大悟への道 (旧名・名作漫画ブルース)

名作漫画の紹介 ・・・個人的な旅の記録

月刊漫画ガロ(106) 丸尾末広 11 「犬神博士」

丸尾末広作品紹介、続いては「犬神博士」(秋田書店刊)。
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単行本1冊を使った長編作品です。長編の単行本としては「少女椿」以来実に10年ぶりとなる1994年に上梓されました。

今回は初出時の掲載誌が青年向け漫画雑誌のヤングチャンピオン(秋田書店刊)で、最初に「犬神博士 犬の頭のマジック」のタイトルで短編を載せた所人気を博し、1991年から1994年までで7号に渡る不定期連載の形で連載されました。其の壱~其の六までの全6話、其の六だけ前後編の2回に分けて描かれています。
こういった商業主義の漫画雑誌に描いた事は丸尾末広先生に新境地を開かせ、この後もヤングチャンピオンで他作品を描く事にもつながります。

夢野久作の同名著作を思い出す方も多いとおもいますが、こちらの「犬神博士」は完全オリジナル作品。
ちなみに丸尾先生は1989年にも同名作品に着手しているのですが、掲載誌がSMスピリッツだったために連載3回で打ち切りになっています。載らなかった4回目分のも含めて後に限定単行本「丸尾地獄Ⅱ」(青林堂刊)に収録されますので、そちらも確認すると良いでしょう。

ともあれヤングチャンピオン掲載版の「犬神博士」
其の壱で、まず犬神の憑依現象をシリアスな絵で説明してくれるのですが、犬を頭部のみ出して土中に生き埋めにして、目の前に喰い物を置いて三日間放置する。当然喰いたくても喰えない犬の飢えが頂点に達した時に背後から首を切り落とし…頭部を祀って加持祈祷して憎む者に憑り付かせる、と。
これを男子高校生が、教師・辻村に妊娠させられた上に自殺に追い込まれた好きな同級生・石田まり子の恨みを晴らすべく実行するのですが、その効果は現れない。さらに辻村の返り討ちにあって自分が土中に埋められた男子高校生!
そこに本物の犬神博士と彼が使う式神が現れ、辻村をグチャグチャにして殺してくれるのでした。実はまり子の両親も辻村の事をつかんでいて、犬神博士に呪殺を依頼していたのです。

其の弐以降も、悪い巫女や呪術者や黒魔術の結社などを相手に犬神博士…本名・犬飼が式神を使って活躍する話になっていますが、当時は丸尾末広先生がここまでまともなストーリー物を描けるなんて、いや描くなんて思ってもいなかったので驚いた覚えがあります。
あの画力をそのままに一般受けも狙った面白い漫画を描けば、それは人気も出るでしょう。この作品に関しては怪奇色が強いので画風も違和感無いし、夢枕獏の小説「陰陽師」が後に岡野玲子先生の手で漫画化され、ドラマ化・映画化と続きブームになっていった事を考えると、もうちょっとこの物語を描き続けていたら面白い事になったのではないでしょうか。

巻末に文化人類学者の小松和彦氏による解説「無残絵と残酷のフォークロア」が収録されていて、単行本の帯には俳優の竹中直人、そして何かと丸尾末広先生と関わりもあるロックミュージシャンで作家の大槻ケンヂさまが推薦文を寄せています。
帯の裏表紙側にオ-ケンが書いた文章は、
『おおおおっ!いいっ!面白すぎる!
 猟奇オドロ界の水戸黄門、丸尾末広のお通りだ。ひかえおろう!
 今夜も血まみれグチョグチョだな、こりゃ。』

というものでした。


犬飼衰えたな!!
なによりきさまの その禁欲的印象が気に入らん
肉を喰らい血を吸い それも尽きたら糞尿をもすする人間でなければ 私は信用しない
屍体をくらえ!



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  1. 2013/03/01(金) 23:59:46|
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BRUCEです。あだ名は大悟(DieGo)です。
大悟…つまり悟りを開くに至る道程にある事を表し、かつ神の映画「ドラゴンへの道」から頂いてのブログタイトル。同名の秘密結社も運営しています。

名作漫画紹介の形を借りて、自分の記録用に使っています。

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