戦闘員である一般市民を爆撃しまくり、悪魔の原爆を二つ市街に投下、降伏した国に降り立った兵士は家庭に押し入り母親を強姦・子供を振り回して撲殺、敵国の司令官を処刑…と、これら米軍がやっていた所業を逆転させ、全て日本軍に置き換えて描いた上で、
『戦争を知らない諸君 だまされてはいけない 日本は断じて敗戦国ではない 日本は今も世界最強の国家である』と結ぶ、痛快な歴史パロディ物。タイトルも「猿の惑星」のパロディになっていますが、あれも日本人をモデルにして立場の逆転を描いた作品と言われていますね。
この作品にふさわしいBGMは、ディスチャージ「ヒァナッシング、シーナッシング、セイナッシング」、伊藤久男「熱砂の誓い」

「玄牝」
『げんぴん』と読みます。これだけ高橋睦郎との合作で、笛吹き学生服の少年と、詩が書けなくなっている詩人のおじさんとの問答を描いています。少年のおかげで詩が書けたおじさんは、引き換えに『詩人の顔の皮』を持っていかれる…
横山まさみち先生が男根をオットセイ擬して描いていたのは知られていますが、ここでの丸尾先生は何と馬の頭で描き、そこから射精しています!
この作品にふさわしいBGMは、クルト・ワイル「三文オペラ」

最後はその高橋睦郎による解説「オナニー少年を追放しよう」が収録されて、この単行本は幕を閉じます。


ねえ、君 きっと僕達は死ぬんだね
死ぬ前ってだいたいこんなもんよ



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  1. 2013/02/18(月) 23:00:39|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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